説明

車載情報端末

【課題】複数の外部記憶装置を接続可能な車載情報端末において、車載情報端末および外部記憶装置に記憶されているコンテンツファイルの再生の優先度を設定し、優先度に従い再生する。
【解決手段】車載情報端末1は、記憶部13に記憶されているコンテンツファイルのコンテンツ情報に基づいて全体ファイルリスト801を作成する。また、制御部11は、車載情報端末1に接続された外部記憶装置2に記憶されているコンテンツファイルのコンテンツ情報を取得し、その内容を全体ファイルリスト801に追加する。その後、全体ファイルリスト801からコンテンツファイルが記憶されている登録台数856などの情報を抽出し、抽出した情報に基づいてコンテンツファイルを再生する優先度を決定し、優先度に基づいてコンテンツファイルを再生させる。外部記憶装置2が新たに接続された場合または外部記憶装置2が切断された場合は、全体ファイルリスト801を更新し、優先度を再決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部記憶装置と接続可能な車載情報端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯可能な外部記憶装置を車載オーディオ機器に接続し、そこに保存されている音楽などを車載オーディオ機器に転送し、再生する発明が考案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−296875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の発明では、複数の外部記憶装置を車載オーディオ機器に接続した場合に、各外部記憶装置に記憶されている各コンテンツを乗員達の嗜好に合わせた順に再生することはできなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、少なくとも1つ以上のコンテンツファイルと、各コンテンツファイルに関するコンテンツ情報とがそれぞれに記憶された複数の外部記憶装置と接続可能な車載情報端末であって、複数の外部記憶装置よりコンテンツ情報をそれぞれ取得する取得手段と、取得手段により取得されたコンテンツ情報に基づいて各コンテンツファイルに対する優先度を決定する優先度決定手段と、優先度に基づいて再生対象とするコンテンツファイルを決定する再生対象決定手段と、再生対象に決定されたコンテンツファイルが表すコンテンツを再生出力する再生出力手段とを備えるものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、複数の外部記憶装置を車載オーディオ機器などの車載情報端末に接続した場合に、各外部記憶装置に記憶されている各コンテンツを乗員達の嗜好に合わせた順に再生できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態による車載情報端末の構成を示すブロック図である。
【図2】車載情報端末の電源をオンにした際に実行する初期設定処理の一例を表すフローチャートである。
【図3】優先度決定ルーチンの処理の一例を表すフローチャートである。
【図4】再生制御ルーチンの処理の一例を表すフローチャートである。
【図5】接続管理ルーチンの処理の一例を表すフローチャートである。
【図6】追加ルーチンの処理の一例を表すフローチャートである。
【図7】削除ルーチンの処理の一例を表すフローチャートである。
【図8】全体ファイルリストのデータ構造を表す一例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施形態である車載情報端末の構成を図1に示す。図1の車載情報端末1は、制御部11と、再生部12、記憶部13とを備えている。車載情報端末1は、有線または無線により複数の外部記憶装置2と接続できる。ここでいう、外部記憶装置2とは、携帯音楽プレーヤやUSBメモリなどである。
【0009】
外部記憶装置2には、音楽や映像などのコンテンツを表すコンテンツファイルが記憶されている。更に、外部記憶装置2には、各コンテンツファイルに関するコンテンツ情報なども記憶されている。
【0010】
制御部11は、車載情報端末1を動作させるための様々な処理や制御を実行するための部分であり、マイクロプロセッサや各種周辺回路、RAM、ROMなどによって構成される。制御部11が行う処理により、記憶部13に記憶されたコンテンツファイルおよび外部記憶装置2に記憶されたコンテンツファイルを再生出力するための信号を再生部12へ出力できる。制御部11は複数の処理を並列に処理することができる。本発明では、制御部11は、接続管理ルーチンと、優先度決定ルーチンと、再生制御ルーチンと、追加ルーチンと、削除ルーチンとを含む処理を実行する。なお、各ルーチンの詳細は後で説明する。
【0011】
再生部12は、制御部11により送信されてきた信号に基づいて、音楽や映像などのコンテンツを再生するものである。再生部12は、スピーカや表示モニタにより構成される。なお、再生部12を車載情報端末1の外部に接続してもよい。
【0012】
記憶部13は、不揮発性の記録媒体であるHDDなどによって構成される。記憶部13には、外部記憶装置2と同様にコンテンツファイルとコンテンツ情報が記憶されている。
【0013】
制御部11で実行されるルーチンの概要を説明する。優先度決定ルーチンは、車載情報端末1および外部記憶装置2に記憶されている各ファイルに対するコンテンツ情報に基づいてファイルを再生する優先度を決定する。すなわち、すべてのコンテンツ情報に基づいて各コンテンツファイルの名称、ファイル形式、コンテンツのタイトル、コンテンツを記憶している機器を識別する情報、コンテンツの再生時間、ファイルが登録されている機器の台数などをリスト化し、このリストに基づいて優先度を決定する。以降、コンテンツ情報に基づいて作成したリストのことを全体ファイルリスト801と呼ぶことにする。優先度は、同じファイルが登録されている機器の台数などに基づいて決定される。
【0014】
接続管理ルーチンは、外部記憶装置2が有線もしくは無線によって車載情報端末1と接続されたかどうかを常時確認するものである。外部記憶装置2が車載情報端末1に接続されたとき、接続管理ルーチンの指示により外部記憶装置2からコンテンツ情報が送信される。接続管理ルーチンは、外部記憶装置2からコンテンツ情報を受信したら、追加ルーチンを用いてその内容を全体ファイルリスト801に追加する。また、外部記憶装置2が車載情報端末1から切断されたら、削除ルーチンを用いて外部記憶装置2に記憶されていたファイルを全体ファイルリスト801から除去する。
【0015】
再生制御ルーチンは、優先度決定ルーチンによって決定された優先度に従って、再生対象とするファイルを記憶している機器(記憶部13,外部記憶装置2)に対して再生するコンテンツのデータを送信させるものである。また、再生制御ルーチンは、再生部12の再生状況を監視し、音楽などのファイルの終了を検出する。
【0016】
次に制御部11で実行される処理の詳細について説明する。以降の説明では、説明を簡略化するため、外部記憶装置2の接続方法として有線接続のみを考える。再生するファイルとしては音楽ファイルだけを考え、外部記憶装置2は音楽ファイルを機器自体でデコードできるものとする。また、ユーザが手動で行う再生指示は割り込み処理として考えるが、その説明は省略する。記憶部13のHDDと外部記憶装置2は、それぞれを識別するための固有のIDを持つ。
【0017】
まず、車載情報端末1に電源を入れたときに実行する初期設定処理を図2に示す。
【0018】
ステップS201では、記憶部13に記憶されている音楽ファイルを検索し、そこに記憶されている音楽ファイルに関するコンテンツ情報を取得する。そして、取得したコンテンツ情報に基づいて、各音楽ファイルの一覧を作成し、全体ファイルリスト801として記憶部13に記憶する。全体ファイルリスト801を作成し、記憶したらステップS202に遷移する。
【0019】
全体ファイルリスト801の一例を図8に示す。図8に示す全体ファイルリスト801は、登録されたファイルそれぞれに対して、ファイル名851、ファイル形式852、楽曲のタイトル853、記憶装置ID854、再生時間855、登録台数856、次のコンテンツのアドレス857という項目を記憶する。
【0020】
記憶装置ID854には、各音楽ファイルを記憶している記憶装置に与えられているIDを登録する。記憶装置ID854には複数のIDを登録可能なものとする。
【0021】
登録台数856は、同じ音楽ファイルを記憶している機器の数を表す。初めて全体ファイルリスト801に登録されたときは1となる。同じファイルが登録されたとき、登録台数856の値を1増加させ、登録したファイルが削除された場合は登録台数856の値を1減らす。
【0022】
次のコンテンツのアドレス857は、各コンテンツに関する情報を一つのリストとして記憶するためのものである。全体ファイルリスト801の末尾に登録されたファイルの場合、次のコンテンツのアドレス857は空となる。
【0023】
楽曲のタイトル853または再生時間855といった楽曲の特徴を表す情報が取得できない場合は、その情報については空にする。
【0024】
ステップS201にて上記のような全体ファイルリスト801を記憶部13に記憶した後、ステップS202では、その全体ファイルリスト801を入力として優先度決定ルーチンを実行し、ファイルの優先度を決定させる。優先度決定ルーチンの処理については後述する。優先度が決定したらステップS203に遷移する。
【0025】
ステップS203では、接続管理ルーチンを有線接続用のコネクタの数だけ起動し、外部記憶装置2が接続されるまで待機状態にしておく(図5のステップS501)。接続管理ルーチンは、有線接続用のコネクタと一対一に対応付けられて起動され、各コネクタへの外部記憶装置2の接続状態を常時監視する。起動した接続管理ルーチンは、制御部11において他の処理と並列に処理される。接続管理ルーチンの起動が終了したら初期設定処理を終了させる。
【0026】
優先度決定ルーチンについて、図3を用いて説明する。優先度決定ルーチンは、入力された全体ファイルリスト801に基づいて音楽ファイルの優先度を設定し、設定した優先度に従った再生を行うよう再生制御ルーチンに指示する。
【0027】
ステップS301では、全体ファイルリスト801に含まれる情報からファイルの優先度を決定する。ファイルの優先度を決定する手段は様々な方法が考えられる。本実施形態では、登録台数856の値が大きい音楽ファイルの優先度を高くする。この場合、登録台数856をもとにして全体ファイルリスト801を降順に並び替えれば優先度の高い順に並び替えられる。データを並び替える手段は、ソーティングアルゴリズムとして様々な方法が公知されており、それらを利用する。優先度を決定したらステップS302に遷移する。
【0028】
ステップS302では、古い優先度情報で行っている再生を中止させる。再生制御ルーチンに割り込みを行い、起動中の再生制御ルーチンを強制終了する。その後、ステップS303に遷移する。
【0029】
ステップS303では、再生制御ルーチンを新しい優先度情報を入力として起動する。その後、優先度決定ルーチンは終了する。
【0030】
次に再生制御ルーチンでの処理について、図4を用いて以下で説明する。ステップS401では、次のコンテンツのアドレス857に基づいて、全体ファイルリスト801に含まれるすべての音楽ファイルが再生部12により全て再生されたかどうかを判定する。肯定判定された場合は再生制御ルーチンを終了し、否定された場合はステップS402に遷移する。
【0031】
ステップS402では、受信した優先度情報に基づいて再生する音楽ファイルを決定する。はじめてステップS402を実行する場合は、最も優先度の高い音楽ファイルを再生対象として決定する。それ以外の場合は、直前に再生していた音楽ファイルの次に優先度の高い音楽ファイルを再生対象とする。再生する音楽ファイルを決定したらステップS403に遷移する。
【0032】
ステップS403では、再生対象として決定した音楽ファイルについて、記憶装置ID854の中から一つのIDを選択し、コンテンツを再生する。選択したIDが記憶部13のHDDであれば、HDDに記憶された音楽ファイルを制御部11でデコードし、再生部12に送信する。選択したIDが外部記憶装置2の場合は、音楽ファイルを再生出力するための信号を送信させる。再生部12への送信を開始したらステップS404へ遷移する。記憶装置ID854の中からIDを選択する方法は、HDDのIDが含まれているのであれば、HDDのIDを選択し、それ以外の場合は登録された順番に従う方法などが考えられる。
【0033】
ステップS404では、再生制御ルーチンは、再生部12での再生状況を監視し、再生部12での再生が完了するまで待機する。再生部12での再生が完了したらステップS401に戻る。
【0034】
次に接続管理ルーチンで行う処理について図5を用いて説明する。前述のとおり、ステップS203で起動された接続管理ルーチンは、外部記憶装置2が接続されるまで待機している。待機状態の接続管理ルーチンは、機器の接続を検出したら別々に全体ファイルリスト801を取得し更新しようとする。しかし、ある接続管理ルーチンが更新している間に他の接続管理ルーチンが全体ファイルリスト801を取得すると、更新を反映した全体ファイルリスト801を取得できない。そこで、接続管理ルーチン間における全体ファイルリスト801の更新に際して排他制御を行なう。
【0035】
全体ファイルリスト801を更新する際の排他制御には、排他制御フラグを用いる。排他制御フラグは、すべての接続管理ルーチンで共有する。排他制御フラグが0のときは、他の接続管理ルーチンが全体ファイルリスト801を更新していないものとし、全体ファイルリスト801の更新を開始してもよいものとする。逆に排他制御フラグが1のときは、他の接続管理ルーチンが全体ファイルリスト801を更新しているものとし、全体ファイルリスト801の更新を開始せず、排他制御フラグが0になるまで待機する。
【0036】
ステップS501では、外部記憶装置2がコネクタに接続されたかどうかを監視しながら待機しており、コネクタに外部記憶装置2が接続されたことを検出したらステップS502に遷移する。
【0037】
ステップS502では、接続された外部記憶装置2から外部記憶装置2に記憶されているすべてのコンテンツに関するコンテンツ情報を取得し、ステップS503に遷移する。
【0038】
ステップS503では、排他制御フラグの値を判定し、0であればステップS504に遷移し、1であればステップS503で待機する。
【0039】
ステップS504では、排他制御フラグを1に変更し、他の接続管理ルーチンが全体ファイルリスト801を取得したり更新したりしないようにする。その後、ステップS505に遷移する。
【0040】
ステップS505では、ステップS502にて取得したコンテンツ情報と全体ファイルリスト801とを入力として後述する追加ルーチンを実行し、全体ファイルリスト801を更新する。全体ファイルリスト801を更新したらステップS506に遷移する。
【0041】
ステップS506では、ステップS505にて更新された全体ファイルリスト801を入力として優先度決定ルーチンを実行し、優先度を再決定し、計算が終了したらステップS507に遷移する。
【0042】
ステップS507では、排他制御フラグを0に変更し、他の接続管理ルーチンが全体ファイルリスト801を取得できるようにする。その後、ステップS508に遷移する。
【0043】
ステップS508では、外部記憶装置2がコネクタから抜き取られたことなどを原因とする接続の切断を検出する。接続の切断が検出された場合、ステップS509に遷移する。検出されなかった場合はステップS508で待機する。
【0044】
ステップS509では、排他制御フラグの値を判定し、0であればステップS510に進み、1であればステップS509で待機する。
【0045】
ステップS510では、ステップS504と同様に排他制御フラグを1に変更し、他の接続管理ルーチンが全体ファイルリスト801を取得したり更新したりしないようにする。排他制御フラグを変更した後、ステップS511に遷移する。
【0046】
ステップS511では、外部記憶装置2のIDと全体ファイルリスト801とを入力として、後述する削除ルーチンを実行し、全体ファイルリスト801を更新する。全体ファイルリスト801を更新したらステップS512に遷移する。
【0047】
ステップS512では、更新した全体ファイルリスト801を入力として優先度決定ルーチンを実行し、優先度の再決定を行う。その後、ステップS513に遷移する。
【0048】
ステップS513では、排他制御フラグを0に変更し、他の接続管理ルーチンが全体ファイルリスト801を取得できるようにする。その後、ステップS501に戻る。
【0049】
次に全体ファイルリスト801を更新する方法を説明する。前述のとおり、全体ファイルリスト801を更新する方法としては、追加ルーチンと削除ルーチンとが存在する。
【0050】
追加ルーチンについて図6を用いて説明する。まず、ステップS601では、入力されたすべてのコンテンツ情報が処理されたかどうかを判定する。肯定判定された場合は、追加ルーチンは終了する。それ以外の場合は否定判定され、ステップS602に遷移する。
【0051】
ステップS602では、外部記憶装置2のコンテンツ情報の中から処理を行うファイルを一つ選択する。
【0052】
ステップS603では、ステップS602で選択したコンテンツのファイル形式852に基づいて、音楽ファイルが再生部12で再生可能かどうか判定する。再生不可能なファイル形式852であった場合はそのファイルは無視し、ステップS601に戻る。それ以外の場合は、ステップS604に遷移する。
【0053】
ステップS604〜S606では、ステップS603で再生可能と判断されたコンテンツが全体ファイルリスト801の中にあるかどうかを判定している。全体ファイルリスト801の中にある場合はステップS607に遷移し、存在しない場合はステップS609に遷移する。
【0054】
ステップS607では、ステップS604〜S606で同じであるとされたファイルの登録台数856の値に1を加算する。そして、ステップ608では、記憶装置ID854に外部記憶装置2のIDを追加する。処理が終わったらステップS601に戻る。
【0055】
ステップS609では、ステップS602で選択されたファイルを全体ファイルリスト801の末尾に登録する。記憶装置ID854は外部記憶装置2のIDとし、登録台数856の値は1、次のコンテンツのアドレス857は空とする。そして、登録前に末尾にあったコンテンツについての次のコンテンツのアドレス857は、新たに登録した音楽ファイルのアドレスに変更する。登録が終わったら、ステップS601に戻る。
【0056】
次に削除ルーチンについて図7を用いて説明する。ステップS701では、全体ファイルリスト801の中から音楽ファイルを一つ選択する。削除ルーチンを開始した直後は全体ファイルリスト801の先頭の音楽ファイルを選択し、それ以外の場合は、次のコンテンツのアドレス857に基づいて選択する。
【0057】
ステップS702では、選択した音楽ファイルに関する記憶装置ID854の中に入力されたIDが存在するかどうかを判定する。存在しなければステップS701に戻り次のファイルを選択する。存在した場合は、ステップS703に遷移する。
【0058】
ステップS703では、ステップS701で選択されたファイルに対して登録台数856の値を1だけ減算し、ステップS704に遷移する。
【0059】
ステップS704では、登録台数856の値が0になったかどうかを判定する。登録台数856の値が0になった音楽ファイルは、全体ファイルリスト801から登録を完全に削除するため、ステップS705に遷移する。登録台数856の値が0でない場合は、ステップS706に遷移する。
【0060】
ステップS705では、まず削除によるリスト構造の分断を防ぐため、全体ファイルリスト801上で選択された音楽ファイルの直前にある音楽ファイルについて、次のコンテンツのアドレス857を削除する音楽ファイルのものに変更する。その後、選択された音楽ファイルを削除し、ステップS707に遷移する。
【0061】
ステップS706では、選択されたファイルの記憶装置ID854から接続を外した外部記憶装置2のIDを削除し、ステップS707に遷移する。
【0062】
ステップS707では、選択された音楽ファイルの次のコンテンツのアドレス857が空であるかどうかを判定して、選択された音楽ファイルが全体ファイルリスト801の最後のファイルであったかどうかを判断する。最後のファイルであった場合は、削除ルーチンを終了し、そうでなければステップS701に戻る。
【0063】
以上説明した実施の形態によれば、次の作用効果を奏する。
(1)車載情報端末1は、制御部11の処理により、複数の外部記憶装置2からコンテンツ情報をそれぞれ取得し(ステップS502)、取得したコンテンツ情報に基づいて各コンテンツファイルに対する優先度を決定する(ステップS506,S301)。この優先度に基づいて、再生対象とするコンテンツを決定し(ステップS303,S402)、再生対象に決定したコンテンツを再生出力する(ステップS403)。このようにしたことで、複数の外部記憶装置2を車載情報端末1に接続した場合に、各外部記憶装置2に記憶されているコンテンツを乗員達の嗜好に合わせた順に再生できる。
【0064】
(2)車載情報端末1は、外部記憶装置2に記憶されている音楽ファイルのコンテンツ情報と、全体ファイルリスト801に記憶されている音楽ファイルのコンテンツ情報とを比較し、二つのファイルが同一であるかを判定する(S604〜S606、S702)。同じであると判定された音楽ファイルについては、全体ファイルリスト801の登録台数856を加減算する(ステップS607、S703)。そして、加減算した登録台数856に基づいて音楽ファイルの優先度を再決定する(ステップS506、S512、S301)。このようにしたことで、各コンテンツファイルが登録されている機器の台数について正しく知ることができ、その情報から乗員達の嗜好を推定し、コンテンツファイルの優先度を決めることができる。
【0065】
(3)車載情報端末1は、外部記憶装置2の接続状況の変化を検出し(ステップS501、S508)、接続状況の変化を検出したとき優先度の再決定を行う(ステップS506、S512)。このようにしたことで、外部記憶装置2の接続・切断に起因するコンテンツファイルの記憶状況の変化に対応でき、常に最適な優先度を決定することができる。
【0066】
(4)車載情報端末1は、記憶部13のコンテンツ情報を取得し全体ファイルリスト801を作成し(ステップS201)、外部記憶装置2から取得したコンテンツ情報から全体ファイルリスト801を更新する(ステップS502、S505、S511、図6、図7)。その全体ファイルリスト801に基づいて優先度を決定する(ステップS506、S512、S301)。このようにしたことで、優先度を決定する際に車載情報端末1に記憶されているコンテンツファイルについても考慮することができる。
【0067】
以上説明した実施の形態は、次のように変形してもよい。
(1)上記の実施形態では、再生するコンテンツファイルを音楽ファイルに限定したが、車載情報端末1が再生可能な形式であれば、映像ファイルなどの他種のコンテンツファイルを含めてもよい。
【0068】
(2)上記の実施形態では、電源をいれたときから優先度を考慮した音楽再生を始めたが、車載情報端末1などにボタンを設け、ボタンが押下されたときに初めて優先度を考慮した音楽再生をすることにしてもよい。
【0069】
(3)ステップS203では、有線接続のコネクタの数と同じ数だけの接続管理ルーチンを起動したが、一つの接続管理ルーチンによってすべてのコネクタや無線接続を管理してもよい。また、接続管理ルーチンを無線接続にも対応できるようにしてもよい。
【0070】
(4)上記の実施形態では、外部記憶装置2が接続されたとき、または接続が切断されたときに優先度情報を更新したが、外部記憶装置2が接続されているときに外部記憶装置2のファイルが更新された場合にも優先度情報を更新することにしてもよい。
【0071】
(5)上記の実施形態では、外部記憶装置2は音楽ファイルを機器自体でデコードできるものに限定したが、デコードできない外部記憶装置2の場合は、記憶部13に記憶されているファイルと同様に制御部11でデコードすることにしてもよい。
【0072】
(6)上記の実施形態では、音楽ファイルが登録されている台数で優先度を決定する例を示したが、コンテンツ情報の中に再生履歴情報を含め、その再生履歴情報に基づいてコンテンツごとの再生回数を算出し、算出した再生回数に基づいて優先度情報を更新することにしてもよい。
【0073】
(7)上記の実施形態では、優先度を決定する対象を、ファイル単位としたが、コンテンツに含まれるアーティスト情報などを用いてファイルをグループ化し、グループごとに優先度を決定し、再生対象のファイルを決定してもよい。
【0074】
(8)優先度を決定する方法は複数存在してもよく、優先度の決定方法を表示モニタ上に表示し、ユーザが自由に選択できるようにしてもよい。また、いずれかの方法を自動的に選択しても良い。たとえば、登録台数856の値の分散と再生回数の分散とを演算し、比較することなどによって決定してもよい。
【0075】
(9)上記の実施形態では、全体ファイルリスト801のリスト構造を表現するために次のコンテンツのアドレス857を使用したが、リスト構造を表現する方法は上記の方法に限られない。また、全体ファイルリスト801に含まれる項目は、上記のものだけに限定されない。
【0076】
以上説明した実施の形態や各種の変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されない。
【符号の説明】
【0077】
1:車載情報端末
2:外部記憶装置
2a−2c:外部記憶装置A−C
11:制御部
12:再生部
13:記憶部
801:全体ファイルリスト
851:ファイル名(全体ファイルリスト801の項目)
852:ファイル形式(全体ファイルリスト801の項目)
853:楽曲のタイトル(全体ファイルリスト801の項目)
854:記憶装置ID(全体ファイルリスト801の項目)
855:再生時間(全体ファイルリスト801の項目)
856:登録台数(全体ファイルリスト801の項目)
857:次のコンテンツのアドレス(全体ファイルリスト801の項目)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つ以上のコンテンツファイルと、各コンテンツファイルに関するコンテンツ情報とがそれぞれに記憶された複数の外部記憶装置と接続可能な車載情報端末であって、
前記複数の外部記憶装置より前記コンテンツ情報をそれぞれ取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記コンテンツ情報に基づいて前記各コンテンツファイルに対する優先度を決定する優先度決定手段と、
前記優先度に基づいて再生対象とするコンテンツファイルを決定する再生対象決定手段と、
前記再生対象に決定されたコンテンツファイルが表すコンテンツを再生出力する再生出力手段とを備えることを特徴とする車載情報端末。
【請求項2】
請求項1に記載の車載情報端末において、
前記コンテンツ情報は、前記コンテンツファイルが表すコンテンツを特定するためのコンテンツ特定情報を含み、
前記優先度決定手段は、前記コンテンツ特定情報に基づいて同一のコンテンツに対応するコンテンツファイルが記憶されている前記外部記憶装置の台数を算出し、算出した前記台数に基づいて前記優先度を決定することを特徴とする車載情報端末。
【請求項3】
請求項2に記載の車載情報端末において、
前記コンテンツ特定情報は、前記コンテンツファイルの名称を含み、前記コンテンツのタイトル、および前記コンテンツの再生時間のいずれか少なくとも一つを含むことを特徴とする車載情報端末。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の車載情報端末において、
前記コンテンツ情報は、前記コンテンツファイルが表すコンテンツの再生履歴情報を含み、
前記優先度決定手段は、前記再生履歴情報に基づいて前記コンテンツごとの再生回数を算出し、算出した前記再生回数に基づいて前記優先度を決定することを特徴とする車載情報端末。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の車載情報端末において、
前記優先度決定手段は、前記コンテンツファイルをグループ化し、前記コンテンツファイルのグループごとに前記優先度を決定することを特徴とする車載情報端末。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の車載情報端末において、
前記外部記憶装置との接続状況の変化を検出する接続変化検出手段をさらに備え、
前記優先度決定手段は、前記接続変化検出手段により前記接続状況の変化が検出されたとき、前記優先度を再決定することを特徴とする車載情報端末。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の車載情報端末において、
前記車載情報端末に内蔵され、少なくとも1つ以上の前記コンテンツファイルおよび前記コンテンツ情報を記憶している内蔵記憶装置をさらに備え、
前記取得手段は、前記外部記憶装置および前記内部記憶装置より前記コンテンツ情報をそれぞれ取得し、
前記優先度決定手段は、前記外部記憶装置に記憶された各コンテンツファイルと、前記内部記憶装置に記憶された各コンテンツファイルとに対して、前記優先度を決定することを特徴とする車載情報端末。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の車載情報端末において、
前記コンテンツファイルは、音楽を表す音楽ファイル、および映像を表す映像ファイルのいずれか少なくとも一つを含むことを特徴とする車載情報端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−165256(P2011−165256A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−25601(P2010−25601)
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】