説明

車載用ノブスイッチ

【課題】操作性に優れてコンパクト化も図りやすい車載用ノブスイッチを提供すること。
【解決手段】筒状のハウジング1の内部に、片面にプッシュスイッチ12を実装して他面にスライドスイッチ21を実装した回路基板3と、この回路基板3を固定したホルダ2とが収納保持されていると共に、操作リング部5および筒状駆動部6を一体化してなる回転体4がホルダ2に回動可能に外挿されている車載用ノブスイッチにおいて、筒状駆動部6の周壁に、スライドスイッチ21のスライダ15に係合する螺旋状孔6bと、操作キー7が遊挿される切欠部6cとを略対向させて設ける。切欠部6cは回転体4の回転操作範囲内で操作キー7との干渉が回避可能な大きさに形成されており、スライダ15は筒状駆動部6に駆動されて往復動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揺動可能な筒状のハウジングを有してストークスイッチ等と称せられる車載用ノブスイッチに係り、特に、ハウジングの外周面に押圧操作用の操作キーと回転操作用の操作リング部とが配設されている車載用ノブスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に自動車のステアリングコラムの近傍には、ワイパーやヘッドライト等の動作を制御するためのストークスイッチと称せられる車載用ノブスイッチが配設されている。この車載用ノブスイッチは、ステアリングコラム側に揺動可能に支持された筒状のハウジングと、このハウジング内でホルダに固定された回路基板と、操作リング部を有してハウジングの外周面に回動可能に取り付けられた回転体と、ハウジングの外周面に露出する操作キー等を具備しており、回路基板には、操作キーの押圧操作によって動作されるプッシュスイッチや、操作リング部の回転操作によって動作されるロータリボリューム等の電気部品が実装されている。そして、ユーザがハウジングを揺動操作したり、ハウジングの外周面に配設された操作キーを押圧操作したり操作リング部を回転操作することによって、ワイパー装置のオン/オフ切換えやワイパー速度の調整および間欠動作の切換え、あるいはヘッドライトのオン/オフ切換えやビーム切換え等が行われるようになっている。
【0003】
従来より、このような車載用ノブスイッチとして、回路基板の片面にプッシュスイッチを実装して他面にロータリボリューム(回転検出用電気部品)を実装し、プッシュスイッチのステムと対向する位置に操作キーを配置させると共に、操作リング部の回転をロータリボリュームに伝達するための2種類のギヤを組み込んだ構成のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。これら2種類のギヤは互いの軸線が直交させてあり、第1のギヤが操作リング部に一体化され、この第1のギヤに噛合する第2のギヤの支軸がロータリボリュームの回転軸にスプライン結合されている。これにより、ユーザが操作リング部を回転操作すると、第1および第2のギヤを介してロータリボリュームの回転軸が回転駆動され、ロータリボリュームからリング部の回転操作に応じた信号が出力されるようになっている。また、ユーザが操作キーを押圧操作すると、プッシュスイッチのステムが押圧駆動され、プッシュスイッチからが操作キーの押圧操作に応じたオン/オフ信号が出力されるようになっている。
【特許文献1】特開10−269898号公報(第3−4頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の車載用ノブスイッチにおいて、前述した従来例のように2種類のギヤを介して操作リング部の回転を回転検出用電気部品に伝達するという構成のものは、回転伝達機構の構造が複雑なため安価に製造できないという問題があった。
【0005】
そこで本発明者等は、かかる2種類のギヤを省略するために、周壁に螺旋状孔を有する筒状駆動部を操作リング部と一体的に設け、この螺旋状孔に係合するスライダが操作リング部の正逆回転に伴い回路基板に沿って直線的に往復動するようにした回転伝達機構を先に提案した。つまり、直線的に往復移動可能なスライダを有するスライド操作型電気部品を回転検出用電気部品として用い、このスライダを操作リング部と一体的に回転する筒状駆動部の螺旋状孔に係合させ、かかる係合部分で筒状駆動部の回転力がスライダの直線運動に変換されるようにしてあれば、操作リング部と回転検出用電気部品との間に2種類のギヤを介在させる必要がなくなるため、製造コストを低減することができる。
【0006】
このように操作リング部に一体化された筒状駆動部で回転検出用電気部品のスライダを直接駆動するという回転伝達機構を採用した車載用ノブスイッチにおいては、筒状駆動部をプッシュスイッチと対向する操作キーの昇降動作を妨げないように配慮して組み込む必要があるので、操作リング部と操作キー間のハウジング内に筒状駆動部を配置させるという設計になりやすい。しかしながら、操作リング部と操作キー間に筒状駆動部の配置スペースを確保すると、操作リング部と操作キーとが回路基板の長手方向へ大きくずれて配設されてしまうため、ユーザがこれら操作リング部と操作キーを連続的に操作しようとする際に、指の移動距離が大きくなって操作性が悪くなるという問題があった。また、操作リング部と操作キー間に筒状駆動部の配置スペースを確保した場合、回路基板の両面において回転検出用電気部品とプッシュスイッチの各実装領域が該回路基板の長手方向へずれることになるため、回路基板が大型化してハウジングのコンパクト化が阻害されやすいという問題もあった。つまり、デザイン上の制約等によって筒状のハウジングは短寸化したり小径化しなければならぬことがあるが、ハウジング内の回路基板が実装スペースの関係で小型化しにくいと、こうしたハウジングのコンパクト化を実現できなくなってしまう。なお、こうした問題点は前述した従来例においても解決されてはいない。
【0007】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、操作性に優れてコンパクト化も図りやすい車載用ノブスイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明の車載用ノブスイッチでは、外周面の一部に開口を有する筒状のハウジングと、このハウジングの内部に収納保持されたホルダと、このホルダに固定された回路基板と、この回路基板の片面に実装されたプッシュスイッチと、前記回路基板の他面に実装されたスライド操作型電気部品と、前記プッシュスイッチを押圧駆動可能な操作キーと、前記スライド操作型電気部品をスライダ操作可能な筒状駆動部を有する回転体とを備え、前記操作キーが前記開口において前記ハウジングの外部に露出していると共に、前記回転体が前記ハウジングの外周面に露出する回転可能な操作リング部を有している車載用ノブスイッチにおいて、前記筒状駆動部の周壁の一部に前記スライド操作型電気部品のスライダと係合する螺旋状孔を設けると共に、この螺旋状孔と略対向する前記周壁の他部に前記操作キーが遊挿される切欠部を設け、前記回転体の回転操作範囲内で前記筒状駆動部と前記操作キーとの干渉が回避されるように前記切欠部を形成するようにした。
【0009】
このように構成された車載用ノブスイッチは、筒状駆動部の周壁でスライダ用の螺旋状孔と対向する部分に操作キーが遊挿される切欠部を設け、回転体の回転操作範囲内で切欠部の内壁面が操作キーと干渉しないようにしてあるため、操作リング部の近傍に操作キーを無理なく配置させることができ、ユーザが操作リング部と操作キーを連続的に操作しようとする際の指の移動距離を小さくすることができるので、操作性に優れたものとすることができる。また、筒状駆動部の内部空間において、操作キーにて駆動されるプッシュスイッチを回路基板の片面に実装し、かつ回路基板の他面にスライド操作型電気部品を実装することができるため、回路基板が小型化されても各種電気部品の実装スペースを確保しやすくなり、コンパクト化を図りやすい車載用ノブスイッチを提供することができる。
【0010】
上記の構成において、前記切欠部は筒状駆動部の周壁に切れ込みとして形成することも可能であるが、切欠部が筒状駆動部の周壁に窓孔として形成されていると、筒状駆動部の機械的強度が高まるため好ましい。
【0011】
また、上記の構成において、スライド操作型電気部品のスライダが摺動子を有すると共に、前記回路基板にこの摺動子と摺接する導体パターンが設けられていると、安価で信頼性の高い回転検出用電気部品が得られるため好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の車載用ノブスイッチは、操作リング部と一体的に回転する筒状駆動部の周壁の略対向する位置に、スライド操作型電気部品のスライダに係合する螺旋状孔と、操作キーが遊挿される切欠部とが設けられており、この切欠部が回転体の回転操作範囲内で操作キーとの干渉を回避できるように形成されているため、操作リング部の近傍に操作キーを無理なく配置させることができ、それゆえユーザが操作リング部と操作キーを連続的に操作する際に、指の距離距離を小さくすることができて操作性が向上する。また、回路基板の両面の重なり合う領域にプッシュスイッチとスライド操作型電気部品とを実装できるため、回路基板が小型化されても各種電気部品の実装スペースを確保しやすく、それゆえハウジングのコンパクト化が図りやすくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
発明の実施の形態を図面を参照して説明すると、図1は本発明の実施形態例に係る車載用ノブスイッチの分解斜視図、図2は該車載用ノブスイッチの断面図、図3は図2のIII−III線に沿う断面図、図4は該車載用ノブスイッチの平面図である。
【0014】
これらの図に示す車載用ノブスイッチは、コンビネーションスイッチの一部を構成する筒状のハウジング1と、このハウジング1の内部に収納保持されたホルダ2と、このホルダ2に固定された回路基板3と、この回路基板3に実装されたプッシュスイッチ12やスライドスイッチ21等の各種電気部品と、操作リング部5および筒状駆動部6を一体化してなる回転体4と、押圧操作用の操作キー7と、揺動操作用の操作ノブ8等を備えている。
【0015】
ハウジング1は合成樹脂製であって、長尺な筒状の主ケース9と、この主ケース9の先端と離隔した位置でホルダ2に取着されたキャップ体10と、このキャップ体10の主ケース9側の開口端部に嵌着されたリング体11とで構成されている。主ケース9の内壁部分はホルダ2を挿入して位置決めできるような形状に形成されており、このホルダ2に回転体4が回動可能に外挿されている。また、主ケース9の先端から突出するホルダ2の大径部2aにキャップ体10が外嵌され、主ケース9とリング体11との間に回転体4の操作リング部5が露出するようになっている。主ケース9の先端近傍の外周面には開口9aが設けられており、この開口9aの内周には凹所9cを設けた複数のガイド壁9bが立設されている。また、キャップ体10の先端にも開口10aが設けられており、この開口10aを貫通して操作ノブ8が配設されている。
【0016】
操作キー7はプッシュスイッチ12を押圧駆動するためのものである。この操作キー7は合成樹脂製であり、ハウジング1の凹所9cに昇降可能に配置されて操作面7aを露出させている。操作キー7の裏面側には中央部に駆動棒7bが垂設されていると共に、駆動棒7bの周囲に複数の脚片7cが垂設されている。駆動棒7bはハウジング1の開口9aを貫通してプッシュスイッチ12上に搭載されており、複数の脚片7cはそれぞれガイド壁9bと摺動可能に係合している。こうして各脚片7cがそれぞれガイド壁9bで案内されるようになっているため、操作キー7をガタ付きなく昇降させることができる。また、操作キー7の裏面側には抜け止め片7dが設けられており、この抜け止め片7dをハウジング1の図示せぬ凹段部に係止させることで操作キー7の脱落が防止されている。なお、操作キー7として、ハウジング1の開口9aを貫通してプッシュスイッチ12上に搭載される構成を例示したが、その操作面7aがハウジング1の外周面とほぼ同じ高さとなるように配置された構成を採用することも可能である。また、操作キー7の各脚片7cを案内する構成として、ハウジング1の開口9a内周に立設したガイド壁9bの凹所9cに案内される構成を例示したが、その他の構成として、ハウジング1の開口9aに臨むように、ハウジング1とは別体のガイド体を回路基板3等に設け、そのガイド体に各脚片7cを案内する凹所を形成してもよい。
【0017】
ホルダ2は主ケース9の内部空間に沿って延びる合成樹脂製の長尺体であり、ホルダ2の一端側の大径部2aは主ケース9から突出してキャップ体10とスナップ嵌合されている。この大径部2aには、回転体4の回転動作をガイドする円筒面2bや、操作ノブ8の揺動支点となる受け部2cが形成されている。また、ホルダ2には、ねじ13を螺着させることで回路基板3を固定するねじ止め突起2dと、回路基板3を位置決めする複数の位置決め突起2eとが内底部から上向きに突設されており、受け部2cに最も近い位置決め突起2eはシーソースイッチ22の摺動子受け14を回動可能に支持する支軸を兼ねている。さらに、ホルダ2の底部にはスライドスイッチ21のスライダ15を往復動可能にガイドする直線状のスリット2fが設けられており、ホルダ2の側部にはスプリング16を介して金属球17を保持する凹所2gが設けられている。
【0018】
操作ノブ8は摺動子受け14を揺動駆動する合成樹脂製の部材である。この操作ノブ8はホルダ2の受け部2cに揺動可能に支持されており、操作ノブ8の操作面8aはキャップ体10の開口10aから露出している。操作ノブ8の筒状部8bにはスプリング18を介して金属球19が保持されており、この金属球19はシーソースイッチ22の摺動子受け14に弾接している。摺動子受け14も合成樹脂製であり、回路基板3の下面に沿って回動可能な状態でホルダ2に支持されている。この摺動子受け14には摺動子14aが取着されており、この摺動子14aは回路基板3の下面に弾接している。受け部2cを支点として操作ノブ8を揺動させると、筒状部8bが傾倒して摺動子受け14が逆向きに揺動し、その際、金属球19が摺動子受け14のカム面を摺動するため、クリック感が生起されるようになっている。
【0019】
スライドスイッチ21はスライド操作型電気部品であって、回路基板3の長手方向に沿って往復移動可能なスライダ15を有している。このスライダ15は合成樹脂製であり、その垂下片15bはホルダ2のスリット2fに摺動可能に挿通されている。スライダ15はスリット2fにガイドされつつ回路基板3の下面に沿って直線的に往復動可能である。また、スライダ15には摺動子15aが取着されており、この摺動子15aは回路基板3の下面に弾接している。
【0020】
回路基板3はホルダ2上に載置されてねじ13で固定されている。この回路基板3の上面にはプッシュスイッチ12等が実装されており、プッシュスイッチ12のステム上に操作キー7の駆動棒7bが搭載されている。また、回路基板3の下面にはシーソースイッチ22やスライドスイッチ21等が実装されている。すなわち、図示省略されているが、回路基板3の下面には、摺動子受け14に取着された摺動子14aに摺接するシーソースイッチ用固定接点や、スライダ15に取着された摺動子15aに摺接するスライドスイッチ用固定接点がパターン形成されており、摺動子受け14の揺動動作やスライダ15の往復移動に伴って接点切換えが行われるようになっている。図2に示すように、プッシュスイッチ12の実装領域とスライダ15を含むスライドスイッチの実装領域は、回路基板3の両面でほぼ重なり合っている。なお、図2や図4に示すケ−ブル20は、回路基板3と外部回路とを電気的に接続するためのものである。
【0021】
回転体4は、略円筒状に成形された合成樹脂製の筒状駆動部6の一端部に、合成樹脂製の操作リング部5をスナップ嵌合させて一体化したものである。この回転体4は、ホルダ2および回路基板3に外挿されて回動可能な状態でハウジング1に組み込まれており、ホルダ2の円筒面2b等によって回転体4の回転動作がガイドされる。筒状駆動部6の一端部に外嵌されている操作リング部5は、ハウジング1の主ケース9とリング体11との間に露出して回転操作されるようになっており、この操作リング部5は主ケース9の外周面に露出する操作キー7と近接している。また、筒状駆動部6の他端部の内壁面には周方向に沿ってクリック溝6aが連設されており、このクリック溝6aにホルダ2の凹所2g内に保持された金属球17が係脱可能に弾接している。筒状駆動部6はハウジング1(主ケース9)の内部に挿入されており、この筒状駆動部6の周壁には螺旋状孔6bと切欠部6cとが互いに略対向する位置に形成されている。螺旋状孔6bにはスライダ15の垂下片15bの先端部が挿入されて係合しており、回転体4(筒状駆動部6)の回転に伴って螺旋状孔6bの内壁面が垂下片15bを駆動するため、スライダ15がスリット2fにガイドされつつ直線的に移動するようになっている。切欠部6cは螺旋状孔6bと略対向する窓孔として形成されており、この切欠部6cに操作キー7の駆動棒7bが遊挿されている。また、この切欠部6cは、回転体4の回転操作範囲内で操作キー7との干渉が回避可能に形成されている。つまり、切欠部6cは、周方向で対向する内壁面が回転操作する回転体4のストッパとなるように形成されたり、あるいは回転体4の回転操作範囲内で切欠部6cの内壁面が操作キー7と当接しないように、この切欠部6cは周方向に十分な長さを有して形成されている。
【0022】
このように構成された車載用ノブスイッチにおいて、ユーザが操作リング部5を回転操作すると、筒状駆動部6が操作リング部5と一体的に回転するため、その回転力が螺旋状孔6bと垂下片15bとの係合部分でスライドスイッチ21のスライダ15の直線運動に変換される。その結果、スライダ15に取着されている摺動子15aと回路基板3の下面に形成されているスライドスイッチ用固定接点との接触位置が変化し、操作リング部5の回転操作に応じた電気信号が回路基板3からケ−ブル20を介して外部回路へ出力される。また、筒状駆動部6の回転に伴って金属球17がクリック溝6aと係脱するため、ユーザの手指にクリック感が伝達される。なお、前述したように操作リング部5を回転操作しても筒状駆動部6が操作キー7に当接することはない。
【0023】
また、ユーザが操作キー7の操作面7aを押圧操作すると、この操作キー7の駆動棒7bによってプッシュスイッチ12のステムが押下されるため、プッシュスイッチ12のオン/オフ信号が回路基板3からケ−ブル20を介して外部回路へ出力される。
【0024】
また、ユーザが操作ノブ8を揺動操作してシーソースイッチ22の摺動子受け14を揺動駆動すると、この摺動子受け14に取着されている摺動子14aと、回路基板3の下面に形成されているシーソースイッチ用固定接点との接触位置が変化するため、所定の電気信号が回路基板3からケ−ブル20を介して外部回路へ出力される。
【0025】
以上説明したように、本実施形態例に係る車載用ノブスイッチでは、筒状駆動部6の周壁でスライダ15用の螺旋状孔6bと略対向する部分に操作キー7が遊挿される切欠部6cを設けて、回転体4の回転操作範囲内で切欠部6cの内壁面が操作キー7と干渉しないように切欠部6cを形成してあるため、操作リング部5の近傍に操作キー7を無理なく配置させることができ、それゆえユーザが操作リング部5と操作キー7を連続的に操作する際に、指の移動距離を小さくすることができて操作性が良好となる。さらに、筒状駆動部6の内部空間において、操作キー7に駆動されるプッシュスイッチ12を回路基板3の片面に実装し、かつ回路基板3の他面にスライダ15を含むスライドスイッチ21を実装することができ、それぞれの実装領域を回路基板3の長手方向へずらす必要がないため、回路基板3が小型化されても各種電気部品の実装スペースを確保しやすく、それゆえハウジング1のコンパクト化が図りやすくなっている。
【0026】
なお、操作キー7が遊挿される切欠部6cを筒状駆動部6の周壁に切れ込みとして形成することも可能であるが、本実施形態例のように切欠部6cが筒状駆動部6の周壁に窓孔として形成されていると、筒状駆動部6の機械的強度が高まるため好ましい。
【0027】
また、上記実施形態例では、ハウジング1に回転操作用の操作リング部5と押圧操作用の操作キー7と揺動操作用の操作ノブ8とを配設した車載用ノブスイッチについて説明したが、本発明はハウジング1に少なくとも操作リング部5と操作キー7とが配設されている車載用ノブスイッチに適用可能であり、操作ノブ8は必要に応じて省略したり、あるいは操作ノブ8に代えて押圧操作用のキートップを配設してもよい。さらに、操作リング部5と筒状駆動部6は一体成形品であってもよく、この筒状駆動部6に駆動されるスライダ15がスライドボリュームの構成部品であってもよい。
【0028】
また、上記実施形態例では、スライド操作型電気部品であるスライドスイッチ21として、プッシュスイッチ12が実装された回路基板3の下面にスライドスイッチ用固定接点をパターン形成し、このスライドスイッチ用固定接点に摺接する摺動子15aがスライダ15に取着されているものについて説明したが、予め単品としてユニット化されたスライドスイッチを回路基板3の下面に実装するようにしてもよい。さらに、スライドスイッチの代わりにスライドボリューム等の他のスライド操作型電気部品を用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態例に係る車載用ノブスイッチの分解斜視図である。
【図2】該車載用ノブスイッチの断面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】該車載用ノブスイッチの平面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 ハウジング
2 ホルダ
2f スリット
3 回路基板
4 回転体
5 操作リング部
6 筒状駆動部
6b 螺旋状孔
6c 切欠部
7 操作キー
7b 駆動棒
8 操作ノブ
9 主ケース
9a 開口
9c 凹所
10 キャップ体
11 リング体
12 プッシュスイッチ
14 摺動子受け
15 スライダ
15a 摺動子
15b 垂下片
21 スライドスイッチ(スライド操作型電気部品)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面の一部に開口を有する筒状のハウジングと、このハウジングの内部に収納保持されたホルダと、このホルダに固定された回路基板と、この回路基板の片面に実装されたプッシュスイッチと、前記回路基板の他面に実装されたスライド操作型電気部品と、前記プッシュスイッチを押圧駆動可能な操作キーと、前記スライド操作型電気部品をスライダ操作可能な筒状駆動部を有する回転体とを備え、前記操作キーが前記開口において前記ハウジングの外部に露出していると共に、前記回転体が前記ハウジングの外周面に露出する回転可能な操作リング部を有している車載用ノブスイッチであって、
前記筒状駆動部の周壁の一部に前記スライド操作型電気部品のスライダと係合する螺旋状孔を設けると共に、この螺旋状孔と略対向する前記周壁の他部に前記操作キーが遊挿される切欠部を設け、前記回転体の回転操作範囲内で前記筒状駆動部と前記操作キーとの干渉が回避されるように前記切欠部を形成したことを特徴とする車載用ノブスイッチ。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記切欠部が前記筒状駆動部の周壁に窓孔として形成されていることを特徴とする車載用ノブスイッチ。
【請求項3】
請求項1または2の記載において、前記スライダが摺動子を有すると共に、前記回路基板に前記摺動子と摺接する導体パターンが設けられていることを特徴とする車載用ノブスイッチ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2008−192559(P2008−192559A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−28281(P2007−28281)
【出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】