説明

車載用音声ガイダンス装置

【課題】適切な音声ガイダンスをすることができる車載用音声ガイダンス装置を提供すること。
【解決手段】車載用音声ガイダンス装置は、車両10に搭載される発信機11、チューナ12、センサ13、スマートECU16、D席側スピーカー18、P席側スピーカー19と、車両10の発信機11及びチューナ12との間で相互通信を行う携帯機30となどを備え、スマートECU16は、スマートエントリーシステムに対してユーザーが的確な操作を行ったことをメモリー16bに記憶しておき、ユーザーがスマートエントリーシステムを使用すると判定した場合、ユーザーが的確な操作を行ったことがメモリー16bに記憶されていない場合はD席側スピーカー18又はP席側スピーカー19にて音声ガイダンスを出力し、ユーザーが的確な操作を行ったことが記憶されている場合は音声ガイダンスを停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載システムの操作方法に関する音声ガイダンスを行う車載用音声ガイダンス装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両には様々な車載システムが搭載されている。例えば、この車載システムの一例としては、特許文献1に示すようなスマートエントリーシステムがある。
【特許文献1】特開2000−104429号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、車載システムは複雑化してきている。この車載システムを利用しようとした場合、ユーザーは、ディーラから説明を聞くか、又はマニュアルを読むなどをして操作方法を覚える必要がある。また、操作方法を間違えた場合は、ブザーや表示によりユーザーへ警告を行うが、その後の対処は、ユーザーがマニュアルを読んで行うこととなる。
【0004】
ところが、車載システムが複雑化するにつれて、マニュアルも多岐にわたり、なかなか目的の操作方法を探し出せない可能性がある。
【0005】
そこで、ユーザーへの操作方法を教えるための手段として、音声によって操作方法をガイドする所謂音声ガイダンス装置を用いることが考えられる。
【0006】
しかしながら、この音声ガイダンスは、常に一定の態様で出力すると、操作方法を覚えたユーザーにとっては逆に迷惑となる。また、車両の周囲環境(時間、場所、騒音)によっては、周囲に迷惑をかける可能性がある。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、適切な音声ガイダンスをすることができる車載用音声ガイダンス装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために請求項1に記載の車載用音声ガイダンス装置は、車載システムの操作方法に関する音声ガイダンスを行う車載用音声ガイダンス装置であって、車載システムを使用するか否かを判定する使用判定手段と、音声ガイダンスを出力する音声出力手段と、車載システムに対してユーザーが的確な操作を行ったか否かを判定する操作結果判定手段と、操作結果判定手段の判定結果を記憶する判定結果記憶手段と、使用判定手段にて車載システムを使用すると判定されると、判定結果記憶手段にユーザーが的確な操作を行ったことが記憶されていない場合は音声出力手段にて音声ガイダンスを出力し、判定結果記憶手段にユーザーが的確な操作を行ったことが記憶されている場合は音声出力手段にて出力する前記音声ガイダンスを停止する変更手段とを備えることを特徴とするものである。
【0009】
このようにすることによって、車載システムを的確に操作できるユーザーに対しては、音声ガイダンスを停止し、そうでないユーザーのみ音声ガイダンスを行うことができ、適切な音声ガイダンスを行うことができる。
【0010】
また、請求項2に示すように、判定結果記憶手段は、ユーザーが的確な操作を行ったことを記憶している場合において、操作結果判定手段にてユーザーが的確な操作を行っていないと判定された場合は、ユーザーが的確な操作を行ったことを消去するようにしてもよい。
【0011】
一度車載システムを的確に操作したとしても、次回以降に操作ミスをすることもありうる。このような場合、請求項2に示すようにすることによって、操作ミスをした後に車載システムを操作しようとしたときには音声ガイダンスを行うことができるので好ましい。
【0012】
また、請求項3に示すように、車載システムに対応する車両の周囲環境を判定する環境判定手段を備えるものであって、変更手段は、環境判定手段の判定結果に基づいて音声出力手段にて出力される音声ガイダンスの音量を変更するようにしてもよい。
【0013】
このように、車載システムが搭載された車両の周囲環境(環境判定手段の判定結果)に基づいて、音声出力手段にて出力される音声ガイダンスの音量を変更することによって、車両の周囲環境に適切な音量で音声ガイダンスを行うことができる。
【0014】
また、請求項4に示すように、車載システムは、車両側ユニットから送信されるリクエスト信号に応答して、複数の携帯機がそれぞれ異なるIDコードを含むレスポンス信号を返送する相互通信を行うことにより、車両側ユニットが、複数の携帯機のいずれかからレスポンス信号を受信し、そのレスポンス信号に含まれるIDコードを予め登録してある登録コードと照合し、その照合結果に応じて車載機器を制御するものであって、判定結果記憶手段は、操作結果判定手段の判定結果と複数の携帯機における各携帯機とを関連づけて記憶し、変更手段は、使用判定手段にて車載システムを使用すると判定されると、判定結果記憶手段にユーザーが的確な操作を行ったことが受信したレスポンス信号に対応する携帯機と関連づけられて記憶されていない場合は音声出力手段にて音声ガイダンスを出力し、判定結果記憶手段にユーザーが的確な操作を行ったことが受信したレスポンス信号に対応する携帯機と関連づけられて記憶されている場合は音声出力手段にて音声ガイダンスを出力するようにしてもよい。
【0015】
請求項4に示すような車載システムの場合、携帯機ごとにユーザーが異なる場合がある。このような場合、ユーザーによって車載システムの使用頻度が異なり、車載システムの操作方法を覚えているか否かもユーザーによって異なる場合がある。
【0016】
そこで、請求項4に示すようにすることによって、携帯機ごとに音声ガイダンスを停止するか否かを変更することができるため、ユーザーごとに適切な音声ガイダンスを行うことができる。
【0017】
上記目的を達成するために請求項5に記載の車載用音声ガイダンス装置は、車両側ユニットから送信されるリクエスト信号に応答して、複数の携帯機がそれぞれ異なるIDコードを含むレスポンス信号を返送する相互通信を行うことにより、車両側ユニットが、複数の携帯機のいずれかからレスポンス信号を受信し、そのレスポンス信号に含まれるIDコードを予め登録してある登録コードと照合し、その照合結果に応じて車載機器を制御する車載システムの操作方法に関する音声ガイダンスを行う車載用音声ガイダンス装置であって、車載システムを使用するか否かを判定する使用判定手段と、音声ガイダンスを出力する音声出力手段と、使用判定手段にて車載システムを使用すると判定されると、複数の携帯機における携帯機ごとに音声出力手段にて出力する音声ガイダンスの態様を変更する変更手段とを備えることを特徴とするものである。
【0018】
請求項5に示すような車載システムの場合、携帯機ごとにユーザーが異なる場合がある。このような場合、ユーザーによって車載システムの使用頻度が異なり、車載システムの操作方法を覚えているか否かもユーザーによって異なる場合がある。
【0019】
そこで、請求項5に示すようにすることによって、携帯機ごとに音声ガイダンスの態様を変更することができるため、ユーザーごとに適切な音声ガイダンスを行うことができる。
【0020】
また、携帯機ごとに音声ガイダンスの態様を変更する場合、請求項6に示すように、複数の携帯機における各携帯機と音声出力手段にて出力する音声ガイダンスの態様を示す情報とを関連づけて記憶しておき、受信したレスポンス信号に対応する携帯機と記憶内容とによって音声ガイダンスの態様を変更すると好ましい。
【0021】
また、請求項7に示すように、携帯機の位置を検出する位置検出手段を備え、変更手段は、携帯機の位置に対応する位置から音声出力手段にて音声ガイダンスを出力するようにしてもよい。
【0022】
このようにすることによって、ユーザーに近い位置から音声ガイダンスを出力することができるため好適である。
【0023】
また、請求項8に示すように、車載システムに対応する車両の周囲環境を判定する環境判定手段を備えるものであって、変更手段は、環境判定手段の判定結果に基づいて音声出力手段にて出力される音声ガイダンスの音量を変更するようにしてもよい。
【0024】
このように、車載システムが搭載された車両の周囲環境(環境判定手段の判定結果)に基づいて、音声出力手段にて出力される音声ガイダンスの音量を変更することによって、車両の周囲環境に適切な音量で音声ガイダンスを行うことができる。
【0025】
上記目的を達成するために請求項9に記載の車載用音声ガイダンス装置は、車載システムの操作方法に関する音声ガイダンスを行う車載用音声ガイダンス装置であって、車載システムを使用するか否かを判定する使用判定手段と、音声ガイダンスの音声を出力する音声出力手段と、車載システムが搭載された車両の周囲環境を判定する環境判定手段と、使用判定手段にて車載システムを使用すると判定されると、環境判定手段の判定結果に基づいて、音声出力手段にて出力される音声ガイダンスの音量を変更する変更手段とを備えることを特徴とするものである。
【0026】
このように、車載システムが搭載された車両の周囲環境(環境判定手段の判定結果)に基づいて、音声出力手段にて出力される音声ガイダンスの音量を変更することによって、車両の周囲環境に適切な音量で音声ガイダンスを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0028】
(第1の実施の形態)
まず、第1の実施の形態について説明する。
【0029】
図1は、本発明の第1の実施の形態における車載用音声ガイダンス装置を示すブロック図である。図2は、本発明の第1の実施の形態における車載用音声ガイダンス装置の音声ガイダンスを行うか否かの判定処理を示すフロー図である。図3は、本発明の第1の実施の形態におけるスマートエントリーシステムのドアロック処理時における車載用音声ガイダンス装置の動作処理を示すフロー図である。
【0030】
なお、本実施の形態においては、車載用音声ガイダンス装置をスマートエントリーシステム(車載システム)に適用した例を用いて説明する。つまり、本実施の形態においては、スマートエントリーシステム(車載システム)に関する音声ガイダンスを行う車載用音声ガイダンス装置を例として説明する。
【0031】
図1に示すように、本実施の形態における車載用音声ガイダンス装置は、車両10に搭載される発信機11、チューナ12、センサ13、位置検出器14、地図記憶装置15、スマートECU16、音声ECU17、D席側スピーカー18、P席側スピーカー19、マイク20と、ユーザーが携帯可能なものであり車両10の発信機11及びチューナ12との間で相互通信を行う携帯機30とを備える。
【0032】
本実施の形態におけるスマートエントリーシステムは、車両10に搭載されたスマートECU16(発信機11及びチューナ12)と携帯機(電子キー)30(受信部31及び送信部32)との相互通信(双方向通信)によるIDコードの照合結果を基に、スマートECU16(CPU16a)が車両10の各ドア(図示省略)のロック・アンロック状態を制御する。
【0033】
発信機11は、車両10の各ドア(図示省略)に設けられた車室外送信機である。この発信機11は、スマートECU16からの送信指示信号に基づいてリクエスト信号を発信する。この送信機11のリクエスト信号の到達距離は、例えば0.7〜1.0m程度に設定される。従って、車両10の駐車時には、そのリクエスト信号の到達距離に応じた検知エリアが車両10の各ドアの周囲に形成され、携帯機30の保持者(ユーザー)が車両10に接近したことを検知できるようにしている。
【0034】
なお、スマートECU16には、車室内に設けられた車室内発信機(図示省略)も接続されるものである。この車室内発信機による検知エリアは、車室内をカバーするように設定され、携帯機30が車室内にあるか否かを検知する。
【0035】
チューナ12は、発信機11に対する送信指示信号の出力と同期してレスポンス信号受信可能状態にされて、携帯機30から送信されるレスポンス信号を受信する。チューナ12が受信したレスポンス信号は、スマートECU16に出力される。スマートECU16は、この受信したレスポンス信号に含まれるIDコードに基づいて、ドアのロック・アンロック状態の制御を実行すべきか否かの判定を行う。
【0036】
センサ13は、車両10の各ドアのドアアウトサイドハンドル(以下、ドアハンドル)に設けられるタッチセンサであり、携帯機30の保持者(ユーザー)が、ドアハンドルに触れたことを検出し、その検出信号をスマートECU16に出力する。なお、各ドアには、図示は省略するがドアECUやロック機構などが設けられている。そして、携帯機30から送信されたIDコードの照合が所定の対応関係を満たしている状態において、このセンサ13を触ると、スマートECU16からの指示信号に応じて各ドアのドアECUやロック機構が動作することによって、各ドアをロックすることができる。
【0037】
位置検出器14は、車両10の位置を検出するものであり、車両の進行方向の方位を検出する地磁気センサ、自車両の鉛直方向周りの角速度を検出するジャイロセンサ、自車両の移動距離を検出する距離センサ、及びGPS衛星からの電波に基づいて、自車両の現在位置を検出するGPS(Global Positioning System)のためのGPS受信機などを有している。そして、位置検出器14は、検出した自車両の位置を示す信号をスマートECU16へ出力する。なお、これらは、各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。また、各センサの精度によっては位置検出器を上述した内の一部で構成してもよい。
【0038】
地図記憶装置15は、地図表示や経路案内等に用いる道路データ、目印データ、背景データ等の道路系データと目的地検索や周辺施設検索等に用いる施設名や電話番号などの検索データ系などの地図データからなる地図データベースを記憶する記憶装置である。この地図記憶装置15の記憶媒体としては、データの容量や取扱上の点から、書き換え可能なHDDなどからなる。
【0039】
なお、車両10にナビゲーション装置を搭載している場合は、そのナビゲーション装置の位置検出器及び地図記憶装置を兼用してもよい。
【0040】
スマートECU16は、CPU16a、メモリー16bなどを備えたコンピュータであり、CPU16aは、メモリー16b等に予め記憶されたプログラムに従って種々の処理を実行する。例えば、CPU16aは、上述のようにドアのロック・アンロック状態を制御するほかに、車両の駐車時であってドアロック時には、0.3秒程度の短い時間に設定された所定周期毎に、発信機11に送信要求信号であるリクエスト信号を順番に出力する。また、スマートECU16は、後ほど説明する音声ECU17に音声ガイダンスの態様を示す指示信号を出力する。
【0041】
また、スマートECU16のCPU16aは、スマートエントリーシステムに対してユーザーが的確な操作を行ったか否かを判定する(操作結果判定手段)と共に、その判定結果を学習履歴としてメモリー16bに記憶する(判定結果記憶手段)。つまり、スマートECU16のCPU16aは、スマートエントリーシステムに対してユーザーが的確な操作を行ったと判定した場合は、ユーザーが的確に操作を行ったことを示す情報(学習履歴)をメモリー16bに記憶する。そして、スマートECU16のCPU16aは、メモリー16bにユーザーが的確に操作を行ったことを示す情報(学習履歴)が記憶されている状態において、スマートエントリーシステムに対してユーザーが的確な操作を行っていないと判定した場合はその情報をメモリー16bから消去する。また、スマートECU16は、例えば、このメモリー16bに記憶されているユーザーが的確な操作を行ったか否かを示す判定結果(過去にスマートエントリーシステムに対してユーザーが的確な操作を行ったか否か)に基づいて音声ガイダンスの態様を変更する(変更手段)。換言すると、スマートECU16は、ユーザーがスマートエントリーシステムの操作を覚えているか否かに基づいて音声ガイダンスの態様を変更する。
【0042】
さらに、後ほど説明するように本実施の形態におけるスマートECU16には、複数の携帯機(メインキーとサブキー)が登録されている。そして、メモリー16bに学習履歴を記憶させる場合、携帯機ごとに学習履歴を記憶するようにする。
【0043】
また、メモリー16bには、携帯機ごとに音声ガイダンスの態様を示す情報を関連づけて記憶する(車載側態様記憶手段)。つまり、携帯機ごとに音声ガイダンスをカスタマイズすることが可能となるものである。これは、操作デバイス(図示省略)及びディスプレイ(図示省略)などを用いて行うことができる。音声ガイダンスの態様としては、例えば、音声ガイダンスの停止や音声ガイダンスの実行などである。なお、本実施の形態においては、メインキー(キー1)には音声ガイダンスを停止することを示す情報を関連付けておき、サブキー(キー2)には音声ガイダンスを実行することを示す情報を関連付けておく例を採用する。
【0044】
また、スマートECU16は、図示しないエンジンスタートスイッチが操作された場合には、車室内発信機にリクエスト信号を出力する。なお、スマートECU16は、現在の時刻を確認するための時計(図示省略)なども備えるものである。
【0045】
音声ECU17は、CPU17a、メモリー17bなどを備えたコンピュータであり、CPU17aは、メモリー17b等に予め記憶されたプログラムに従って種々の処理を実行する。例えば、CPU17aは、スマートECU16からの指示信号に基づいて、D席側スピーカー18及び/又はP席側スピーカー19から音声を出力することによって音声ガイダンスを行うものである。また、メモリー17bには、音声ガイダンスを行うための音声データが記憶されている。
【0046】
D席側スピーカー18及びP席側スピーカー19は、音声ガイダンスを行うために用いられるものであり、D席側(ドライバー席側)及びP席側(助手席側)のそれぞれの車両外部に向けて音を出力できるようになっている。マイク20は、車両周辺の音の大きさを検出するために、車両の所定部位に設置される。
【0047】
携帯機(電子キー)30は、車両10に搭載された送信機11からのリクエスト信号を受信する受信部31、このリクエスト信号の受信に応答して、IDコード等を含むレスポンス信号を送信する送信部32を備えている。なお、携帯機30には、図示を省略する制御装置が設けられている。この制御装置は、上述した受信部31、送信部32と接続され、各種の制御処理を実行する。具体的には、制御装置は、受信部31の受信信号に基づいてリクエスト信号の受信の有無を判定したり、IDコード等を含むレスポンス信号を生成して、送信部32から送信させたりする。
【0048】
なお、スマートECU16には、複数の携帯機30を登録することが可能である。つまり、携帯機30をメインキーとすると、携帯機30と同等の構成を有する単数もしくは複数のサブキーを設けることができる。そして、複数の携帯機(メインキー、サブキー)は、リクエスト信号に応答してそれぞれ異なるIDコードを含むレスポンス信号を返送することによって、スマートECU16との相互通信を行う。本実施の形態においては、メインキーである携帯機30(キー1)とサブキーである携帯機(キー2、図示省略)がスマートECU16に登録されている例を用いて説明する。
【0049】
ここで、本実施の形態における車載用音声ガイダンス装置の処理動作に関して説明する。
【0050】
まず、図2に基づいて、車載用音声ガイダンス装置の音声ガイダンスを行うか否かの判定処理に関して説明する。
【0051】
図2に示すステップS10では、スマートECU16のCPU16aは、学習履歴がメモリー16bに記憶されているか否かを確認する。つまり、CPU16aは、スマートエントリーシステムに対してユーザーが的確に操作を行ったことを示す情報(本実施形態においては、ドアロック操作を的確に行ったことを示す情報)が記憶されているか否かを確認する。この学習履歴、つまり、スマートエントリーシステムに対してユーザーが的確に操作を行ったことを示す情報は、過去にユーザーがスマートエントリーシステムに対して的確に操作を行っていた場合にはメモリー16bに記憶されているものである。
【0052】
図2に示すステップS11では、スマートECU16のCPU16aは、学習履歴がメモリー16bに記憶されているか否かを判定し、記憶されていると判定した場合はステップS12へ進み、記憶されていないと判定した場合はステップS14へ進む。なお、このステップS10及びステップS11にて学習履歴がメモリー16bに記憶されているか否かを判定するのは、音声ガイダンスの態様を変更するか否かを判定するためである。
【0053】
ステップS12では、スマートECU16のCPU16aは、ユーザーの操作があるか否かを判定して、ユーザーの操作があると判定した場合はステップS13へ進み、ユーザーの操作がないと判定した場合はステップS14へ進む。つまり、スマートECU16のCPU16aは、メモリー16bに学習履歴が記憶されている場合、ディスプレイ(図示省略)などによって音声ガイダンスを停止するか否かの確認を示す情報を出力する。そして、スマートECU16のCPU16aは、ユーザーによって操作される操作デバイス(図示省略)などから音声ガイダンスを停止することを示す操作信号が出力された場合は音声ガイダンスを停止状態とするためにステップS13へ進み、出力されない場合は音声ガイダンスを実行可能(音声ガイダンスの停止なし)とするためにステップS14へ進む。このように、ユーザーが音声ガイダンスの停止を決定することによって、ユーザーは、音声ガイダンスが停止されることを認識することができる。
【0054】
ただし、この音声ガイダンスを停止するか否かをユーザーに確認するステップ(ステップS12)は、省略することも可能である。この場合、メモリー16bに学習履歴が記憶されていると自動的に音声ガイダンスを停止する(ステップS11でYES判定の場合はステップS13へ進む)。つまり、自動で音声ガイダンスを停止するようにしてもよいし、ユーザーの指示によって音声ガイダンスを停止するようにしてもよい。
【0055】
図2に示すステップS13では、スマートECU16のCPU16aは、音声ガイダンスを停止状態とする。的確な操作方法を覚えているユーザーに対して、その操作方法を示す音声ガイダンスを行うことは適切な音声ガイダンスとは言い難い。また、ユーザーは、的確な操作方法を覚えているにも係らず、その操作方法を示す音声ガイダンスが行われると煩わしく感じる可能性もありうる。そこで、このように学習履歴がメモリー16bに記憶されている場合は、ユーザーは、スマートエントリーシステムの的確な操作方法を覚えているとみなして、音声ガイダンスを停止状態とする。
【0056】
図2に示すステップS14では、スマートECU16のCPU16aは、音声ガイダンスを実行可能状態とする。このように学習履歴がメモリー16bに記憶されていない場合は、ユーザーは、スマートエントリーシステムの的確な操作方法を覚えていないとみなして、音声ガイダンスを実行可能状態とする。
【0057】
次に、図3に基づいて、スマートエントリーシステムのドアロック処理時における車載用音声ガイダンス装置の動作処理に関して説明する。
【0058】
図3に示すステップS20では、スマートECU16のCPU16aは、カーテシスイッチ(図示省略)などによってドアの開閉を確認する。
【0059】
そして、図3に示すステップS21では、スマートECU16のCPU16aは、ドア開(ドアの開扉状態)からドア閉(ドアの閉扉状態)になったか否かを判定し、ドア開からドア閉となったと判定した場合はステップS22へ進み、ドア開からドア閉となってないと判定した場合はステップS20へ戻る。
【0060】
図3に示すステップS22では、スマートECU16のCPU16aは、車室外照合を行う。つまり、スマートECU16のCPU16aは、発信機11にてリクエスト信号を発信すると共に、チューナ12にて携帯機30からのレスポンス信号を受信し、その受信したレスポンス信号に含まれるIDコードに基づいて照合を行う。
【0061】
図3に示すステップS23では、スマートECU16のCPU16aは、ステップS22での照合結果において照合OK(受信したレスポンス信号に含まれるIDコードが所定の対向関係を満たす)と判定した場合はステップS24へ進み、照合OKでないと判定した場合はステップS20へ戻る。このように、ドア開からドア閉であり、車室外照合がOKである場合、スマートECU16のCPU16aは、スマートエントリーシステム(ドアロック機能)を使用するとみなすものである。つまり、スマートECU16のCPU16aは、ドア開からドア閉であるか否か、車室外照合がOKであるか否かによって、スマートエントリーシステムを使用するか否かを判定するものである(使用判定手段)。
【0062】
図3に示すステップS24では、スマートECU16のCPU16aは、時計もしくはGPSからの時刻情報に基づいて、現在が昼間であるか否かを判定し、昼間であると判定した場合はステップS25へ進み、昼間でないと判定した場合はステップS29へ進む。
【0063】
図3に示すステップS25では、スマートECU16のCPU16aは、位置検出器14及び地図記憶装置15からの情報に基づいて車両10の現在位置が屋外であるか否かを判定し、屋外であると判定した場合はステップS26へ進み、屋外でない(屋内である)と判定した場合はステップS28へ進む。
【0064】
図3に示すステップS26では、音声ECU17のCPU17aは、マイク20を用いて車両10の周囲の騒音が有るか否かを判定し、マイク20から検出される検出信号が基準値よりも大きい場合は騒音があると判定してステップS27へ進み、マイク20から検出される検出信号が基準値よりも大きくない場合は騒音がないと判定してステップS28へ進む。
【0065】
このステップS24乃至26の判定は、車両10の周囲環境を判定(環境判定手段)することによって、車両10の周囲環境が音声ガイドの音量を通常の音量、大音量、小音量のいずれで出力する環境であるかを判定するためである。
【0066】
図3に示すステップS27では、音声ECU17のCPU17aは、音声ガイダンスの出力音声を音量大に設定する(変更手段)。つまり、ステップS27においては、昼間の屋外で騒音がある場合であり、車両10は、大音量で音声ガイダンスを出力しないとユーザーに認識させにくく、大音量で音声ガイダンスを出力しても周囲に迷惑がかかる可能性が少ない環境にある。したがって、音声ガイダンスの出力音声を大きくするものである。
【0067】
図3に示すステップS28では、音声ECU17のCPU17aは、音声ガイダンスの出力音声を音量中に設定する(変更手段)。つまり、ステップS28においては、昼間の屋内もしくは昼間の屋外で騒音がない場合であり、車両10は、通常の音量で音声ガイダンスを出力しないとユーザーに認識させにくく、また、通常の音量で音声ガイダンスを出力しても周囲に迷惑がかかる可能性が少ない環境にある。したがって、音声ガイダンスの出力音声を通常にするものである。なお、スマートECU16のCPU16aは、ステップS25において、車両10が屋外にないと判定した場合は、音声ECU17のCPU17aに対して、音声ガイダンスの出力音声を音量中に設定するように指示するものである。
【0068】
図3に示すステップS29では、音声ECU17のCPU17aは、音声ガイダンスの出力音声を音量小に設定する(変更手段)。つまり、ステップS29においては、夜間であり、車両10は、あまり大音量で音声ガイダンスを出力すべきでない環境にある。したがって、音声ガイダンスの出力音声を小さくするものである。なお、スマートECU16のCPU16aは、ステップS24において、昼間でないと判定した場合は、音声ECU17のCPU17aに対して、音声ガイダンスの出力音声を音量小に設定するように指示するものである。
【0069】
このように、車両の周囲環境に基づいて、出力される音声ガイダンスの音量を変更することによって、車両の周囲環境に適切な音量で音声ガイダンスを行うことができる。
【0070】
図3に示すステップS30では、スマートECU16のCPU16aは、ステップS22にて行った照合においてレスポンス信号を送信した携帯機がメインキー(キー1)であるかサブキー(キー2)であるかを判定する。本実施の形態においては、携帯機ごとに音声ガイダンスの態様を変更することができる。したがって、ステップS30での判定は、今回使用された携帯機に対応する音声ガイダンスの態様を決めるためである。
【0071】
本実施の形態においては、メインキー(キー1)は、音声ガイダンスを行わないように設定しているため、ステップS30の判定において、携帯機がキー1である場合は音声ガイダンスを行わずにステップS37へ進む。一方、本実施の形態においては、サブキー(キー2)は、音声ガイダンスを行うように設定しているため、ステップS30の判定において、携帯機がキー2である場合はステップS31へ進む。
【0072】
このように、ユーザーなどが携帯機ごとに音声ガイダンスをカスタマイズすることによって、携帯機ごとに音声ガイダンスの態様を変更することができるため、ユーザーごとに適切な音声ガイダンスを行うことができる。
【0073】
図3に示すステップS31では、スマートECU16のCPU16aは、図2に示すフロー図に示す処理に基づいてキー2が音声ガイダンス停止中であるか否かを確認する。つまり、メモリー16bにキー2に関連づけられた学習履歴がある場合は、キー2は音声ガイダンス停止中であることになる。
【0074】
図3に示すステップS32では、スマートECU16のCPU16aは、キー2が停止中であると判定した場合は音声ガイダンスを行わずにステップS37へ進み、キー2が停止中でないと判定した場合は音声ガイダンスを行うためにステップS34以降のステップへ進む。
【0075】
このように、携帯機ごとに音声ガイダンスの態様を学習(学習履歴)によって変更することができるため、ユーザーごとに適切な音声ガイダンスを行うことができる。
【0076】
つまり、本実施の形態においては、
車両の周囲環境によって音声ガイダンスの音量を変更することができ、携帯機(キー1、キー2)ごとに音声ガイダンスをカスタマイズすることによって音声ガイダンスの態様を変更することができ、さらに、携帯機(キー1、キー2)ごとに学習によっても音声ガイダンスの態様を変更することができる。
【0077】
図3に示すステップS33では、スマートECU16のCPU16aは、キー2(携帯機)の位置(D席側もしくはP席側)を検出する。
【0078】
そして、図3に示すステップS34では、スマートECU16のCPU16aは、ステップS33の検出結果に基づいてキー2の位置がP席側にあるかD席側にあるかを判定し、キー2がD席側にあると判定した場合はステップS35へ進み、キー2がP席側にあると判定した場合はステップS36へ進む。
【0079】
図3に示すステップS35では、スマートECU16のCPU16aは、音声ECU17に指示信号を出力することによって、D席側スピーカー18にてステップS27乃至ステップS29で設定した音量で音声ガイダンスを出力する(音声出力手段)。なお、このときの音声ガイダンスの内容としては、「ハンドルに触るとロックします」などである。
【0080】
図3に示すステップS36では、スマートECU16のCPU16aは、音声ECU17に指示信号を出力することによって、P席側スピーカー19にてステップS27乃至ステップS29で設定した音量で音声ガイダンスを出力する(音声出力手段)。なお、このときの音声ガイダンスの内容としては、「ハンドルに触るとロックします」などである。
【0081】
このように、キー2(携帯機30)の位置を検出し、その検出結果に対応する位置から音声ガイダンスを出力することによって、ユーザーに近い位置から音声ガイダンスを出力することができるため好適である。
【0082】
図3に示すステップS37では、スマートECU16のCPU16aは、ユーザーがスマートエントリーシステムに対して的確に操作を行ったか否かを判定するために、ユーザーの操作がセンサ13にて検知されたか否かを判定する。そして、センサ13にて検知されたと判定した場合はステップS38へ進み、センサ13にて検知されてないと判定した場合はステップS40へ進む(操作結果判定手段)。
【0083】
つまり、本実施の形態におけるスマートエントリーシステムは、携帯機30の照合がOKである場合に、ドアに設けられたセンサ13を触ることによって、ドアがロックされるものである。したがって、ステップS37に示すように、ユーザーの操作がセンサ13にて検知されたか否かによって、ユーザーがスマートエントリーシステムに対して的確に操作を行ったか否かを判定することができる。
【0084】
図3に示すステップS38では、スマートECU16のCPU16aは、ユーザーがスマートエントリーシステムに対して的確に操作を行ったとみなして学習履歴をキー2と関連付けてメモリー16bに記憶する(判定結果記憶手段)。
【0085】
図3に示すステップS39では、スマートECU16のCPU16aは、ドアのドアECUやロック機構を動作させることによって、ドアをロックする。
【0086】
図3に示すステップS40では、スマートECU16のCPU16aは、ステップS23の照合OKから所定時間が経過したか否かによってタイムアウトしたか否かを判定し、所定時間が経過してタイムアウトしたと判定した場合はステップS41へ進み、まだ所定時間が経過しておらずタイムアウトしていないと判定した場合はステップS37へ戻る。
【0087】
図3に示すステップS41では、スマートECU16のCPU16aは、照合OKから所定時間が経過してタイムアウトになった場合は、ユーザーがスマートエントリーシステムに対して的確に操作を行っていない(操作ミスした)とみなして学習履歴をメモリー16bから消去する。なお、メモリー16bに学習履歴が記憶されていない場合は、メモリー16bに学習履歴を記憶することなく処理を終了する。
【0088】
このように、ユーザーがスマートエントリーシステムに対して的確に操作を行った場合は学習履歴をメモリー16bに記憶し、そうでない場合はメモリー16bに記憶された学習履歴を消去することによって、スマートエントリーシステムを的確に操作できるユーザーに対しては、次回の音声ガイダンスを停止し、そうでないユーザーのみ音声ガイダンスを行うことができ、適切な音声ガイダンスを行うことができる。
【0089】
また、一度スマートエントリーシステムを的確に操作したとしても、次回以降に操作ミスをすることもありうる。このような場合、ステップS41に示すように、メモリー16bに記憶された学習履歴を消去することによって、操作ミスをした後にスマートエントリーシステムを操作しようとしたときには音声ガイダンスを行うことができるので好ましい。
【0090】
なお、上述の実施の形態においては、車載システムとしてスマートエントリーシステムの操作方法(特に、ドアロック操作)に関する音声ガイダンスを行う車載用音声ガイダンス装置を例として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、車載システムであれば特に限定されるものではない。
【0091】
また、上述の実施の形態においては、音声ガイダンスを変更する手段として、カスタマイズ(ユーザーなどによる設定)、学習(学習履歴の有無)、環境(時間、場所、騒音)を用いる例を採用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、それぞれ単独で実施するようにしてもよい。
【0092】
つまり、学習履歴のみに基づいて音声ガイダンスを変更するようにしてもよい。この場合、車載システムの操作方法に関する音声ガイダンスを行う車載用音声ガイダンス装置であって、車載システムを使用するか否かを判定する使用判定手段と、音声ガイダンスを出力する音声出力手段と、車載システムに対してユーザーが的確な操作を行ったか否かを判定する操作結果判定手段と、操作結果判定手段の判定結果を記憶する判定結果記憶手段と、使用判定手段にて車載システムを使用すると判定されると、判定結果記憶手段にユーザーが的確な操作を行ったことが記憶されていない場合は音声出力手段にて音声ガイダンスを出力し、判定結果記憶手段にユーザーが的確な操作を行ったことが記憶されている場合は音声出力手段にて出力する音声ガイダンスを停止する変更手段とを備える。例えば、図3に示すフローを用いて説明すると、ステップS23にて照合OKであった場合はステップS31に進み、ステップS31にて停止中か否かを確認し、停止中であれば(学習履歴がメモリー16bに記憶されている場合)音声ガイダンスを行わず、停止中でなければ(学習履歴がメモリー16bに記憶されていない場合)スピーカー(D席側スピーカー18、P席側スピーカー19)を用いて音声ガイダンスを行う。
【0093】
また、ユーザーなどによる設定のみに基づいて音声ガイダンスを変更するようにしてもよい。この場合、車両側ユニットから送信されるリクエスト信号に応答して、複数の携帯機がそれぞれ異なるIDコードを含むレスポンス信号を返送する相互通信を行うことにより、車両側ユニットが、複数の携帯機のいずれかからレスポンス信号を受信し、そのレスポンス信号に含まれるIDコードを予め登録してある登録コードと照合し、その照合結果に応じて車載機器を制御する車載システムの操作方法に関する音声ガイダンスを行う車載用音声ガイダンス装置であって、車載システムを使用するか否かを判定する使用判定手段と、音声ガイダンスを出力する音声出力手段と、使用判定手段にて車載システムを使用すると判定されると、複数の携帯機における携帯機ごとに音声出力手段にて出力する音声ガイダンスの態様を変更する変更手段とを備える。例えば、図3に示すフローを用いて説明すると、キーごとに音声ガイダンスの態様を設定しておき、ステップS23にて照合OKであった場合はステップS30に進み、ステップS30にてキーを判定して、キーに設定された音声ガイダンスの態様に基づいて音声ガイダンスを行うようにする。
【0094】
また、環境のみに基づいて音声ガイダンスを変更するようにしてもよい。この場合、車載システムの操作方法に関する音声ガイダンスを行う車載用音声ガイダンス装置であって、車載システムを使用するか否かを判定する使用判定手段と、音声ガイダンスの音声を出力する音声出力手段と、車載システムが搭載された車両の周囲環境を判定する環境判定手段と、使用判定手段にて車載システムを使用すると判定されると、環境判定手段の判定結果に基づいて、音声出力手段にて出力される音声ガイダンスの音量を変更する変更手段とを備える。例えば、車載用音声ガイダンス装置として、ECU、位置検出器、地図記憶装置、スピーカー、マイクなどを備えるものとする。そして、ECUは、車載システムを使用するか否かを判定し、上述のステップS24乃至ステップS26に示すように位置検出器、地図記憶装置、マイク、ECU内の時計などによって車両の周囲環境を判定し、音声ガイダンスの音声を出力する音声出力手段と、車載システムを使用すると判定されると、周囲環境の判定結果に基づいて、スピーカーにて出力される音声ガイダンスの音量を変更する。
【0095】
また、本実施の形態においては、スマートECU16と音声ECU17とを別体のECUで構成した例を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、スマートECU16と音声ECU17とを一体化して、スマートECU16と音声ECU17との機能を併せ持つECUを用いるようにしてもよい。
【0096】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図4は、本発明の第2の実施の形態におけるスマートエントリーシステムの電源遷移処理時における車載用音声ガイダンス装置の動作処理を示すフロー図である。なお、第2の実施の形態における車載用音声ガイダンス装置の構成に関しては、上述の第1の実施の形態における車載用音声ガイダンス装置と略同等であるため詳しい説明を省略する。第2の実施の形態における車載用音声ガイダンス装置は、図1に示すブロック図において、スマートECU16にスタートスイッチ(以下の実施の形態の説明及び図面においてはスタートSWとも称する)、ブレーキスイッチ(以下の実施の形態の説明及び図面においてはブレーキSWとも称する)などが接続されるものである。
【0097】
スタートSWは、車室内に設けられてユーザーによって操作されるものであり、ユーザーによって操作されたことを示す信号をスマートECU16に出力するものである。ブレーキSWは、車室内に設けられてユーザーによって操作されるものであり、ユーザーによってブレーキペダル(図示省略)が操作されたか否かを示す信号を出力するものである。
【0098】
ここで、図4に基づいて、スマートエントリーシステムのドアロック処理時における車載用音声ガイダンス装置の動作処理に関して説明する。
【0099】
図4に示すステップS50では、スマートECU16のCPU16aは、スタートSWがオンされたか否かを判定するためにスタートSWからの信号を確認する。そして、図4に示すステップS51では、スマートECU16のCPU16aは、ステップS50での処理に基づいてスタートSWがオンであるか否かを判定し、オンであると判定した場合はステップS52に進み、オンでないと判定した場合はステップS50に戻る。
【0100】
図4に示すステップS52では、スマートECU16のCPU16aは、スマートECU16のCPU16aは、車室内照合を行う。つまり、スマートECU16のCPU16aは、車室内発信機(図示省略)にてリクエスト信号を発信すると共に、チューナ12にて携帯機30からのレスポンス信号を受信し、その受信したレスポンス信号に含まれるIDコードに基づいて照合を行う。
【0101】
図4に示すステップS53では、スマートECU16のCPU16aは、ステップS52での照合結果において照合OK(受信したレスポンス信号に含まれるIDコードが所定の対向関係を満たす)と判定した場合はステップS54へ進み、照合OKでないと判定した場合はステップS50へ戻る。
【0102】
図4に示すステップS54では、スマートECU16のCPU16aは、ブレーキペダルが操作されたか否かを判定するためにブレーキSWからの信号を確認する。そして、図4に示すステップS55では、スマートECU16のCPU16aは、ステップS54での処理に基づいてブレーキSWがオンであるか否かを判定し、オンであると判定した場合はステップS61に進み、オンでないと判定した場合はステップS56に進む。
【0103】
このように、スタートSWオンであり、車室内照合がOKであり、ブレーキSWオンである場合、スマートECU16のCPU16aは、スマートエントリーシステム(電源遷移)を使用するとみなすものである。つまり、スマートECU16のCPU16aは、スタートSWオンであるか否か、車室内照合がOKであるか否か、ブレーキSWオンであるか否かによって、スマートエントリーシステムを使用するか否かを判定するものである(使用判定手段)。
【0104】
図4に示すステップS56では、スマートECU16のCPU16aは、ユーザーがスマートエントリーシステムに対して的確に操作を行っていない(操作ミスした)とみなして学習履歴をメモリー16bから消去する。なお、メモリー16bに学習履歴が記憶されていない場合は、メモリー16bに学習履歴を記憶することなくステップS57へ進む。
【0105】
図4に示すステップS57では、スマートECU16のCPU16aは、ステップS52にて行った照合においてレスポンス信号を送信した携帯機がメインキー(キー1)であるかサブキー(キー2)であるかを判定する。本実施の形態においては、携帯機ごとに音声ガイダンスの態様を変更(カスタマイズ)することができる。したがって、ステップS57での判定は、今回使用された携帯機に対応する音声ガイダンスの態様を決めるためである。
【0106】
本実施の形態においては、メインキー(キー1)は、音声ガイダンスを行わないように設定しているため、ステップS57の判定において、携帯機がキー1である場合は音声ガイダンスを行わずにステップS58へ進む。一方、本実施の形態においては、サブキー(キー2)は、音声ガイダンスを行うように設定しているため、ステップS57の判定において、携帯機がキー2である場合はステップS59へ進む。
【0107】
このように、スマートエントリーシステムの電源遷移処理においても、ユーザーなどが携帯機ごとに音声ガイダンスをカスタマイズすることによって、携帯機ごとに音声ガイダンスの態様を変更することができるため、ユーザーごとに適切な音声ガイダンスを行うことができる。
【0108】
図4に示すステップS58では、スマートECU16のCPU16aは、電源ECU(図示省略)に対して、電源オン(ACC)を示す指示信号を出力する。
【0109】
図4に示すステップS59では、スマートECU16のCPU16aは、図2に示すフロー図に示す処理に基づいてキー2が音声ガイダンス停止中であるか否かを確認する。つまり、メモリー16bにキー2に関連づけられた学習履歴がある場合は、キー2は音声ガイダンス停止中であることになる。そして、キー2が停止中であると判定した場合は音声ガイダンスを行わずにステップS58へ進み、キー2が停止中でないと判定した場合は音声ガイダンスを行うためにステップS60へ進む。
【0110】
このように、スマートエントリーシステムの電源遷移処理においても、携帯機ごとに音声ガイダンスの態様を学習(学習履歴)によって変更することができるため、ユーザーごとに適切な音声ガイダンスを行うことができる。
【0111】
つまり、本実施の形態においては、携帯機(キー1、キー2)ごとに音声ガイダンスをカスタマイズすることによって音声ガイダンスの態様を変更することができると共に、携帯機(キー1、キー2)ごとに学習によって音声ガイダンスの態様を変更することができる。
【0112】
図4に示すステップS60では、スマートECU16のCPU16aは、音声ECU17に指示信号を出力することによって、D席側スピーカー18にて音声ガイダンスを出力する(音声出力手段)。なお、このときの音声ガイダンスの内容としては、「ブレーキを踏んでスタートSWを操作してください」などである。
【0113】
図4に示すステップS61では、スマートECU16のCPU16aは、ユーザーがスマートエントリーシステムに対して的確に操作を行ったとみなして学習履歴をメモリー16bに記憶する(判定結果記憶手段)。
【0114】
図4に示すステップS62では、スマートECU16のCPU16aは、エンジンECU(図示省略)に対して、エンジン始動を示す指示信号を出力する。
【0115】
このように、ユーザーがスマートエントリーシステム(電源遷移)に対して的確に操作を行った場合は学習履歴をメモリー16bに記憶し、そうでない場合はメモリー16bに記憶された学習履歴を消去することによって、スマートエントリーシステムを的確に操作できるユーザーに対しては、次回の音声ガイダンスを停止し、そうでないユーザーのみ音声ガイダンスを行うことができ、適切な音声ガイダンスを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明の第1の実施の形態における車載用音声ガイダンス装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における車載用音声ガイダンス装置の音声ガイダンスを行うか否かの判定処理を示すフロー図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態におけるスマートエントリーシステムのドアロック処理時における車載用音声ガイダンス装置の動作処理を示すフロー図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態におけるスマートエントリーシステムの電源遷移処理時における車載用音声ガイダンス装置の動作処理を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0117】
10 車両、11 発信機、12 チューナ、13 センサ、14 位置検出器、15 地図記憶装置、16 スマートECU、16a CPU、16b メモリー、17 音声ECU、17a CPU、17b メモリー、18 D席側スピーカー、19 P席側スピーカー、20 マイク、30 携帯機、31 受信部、32 送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載システムの操作方法に関する音声ガイダンスを行う車載用音声ガイダンス装置であって、
前記車載システムを使用するか否かを判定する使用判定手段と、
前記音声ガイダンスを出力する音声出力手段と、
前記車載システムに対してユーザーが的確な操作を行ったか否かを判定する操作結果判定手段と、
前記操作結果判定手段の判定結果を記憶する判定結果記憶手段と、
前記使用判定手段にて前記車載システムを使用すると判定されると、前記判定結果記憶手段にユーザーが的確な操作を行ったことが記憶されていない場合は前記音声出力手段にて前記音声ガイダンスを出力し、前記判定結果記憶手段にユーザーが的確な操作を行ったことが記憶されている場合は前記音声出力手段にて出力する前記音声ガイダンスを停止する変更手段と、
を備えることを特徴とする車載用音声ガイダンス装置。
【請求項2】
前記判定結果記憶手段は、ユーザーが的確な操作を行ったことを記憶している場合において、前記操作結果判定手段にてユーザーが的確な操作を行っていないと判定された場合は、ユーザーが的確な操作を行ったことを消去することを特徴とする請求項1に記載の車載用音声ガイダンス装置。
【請求項3】
前記車載システムに対応する車両の周囲環境を判定する環境判定手段を備えるものであって、前記変更手段は、前記環境判定手段の判定結果に基づいて前記音声出力手段にて出力される前記音声ガイダンスの音量を変更することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の車載用音声ガイダンス装置。
【請求項4】
前記車載システムは、車両側ユニットから送信されるリクエスト信号に応答して、複数の携帯機がそれぞれ異なるIDコードを含むレスポンス信号を返送する相互通信を行うことにより、前記車両側ユニットが、前記複数の携帯機のいずれかからレスポンス信号を受信し、そのレスポンス信号に含まれるIDコードを予め登録してある登録コードと照合し、その照合結果に応じて車載機器を制御するものであって、
前記判定結果記憶手段は、前記操作結果判定手段の判定結果と前記複数の携帯機における各携帯機とを関連づけて記憶し、
前記変更手段は、前記使用判定手段にて前記車載システムを使用すると判定されると、前記判定結果記憶手段にユーザーが的確な操作を行ったことが受信したレスポンス信号に対応する携帯機と関連づけられて記憶されていない場合は前記音声出力手段にて前記音声ガイダンスを出力し、前記判定結果記憶手段にユーザーが的確な操作を行ったことが受信したレスポンス信号に対応する携帯機と関連づけられて記憶されている場合は前記音声出力手段にて前記音声ガイダンスを出力することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の車載用音声ガイダンス装置。
【請求項5】
車両側ユニットから送信されるリクエスト信号に応答して、複数の携帯機がそれぞれ異なるIDコードを含むレスポンス信号を返送する相互通信を行うことにより、前記車両側ユニットが、前記複数の携帯機のいずれかからレスポンス信号を受信し、そのレスポンス信号に含まれるIDコードを予め登録してある登録コードと照合し、その照合結果に応じて車載機器を制御する車載システムの操作方法に関する音声ガイダンスを行う車載用音声ガイダンス装置であって、
前記車載システムを使用するか否かを判定する使用判定手段と、
前記音声ガイダンスを出力する音声出力手段と、
前記使用判定手段にて前記車載システムを使用すると判定されると、前記複数の携帯機における携帯機ごとに前記音声出力手段にて出力する前記音声ガイダンスの態様を変更する変更手段と、
を備えることを特徴とする車載用音声ガイダンス装置。
【請求項6】
前記複数の携帯機における各携帯機と前記音声出力手段にて出力する前記音声ガイダンスの態様を示す情報とを関連づけて記憶する車載側態様記憶手段を備え、前記変更手段は、受信したレスポンス信号に対応する携帯機と前記車載側態様記憶手段の記憶内容とによって、前記音声出力手段にて出力する前記音声ガイダンスの態様を変更することを特徴とする請求項5に記載の車載用音声ガイダンス装置。
【請求項7】
前記携帯機の位置を検出する位置検出手段を備え、前記変更手段は、前記携帯機の位置に対応する位置から前記音声出力手段にて前記音声ガイダンスを出力することを特徴とする請求項4至請求項6のいずれか一項に記載の車載用音声ガイダンス装置。
【請求項8】
前記車載システムに対応する車両の周囲環境を判定する環境判定手段を備えるものであって、前記変更手段は、前記環境判定手段の判定結果に基づいて前記音声出力手段にて出力される前記音声ガイダンスの音量を変更することを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか一項に記載の車載用音声ガイダンス装置。
【請求項9】
車載システムの操作方法に関する音声ガイダンスを行う車載用音声ガイダンス装置であって、
前記車載システムを使用するか否かを判定する使用判定手段と、
前記音声ガイダンスの音声を出力する音声出力手段と、
前記車載システムが搭載された車両の周囲環境を判定する環境判定手段と、
前記使用判定手段にて前記車載システムを使用すると判定されると、前記環境判定手段の判定結果に基づいて、前記音声出力手段にて出力される前記音声ガイダンスの音量を変更する変更手段と、
を備えることを特徴とする車載用音声ガイダンス装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−255753(P2008−255753A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−102168(P2007−102168)
【出願日】平成19年4月9日(2007.4.9)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】