説明

車載装置、車両および路側機

【課題】車両に対して実際の走行軌跡に基づいて交通管理をできるようにすること。
【解決手段】車載装置100は測定部120で測位を行い、測位した位置情報を車載装置100を搭載した車両の移動情報としてドライブレコーダー130に記憶する。路側機200の路側機通信部210は近くを通行した車両に搭載された車載装置100のDSRCユニット110と通信し、識別情報記憶部140に記憶された車載装置100の識別情報を取得する。情報センター300の情報センター通信部310は車載装置100の移動情報と路側機200が通信した車載装置100の識別情報とを受信する。移動情報判定部320は移動情報に識別情報を取得した路側機200の所在位置が含まれるかを判定し、含まれない場合、移動情報を誤った情報として処理する。課金部340は正しい情報であると判定された移動情報に対して課金処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の移動情報に関する管理システムにおける車載装置、車両および路側機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、道路交通を監視するシステムとして、車両の走行軌跡データを用いてシミュレートを行い、信号タイミングの最適化を図るものがあった(特許文献1)。
これは、車両がGPS(Global Positioning System)により自車位置を計測することで走行軌跡データを取得し、交通管理センターがこの走行軌跡データを受信し、受信して集めた走行軌跡データと信号タイミングとを合成して交通のシミュレーションを行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−128677号公報
【特許文献2】特開平11−274997号公報
【特許文献3】特開2000−224180号公報
【特許文献4】特開2000−209250号公報
【特許文献5】特願2004−224118号(特開2006−49975号公報)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のように車両から受信した走行軌跡データに基づいて道路交通を監視するシステムでは、何らかの理由により走行軌跡データが実際の走行軌跡とは異なった走行軌跡を示してしまった場合、正しい道路交通の監視が行えない。
【0005】
本発明は、上記の課題をふまえ、例えば車両に対して実際の走行軌跡に基づいて交通管理をできるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車載装置は、
車両に搭載される車載装置であり、
前記車両の移動経路を測定し、測定した移動経路を示す移動情報を移動情報記憶部に記憶する測定部と、
前記移動情報記憶部に記憶された移動情報を路側機を介して、前記移動情報に示される前記移動経路が前記路側機の通信範囲を通過する正しい移動経路であるか否かを判定する管理装置へ、送信する通信部と
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、例えば、車両に対して実際の走行軌跡に基づいて交通管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施の形態1における移動情報管理システムの構成図。
【図2】実施の形態1における移動情報管理システムの処理を示すフローチャート。
【図3】実施の形態2における車載装置100の構成図。
【図4】実施の形態2における管理システムの処理を示すフローチャート。
【図5】実施の形態における車載装置100、路側機200、情報センター300のハードウェア構成図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における移動情報管理システムの構成図である。
図1において、車両に装着される車載装置100は以下のものを備える。
ドライブレコーダー130は、車両の移動経路、速度、時刻などの移動情報を記憶する。また、移動経路は車載装置100を搭載した車両の位置を示す位置情報の集合体で構成され、各位置情報を結んだものが移動経路になる。
識別情報記憶部140は、車載装置100を識別する車載装置ID(IDentification)、運転者や車両の所有者などの車載装置利用者を識別する利用者IDといった識別情報を記憶する。
利用者IDは、例えば、利用者IDが登録されたIC(Integrated Circuit)カードをカードリーダー(図示しない)に接続することで記憶する。
DSRCユニット110は、路上に設置された路側機200との通信を行う。車載装置100と路側機200とは例えばDSRC(Dedicated Short Range Communication)という通信技術により通信を行う。
測定部120は、測位用受信部121、計測部122を備えて車載装置100の位置を測位し、測位した位置情報を移動経路の情報としてドライブレコーダー130に記憶する。また、速度計124で計測した車両の速度をドライブレコーダー130に記憶する。
測位用受信部121は、GPSの電波を受信する。GPSの電波は測位するための測位情報を含んでいる。
計測部122は、ジャイロ123で車両の方向を計測し、速度計124で速度、加速度を計測する。
【0010】
図1において、路上に設置された路側機200は以下のものを備える。
所在情報記憶部220は、路側機200の設置された所在位置を示す所在情報を記憶する。
車載装置情報記憶部230は、車載装置100から受信した情報を記憶する。例えば、車載装置IDや利用者IDを受信時間と共に記憶したり、移動情報を記憶したりする。
路側機通信部210は、車載装置100と情報センター300との通信を行う。例えば、車載装置100から車載装置ID、利用者ID、移動情報を受信して車載装置情報記憶部230に記憶する。また、車載装置情報記憶部230に記憶された情報と共に所在情報記憶部220に記憶された所在情報を情報センター300に送信する。
【0011】
図1において、車両の情報管理を行う情報センター300は以下のものを備える。
規則情報記憶部370は、交通違反や優良運転の基準値を道路情報と関連付け規則情報として記憶する。
課金情報記憶部350は、運転者や車両の所有者などの車載装置利用者に対する課金情報を記憶する。課金情報は、車載装置IDや利用者ID、IDに対応する利用者の住所や引き落とし銀行口座の番号、課金する金額などである。
受信情報記憶部360は、受信した各種受信情報を記憶する。
情報センター通信部310は、路側機200と通信し、受信した車載装置ID、利用者ID、移動情報、所在情報などの受信情報を受信情報記憶部360に記憶する。また、電子基準局の発信する情報を受信し、受信した情報を路側機200を介して車載装置100に送信する。電子基準局は、GPSにより測位した位置情報を補正して位置情報の精度を高めるための補正情報を送信する。
なお、位置補正情報を管理する位置補正情報配信センターを設置することによって、複数の電子基準局から発信された補正情報を収集し、収集した補正情報に基づいて電離層や対流圏による擬似距離の遅延量を推定演算し、各電子基準局(点)からの距離に依存した遅延量を演算し、補正情報を求めても良い。この場合は、求められた補正情報が位置補正情報配信センターから情報センター通信部310に送信される。
移動情報判定部320は、受信情報記憶部360に記憶された車載装置ID、利用者ID、所在情報などの情報により移動情報が車両の実際の経路を示しているか、異なる経路を示しているかを判定し、判定した正否情報を受信情報と共に受信情報記憶部360に記憶する。
移動情報解析部330は、受信情報記憶部360に記憶された移動情報と規則情報記憶部370に記憶された規則情報とを比較し交通違反点数、運転の優良度、走行距離などを分析し、分析した分析情報を移動情報などの受信情報と共に受信情報記憶部360に記憶する。
課金部340は、受信情報記憶部360に記憶された分析情報に基づいて課金料を算出し、課金情報を課金情報記憶部350に記憶する。
【0012】
図2は、実施の形態1における移動情報管理システムの処理を示すフローチャートである。
実施の形態1における移動情報管理システムの移動情報正否判定と課金処理とについて図2に基づいて説明する。
【0013】
車載装置100は、測定部120で測位して、測位した位置情報を移動情報としてドライブレコーダー130に記憶する(S101)。
ここで測位について説明する。測定部120は、GPSの測位情報、電子基準局の補正情報との受信状態に従い、以下のように測位を行う。電子基準局の補正情報は情報センター300が受信した補正情報を路側機200を介してDSRCユニット110が受信するものとする。
測定部120は、GPSの測位情報と電子基準局の補正情報とを共に受信した場合、測位用受信部121が受信したGPSの測位情報に基づいて測位し、測位情報で測位した位置情報に電子基準点の補正情報を合算して位置情報を求める。
また、測位情報を受信し、補正情報を受信できなかった場合、測位情報に基づいて測位したものを位置情報とする。
また、測位情報も補正情報も受信できなかった場合、測位情報および補正情報に基づいて測位した前回の位置情報を初期値として、ジャイロ123が計測した方向と速度計124が計測した速度とから算出した相対位置を示す値を加算して位置情報を求める。
更に、カルマンフィルタを利用して、測位した前回の位置情報とジャイロ123が計測した方向と速度計124が計測した速度の積分値の観測量から、位置誤差の推定値とジャイロ123や速度計124の計測誤差を推定演算して、ジャイロ123や速度計124の計測誤差を補正するとともに、位置情報を補正して精度を向上させても良い。
これにより、任意のタイミングで測位することができ、さらに、より精度の高い測位方法を選択することができる。精度の高い測位方法では、車線と車両の位置関係を識別できるように、2m以下の精度とすることが望ましい。
位置情報は例えば、緯度、経度、高さで表す。
また、測位タイミングは、予め設定された一定周期毎や、路側機200との通信時にするとよい。但し、その他のタイミングでも構わない。
ドライブレコーダー130への移動情報の記憶は、測定部120が測位した位置情報と速度計124が計測した速度、加速度とに測位、計測を行った時刻とを関連付けて記憶することで行う。
また、位置情報と共に位置情報が測位情報と補正情報とから求めたものか、測位情報だけから求めたものか、相対位置から求めたものかといった情報を記憶するとよい。これにより記憶された位置情報の精度を判定することができる。
また、移動情報に対して圧縮処理を行ってもよい。これにより、記憶可能な移動情報量を増加することができると共に、単位時間辺りに通信する移動情報量を増加することができる。
【0014】
次に、路側機200は、車両が近くを走行した際に車載装置100と通信を行い、識別情報を取得する(S102)。
ここで、車載装置100において、DSRCユニット110は識別情報記憶部140に記憶された車載装置IDや利用者IDといった識別情報を路側機200に送信する。路側機200では、路側機通信部210が受信した識別情報と受信時刻とを関連付けて車載装置情報記憶部230に記憶する。勿論、受信時刻は、GPS衛星からの電波(搬送波、航法メッセージ)に基いて、標準時刻との同期をとっても良いことは言うまでもない。また、路側機200と情報センター300との間で時刻情報を通信し時刻の同期をとってもよい。
車載装置100と路側機200との間で行う通信技術であるDSRCは、通信可能範囲が狭く、高速な通信が行えるという特徴がある。このため、上記処理により車載装置情報記憶部230に識別情報が記憶された場合、識別情報で識別される車載装置100を装着した車両は路側機200の位置する場所を通行したと判定することができる。車両を個別に識別する場合は、通信可能範囲として、例えば各車線毎に2m乃至4m四方の矩形状の通信領域を設定すると良い。また、同一の通信領域内で複数車両と通信を行う場合は、交差点周辺の路面上に交差点中央から直径100mの通信領域を設定する等、用途に応じて適宜通信可能範囲を設定すると良い。
【0015】
次に、情報センター300は、車載装置100の移動情報と識別情報、路側機200の所在情報とを受信する(S103)。
ここで、車載装置100において、DSRCユニット110は、ドライブレコーダー130に記憶された移動情報を路側機200を介して情報センター300に送信する。また、路側機200において、路側機通信部210は、所在情報記憶部220に記憶された路側機200の所在情報と、車載装置情報記憶部230に記憶された、路側機200の設置された路上を通行した車両を識別する識別情報と時刻とを情報センター300に送信する。情報センター300では、情報センター通信部310が受信した移動情報、識別情報、所在情報を受信情報記憶部360に記憶する。ここで、移動情報には識別情報を含み移動情報を送信した車載装置100を識別できるものとする。
車載装置100からの移動情報の送信タイミングは、路側機200との毎通信時や、予め設定された一定周期毎、移動情報量が予め設定された量に達したとき、車載装置利用者の移動情報送信要求時、エンジン停止時などにするとよい。移動情報量が予め設定された量に達したときとは、例えば移動情報量がドライブレコーダー130の記憶容量のx%に達したときなどである。また、車載装置利用者の移動情報送信要求時とは、移動情報量をカーナビゲーションシステム(以下、カーナビとする)のディスプレイやスピーカーに出力し、運転者がカーナビの操作ボタンなどから送信要求を入力したときなどである。但し、その他のタイミングでも構わない。
【0016】
次に、情報センター300は、受信した車載装置100の移動情報の正否を判定する(S104)。
まず、移動情報判定部320は、受信情報記憶部360から移動情報を取得して移動情報に含まれる識別情報を抽出する。次に抽出した識別情報で受信情報記憶部360に記憶された各路側機の通信した各車載装置を示す識別情報を検索し、一致した識別情報に対応する路側機200と車載装置100との通信時刻と路側機200の所在情報とを取得する。
次に、取得した通信時刻および所在情報と移動情報とを比較し、路側機200の所在位置が通信時刻において移動経路として設定されているかを判定する。路側機200の所在位置は、例えば通信可能範囲の中央位置を選択する。或いは、路側機200の通信可能範囲における概略の境界線全体を、所在位置としても良い。
判定は、同通信時刻における移動経路が、所在位置又は所在位置周辺の所定範囲内を通過している場合(すなわち、路側機200の通信可能範囲内を通過している場合)に、移動経路として設定されていると判定する。つまり、路側機200の所在位置を示す点と移動経路に含まれる位置情報の示す点とが一致しなくても互いの点が通信可能範囲内に位置すれば移動経路として設定されていると判定する。
そして、判定結果を移動情報に対応付けて受信情報記憶部360に記憶する。このとき路側機200は車両と通信して識別情報を取得し車両の通行を検出しているため、通信時刻において移動経路に路側機200の所在位置が設定されていない場合、移動情報は実際に車両が通行した移動経路を示しておらず誤った移動情報であると判定できる。
なお、移動情報の正否判定は、事前に路側機200で行われていても良い。この場合には、S103において、路側機200は情報センター300に対して、車載装置100の移動情報と識別情報と共に車両毎に移動情報の正否判定結果を送信し、情報センター300では判定結果に基づき、S103に続いて次に説明する移動情報の解析処理が実行される。
【0017】
次に、移動情報を正しいと判定した場合(S105)、情報センター300は、移動情報と規則情報とを比較し移動情報を解析する(S106)。
まず、移動情報解析部330は、受信情報記憶部360から判定結果が移動情報の正しいことを示している移動情報を取得する。次に、規則情報記憶部370から規則情報を取得する。次に、移動情報と規則情報とを比較し、移動情報の示す運転が交通違反を犯しているか、優良運転であるかを判定し、また、移動情報に基づいて車両の移動距離を算出する。そして、交通違反点数、優良運転度、移動距離を識別情報と対応付けて受信情報記憶部360に記憶する。交通違反や優良運転の判定は、例えば、移動情報に含まれる移動経路で規則情報に含まれる道路情報を検索して交通違反、優良運転の基準値を取得し、取得した基準値と移動情報に含まれる速度、加速度などを比較することで行う。
例えば、優良運転の基準値として、制限速度から燃費効率の良い所定の速度範囲が設定されている場合は、移動情報に含まれる車両の速度がこの速度範囲内に入っているかどうかを判定する。
また、優良運転の基準値として、燃費効率が劣化する車両の急発進や急加速に対応した加速度の上限値が設定されている場合は、移動情報に含まれる車両の速度がこの加速度の上限値以下であるかどうかを判定する。
また、優良運転の基準値として、燃費効率が劣化する蛇行(ジグザグ走行)に対応した走行車線の維持状況や二地点間の理想的な走行距離が設定されている場合は、車両の移動軌跡が所定の走行車線内に入っているかどうかの判定や、計測される走行距離と二地点間の理想的な走行距離との比較によって判定する。
【0018】
次に、情報センター300は、解析結果に基づいて課金処理を行う(S107)。
まず、課金部340は、受信情報記憶部360から識別情報に対応付けられた交通違反点数、優良運転度、移動距離を取得する。次に、交通違反点数、優良運転度、移動距離に基づいて課金料、返金料を算出する。そして、算出した課金料を識別情報と対応付けて課金情報記憶部350に記憶する。また、課金情報記憶部350に記憶された課金情報に基づいて、引き落とし口座から料金を徴収したり、利用者の住所宛に請求書を送付するなどを行う。
【0019】
また、移動情報を誤りと判定した場合(S105)、情報センター300は、移動情報にエラーを設定して受信情報記憶部360に記憶する(S108)。
エラーが設定された移動情報に対して、例えば、車載装置100の調査、修理について利用者に通知するなど行う。
【0020】
従来、ETC(Electronic Toll Collection System)のように料金所の通過時に課金するシステムがあった。これに対し、実施の形態1では、車載装置100に記録された移動情報に基づいてシステムが課金管理できることについて説明した。このようなシステムにより、例えば、警官の取締場所やオービス設置場所以外での交通違反を検出したり、優良運転を検出し課金料を減免するなどにより、運転者に安全運転を促すことができる。また、任意の区間における通行距離に対して課金することができる。さらにこの結果、交通量が多く大気汚染が著しい地域などの環境負荷の軽減に貢献できることが考えられる。
また、課金などを行う移動情報管理システムでは、ドライブレコーダー130に記憶された移動情報の信頼性が必要となる。そこで、実施の形態1では、車載装置100で記録した移動情報を路側機200で記録した通信情報と比較調査することで移動情報の信頼性を確認できることを説明した。このことは、課金するシステムに限らず、その他の移動情報を管理するシステムにも有効である。
【0021】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、車載装置100が測位を行い、測位した位置情報を路側機200および情報センター300に送信し、情報センター300が課金処理を行った。このように、車載装置100が測位した位置情報に基づく管理システムとしては他に、交差点などで近辺に位置する車両の情報を配信し、車載装置100で危険を判定するというものが考えられる。また、近辺の地域情報などを配信してもよい。
そこで、実施の形態2では、危険を判定するために配信された重要度の高い情報と、地域情報などのような重要度の低い情報とで優先度を設け処理することについて説明する。
【0022】
図3は、実施の形態2における車載装置100の構成図である。
実施の形態2における車載装置100の構成のうち、上記実施の形態1で説明しなかった部分について図3に基づいて説明する。
DSRCユニット110は、以下のものを備える。
DSRCプロトコルを処理するDSRC処理部111。
DSRC処理部111を介して通信するプログラム間の論理的な通信路であるセッションを設定するASL(Application Sub Layer)処理部112。
ASL処理部112が設定したセッションを通じて受信したデータを入力し、入力したデータに基づいてデータ送受信、車載装置IDの取得、ICカードへのアクセス、各記憶部へのアクセスといった基本処理をする基本プログラムを実行するプログラム実行部113。
車載装置100の備えるドライブレコーダー130、ICカードリーダー151や車両の備えるカーナビ、オーディオ、エアコンおよびそれらを操作するボタンなどのHMI(Human Machine Interface)152などの装置を制御する装置制御部114。
【0023】
DSRC通信により車載装置100と通信する路側機200の路側機通信部210も上記と同様にDSRC処理部211、ASL処理部212、プログラム実行部213、装置制御部214を備える。
また、路側機200は、設置された近辺地域の交通情報として、道路情報、信号情報、近辺地域に位置する車両情報などを記憶する交通情報記憶部240を備える。
また、路側機200は、設置された近辺地域のサービス情報、例えば、各商店の安売り情報や駐車場情報などを記憶するサービス情報記憶部250を備える。
【0024】
図4は、実施の形態2における管理システムの処理を示すフローチャートである。
以下に、車載装置100が測位した位置情報を路側機200が受信した際の車載装置100と路側機200との処理について以下に説明する。
ここで、車載装置100と路側機200とはそれぞれ、各基本プログラムに対応するポート番号が定義され記憶部に記憶されているものとする。
また、ポート番号は各基本プログラムに対して2つ以上が割り当てられ優先度と共に定義されているものとする。
そして、車載装置100が位置情報を路側機200に送信する前に、車載装置100と路側機200とは以下の処理をして通信を行う。
【0025】
車載装置100のDSRC処理部111と路側機200のDSRC処理部211はDSRCプロトコルを処理し、通信する周波数や通信フレームの割り当て、装置間の通信を識別するLID(Link ID)などを確立する。以後、確立した情報により車載装置100と路側機200とは通信を行う。
車載装置100のASL処理部112と路側機200のASL処理部212は各DSRC処理部を介して、互いに記憶部に定義されたポート番号と優先度とを通知し、通知されたポート番号と優先度を記憶部に記憶して各基本プログラム間の論理的な通信路であるセッションを確立する。つまり、優先度の高いポート番号の設定された優先度の高いセッションと優先度の低いポート番号の設定された優先度の低いセッションとがある。但し、優先度は高い、低いの2つであることに限らない。以後、確立したセッションにより車載装置100のプログラム実行部113と路側機200のプログラム実行部213とは通信し基本プログラムを実行する。
なお、交差点に設置される路側機200では、事前に交通情報の優先度が最高位に設定されているものとする。
また、特定事象が発生した場合には、特定の路側機200に対して、情報センター300が交通情報の優先度を高く設定する。例えば、交通事故が発生した場合、事故の状況調査結果に基づいて、情報センター300から即座に事故の発生位置、発生時刻、通行可能車線、渋滞車両の末尾位置等の交通情報が送信され、走行車線後流の路側機200(すなわち、当該車線の進行方向先で事故が発生した路側機200)に対してこの交通情報が提供される。そして、各車両に搭載された車載装置100は通信可能範囲に位置する路側機200から交通情報を提供され、提供された交通情報を音声や文字情報として運転者に出力する。この際、交通情報の影響を受ける可能性がある所定距離内の後流の路側機200に対して、情報センター300が一時的に交通情報の優先度を最高位に設定する。
【0026】
以下、路側機200に対する優先度の設定以降の処理について、図4に基づいて説明する。
まず、路側機200の装置制御部214は車載装置100の位置情報を交通情報記憶部240に記憶する。次に、交通情報記憶部240に記憶された道路情報の取得とサービス情報記憶部250に記憶されたサービス情報の取得を行う。そして、車載装置100の装置制御部114に処理させる交通情報についての送信データとサービス情報についての送信データとを生成し、生成した送信データをプログラム実行部213に出力して送信要求する。例えば、交通情報の送信データとA商店に関する送信データとB商店に関する送信データとC商店に関する送信データとをプログラム実行部213に出力して送信要求する(S201)。
【0027】
プログラム実行部213は、データ送信プログラムを実行し、入力した送信データに対して車載装置100のプログラム実行部113に処理させる送信データを生成する。そして、生成した送信データの優先度を判定し、優先度に対応するセッションを指定して送信データをASL処理部212に出力する。例えば、交通情報、A商店に関する情報、B商店に関する情報、C商店に関する情報を入力した場合、交通情報を優先度の高いセッションの送信データ待ち行列にキューイングし、各商店の情報を優先度の低いセッションの送信データ待ち行列にキューイングする。(S202)。
【0028】
ASL処理部212は、優先度の高いセッションのデータから順に、車載装置100と路側機200のそれぞれのデータ送信プログラムに対応するポート番号を設定した送信データを生成し、生成した送信データをDSRC処理部211に出力する。このとき設定するポート番号はプログラム実行部213に指定された優先度に対応するポート番号を選択する(S203)。
【0029】
DSRC処理部211は、LIDを設定した送信データを生成し、生成した送信データを発信する(S204)。
【0030】
車載装置100のDSRC処理部111は、路側機200の発信した送信データを受信し、受信した送信データに対してLIDを判定し、路側機200のASL処理部212が生成した送信データを取得し、取得した送信データをASL処理部112に出力する(S205)。
【0031】
ASL処理部112は、入力した送信データに設定されたポート番号に基づいてセッションを判定し、路側機200のプログラム実行部213が生成した送信データを取得し、取得した送信データを判定したセッションに対応してプログラム実行部113に出力する。例えば、A商店に関する情報、B商店に関する情報、C商店に関する情報、交通情報を入力した場合、交通情報を優先度の高いセッションの受信データ待ち行列にキューイングし、各商店の情報を優先度の低いセッションの受信データ待ち行列にキューイングする。(S206)。
【0032】
プログラム実行部113は、優先度の高いセッションに対し出力された入力データから順に装置制御部114に出力し処理する。例えば、優先度の高いセッションの受信データ待ち行列にキューイングされた交通情報、優先度の低いセッションの受信データ待ち行列にキューイングされたA商店に関する情報、B商店に関する情報、C商店に関する情報の順にデータを取得し装置制御部114に出力し処理する。装置制御部114では、交通情報に対して道路情報、信号情報、近辺地域に位置する車両情報などに基づいて危険性の判定を行い、判定結果のカーナビのディスプレイへの表示、オーディオからの音声出力、判定結果に基づいた車両の運転制御などを行う。また、各サービス情報に対してディスプレイへの表示や音声出力などを行う(S207)。
【0033】
以上のように、プログラム実行部113がプログラムを実行する場合に、一つのプログラムに対して複数のポートを割り当てて、いずれのポートにおいても通信可能な状態にしておき、少なくとも一つのポートを優先度の高いデータの送受信に用いることで、未処理である優先度の低いデータが多く存在するときに、重要な優先度の高いデータが発生した場合でも、重要なデータを優先度の低いデータより優先的に処理することができるため、より有効に通信処理が行える。
【0034】
優先度別のポート番号の割り当ては、例えばデータ送信側のポート番号に対して16進で表した場合の上位1桁を変更して行うとよい。
つまり、上記のサービス情報のような優先度の低いデータに対するポート番号は0x0aaa、上記の交通情報のようなサービス情報より優先度の高いデータに対するポート番号は0x1aaa、交通情報の中でも緊急性を要するような優先度の更に高いデータに対するポート番号は0x2aaaとするなどである。aaaはプログラムに対応する番号であり、同一プログラムにおいて各優先度で同じ値を示す。
【0035】
また、プログラムの優先度を設定して、上記ASL処理部は入力したデータを優先度の高いプログラムに対するデータから順に処理するようにしてもよい。
このとき、優先度の異なるプログラムに対して、例えば、0x0803〜0x0BFFを優先度の低いプログラム、0x0C00〜0x0FEEを優先度の高いプログラムに割り当てるようにするとよい。
【0036】
図5は、実施の形態における車載装置100、路側機200、情報センター300のハードウェア構成図である。
図5において、車載装置100、路側機200、情報センター300は、プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)911を備えている。CPU911は、バス912を介してROM913、RAM914、通信ボード915、磁気ディスク装置920と接続されている。
RAM914は、揮発性メモリの一例である。ROM913、磁気ディスク装置920は、不揮発性メモリの一例である。これらは、記憶装置あるいは記憶部の一例である。
通信ボード915は、無線ネットワーク、LAN、インターネット等に接続されている。
通信ボード915は、情報入力部、出力部の一例である。
【0037】
磁気ディスク装置920には、オペレーティングシステム(OS)921、プログラム群923、ファイル群924が記憶されている。プログラム群923は、CPU911、OS921により実行される。
【0038】
上記プログラム群923には、上記の各実施の形態の説明において「〜部」として説明する機能を実行するプログラムが記憶されている。プログラムは、CPU911により読み出され実行される。
ファイル群924には、上記の各実施の形態の説明において、「〜の判定結果」、「〜の計算結果」、「〜の処理結果」として説明するものが、「〜ファイル」として記憶されている。
また、上記の各実施の形態の説明において説明するフローチャートの矢印の部分は主としてデータの入出力を示し、そのデータの入出力のためにデータは、磁気ディスク装置920、FD(Flexible Disk cartridge)、光ディスク、CD(コンパクトディスク)、MD(ミニディスク)、DVD(Digital Versatile Disk)等のその他の記録媒体に記録される。あるいは、信号線やその他の伝送媒体により伝送される。
【0039】
また、上記の各実施の形態の説明において「〜部」として説明するものは、ROM913に記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。或いは、ソフトウェアのみ、或いは、ハードウェアのみ、或いは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実施されても構わない。
【0040】
また、上記の各実施の形態を実施するプログラムは、磁気ディスク装置920、FD、光ディスク、CD、MD、DVD等のその他の記録媒体による記録装置を用いて記憶されても構わない。
【0041】
上記説明において、車両に搭載された車載装置について説明したがこれに限らない。例えば、人が携帯する携帯電話、PDA(Personal Digital Assistance)(登録商標)、その他通信端末などでも構わない。
【符号の説明】
【0042】
100 車載装置、110 DSRCユニット、111 DSRC処理部、112 ASL処理部、113 プログラム実行部、114 装置制御部、120 測定部、121 測位用受信部、122 計測部、123 ジャイロ、124 速度計、130 ドライブレコーダー、140 識別情報記憶部、151 ICカードリーダー、152 HMI、200 路側機、210 路側機通信部、211 DSRC処理部、212 ASL処理部、213 プログラム実行部、214 装置制御部、220 所在情報記憶部、230 車載装置情報記憶部、240 交通情報記憶部、250 サービス情報記憶部、300 情報センター、310 情報センター通信部、320 移動情報判定部、330 移動情報解析部、340 課金部、350 課金情報記憶部、360 受信情報記憶部、370 規則情報記憶部、911 CPU、912 バス、913 ROM、914 RAM、915 通信ボード、920 磁気ディスク装置、921 OS、923 プログラム群、924 ファイル群。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車載装置であり、
前記車両の移動経路を測定し、測定した移動経路を示す移動情報を移動情報記憶部に記憶する測定部と、
前記移動情報記憶部に記憶された移動情報を路側機を介して、前記移動情報に示される前記移動経路が前記路側機の通信範囲を通過する正しい移動経路であるか否かを判定する管理装置へ、送信する通信部と
を備えることを特徴とする車載装置。
【請求項2】
前記測定部は、
測位に用いる測位情報と測位に関する補正情報とを受信し、
前記測位情報と前記補正情報とを用いて測位を行い、測位によって得られる位置情報を含んだ情報を前記移動情報として前記移動情報記憶部に記憶する
ことを特徴とする請求項1記載の車載装置。
【請求項3】
前記通信部は、前記移動情報をDSRC(Dedicated Short Range Communication)によって前記路側機を介して前記管理装置へ送信する
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の車載装置。
【請求項4】
前記移動情報記憶部は、前記車両の位置を示す位置情報と前記車両の位置が測位された時刻とを関連付けた情報を、前記移動情報として記憶するドライブレコーダーである
ことを特徴とする請求項1から請求項3いずれかに記載の車載装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4いずれかに記載の車載装置を搭載したことを特徴とする車両。
【請求項6】
所在位置を示す所在情報を記憶する所在情報記憶部と、
車両の移動経路を示す移動情報を受信し、受信した前記移動情報と、前記所在情報記憶部に記憶される前記所在情報とを、前記移動情報に示される前記移動経路が前記所在情報に示される前記所在位置における通信範囲を通過する正しい移動経路であるか否かを判定する管理装置へ、送信する通信部と
を備えることを特徴とする路側機。
【請求項7】
所在位置を示す所在情報を記憶する所在情報記憶部と、
車両の移動経路を示す移動情報を受信する路側機通信部と、
前記路側機通信部によって受信された前記移動情報と前記所在情報記憶部に記憶された前記所在情報とに基づいて、前記移動情報に示される前記移動経路が前記所在情報に示される前記所在位置における通信範囲を通過する正しい移動経路であるか否かを判定する移動情報判定部と
を備えることを特徴とする路側機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−30204(P2013−30204A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−245965(P2012−245965)
【出願日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【分割の表示】特願2010−47493(P2010−47493)の分割
【原出願日】平成16年10月4日(2004.10.4)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】