説明

車載装置

【課題】路側機を設置しなくても、車両乗員に対して交通信号が変化するまでの残り時間を案内可能な技術を提供すること。
【解決手段】車載装置1は、自車両前方を撮影するカメラ19を備え、このカメラ19を通じて自車両前方の映像データを取得する。一方、自車両の位置及び進行方位を特定し、この特定結果と、信号機の設置位置を表す信号機マップに基づいて、映像データに映し出される信号機の信号機IDを特定する。また、上記映像データに基づき、映像データに映し出された信号機が青信号、黄信号、及び赤信号のいずれかの交通信号の点灯を開始してから終了するまでの表示時間を算出する。そして、算出した各信号の表示時間を、対応する信号機IDと関連付けて、ハードディスク装置に登録する。この他、ハードディスク装置に登録された各信号機の表示時間の情報に基づき、自車両が次に通過する信号機の青信号残り時間及び赤信号残り時間を算出し案内する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、路側機から送信されてくる信号機情報を受信し、この信号機情報に基づいて信号機の点灯パターンに基づいた車両制御を行う車載装置が知られている(例えば特許文献1参照)。具体的には、信号機情報に含まれる青信号の残り時間の情報に基づいてブレーキ制御を行う車載装置が知られている。
【0003】
この他、路側機から送信されてくる信号機情報を受信し、車両乗員に青信号等の残り時間を案内する車載装置も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−276497
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、路側機から信号機情報を送信して、この信号機情報に基づいた車両制御や案内を車載装置で実行する従来システムでは、車両に対して信号機情報を送信するための路側機を、膨大な数、交差点付近に設置する必要がある。このため、従来技術では、このようなシステムの実用化が難しいといった問題があった。
【0006】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、路側機から信号機情報を受信しなくても、車両乗員に対して交通信号が変化するまでの残り時間を案内したり、交通信号の変化を予測して車両制御を実行したりすることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するためになされた本発明の車載装置は、自車両前方の映像を表す映像データを取得する映像データ取得手段と、映像データ取得手段が取得した映像データを解析して、映像データに映し出された信号機が特定色信号の点灯を開始してから終了するまでの時間である特定信号表示時間を導出する解析手段と、自車両の位置及び進行方位を、車両情報として取得する車両情報取得手段と、車両情報取得手段が取得した車両情報に基づき、映像データ取得手段が取得した映像データに映し出された各信号機の設置位置を特定する位置特定手段と、解析手段により導出された特定信号表示時間を、位置特定手段により特定された該当信号機の設置位置を表す情報に関連付けて、記憶する解析結果記憶手段と、を備えるものである。
【0008】
この車載装置によれば、自車両前方を撮影して得られる映像データを解析して、映像データに映し出された信号機の特定信号表示時間(例えば、青信号表示時間や赤信号表示時間)を導出し、導出した特定信号表示時間の情報を、この情報に対応する信号機を特定可能な設置位置の情報に関連付けて、記憶する。
【0009】
従って、この車載装置を用いれば、路側機を設置しなくても、解析結果記憶手段に記憶された内容から、次に自車両が通過する信号機の特定信号表示時間を知ることができ、これらの情報に基づき、青信号や赤信号の残り時間を車両乗員に案内したり、交通信号の変化を予測して車両制御を実行したりすることができる。
【0010】
尚、この車載装置では、上記案内や車両制御を実行するのに先駆けて、特定信号表示時間を導出するための情報を、映像データを通じて取得する必要があるが、日常の使用において、ユーザは、日々同じ道路を使用することが多いため、このような環境では、特にユーザに不便さを感じさせることなく、上記案内や車両制御を実行することができる。
【0011】
ところで、信号機の設置位置は、自車両の位置及び進行方位と、映像データに映し出された信号機のフレーム上での位置座標及び信号機サイズと、から特定可能であるが、この手法では、精度良く信号機の設置位置を特定することができない可能性がある。従って、車載装置には、予め定められた地域(例えば日本全国)に設置された各信号機の設置位置を表す信号機マップを記憶するマップ記憶手段を設けるのが好ましい。
【0012】
そして、位置特定手段は、信号機マップと、車両情報取得手段が取得した車両情報と、に基づき、映像データ取得手段が取得した映像データに映し出された各信号機の設置位置を特定する構成にされるのが好ましい(請求項2)。
【0013】
この車載装置によれば、映像データに映し出された各信号機の設置位置を、信号機マップに基づき高精度に特定することができるので、信頼度の高い情報を、解析結果記憶手段にて記憶することができる。
【0014】
また、上記車載装置は、車両情報及び信号機マップに基づき、自車両が次に通過する信号機である次信号機を特定する次信号機特定手段と、映像データ取得手段が取得した映像データに基づき、次信号機特定手段により特定された次信号機が特定色信号の点灯を開始したことを検知する開始時刻検知手段と、開始時刻検知手段により特定色信号の点灯を開始したことが検知されると、解析結果記憶手段が記憶する次信号機の特定信号表示時間に基づき、次信号機において特定色信号の点灯が終了するまでの残り時間の情報を出力する出力手段と、を備える構成にされるとよい(請求項3)。
【0015】
この車載装置によれば、路側機を設置しなくても、車両が次に通過する信号機において青信号の点灯が終了するまでの残り時間や赤信号の点灯が終了するまでの残り時間の情報を、車両制御装置や車両乗員に提供することができる。
【0016】
この他、上記車載装置は、次のように構成にされてもよい。即ち、解析手段は、映像データに映し出された信号機の夫々について、特定信号表示時間を導出すると共に、車両進路上流側又は下流側で隣接する信号機との特定色信号の点灯開始時刻の差である相対オフセット時間を導出し、解析結果記憶手段は、解析手段により導出された相対オフセット時間を、特定信号表示時間と共に、該当信号機の設置位置を表す情報に関連付けて、記憶する構成にされてもよい(請求項4)。
【0017】
特定信号表示時間が判明している程度では、次信号機において特定色信号の点灯が終了するまでの残り時間を導出するために、この信号機における特定色信号の点灯開始を観測する必要がある。即ち、次信号機における特定色信号の点灯開始を観測していない状態で、残り時間を導出することは、できない。
【0018】
これに対し、相対オフセット時間を記録するように車載装置を構成すれば、車両の進路上流にある信号機において特定色信号の点灯が開始された時刻に基づいて、次信号機における特定色信号の点灯開始時刻を推定することができる。即ち、次信号機における特定色信号の点灯開始を観測していない状況でも、手前の信号機で特定色信号の点灯開始を観測している状況では、次信号機において特定色信号の点灯が終了するまでの残り時間を導出することができる。
【0019】
尚、このような機能を実現するために、車載装置は、具体的に次のように構成されるとよい。即ち、車載装置は、映像データに映し出された自車両進路上の信号機が特定色信号の点灯を開始したことを検知して、この信号機を、基準信号機に設定すると共に、この信号機が特定色信号の点灯を開始した時刻である特定表示開始時刻を、基準時刻に設定する基準設定手段と、基準設定手段により設定された基準信号機と次信号機特定手段により特定された次信号機との特定色信号の点灯開始時刻の差である次信号機オフセット時間を、解析結果記憶手段が記憶する相対オフセット時間に基づき、導出する次信号機オフセット時間導出手段と、基準設定手段により設定された基準時刻と、次信号機オフセット時間導出手段により導出された次信号機オフセット時間と、に基づき、次信号機特定手段により特定された次信号機における特定色信号の点灯開始時刻を推定する開始時刻推定手段と、映像データ取得手段が取得した映像データに基づき、次信号機特定手段により特定された次信号機が特定色信号を点灯中であるか否かを判定する状態判定手段と、状態判定手段により次信号機が特定色信号を点灯中であると判定され、且つ、開始時刻推定手段により次信号機における特定色信号の点灯開始時刻が推定されると、開始時刻推定手段により推定された点灯開始時刻、及び、解析結果記憶手段が記憶する次信号機の特定信号表示時間に基づき、次信号機において特定色信号の点灯が終了するまでの残り時間を導出する残り時間導出手段と、残り時間導出手段により導出された残り時間の情報を出力する出力手段と、を備えた構成にされるとよい(請求項5)。
【0020】
このように構成された車載装置によれば、上述したように、次信号機における特定色信号の点灯開始を観測していない状況でも、次信号機の特定色信号の残り時間を導出して、この情報を出力することができる。
【0021】
また、特定信号表示時間及び相対オフセット時間を記録するだけでは、車両進路上において、次信号機から比較的近い距離にある信号機の点灯開始時刻を用いて、次信号機における点灯開始時刻を推定しないと、繰返し行われる点灯サイクルの内、現在時刻に適さないサイクルの点灯開始時刻を推定してしまう可能性がある。
【0022】
従って、解析手段は、映像データに映し出された信号機の夫々について、この信号機のサイクル長を導出し、解析結果記憶手段は、解析手段により導出されたサイクル長を、該当信号機の設置位置を表す情報に関連付けて、記憶する構成にされるとよい(請求項6)。
【0023】
そして、上記開始時刻推定手段は、状態判定手段により次信号機が特定色信号を点灯中であると判定されている場合に、基準設定手段により設定された基準時刻と、次信号機オフセット時間導出手段により導出された次信号機オフセット時間と、解析結果記憶手段が記憶する次信号機のサイクル長と、に基づき、次信号機において点灯中の特定色信号の点灯が開始された時刻を、推定する構成にされるとよい(請求項7)。
【0024】
このように構成された車載装置によれば、サイクル長に基づき、現在のサイクルに対応する適切な点灯開始時刻を求めることができ、次信号機から離れた位置の信号機における特定色信号の点灯開始時刻に基づき、次信号機において特定色信号の点灯が終了するまでの残り時間を適切に求めることができる。
【0025】
また、開始時刻推定手段は、状態判定手段により次信号機が特定色信号を点灯中ではない判定されている場合、基準設定手段により設定された基準時刻と、次信号機オフセット時間導出手段により導出された次信号機オフセット時間と、解析結果記憶手段が記憶する次信号機のサイクル長と、に基づき、次信号機において現在から最も近い未来に特定色信号の点灯が開始される時刻を、特定色信号の点灯開始時刻として推定し、残り時間導出手段は、状態判定手段により次信号機が特定色信号を点灯中ではないと判定され、且つ、開始時刻推定手段により次信号機における特定色信号の点灯開始時刻が推定されると、開始時刻推定手段により推定された点灯開始時刻までの残り時間を導出する構成にされてもよい(請求項8)。
【0026】
このように構成された車載装置によれば、次信号機から離れた位置の信号機における特定色信号の点灯開始時刻に基づき、次信号機において特定色信号の点灯が開始されるまでの残り時間を適切に求めることができる。
【0027】
この他、映像データに映し出された信号機が青信号の点灯を開始してから終了するまでの時間である青信号表示時間、及び、映像データに映し出された信号機が赤信号の点灯を開始してから終了するまでの時間である赤信号表示時間、を導出する車載装置に対しては、信号機マップに基づき、赤信号表示時間が導出された信号機に交差する信号機の青信号表示時間を、赤信号表示時間に基づき推定する青信号表示時間推定手段を設けるとよい。
【0028】
この他、解析結果記憶手段は、解析手段により導出された青信号表示時間及び赤信号表示時間の夫々を、該当信号機の設置位置を表す情報に関連付けて、記憶すると共に、青信号表示時間推定手段により推定された青信号表示時間の夫々を、該当信号機の設置位置を表す情報に関連付けて、記憶する構成にされるとよい(請求項9)。
【0029】
青信号では、車両が信号機手前で止まらずに信号機を直ぐに通過してしまう。このため、青信号の変化を観測して、青信号表示時間を導出する手法では、青信号表示時間を導出できる可能性が小さい。具体的には、信号機の手前で渋滞が発生しているなどの理由により、車両が信号機手前でゆっくりと移動しているか、見通しのよい道路でなければ、青信号の変化を観測して、青信号表示時間を導出することはできない。
【0030】
一方、赤信号表示時間は、信号待ち状態の車両にて、容易に観測可能である。従って、この車載装置のように、赤信号表示時間から交差道路の青信号表示時間を推定すれば、信号機手前で渋滞等が発生していなくても、青信号表示時間の情報を得ることができる。即ち、青信号表示時間の情報を、効率的に収集・記憶することができる。
【0031】
また、上記車載装置は、車両情報取得手段が取得した車両情報及び信号機マップに基づき、自車両が次に通過する信号機である次信号機を特定する次信号機特定手段と、映像データ取得手段が取得した映像データに基づき、次信号機特定手段により特定された次信号機が青信号及び赤信号のいずれか一方の点灯を開始したことを検知する開始時刻検知手段と、開始時刻検知手段により次信号機が青信号及び赤信号のいずれか一方の点灯を開始したことが検知されると、解析結果記憶手段が記憶する次信号機の特定信号表示時間であって、点灯が開始された信号についての特定信号表示時間の情報に基づき、次信号機において点灯が開始された信号の当該点灯が終了するまでの残り時間の情報を出力する出力手段と、を備える構成にされるとよい(請求項10)。
【0032】
このように構成された車載装置によれば、路側機を設けなくとも、青信号の点灯が終了するまでの残り時間及び赤信号の点灯が終了するまでの残り時間の情報を、車両制御装置や車両乗員に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】車載装置1の構成を表すブロック図である。
【図2】信号機マップの構成を表す図である。
【図3】制御部21が実行する観測処理を表すフローチャートである。
【図4】観測履歴ファイルの構成を表す図である。
【図5】制御部21が実行するデータ解析処理を表すフローチャートである。
【図6】オフセット時間解析テーブル及び表示時間解析テーブルの構成を表す図である。
【図7】制御部21が実行する表示時間解析テーブル編集処理を表すフローチャートである。
【図8】制御部21が実行するオフセット時間解析テーブル編集処理を表すフローチャートである。
【図9】オフセット時間解析テーブルの更新態様に関する説明図である。
【図10】制御部21が実行する表示時間統計処理を表すフローチャートである。
【図11】制御部21が実行する表示時間統計処理を表すフローチャートである。
【図12】信号機解析データベースの構成を表す図である。
【図13】制御部21が実行するオフセット時間統計処理を表すフローチャートである。
【図14】制御部21が実行するオフセット時間統計処理を表すフローチャートである。
【図15】制御部21が実行する案内処理を表すフローチャートである。
【図16】制御部21が実行する案内処理を表すフローチャートである。
【図17】制御部21が実行する案内処理を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施例について図面と共に説明する。
図1は、本発明が適用された車載装置1の構成を表すブロック図である。本実施例の車載装置1は、位置検出器11と、操作スイッチ群13と、表示部15と、音声出力部17と、カメラ19と、制御部21と、ハードディスク装置(HDD)23と、を備える。
【0035】
この車載装置1は、カメラ19を通じて、自車両が通過する道路に設置された信号機の点灯パターンに関する情報を取得し、この情報をハードディスク装置23に蓄積する。そして、ハードディスク装置23に蓄積された情報に基づき、自車両が次に通過する信号機(以下、「次信号機」という。)の青信号残り時間等を、車両乗員に案内する。
【0036】
詳述すると、位置検出器11は、GPS(Global Positioning System)用の人工衛星からの送信電波を、GPSアンテナを介して受信し、現在地の緯度・経度を検出するGPS受信機11aと、車載装置1が搭載された車両に加えられる回転運動の大きさを検出するジャイロスコープ11bと、車両の走行距離を検出する距離センサ11cと、地磁気から車両の進行方位を検出する地磁気センサ11dとを備え、これら各部11a〜11dの検出信号を、制御部21に入力する。
【0037】
一方、操作スイッチ群13は、表示部15の周囲に設けられたメカニカルなキースイッチや、表示部15と一体に構成されたタッチパネル等から構成され、ユーザが操作可能なユーザインタフェースとして機能する。また、表示部15は、液晶モニタで構成され、音声出力部17は、スピーカやアンプを備えて、制御部21からの入力信号に基づき、各種案内音声を出力する。
【0038】
また、カメラ19は、車両前方の信号機を撮影するためのものであり、車載装置1が搭載される車両において車両前方を撮影可能な位置に設置され、自車両前方の映像を表す映像データを生成する。
【0039】
この他、制御部21は、各種プログラムを実行するCPU21aと、CPU21aによるプログラム実行時に作業領域として使用されるRAM21bと、を備え、ハードディスク装置23に記憶された各種プログラムを、CPU21aにて実行することにより、車載装置1全体を統括制御し、各種機能を実現する。例えば、制御部21は、位置検出器11からの入力信号に基づき、自車両の位置及び進行方位を特定し、この結果を用いて、自車両の位置及び進行方位に対応した処理を実行する。
【0040】
また、ハードディスク装置23は、道路の接続関係を表す道路地図データ、及び、信号機の設置位置を表す信号機マップを備える。図2は、ハードディスク装置23が記憶する信号機マップの構成を表す説明図である。ハードディスク装置23が記憶する信号機マップは、図2に示すように、所定地域(例えば、日本全域)に設置された信号機毎に、信号機詳細データを有する。
【0041】
具体的に、信号機マップを構成する信号機毎の信号機詳細データは、信号灯の設置位置及び設置態様を表す信号灯設置情報を有すると共に、設置された信号灯のタイプを表す信号灯タイプ情報、及び、周辺信号機に関する情報である周辺機情報を有する。
【0042】
詳述すると、信号灯設置情報は、信号灯が設置された緯度・経度及び信号灯の地面からの高さ及び信号灯の表示方向(方位)を表すものである。また、信号灯タイプ情報は、信号灯のレンズ径、各色レンズの配列型(縦型/横型)等を表す情報である。
【0043】
この信号機詳細データは、場合によって、複数の信号灯についての信号灯設置情報及び信号灯タイプ情報を備える。
即ち、交差点の種類によっては、交差点への各進入経路に対し、複数の信号灯(主信号灯及び補助信号灯)が設置される場合がある(図9に示すID=123464の信号機参照)。具体的には、障害物によって交通信号が遮られることによる危険性を考慮して、同一経路から交差点に進入する車両群に対し、異なる地点に設置された同期動作する二以上の信号灯により、交通信号を表示する場合がある。
【0044】
本実施例では、このような一体とみなすことのできる信号灯の組を、一つの信号機と取り扱い、上記信号機詳細データを生成している。即ち、信号機マップは、各交差点について信号機が設置された進入経路毎に、信号機詳細データを有し、各信号機詳細データは、上記一つの信号機と取り扱う複数の信号灯の夫々について、信号灯設置情報及び信号灯タイプ情報を有する。
【0045】
本実施例において、このように構成される各信号機詳細データに対しては、信号機IDの情報が関連付けられており、これによって、各信号機には、固有のIDが割り当てられている。また、信号機IDは、道路地図データにも用いられており、道路地図データでは、各交差点(ノード)において設置された信号機の信号機IDが、対応する交差点のノードデータに登録されている。尚、ノードデータは、周知のカーナビゲーション装置が備えるノードデータと同様、対応する交差点の位置、及び、道路(リンク)との接続関係を表すデータである。詳述すると、各信号機IDは、対応する信号機が交通信号を表示する当該交差点への進入経路(リンク)の情報と対応付けられて、ノードデータに登録されている。
【0046】
この他、各信号機詳細データが有する周辺機情報は、この信号機詳細データに対応する信号機と同一交差点において同期動作する対向車線信号機の信号機IDを表す同期信号機情報、及び、この信号機詳細データに対応する信号機の赤信号表示時間に基づいて青信号表示時間を推定可能な同一交差点に設置された信号機の信号機IDを表す青時間推定可能信号機情報、及び、上流信号機情報を有する。
【0047】
ここで、上記同期信号機情報について詳述すると、交差点に設置された各信号機は、対向車線に設置された信号機と、同じタイミングで交通信号を切り替えるように動作するのが通常であり、互いに対向車線の関係にある信号機の組は、同期動作するのが通常である。具体的に述べれば、図9上段に示す信号機ID=123451の信号機、及び、信号機ID=123453の信号機は、一般的な交差点において、互いに同期動作するのが通常である。同期信号機情報は、このような同期動作する信号機の信号機IDを表すものである。
【0048】
また、互いに交差する道路に設置された信号機の組においては、交差点内の信号機が全て赤信号となる全赤時間を無視すれば、青信号表示時間と交差する道路の赤信号表示時間が一致するように点灯制御が行われるのが通常である。即ち、上記青時間推定可能信号機情報は、交差道路において逆相の点灯制御が行われる信号機の信号機IDを表すものである。
【0049】
この他、上流信号機情報は、「当該上流信号機情報を内包する信号機詳細データに対応する信号機が交通信号を表示する車線」を走行する車両群が、その直前に通過する信号機の信号機IDを表すものである。
【0050】
具体的には、「信号機詳細データに対応する信号機が交通信号を表示する車線」の車両進路上流側で隣接する交差点(以下、「上流交差点」という。)に設置された信号機であって、「信号機詳細データに対応する信号機が交通信号を表示する車線」に上流交差点を介して進入可能な経路を走行する車両群に対して交通信号を表示する信号機(以下、「上流信号機」という。)の信号機IDを表すものである。
【0051】
例えば、信号機詳細データに対応する信号機が図9に示されるID=123461の信号機である場合、上流信号機は、ID=123461の信号機が交通信号を表示する車線に直進可能な経路を走行する車両群に対して交通信号を表示するID=123451の信号機、及び、ID=123461の信号機が交通信号を表示する車線に左折にて進入可能な経路を走行する車両群に対して交通信号を表示するID=123452の信号機、及び、ID=123461の信号機が交通信号を表示する車線に右折にて進入可能な経路を走行する車両群に対して交通信号を表示するID=123454の信号機に対応する。
【0052】
続いて、次信号機の青信号残り時間等を車両乗員に案内するために制御部21が実行する処理について、説明する。
図3は、制御部21が一定周期毎に繰返し実行する観測処理を表すフローチャートである。制御部21は、この観測処理を実行することにより、カメラ19から出力される映像データを解析して、映像データに映し出された各信号機の表示色を特定し、この特定結果を、RAM21bに記憶保持する。
【0053】
図3に示す観測処理を開始すると、制御部21は、まず、位置検出器11の入力信号に基づき、自車両の位置及び進行方位を特定する(S110)。そして、当該特定結果と、ハードディスク装置23が記憶する信号機マップとに基づき、理論上、カメラ19によって撮影され、映像データに映し出される信号機について、映像データ内での位置座標及び形状を特定する(S120)。詳細には、映像データを構成する現時刻の静止画フレーム内において、信号機が映し出される位置座標と、その信号機の形状と、を特定する。
【0054】
上述したように信号機マップは、道路に設置された信号灯の設置位置やレンズ径等の信号機の形状を表す情報を有する。S120では、これらの情報と、自車両の位置及び進行方位から導出されるカメラ19の撮影領域との関係に基づき、カメラ19によって撮影され、映像データにおいて映し出される信号機の映像データ内での位置座標及び形状を特定するのである。
【0055】
また、この処理を終えると、制御部21は、S120での処理結果に基づき、現時点での自車両の位置及び進行方位で、映像データに映し出される信号機が理論上存在するか否かを判断する(S130)。
【0056】
そして、存在しないと判断すると(S130でNo)、当該観測処理を一旦終了し、存在すると判断すると(S130でYes)、カメラ19から入力される映像データを取得・解析して(具体的には、現時刻の静止画フレームを取得・解析して)、映像データに映し出された信号機の静止画フレームにおける位置座標及び形状を特定すると共に、この動作により特定された位置座標及び形状と、S120で特定した理論上フレーム内において映し出される信号機の位置座標及び形状とを、照合することにより、映像データに映し出された各信号機の信号機IDを特定する(S140)。
【0057】
更に、制御部21は、この映像データに映し出された各信号機の表示色を特定する(S150)。尚、本実施例では、矢印信号を無視し、信号機の表示色が、青色、黄色、赤色のいずれの色であるかを特定するものとする。
【0058】
この後、制御部21は、映像データに映し出された信号機毎に、S140で特定した信号機IDを表す情報、S150で特定した表示色を表す情報、及び、解析した映像データ(静止画フレーム)に対応する撮影日時の情報からなる観測データを生成する。
【0059】
そして、生成した信号機毎の観測データを、RAM21bが記憶する観測履歴ファイルに登録して(S170)、当該観測処理を一旦終了する。図4は、RAM21bが記憶する観測履歴ファイルの構成を表した説明図である。
【0060】
続いて、制御部21が、上記観測処理と並列に、一定周期で繰返し実行するデータ解析処理について説明する。図5は、このデータ解析処理を表すフローチャートである。制御部21は、図5に示すデータ解析処理を実行することにより、RAM21bが記憶する観測履歴ファイルに基づき、映像データに映し出された各信号機における各色信号の表示時間を算出する。即ち、青信号、黄信号、赤信号の各色信号について、その信号の点灯開始から終了までの時間を算出する。
【0061】
図5に示すデータ解析処理を開始すると、制御部21は、観測履歴ファイルに登録されている観測データ群が示す信号機IDの一つを、処理対象IDに設定する(S210)。
そして、観測履歴ファイルに登録されている観測データであって、処理対象IDと同一の信号機IDを示す観測データ群を、撮影日時が最新の観測データから過去方向に順に参照し、処理対象IDに対応する信号機において現在時刻に最も近い過去の時点で表示色が切り替った時点の観測データを検索する(S220)。
【0062】
具体的に、S220では、処理対象IDに対応する信号機の表示色が、最新の観測データが示す表示色に切り替った直後の観測データ(以下、「直後観測データ」という。)、及び、この直後観測データと過去方向において時間的に隣接する観測データであって、表示色が切り替る直前の観測データ(以下、「直前観測データ」という。)を、上記処理対象IDの観測データ群の中から検索する。
【0063】
ここで、該当する観測データを発見することができた場合(S225でYes)、制御部21は、S230に移行し、該当する観測データを発見することができなかった場合(S225でNo)、S295に移行する。
【0064】
S230に移行すると、制御部21は、直後観測データが示す表示色が青色であるか否かを判断し、表示色が青色であると判断すると(S230でYes)、直後観測データが示す撮影日時を、当該信号機の青信号表示開始日時とみなして、この信号機の信号機ID(即ち、処理対象ID)及び上記青信号表示開始日時を記したレコードを、ハードディスク装置23が記憶するオフセット時間解析テーブルに新規登録する(S235)。
【0065】
図6(a)は、ハードディスク装置23が記憶するオフセット時間解析テーブルの構成を表す説明図である。図6(a)に示すようにオフセット時間解析テーブルの各レコードは、信号機ID、青信号表示開始日時、オフセット情報(詳細後述)、及び、統計グループ情報(詳細後述)からなる。
【0066】
尚、S235では、オフセット情報及び統計グループ情報をヌルに設定して、上記新規レコードを、オフセット時間解析テーブルに登録する。その後、S240に移行する。
一方、直後観測データが示す表示色が青色ではないと判断すると(S230でNo)、制御部21は、S235の処理を実行せずに、S240に移行する。
【0067】
S240に移行すると、制御部21は、直前観測データを、解析対象データに設定すると共に、直前観測データが示す表示色を解析対象色に設定する(S245)。
更に、パラメータTEの値を、解析対象データの次データ(即ち、直後観測データ)が示す撮影日時に設定する。これによって、パラメータTEに、解析対象色の表示終了日時を、記憶保持する(S250)。
【0068】
また、S250での処理を終えると、制御部21は、観測履歴ファイルに登録されている処理対象IDの観測データ群を、S240で設定した解析対象データを起点に当該解析対象データから過去方向へと順に参照することで、処理対象IDに対応する信号機の表示色が、解析対象色に切り替った直後の観測データを検索する(S260)。
【0069】
そして、該当する観測データを発見することができた場合(S265でYes)、S270に移行し、該当する観測データを発見することができなかった場合には(S265でNo)、S290に移行する。
【0070】
S270に移行すると、制御部21は、パラメータTSの値を、S260での検索の結果発見できた上記解析対象色に切り替った直後の観測データが示す撮影日時に設定することにより、パラメータTSに、解析対象色の表示開始日時を、記憶保持する。
【0071】
そして、パラメータTE,TSの値に基づき、演算式TI=TE−TSに従い、解析対象色の表示時間TIを算出する(S275)。即ち、解析対象色に対応する色信号の点灯開始から終了までの時間TIを算出する。
【0072】
この後には、S275での算出値TIが正常であるか否かを、算出値TIが、予め定められた上限値TI_MAX及び下限値TI_MINの間に収まっているか否かによって、判断する(S280)。
【0073】
尚、上限値TI_MAX及び下限値TI_MINは、表示時間の情報として信頼度の低い算出値TIを破棄するためのものであり、青色、赤色、黄色の夫々について設計段階で予め定められて、ハードディスク装置23に記憶保持されている。例えば、青信号表示時間が1秒の信号機は、常識的に存在しないのは明らかである。上限値TI_MAX及び下限値TI_MINは、このような常識的でない算出値TIを破棄するために用いられる。
【0074】
そして、制御部21は、算出値TIが異常であると判断すると(S280でNo)、S290に移行し、算出値TIが正常であると判断すると(S280でYes)、S285に移行する。
【0075】
また、S285では、ハードディスク装置23が記憶する表示時間解析テーブルに、現在設定されている処理対象ID、解析対象色、当該解析対象色の表示開始日時を表すパラメータTSの値、当該解析対象色の表示終了日時を表すパラメータTEの値、及び、当該解析対象色の表示時間TIを記したレコードを新規登録する。
【0076】
尚、図6(b)は、ハードディスク装置23が記憶する表示時間解析テーブルの構成を表す説明図である。図6(b)に示すように表示時間解析テーブルに登録されるレコードは、信号機ID、表示色、当該表示色に対応する色信号の表示開始日時、表示終了日時、表示時間、及び、統計グループ情報(詳細後述)からなる。但し、S285では、統計グループ情報をヌルに設定して、上述した新規レコードを、表示時間解析テーブルに登録する。その後、S290に移行する。
【0077】
また、S290に移行すると、制御部21は、処理対象IDの観測データであって、現在設定されている解析対象データよりも撮影日時が過去の観測データを、今後不要な観測データとして観測履歴ファイルから削除する。但し、S290では、解析対象データ自身については、観測履歴ファイルから削除しないものとする。
【0078】
このようにしてS290での処理を終えると、制御部21は、観測履歴ファイルに登録されている観測データが示す信号機ID群に、今回のデータ解析処理において未だ処理対象IDに設定されていない信号機IDが存在するか否かを判断し(S295)、存在する場合には(S295でYes)、S210に移行して、未だ処理対象IDに設定されていない信号機IDの一つを処理対象IDに設定し、S220以降の処理を実行する。一方、未だ処理対象IDに設定されていない信号機IDが存在しない場合には(S295でNo)、当該データ解析処理を一旦終了する。
【0079】
制御部21は、このようにしてデータ解析処理を実行することにより、青信号の表示を開始した信号機をリアルタイムに検知して、当該信号機の青信号表示開始日時をオフセット時間解析テーブルに登録すると共に、青信号、黄信号、赤信号のいずれかの交通信号に関して、その点灯開始から点灯終了までの遷移を観測することができた信号機については、該当色信号の表示時間を、表示時間解析テーブルに登録する。
【0080】
続いて、上記データ解析処理を実行する度に、制御部21が実行する表示時間解析テーブル編集処理について、図7を用いて説明する。図7は、制御部21が実行する表示時間解析テーブル編集処理を表すフローチャートである。
【0081】
尚、表示時間解析テーブル編集処理は、矢印信号の存在により、赤信号が一旦黄信号に戻った後、再度赤信号の表示が開始される信号機の点灯パターンを観測した場合に、黄信号を赤信号とみなして、表示時間解析テーブルに登録されたレコードを編集するための処理である。本実施例では、矢印信号を解析対象から除外していることから、このような方法で、矢印信号付信号機の赤信号表示時間を導出する。
【0082】
制御部21は、図7に示す表示時間解析テーブル編集処理を開始すると、前回の表示時間解析テーブル編集処理の実行時から今回の表示時間解析テーブル編集処理の実行時までの間に表示時間解析テーブルに新規登録されたレコード群を参照して、当該新規登録レコード群の中に、表示色が黄色を示すレコードが存在するか否かを判断する(S310)。
【0083】
そして、表示色が黄色のレコードが存在しないと判断すると(S310でNo)、S370に移行する。一方、表示色が黄色のレコードが存在すると判断すると(S310でYes)、S320に移行する。
【0084】
S320に移行すると、制御部21は、表示色が黄色の新規登録レコードの一つを、処理対象レコードに設定し、処理対象レコードと同一の信号機IDが記されたレコードであって、処理対象レコードから過去に繋がる表示色が赤色のレコードを、表示時間解析テーブル内において検索する。即ち、処理対象レコードと過去方向において時間的に隣接する同一信号機IDのレコードであって、表示色が赤色のレコードを、表示時間解析テーブル内において検索する。尚、検索対象のレコードは、新規登録レコードに限定されない。
【0085】
そして、該当レコードを発見することができた場合(S335でYes)、制御部21は、S340に移行し、該当レコードを発見することができなかった場合(S335でNo)、S365に移行する。
【0086】
S340に移行すると、制御部21は、処理対象レコードを表示色が赤色のレコードとみなして、上記検索の結果得られた処理対象レコードから過去に繋がる表示色が赤色のレコードに対し、処理対象レコードの内容を組み込む処理を行う。
【0087】
具体的には、処理対象レコードから過去に繋がる表示色が赤色のレコードに記された表示終了日時を、処理対象レコードが示す表示終了日時に更新すると共に、処理対象レコードから過去に繋がる表示色が赤色のレコードに記された表示時間を、上記更新後の表示終了日時から、該当レコードが示す表示開始日時を減算した値に更新する。
【0088】
また、この組込処理が完了すると、制御部21は、処理対象レコードを、表示時間解析テーブルから削除する処理を行う。
そして、処理対象レコードの削除が完了すると、制御部21は、S350に移行し、上記処理対象レコードの内容が組み込まれた上記処理対象レコードから過去に繋がる表示色が赤色のレコード(以下、「組込後レコード」という。)と同一の信号機IDが記されたレコードであって、組込後レコードから未来に繋がる表示色が赤色のレコードを、表示時間解析テーブル内において検索する。即ち、組込後レコードと未来方向において時間的に隣接する同一信号機IDのレコードであって、表示色が赤色のレコードを、表示時間解析テーブル内において検索する。
【0089】
ここで、該当レコードを発見することができた場合(S355でYes)、制御部21は、S360に移行し、該当レコードを発見することができなかった場合(S355でNo)、S365に移行する。
【0090】
また、S360に移行すると、制御部21は、上記検索の結果得られた当該組込後レコードから未来に繋がる表示色が赤色のレコードの内容を、組込後レコードに組み込む処理を行う。即ち、組込後レコードに記された表示終了日時を、組込後レコードから未来に繋がる表示色が赤色のレコードが示す表示終了日時に更新すると共に、組込後レコードに記された表示時間を、上記更新後の表示終了日時から表示開始日時を減算した値に更新する。また、この組込処理が完了すると、当該組込後レコードから未来に繋がる表示色が赤色のレコードを、表示時間解析テーブルから削除する処理を行う。
【0091】
そして、上記レコードの削除が完了すると、制御部21は、S365に移行して、表示時間解析テーブルに登録されている表示色が黄色の新規登録レコードを、全て処理対象レコードに選択したか否かを判断し、全て処理対象レコードに選択していない場合には(S365でNo)、S320に移行して、未だ処理対象レコードに選択していない表示色が黄色の新規登録レコードを、一つ処理対象レコードに設定し、S330以降の処理を実行する。
【0092】
一方、全て処理対象レコードに選択したと判断すると(S365でYes)、S370に移行し、表示時間解析テーブルに登録された新規登録レコード群の中に、表示色が赤色を示すレコードが存在するか否かを判断する。
【0093】
そして、表示色が赤色のレコードが存在しないと判断すると(S370でNo)、当該表示時間解析テーブル編集処理を終了し、表示色が赤色のレコードが存在すると判断すると(S370でYes)、S375に移行する。
【0094】
S375に移行すると、制御部21は、表示色が赤色の新規登録レコードの一つを、処理対象レコードに設定し、S330での処理と同様に、処理対象レコードと同一の信号機IDが記されたレコードであって、処理対象レコードから過去に繋がる表示色が赤色のレコードを、表示時間解析テーブル内において検索する(S380)。
【0095】
そして、該当レコードを発見することができた場合(S385でYes)、S390に移行し、該当レコードを発見することができなかった場合(S385でNo)、S390の処理を実行せずに、S395に移行する。
【0096】
また、S390に移行すると、制御部21は、S380での検索の結果得られた処理対象レコードから過去に繋がる表示色が赤色のレコードに対して、処理対象レコードの内容を組み込むと共に、組込完了後に、処理対象レコードを表示時間解析テーブルから削除する処理を行う。具体的な処理内容は、S340と同様である。そして、処理対象レコードの削除が完了すると、S395に移行する。
【0097】
また、S395では、表示時間解析テーブルに登録されている表示色が赤色の新規登録レコードを、全て処理対象レコードに選択したか否かを判断し、全て処理対象レコードに選択していないと判断すると(S395でNo)、S375に移行して、未だ処理対象レコードに選択していない表示色が赤色の新規登録レコードを、一つ、処理対象レコードに設定し、S380以降の処理を実行する。一方、全て処理対象レコードに選択したと判断すると(S395でYes)、当該表示時間解析テーブル編集処理を終了する。
【0098】
このようにして、本実施例では、矢印信号付信号機において、矢印信号の消灯時に表示された黄信号のレコードを赤信号のレコードに組み込み、表示時間解析テーブルを編集する。
【0099】
続いて、上記データ解析処理を実行する度に、制御部21が実行するオフセット時間解析テーブル編集処理について、図8を用いて説明する。図8は、制御部21が実行するオフセット時間解析テーブル編集処理を表すフローチャートである。尚、このオフセット時間解析テーブル編集処理は、オフセット時間解析テーブルに登録された各レコードにおけるオフセット情報を有効な情報に更新するための処理である。
【0100】
オフセット時間解析テーブル編集処理を開始すると、制御部21は、前回のオフセット時間解析テーブル編集処理の実行時から今回のオフセット時間解析テーブル編集処理の実行時までの間に、オフセット時間解析テーブルに新規登録されたレコードが存在するか否かを判断する(S410)。そして、存在しないと判断すると(S410でNo)、当該オフセット時間解析テーブル編集処理を終了し、存在すると判断すると(S410でYes)、S420に移行する。
【0101】
S420に移行すると、制御部21は、オフセット時間解析テーブルに登録されている新規登録レコード群を参照し、当該新規登録レコード群が示す信号機IDの一つを、処理対象IDに設定する。この処理を終えると、制御部21は、S425に移行し、信号機マップにおいて、処理対象IDと同一の信号機IDに関連付けられた信号機詳細データを参照し、この信号機詳細データにおいて上流信号機情報として記された信号機IDの一つを、基準信号機IDに設定する。
【0102】
そして、この基準信号機IDのレコード(即ち、基準信号機IDに対応する信号機の青信号表示開始日時を表すレコード)を、オフセット時間解析テーブル内において検索し(S430)、該当レコードを発見することができた場合には(S435でYes)、S440に移行し、該当レコードを発見することができなかった場合には(S435でNo)、S460に移行する。
【0103】
また、S440に移行すると、制御部21は、オフセット時間解析テーブルに登録された処理対象IDの新規登録レコード群、及び、オフセット時間解析テーブルに登録された基準信号機IDのレコード群を対象にして、処理対象IDの新規登録レコードが示す青信号表示開始日時TB0と、基準信号機IDのレコードが示す青信号表示開始日時TB1との差分Δ=|TB0−TB1|が最小となる日時TB0及び日時TB1の組合せを特定する。
【0104】
そして、差分Δの最小値が閾値より大きい場合には(S445でNo)、S460に移行し、差分Δの最小値が閾値以下である場合には(S445でYes)、S450に移行する。尚、閾値は、信号機間の相対オフセット時間としてみなすには不適切な差分ΔをS450での処理対象から排除するためのものであり、この主旨に従って設計者により予め定められる。
【0105】
S450に移行すると、制御部21は、上記特定した差分Δが最小となる日時TB0及び日時TB1の組合せに基づき、基準信号機IDに対応する信号機を基準にして、処理対象IDに対応する信号機の相対オフセット時間TD=TB0−TB1を算出する。そして、オフセット時間解析テーブルにおける処理対象IDの新規登録レコードの夫々に対し、S450で算出した相対オフセット時間TD及び基準信号機IDの情報を、オフセット情報として書き込む(S455)。
【0106】
また、この処理を終えると、制御部21は、処理対象IDの信号機詳細データにおいて上流信号機情報として記された信号機IDの全てを、基準信号機IDに設定したか否かを判断する(S460)。そして、上流信号機情報として記された信号機IDの全てを、基準信号機IDに設定していないと判断すると(S460でNo)、S425に移行し、未だ基準信号機IDに設定していない信号機IDを、新たな基準信号機IDに設定して、S430以降の処理を実行する。
【0107】
一方、上流信号機情報として記された信号機IDの全てを、基準信号機IDに設定したと判断すると(S460でYes)、制御部21は、S470に移行し、オフセット時間解析テーブルに登録されている新規登録レコード群が示す信号機IDの全てを、処理対象IDに設定したか否かを判断する。
【0108】
そして、新規登録レコード群が示す信号機IDの全てを、処理対象IDに設定していないと判断すると(S470でNo)、S420に移行して、未だ処理対象IDに設定していない新規登録レコード群が示す信号機IDの一つを、新たな処理対象IDに設定し、その後、S425以降の処理を実行する。
【0109】
一方、新規登録レコード群が示す信号機IDの全てを、処理対象IDに設定したと判断すると(S470でYes)、当該オフセット時間解析テーブル編集処理を終了する。
尚、図9は、オフセット時間解析テーブル編集処理によるオフセット時間解析テーブルの更新態様を表した説明図である。
【0110】
ここでは、図9を用いて、オフセット時間解析テーブル編集処理によるオフセット時間解析テーブルの更新態様を具体的に説明する。まず前提として、S420で処理対象IDを、ID=123461に設定した場合を考える。この場合の上流信号機は、上述したように、ID=123451の信号機、及び、ID=123452の信号機、及び、ID=123454の信号機となる。
【0111】
従って、S425では、まず基準信号機IDを、ID=123451に設定し、この基準信号機IDのレコードを、オフセット時間解析テーブル内において検索する。ここで、ID=123461の信号機が交通信号を表示する車線に対して、自車両が直進により進入している場合には、過去の映像データにおいてID=123451の信号機が映し出されているはずである。従って、ID=123451の信号機が赤信号で一旦停止した後、青信号の表示開始を契機に自車両が直進している場合等においては、ID=123451に対応する信号機の青信号表示開始日時が検出され、オフセット時間解析テーブルにおいては、ID=123451の信号機についてのレコードが登録されていることになる。
【0112】
S430では、このようなレコードをオフセット時間解析テーブルにおいて検索し、該当レコードがあれば、上述した手法により、ID=123451の信号機を基準にID=123461の信号機の相対オフセット時間TDを算出し、この相対オフセット時間TD及び基準信号機IDとしての「123451」を、図9[1]に示すように、信号機ID=123461のレコードに対し、オフセット情報として書き込む。
【0113】
また、この処理後には、基準信号機IDを、ID=123452に設定して、当該基準信号機IDのレコードを、オフセット時間解析テーブル内において検索する。ここで、ID=123461の信号機が交通信号を表示する車線に対して自車両が直進により進入している場合には、該当レコードが発見されないか、該当レコードがあったとしても、そのレコードが古いレコードであるため、差分Δの最小値が閾値を超えた値となって、通常は、信号機ID=123461のレコードに対し、新たにオフセット情報が書き込まれることはない。
【0114】
一方、ID=123461の信号機が交通信号を表示する車線に対して自車両が左折により進入している場合には、基準信号機IDを、ID=123452に設定することで、オフセット情報が書き込まれることになる。
【0115】
即ち、ID=123461の信号機が交通信号を表示する車線に対して自車両が左折により進入している場合には、過去の映像データにおいてID=123452の信号機が映し出されているはずである。従って、ID=123452の信号機が赤信号で一旦停止した後、青信号の表示開始を契機に自車両が左折している場合等では、ID=123452に対応する信号機の青信号表示開始日時が検出され、オフセット時間解析テーブル内においては、ID=123452の信号機についてのレコードが登録されていることになる。
【0116】
S430では、このようなレコードをオフセット時間解析テーブルにおいて検索し、該当レコードがあれば、上述した手法により、ID=123452の信号機を基準にID=123461の相対オフセット時間TDを算出して、この相対オフセット時間TD及び基準信号機IDとしての「123452」を、図9[2]に示すように、信号機ID=123461のレコードに対し、オフセット情報として書き込む。
【0117】
また、この処理後、制御部21は、基準信号機IDを、ID=123454に設定して、当該基準信号機IDのレコードを、オフセット時間解析テーブル内において検索することになる。ここで、ID=123461の信号機が交通信号を表示する車線に対して自車両が直進若しくは左折により進入している場合には、該当レコードが発見されないか、該当レコードがあったとしても、そのレコードが古いレコードであるため、差分Δの最小値が閾値を超えた値となって、通常は、信号機ID=123461のレコードに対し、新たにオフセット情報が書き込まれることはない。
【0118】
一方、ID=123461の信号機が交通信号を表示する車線に対して自車両が右折により進入している場合には、基準信号機IDを、ID=123454に設定することで、オフセット情報が書き込まれることになる。
【0119】
即ち、ID=123461の信号機が交通信号を表示する車線に対して自車両が右折により進入している場合には、過去の映像データにおいてID=123454の信号機が映し出されているはずである。従って、ID=123454の信号機が赤信号で一旦停止した後、青信号の表示開始を契機に自車両が右折している場合等では、ID=123454に対応する信号機の青信号表示開始日時が検出され、オフセット時間解析テーブル内においては、ID=123454の信号機についてのレコードが登録されていることになる。
【0120】
S430では、このようなレコードをオフセット時間解析テーブルにおいて検索し、該当レコードがあれば、上述した手法により、ID=123454の信号機を基準にID=123461の相対オフセット時間TDを算出して、この相対オフセット時間TD及び基準信号機IDとしての「123454」を、図9[3]に示すように、信号機ID=123461のレコードに対し、オフセット情報として書き込む。
【0121】
オフセット時間解析テーブル編集処理では、このようにしてオフセット時間解析テーブルに登録されたレコードに対し、オフセット情報が書き込まれる。
続いて、表示時間解析テーブル編集処理を実行する度に、制御部21が実行する表示時間統計処理について、図10及び図11を用いて説明する。図10及び図11は、表示時間解析テーブル編集処理の実行後、制御部21が実行する表示時間統計処理を表すフローチャートである。尚、この表示時間統計処理では、表示時間解析テーブルに登録されている各レコードを、信号機毎及び時間帯毎に統計処理して、各色信号の表示時間について、尤もらしい値を信号機毎及び時間帯毎に算出する。
【0122】
図10及び図11に示す表示時間統計処理を開始すると、制御部21は、まず、前回の表示時間統計処理の実行時から今回の表示時間統計処理の実行時までの間に、表示時間解析テーブルに新規登録されたレコードが存在するか否かを判断し(S510)、存在しないと判断すると(S510でNo)、当該表示時間統計処理を終了し、存在すると判断すると(S510でYes)、S520に移行する。
【0123】
また、S520に移行すると、制御部21は、表示時間解析テーブルに登録された新規レコードの一つを、処理対象レコードに選択する。そして、処理対象レコードを、予め定義された統計グループのいずれかに分類する(S525)。
【0124】
尚、本実施例の車載装置1においては、設計段階で又はユーザによる設定操作により、信号機マップに登録された各信号機に対して、時間帯毎の統計グループが定義されている。即ち、S525では、処理対象レコードが示す信号機IDに対応する統計グループであって、処理対象レコードが示す表示開始日時が属する時間帯の統計グループを特定し、この処理対象レコードに、上記統計グループ情報として、上記特定した統計グループを表す識別コードを記すことにより、この処理対象レコードを、特定した統計グループに分類する。
【0125】
例えば、図12に示すように、0:00〜7:00の第一時間帯、7:00〜10:00の第二時間帯、10:00〜12:00の第三時間帯、12:00〜13:00の第四時間帯、13:00〜17:00の第五時間帯、17:00〜20:00の第六時間帯、20:00〜24:00の第七時間帯の各時間帯に対応する統計グループが定義され、図6(b)に示す信号機ID=123451のレコードが処理対象レコードに設定されている場合を考える。
【0126】
この場合には、S525において、処理対象レコードに対応する統計グループが、ID=123451の第二時間帯に対応する統計グループであると特定し、当該処理対象レコードに、例えば「123451/2」といった信号機IDと時間帯を表すコードとからなる統計グループの識別コードを、統計グループ情報として書き込む。
【0127】
このようにしてS525での処理を終えると、制御部21は、処理対象レコードが示す表示色を、統計処理対象色に設定すると共に(S530)、表示時間解析テーブルに登録されている処理対象レコードと同一統計グループのレコード(即ち、処理対象レコードと同一の統計グループ情報を有するレコード)に記された統計処理対象色の表示時間について、ばらつきの大小を評価する(S535)。
【0128】
S535では、例えば、処理対象レコードと同一統計グループのレコード群であって、表示色が統計処理対象色のレコード群に記された表示時間についての分散を算出し、分散が閾値以上であれば、ばらつきが大であると評価し、分散が閾値未満であれば、ばらつきが小であると評価する。尚、標本(該当レコード)が一つしかない場合には、形式的にばらつきが大であると評価してもよいし、小であると評価してもよい。
【0129】
そして、ばらつきが小であると評価した場合には(S540でYes)、上記処理対象レコードと同一統計グループのレコード群であって、表示色が統計処理対象色のレコード群に基づき、統計処理対象色の表示時間統計値を算出する(S550)。
【0130】
ここでは、処理対象レコードと同一統計グループのレコード群であって、表示色が統計処理対象色のレコード群の夫々が示す表示時間についての度数分布を求め、この度数分布における最頻値、即ち、標本数の最も多い表示時間を、統計処理対象色の表示時間統計値として算出してもよいし、処理対象レコードと同一統計グループのレコード群であって、表示色が統計処理対象色のレコード群の夫々が示す表示時間の中央値を、上記表示時間統計値として算出してもよい。
【0131】
また、表示時間統計値を算出し終えると、制御部21は、S560に移行し、算出した表示時間統計値を、当該統計グループにおける統計処理対象色の表示時間統計値として、ハードディスク装置23が記憶する信号機解析データベースに登録する。図12は、ハードディスク装置23が有する信号機解析データベースの構成を表す説明図である。
【0132】
図12に示すように信号機解析データベースは、信号機マップに登録された信号機毎に、当該信号機の信号機IDに関連付けられてなる統計データを有し、各信号機IDに関連付けられた統計データは、時間帯毎に、青信号、黄信号及び赤信号の表示時間統計値と、サイクル長統計値と、相対オフセット時間統計値とからなる時間帯別統計データを有する。即ち、信号機解析データベースは、統計グループ毎に、上記時間帯別統計データを有した構成にされている。
【0133】
S560では、このように構成される信号機解析データベースにおいて、処理対象レコードの統計グループに対応する時間帯別統計データが示す青信号、黄信号及び赤信号の表示時間統計値の内、統計処理対象色に対応する表示時間統計値を、上記算出した表示時間統計値に更新する。
【0134】
また、この処理を終えると、制御部21は、S570に移行して、処理対象レコードの統計グループに対応する時間帯別統計データを参照し、この時間帯別統計データにおいて、青信号、黄信号及び赤信号の表示時間統計値の全てが有効な値を示しているか否かを判断する。
【0135】
この判断によって、S570では、これら各色信号の表示時間統計値を足し合わせて、当該統計グループのサイクル長統計値を算出可能であるか否かを判断する。尚、信号機解析データベースを構成する各時間帯別統計データにおいては、初期状態で、各表示時間統計値、サイクル長統計値、及び相対オフセット時間統計値がヌルに設定されており、有効な値を示していない。
【0136】
換言すれば、S570では、処理対象レコードの統計グループに対応する時間帯別統計データが示す各色信号の表示時間統計値の全てがヌルから有効な値に更新されているか否かを判断することによって、これら各色信号の表示時間統計値を足し合わせ、当該統計グループのサイクル長統計値を算出可能であるか否かを判断する。
【0137】
そして、サイクル長統計値を算出可能であると判断すると(S570でYes)、制御部21は、S575に移行し、処理対象レコードの統計グループに対応する時間帯別統計データが示す青信号、黄信号及び赤信号の各表示時間統計値を足し合わせて、サイクル長統計値を算出し、当該時間帯別統計データが示すサイクル長統計値を、この算出値に更新する。その後、S580に移行する。一方、サイクル長統計値を算出不可能と判断すると(S570でNo)、S575の処理を実行せずに、S580に移行する。
【0138】
また、S580に移行すると、制御部21は、統計処理対象色が赤色であるか否かを判断し、赤色でなければ(S580でNo)、S620に移行する。一方、統計処理対象色が赤色であれば(S580でYes)、S585に移行する。
【0139】
そして、S585では、処理対象レコードが示す信号機IDの信号機詳細データを参照し、この信号機詳細データに、上記青時間推定可能信号機情報として、青信号表示時間を推定可能な信号機の信号機IDが記されているか否かを判断する。
【0140】
ここで、該当信号機IDが記されておらず上記青時間推定可能信号機情報がヌルであると判断すると(S585でNo)、制御部21は、S620に移行し、該当信号機IDが記されている場合には(S585でYes)、S590に移行する。
【0141】
S590に移行すると、制御部21は、上記信号機詳細データにおいて青時間推定可能信号機情報として記された信号機IDの一つを、青時間推定対象IDに設定すると共に、青時間推定対象IDに対応する信号機の時間帯別統計データであって、上記処理対象レコードに記された表示開始日時に対応する時間帯の上記時間帯別統計データを参照し、当該時間帯別統計データが示す青信号についての表示時間統計値がヌルであるか否かを判断する(S595)。
【0142】
そして、ヌルであると判断すると(S595でYes)、S600に移行して、S550で算出した赤信号の表示時間統計値から、全赤時間を減算した値を算出し、この算出値を、青時間推定対象IDに対応する上記時間帯の時間帯別統計データに、青信号の表示時間統計値として書き込む。
【0143】
このようにして、S600では、処理対象レコードに対応する信号機の赤信号表示時間に基づき、当該信号機と同一交差点において逆相で点灯制御される信号機の青信号表示時間を推定する。その後、S610に移行する。尚、交差点内の信号機が全て赤信号となる全赤時間は、予め固定値として、ハードディスク装置23に記憶されればよい。
【0144】
一方、ヌルではないと判断すると(S595でNo)、S600の処理を実行せずに、S610に移行する。
また、S610に移行すると、制御部21は、処理対象レコードが示す信号機IDの信号機詳細データにおいて、上記青時間推定可能信号機情報として記された信号機IDの全てを、青時間推定対象IDに設定したか否かを判断し、上記信号機IDの全てを、青時間推定対象IDに設定してない場合には(S610でNo)、S590に移行して、上記青時間推定可能信号機情報として記された信号機IDの内、未だ青時間推定対象IDに設定していない信号機IDの一つを、新たな青時間推定対象IDに設定して、S595以降の処理を実行する。
【0145】
一方、上記信号機IDの全てを、青時間推定対象IDに設定した場合には(S610でYes)、S620に移行する。
この他、S620では、表示時間解析テーブルに登録された新規登録レコードの全てを、処理対象レコードに設定したか否かを判断し、新規登録レコードの全てを処理対象レコードに設定していない場合には(S620でNo)、S520に移行して、未だ処理対象レコードに設定されていない新規登録レコードの一つを、新たな処理対象レコードに設定し、S525以降の処理を実行する。
【0146】
また、S535において、ばらつき大であると評価すると、制御部21は、S540で否定判断し、処理対象レコードに対応する統計グループの時間帯別統計データに記された統計処理対象色の表示時間統計値及びサイクル長統計値をクリアする(S545)。即ち、該当時間帯別統計データにおいて、統計処理対象色の表示時間統計値及びサイクル長統計値を、初期値であるヌルに設定する。その後、S620に移行する。
【0147】
そして、新規登録対象レコードの全てを、処理対象レコードに設定してS525以降の処理を実行したと判断すると(S620でYes)、制御部21は、当該表示時間統計処理を終了する。
【0148】
このようにして、当該表示時間統計処理では、表示時間解析テーブル内のレコードに基づき、表示時間についての統計値を求め、これをハードディスク装置23が記憶する信号機解析データベースに登録する。
【0149】
続いて、オフセット時間解析テーブル編集処理を実行する度に、制御部21が実行するオフセット時間統計処理について、図13及び図14を用いて説明する。図13及び図14は、オフセット時間解析テーブル編集処理の実行後、制御部21が実行するオフセット時間統計処理を表すフローチャートである。
【0150】
尚、このオフセット時間統計処理では、オフセット時間解析テーブルに登録されている各レコードを、信号機毎及び時間帯毎に統計処理して、信号機間の相対オフセット時間について、尤もらしい値を信号機毎及び時間帯毎に算出する。
【0151】
このオフセット時間統計処理を開始すると、制御部21は、まず、前回のオフセット時間統計処理の実行時から今回のオフセット時間統計処理の実行時までの間に、オフセット時間解析テーブルに新規登録されたレコードが存在するか否かを判断し(S710)、存在しない場合には(S710でNo)、当該オフセット時間統計処理を終了し、存在する場合には(S710でYes)、S720に移行する。
【0152】
S720に移行すると、制御部21は、オフセット時間解析テーブルに登録された新規レコードの一つを、処理対象レコードに選択し、処理対象レコードを、予め定義された統計グループのいずれかに分類する(S725)。分類手法は、上述したS525の処理と同様である。即ち、処理対象レコードが示す青信号表示開始日時に基づき、時間帯を判定して、処理対象レコードに対応する統計グループを特定し、この処理対象レコードに、上記統計グループ情報として、特定した統計グループを表す識別コードを記すことにより、この処理対象レコードを、特定した統計グループに分類する。
【0153】
また、S725での処理を終えると、制御部21は、処理対象レコードに登録されたオフセット情報がヌルであるか否かを判断し、ヌルである場合には(S730でYes)、S790に移行し、ヌルでない場合には(S730でNo)、S740に移行する。
【0154】
そして、S740では、処理対象レコードにオフセット情報として登録された信号機IDの一つを評価対象IDに設定する。例えば、処理対象レコードが、図9[1]に示される信号機ID=123461のレコードである場合には、オフセット情報として登録された上流信号機の信号機ID=123451を評価対象IDに設定する。
【0155】
また、評価対象IDを設定すると、制御部21は、オフセット時間解析テーブルに登録された上記処理対象レコードと同一統計グループのレコード(即ち、処理対象レコードと同一の統計グループ情報を有するレコード)群に基づき、これらのレコード群のオフセット情報が示す評価対象IDに関連付けられた相対オフセット時間について、ばらつきの大小を評価する(S750)。
【0156】
ここでは、S535と同様に、例えば、上記レコード群のオフセット情報が示す評価対象IDに関連付けられた相対オフセット時間についての分散を算出し、分散が閾値以上であれば、ばらつきが大であると評価し、分散が閾値未満であれば、ばらつきが小であると評価する。尚、S535と同様、標本(該当レコード)が一つしかない場合には、形式的にばらつきが大であると評価してもよいし、小であると評価してもよい。
【0157】
そして、ばらつきが小であると評価した場合には(S760でYes)、オフセット時間解析テーブルに登録された上記処理対象レコードと同一統計グループのレコード群に基づき、評価対象IDに関連付けられた相対オフセット時間についての統計値である相対オフセット時間統計値を算出する(S770)。
【0158】
具体的に、ここでは、処理対象レコードと同一統計グループのレコード群であって、評価対象IDに関連付けられた相対オフセット時間の情報を上記オフセット情報として有するレコード群に基づき、これらのレコード群の夫々が示す評価対象IDに関連付けられた相対オフセット時間についての度数分布を求めて、この度数分布における最頻値を、上記相対オフセット時間統計値として算出すればよい。この他、これらのレコード群の夫々が示す評価対象IDに関連付けられた相対オフセット時間の中央値を、上記相対オフセット時間統計値として算出してもよい。
【0159】
また、この処理を終えると、制御部21は、S775に移行し、算出した相対オフセット時間統計値を、処理対象レコードに対応する統計グループの時間帯別統計データに書き込む。具体的には、当該時間帯別統計データに対して、上記算出した相対オフセット時間統計値を、図12に示すように、基準となる上流信号機の信号機IDである評価対象IDの情報と共に書き込む。尚、上記時間帯別統計データにおいて、評価対象IDに対応する相対オフセット時間統計値が既に書き込まれている場合には、この相対オフセット時間統計値を更新する処理を、S775で行う。
【0160】
また、S775での処理を終えると、制御部21は、S780に移行し、処理対象レコードにオフセット情報として登録された信号機IDの全てを、評価対象IDに設定したか否かを判断し、信号機IDの全てを、評価対象IDに設定していないと判断した場合には(S780でNo)、S740に移行して、未だ評価対象IDに設定していない信号機IDの一つを、新たな評価対象IDに設定して、S750以降の処理を実行する。
【0161】
この他、S750でばらつき大と評価した場合には(S760でNo)、処理対象レコードに対応する統計グループの時間帯別統計データが有する相対オフセット時間統計値であって、評価対象IDと関連付けられた相対オフセット時間統計値を、当該時間帯別統計データから消去する(S765)。その後、S780に移行する。
【0162】
そして、該当信号機IDの全てを、評価対象IDに設定したと判断すると(S780でYes)、S790に移行し、オフセット時間解析テーブルに登録された新規登録レコードの全てを処理対象レコードに設定したか否かを判断する。そして、新規登録レコードの全てを処理対象レコードに設定していない場合には(S790でNo)、S720に移行し、新規登録レコードの全てを処理対象レコードに設定した場合には(S790でYes)、当該オフセット時間統計処理を終了する。
【0163】
このようにして、当該オフセット時間統計処理では、オフセット時間解析テーブル内のレコードに基づき、相対オフセット時間についての統計値を求めて、信号機解析データベースに登録する。
【0164】
続いて、制御部21が実行する案内処理について説明する。図15〜図17は、制御部21が実行する案内処理を表すフローチャートである。この案内処理では、信号機解析データベースの内容に基づき、次信号機の青信号残り時間及び赤信号残り時間を、車両乗員に案内する。
【0165】
この案内処理を開始すると、制御部21は、位置検出器11の入力信号により特定される自車両の位置及び進行方位と、信号機マップ及び道路地図データと、に基づき、自車両が次に進入する交差点に設置された信号機であって、自車両が次に通過する信号機(次信号機)の信号機IDを特定する(S810)。
【0166】
また、この処理を終えると、制御部21は、観測履歴ファイルに新規登録された観測データを参照することで、次信号機の青信号表示開始を、カメラ19により観測できているか否かを判断する(S820)。
【0167】
具体的に、S820では、観測処理により新規登録された観測データ群を対象に、次信号機の信号機IDを示す観測データであって、表示色が「青色」の観測データを検索し、該当観測データがない場合には、次信号機の青信号表示開始を、カメラ19により観測できていないと判断する。
【0168】
一方、該当観測データがある場合には、その観測データとは過去方向において時間的に隣接する次信号機の観測データを参照し、参照した観測データの表示色が「赤色」である場合には、次信号機の青信号表示開始を、カメラ19により観測できていると判断し、「赤色」ではない場合には、次信号機の青信号表示開始を、カメラ19により観測できていないと判断する。
【0169】
そして、次信号機の青信号表示開始を観測できていると判断すると(S820でYes)、上記表示色が「青色」に切り替った直後の観測データが示す表示開始日時を、オフセット時間算出基準日時に設定し、この日時を、次信号機の信号機IDと共にRAM21bに一時記憶する(S821)。
【0170】
この処理を終えると、制御部21は、次信号機の信号機IDに関連付けられた現在時刻に対応する時間帯の時間帯別統計データにおいて、青信号の表示時間統計値が有効な値を示しているか否か(ヌルではないかどうか)を判断する(S823)。
【0171】
そして、有効な値を示していると判断すると(S823でYes)、観測できた次信号機の青信号表示開始日時(即ち、オフセット時間算出基準日時)と、次信号機の信号機IDに関連付けられた現在時刻に対応する時間帯の時間帯別統計データが示す青信号についての表示時間統計値に基づき、次式に従い、次信号機において、青信号の表示(点灯)が終了するまでの残り時間を算出する(S825)。
【0172】
青信号残り時間=青信号表示開始日時+青信号の表示時間統計値−現在日時
そして、表示部15を通じた上記残り時間のカウントダウン表示及び音声出力部17を通じた上記残り時間の音声出力を、開始する(S827)。これによって、残り時間を逐次ユーザに案内する。尚、残り時間の音声出力については、例えば、所定時間間隔で、残り時間の情報を、音声出力部17を通じて音声出力することで、実現することができる。このようにして、S827で上記カウントダウン表示等を開始すると、その処理を継続しつつ、S840に移行する。
【0173】
一方、S820において、次信号機の青信号表示開始を、カメラ19により観測できなかったと判断すると(S820でNo)、制御部21は、観測履歴ファイルに新規登録された観測データを参照することで、次信号機の赤信号表示開始を、カメラ19により観測できているか否かを判断する(S830)。
【0174】
具体的に、S830では、観測履歴ファイルに新規登録された観測データ群を対象に、次信号機の信号機IDを示す観測データであって、表示色が「赤色」の観測データを検索し、該当観測データがない場合には、次信号機の赤信号表示開始を、カメラ19により観測できていないと判断する。
【0175】
一方、該当観測データがある場合には、その観測データとは過去方向において時間的に隣接する次信号機の観測データを参照し、参照した観測データの表示色が「黄色」である場合には、次信号機の赤信号表示開始を、カメラ19により観測できていると判断し、「黄色」ではない場合には、次信号機の赤信号表示開始を、カメラ19により観測できていないと判断する。
【0176】
そして、次信号機の赤信号表示開始を観測できていないと判断すると(S830でNo)、S810に移行する。一方、次信号機の赤信号表示開始を観測できていると判断すると(S830でYes)、S833に移行し、次信号機の信号機IDに関連付けられた現在時刻に対応する時間帯の時間帯別統計データにおいて、赤信号の表示時間統計値が有効な値を示しているか否か(ヌルではないかどうか)を判断する(S833)。
【0177】
そして、有効な値を示していると判断すると(S833でYes)、観測できた次信号機の赤信号表示開始日時(即ち、上記表示色が「赤色」に切り替った直後の観測データが示す表示開始日時)と、上記次信号機の信号機IDに関連付けられた現在時刻に対応する時間帯の時間帯別統計データが示す赤信号についての表示時間統計値に基づき、当該信号機において、赤信号の表示(点灯)が終了するまでの残り時間を算出する(S835)。
【0178】
赤信号残り時間=赤信号表示開始日時+赤信号の表示時間統計値−現在日時
また、この処理を終えると、制御部21は、残り時間のカウントダウン表示及び音声出力を、S827と同様に開始することで(S837)、赤信号の残り時間を逐次ユーザに報知する。このようにしてS837でカウントダウン表示等を開始すると、その処理を継続しつつ、S840に移行する。
【0179】
S840に移行すると、制御部21は、S810と同様の処理を実行することにより、最新の自車両の位置及び進行方位を特定し、自車両が次に通過する信号機(次信号機)の信号機IDを特定する。
【0180】
そして、特定した次信号機の信号機IDが前回値から切り替ると(S841でYes)、前回、次信号機として特定した信号機を自車両が通過したとみなし、S827又はS837で開始した残り時間のカウントダウン表示及び音声出力を終了して(S842)、S850に移行する。
【0181】
一方、次信号機の信号機IDが前回値と同一であると判断すると(S841でNo)、制御部21は、S827又はS837でカウントダウンを開始した残り時間がゼロとなったか否かを判断する(S843)。そして、残り時間がゼロとなったと判断すると(S843でYes)、残り時間のカウントダウン表示及び音声出力を終了し(S844)、S840に移行する。この他、残り時間がゼロになっていない場合には(S843でNo)、S845に移行する。
【0182】
尚、案内処理では、S844の処理後、S840に移行するため、残り時間のカウントダウン表示及び音声出力が既に終了している状態でS843の判断を行う場合がある。本実施例では、この場合、形式的にS843でNoと判断し、S845に移行する。
【0183】
S845に移行すると、制御部21は、観測履歴ファイルに新規登録された観測データに基づき、S820,S830での処理と同様に、次信号機の赤信号表示開始及び青信号表示開始のいずれか一方を新たに観測できたか否かを判断する。
【0184】
尚、前回のS820,S830,S845の処理実行時までに観測履歴ファイルに登録された観測データについては、新規登録された観測データではないので、S845では、これらの観測データを除外し、赤信号表示開始及び青信号表示開始のいずれか一方を新たに観測できたか否かを判断する。
【0185】
そして、赤信号表示開始及び青信号表示開始のいずれも新たに観測できていないと判断すると(S845でNo)、S840に移行して、次信号機の信号機IDが切り替るか、次信号機の赤信号表示開始及び青信号表示開始のいずれか一方が新たに観測されるまで、上述の処理を繰り返す。
【0186】
そして、次信号機の赤信号表示開始及び青信号表示開始のいずれか一方が新たに観測されると(S845でYes)、残り時間のカウントダウン表示及び音声出力を終了し(S847)、S849に移行する。
【0187】
また、S849では、新たに観測された信号表示開始イベントが青信号表示開始であるか否かを判断し、青信号表示開始であると判断すると(S849でYes)、S821に移行して、RAM21bが記憶する上記オフセット時間算出基準日時を、上記新たに観測された青信号表示開始日時に更新する。
【0188】
尚、RAM21bにオフセット時間算出基準日時が記憶されていない場合には、上記新たに観測された青信号表示開始日時を、オフセット時間算出基準日時に設定して、この日時と共に次信号機の信号機IDを、RAM21bに一時記憶する。その後、S823以降の処理を実行する。
【0189】
一方、新たに観測された信号表示開始イベントが青信号表示開始ではなく赤信号表示開始であると判断すると(S849でNo)、制御部21は、S833に移行する。そして、S835以降では、上記新たに観測された赤信号表示開始日時に基づいて赤信号残り時間のカウントダウン表示等を行う。
【0190】
このようにして、制御部21は、次信号機の赤信号表示開始及び青信号表示開始のいずれか一方が新たに観測される度、その日時を基準にして、青信号残り時間又は赤信号残り時間のカウントダウン表示等を開始する。
【0191】
一方、次信号機が切り替ることでS850に移行すると、制御部21は、現在オフセット時間算出基準日時として設定されている日時を基準に、次信号機の青信号表示開始日時を推定し、この推定結果に基づき、次信号機の青信号残り時間又は赤信号残り時間を案内する処理を行う(S850〜S985)。
【0192】
詳述すると、S850では、これまでの処理によりオフセット時間算出基準日時が設定されRAM21bに記憶されているか否かを判断する。そして、オフセット時間算出基準日時が設定されていないと判断すると(S850でNo)、S810に移行する。
【0193】
一方、オフセット時間算出基準日時が設定されていると判断すると(S850でYes)、オフセット時間算出基準日時と対応付けられてRAM21bに記憶されている信号機IDに対応する信号機を基準にして、現在特定されている次信号機のオフセット時間を算出するため、パラメータT0をゼロクリアする(S860)。その後、直前のS840で特定した次信号機の信号機IDを、主検査対象IDに設定し(S861)、更にパラメータiを値「1」に設定する(S865)。
【0194】
また、この処理を終えると、制御部21は、S870に移行して、i回前に通過した信号機の信号機IDを、副検査対象IDに設定する。例えば、i=1である場合には、前回通過した信号機の信号機IDを、副検査対象IDに設定し、i=2である場合には、前々回通過した信号機の信号機IDを、副検査対象IDに設定する。尚、本実施例の車載装置1においては、S810及びS840における次信号機の特定結果が、RAM21bに一定期間保存されるものとする。
【0195】
また、S870での処理を終えると、制御部21は、現在設定されている主検査対象IDに関連付けられた時間帯別統計データであって、現在時刻に対応する時間帯の時間帯別統計データを参照し、この時間帯別統計データにおいて、現在設定されている副検査対象IDに対応する信号機を基準とした主検査対象IDに対応する信号機の相対オフセット時間を表す相対オフセット時間統計値が登録されているか否かを判断する(S871)。
【0196】
そして、登録されていないと判断すると(S871でNo)、S810に移行する。一方、登録されていると判断すると(S871でYes)、上記登録されている相対オフセット時間統計値を、パラメータT0への加算値TAに設定し、パラメータT0を更新する(S873)。即ち、パラメータT0を、現在値に値TAを加算した値に更新する(T0←T0+TA)。
【0197】
また、S873での処理を終えると、制御部21は、S875に移行して、RAM21bがオフセット算出基準日時と共に記憶する信号機IDと、副検査対象IDとを比較し、両者が一致するか否かを判断する。そして、一致すると判断すると(S875でYes)、S880に移行して、次信号機の青信号表示開始日時を、RAM21bが記憶するオフセット時間算出基準日時に、パラメータT0を加算した値に推定する。その後、S890に移行する。
【0198】
青信号表示開始日時=オフセット時間算出基準日時+T0
一方、S875において一致しないと判断すると、制御部21は、S876に移行し、パラメータiが、予め定められた上限値以下であるか否かを判断し、上限値を超えていると判断すると(S876でNo)、S810に移行し、上限値以下であると判断すると(S876でYes)、S878に移行する。
【0199】
尚、上限値は、設計段階で定められてもよいし、ユーザの設定操作によって定められてもよい。但し、上限値が大きい値である程、S880における青信号表示開始日時の推定精度は、劣化する。
【0200】
S878に移行すると、制御部21は、主検査対象IDを、i回前に通過した信号機の信号機IDに更新すると共に、パラメータiを1加算後(S879)、S870に移行して、副検査対象IDを、主検査対象IDに対応する信号機よりも一つ上流の信号機IDに更新する。
【0201】
そして、S871以降の処理を実行することで、該当する相対オフセット時間統計値があれば、パラメータT0を更新し、なければ、S810に移行する処理を行う。
このようにして、S870〜S879では、自車両の移動経路を過去方向に辿って、自車両が通過した信号機間の相対オフセット時間統計値を足し合わせることにより、オフセット時間算出基準日時に関連付けられた信号機IDに対応する信号機を基準とした、自車両が次に通過する信号機のオフセット時間(青信号表示開始動作の時間差)を算出する。
【0202】
そして、この算出結果を表すパラメータT0の値を、オフセット時間算出基準日時と足し合わせることにより、上述したように、次信号機の青信号表示開始日時を推定する(S880)。
【0203】
また、S890に移行すると、観測履歴ファイルに新規登録された観測データ群の中に、現在特定されている次信号機の観測データであって、表示色が「青色」又は「赤色」の観測データが存在するか否かを判断する。本実施例では、この処理によって、次信号機が青信号及び赤信号のいずれか一方を現在表示中であることを検知する。
【0204】
尚、次信号機の表示色が「黄色」である場合や、自車両が次信号機から離れた位置にあることにより次信号機の観測データが観測履歴ファイルに新規登録されていない場合には、S890で否定判断し、自車両が次信号機に向かうルートから外れているか否かを判断する(S895)。そして、外れていると判断すると(S895でYes)、S810に移行する。
【0205】
一方、自車両が次信号機に向かうルートから外れていない場合には(S895でNo)、S890に移行し、観測履歴ファイルに、次信号機の観測データであって、表示色が「青色」又は「赤色」の観測データが登録されるまで待機する。
【0206】
そして、観測履歴ファイルに、次信号機の観測データであって、表示色が「青色」又は「赤色」の観測データが登録されると、当該観測データが示す表示色が「青色」であるか否かを判断し(S900)、「青色」であれば(S900でYes)、S910に移行し、後続の処理を実行することにより、青信号残り時間のカウントダウン表示等を開始する。一方、「赤色」であれば(S900でNo)、S950に移行して、後続の処理を実行することにより、赤信号残り時間のカウントダウン表示等を開始する。
【0207】
詳述すると、S910に移行した場合、制御部21は、次信号機の信号機IDに関連付けられた時間帯別統計データであって、現在時刻に対応する時間帯の時間帯別統計データを参照して、当該時間帯別統計データに記された青信号についての表示時間統計値BSが有効な値であるか否か(ヌルでないかどうか)を判断する。
【0208】
そして、上記表示時間統計値BSが有効な値であると判断すると(S910でYes)、S920に移行し、有効な値ではないと判断すると(S910でNo)、S840に移行する。
【0209】
また、S920に移行すると、制御部21は、S880で推定した次信号機の青信号表示開始日時TG0を、青信号表示開始日時推定値TGに設定して、青信号表示開始後の経過時間に対応する当該青信号表示開始日時推定値TGと現在日時TNとの時間差を、次式に従って算出する。
【0210】
時間差=現在日時TN−青信号表示開始日時推定値TG
そして、算出した時間差がゼロ以上及び上記表示時間統計値BS未満であるか否かを判断する(S925)。ここで、0≦TN−TG<BSであると判断すると(S925でYes)、制御部21は、S940に移行する。
【0211】
一方、S925で否定判断すると、制御部21は、S930に移行し、次信号機の信号機IDに関連付けられた時間帯別統計データであって、現在時刻に対応する時間帯の時間帯別統計データを参照して、当該時間帯別統計データに記されたサイクル長統計値CSが有効な値であるか否か(ヌルでないかどうか)を判断する。
【0212】
そして、有効な値ではないと判断すると(S930でNo)、S840に移行し、有効な値であると判断すると(S930でYes)、このサイクル長統計値CSに基づき、青信号表示開始日時推定値TGと現在日時TNとの時間差TN−TGが、条件式0≦TN−TG<BSを満足するように、青信号表示開始日時推定値TGを修正する(S935)。
【0213】
具体的には、青信号表示開始日時推定値TGを、S880で推定した次信号機の青信号表示開始日時TG0に対して、サイクル長統計値CSの整数倍n・CSを加算した値TG0+n・CSに修正して、修正後の青信号表示開始日時推定値TG=TG0+n・CSと現在日時TNとの時間差TN−TGが、条件式0≦TN−TG≦BSを満足するようにする。尚、パラメータnは正又は負の整数である。
【0214】
そして、条件式を満足するように青信号表示開始日時推定値TGを修正することができた場合(S937でYes)、S940に移行し、条件式を満足するように青信号表示開始日時推定値TGを修正することができなかった場合(S937でNo)、S840に移行する。
【0215】
S940に移行すると、制御部21は、上記修正後の青信号表示開始日時推定値TGと、青信号についての表示時間統計値BSとの加算値TG+BSから現在日時TNを減算することで、次信号機において、青信号の表示(点灯)が終了するまでの残り時間を算出する。
【0216】
青信号残り時間=青信号表示開始日時推定値+青信号の表示時間統計値−現在日時
その後、S827での処理と同様に、表示部15を通じた上記残り時間のカウントダウン表示及び音声出力部17を通じた上記残り時間の音声出力を開始し(S945)、S840に移行する。
【0217】
一方、S950に移行した場合、制御部21は、次信号機の信号機IDに関連付けられた時間帯別統計データであって、現在時刻に対応する時間帯の時間帯別統計データを参照して、当該時間帯別統計データに記された赤信号についての表示時間統計値RSが有効な値であるか否か(ヌルでないかどうか)を判断する。
【0218】
そして、上記表示時間統計値RSが有効な値であると判断すると(S950でYes)、S960に移行し、有効な値ではないと判断すると(S950でNo)、S840に移行する。
【0219】
また、S960に移行すると、制御部21は、S880で推定した次信号機の青信号表示開始日時TG0を、青信号表示開始日時推定値TGに設定して、赤信号残り時間に対応する現在日時TNと当該青信号表示開始日時推定値TGとの時間差を、次式
時間差=青信号表示開始日時推定値TG−現在日時TN
に従って算出する。
【0220】
そして、算出した時間差がゼロより大きく、上記表示時間統計値RS以下の値であるか否かを判断する(S965)。ここで、0<TG−TN≦RSであると判断すると(S965でYes)、制御部21は、S980に移行する。
【0221】
一方、S965で否定判断すると、制御部21は、S970に移行し、次信号機の信号機IDに関連付けられた時間帯別統計データであって、現在時刻に対応する時間帯の時間帯別統計データを参照して、当該時間帯別統計データに記されたサイクル長統計値CSが有効な値であるか否か(ヌルでないかどうか)を判断する。
【0222】
そして、有効な値ではないと判断すると(S970でNo)、S840に移行し、有効な値であると判断すると(S970でYes)、このサイクル長統計値CSに基づき、赤信号残り時間に対応する現在日時TNと青信号表示開始日時推定値TGとの時間差TG−TNが、条件式0<TG−TN≦RSを満足するように、青信号表示開始日時推定値TGを修正する(S975)。
【0223】
具体的には、S935での処理と同様、現在日時TNと修正後の青信号表示開始日時推定値TG=TG0+n・CSとの時間差TG−TNが、条件式0<TG−TN≦RSを満足するように、青信号表示開始日時推定値TGを修正する。
【0224】
そして、条件式を満足するように青信号表示開始日時推定値TGを修正することができた場合(S977でYes)、S980に移行し、条件式を満足するように青信号表示開始日時推定値TGを修正することができなかった場合(S977でNo)、S840に移行する。
【0225】
また、S980に移行すると、制御部21は、上記修正後の青信号表示開始日時推定値TG(換言すれば、赤信号表示終了日時の推定値)から現在日時TNを減算することで、次信号機において、赤信号の表示(点灯)が終了するまでの残り時間を算出する。
【0226】
赤信号残り時間=青信号表示開始日時推定値TG−現在日時TN
その後、S837での処理と同様に、表示部15を通じた上記残り時間のカウントダウン表示及び音声出力部17を通じた上記残り時間の音声出力を開始し(S985)、S840に移行する。
【0227】
このようにして、本実施例では、信号機間の相対オフセット時間に基づき、次信号機の青信号残り時間及び赤信号残り時間を推定して、車両乗員に案内する。
以上、車載装置1の構成について説明したが、本実施例によれば、カメラ19を通じて車両が走行する道路に設置された信号機の点灯パターンを観測するので、従来技術のように、信号機の点灯パターンに関する情報を車両に送信するための路側機を設けなくとも、車両が次に通過する信号機(次信号機)の青信号残り時間や赤信号残り時間等を車両乗員(運転者)に案内することができる。従って、本実施例によれば、低コストに、青信号残り時間や赤信号残り時間を車両乗員に案内可能なシステムを構築することができる。
【0228】
また、本実施例では、映像データから得られる観測データを統計処理することによって、各信号機における表示時間、サイクル長及び相対オフセット時間を推定するので、ユーザが日々利用する道路においては、正確に、信号機の点灯パターンを予測することができる。
【0229】
特に、本実施例によれば、観測データを時間帯毎に統計処理し、時間帯毎に、表示時間、サイクル長及び相対オフセット時間を推定するので、交通量の変化に合わせてサイクル長や相対オフセット時間等を調整する先端の交通システムにも適切に対応して、次信号機の青信号残り時間及び赤信号残り時間を車両乗員に案内することができる。
【0230】
また、本実施例では、信号機間の相対オフセット時間を求め、上流側の信号機で観測した青信号点灯開始日時と、この相対オフセット時間の情報とに基づき、次信号機の青信号点灯開始タイミングを推定し、この推定結果に基づいて、次信号機の青信号残り時間や赤信号残り時間を車両乗員に案内するように車載装置1を構成した。
【0231】
従って、本実施例によれば、次信号機の青信号点灯開始や赤信号点灯開始を観測してない状況下でも、青信号残り時間や赤信号残り時間を車両乗員に適切に案内することができる。
【0232】
また、本実施例によれば、赤信号表示時間に基づき、交差道路の青信号表示時間を求めるので、青信号表示時間の情報を効率的に収集することができ、結果として、適切に各道路の青信号残り時間や赤信号残り時間を案内することができる。
【0233】
尚、「特許請求の範囲」に記載された各手段と、車載装置1との対応関係は、次の通りである。即ち、映像データ取得手段は、カメラ19及びカメラ19から入力される映像データを取得する制御部21の動作に対応する。
【0234】
また、解析手段は、映像データから観測データを生成し、更に、この観測データに基づいて、表示時間統計値、サイクル長統計値、相対オフセット時間統計値を算出する制御部21の動作により実現されている。具体的に、解析手段が導出する特定信号表示時間は、青信号及び赤信号についての表示時間統計値に対応する。
【0235】
また、車両情報取得手段は、位置検出器11からの入力信号に基づき自車両の位置及び進行方位を特定する制御部21の動作により実現され、位置特定手段は、制御部21が実行するS140の処理により実現されている。
【0236】
この他、解析結果記憶手段は、表示時間統計値、サイクル長統計値、相対オフセット時間統計値を、S140の処理により特定された信号機IDの情報に関連付けて、信号機解析データベースに書き込む制御部21の動作及びハードディスク装置23により実現されている。
【0237】
また、次信号機特定手段は、制御部21が実行するS810,S840の処理により実現され、開始時刻検知手段は、S820,S830の処理により実現されている。
この他、基準設定手段は、制御部21が実行するS820,S821の処理にて実現され、オフセット時間導出手段は、制御部21が実行するS860〜S879の処理により実現されている。具体的に、基準時刻は、オフセット時間算出基準日時に対応し、基準信号機の設定動作は、オフセット時間算出基準日時と共に対応する信号機IDを一時記憶する動作により実現されている。また、次信号機オフセット時間は、S880への移行時のパラメータT0の値に対応する。
【0238】
また、状態判定手段は、制御部21が実行するS890,S900の処理により実現され、開始時刻推定手段は、制御部21が実行するS880,S935,S975の処理により実現されている。
【0239】
この他、残り時間導出手段は、S940,S980の処理により実現され、出力手段は、表示部15及び音声出力部17及び制御部21が実行するS827,S837,S945,S985の処理により実現されている。また、青信号表示時間推定手段は、制御部21が実行するS580〜S610の処理により実現されている。
【0240】
また、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。例えば、交通量は、平日や土曜日、日曜日、祝祭日等の「日の種類」によっても変化し、それに伴って、信号機のサイクル長や相対オフセット時間等も変化するので、表示時間統計値、サイクル長統計値、及び、相対オフセット時間統計値は、時間帯だけでなく「日の種類」毎に、算出されてもよい。
【0241】
また、車載装置1は、信号機解析データベースが記憶する統計データに基づき、信号機の点灯パターンを予測して、ブレーキ制御やアイドリングストップ制御を行う構成にされてもよい。
【符号の説明】
【0242】
1…車載装置、11…位置検出器、11a…GPS受信機、11b…ジャイロスコープ、11c…距離センサ、11d…地磁気センサ、13…操作スイッチ群、15…表示部、17…音声出力部、19…カメラ、21…制御部、21a…CPU、21b…RAM、23…ハードディスク装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両前方の映像を表す映像データを取得する映像データ取得手段と、
前記映像データ取得手段が取得した前記映像データを解析して、前記映像データに映し出された信号機が特定色信号の点灯を開始してから終了するまでの時間である特定信号表示時間を導出する解析手段と、
自車両の位置及び進行方位を、車両情報として取得する車両情報取得手段と、
前記車両情報取得手段が取得した前記車両情報に基づき、前記映像データ取得手段が取得した前記映像データに映し出された各信号機の設置位置を特定する位置特定手段と、
前記解析手段により導出された前記特定信号表示時間を、前記位置特定手段により特定された該当信号機の設置位置を表す情報に関連付けて、記憶する解析結果記憶手段と、
を備えることを特徴とする車載装置。
【請求項2】
予め定められた地域に設置された各信号機の設置位置を表す信号機マップを記憶するマップ記憶手段
を備え、
前記位置特定手段は、前記信号機マップと、前記車両情報取得手段が取得した前記車両情報と、に基づき、前記映像データ取得手段が取得した前記映像データに映し出された各信号機の設置位置を特定する
ことを特徴とする請求項1記載の車載装置。
【請求項3】
前記車両情報取得手段が取得した車両情報と、前記信号機マップとに基づき、自車両が次に通過する信号機である次信号機を特定する次信号機特定手段と、
前記映像データ取得手段が取得した前記映像データに基づき、前記次信号機特定手段により特定された次信号機が前記特定色信号の点灯を開始したことを検知する開始時刻検知手段と、
前記開始時刻検知手段により前記特定色信号の点灯を開始したことが検知されると、前記解析結果記憶手段が記憶する前記次信号機の前記特定信号表示時間に基づき、前記次信号機において前記特定色信号の点灯が終了するまでの残り時間の情報を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする請求項2記載の車載装置。
【請求項4】
前記解析手段は、前記映像データに映し出された信号機の夫々について、前記特定信号表示時間を導出すると共に、車両進路上流側又は下流側で隣接する信号機との前記特定色信号の点灯開始時刻の差である相対オフセット時間を導出する構成にされ、
前記解析結果記憶手段は、前記解析手段により導出された相対オフセット時間を、前記特定信号表示時間と共に、該当信号機の設置位置を表す情報に関連付けて、記憶すること
を特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の車載装置。
【請求項5】
前記解析手段が、前記映像データに映し出された信号機の夫々について、前記特定信号表示時間を導出すると共に、車両進路上流側又は下流側で隣接する信号機との前記特定色信号の点灯開始時刻の差である相対オフセット時間を導出し、
前記解析結果記憶手段が、前記解析手段により導出された相対オフセット時間を、前記特定信号表示時間と共に、該当信号機の設置位置を表す情報に関連付けて、記憶する
請求項2記載の車載装置であって、
前記車両情報取得手段が取得した車両情報と、前記信号機マップとに基づき、自車両が次に通過する次信号機を特定する次信号機特定手段と、
前記映像データ取得手段が取得した前記映像データに基づき、前記映像データに映し出された自車両進路上の信号機が前記特定色信号の点灯を開始したことを検知して、この信号機を、基準信号機に設定すると共に、この信号機が前記特定色信号の点灯を開始した時刻である特定表示開始時刻を、基準時刻に設定する基準設定手段と、
前記基準設定手段により設定された前記基準信号機と前記次信号機特定手段により特定された次信号機との前記特定色信号の点灯開始時刻の差である次信号機オフセット時間を、前記解析結果記憶手段が記憶する前記相対オフセット時間に基づき、導出する次信号機オフセット時間導出手段と、
前記基準設定手段により設定された前記基準時刻と、前記次信号機オフセット時間導出手段により導出された前記次信号機オフセット時間と、に基づき、前記次信号機特定手段により特定された次信号機における前記特定色信号の点灯開始時刻を推定する開始時刻推定手段と、
前記映像データ取得手段が取得した前記映像データに基づき、前記次信号機特定手段により特定された次信号機が前記特定色信号を点灯中であるか否かを判定する状態判定手段と、
前記状態判定手段により前記次信号機が特定色信号を点灯中であると判定され、且つ、前記開始時刻推定手段により前記次信号機における前記特定色信号の点灯開始時刻が推定されると、前記開始時刻推定手段により推定された点灯開始時刻、及び、前記解析結果記憶手段が記憶する前記次信号機の前記特定信号表示時間に基づき、前記次信号機において前記特定色信号の点灯が終了するまでの残り時間を導出する残り時間導出手段と、
前記残り時間導出手段により導出された残り時間の情報を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする車載装置。
【請求項6】
前記解析手段は、更に、前記映像データに映し出された信号機の夫々について、この信号機のサイクル長を導出する構成にされ、
前記解析結果記憶手段は、更に、前記解析手段により導出された前記サイクル長を、該当信号機の設置位置を表す情報に関連付けて、記憶すること
を特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の車載装置。
【請求項7】
前記解析手段が、更に、前記映像データに映し出された信号機の夫々について、この信号機のサイクル長を導出し、
前記解析結果記憶手段が、更に、前記解析手段により導出された前記サイクル長を、該当信号機の設置位置を表す情報に関連付けて、記憶する
請求項5記載の車載装置であって、
前記開始時刻推定手段は、前記状態判定手段により前記次信号機が前記特定色信号を点灯中であると判定されている場合に、前記基準設定手段により設定された前記基準時刻と、前記次信号機オフセット時間導出手段により導出された前記次信号機オフセット時間と、前記解析結果記憶手段が記憶する前記次信号機のサイクル長と、に基づき、前記次信号機において点灯中の前記特定色信号の点灯が開始された時刻を、前記特定色信号の点灯開始時刻として推定する手段であること
を特徴とする車載装置。
【請求項8】
前記開始時刻推定手段は、前記状態判定手段により前記次信号機が前記特定色信号を点灯中ではない判定されている場合、前記基準設定手段により設定された前記基準時刻と、前記次信号機オフセット時間導出手段により導出された前記次信号機オフセット時間と、前記解析結果記憶手段が記憶する前記次信号機のサイクル長と、に基づき、前記次信号機において現在から最も近い未来に前記特定色信号の点灯が開始される時刻を、前記特定色信号の点灯開始時刻として推定する構成にされ、
前記残り時間導出手段は、前記状態判定手段により前記次信号機が特定色信号を点灯中ではないと判定され、且つ、前記開始時刻推定手段により前記次信号機における前記特定色信号の点灯開始時刻が推定されると、前記開始時刻推定手段により推定された点灯開始時刻までの残り時間を導出する構成にされていること
を特徴とする請求項7記載の車載装置。
【請求項9】
前記特定色信号は、青信号及び赤信号であり、
前記解析手段は、前記特定信号表示時間として、前記映像データに映し出された信号機が青信号の点灯を開始してから終了するまでの時間である青信号表示時間、及び、前記映像データに映し出された信号機が赤信号の点灯を開始してから終了するまでの時間である赤信号表示時間、を導出する構成にされ、
更に、前記車載装置は、前記信号機マップに基づき、前記解析手段によって前記赤信号表示時間が導出された信号機に交差する信号機の青信号表示時間を、前記赤信号表示時間に基づき推定する青信号表示時間推定手段を備え、
前記解析結果記憶手段は、前記解析手段により導出された前記青信号表示時間及び前記赤信号表示時間の夫々を、該当信号機の設置位置を表す情報に関連付けて、記憶すると共に、前記青信号表示時間推定手段により推定された前記青信号表示時間の夫々を、該当信号機の設置位置を表す情報に関連付けて、記憶すること
を特徴とする請求項2記載の車載装置。
【請求項10】
前記車両情報取得手段が取得した車両情報と、前記信号機マップとに基づき、自車両が次に通過する信号機である次信号機を特定する次信号機特定手段と、
前記映像データ取得手段が取得した前記映像データに基づき、前記次信号機特定手段により特定された次信号機が前記青信号及び赤信号のいずれか一方の点灯を開始したことを検知する開始時刻検知手段と、
前記開始時刻検知手段により前記次信号機が前記青信号及び赤信号のいずれか一方の点灯を開始したことが検知されると、前記解析結果記憶手段が記憶する前記次信号機の前記特定信号表示時間であって、点灯が開始された信号についての前記特定信号表示時間の情報に基づき、前記次信号機において点灯が開始された信号の当該点灯が終了するまでの残り時間の情報を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする請求項9記載の車載装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2010−230561(P2010−230561A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−79793(P2009−79793)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(399031827)エイディシーテクノロジー株式会社 (163)
【Fターム(参考)】