説明

車載計器群のためのレンズ組立体

車載計器群レンズ組立体において所望の照明効果を達成するための車載計器群レンズ組立体は、入射光(56)を偏光された光に変換するための関連した偏光配向(60)を有する第一層(44)を備え、前記偏光された光は偏光配向に対応する第一配向を有する。第二層(42)は偏光された光を受光し、かつ偏光された光の第一配向を第一配向とは異なる第二配向(66)に変化させる。表面(28)は第二層からの偏光された光を受光し、かつ第二層へ向う方向で、偏光された光の少なくとも一部を反射する。第二層により、偏光された光の第二配向は、第一層の偏光配向とは異なる第三配向(68)に変化し、偏光された光が車の乗員に伝達されるのを防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載表示装置、特に乗員への眩しい光を低減するための偏光子と光リターダーを有する車載レンズ組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
速度計と回転速度計を有する計器群のような車載表示装置は一般的に車の乗員に重要な車載情報を表示する。従来の車載表示装置は通常回路基板を支持するハウジングを備えている。一つ以上の光源が回路基板上に載置され、ハウジング内部で表示面を照明し、計器類に電力を供給し、かつ計器類を照明するのが一般的である。明るく透明なレンズは車の乗員と照明される表示面の間のハウジングの前面に載置され、表示面と計器類を保護する。
【0003】
選択された車載表示装置は明るいレンジの代わりにハウジングの前面に載置されたスモークレンズを利用する。表示面と計器類を保護することに加えて、スモークレンズにより所望の外観が得られる(言い換えればスモークレンズ効果)。スモークレンズ効果を生み出すために、従来のスモークレンズは、計器類が車の乗員に対してほんの最小限だけ見えるように、車のスイッチを切った際、計器類の外観を暗くするために濃く色付けされている。
車のスイッチが入ると、光源は計器類を照明し、かつスモークレンズを通して車の乗員に見える。
【0004】
通常、スモークレンズ効果を最大限に得るために、周囲環境から来る光がスモークレンズを通って入り、表示面で反射するのを防ぐのが所望される。従来のスモークレンズにより、反射光はスモークレンズを通って伝達して車の乗員に戻る。これにより車のスイッチが切れると計器類の見え方は悪くなり、スモークレンズ効果は減る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、表示面で反射された光がレンズを通って伝達され、車の乗員に戻るのを防ぐ車載計器群レンズ組立体にとっては、所望のスモークレンズ効果を提供する必要がある。
【0006】
本発明による車載計器盤用の車載計器群レンズ組立体の一例は、偏光配光に対応する第一配向を有する直線的に偏光された光に入射光を変換するための関連した偏光配光を有する第一層を備えている。第二層は直線的に偏光された光を受光し、かつ直線的に偏光された光の第一配向を第一配向とは異なる第二配向へ変化させる。表面は第二層からの直線的に偏光された光を受光し、第二層に向う方向で直線的に偏光された光の少なくとも一部を反射する。次いで第二層は、直線的に偏光された光の第二配向を、第一層が直線的に偏光された光を吸収するように、第一層の偏光配向とは異なる第三配向に変化させる。
【0007】
一例において、本発明による車載レンズ組立体は偏光子を備えており、この偏光子は偏光配向に対応する第一配向を有する直線的に偏光された光に入射光を変換するための関連した偏光配向を有している。光リターダーは直線的に偏光された光を受光し、かつ直線的に偏光された光の第一配向を第一配向とは異なる第二配向に変化させる。表面は光リターダーからの直線的に偏光された光を受光し、かつ光リターダーへ向う方向で直線的に偏光された光を反射する。光リターダーは直線的に偏光された光の第二配向を偏光子の偏光配向とは異なる第三配向に変化させる。光源は偏光子に向って表面を通過する表示光を放出する。表面は偏光子に向って表示光の少なくとも一部を伝達する。
【0008】
本発明による車載計器群レンズ組立体で所望のスモークレンズ効果を達成するための方法は、第一配向を有する直線的に偏光された光を作るために入射光を偏光し、かつ直線的に偏光された光の第一配向を、第一配向とは異なる第二配向へ変化させる工程を備えている。これらの工程の後には、第二配向を有する直線的に偏光された光を作るために直線的に偏光された光を反射し、かつ直線的に偏光された光の第二配向を、第二配向とは異なる第三配向へ変化させる工程が続く。別の工程では、反射された直線的に偏光された光は、吸収されて、車の乗員に伝達するのを防ぐことができる。
【0009】
したがって、この発明は、表示光がレンズを通って伝達される一方で、計器群に入る入射光が逃げるのを防ぐために協働する偏光子と光リターダーを有する計器群レンズ組立体を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の様々な特徴と長所は、好ましい実施形態の以下に述べる詳細な説明から、当業者には明らかになる。
【実施例】
【0011】
図1は車載情報を車10の乗員へ伝達する車載計器群のような計器盤12を有する車10の選択された部分を示す。図示した例において、車載計器盤12は速度計あるいはタコメータのような車載計器14を備えている。車載計器14の背面にある照明される表示面16には、例えば計器類14を利用するための数字、文字あるいは目盛が設けられている。
【0012】
図2には、図1の計器盤12が概略的に示してあり、この計器盤はレンズ20を支持するハウジング18を備えている。この例において、レンズと反対側に配置された光案内組立体22は照明可能な表示面16を照明するための光源24を備えている。光源24は光案内部26を通って進む表示光を生成し、表示光24は光案内部26の表面28で内側に反射される。光案内部26内の光反射面30は表示光を受光し、かつ表示光を光案内部26からレンズ20に向けて反射する。
【0013】
図3はレンズ20の部分を概略的に示している。この例において、レンズ20は光リターダー層42を支持するアクリル基体層40を備えている。光リターダー42はアクリル基体層と偏光子層44の間にある。反射防止フィルム46はこの例では偏光子層44上に配置されている。反射防止フィルム46はふっ化マグネシウム、硫化亜鉛、二酸化チタンあるいはふっ化カルシウム材料でできているのが好ましい。レンズ20の層の実例的外形により、以下に述べるように、入射光が照明可能な表示面16で反射するのを防ぎ、表示光が光案内部からレンズ20を通って伝えられる一方で、入射光がレンズを介して戻ってくるのを防ぐという長所が得られる。
【0014】
図4に示した例において、レンズ20は車10の周囲からの入射光56を受光する。この例では入射光56は矢印58により示した通り非偏光である。この記述で使用されているような用語「非偏光」とは入射光56の伝播方向に対して直交する複数の方向を有する入射光56の電磁気成分を指す。この図において入射光56は反射防止フィルム46を通って伝達され、かつ反射防止フィルム46により偏光されない。
【0015】
偏光子層44は関連した偏光配向60を有する。この例では偏光子層44により、偏光配向60と一列に並んだ入射光56の電磁気成分は偏光子層44を貫通できるが、偏光配向60と一列に並んでいない入射光56の電磁気成分は吸収される。すなわち、偏光配向60は直線的であり、かつ偏光配向により単光は通過することができる。従って偏光子層44により入射光56は、偏光子層44の偏光配向60に対応する関連した第一配向を有する直線的に偏光された光62に変化する。
【0016】
直線的に偏光された光62は偏光子層44から光リターダー層42により収容される。光リターダー層42は、図において直線的に偏光された光62の第一配向成分64を図において約45°時計方向に第二配向成分へ変化させる。直線的に偏光された光62は、直線的に偏光された光62の配向を著しく変化させるアクリル基体層40が無くても、アクリル基体層40を通って光リターダー層42から出て進む。この例においてアクリル基体層40は光学的に不活性である。すなわちアクリル基体層40は、アクリル基体層40を通過する光をあまり偏光したり、反射したり、あるいは回析させたりもしない。
【0017】
直線的に偏光された光62は光案内部26の表面28に衝突し、かつ表面28で反射して、レンズ20に向かって戻る。表面28に反射すると、直線的に偏光された光62の第二配向は変化しない。直線的に偏光された光62は、アクリル基体層40を通って伝達し、光リターダー層42内に戻る。光リターダー層42により、直線的に偏光した光62の第二配向は図の時計方向で45°第三配向へ変化する。
【0018】
この例において、第三配向68は偏光子層44の偏光配向60に対して直交している。結果として、第三配向68を有する直線的に偏光された光62が偏光子層44に衝突すると、偏光子層44は車の乗員に向かって光を透過させずに、直線的に偏光された光62を吸収する。したがって、別のやり方で車の乗員に向かって反射し、かつ公知の計器盤パネル組立におけるスモークされたレンズ効果を減らす入射光56は、レンズ26により吸収され、それにより入射光が乗員に達するのを防ぐことができる。
【0019】
一実施例において、偏光子層44はポリエチレン材料でできている。ポリエチレン材料は、偏光効果を生むために知られている通り、ポリエチレン材料の分子を配向するために方向上伸ばされた比較的薄いフィルムから成るのが好ましい。光リターダー層42はポリマー材料でできているのが好ましい。代替え的に、光リターダー層42は無機材料または雲母を含む無機材料でできていてもよいが、これらの材料は壊れやすく、かつ高度に彎曲したレンズ形状には適していないかもしれない。
【0020】
別の例において、光リターダー層42と偏光子層44はアクリル基体層40が物理的な支持に関して必要とされない程度十分厚く作られている。
【0021】
光源24は光案内部26を通って伝達する表示光68を生成する。表示光68は58で示したように、この例では偏光されていない。表示光68は、面28を通ってレンズ29に向かう表示光68を反射する光反射面30により受光される。表示光68の反射は表示光68を変化させないのが、すなわち偏光させないのが重要である。
【0022】
表示光68は上記に記載されたように光学的に活性的であるアクリル基体層40により受光される。光リターダー層42により表示光68の配向は変わる。しかしながらこの例において、表示光68は偏光していないので、配向の変化には何の効果もない。表示光68は偏光子層44により受光され、この偏光子層は偏光配向60と整列された表示光68の電磁気成分を伝達し、かつ偏光配向60を横切る表示光68の電磁気成分を吸収する。従って偏光子層44から伝達される表示光68は偏光配向60に対応する配向を有する。表示光68の電磁気成分の幾つかの成分の損失により、表示光68の輝度は減少するが、輝度の減少は例えば色合いを含む予め知られたスモークレンズに似ているかあるいはそれよりも少ない。
【0023】
模範的なレンズ20により、計器盤12の反射されるかなりのパーセンテージの入射光56を吸収する利点が得られる一方で、光源24からの表示光の伝達が所望のスモークレンズ効果を生じさせることができる。一例において、入射光56の約99%は偏光子層44により吸収される。すなわち、レンズ20を通って計器盤12に入る入射光のたった約1%だけが乗車員に向って反射されるにすぎない。別の例において、光源24からの表示光68の半分だけは偏光子44により低減される。この半分とは計器盤の内部の照光可能な面のための一般的に受入れられる損失分である。
【0024】
本発明の好ましい実施例を開示してきたが、当業者はいくらかの変形がこの発明の範囲内で出てくるのがわかる。この理由で、従属請求項は本発明の実際の範囲と内容を特定するために検討しなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明による実例的計器盤を有する車の選択された部分を示す図である。
【図2】本発明による車載レンズ組立体を有する図1の実例的計器盤の選択された部分を示す図である。
【図3】実例的車載レンズ組立体の層の概略図である。
【図4】グレアを低減するために作用している車載レンズ体装置の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
眩しさを低減するための車載計器群レンズ組立体において、
入射光を偏光された光に変換するための偏光配向を有する第一層を備え、前記偏光された光が偏光配向に対応する第一配向を有しており、
偏光された光を受光し、かつ偏光された光の第一配向を、第一配向とは異なる第二配向に変化させるための第二層を備えており、
第二層からの偏光された光を受光し、かつ第二層へ向う方向で、偏光された光の少なくとも一部を反射するための面を備えており、この場合、第二層により、偏光された光の第二配向が第一層の偏光配向とは異なる第三配向に変化するように構成されていることを特徴とする車載計器群レンズ組立体。
【請求項2】
第二配向が第一配向から約45°変化していることを特徴とする請求項1記載のレンズ組立体。
【請求項3】
第二配向が偏光配向から約90°変化していることを特徴とする請求項1記載のレンズ組立体。
【請求項4】
入射光が第一層に当る前に、入射光の少なくとも一部を反射するための第一層上に、さらに反射防止層を備えていることを特徴とする請求項1記載のレンズ組立体。
【請求項5】
反射防止層が少なくとも一層のふっ化マグネシウム、硫化亜鉛、二酸化チタン及びふっ化カルシウムから成ることを特徴とする請求項4記載のレンズ組立体。
【請求項6】
第一層がポリエチレンフィルムから成ることを特徴とする請求項1記載のレンズ組立体。
【請求項7】
第二層が少なくとも一層のポリマーフィルム、無機質層および雲母を含む層から成ることを特徴とする請求項1記載のレンズ組立体。
【請求項8】
さらに第二層と表面の間にアクリル基体を備え、このアクリル基体が第二層を支持していることを特徴とする請求項1記載のレンズ組立体。
【請求項9】
表面が光反射器へ向う第一方向で表示光を放出するための光源を有する光案内部の外表面を備えており、光反射器が第一方向に対して横切りかつ表面に向う第二方向で表示光を反射しており、表面が第二層に向かう表示光の少なくとも一部を伝達していることを特徴とする請求項1記載のレンズ組立体。
【請求項10】
偏光配向が入射光を直線的に偏光された光に変換するために直線的である
ことを特徴とする請求項1記載のレンズ組立体。
【請求項11】
眩しさを低減するための車載計器群レンズ組立体において、
入射光を直線的に偏光された光に変換するための偏光配向を有する偏光子を備えており、前記偏光された光が偏光配向に対応する第一配向を有しており、
偏光された光を受光し、かつ偏光された光の第一配向を、第一配向とは異なる第二配向に変化させるための光リターダーを備えており、
光リターダーからの直線的に偏光された光を受光し、かつ光リターダーへ向う方向で、直線的に偏光された光を反射するための面を備えており、
この場合、光リターダーにより、直線的に偏光された光が、偏光子の偏光配向とは異なる第三配向に変化し、
前記面を通って偏光子に向う表示光を放出するための光源を備えており、前記面が偏光子に向う表示光の少なくとも一部を伝達していることを特徴とするレンズ組立体。
【請求項12】
偏光子と光リターダーが協働して、入射光と表示光の各々の一部を吸収しており、吸収される入射光の部分が吸収される表示光の部分よりも多いことを特徴とする請求項11記載のレンズ組立体。
【請求項13】
光源から第一方向で表示光を受光し、かつ第一方向で横切り、表面に向う第二方向で表示光を反射するための光反射器をさらに備えていることを特徴とする請求項11記載のレンズ組立体。
【請求項14】
偏光子がポリエチレンフィルムから成ることを特徴とする請求項12記載のレンズ組立体。
【請求項15】
光リターダーが少なくとも一層のポリマーフィルム、無機質層および雲母を含む層から成ることを特徴とする請求項14記載のレンズ組立体。
【請求項16】
車載計器群レンズ組立体において所望の照明効果を達成するための方法において、以下の工程、すなわち
(a)第一配向を有する偏光された光を作るために入射光を偏光する工程、
(b)偏光された光の第一配向を、第一配向とは異なる第二配向へ変化させる工程、
(c)第二配向を有する反射され偏光された光を作るために偏光された光を反射する工程、
(d)反射され偏光された光の第二配向を、第二配向とは異なる第三配向へ変化させる工程、及び
(e)反射され偏光された光を吸収する工程を備えていることを特徴とする方法。
【請求項17】
工程(b)が第二配向に対して約45°第一配向を変化させる工程を備えていることを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項18】
工程(d)が第三配向に対して約45°第二配向を変化させる工程を備えていることを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項19】
工程(e)が第三配向と約90°異なる偏光配向を有する偏光子を備えた反射され偏光された光を吸収する工程を備えていることを特徴とする請求項16記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−522200(P2008−522200A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−530362(P2007−530362)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【国際出願番号】PCT/US2005/031167
【国際公開番号】WO2006/028914
【国際公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(504469536)シーメンス・ブイディーオー・オートモーティブ・コーポレイション (16)
【Fターム(参考)】