説明

車輪位置検出装置およびそれを備えたタイヤ空気圧検出装置

【課題】受信強度や受信数を測定する必要なく、かつ、トリガ機を用いなくても車輪位置の特定が行えるようにする。
【解決手段】車輪位置検出を行う際には、右側車輪群5a、5cと左側車輪群5b、5dとで送信タイミングを異ならせつつ、右側車輪群5a、5cの両送信機2a、2cから同時にフレーム送信させると共に、左側車輪群5b、5dの両送信機2b、2dから同時にフレーム送信させる。このようにすることで、右側車輪群5a、5cと左側車輪群5b、5dのうち、受信アンテナ31から近い方の両後輪5c、5dの送信機2c、2dのフレームのみが受信されるようにできる。これにより、両後輪5c、5dの送信機2c、2dを特定できることから、その後に送られてくる4輪分のフレームを受信した時に、そのフレームに格納された回転方向情報を利用することで、4輪すべての送信機2a〜2dを特定することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象車輪が車両のどの位置に搭載されている車輪かを自動的に検出する車輪位置検出装置に関するもので、特に、タイヤが取り付けられた車輪に圧力センサが備えられた送信機を直接取り付け、その圧力センサの検出結果を送信機から送信し、車体側に取り付けられた受信機によって受信することで、タイヤ空気圧の検出を行うダイレクト式のタイヤ空気圧検出装置に適用して好適である。
【背景技術】
【0002】
従来より、タイヤ空気圧検出装置の1つとして、ダイレクト式のものがある。このタイプのタイヤ空気圧検出装置では、タイヤが取り付けられた車輪側に、圧力センサ等のセンサが備えられた送信機が直接取り付けられている。また、車体側には、アンテナおよび受信機が備えられており、センサからの検出信号が送信機から送信されると、アンテナを介して受信機にその検出信号が受信され、タイヤ空気圧の検出が行われる。
【0003】
このようなダイレクト式のタイヤ空気圧検出装置では、送信されてきたデータが自車両のものであるかどうか及び送信機がどの車輪に取り付けられたものかを判別できるように、送信機が送信するデータ中に、自車両か他車両かを判別するため及び送信機が取り付けられた車輪を判別するためのID情報を個々に付与している。
【0004】
送信データに含まれるID情報から送信機の位置を特定するためには、各送信機のID情報を各車輪の位置と関連づけて受信機側に予め登録しておく必要がある。このため、タイヤのローテーション時には、送信機のID情報と車輪の位置関係を受信機に登録し直す必要がある。
【0005】
これに対して、各送信機に対応して設けられたトリガ機から送信機にトリガ信号を送信し、それに同期して送信機からID情報を含んだデータを受信機に送信することにより、送信機のID情報と車輪の位置関係を受信機に登録する方法が提案されている(特許文献1参照)。また、各送信機に付されているバーコードを読み込んで送信機のID情報を受信機に登録する方法も提案されている。しなしながら、これらの方法では、ID登録による工数が増加すると共に、トリガ機やバーコードリーダ等の部品点数の増加によってコストが上昇するという問題がある。また、タイヤローテーション時に、ID情報の登録作業が発生し作業効率が悪くなってしまう等の問題が発生する。このため、送信機のID情報登録作業を自動的に行うことができるシステムが求められている。
【0006】
このような自動的な登録作業を行うものとして、2軸の加速度センサを用いて左右輪のいずれであるかを検出すると共に、RFデータの受信強度に基づいて前後輪のいずれであるかを検出することで、4輪それぞれのタイヤ位置を検出する方法がある(特許文献2参照)。また、複数のアンテナで受信した受信強度を累積的に計測し、この受信強度により送信機の位置を判定する方法(特許文献3参照)や、各輪に装着された送信機から送られる信号のRSSI(Received Signal Strength Indicator)値の分布により送信機の位置を判定する方法(特許文献4参照)がある。
【0007】
さらに、車体側に備えたトリガ機からトリガ信号を出力し、そのトリガ信号の受信強度がトリガ機と各送信機との距離に応じて変化することを利用し、トリガ信号の受信強度に基づいて車輪位置の特定を行うものもある(特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3212311号公報
【特許文献2】米国特許第7010968号明細書
【特許文献3】米国特許第6018993号明細書
【特許文献4】米国特許第6489888号明細書
【特許文献5】特開2007−15491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献2、3に記載の方法では、前後輪のいずれであるかを判定するために、送信機からのRFデータのRSSI値を比較したり、もしくは、受信数を比較することが必要となるため、受信強度を求める装置(ピークディテクター)が必要になったり、受信数の計測を行う必要がある。また、特許文献4に記載の方法でも、RSSI値を用いているため、受信強度を求める装置が必要になる。さらに、引用文献5に記載の方法では、車輪位置の特定にトリガ機が必要になるため、部品点数の増加によってコストが上昇するという問題が避けられない。このため、受信強度や受信数によらずに、かつ、トリガ機を用いなくても車輪位置の特定が行えるようにできるようにすることが望まれる。
【0010】
本発明は上記点に鑑みて、受信強度や受信数を測定する必要なく、かつ、トリガ機を用いなくても車輪位置の特定が行える車輪位置検出装置およびそれを備えたタイヤ空気圧検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、受信機(3)のうちの少なくとも受信アンテナ(31)を車両(1)の両前輪(5a、5b)と両後輪(5c、5d)のいずれか一方からの距離が他方からの距離よりも近づくように配置し、送信機(2a〜2d)では、右側車輪(5a、5c)に取り付けられた送信機(2a、2c)から同時にフレームの送信を行うと共に、この送信タイミングとは異なるタイミングで左側車輪(5b、5d)に取り付けられた送信機(2b、2d)から同時にフレームの送信を行うモードと、4つの車輪(5a〜5d)それぞれに取り付けられた送信機(2a〜2d)より異なるタイミングでフレームの送信を行うモードとを行い、受信回路(32)では、複数のフレームが同時に送信されると、最も信号強度が大きなフレームのみを受信する。そして、第2制御部(33)は、右側車輪(5a、5c)に取り付けられた送信機(2a、2c)から同時にフレームの送信が行われたときに受信したフレームを右側車輪(5a、5c)のうち受信アンテナ(31)から近い方に取り付けられた送信機(2c)のものであると特定し、左側車輪(5b、5d)に取り付けられた送信機(2b、2d)から同時にフレームの送信が行われたときに受信したフレームを左側車輪(5b、5d)のうち受信アンテナ(31)から近い方に取り付けられた送信機(2d)のものであると特定し、さらに、4つの車輪(5a〜5d)それぞれに取り付けられた送信機(2a〜2d)より異なるタイミングでフレームの送信が行われたときに受信したフレームの中で、右側車輪(5a、5c)のうち受信アンテナ(31)から近い方に取り付けられた送信機(2c)と左側車輪(5b、5d)のうち受信アンテナ(31)から近い方に取り付けられた送信機(2d)のフレームと異なる識別情報を有するフレームについて、当該フレームに含まれる回転方向情報に基づき、右側車輪(5a、5c)のうち受信アンテナ(31)から遠い方に取り付けられた送信機(2a)と左側車輪(5b、5d)のうち受信アンテナ(31)から遠い方に取り付けられた送信機(2b)のフレームを特定することで、送信機(2a〜2d)がそれぞれ4つの車輪(5a〜5d)のいずれに取り付けられたものであるかを特定することを特徴としている。
【0012】
このように、車輪位置検出を行う際には、右側車輪(5a、5c)と左側車輪(5b、5d)とで送信機(2a〜2d)からのフレームの送信タイミングを異ならせつつ、右側車輪(5a、5c)の両送信機(2a、2c)から同時にフレーム送信させると共に、左側車輪(5b、5d)の両送信機(2b、2d)から同時にフレーム送信させるようにしている。このようにすることで、右側車輪(5a、5c)と左側車輪(5b、5d)のうち、受信アンテナ(31)から近い方の車輪(5c、5d)の送信機(2c、2d)のフレームのみが受信されるようにできる。これにより、受信アンテナ(31)から近い方の車輪(5c、5d)の送信機(2c、2d)を特定できることから、4輪分のフレームを受信した時に、そのフレームに格納された回転方向情報を利用することで、4輪すべての送信機(2a〜2d)を特定することが可能となる。
【0013】
したがって、受信強度や受信数を測定する必要なく、かつ、トリガ機を用いなくても車輪位置の特定を行うことが可能となる。例えば、送信機(2a〜2d)において、第1制御部(23)で周波数偏移変調によってフレームを作成するようにすれば、複数同時にフレーム送信が行われた場合に、受信強度の最も大きなフレームのみが受信機(3)で受信されるようにできる。
【0014】
また、請求項2に記載したように、車輪回転方向検出手段(22)としては、送信機(2a〜2d)が取り付けられた車輪(5a〜5d)の回転時に当該車輪(5a〜5d)の周方向に垂直な両方向の加速度を検出する加速度センサ(22a)と周方向に平行な両方向の加速度を検出する加速度センサ(22b)とを有する2軸加速度センサを適用することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明では、送信機(2a〜2d)は、2軸加速度センサに含まれる加速度センサ(22a、22b)にて検出される加速度から車速を演算し、右側車輪(5a、5c)と左側車輪(5b、5d)のいずれか一方の送信機(2a、2c)については該車速が所定車速に達すると同時にフレームの送信を行い、他方の送信機(2b、2d)については該車速が所定車速に達してから所定時間経過後に同時にフレームの送信を行うことを特徴としている。
【0016】
このように、車速が所定速度以上になったことをトリガとしてフレーム送信が行われるようにすることで、右側車輪(5a、5c)の両送信機(2a、2c)の送信タイミングを合わせられると共に、左側車輪(5b、5d)の両送信機(5a、5c)の送信タイミングを合わせることが可能となる。また、車速が所定速度以上になってからフレーム送信が行われるようにすることで、停車時にフレーム送信が行われないようにでき、電池寿命の向上を図ることが可能となる。また、車両(1)にはスペアタイヤが搭載され、スペアタイヤにも送信機が備えられることが想定される。しかしながら、スペアタイヤは車両(1)の走行に伴って回転しないため、車速が所定速度以上になったことをトリガとしてフレームの送信を行うようにすることで、スペアタイヤに取り付けられた送信機からはフレームの送信が行われないようにできる。このため、スペアタイヤに送信機が備えられるような場合でも、的確に車輪位置検出を行うことが可能となる。
【0017】
請求項4に記載の発明では、送信機(2a〜2d)は、右側車輪(5a、5c)に取り付けられた送信機(2a、2c)から同時にフレームの送信を行うと共に、この送信タイミングとは異なるタイミングで左側車輪(5b、5d)に取り付けられた送信機(2b、2d)から同時にフレームの送信を行うモードの際には、4つの車輪(5a〜5d)それぞれに取り付けられた送信機(2a〜2d)より異なるタイミングでフレームの送信を行うモードのときよりも、フレームの長さを長く構成していることを特徴としている。
【0018】
各送信機(2a〜2d)から同時にフレーム送信が行われるようにする場合に、若干そのタイミングがずれることも想定される。したがって、フレーム送信を同時に行う際にはフレームの長さを長くすることで、フレームの少なくとも一部が重複するようにでき、より確実に同時に行われたフレーム送信のうちの最も信号強度の大きなもののみが受信機(3)で受信されるようにすることができる。
【0019】
上記請求項1ないし4では、車輪位置検出装置として本発明を示したが、請求項5に示されるように、この車輪位置検出装置をタイヤ空気圧検出装置に組み込むことも可能である。すなわち、送信機(2a〜2d)に、4つの車輪(5a〜5d)それぞれに備えられたタイヤの空気圧に応じた検出信号を出力するセンシング部(21)を備え、第1制御部(23)によってセンシング部(21)の検出信号を信号処理したタイヤ空気圧に関する情報をフレームに格納して受信機(3)に送信されるようにし、受信機(3)では、第2制御部(33)にて、該タイヤ空気圧に関する情報より、4つの車輪(5a〜5d)それぞれに備えられたタイヤの空気圧を検出するようにすることができる。
【0020】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる車輪位置検出装置が適用されるタイヤ空気圧検出装置の全体構成を示す図である。
【図2】送信機2a〜2dおよび受信機3のブロック構成を示す図である。
【図3】フレーム構成の一例を示した図である。
【図4】送信機2に備えられた車輪回転方向検出部22の各車輪5a〜5dへの搭載形態の一例と、その搭載形態とした場合に各加速度センサ22a、22bで検出される加速度の出力波形を示した図である。
【図5】送信タイミングと受信可能データとの関係を表した図である。
【図6】車輪5a〜5dの回転角度と各送信機2a〜2dからフレームを送信したときの電波の電界強度と受信機3の受信感度の関係を示した図である。
【図7】(a)は、送信機2a〜2dのマイクロコンピュータ23が行う処理を示したフローチャート、(b)は、受信機3のマイクロコンピュータ33が行う処理を示したフローチャートである。
【図8】車輪位置検出処理を行ったときのタイミングチャートである。
【図9】他の実施形態で説明する車輪位置検出装置が適用されるタイヤ空気圧検出装置の全体構成を示す図である。
【図10】最初に送信されるフレームの構成例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0023】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態における車輪位置検出装置が適用されるタイヤ空気圧検出装置の全体構成を示す図である。図1の紙面左方向が車両1の前方、紙面右方向が車両1の後方に一致する。この図を参照して、本実施形態におけるタイヤ空気圧検出装置について説明する。
【0024】
図1に示すように、タイヤ空気圧検出装置は、車両1に取り付けられるもので、送信機2(2a〜2d)、受信機3および表示器4を備えて構成されている。
【0025】
図1に示すように、送信機2a〜2dは、車両1における各車輪5a〜5dに取り付けられるもので、車輪5a〜5dに取り付けられたタイヤの空気圧を検出すると共に、その検出結果を示すタイヤ空気圧に関する情報をフレーム内に格納してRF送信するものである。また、受信機3は、車両1における車体6側に取り付けられるもので、送信機2a〜2dから送信されたフレームをRF受信すると共に、その中に格納された検出信号に基づいて各種処理や演算等を行うことで車輪位置検出およびタイヤ空気圧検出を行うものである。送信機2a〜2dは、FSK(周波数偏移変調)によりフレームを作成し、受信機3は、そのフレームを復調することでフレーム内のデータを読取ることで、車輪位置検出およびタイヤ空気圧検出を行っている。図2に送信機2a〜2dおよび受信機3のブロック構成を示す。
【0026】
図2(a)に示すように、送信機2(2a〜2d)は、センシング部21、車輪回転方向検出部22、マイクロコンピュータ23、送信アンテナ24および電池25を備えた構成となっており、電池25からの電力供給に基づいて各部が駆動される。
【0027】
センシング部21は、例えばダイアフラム式の圧力センサ21aや温度センサ21bを備えた構成とされ、タイヤ空気圧に応じた検出信号や温度に応じた検出信号を出力する。車輪回転方向検出部22は、送信機2が、車輪回転方向が互いに逆である右側車輪群5a、5cと左側車輪群5b、5dのいずれに取り付けられているのかを検出するものであり、本発明の車輪回転方向検出手段に相当する。車輪回転方向検出部22には、2つの加速度センサ22a、22b(図4参照)からなる2軸加速度センサが設けられている。これらの加速度センサ22a、22bに機能については後述する。
【0028】
マイクロコンピュータ23は、制御部(第1制御部)や送信部などを備えた周知のもので、制御部内のメモリに記憶されたプログラムに従って、所定の処理を実行する。制御部内のメモリには、各送信機2a〜2dを特定するための送信機固有の識別情報と自車両を特定するための車両固有の識別情報とを含む個別のID情報が格納されている。
【0029】
マイクロコンピュータ23は、センシング部21からのタイヤ空気圧に関する検出信号を受け取り、それを信号処理すると共に必要に応じて加工し、そのタイヤ空気圧に関する情報を各送信機2a〜2dのID情報と共にフレーム内に格納する。また、マイクロコンピュータ23は、一定期間中における加速度センサ22a、22bの検出信号をモニタしており、各送信機2a〜2dが取り付けられた車輪5a〜5dの回転方向を検出している。そして、マイクロコンピュータ23では、この回転方向、つまり右側車輪群5a、5cと左側車輪群5b、5dのいずれに取り付けられた送信機2であるか示す回転方向情報をタイヤ空気圧に関するデータが格納されたフレームに格納している。
【0030】
図3は、フレーム構成の一例を示した図である。この図に示すフレームは、車輪位置検出とタイヤ空気圧検出の両方で使用される共通フレームである。この図に示すように、フレームには、送信開始を伝える同期コードを先頭に、各送信機2に付与された個々のID情報、回転方向情報、タイヤ空気圧に関する情報(空気圧や温度)、電池電圧情報や送信機自身が送信するデータに誤りが検出されたことを示す誤り検出情報等が格納されている。これらのうちの回転方向情報が送信機2a〜2dが右側車輪群5a、5cと左側車輪群5b、5dのいずれに取り付けられているのかを検出するために用いられ、タイヤ空気圧に関する情報が各車輪5a〜5dのタイヤ空気圧の検出に用いられる。
【0031】
また、マイクロコンピュータ23は、フレームを作成すると、送信部を介して送信アンテナ24より受信機3に向けてフレームを同じ信号強度(電波の電界強度)で送信している。このフレームを受信機3に向けて送信する処理も、上記プログラムに従って行われる。本実施形態では、マイクロコンピュータ23は車速を求めており、この車速が所定速度(例えば30km/h)に達したときをトリガとして、受信機3へのフレーム送信を開始し、その後は、車速が送信終了速度以下(例えば30km/h未満)になるまで繰り返しフレーム送信を行うようにしている。フレームの最初の送信タイミングについては、車輪5a〜5dの回転方向、つまり右側車輪群5a、5cであるか左側車輪群5b、5dであるかに応じて決められており、右側車輪群5a、5cに取り付けられた両送信機2a、2cが同時、左側車輪群5b、5dに取り付けられた両送信機2b、2dが同時とされる。また、フレームの2回目以降の送信タイミングについては、基本的には各送信機2a〜2d一律に一定周期(例えば1min)毎とされるが、2回目のみ一定周期にランダムディレイを加算した時間に設定される。したがって、最初は送信機2a〜2dの中から2つずつ同時にフレーム送信が行われるモードとされ、その後、各送信機2a〜2dから異なるタイミングでフレーム送信が行われるモードとされる。なお、ランダムディレイは、不規則に設定される遅れ時間であり、マイクロコンピュータ23に記憶された乱数表などによって決まる。
【0032】
このように構成される送信機2a〜2dは、例えば、各車輪5a〜5dのホイールにおけるエア注入バルブに取り付けられ、センシング部21がタイヤの内側に露出するように配置される。これにより、該当するタイヤ空気圧を検出し、上記したように、車速が所定速度を超えると、各送信機2a〜2dに備えられた送信アンテナ24を通じて、所定の送信タイミングの際にフレームを送信することで、受信機3側にタイヤ空気圧に関する信号を定期送信するようになっている。
【0033】
次に、各送信機2に備えられた車輪回転方向検出部22について図4を用いて説明する。図4は、送信機2に備えられた車輪回転方向検出部22の各車輪5a〜5dへの搭載形態の一例と、その搭載形態とした場合に各加速度センサ22a、22bで検出される加速度の出力波形を示した図である。
【0034】
この図に示すように、車輪回転方向検出部22は、異なる方向の加速度を検出する加速度センサ22a、22bを備えた2軸加速度センサにて構成されている。一方の加速度センサ22aは、車輪5a〜5dの回転時に車輪5a〜5dに働く加速度のうち、各車輪5a〜5dの周方向に垂直な両方向の加速度を検出でき、他方の加速度センサ22bは、各車輪5a〜5dの周方向に平行な両方向の加速度を検出できるように配置されている。
【0035】
したがって、加速度センサ22aは、各車輪5a〜5dの周方向に垂直な両方向の加速度を検出し、重力加速度に応じた出力を発生させる。このため、送信機2が車輪5a〜5dの上部位置に位置しているときには、加速度センサ22aは重力加速度を正の値として示す出力となる。そして、車輪5a〜5dが180°回転して、車輪5a〜5dの下部位置に車輪側送受信機2が位置しているときには、重力加速度を負の値として示す出力となる。
【0036】
一方、加速度センサ22bは、各車輪5a〜5dの周方向に平行な両方向の加速度を検出し、加速度センサ22aと同様に、重力加速度に応じた出力を発生させる。しかしながら、加速度センサ22bが加速度センサ22aに対して検出できる加速度の角度が90°ずらされていることから、検出される重力加速度に応じた出力波形の位相も、加速度センサ22aの出力波形の位相から90°ずれたものとなる。すなわち、図4において送信機2が車輪5a〜5dの中心に対して反時計回りに90°ずれた位置にあるときには、重力加速度を負の値として示す出力となる。そして、図4において車輪5a〜5dが180°回転して、送信機2が車輪5a〜5dの中心に対して時計回りに90°ずれた位置にあるときには、重力加速度を正の値として示す出力となる。
【0037】
したがって、図4に示すように、車輪5a〜5dの回転方向が図4に示す反時計回りの場合には、加速度センサ22aの出力波形に対して加速度センサ22bの出力波形の位相が90°進んだ状態となる。逆に、車輪5a〜5dの回転方向が図4に示す時計回りの場合には、加速度センサ22aの出力波形に対して加速度センサ22bの出力波形の位相が90°遅れた状態となる。
【0038】
このように、車輪5a〜5dの回転方向が逆になると、加速度センサ22a、22bの出力波形の位相のずれ方も逆になる。このことを利用して、送信機2から受信機3に送信するフレームの中に車輪5a〜5dの回転方向を示す回転方向情報を含めることで、受信機3でフレームが右側車輪群5a、5cと左側車輪群5b、5dのいずれに取り付けられた送信機2から送信されたものであるかを特定することが可能となる。
【0039】
また、上記では、加速度センサ22a、22bの出力に含まれる遠心力については無視して説明しているが、加速度センサ22aの出力には遠心力に基づく加速度(遠心加速度)が含まれる。この遠心加速度より、車速を演算することが可能となる。このため、マイクロコンピュータ33では、加速度センサ22aの出力から重力加速度成分を取り除いて遠心加速度を演算し、その遠心加速度に基づいて車速の演算を行っている。
【0040】
また、図2(b)に示すように、受信機3は、受信アンテナ31、受信回路32、マイクロコンピュータ33、電源回路34およびインターフェイス(I/F)回路35を備えた構成とされている。
【0041】
受信アンテナ31は、各送信機2a〜2dから送られてくるフレームを受信するためのものである。受信アンテナ31は、車体6に固定されており、車両1の前方寄りもしくは後方寄りに配置されることで、両前輪5a、5bと両後輪5c、5dのいずれか一方に対して他方よりも距離が近くなるようにされている。本実施形態では、受信アンテナ31を車両1の後方寄りの場所、例えばリアバンパーに配置しており、両前輪5a、5bに取り付けられた送信機2a、2bと比べて、両後輪5c、5dに取り付けられた送信機2c、2dの近くに配置されるようにしてある。
【0042】
受信回路32は、受信アンテナ31によって受信された各送信機2a〜2dからの送信フレームを入力し、そのフレームをマイクロコンピュータ33に送る入力部としての機能を果たす。受信回路32は、受信アンテナ31を通じてフレームの受信を行い、この受信結果をマイクロコンピュータ33に伝える。受信回路32では、FSKにより作成されたフレームを受信していることから、同タイミングで複数のフレームが送信されてきたときには、そのうちの最も受信強度(受信した電波の電界強度)の大きなフレームのみを受信する。
【0043】
ただし、ここでいう同タイミングとは、フレーム受信中に複数のフレームの受信期間が少なくとも一部重なっている状態のことを意味している。これについて、図5に示す送信タイミングと受信可能データとの関係を表した図を参照して説明する。
【0044】
図5(a)に示すように、データAを格納したフレームとデータBを格納したフレームの送信タイミングが部分的に重なったとする。この場合において、各フレームの受信強度に差がある場合、図5(b)に示すように、データAを格納したフレームの方の受信強度がデータBを格納したフレームの方の受信強度よりも大きければ、データAを格納したフレームが受信される。逆に、データBを格納したフレームの方の受信強度がデータAを格納したフレームの方の受信強度よりも大きければ、データBを格納したフレームが受信される。なお、両フレームの送信タイミングが完全に一致していない場合、受信強度の小さい方のフレームの受信期間も残るが、この場合にはフレームの全データを受信できないため無効データとして扱われ、データとして制御に使用されない。
【0045】
このように、受信回路32では、同タイミングで複数のフレームが送信されてきたときには、そのうちの最も受信強度の大きなフレームのみを受信し、それをマイクロコンピュータ33に伝える。
【0046】
なお、受信回路32では、受信機3の受信感度を所定の感度に設定しており、各車輪5a〜5dに取り付けられた送信機2a〜2dより送信されるフレームすべてを受信できる感度に設定している。図6は、車輪5a〜5dの回転角度と各送信機2a〜2dからフレームを送信したときの受信強度と受信機3の受信感度の関係を示した図である。この図に示すように、受信アンテナ31から車輪5a〜5d間での距離や車輪回転に応じて受信強度が変化するが、基本的にはこれらすべての場合にフレームを受信できるように受信機3の感度を設定している。
【0047】
マイクロコンピュータ33は、第2制御部に相当するもので、各送信機2a〜2dからの送信フレームを用いて、マイクロコンピュータ33内のメモリに記憶されたプログラムに従って車輪位置検出処理を実行することで、各送信機2a〜2dがどの車輪5a〜5dに取り付けられたものかを特定する車輪位置検出を行う。また、マイクロコンピュータ33は、車輪位置検出の結果に基づいて、各送信機2a〜2dのID情報と各送信機2a〜2dが取り付けられている各車輪5a〜5dの位置とを関連づけて記憶し、その後は各送信機2a〜2dからの送信フレーム内に格納されたID情報およびタイヤ空気圧に関するデータに基づいて、各車輪5a〜5dのタイヤ空気圧検出を行う。
【0048】
電源回路34は、バッテリ電圧に基づいてマイクロコンピュータ33や受信回路32の電源電圧を生成している。I/F回路35は、マイクロコンピュータ33でのタイヤ空気圧を表示器4に出力する役割を果たしている。
【0049】
表示器4は、警報部として機能するものであり、図1に示されるように、ドライバが視認可能な場所に配置され、例えば車両1におけるインストルメントパネル内に設置されるメータディスプレイ等によって構成される。この表示器4は、例えば受信機3におけるマイクロコンピュータ33からタイヤ空気圧が低下した旨を示す信号が送られてくると、その旨の表示を行うことでドライバにタイヤ空気圧の低下を報知する。
【0050】
次に、上記のように構成された車輪位置検出装置が適用されるタイヤ空気圧検出装置による車輪位置検出処理について説明する。図7(a)は、送信機2a〜2dのマイクロコンピュータ23が行う処理を示したフローチャート、図7(b)は、受信機3のマイクロコンピュータ33が行う処理を示したフローチャートである。
【0051】
まず、図7(a)に示す処理として、送信機2a〜2d側では、電池25からの電力供給に基づいて、自分自身が取り付けられたのが右側車輪群5a、5cと左側車輪群5b、5dのいずれであるかという左右検出を行う。具体的には、送信タイミングの前の一定期間中、2軸加速度センサの検出信号をモニタすることで回転方向情報を取得する(ステップ100)。また、センシング部21の検出信号に基づいてタイヤ空気圧や温度などのタイヤ空気圧に関する情報を取得し、回転方向情報やタイヤ空気圧に関する情報に基づいてフレームを作成する。そして、各送信機2a〜2dは、車速が所定速度(例えば30km/h)以上になったか否かを判定し(ステップ110)、車速が所定速度以上になると回転方向情報やタイヤ空気圧に関する情報が格納されたフレームを送信するための処理を行う。
【0052】
具体的には、送信機2a〜2dは、自分自身が右側車輪群5a、5cと左側車輪群5b、5dのいずれに取り付けられたものであるかを回転方向情報を利用して判定する(ステップ120、130)。そして、その判定結果が右側車輪群5a、5cであれば即座にRF送信にてフレーム送信を行い、右側車輪群5a、5cではなく左側車輪群5b、5dであれば所定時間経過してからRF送信にてフレーム送信を行う(ステップ140)。これにより、右側車輪群5a、5cに取り付けられた送信機2a、2cは、同タイミングを送信タイミングとしてフレーム送信を行う。また、左側車輪群5b、5dに取り付けられた送信機2b、2dは、同タイミングを送信タイミングとしてフレーム送信を行いつつ、右側車輪群5a、5cに取り付けられた送信機2a、2cとは異なるタイミングでフレーム送信を行うことができる。
【0053】
なお、車速については、上述したように加速度センサ22a、22bの出力から重力加速度成分を取り除いて遠心加速度を演算し、その遠心加速度を積分して係数を掛けることにより演算している。
【0054】
一方、受信機3側では、図示しないイグニッションスイッチがオンされてバッテリからの電力供給に基づいて電源回路34が電源電圧を生成すると、受信機3が作動を開始し、所定の制御周期毎に図7(b)に示す処理を実行する。
【0055】
具体的には、まずデータ受信を行い(ステップ200)、データ受信が1つでもあると、2輪分のデータを既に記憶しているか否かを判定する(ステップ210)。最初の受信時にはまだ2輪分のデータを記憶していないため、まずは2輪分のデータ受信があったか否かを判定し、2輪分のデータを受信するまで待機する(ステップ220)。そして、2輪分のデータ受信があれば、取得した2輪分のデータに基づいて、車輪位置特定を行う(ステップ230)。
【0056】
すなわち、車速が所定速度に達すると同時にまず右側車輪群5a、5cの両送信機2a、2cからフレーム送信が行われる。このとき、受信アンテナ31から両車輪5a、5cまでの距離、つまり両送信機2a、2cまでの距離が異なっているため、右後輪5cの送信機2cの送信フレームの方が右前輪5aの送信機2aの送信フレームよりも、受信アンテナ31で受信されるときの受信強度が大きくなる。このため、受信回路32では、右後輪5cの送信機2cの送信フレームのみが受信されることになる。
【0057】
続いて、所定時間経過後に左側車輪群5b、5dの両送信機2b、2dからフレーム送信が行われる。このときも、受信アンテナ31から両車輪5b、5dまでの距離、つまり両送信機2b、2dまでの距離が異なっているため、左後輪5dの送信機2dの送信フレームの方が左前輪5bの送信機2bの送信フレームよりも、受信アンテナ31で受信されるときの受信強度が大きくなる。このため、受信回路32では、左後輪5dの送信機2dの送信フレームのみが受信されることになる。
【0058】
したがって、取得した2輪分のデータは、受信した順に右後輪5cの送信機2cと左後輪5dの送信機2dと特定できる。そして、各ID情報を右後輪5cの送信機2cのものと、左後輪5dの送信機2dのものに区別して記憶しておく。
【0059】
このようにして、2輪分のデータが記憶されると、次にデータ受信が行われたときには、2輪分のデータが既に記憶された状態であるため、今度は4輪分のデータ受信が行われたか否かを判定し、4輪分のデータを受信するまで待機する(ステップ240)。そして、4輪分のデータ受信があれば、取得した4輪分のデータに基づいて、車輪位置特定を行う(ステップ250)。
【0060】
すなわち、既に右後輪5cの送信機2cと左後輪5dの送信機2dについては特定できているため、今回受信したフレームの新たなID情報は、両前輪5a、5bの送信機2a、2bのものである。そして、各フレームには回転方向情報も含まれており、この回転方向情報からそのフレームが右側車輪群5a、5cと左側車輪群5b、5dのいずれに取り付けられた送信機2a〜2dから送信されたものであるかを判別することができる。したがって、4つの車輪5a〜5dすべての送信機2a〜2dを特定することができ、各送信機2a〜2dがどの車輪5a〜5dに取り付けられたものかを特定する車輪位置検出を行うことができる。なお、各車輪5a〜5dの送信機2a〜2dのID情報の記憶内容については、例えばイグニッションスイッチをオフしたときに消去している。または、車輪位置検出を行いたいときに、ID情報の記憶内容をリセットするスイッチを設けておき、そのスイッチが押されたときに消去されるようにすることもできる。
【0061】
図8は、上記のような動作を行ったときのタイミングチャートである。この図に示されるように、イグニッションスイッチがオンされ、車両1が走行開始して車速が所定速度(30km/h)を超えると、それをトリガとして各送信機2からID情報と共に回転方向情報やタイヤ空気圧に関する情報が格納されたフレームが所定の送信タイミングで送信される。具体的には、まず右側車輪群5a、5cの両送信機2a、2cからフレーム送信が同時に行われ、その後、所定期間経過後に左側車輪群5b、5dの両送信機2b、2dからフレーム送信が同時に行われる。
【0062】
このため、最初の送信タイミングでは、右側車輪群5a、5cの両送信機2a、2cのうち受信アンテナ31から近い送信機2cのフレームのみが受信される。また、次の送信タイミングでは、左側車輪群5b、5dの両送信機2b、2dのうち受信アンテナ31から近い送信機2dのフレームのみが受信される。これにより、最初の受信で送信機2cが特定されると共に、次の受信で送信機2dが特定される。そして、2回目の送信周期の際、つまり一定周期にランダムディレイを加算した時間が経過後に、各送信機2a〜2dからフレーム送信が為され、新たに受信したフレームについては、フレームに格納されている回転方向情報に基づいて、送信機2a、2bから送信されたものであると特定される。これにより、4つの車輪5a〜5dすべての送信機2a〜2dを特定することができ、各送信機2a〜2dがどの車輪5a〜5dに取り付けられたものかを特定することができる。
【0063】
以上説明したように、車輪位置検出を行う際には、右側車輪群5a、5cと左側車輪群5b、5dとで送信機2a〜2dからのフレームの送信タイミングを異ならせつつ、右側車輪群5a、5cの両送信機2a、2cから同時にフレーム送信させると共に、左側車輪群5b、5dの両送信機2b、2dから同時にフレーム送信させるようにしている。このようにすることで、右側車輪群5a、5cと左側車輪群5b、5dのうち、受信アンテナ31から近い方の両後輪5c、5dの送信機2c、2dのフレームのみが受信されるようにできる。これにより、両後輪5c、5dの送信機2c、2dを特定できることから、その後に送られてくる4輪分のフレームを受信した時に、そのフレームに格納された回転方向情報を利用することで、4輪すべての送信機2a〜2dを特定することが可能となる。
【0064】
これにより、4つの車輪5a〜5dすべての送信機2a〜2dを特定することができ、各送信機2a〜2dがどの車輪5a〜5dに取り付けられたものかを特定することができる。このようにして車輪位置検出が行われると、その後は、一定周期毎に各送信機2a〜2dからフレームが送信されるたびに、すべてのフレームが受信される。そして、各フレームに格納されたID情報に基づいて車輪5a〜5dに取り付けられたいずれの送信機2a〜2dから送られてきたフレームであるかを特定し、タイヤ空気圧に関する情報より各車輪5a〜5dのタイヤ空気圧を検出することが可能となる。
【0065】
したがって、受信強度や受信数を測定する必要なく、かつ、トリガ機を用いなくても車輪位置の特定が行える車輪位置検出装置およびそれを備えたタイヤ空気圧検出装置とすることが可能となる。また、車速が所定速度以上になったときにフレーム送信が行われるようにしているため、右側車輪群5a、5cの両送信機2a、2cの送信タイミングを合わせられると共に、左側車輪群5b、5dの両送信機5a、5cの送信タイミングを合わせることが可能となる。さらに、停車時にフレーム送信が行われないようにでき、電池寿命の向上を図ることも可能となる。
【0066】
なお、車両1にはスペアタイヤが搭載され、スペアタイヤにも送信機2が備えられることが想定される。しかしながら、スペアタイヤは車両1の走行に伴って回転しないため、車速が所定速度以上になったことをトリガとしてフレームの送信を行うようにすることで、スペアタイヤに取り付けられた送信機2からはフレームの送信が行われないようにできる。このため、スペアタイヤに送信機2が備えられるような場合でも、的確に車輪位置検出を行うことが可能となる。
【0067】
(他の実施形態)
上記実施形態では、受信機3のうちの受信アンテナ31を車両1の後方寄りに配置することで、両前輪5a、5bに取り付けられた送信機2a、2bと比べて、両後輪5c、5dに取り付けられた送信機2c、2dの近くに配置されるようにしてある。これに対して、図9に示すように、受信機3全体を車両1の後方寄りに配置するようにしても良い。また、受信アンテナ31もしくは受信機3全体を車両1の後方寄りに配置するのではなく、逆に車両1の前方寄りの場所、例えばフロントバンパーに配置することで、受信機3の感度を低下させた際に両前輪5a、5bに取り付けられた送信機2a、2bからの送信フレームのみが受信されるようにしても良い。
【0068】
また、上記実施形態では、最初に右側車輪群5a、5cの両送信機2a、2cから同時にフレーム送信させ、その後、左側車輪群5b、5dの両送信機2b、2dから同時にフレーム送信させるようにした。しかしながら、これらの順番を逆にし、左側車輪群5b、5dの両送信機2b、2dから同時にフレーム送信させたのち、右側車輪群5a、5cの両送信機2a、2cから同時にフレーム送信させるようにしても良い。
【0069】
また、上記実施形態では、図3に示すように、タイヤ空気圧検出装置に車輪位置検出装置を適用しているため、車輪5a〜5dの回転方向情報をタイヤ空気圧に関する情報が格納されるフレームに格納して送信されるようにしている。しかしながら、これはフレーム構成の一例を示したに過ぎず、回転方向情報を格納するフレームとタイヤ空気圧に関する情報を格納するフレームを別々のフレームとしても構わない。ただし、タイヤ空気圧に関する情報が格納されるフレームに回転方向情報を格納することで、車輪位置検出とタイヤ空気圧検出の両方が行える共通フレームとすることが可能となる。
【0070】
さらに、加速度センサ22a、22bのばらつきやホイール径およびタイヤ状態等により、車速が所定速度に達したと検知されるタイミングが若干ずれる可能性がある。この場合、各送信機2a〜2dから同時にフレーム送信が行われるようにしても、若干そのタイミングがずれてしまう。このため、同時に送信されて混信されるようにしたい最初のフレームについては、その後に用いているフレームと比較して格納されるデータ長を長くすることでフレーム長さを長くすると良い。
【0071】
図10は、最初に送信されるフレームの構成例を示した図である。図10(a)に示すように、最初に送信されるフレームについてのみ、定期送信の複数フレーム分のデータを合わせたフレームとしたり、図10(b)に示すように、フレームの最後にダミーデータを格納した部分を設けるようにすることができる。このようにすれば、同時にフレーム送信を行わせたい送信機2a〜2dの加速度センサ22aのばらつきがあっても、最初のフレームの送信タイミングの少なくとも一部が重複し、受信機3で重複したフレームの一方のみをすべて受信されるようにすることができる。例えば、受信アンテナ31から遠い送信機2a、2bのフレームが先に受信された場合、途中で受信アンテナ31から近い送信機2c、2dのフレームが受信されることになる。図10(a)の場合、先に受信されたフレームの第2ブロックまでは受信可能となる場合があるが、後に受信された強度が強い側のデータは3ブロック分受信できるため、受信したブロックの数により、強い側のデータを判別可能である。図10(b)の場合は、両方ともデータ受信したとしても、ダミーデータ長を測定し、比較することで判別が可能となる。
【符号の説明】
【0072】
1 車両
2(2a〜2d) 送信機
3 受信機
4 表示器
5(5a〜5d) 車輪
6 車体
21 センシング部
22 車輪回転方向検出部
23 マイクロコンピュータ
31 受信アンテナ
32 受信回路
33 マイクロコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体(6)に対してタイヤを備えた4つの車輪(5a〜5d)が取り付けられた車両(1)に適用され、
前記4つの車輪(5a〜5d)それぞれに設けられ、前記4つの車輪(5a〜5d)それぞれの回転方向に応じた検出信号を出力する車輪回転方向検出手段(22)と、前記車輪回転方向検出手段(22)で検出した回転方向に関する回転方向情報および固有の識別情報とを含めたフレームを作成すると共に送信する第1制御部(23)とを有する送信機(2a〜2d)と、
前記車体(6)側に設けられ、受信アンテナ(31)を介して前記送信機(2a〜2d)から送信されたフレームを受信する受信回路(32)と、受信した前記フレームから得られるデータおよび前記フレームの受信の可否に基づいて、前記フレームを送信してきた前記送信機(2a〜2d)が前記4つの車輪(5a〜5d)のいずれに取り付けられたものであるかを特定し、前記4つの車輪(5a〜5d)と前記4つの車輪(5a〜5d)それぞれに設けられた前記送信機(2a〜2d)の識別情報とを対応づけて記憶する車輪位置検出を行う第2制御部(33)とを有する受信機(3)とを備え、
前記受信機(3)のうちの少なくとも前記受信アンテナ(31)は、前記車両(1)の両前輪(5a、5b)と両後輪(5c、5d)のいずれか一方からの距離が他方からの距離よりも近づけて配置されており、
前記送信機(2a〜2d)は、右側車輪(5a、5c)に取り付けられた送信機(2a、2c)から同時に前記フレームの送信を行うと共に、この送信タイミングとは異なるタイミングで左側車輪(5b、5d)に取り付けられた送信機(2b、2d)から同時に前記フレームの送信を行うモードと、前記4つの車輪(5a〜5d)それぞれに取り付けられた前記送信機(2a〜2d)より異なるタイミングで前記フレームの送信を行うモードとを行い、
前記受信回路(32)は、複数のフレームが同時に送信されると、最も信号強度が大きなフレームのみを受信し、
前記第2制御部(33)は、前記右側車輪(5a、5c)に取り付けられた前記送信機(2a、2c)から同時に前記フレームの送信が行われたときに受信したフレームを前記右側車輪(5a、5c)のうち前記受信アンテナ(31)から近い方に取り付けられた前記送信機(2c)のものであると特定し、前記左側車輪(5b、5d)に取り付けられた前記送信機(2b、2d)から同時に前記フレームの送信が行われたときに受信したフレームを前記左側車輪(5b、5d)のうち前記受信アンテナ(31)から近い方に取り付けられた前記送信機(2d)のものであると特定し、さらに、前記4つの車輪(5a〜5d)それぞれに取り付けられた前記送信機(2a〜2d)より異なるタイミングで前記フレームの送信が行われたときに受信したフレームの中で、前記右側車輪(5a、5c)のうち前記受信アンテナ(31)から近い方に取り付けられた前記送信機(2c)と前記左側車輪(5b、5d)のうち前記受信アンテナ(31)から近い方に取り付けられた前記送信機(2d)のフレームと異なる識別情報を有するフレームについて、当該フレームに含まれる回転方向情報に基づき、前記右側車輪(5a、5c)のうち前記受信アンテナ(31)から遠い方に取り付けられた前記送信機(2a)と前記左側車輪(5b、5d)のうち前記受信アンテナ(31)から遠い方に取り付けられた前記送信機(2b)のフレームを特定することで、前記送信機(2a〜2d)がそれぞれ前記4つの車輪(5a〜5d)のいずれに取り付けられたものであるかを特定することを特徴とする車輪位置検出装置。
【請求項2】
前記車輪回転方向検出手段(22)は、前記送信機(2a〜2d)が取り付けられた車輪(5a〜5d)の回転時に当該車輪(5a〜5d)の周方向に垂直な両方向の加速度を検出する加速度センサ(22a)と周方向に平行な両方向の加速度を検出する加速度センサ(22b)とを有する2軸加速度センサであることを特徴とする請求項1に記載の車輪位置検出装置。
【請求項3】
前記送信機(2a〜2d)は、前記2軸加速度センサに含まれる加速度センサ(22a、22b)にて検出される加速度から車速を演算し、前記右側車輪(5a、5c)と前記左側車輪(5b、5d)のいずれか一方の前記送信機(2a、2c)については該車速が所定車速に達すると同時にフレームの送信を行い、他方の前記送信機(2b、2d)については該車速が所定車速に達してから所定時間経過後に同時にフレームの送信を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の車輪位置検出装置。
【請求項4】
前記送信機(2a〜2d)は、前記右側車輪(5a、5c)に取り付けられた送信機(2a、2c)から同時に前記フレームの送信を行うと共に、この送信タイミングとは異なるタイミングで左側車輪(5b、5d)に取り付けられた送信機(2b、2d)から同時に前記フレームの送信を行うモードの際には、前記4つの車輪(5a〜5d)それぞれに取り付けられた前記送信機(2a〜2d)より異なるタイミングで前記フレームの送信を行うモードのときよりも、前記フレームの長さを長く構成していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車輪位置検出装置。
【請求項5】
前記送信機(2a〜2d)では、前記第1制御部(23)が周波数偏移変調によって前記フレームを作成していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車輪位置検出装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1つに記載の車輪位置検出装置を含むタイヤ空気圧検出装置であって、
前記送信機(2a〜2d)は、前記4つの車輪(5a〜5d)それぞれに備えられた前記タイヤの空気圧に応じた検出信号を出力するセンシング部(21)を備え、前記第1制御部(23)によって前記センシング部(21)の検出信号を信号処理したタイヤ空気圧に関する情報をフレームに格納し、当該フレームを前記受信機(3)に送信し、
前記受信機(3)は、前記第2制御部(33)にて、該タイヤ空気圧に関する情報より、前記4つの車輪(5a〜5d)それぞれに備えられた前記タイヤの空気圧を検出するようになっていることを特徴とするタイヤ空気圧検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−210913(P2012−210913A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78659(P2011−78659)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】