説明

車輪用軸受装置

【課題】外方部材とナックル間の密封性を向上させて発錆を防止すると共に、シールの耐泥水性を向上させ、長期間に亘ってシールの密封性能を確保した車輪用軸受装置を提供する。
【解決手段】シール9が、内輪3に圧入される円筒部11aと、これから径方向外方に延びる立板部11bとを有するスリンガ11と、外方部材10に圧入される芯金13と、これに接合され、径方向外方に傾斜して延びて立板部11bに摺接される一対のサイドリップ14a、14b、およびこの内径側で、軸受内方側に傾斜して延びるグリースリップ14cを有するシール部材14とからなるシール板12で構成され、シール部材14が芯金13の端部外表面にまで回り込み、この端部から径方向外方に延び、断面略くの字形の外周リップ17が形成され、この外周リップ17が外方部材10とナックルKの鍔部18との間隙に嵌り込むように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車輪を回転自在に支承する車輪用軸受装置、詳しくは、外方部材とナックル間の密封性を向上させて発錆を防止すると共に、シールの耐泥水性を向上させ、長期間に亘ってシールの密封性能を確保した車輪用軸受装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から自動車等の車輪を支持する車輪用軸受装置は、車輪を取り付けるためのハブ輪を複列の転がり軸受を介して回転自在に支承するもので、駆動輪用と従動輪用とがある。構造上の理由から、駆動輪用では内輪回転方式が、従動輪用では内輪回転と外輪回転の両方式が一般的に採用されている。また、車輪用軸受装置には、懸架装置を構成するナックルとハブ輪との間に複列アンギュラ玉軸受等からなる車輪用軸受を嵌合させた第1世代と称される構造から、外方部材の外周に直接車体取付フランジまたは車輪取付フランジが形成された第2世代構造、また、ハブ輪の外周に一方の内側転走面が直接形成された第3世代構造、あるいは、ハブ輪と等速自在継手の外側継手部材の外周にそれぞれ内側転走面が直接形成された第4世代構造とに大別されている。
【0003】
これらの軸受部には、軸受内部に封入されたグリースの漏れを防止すると共に、外部から雨水やダスト等の侵入を防止するためにシールが装着されている。近年、自動車のメンテナンスフリー化が進み、車輪用軸受装置においてもさらなる長寿命化が要求されるようになっているが、市場回収品の軸受損傷状況を検証すると、剥離等の本来の軸受寿命よりも、シール不具合あるいは密封性の低下により軸受内に雨水やダスト等が侵入して軸受が損傷する事例が少なくない。したがって、シールの密封性を向上させることにより、軸受寿命の向上を図ることができる。
【0004】
従来から、密封性を高めたシールに関しては種々提案されているが、こうしたシールの一例を図8に示す。このシール50は、車輪用軸受の相対回転する外方部材と内方部材の端部に装着され、両部材間に形成される環状空間の開口部を密封している。シール50は、互いに対向配置されたスリンガ51と環状のシール板52とからなる。スリンガ51は、鋼鈑からプレス加工にて断面が略L字状に形成され、図示しない内方部材(内輪)に圧入される円筒部51aと、この円筒部51aから径方向外方に延びる立板部51bとからなる。
【0005】
一方、シール板52は断面略L字状に形成され、図示しない外方部材の端部内周に圧入される芯金53と、この芯金53に加硫接着されたシール部材54とからなる。シール部材54は弾性部材からなり、スリンガ51の立板部51bに摺接する一対のサイドリップ54a、54bと、円筒部51aに摺接するグリースリップ54cとを有している。サイドリップ54a、54bは外径側に傾斜して形成され、先端がスリンガ51の立板部51bに所定のシメシロをもって摺接している。また、スリンガ51の立板部51bの側面に磁気エンコーダ55が加硫接着により一体に接合されている。
【0006】
ここで、一対のサイドリップ54a、54b間の距離Cが0.1mm以上になるように設定されていれば、シール50の断面高さHを6mmまで低くした場合でも、耐泥水性能を落さずにシール50の断面高さHを低くでき、車輪用軸受の軽量・コンパクト化が可能となる(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
こうした従来のシール50では、シール内部に浸入する泥水に対しては高い効果を得ることができるが、シール50が内嵌される外方部材との嵌合部、さらには、外方部材が嵌合されるナックルとの嵌合部が直接泥水に曝されるような過酷な環境下では、嵌合部に浸入する泥水に対しては高い効果を期待することは難しい。
【0008】
一方、外方部材とナックル間の密封性を向上させた図9に示すようなシールも知られている。このシール56は、内輪57と外方部材58との間を密封し、内輪57および外方部材58に各々装着されて互いに対向する断面L字状の環状のスリンガ59とシール板60とを備えている。
【0009】
スリンガ59は鋼板からプレス加工によって形成され、内輪57の外径面に圧入された円筒部59aと、この円筒部59aから立ち上がった立板部59bとを有している。この立板部59bの側面には、ゴム磁石等からなる磁気エンコーダ61が一体に加硫接着されている。また、この磁気エンコーダ61は、周方向に交互に磁極N、Sが着磁され、車輪の回転速度検出用のロータリエンコーダを構成している。
【0010】
一方、シール板60は鋼板からプレス加工によって形成され、外方部材58に圧入された芯金62と、この芯金62に加硫接着により一体に接合されたシール部材63とからなる。シール部材63はゴムまたは合成樹脂等の弾性体からなり、スリンガ59の立板部59bに摺接するサイドリップ63aと、円筒部59aに摺接する一対のラジアルリップ63b、63cとを備えている。そして、シール部材63の外周部とスリンガ59の立板部59bが僅かな径方向すきまを介して対向し、ラビリンスシール64が構成されている。
【0011】
また、シール部材63の外周端縁には径方向外方に延びる外周リップ65が形成されている。この外周リップ65は断面がくの字形に形成され、外方部材58とナックル66との間隙eに嵌り込むように配置されている。これにより、外方部材58とナックル66との間隙eまで封鎖することができ、外部からの泥水等がこの間隙eに浸入して回り込むのを防止することができ、外方部材58とナックル66の発錆を防止することができる(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2009−127790号公報
【特許文献2】特開2003−56579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
然しながら、こうした従来のシール56では、外周リップ65の折り曲げ角度が適切な角度に設定されていないと、外周リップ65のリップ頂点65aと先端部65bの2点で確実に接触することができない。すなわち、ナックル66を組込む過程で外周リップ65がまくれ込んだ状態となり、外方部材58の端面とナックル66との間で押し潰されてしまう。これでは、外方部材58との間にすきまが生じ、外方部材58とナックル66との間の密封性を確保することができない。
【0014】
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたもので、外方部材とナックル間の密封性を向上させて発錆を防止すると共に、シールの耐泥水性を向上させ、長期間に亘ってシールの密封性能を確保した車輪用軸受装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
係る目的を達成すべく、本発明のうち請求項1記載の発明は、懸架装置を構成するナックルに内嵌され、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体と、前記外方部材と内方部材との間に形成される環状空間の両側開口部に装着されたシールとを備えた車輪用軸受装置において、前記シールのうちインナー側のシールが、互いに対向配置されたスリンガと環状のシール板とで構成され、前記スリンガが、前記内方部材に圧入される円筒部と、この円筒部から径方向外方に延びる立板部とを有し、前記シール板が、前記外方部材の端部内周に圧入される芯金と、この芯金に加硫接着により一体に接合され、径方向外方に傾斜して延び、前記スリンガの立板部に所定の軸方向シメシロを介して摺接される一対のサイドリップを有するシール部材とからなると共に、前記シール部材が前記芯金の端部外表面にまで回り込んで固着され、この外周部の端部から径方向外方に延び、断面略くの字形の外周リップが形成され、この外周リップが前記外方部材とナックルの鍔部との間隙に嵌り込むように配置されている。
【0016】
このように、外方部材と内方部材との間に形成される環状空間の両側開口部に装着されたシールを備えた車輪用軸受装置において、シールのうちインナー側のシールが、互いに対向配置されたスリンガと環状のシール板とで構成され、スリンガが、内方部材に圧入される円筒部と、この円筒部から径方向外方に延びる立板部とを有し、シール板が、外方部材の端部内周に圧入される芯金と、この芯金に加硫接着により一体に接合され、径方向外方に傾斜して延び、スリンガの立板部に所定の軸方向シメシロを介して摺接される一対のサイドリップを有するシール部材とからなると共に、シール部材が芯金の端部外表面にまで回り込んで固着され、この外周部の端部から径方向外方に延び、断面略くの字形の外周リップが形成され、この外周リップが外方部材とナックルの鍔部との間隙に嵌り込むように配置されているので、シールの耐泥水性を向上させて長期間に亘って密封性能を確保することができるとともに、外周リップが損傷するのを防止して外部からの泥水等がこの間隙に浸入して回り込むのを防止することができ、外方部材とナックル間の密封性を向上させて発錆を防止することができる。
【0017】
また、請求項2に記載の発明のように、前記サイドリップのうち外径側のサイドリップが摩耗してシメシロが無い状態で、内径側のサイドリップのリップ外径との間に隙間が存在するように設定されていれば、泥水環境下で使用されていく中で、外径側のサイドリップが早く摩耗してシメシロを失い、外径側のサイドリップの根元から元の形状に復元して内径側のサイドリップに接近しても2つのサイドリップが接触することはなく、内径側のサイドリップの良好な摺接状態を維持することができ、シールの耐泥水性を向上させることができる。一般的に、外径側のサイドリップのシメシロは内径側のサイドリップのシメシロと同等、又はそれ以上に設定されている。
【0018】
また、請求項3に記載の発明のように、前記シール部材が、前記サイドリップの内径側で、軸受内方側に傾斜して延びるグリースリップを有していれば、グリース漏れを防止して密封性能を確保することができる。
【0019】
また、請求項4に記載の発明のように、前記外周リップの立上角と、前記一対のサイドリップの前記スリンガにセットする前の状態での傾斜角が略同一に設定されていれば、製造時の型抜き性の向上を図ることができる。
【0020】
また、請求項5に記載の発明のように、前記シール部材に前記芯金の側面から軸方向に延びる舌片が一体に突設されていれば、シールを製造ラインや組立ラインで積層しても隣り合うシール同士の外周リップと芯金が接触するのを防止でき、シールリップを傷付けることなく載置することができると共に、磁気エンコーダがスリンガに接合されている場合、この磁気エンコーダが芯金に吸着してシール同士が分離できなくなり、作業性が低下するのを防止することができる。
【0021】
また、請求項6に記載の発明のように、前記一対のサイドリップの外径側に径方向外方に傾斜して延びる補助リップが設けられ、この補助リップが前記スリンガの立板部のアウター側の側面に所定の軸方向すきまを介して対向していれば、外部から泥水がシールの内部に浸入してきてサイドリップが泥水に直接曝されるのを防止し、シールの耐泥水性と耐久性を向上させることができる。
【0022】
また、請求項7に記載の発明のように、前記外周リップの折り曲げ角度が前記外方部材の端面の垂線に対して10°以上に設定され、前記ナックル組込み途中で前記外周リップ先端が前記外方部材の端面に接触した際に、当該外周リップの先端部とリップ頂点が前記外方部材の端面と前記ナックルの鍔部にシメシロを介して2点で弾性接触されていれば、外周リップが損傷するのを防止して外部からの泥水等がこの間隙に浸入して回り込むのを防止することができ、外方部材とナックル間の密封性を向上させて発錆を確実に防止することができる。
【0023】
また、請求項8に記載の発明のように、前記外周リップの根元部にストレート部が形成され、このストレート部の幅が1.35mm以上に設定されていれば、圧入の作業性を向上させることができ、圧入時に外周リップが損傷するのを防止することができる。
【0024】
また、請求項9に記載の発明のように、前記外周リップに予め油分が塗布されると共に、前記リップ頂点が、前記ナックルの鍔部に対して掛かり代を持って接触されていれば、シールの密封性を向上させることができると共に、ナックル組込み後、外周リップのナックルからのはみ出しを防止することができる。
【0025】
また、請求項10に記載の発明のように、前記スリンガの立板部のインナー側の側面にエラストマに磁性体粉が混入され、周方向に交互に磁極N、Sが着磁された磁気エンコーダが一体に加硫接着されると共に、この磁気エンコーダの外端部に径方向外方に傾斜して延びる遮蔽リップが一体に形成され、前記外周リップの根元部に軽接触するか僅かなラビリンスすきまを持って対向されていれば、外部から泥水がシールの内部に浸入するのを防止することができる。
【0026】
また、請求項11に記載の発明のように、前記遮蔽リップに予めグリースが塗布されていれば、走行時に遮蔽リップとシールが軽接触した場合でも、トルクの大幅な増大を防止することができる。
【0027】
また、請求項12に記載の発明のように、前記スリンガの内径面から前記シール板の外径面までのシール断面高さHと前記シールの幅Bとの比H/Bが1.2〜1.8の範囲に設定されていれば、耐泥水性能を維持することができると共に、シール断面高さを最大限に低くすることができ、低断面化を図ることができる。
【0028】
また、請求項13に記載の発明のように、前記シール部材が、ゴム物性値の圧縮永久歪が120℃×70時間で40%以下、TR10値が−35℃以下のものが使用されていれば、低温領域でも歪みの回復性が良好となり、所望の密封性能を維持することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る車輪用軸受装置は、懸架装置を構成するナックルに内嵌され、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体と、前記外方部材と内方部材との間に形成される環状空間の両側開口部に装着されたシールとを備えた車輪用軸受装置において、前記シールのうちインナー側のシールが、互いに対向配置されたスリンガと環状のシール板とで構成され、前記スリンガが、前記内方部材に圧入される円筒部と、この円筒部から径方向外方に延びる立板部とを有し、前記シール板が、前記外方部材の端部内周に圧入される芯金と、この芯金に加硫接着により一体に接合され、径方向外方に傾斜して延び、前記スリンガの立板部に所定の軸方向シメシロを介して摺接される一対のサイドリップを有するシール部材とからなると共に、前記シール部材が前記芯金の端部外表面にまで回り込んで固着され、この外周部の端部から径方向外方に延び、断面略くの字形の外周リップが形成され、この外周リップが前記外方部材とナックルの鍔部との間隙に嵌り込むように配置されているので、シールの耐泥水性を向上させて長期間に亘って密封性能を確保することができるとともに、外周リップが損傷するのを防止して外部からの泥水等がこの間隙に浸入して回り込むのを防止することができ、外方部材とナックル間の密封性を向上させて発錆を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る車輪用軸受装置の一実施形態を示す縦断面図である。
【図2】図1のシールを示す要部拡大図である。
【図3】(a)は、図2のシール板のみの縦断面図、(b)は、図2のシールの単体を示す縦断面図、(c)は、(b)の部分拡大図である。
【図4】(a)は、ナックル組込み途中を示す説明図、(b)は、ナックル組込み後を示す説明図である。
【図5】本発明に係るシールを積層した状態を示す説明図である。
【図6】図2のシールの変形例を示す縦断面図である。
【図7】(a)は、図2のシールの他の変形例を示す縦断面図、(b)は、(a)の部分拡大図である。
【図8】従来の車輪用軸受装置のシール単体を示す縦断面図である。
【図9】他の従来の車輪用軸受装置のシール部を示す要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
外周に懸架装置を構成するナックルに取り付けられるための車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に前記複列の外側転走面の一方に対向する内側転走面と、この内側転走面から軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入され、外周に前記複列の外側転走面の他方に対向する内側転走面が形成された内輪からなる内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体と、前記外方部材と内方部材との間に形成される環状空間の両側開口部に装着されたシールとを備えた車輪用軸受装置において、前記シールのうちインナー側のシールが、互いに対向配置されたスリンガと環状のシール板とで構成され、前記スリンガが、前記内輪に圧入される円筒部と、この円筒部から径方向外方に延びる立板部とを有し、前記シール板が、前記外方部材の端部内周に圧入される芯金と、この芯金に加硫接着により一体に接合され、径方向外方に傾斜して延び、前記スリンガの立板部に所定の軸方向シメシロを介して摺接される一対のサイドリップ、およびこのサイドリップの内径側で、軸受内方側に傾斜して延びるグリースリップを有するシール部材とからなると共に、前記シール部材が前記芯金の端部外表面にまで回り込んで固着され、この外周部の端部から径方向外方に延び、断面略くの字形の外周リップが形成され、この外周リップが前記外方部材とナックルの鍔部との間隙に嵌り込むように配置されている。
【実施例】
【0032】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る車輪用軸受装置の一実施形態を示す縦断面図、図2は、図1のシールを示す要部拡大図、図3(a)は、図2のシール板のみの縦断面図、(b)は、図2のシールの単体を示す縦断面図、(c)は、(b)の部分拡大図、図4(a)は、ナックル組込み途中を示す説明図、(b)は、ナックル組込み後を示す説明図、図5は、本発明に係るシールを積層した状態を示す説明図、図6は、図2のシールの変形例を示す縦断面図、図7(a)は、図2のシールの他の変形例を示す縦断面図、(b)は、(a)の部分拡大図である。なお、以下の説明では、車両に組み付けた状態で車両の外側寄りとなる側をアウター側(図1の左側)、中央寄り側をインナー側(図1の右側)という。
【0033】
この車輪用軸受装置は駆動輪用で、内方部材1と外方部材10、および両部材1、10間に転動自在に収容された複列の転動体(ボール)7、7とを備え、第3世代と称される構成をなしている。内方部材1は、ハブ輪2と、このハブ輪2に所定のシメシロを介して圧入された内輪3とからなる。
【0034】
ハブ輪2は、一端部に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ4を一体に有し、外周に一方(アウター側)の内側転走面2aと、この内側転走面2aから軸方向に延びる円筒状の小径段部2bが形成され、内周にトルク伝達用のセレーション(またはスプライン)2cが形成されている。また、車輪取付フランジ4の周方向等配位置にはハブボルト5が植設されている。内輪3は、外周に他方(インナー側)の内側転走面3aが形成され、ハブ輪2の小径段部2bに所定のシメシロを介して圧入固定されている。
【0035】
ハブ輪2はS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼で形成され、内側転走面2aをはじめ、アウター側のシール8のシールランド部となる車輪取付フランジ4の基部から小径段部2bに亙って高周波焼入れによって58〜64HRCの範囲に表面が硬化処理されている。一方、内輪3および転動体7は、SUJ2等の高炭素クロム軸受鋼で形成され、ズブ焼入れによって芯部まで58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。
【0036】
外方部材10は、外周に懸架装置を構成するナックル(図示せず)に取り付けられるための車体取付フランジ10bを一体に有し、内周に内方部材1の内側転走面2a、3aに対向する複列の外側転走面10a、10aが一体に形成されている。これら両転走面10a、2aおよび10a、3a間には保持器6、6を介して複列の転動体7、7が転動自在に収容されている。この外方部材10はS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼で形成され、少なくとも複列の外側転走面10a、10aが、高周波焼入れによって58〜64HRCの範囲に表面が硬化処理されている。
【0037】
外方部材10の両端部にはシール8、9が装着され、外方部材10と内方部材1との間に形成される環状空間の開口部を密封している。このシール8、9により、軸受内部に封入された潤滑グリースの外部への漏洩と、外部から雨水やダスト等が軸受内部に侵入するのを防止している。
【0038】
シール8、9のうちインナー側のシール9は、図2に拡大して示すように、互いに対向配置されたスリンガ11と環状のシール板12とからなる、所謂パックシールで構成されている。スリンガ11は、強磁性体の鋼鈑、例えば、フェライト系のステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS430系等)、あるいは、防錆処理された冷間圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC系等)からプレス加工にて断面が略L字状に形成され、内輪3の外径に圧入される円筒部11aと、この円筒部11aから径方向外方に延びる立板部11bとからなる。
【0039】
また、立板部11bのインナー側の側面には、ゴム等のエラストマにフェライト等の磁性体粉が混入された磁気エンコーダ15が一体に加硫接着されている。この磁気エンコーダ15は、周方向に交互に磁極N、Sが着磁され、車輪の回転速度検出用のロータリエンコーダを構成している。
【0040】
一方、シール板12は、外方部材10の端部に内嵌される円筒部13aと、この円筒部13aの一端から径方向内方に延びる立板部13bとからなる芯金13と、この芯金13に加硫接着されたシール部材14とからなる。芯金13は、オーステナイト系ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS304系等)、あるいは、防錆処理された冷間圧延鋼鈑からプレス加工にて断面が略L字状に形成されている。
【0041】
シール部材14はNBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)等の合成ゴムからなり、径方向外方に傾斜して延びる一対のサイドリップ14a、14bと、この内径側で、軸受内方側に傾斜して延びるグリースリップ14cを有している。サイドリップ14a、14bはスリンガ11の立板部11bのアウター側の側面に所定の軸方向のシメシロを介して摺接すると共に、グリースリップ14cは円筒部11aに径方向のシメシロを介して摺接している。また、磁気エンコーダ15の外縁とシール板12とは所定の径方向すきまを介して対向し、ラビリンスシール16が構成されている。外部から雨水やダスト等が直接サイドリップ14aに降りかかるのを防止して密封性を向上させている。なお、シール部材14の材質としては、例示したNBR以外にも、例えば、耐熱性に優れたHNBR(水素化アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、EPDM(エチレンプロピレンゴム)等をはじめ、耐熱性、耐薬品性に優れたACM(ポリアクリルゴム)、FKM(フッ素ゴム)、あるいはシリコンゴム等を例示することができる。
【0042】
なお、ここでは、転動体7にボールを使用した複列アンギュラ玉軸受で構成された車輪用軸受装置を例示したが、本発明はこれに限らず、転動体7に円錐ころを使用した複列円錐ころ軸受で構成されたものであっても良い。また、ハブ輪2の外周に直接内側転走面2aが形成された第3世代構造について説明したが、本発明はこうした構造に限定されるものではなく、例えば、図示しないが、ハブ輪の小径段部に一対の内輪が圧入された第1世代や第2世代構造、あるいは第4世代構造であっても良い。
【0043】
ここで、本実施形態では、シール部材14は芯金13の円筒部13aの端部外表面にまで回り込んで固着され、外方部材10との嵌合部に密着されて気密性の向上が図られている。さらに、外周部の端部から径方向外方に延びる外周リップ17が形成されている。この外周リップ17は断面が略くの字形に形成され、外方部材10の端面とナックルKの鍔部18との間隙eに嵌り込むように配置されている。この外周リップ17にはグリースあるいは防錆油等の油分が予め塗布されている。これにより、シール9の密封性を向上させることができる。
【0044】
そして、図4(a)に示すように、ナックルKの組込み途中で、外周リップ17の先端部17bが外方部材10の端面との間に所定の軸方向すきまe0がある状態で、リップ頂点17aとナックルKの鍔部18との掛かり代δがあるように外周リップ17のリップ頂点17aの径が所定値に設定されている。すなわち、外周リップ17のリップ頂点17aの径D1をナックルKの鍔部18の内径面取り部18aの外径D2よりもφ0.1以上大径になるように設定されている。これにより、図4(b)に示すように、ナックルKの組込み後、外周リップ17の先端部17bとリップ頂点17aが外方部材10の端面とナックルKの鍔部18に所定のシメシロで接触すると共に、外周リップ17のはみ出しを確実に防止することができる。
【0045】
さらに、図3(b)に示すように、外周リップ17の先端部17bが外方部材10の端面に対して直角に近い状態で接触すると、先端部17bが外径側に広がらずに内径側に反転する恐れがある。そこで、本出願人は、外周リップ17の折り曲げ角度θに着目し、この折り曲げ角度θが外方部材10の端面の垂線に対して10°以上、好ましくは15°以上に設定することにより、ナックルKの組込み過程で先端部17bは外径側に確実に広がることが判った。そして、図4(b)に示すように、組込み後には先端部17bとリップ頂点17aが外方部材10の端面とナックルKの鍔部18に所定のシメシロ(緊迫力)を有する状態で2点で弾性接触することができる。これにより、外方部材10とナックルKとの間の密封性を確保することができると共に、外周リップ17が損傷するのを防止して外部からの泥水等がこの間隙eに浸入して回り込むのを防止することができ、外方部材10とナックルK間の密封性を向上させて発錆を防止することができる。
【0046】
また、本実施形態では、図3(a)に示すように、外周リップ17の立上角αと、スリンガ11にセットする前の状態でのサイドリップ14a、14bの傾斜角β、γが略同一に設定されている。これにより、製造時の型抜き性の向上を図ることができる。次に、図3(b)に、シール部材22がスリンガ11にセットされた状態を示す。サイドリップ14a、14bの傾斜角β、γは、シメシロが付与されるため、それぞれβ’、γ’となる。ここで、外径側のサイドリップ14aが摩耗してシメシロがない状態になっても、内径側のサイドリップ14bのシメシロが最大の状態のリップ外径を隙間が存在するように設定されている。すなわち、一対のサイドリップ14a、14b間の距離Cが最も接近する条件で隙間が存在するように設定されている(C>0)ため、泥水環境下で使用されていく中で、外径側のサイドリップ14aが早く摩耗してシメシロを失い、外径側のサイドリップ14aがスリンガ11aの立板部11bに対して立ってきて内径側のサイドリップ14bに接近しても一対のサイドリップ14a、14bが接触することはなく、内径側のサイドリップ14bの良好な摺接状態を維持することができ、シール9の耐泥水性を向上させて長期間に亘って密封性能を確保することができる。
【0047】
また、スリンガ11の内径面からシール板12の外径面までの径方向長さであるシール断面高さHは6〜8mmとされ、磁気エンコーダ15を含むシール幅Bに対するシール断面高さHの比H/Bは1.2〜1.8の範囲に設定されている。本実施形態では、一対のサイドリップ14a、14b間の距離Cが最も接近する条件で隙間が存在するように設定されているので、耐泥水性能を維持することができると共に、シール断面高さHを最大限に低くすることができ、低断面化を図ることができる。ここで、H/Bが1.2未満であると、シール断面高さHを必要な高さ、例えば、6mm以上にすることが困難となり、また、H/Bが1.8を超えると、シール幅Bが小さくなって耐泥水性能を確保することが難しくなる。
【0048】
また、図3(c)に示すように、外周リップ17の根元部にストレート部17cが形成され、このストレート部17cの幅Lが1.35mm以上に設定されている。これにより、圧入の作業性を向上させることができ、圧入時に外周リップ17が損傷するのを防止することができる。
【0049】
また、このシール9のシール部材14は、ゴム物性値の圧縮永久歪が120℃×70時間で40%以下、TR10値(伸長率50%)が−35℃以下のものが使用されている。これにより、低温領域でも歪みの回復性が良好となり、所望の密封性能を維持することができる。なお、ここで、TR10値とは、予め付与した歪みが10%回復した時の温度を示し、この値の近傍がゴム材料の低温限界値として経験的に用いられている。
【0050】
さらに、図5に示すように、シール9を積層した時に、芯金13に外周リップ17が干渉して損傷しないように、芯金13の立板部13bの内端部に軸方向に延びる舌片19が突設され、芯金13と外周リップ17との間隙W2が、W2>0となるように、突出量W1が設定されている。これにより、シール9を製造ラインや組立ラインで積層しても隣り合うシール同士の外周リップと芯金が接触するのを防止でき、シールリップを傷付けることなく載置することができると共に、磁気エンコーダ15が芯金13に吸着してシール9同士が分離できなくなり、作業性が低下するのを防止することができる。
【0051】
図6に、前述したシール9の変形例を示す。なお、このシール20は、前述したシール9と基本的にはシール部材の構成が一部異なるだけで、その他前述した実施形態と同一部位あるいは同一機能を有する部位には同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0052】
このシール20は、互いに対向配置されたスリンガ11と環状のシール板21とからなる。シール板21は、芯金13と、この芯金13に加硫接着されたシール部材22とからなる。シール部材22はNBR等の合成ゴムからなり、径方向外方に傾斜して延びる一対のサイドリップ14a、14bと、この内径側で、軸受内方側に傾斜して延びるグリースリップ14cを有すると共に、さらにこれら一対のサイドリップ14a、14bの外径側に径方向外方に傾斜して延びる補助リップ22aが設けられている。この補助リップ22aはスリンガ11の立板部11bのアウター側の側面に所定の軸方向すきまを介して対向している。この補助リップ22aにより、外部から泥水がシール20の内部に浸入してきてサイドリップ14aが泥水に直接曝されるのを防止し、シール20の耐泥水性と耐久性を向上させることができる。
【0053】
図7(a)に示すシール23は、互いに対向配置されたスリンガ11と環状のシール板14とからなる。スリンガ11の立板部11bのインナー側の側面にはゴム等のエラストマにフェライト等の磁性体粉が混入された磁気エンコーダ24が加硫接着によって一体に接合されている。この磁気エンコーダ24は、周方向に交互に磁極N、Sが着磁され、車輪の回転速度検出用のロータリエンコーダを構成している。
【0054】
ここで、磁気エンコーダ24の外端部に径方向外方に傾斜して延びる遮蔽リップ24aが一体に形成されている。この遮蔽リップ24aは、(b)に示すように、外周リップ17の根元部に軽接触するか僅かなラビリンスすきまを持って対向されている。そして、この遮蔽リップ24aにグリースが予め塗布されている(図中クロスハッチングにて示す)。これにより、外部から泥水がシール23の内部に浸入するのを防止すると共に、走行時に遮蔽リップとシールが軽接触した場合でも、トルクの大幅な増大を防止することができる。
【0055】
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明に係る車輪用軸受装置は、駆動輪用、従動輪用に拘わらず、第1乃至第4世代構造の車輪用軸受装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 内方部材
2 ハブ輪
2a、3a 内側転走面
2b 小径段部
2c セレーション
3 内輪
4 車輪取付フランジ
5 ハブボルト
6 保持器
7 転動体
8 アウター側のシール
9、20、23 インナー側のシール
10 外方部材
10a 外側転走面
10b 車体取付フランジ
11 スリンガ
11a、13a 円筒部
11b、13b 立板部
12、21 シール板
13 芯金
14、22 シール部材
14a、14b サイドリップ
14c グリースリップ
15、24 磁気エンコーダ
16 ラビリンスシール
17 外周リップ
17a リップ頂点
17b リップ先端部
17c ストレート部
18 ナックルの鍔部
18a 鍔部の面取り部
19 舌片
22a 補助リップ
24a 遮蔽リップ
50、56 シール
51、59 スリンガ
51a、59a 円筒部
51b、59b 立板部
52、60 シール板
53、62 芯金
54、63 シール部材
54a 外径側のサイドリップ
54b 内径側のサイドリップ
54c グリースリップ
55、61 磁気エンコーダ
57 内輪
58 外方部材
63a サイドリップ
63b、63c ラジアルリップ
64 ラビリンスシール
65 外周リップ
65a リップ頂点
65b リップ先端部
66 ナックル
B シールの幅
C サイドリップ間の距離
D1 外周リップ頂点の径
D2 ナックル鍔部の内径面取り部の外径
e 外方部材とナックルとの間隙
e0 外方部材とリップ先端部のすきま
H シールの断面高さ
K ナックル
L ストレート部の幅
W1 舌片の突出量
W2 外周リップと芯金の間隙
α 外周リップの立上角
β、γ サイドリップの傾斜角
δ 掛かり代
θ 折り曲げ角度
β´、γ´ スリンガ組込み後のサイドリップの傾斜角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
懸架装置を構成するナックルに内嵌され、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、
外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、
この内方部材と前記外方部材の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体と、
前記外方部材と内方部材との間に形成される環状空間の両側開口部に装着されたシールとを備えた車輪用軸受装置において、
前記シールのうちインナー側のシールが、互いに対向配置されたスリンガと環状のシール板とで構成され、前記スリンガが、前記内方部材に圧入される円筒部と、この円筒部から径方向外方に延びる立板部とを有し、前記シール板が、前記外方部材の端部内周に圧入される芯金と、この芯金に加硫接着により一体に接合され、径方向外方に傾斜して延び、前記スリンガの立板部に所定の軸方向シメシロを介して摺接される一対のサイドリップを有するシール部材とからなると共に、前記シール部材が前記芯金の端部外表面にまで回り込んで固着され、この外周部の端部から径方向外方に延び、断面略くの字形の外周リップが形成され、この外周リップが前記外方部材とナックルの鍔部との間隙に嵌り込むように配置されていることを特徴とする車輪用軸受装置。
【請求項2】
前記サイドリップのうち外径側のサイドリップが摩耗してシメシロが無い状態で、内径側のサイドリップのリップ外径との間に隙間が存在するように設定されている請求項1に記載の車輪用軸受装置。
【請求項3】
前記シール部材が、前記サイドリップの内径側で、軸受内方側に傾斜して延びるグリースリップを有している請求項1または2に記載の車輪用軸受装置。
【請求項4】
前記外周リップの立上角と、前記一対のサイドリップの前記スリンガにセットする前の状態での傾斜角が略同一に設定されている請求項1乃至3いずれかに記載の車輪用軸受装置。
【請求項5】
前記シール部材に前記芯金の側面から軸方向に延びる舌片が一体に突設されている請求項1に記載の車輪用軸受装置。
【請求項6】
前記一対のサイドリップの外径側に径方向外方に傾斜して延びる補助リップが設けられ、この補助リップが前記スリンガの立板部のアウター側の側面に所定の軸方向すきまを介して対向している請求項1乃至4いずれかに記載の車輪用軸受装置。
【請求項7】
前記外周リップの折り曲げ角度が前記外方部材の端面の垂線に対して10°以上に設定され、前記ナックル組込み途中で前記外周リップ先端が前記外方部材の端面に接触した際に、当該外周リップの先端部とリップ頂点が前記外方部材の端面と前記ナックルの鍔部にシメシロを介して2点で弾性接触されている請求項1に記載の車輪用軸受装置。
【請求項8】
前記外周リップの根元部にストレート部が形成され、このストレート部の幅が1.35mm以上に設定されている請求項1に記載の車輪用軸受装置。
【請求項9】
前記外周リップに予め油分が塗布されると共に、前記リップ頂点が、前記ナックルの鍔部に対して掛かり代を持って接触されている請求項1または7に記載の車輪用軸受装置。
【請求項10】
前記スリンガの立板部のインナー側の側面にエラストマに磁性体粉が混入され、周方向に交互に磁極N、Sが着磁された磁気エンコーダが一体に加硫接着されると共に、この磁気エンコーダの外端部に径方向外方に傾斜して延びる遮蔽リップが一体に形成され、前記外周リップの根元部に軽接触するか僅かなラビリンスすきまを持って対向されている請求項1に記載の車輪用軸受装置。
【請求項11】
前記遮蔽リップに予めグリースが塗布されている請求項10に記載の車輪用軸受装置。
【請求項12】
前記スリンガの内径面から前記シール板の外径面までのシール断面高さHと前記シールの幅Bとの比H/Bが1.2〜1.8の範囲に設定されている請求項1に記載の車輪用軸受装置。
【請求項13】
前記シール部材が、ゴム物性値の圧縮永久歪が120℃×70時間で40%以下、TR10値が−35℃以下のものが使用されている請求項1に記載の車輪用軸受装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−207769(P2012−207769A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−76006(P2011−76006)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】