説明

軌道作業車両

【課題】 隣接軌道を走行する対向車両とブームとの接触を防止して安全性を確保しながら、作業領域を広げて作業性を向上させる。
【解決手段】 伸縮式のブーム11を備え、このブーム11の中心線Yが機体中心線Xに対してオフセットした軌道作業車両において、最大旋回状態でブーム中心線Yが機体中心線Xに対して交差し、かつ、ブーム先端が、反オフセット側である隣接軌道側に予め設定された進入禁止領域Dに進入しないことを条件として上部旋回体2の旋回範囲を制限するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は軌道(主として電車が走行する鉄道)上でクレーン作業を行う軌道作業車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえば鉄道用の軌道作業車両は、図6〜図8に示すようにクローラ式の下部走行体1上に上部旋回体2を縦軸まわりに旋回自在に搭載するとともに、上部旋回体2に吊り装置3を設けて構成され、下部走行体1の前後両側に設けられた昇降式の左右一対ずつの車輪4,5を軌道Aの線路6,6上に下ろし、機体を持ち上げた状態で軌道Aに沿って走行する。図8中、Bは隣接する軌道である。
【0003】
吊り装置3は、一般的には、伸縮自在なブーム7を上部旋回体2に起伏自在に装着し、このブーム7の先端に、ウィンチ8によって上げ下げされる吊りフック9を吊持して構成される。
【0004】
このタイプの車両では、ブーム7の起伏及び伸縮動作によって作業半径が変化し、これに旋回動作が加わって作業領域が決まる。
【0005】
また、このクレーンタイプのもののほか、油圧ショベルのフロントアタッチメントの先端部(具体的にはブームの先端に取付けられたアームの先端部またはバケット)にフックを取付けてクレーン作業をも行い得るようにしたショベルタイプの軌道作業車両も公知である。
【0006】
このタイプの車両では、フロントアタッチメントの起伏及び屈伸動作によって作業半径が変化し、これに旋回動作が加わって作業領域が決まる。
【0007】
以下には、図示のクレーンタイプのものを例にとって説明を加える。
【0008】
このような車両においては、作業中に、ブーム7が隣接軌道Bを走行する電車等の対向車両と接触しないように、上部旋回体2の旋回範囲を制限することとしている。
【0009】
具体的には、たとえば上部旋回体2側に旋回角度センサとしての近接スイッチ、下部走行体1側に同スイッチを作動させる金属製のブラケットを設け、近接スイッチの作動信号に基づいて、旋回モータ(油圧モータ)用のコントロールバルブを中立ブロック位置に復帰させることによって旋回動作を停止させるようにしている。
【0010】
従来は、この旋回制御により、上部旋回体2の旋回範囲を、ブーム7が前向き及び後向きの双方で軌道Aと平行となる180°に制限している。
【0011】
なお、このような軌道作業車両について本発明に関連する先行特許文献は見当たらない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところが、従来技術によると、機体中心線(旋回中心Oを通って軌道Aと平行に延びる線。図7,8参照)Xとブーム中心線(ブーム幅方向の中心を通って軌道Aと平行に延びる線)Yが一致していること、つまり、ブーム7が機体中心に対してオフセットしていない車両構成を前提として旋回範囲を180°に制限している。
【0013】
このため、図示のようにブーム中心線Yが機体中心線Xに対して右側にオフセットした車両構成がとられた場合に、図8に示すようにオフセット量Zの分だけブーム先端(吊りポイント)が機体中心線Xまで届かない空白の領域が生じる。
【0014】
従って、この空白領域での作業ができなくなるため、作業性が悪くなるという問題があり、この点の解決が要望されていた。
【0015】
そこで本発明は、対向車両とブームとの接触を防止して安全性を確保しながら、作業領域を広げて作業性を向上させることができる軌道作業車両を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1の発明は、軌道上を走行する下部走行体と、この下部走行体上に縦軸まわりに旋回自在に搭載された上部旋回体と、この上部旋回体に設けられた吊り装置と、上記上部旋回体の旋回角度を検出して旋回動作を制御する旋回制御手段とを具備し、上記吊り装置は吊り腕を備え、この吊り腕は、その伸縮または屈伸動作によって作業半径が可変となるように構成されるとともに、その幅方向の中心線である吊り腕中心線が、旋回中心である機体中心を通って軌道と平行に延びる機体中心線に対して左右片側にオフセットして配置され、上記吊り腕がオフセットする側の作業時に、上記旋回制御手段によって上部旋回体の旋回範囲を制限するように構成された軌道作業車両において、上記旋回制御手段は、最大旋回状態で吊り腕中心線が機体中心線に対して交差し、かつ、吊り腕先端が反オフセット側である隣接軌道側に予め設定された進入禁止領域に進入しないことを条件として上部旋回体の旋回範囲を制限するように構成されたものである。
【0017】
請求項2の発明は、請求項1の構成において、吊り装置は、吊り腕としてのテレスコープ状に伸縮自在なブームの先端に吊りフックが吊持されて構成されたものである。
【0018】
請求項3の発明は、請求項1または2の構成において、旋回制御手段は、最大旋回状態において吊り腕中心線が、最小作業半径と最大作業半径との間で機体中心線と交わることを条件として上部旋回体の旋回範囲を制限するように構成されたものである。
【0019】
請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかの構成において、旋回制御手段は、機体幅方向の外側の端面を通って軌道と平行に延びる機体幅線のうち隣接軌道側の機体幅線よりも外側の領域が進入禁止領域として設定されたものである。
【0020】
請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかの構成において、旋回制御手段は、下部走行体と上部旋回体の一方に設けられた旋回角度センサと、他方に設けられた被検出体とによって上部旋回体の旋回角度を検出するように構成され、かつ、上部旋回体の旋回範囲が制限内となるように上記旋回角度センサと被検出体の位置関係が設定されたものである。
【0021】
請求項6の発明は、請求項5の構成において、旋回角度センサとして、上部旋回体を停止させる信号を発する停止センサと、停止に先立って上部旋回体を減速させる信号を発する減速センサとが旋回方向に間隔を置いて設けられたものである。
【0022】
請求項7の発明は、請求項6の構成において、旋回角度センサとして、減速用及び停止用の二種類の近接スイッチが旋回方向に間隔を置いて上部旋回体に設けられる一方、被検出体として、上部旋回体の旋回中心を中心とする円弧状の被検出部を備えたブラケットが下部走行体に設けられたものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によると、吊り腕中心線が機体中心線に対してオフセットした軌道作業車両において、旋回制御手段により、吊り腕中心線(請求項2ではブーム中心線)が機体中心線に対して交差し、かつ、吊り腕先端が反オフセット側である隣接軌道側に予め設定された進入禁止領域に進入しないことを条件として上部旋回体の旋回範囲を制限するように構成したから、吊り腕と対向車両との接触を防止しながら作業範囲を拡大することができる。
【0024】
この場合、具体的な旋回範囲の制限の仕方として、請求項3の発明のように吊り腕中心線が、最小作業半径と最大作業半径との間で機体中心線と交わることを条件とすることができる。
【0025】
また、進入禁止領域は、請求項4の発明のように機体幅方向の外側の端面を通って軌道と平行に延びる機体幅線よりも外側の領域として設定することができる。
【0026】
以上の構成により、安全性を確保しながら作業性を向上させることができる。
【0027】
この場合、伸縮ブームを用いるクレーンタイプの軌道作業車両(請求項2)では、屈伸する吊り腕を持ったショベルタイプのものと比較して、最小と最大の作業半径の差が大きい分、進入禁止領域に進入する可能性が高くなる。このため、上記構成をとることの意義がとくに高い。
【0028】
また、請求項5〜7の発明によると、旋回制御手段の検出部の構成として、下部走行体と上部旋回体の一方に旋回角度センサ、他方に被検出体を設け、上部旋回体の旋回範囲が制限内となるようにこれらの位置関係を設定したから、センサと被検出体の位置関係を変えるだけで、旋回制限範囲を現場状況やブーム長さ等に応じて簡単に変更することができる。
【0029】
この場合、請求項6の発明によると、旋回角度センサとして、上部旋回体を停止させる信号を発する停止センサと、停止に先立って上部旋回体を減速させる信号を発する減速センサとを旋回方向に間隔を置いて設け、この両センサによって上部旋回体を減速させた上で停止させる構成としたから、上部旋回体のオーバーランを防ぎ、旋回制限範囲に確実に停止させて対向車両とブームとの接触を確実に回避することができる。
【0030】
また、請求項7の発明によると、旋回角度センサとして、減速用及び停止用の二種類の近接スイッチを旋回方向に間隔を置いて上部旋回体に設ける一方、被検出体として、上部旋回体の旋回中心を中心とする円弧状の被検出部を備えたブラケットを下部走行体に設けたから、検出部のコストが安くてすむ。
【0031】
しかも、ブーム中心線のオフセット量や軌道状況に応じた旋回制限範囲の変更に対して、ブラケットの円弧長を変える(ブラケットを円弧長が異なる複数種類のうちから選択する)だけで簡単に停止ポイントを変更することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明の実施形態を図1〜図5によって説明する。
【0033】
ここでは、図5に示すように吊り腕としてブーム11を備え、ブーム中心線Yが機体中心線Xに対して右側にある寸法Zだけオフセットしたクレーンタイプの軌道作業車両、及び同車両によって軌道Aの右側を作業領域Cとする場合を例示している。
【0034】
なお、車両の基本構成は従来と同じにつき、ブームに付した符号(「11」)を除き図6〜図8に示す部分と同一部分には同一符号を付して示し、その重複説明を省略する。
【0035】
図1に、上部旋回体2の旋回駆動源である旋回モータ(油圧モータ)12の作動を制御する旋回制御手段の全体構成を示す。
【0036】
図1において、13は油圧源としての油圧ポンプ、14は旋回モータ12に対する圧油の給排を制御する油圧パイロット式のコントロールバルブで、このコントロールバルブ14の両側パイロットポート14a,14bと、コントロールバルブ14を遠隔操作するリモコン弁15とを結ぶ両側パイロットライン16,17に、コントローラ18によって制御される電磁式の比例減圧弁(正確には入力電流の増加に応じて二次圧が減少する逆比例式の減圧弁。以下、単に比例弁という)19,20が設けられている。
【0037】
コントローラ18には、旋回角度を検出する検出部21からの検出信号が作業領域切換スイッチ22を介して入力され、この検出信号に基づく比例弁19,20の作用により、コントロールバルブ14が左右両側の旋回位置ロ,ハの一方から中立ブロック位置イに向けて復帰作動する。
【0038】
これにより、旋回モータ12に対する圧油の供給が減少し停止するため、旋回モータ12が減速→停止する。
【0039】
図2〜図4に検出部21の構成を示す。
【0040】
この検出部21は、上部旋回体2が停止させるべき角度に到達したことを検出する旋回角度センサとしての近接スイッチ23〜26と、被検出体としてのブラケット27とによって構成される。
【0041】
近接スイッチ23〜26は、左旋回用と右旋回用とに分けて旋回中心Oに対して対称配置で設けられ、かつ、それぞれについて減速用と停止用の二種類(計四個)が旋回方向に間隔を置いて設けられている。
【0042】
具体的に説明すると、23は左旋回時の減速用近接スイッチ、24は同停止用近接スイッチ、25は右旋回時の減速用近接スイッチ、26は同停止用近接スイッチで、この実施形態と逆に軌道左側を作業領域とする場合は、図1中の作業領域切換スイッチ22により、各近接スイッチ23〜26が、上記の順で、右旋回時の停止、減速用、左旋回時の停止、減速用として機能が切換えられる。
【0043】
以下、各近接スイッチ23〜26について、右側を作業領域とする場合を基準に左減速スイッチ、左停止スイッチ、右減速スイッチ、右停止スイッチという。
【0044】
この各スイッチ23〜26は旋回軸受部分において上部旋回体2側に取付けられている。
【0045】
一方、下部走行体1側に、各スイッチ23〜26に近接してスイッチ動作を行わせる左旋回、右旋回共通の被検出体としてのブラケット27がボルト28(図4参照)によって着脱可能に取付けられている。
【0046】
このブラケット27の先端側に旋回中心Oを中心とする円弧状の被検出部27aが設けられ、各スイッチ23〜26はこの被検出部27aに外周側から近接対向した時点で検出信号を発する。
【0047】
たとえば左旋回時に、左減速スイッチ23がまず作動して図1中の旋回モータ12が減速され、その後に左停止スイッチ24が作動して同モータ12が停止する。
【0048】
この作用により、図5に示すブーム11が、隣接軌道B側にはみ出して対向車両と接触しないように、上部旋回体2の旋回範囲が制限される。
【0049】
ここで、従来の軌道作業車両においては、図8に示すように上部旋回体2の旋回範囲を、ブーム7の前向き及び後向きの双方でブーム中心線Yが機体中心線Xと平行となる180°範囲に制限しているため、前記のようにブーム7がオフセットした構成をとる場合に、このオフセットにより、ブーム7の先端(吊りポイント)が機体中心線Xに到達する前に旋回停止作用が働いていた。
【0050】
これに対し、この車両においては、図5に示すように最大旋回状態でブーム中心線Yが機体中心線Xに対して交差し(Pは交点を示す)、かつ、ブーム11が進入禁止領域(対向車両と接触する危険性がある領域として隣接軌道側に予め設定された領域)Dに進入しないように上部旋回体2の旋回範囲が制限される。
【0051】
この場合、実際問題としてブーム先端が機体幅よりも隣接軌道側に出なければ対向車両と接触することもないため、進入禁止領域Dは、図示のように機体幅線(機体幅方向の外側の端面を通って軌道Aと平行に延びる線)Eよりも外側で一定の猶予代を加えた領域として設定することができる。
【0052】
一方、ブーム先端が進入禁止領域Dに入らないようにするために上部旋回体2の旋回範囲を具体的にどの角度に制限すればよいかについては、ブーム11の機体中心線Xに対するオフセット量Zの大きさや、最伸長時のブーム長さ等によって変わってくる。
【0053】
この点、実機ベースでの検証によると、ブーム中心線Yが、最小作業半径(ブーム最縮小状態での吊りポイントの旋回半径)R1と最大作業半径(ブーム最伸長状態での吊りポイントの旋回半径)R2との間で機体中心線Xと交わる状態を旋回限界として設定すれば、ブーム先端が機体中心線Xを超え、しかも進入禁止区域Dに入るおそれがない。
【0054】
図5は、その一例として、ブーム11の最縮小状態での先端(吊りポイント)が機体中心線Xと交点Pで交わるように旋回範囲を制限した例を示す。この例によると、ブーム最伸長状態でも、ブーム先端が進入禁止区域Dよりもかなり内側で機体中心線Xを超える状態となるため、ブーム先端が対向車両と接触するおそれは全くない。
【0055】
あるいは、さらに安全を見込んで、ブーム最伸長状態でブーム先端が機体中心線Xに到達することを条件として旋回範囲を制限する構成をとってもよい。
【0056】
検出部21の各スイッチ23〜26と被検出体27は、上記のような旋回制限が働くようにその位置関係が設定されている。
【0057】
具体的には、図3に示すように、被検出体27の被検出部27aの円弧長さについて、従来車両の円弧長さ寸法をL2とすると、これよりも短い寸法L1とされ、減速・停止の検出ポイントが従来よりも所定角度分(旋回範囲の拡大分)だけ遅れるように設定されている。
【0058】
以上の構成により、ブーム先端が進入禁止領域Dに入らない範囲で、ブーム11の旋回範囲を広げることができるため、ブーム11と対向車両との接触を防止しながら作業範囲を拡大することができる。すなわち、安全性を確保しながら作業性を向上させることができる。
【0059】
この場合、実施形態で挙げた、伸縮式のブーム11を用いるクレーンタイプの軌道作業車両では、屈伸する吊り腕を持ったショベルタイプのものと比較して、最小と最大の作業半径の差が大きい分、ブーム11が進入禁止領域Dに進入する可能性が高くなるため、上記構成をとることの意義がとくに高くなる。
【0060】
一方、検出部21の構成として、上部旋回体2側に近接スイッチ23〜26、下部走行体1側にブラケット27を設け、上部旋回体2の旋回範囲が制限内となるようにこれらの位置関係を設定したから、近接スイッチ23〜26とブラケット27の位置関係を変えるだけで、旋回制限範囲を現場状況やブーム長さ等に応じて簡単に変更することができる。
【0061】
しかも、検出部21のコストが安くてすむとともに、ブーム中心線Yのオフセット量Zの大きさや軌道状況に応じた旋回制限範囲の変更に対して、ブラケット27の円弧長L1を変える(ブラケット27を円弧長L1が異なる複数種類のうちから選択する)だけで簡単に停止ポイントを変更することができる。
【0062】
この場合、上部旋回体2を減速させた上で停止させる構成としたから、上部旋回体2のオーバーランを防ぎ、旋回制限範囲に確実に停止させて対向車両とブーム11との接触を確実に回避することができる。
【0063】
ところで、旋回角度センサとして、上記実施形態の近接スイッチ23〜26に代えてリミットスイッチ、光センサ等の他のセンサを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施形態にかかる軌道作業車両における旋回制御手段の構成を示す図である。
【図2】同検出部の構成を示す平面図である。
【図3】図2の一部拡大図である。
【図4】図3のIV−IV線矢視図である。
【図5】同車両の旋回範囲を示す概略平面図である。
【図6】同車両の側面図である。
【図7】同平面図である。
【図8】従来の車両の旋回範囲を示す概略平面図である。
【符号の説明】
【0065】
1 下部走行体
2 上部旋回体
3 吊り装置
4,5 車輪
A 軌道
B 隣接軌道
6,6 軌道の線路
9 吊りフック
11 ブーム
12 旋回駆動源としての旋回モータ
14 旋回制御用のコントロールバルブ
18 同コントローラ
21 検出部
23〜26 旋回角度センサとしての近接スイッチ
27 被検出体としてのブラケット
27a ブラケットの被検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道上を走行する下部走行体と、この下部走行体上に縦軸まわりに旋回自在に搭載された上部旋回体と、この上部旋回体に設けられた吊り装置と、上記上部旋回体の旋回角度を検出して旋回動作を制御する旋回制御手段とを具備し、上記吊り装置は吊り腕を備え、この吊り腕は、その伸縮または屈伸動作によって作業半径が可変となるように構成されるとともに、その幅方向の中心線である吊り腕中心線が、旋回中心である機体中心を通って軌道と平行に延びる機体中心線に対して左右片側にオフセットして配置され、上記吊り腕がオフセットする側の作業時に、上記旋回制御手段によって上部旋回体の旋回範囲を制限するように構成された軌道作業車両において、上記旋回制御手段は、最大旋回状態で吊り腕中心線が機体中心線に対して交差し、かつ、吊り腕先端が反オフセット側である隣接軌道側に予め設定された進入禁止領域に進入しないことを条件として上部旋回体の旋回範囲を制限するように構成されたことを特徴とする軌道作業車両。
【請求項2】
吊り装置は、吊り腕としてのテレスコープ状に伸縮自在なブームの先端に吊りフックが吊持されて構成されたことを特徴とする請求項1記載の軌道作業車両。
【請求項3】
旋回制御手段は、最大旋回状態において吊り腕中心線が、最小作業半径と最大作業半径との間で機体中心線と交わることを条件として上部旋回体の旋回範囲を制限するように構成されたことを特徴とする請求項1または2記載の軌道作業車両。
【請求項4】
旋回制御手段は、機体幅方向の外側の端面を通って軌道と平行に延びる機体幅線のうち隣接軌道側の機体幅線よりも外側の領域が進入禁止領域として設定されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の軌道作業車両。
【請求項5】
旋回制御手段は、下部走行体と上部旋回体の一方に設けられた旋回角度センサと、他方に設けられた被検出体とによって上部旋回体の旋回角度を検出するように構成され、かつ、上部旋回体の旋回範囲が制限内となるように上記旋回角度センサと被検出体の位置関係が設定されたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の軌道作業車両。
【請求項6】
旋回角度センサとして、上部旋回体を停止させる信号を発する停止センサと、停止に先立って上部旋回体を減速させる信号を発する減速センサとが旋回方向に間隔を置いて設けられたことを特徴とする請求項5記載の軌道作業車両。
【請求項7】
旋回角度センサとして、減速用及び停止用の二種類の近接スイッチが旋回方向に間隔を置いて上部旋回体に設けられる一方、被検出体として、上部旋回体の旋回中心を中心とする円弧状の被検出部を備えたブラケットが下部走行体に設けられたことを特徴とする請求項6記載の軌道作業車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−55810(P2007−55810A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−246579(P2005−246579)
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【出願人】(000246273)コベルコ建機株式会社 (644)
【出願人】(000105682)コベルコ建機エンジニアリング株式会社 (12)
【Fターム(参考)】