説明

軟質ポリウレタンフォームの製造方法

【課題】 ハイキュアーで生産性が良好かつ成形性が良好な、コールドキュア軟質ポリウレタンフォームの製造方法を提供する。
【解決手段】 ポリオール成分(A)と有機ポリイソシアネート成分(B)とを、水を含有する発泡剤(C)、ウレタン化触媒(D)、および整泡剤(E)の存在下に反応させてコールドキュア軟質ポリウレタンフォームを製造する方法において、(A)が特定組成のポリオール(a1)、(a2)、(a3)、(a4)および(a5)を必須成分として含有することを特徴とする前記方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コールドキュア軟質ポリウレタンフォームの製造方法に関するものであり、さらに詳しくは自動車等の車両に設置される座席用クッション材等の用途に適した、軟質ポリウレタンフォームの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コールドキュア軟質ポリウレタンフォームは、自動車等の車両座席クッションに一般的に使用されている。コールドキュア軟質ポリウレタンフォームを製造する場合、型注入から脱型までの時間は通常4〜8分である(非特許文献1参照)。しかし、近年生産性の向上を目的として、ハイキュアー化(脱型時間の短縮)が求められている。ハイキュアー化の一般的な方法としてはウレタン化触媒の増量や触媒活性のアップがある。しかし、この方法では反応初期の増粘が早いため、注入から型締めまでの間に液が立ち上がってしてしまい、型締め時に形成途中のウレタンフォームが潰され、成形不良の原因となる。またウレタン化触媒の増量はコストアップになり、さらに触媒として一般的に用いられるアミン系触媒は増量に伴って臭気も強くなるものもあり、環境面でも好ましくない。
このため、ハイキュアーで成形性の良好なコールドキュア軟質ポリウレタンフォームの製造方法が望まれているが、従来の方法(例えば特許文献1参照)では、その両立は困難であった。
【非特許文献1】ポリウレタン樹脂ハンドブック 184頁(岩田敬治編、日刊工業新聞社刊)
【特許文献1】特開2003−246833号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、ハイキュアーで生産性が良好かつ成形性が良好な、コールドキュア軟質ポリウレタンフォームの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らはこれらの問題点を解決すべく鋭意検討の結果、特定の構造を有するポリオール成分を用いることにより、ハイキュアーかつ成形性の良好なコールドキュア軟質ポリウレタンフォームを製造できることを見出し、本発明に達した。
すなわち本発明は、ポリオール成分(A)と有機ポリイソシアネート成分(B)とを、水を含有する発泡剤(C)、ウレタン化触媒(D)、および整泡剤(E)の存在下に反応させてコールドキュア軟質ポリウレタンフォームを製造する方法において、(A)が下記ポリオール(a1)、(a2)、(a3)、(a4)、および(a5)を必須成分として含有することを特徴とする前記方法;並びに上記のコールドキュア軟質ポリウレタンフォームからなる車両座席用クッション材;である。
ポリオール(a1):平均官能基数が2〜4であり、水酸基価が26〜45mgKOH/gであり、末端オキシエチレン単位の含有量が4〜20質量%であり、かつ活性水素1個あたりのエチレンオキサイドの平均付加モル数xと末端水酸基の1級OH化率y(%)が下記式(1)の関係を満たすポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール。
y≧42.0x0.47(1−x/41) (1)
ポリオール(a2):平均官能基数が2〜4であり、水酸基価が26〜45mgKOH/であり、末端オキシエチレン単位の含有量が10〜30質量%である(a1)以外のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール。
ポリオール(a3):平均官能基数が2〜4であり、水酸基価が10〜190mgKOH/であり、オキシエチレン単位の含有量が31〜95質量%であるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール。
ポリオール(a4):平均官能基数が2〜8であり、水酸基価が340〜1300mgKOH/gであるポリオール。
ポリオール(a5):(a1)および/または(a2)中で、ラジカル重合開始剤の存在下、ビニルモノマーを重合させて得られる重合体ポリオール。
【発明の効果】
【0005】
本発明の製造方法によれば、ウレタン化触媒を増量することなく、脱型時間を短縮することが出来、かつ成形性の良好なコールドキュア軟質ウレタンフォームを得ることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明において、末端水酸基の1級OH化率は、予め試料をエステル化の前処理をした後に1H−NMR法により求める。1H−NMR法の詳細を以下に具体的に説明する。
<試料調整法>
測定試料約30mgを直径5mmの1H−NMR用試料管に秤量し、約0.5mlの重水素化溶媒を加え溶解させる。その後、約0.1mlの無水トリフルオロ酢酸を添加し25℃で約5分間放置して、ポリオールをトリフルオロ酢酸エステルとし、分析用試料とする。
ここで重水素化溶媒とは、重水素化クロロホルム、重水素化トルエン、重水素化ジメチルスルホキシド、重水素化ジメチルホルムアミド等であり、試料に溶解させることができる溶媒を適宜選択する。
【0007】
<NMR測定>
通常の条件で1H−NMR測定を行う。
<末端水酸基の1級OH化率の計算方法>
1級水酸基の結合したメチレン基由来の信号は4.3ppm付近に観測され、2級水酸基の結合したメチン基由来の信号は5.2ppm付近に観測されるから、末端水酸基の1級OH化率は下式〔2〕により算出する。
1級OH化率(%)=〔r/(2+2s)〕×100 〔2〕
ただし、
r:4.3ppm付近の1級水酸基の結合したメチレン基由来の信号の積分値
s:5.2ppm付近の2級水酸基の結合したメチン基由来の信号の積分値
である。
【0008】
本発明の製造方法に用いるポリオール成分(A)は、前記ポリオール(a1)、(a2)、(a3)、(a4)、および重合体ポリオール(a5)を必須成分として含有する。
【0009】
ポリオール(a1)、(a2)、(a3)、および(a4)の具体例としては、2〜8価またはそれ以上の活性水素含有化合物(例えば、多価アルコール、アミン、多価フェノール、ポリカルボン酸、およびこれらの混合物)に、アルキレンオキシド(以下AOと略記する。)が付加された構造の化合物が挙げられる。
【0010】
上記多価アルコールとしては、炭素数2〜20の2価アルコール(脂肪族ジオール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−および1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどのアルキレングリコール;および脂環式ジオール、例えば、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどのシクロアルキレングリコール)、炭素数3〜20の3価アルコール(脂肪族トリオール、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ヘキサントリオールなどのアルカントリオール);炭素数5〜20の4〜8価またはそれ以上の多価アルコール(脂肪族ポリオール、例えば、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン、ジペンタエリスリトールなどのアルカンポリオールおよびそれらもしくはアルカントリオールの分子内もしくは分子間脱水物;ならびにショ糖、グルコース、マンノース、フルクトース、メチルグルコシドなどの糖類およびその誘導体)が挙げられる。
【0011】
アミンとしては、アルカノールアミン、ポリアミン、およびモノアミンが挙げられる。
アルカノールアミンとしては、炭素数2〜20のモノ−、ジ−およびトリ−アルカノールアミン(例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンおよびイソプロパノールアミン)などが挙げられる。
ポリアミン(1,2級アミノ基の数:2〜8個またはそれ以上)としては、脂肪族アミンとして、炭素数2〜6のアルキレンジアミン(例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミンおよびヘキサメチレンジアミン)、炭素数4〜20のポリアルキレンポリアミン(アルキレン基の炭素数が2〜6のジアルキレントリアミン〜 ヘキサアルキレンヘプタミン、例えば、ジエチレントリアミンおよびトリエチレンテトラミン)などが挙げられる。
また、炭素数6〜20の芳香族ポリアミン(例えば、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、メチレンジアニリンおよびジフェニルエーテルジアミン);炭素数4〜20の脂環式ポリアミン(例えば、イソホロンジアミン、シクロヘキシレンジアミンおよびジシクロヘキシルメタンジアミン);炭素数4〜20の複素環式ポリアミン(例えば、ピペラジンおよびアミノエチルピペラジン)等が挙げられる。
モノアミンとしては、アンモニア;脂肪族アミンとして、炭素数1〜20のアルキルアミン(例えば、n−ブチルアミンおよびオクチルアミン);炭素数6〜20の芳香族モノアミン(例えば、アニリンおよびトルイジン);炭素数4〜20の脂環式モノアミン(例えば、シクロヘキシルアミン);炭素数4〜20の複素環式モノアミン(例えば、ピペリジン)等が挙げられる。
【0012】
多価(2〜8価またはそれ以上)フェノールとしては、ピロガロール、ハイドロキノンおよびフロログルシン等の単環多価フェノール;ビスフェノールA、ビスフェノールF、およびビスフェノールスルホン等のビスフェノール;フェノールとホルムアルデヒドの縮合物(ノボラック);たとえば米国特許第3265641号明細書に記載のポリフェノール等が挙げられる。
【0013】
ポリカルボン酸としては、炭素数4〜18の脂肪族ポリカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、アゼライン酸など)、炭素数8〜18の芳香族ポリカルボン酸(フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸など)、およびこれらの2種以上の混合物があげられる。
これらの活性水素含有化合物は2種以上を併用してもよい。これらの中で好ましくは多価アルコールである。
【0014】
上記活性水素含有化合物に付加させるAOとしては、プロピレンオキシド(以下POと略称する。)、およびエチレンオキシド(以下EOと略称する。)が好ましい。AOは、これらのみを含有することが好ましいが、AO中10質量%(以下、%はとくに断りのない場合、質量%を意味する。)以下(とくに5%以下)の範囲で他のAOを併用してもよい。他のAOとしては、炭素数4〜8のものが好ましく、1,2−、1,3−、1,4−、または2,3−ブチレンオキシド、およびスチレンオキシド等が挙げられ、2種以上用いてもよい。
【0015】
本発明に用いるポリオール(a1)としては、前記活性水素含有化合物のうち2〜4価またはそれ以上のものに、後述する方法でAOが付加された構造の化合物が挙げられ、2種以上を併用してもよい。
AOとしては、POおよびEOである。AOは、これらのみを含有することが好ましいが、AO中10%以下(とくに5%以下)の範囲で前記の他のAOが併用された付加物であってもよい。
POおよびEOを含むAOの付加形式としては、PO、EOの順序でブロック付加したものが好ましい。
【0016】
ポリオール(a1)の1分子当たりの平均官能基数は2〜4であり、好ましくは3〜4である。この範囲以外の官能基数のものが含まれていても、平均官能基数が2〜4となればよい(他のポリオールの平均官能基数についても同様)。なお、本発明において、ポリオールの官能基数は、出発物質の官能基数と同一であるとみなす。
(a1)の水酸基価は26〜45(mgKOH/g、以下の水酸基価も同じ)であり、好ましくは27〜42、さらに好ましくは28〜40である。本発明における水酸基価は、JIS K0070(1992年版)に規定の方法で測定される。
(a1)の末端オキシエチレン単位(以下、オキシエチレン単位をEO単位と記載する。)の含有量は4〜20%であり、好ましくは6〜18%である。(a1)の内部EO単位の含有量は、好ましくは3%以下、さらに好ましくは0%である。
また(a1)は、活性水素1個当たりのエチレンオキサイドの平均付加モル数xと1級OH化率yが下記式(1)の関係を満たし、好ましくは下記式(1’)の関係、さらに好ましくは下記式(1”)の関係を満たす。
y≧42.0x0.47(1−x/41) (1)
y≧42.5x0.47(1−x/41) (1’)
y≧43.0x0.47(1−x/41) (1”)
なお、xの範囲としては、上記のEO単位の含有量となる範囲内であればよいが、好ましくは0.1〜12、さらに好ましくは1〜10である。
上記式(1)は、後述する触媒(α)を用いてPO付加後に、末端EO付加して得られるポリオールと、通常用いられる水酸化カリウム等のアルカリ触媒を用いて、同様の付加形式で得られるポリオールとを区別するために、実験により求めたものである。すなわち、図1に示すように、(α)を用いて得られた(a1)が式(1)の関係を満たすのに対し、アルカリ触媒を用いて得られたポリオールは、通常式(1)の関係を満たさない。
【0017】
(a1)が式(1)を満たさないとフォームの硬化速度が低下する。平均官能基数が2未満であると圧縮永久歪率が低下し、4を越えると伸び物性が低下する。水酸基価が26未満であるとフォームの硬さが低下し、45を越えると伸び物性が低下する。末端EO単位の含有量が4%未満であると発泡終了直前の硬化が不十分でフォームが崩壊しやすく、末端EO単位の含有量が20%を越えると独立気泡が多くなりフォームが収縮しやすくなる。
【0018】
このポリオール(a1)を得る方法としては、特定の触媒(α)の存在下で、前記活性水素含有化合物に、PO、EOの順序でAOを付加させる方法等が挙げられる。AO付加に通常用いられる水酸化カリウムなどの塩基性触媒を用いた場合、末端EO単位の含有量が4〜20%で、且つ、式(1)を満たすポリオールを得ることは非常に困難である。
(α)はPO付加時に用いるが、必ずしもPO付加の全段階に用いる必要はなく、後述する通常使用される他の触媒の存在下で一部のPOを付加後、付加反応後期のみに(α)を用いて、残りのPOを付加してもよい。
(α)としては、特開2000−344881号公報に記載のものが挙げられ、具体的には、BF3以外の、フッ素原子、(置換)フェニル基および/または3級アルキル基が結合したホウ素もしくはアルミニウム化合物であり、トリフェニルボラン、ジフェニル−t−ブチルボラン、トリ(t−ブチル)ボラン、トリフェニルアルミニウム、ジフェニル−t−ブチルアルミニウム、トリ(t−ブチル)アルミニウム、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、ビス(ペンタフルオロフェニル)−t−ブチルボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウム、ビス(ペンタフルオロフェニル)−t−ブチルアルミニウムなどが挙げられる。
これらの中で好ましいものは、トリフェニルボラン、トリフェニルアルミニウム、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウムであり、さらに好ましいのはトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウムである。
AOの付加条件についても上記公報に記載の方法と同様でよく、例えば、生成する開環重合体に対して、通常0.0001〜10%、好ましくは0.001〜1%の上記触媒を用い、通常0〜250℃、好ましくは20〜180℃で反応させる。
【0019】
上記のPO付加物に、さらにEOを付加させることでさらに1級OH化率の大きなポリオールが得られる。触媒(α)を用いた場合、EO付加させる前のポリオールの末端水酸基の1級OH化率が通常40%以上(好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上)と極めて大きいため、少ないEO使用量で末端水酸基の1級OH化率を大きくできる(図1参照)。なお、上記EO付加に用いる触媒は、触媒(α)をそのまま用いても、それに代えて通常使用される他の触媒などを用いてもよい。
他の触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、炭酸カリウム、トリエチレンジアミンなどの塩基性触媒;三フッ化ホウ素、塩化スズ、トリエチルアルミニウム、へテロポリ酸などの酸触媒;亜鉛ヘキサシアノコバルテート;フォスファゼン化合物などが挙げられる。これらの中では塩基性触媒が好ましい。触媒の使用量は特に限定されないが、生成する重合体に対して、好ましくは0.0001〜10%、さらに好ましくは0.001〜1%である。
【0020】
本発明に用いるポリオール(a2)としては、前記活性水素含有化合物のうち2〜4価またはそれ以上のものにAOが付加された構造の化合物が挙げられ、2種以上を併用してもよい。
AOとしてはPOとEOのみを含有するものが好ましいが、前記の他のAOを、好ましくはAO中10%以下(とくに5%以下)含んでいてもよい。POおよびEOの付加方法としては、PO、EOの順序でブロック付加したものが好ましい。なお、AO付加時に用いる触媒としては、水酸化カリウム等の塩基性触媒など、通常用いられる触媒でよい〔(a3)、および(a4)のうちのAO付加物も同様〕。
【0021】
ポリオール(a2)は、前記式(1)の関係を満たさない(a1)以外のポリオールである。
(a2)の1分子当たりの平均官能基数は2〜4であり、好ましくは3〜4である。
水酸基価は26〜45であり、好ましくは27〜42、さらに好ましくは28〜40である。
末端EO単位の含有量は10〜30%であり、好ましくは12〜28%、さらに好ましくは15〜25%である。内部EO単位の含有量は、好ましくは3%以下、さらに好ましくは0%である。
(a2)の平均官能基数が2未満では硬化時間が長くなり生産性が低下し、4を越えるとフォームの伸び物性が低下する。末端EO単位の含有量が10%未満であると発泡終了直前の硬化が不十分でフォームが崩壊しやすく、末端EO単位の含有量が30%を越えるとフォームの独立気泡が多くなり、フォームが収縮しやすくなる。水酸基価が26未満ではフォーム硬さが低下し、45を越えるとフォームの独立気泡が多くなり、フォームが収縮しやすくなる。
(a1)と(a2)を併用することで、ハイキュアー化によっても生産性を損なうことなく、成形性にも優れた軟質ポリウレタンフォームが得られやすい。
【0022】
本発明に用いるポリオール(a3)としては、前記活性水素含有化合物のうち2〜4価またはそれ以上のものにAOが付加された構造の化合物が挙げられ、2種以上を併用してもよい。
AOとしてはPOとEOのみを含有するものが好ましいが、AO中10%以下(とくに5%以下)の範囲で前記の他のAOを含有してもよい。
POおよびEOの付加形式としては、PO、EOのブロック付加であってもランダム付加であってもよいが、ランダム付加が好ましい。
【0023】
ポリオール(a3)の1分子当たりの平均官能基数は2〜4であり、好ましくは3〜4である。
水酸基価は10〜190であり、好ましくは15〜150、さらに好ましくは20〜120である。
EO単位の含有量は31〜95%であり、好ましくは50〜92%、さらに好ましくは60〜90%である。
(a3)の平均官能基数が2未満では、硬化時間が長くなり生産性が低下し、4を越えると、フォームの伸び物性が低下する。水酸基価が10未満ではフォーム硬さが低下し、190を越えると、フォームの独立気泡が多くなり、フォームが収縮しやすくなる。EO単位の含有量が31%未満であると硬化時間が長くなり、95%を越えると、フォームの独立気泡が多くなり、フォームが収縮しやすくなる。
【0024】
本発明の方法におけるポリオール(a4)としては、2〜8価またはそれ以上の、多価アルコール、アルカノールアミン、および活性水素含有化合物にAOが付加された構造の化合物が挙げられ、2種以上を併用してもよい。多価アルコール、アルカノールアミン、および活性水素含有化合物としては、具体的には前記のものが挙げられる。
活性水素含有化合物に付加するAOとしては、POおよび/またはEO、とくにPOもしくはEOのみを含有するものが好ましいが、前記の他のAOを、好ましくはAO中10%以下(とくに5%以下)含んでいてもよい。
【0025】
ポリオール(a4)の1分子当たりの平均官能基数は2〜8であり、好ましくは3〜6である。
水酸基価は340〜1300であり、好ましくは400〜1250である。
(a4)の平均官能基数が2未満では、硬化時間が長くなり生産性が低下し、8を越えると、フォームの伸び物性が低下する。水酸基価が340未満ではフォーム硬さが不足し、1300を越えると、フォームの独立気泡が多くなり、フォームが収縮しやすくなる。
【0026】
本発明に用いるポリオール(a5)は、ポリオール(a1)および/または(a2)中で、ラジカル重合開始剤の存在下、ビニルモノマー(m)を通常の方法で重合して製造することができる。重合方法の具体例としては、米国特許第3383351号明細書、特公昭39−25737号公報等に記載の方法が挙げられる。
【0027】
ラジカル重合開始剤としては、遊離基を生成して重合を開始させるものが使用でき、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のアゾ化合物;ジベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーイキサイドおよび過コハク酸等の有機過酸化物;過硫酸塩および過ホウ酸塩等の無機過酸化物などが挙げられる。なお、これらは2種以上を併用することができる。
【0028】
(m)としては、芳香族ビニル単量体(m1)、不飽和ニトリル(m2)、(メタ)アクリル酸エステル(m3)、その他のビニル単量体(m4)、およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
(m1)としては、スチレン、α−メチルスチレン、ヒドロキシスチレン、クロルスチレン等が挙げられる。
(m2)としては、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等が挙げられる。
(m3)としては、C、HおよびO原子から構成されるもの、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(アルキル基の炭素数が1〜24)〔例えば、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート〕、ヒドロキシアルキル(炭素数2〜5)(メタ)アクリレート〔例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート〕、およびヒドロキシポリオキシアルキレンモノ(メタ)アクリレート〔例えば、アルキレン基の炭素数2〜4、ポリオキシアルキレン鎖の数平均分子量200〜1000〕が挙げられる。
【0029】
(m4)としては、エチレン性不飽和カルボン酸およびその誘導体、具体的には(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミドなど;脂肪族もしくは脂環式炭化水素単量体、具体的にはアルケン(エチレン、プロピレン、ノルボルネン等)、アルカジエン(ブタジエン等)など;フッ素系ビニル単量体、具体的には、フッ素含有(メタ)アクリレート(パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、パーフルオロオクチルエチルアクリレート等)など;塩素系ビニル単量体、具体的には塩化ビニリデンなど;上記以外の窒素含有ビニル単量体、具体的には窒素含有(メタ)アクリレート(ジアミノエチルメタクリレート、モルホリノエチルメタクリレート等)など;およびビニル変性シリコーンなどが挙げられる。
これら(m)中で好ましいものは、(m1)および(m2)であり、とくにスチレンおよび/またはアクリロニトリルである。
【0030】
ビニルモノマー(m)中の、(m1)、(m2)、(m3)および(m4)の重量比率は、要求されるポリウレタンの物性等に応じて変えることができ、特に限定されていないが、一例を示すと次の通りである。
(m1)および/または(m2)は、好ましくは50〜100%、さらに好ましくは80〜100%である。(m1)と(m2)の重量比はとくに限定されないが、好ましくは0/100〜80/20である。(m3)は、好ましくは0〜50%、さらに好ましくは0〜20%である。(m4)は、好ましくは0〜10%、さらに好ましくは0〜5%である。
また、(m)中に、これらの単官能モノマー以外に、少量(好ましくは0.05〜1%)の2官能以上(好ましくは2〜8官能)の多官能ビニルモノマー(m5)を用いることにより、重合体の強度をさらに向上させることができる。(m5)としては、例えば、ジビニルベンゼン、エチレンジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレン(アルキレン基の炭素数2〜8、重合度:2〜10)グリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0031】
ポリオール(a5)中の(m)の重合体の含有量は、好ましくは10〜50%、さらに好ましくは、20〜40%である。重合体の含有量が10%以上では十分なフォーム硬さが発現でき、50%以下では(a5)の粘度が低くなり取扱いが容易である。
【0032】
本発明においては、ポリオール成分(A)中の(a1)、(a2)、(a3)、(a4)および(a5)含有量は、好ましくは(a1)が10〜79.4%、(a2)が10〜79.4%、(a3)が0.1〜15%、(a4)が0.5〜20%、(a5)が10〜79.4%であり、さらに好ましくは、(a1)が12〜75%、(a2)が12〜75%、(a3)が0.15〜5%、(a4)が1〜10%、(a5)が12〜75%であり、とくに好ましくは(a1)が13〜65%、(a2)が13〜65%、(a3)が0.2〜4%、(a4)が2〜9%、(a5)が15〜70%である。
(a1)が10%以上であるとフォームの伸び物性が良好であり、79.4%以下であるとフォームの硬さが不足することがない。(a2)が10%以上ではフォームの硬さが不足することがなく、79.4%以下では伸び物性が低下することがない。(a3)が0.1%以上では独立気泡が多くなることがなく、15%以下であると硬化時間が長くならない。(a4)が0.5%以上では独立気泡が多くなることがなく、20%以下であると硬化時間が長くならない。(a5)が10%以上ではフォームの硬さが不足することがなく、79.4%以下では伸び物性が低下することがない。
また(A)中の、(a5)中の(a1)を含む(a1)の合計含有量は、好ましくは10〜85%、さらに好ましくは12〜80%である。
また(A)中の、(a5)中の(a2)を含む(a2)の合計含有量は、好ましくは10〜85%、さらに好ましくは12〜80%である。
なお、ポリオール成分(A)中には、(a1)、(a2)、(a3)、(a4)、および(a5)のみを含有するのが好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲(好ましくは5%以下)で、これら以外の成分を含有してもよい。
【0033】
本発明において、ポリオール成分(A)中の(m)の重合体の含有量は、5〜25%が好ましい。5%以上であると発泡終了直前の硬化が十分発現しておりかつフォームの硬さ損なわれることがない。特に8〜22%が好ましい。
【0034】
本発明で使用される有機ポリイソシアネート成分(B)としては、イソシアネート基を分子内に2個以上有する化合物であればよく、ポリウレタンフォームの製造に通常使用されるものを用いることができる。このようなイソシアネートとしては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、これらの変性物(例えば、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、イソシヌアレート基、またはオキサゾリドン基含有変性物など)およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0035】
芳香族ポリイソシアネートとしては、炭素数(NCO基中の炭素を除く;以下のイソシアネートも同様)6〜16の芳香族ジイソシアネート、炭素数6〜20の芳香族トリイソシアネートおよびこれらのイソシアネートの粗製物などが挙げられる。具体例としては、1,3−および/または1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−および/または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(粗製MDI)、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネートなどが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、炭素数6〜10の脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。具体例としては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどが挙げられる。
脂環式ポリイソシアネートとしては、炭素数6〜16の脂環式ジイソシアネートなどが挙げられる。具体例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、炭素数8〜12の芳香脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。具体例としては、キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0036】
変性ポリイソシアネートの具体例としては、ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、ショ糖変性TDI、ひまし油変性MDIなどが挙げられる。
(B)としては、好ましくは芳香族ポリイソシアネートであり、さらに好ましくは、60%以上の、TDI、粗製TDI、およびそれらの変性物から選ばれる1種以上のポリイソシアネート(これらのイソシアネートをTDI系ポリイソシアネートと表記する。)と、40%以下の他のポリイソシアネート(好ましくはMDI、粗製MDI、およびこれらのイソシアネートの変性物から選ばれる1種以上)とからなるものである。とくに好ましくは、TDI系ポリイソシアネートの量が70〜95%のものである。
【0037】
本発明における発泡剤(C)としては、水を使用する。
本発明において、水の使用量はポリオール成分(A)100質量部(以下、部は質量部を意味する。)に対して好ましくは2.0〜5.5部、さらに好ましくは2.5〜5.0部である。
発泡剤(C)としては水のみを用いるのが好ましいが。必要により水素原子含有ハロゲン化炭化水素、低沸点炭化水素、液化炭酸ガス等を用いてもよい。
【0038】
水素原子含有ハロゲン化炭化水素系発泡剤の具体例としてHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)タイプのもの(例えばHCFC−123、HCFC−141b、HCFC−22およびHCFC−142b);HFC(ハイドロフルオロカーボン)タイプのもの(例えばHFC−134a、HFC−152a、HFC−356mff、HFC−236ea、HFC−245ca、HFC−245fa、およびHFC−365mfc)等が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、HCFC−141b、HFC−134a、HFC−356mff、HFC−236ea、HFC−245ca、HFC−245fa、およびHFC−365mfcおよびこれらの2種以上の混合物である。
水素原子含有ハロゲン化炭化水素を用いる場合の使用量は、(A)100部当たり、好ましくは50部以下、さらに好ましくは45部以下である。
【0039】
低沸点炭化水素は、通常沸点が−5〜70℃の炭化水素であり、その具体例としては、ブタン、ペンタン、シクロペンタンおよびこれらの混合物が挙げられる。低沸点炭化水素を用いる場合の使用量は、(A)100部当たり、好ましくは30部以下、さらに好ましくは25部以下である。
また、液化炭酸ガスを用いる場合の使用量は、(A)100部あたり、好ましくは30部以下、さらに好ましくは25部以下である。
【0040】
本発明におけるウレタン化触媒(D)としては、ウレタン化反応を促進する通常の触媒はすべて使用でき、例として、トリエチレンジアミン、ビス(N,N−ジメチルアミノ−2−エチル)エーテル、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミンのPO付加物などの3級アミンおよびそのカルボン酸塩、酢酸カリウム、オクチル酸カリウム、スタナスオクトエート等のカルボン酸金属塩、ジブチルチンジラウレート等の有機金属化合物が挙げられる。
(D)の使用量(純分)はポリオール成分(A)100部に対して好ましくは0.1〜0.6部、さらに好ましくは0.15〜0.5部である。
【0041】
本発明における整泡剤(E)としては、通常のポリウレタンフォームの製造に用いられるものはすべて使用でき、例として、ポリエーテル変性ジメチルシロキサン系整泡剤[例えば、モメンティブ製の「L−5309」、東レ・ダウコーニング(株)製の「SZ−1346」、「SF−2969」、「SZ−1327」、「SRX−274C」等]、ジメチルシロキサン系整泡剤[例えば、東レダウシリコーン(株)製の「SRX−253」等]等のシリコーン整泡剤が挙げられる。
(E)の使用量は、ポリオール成分(A)100部に対して、好ましくは0.5〜3部、さらに好ましくは0.8〜1.5部である。
【0042】
本発明においては、必要により以下に述べるような、他の補助成分を用い、その存在下で反応させてもよい。
例えば、着色剤(染料、顔料)、難燃剤(リン酸エステル、ハロゲン化リン酸エステルなど)、老化防止剤(トリアゾール系、ベンゾフェノン系など)、抗酸化剤(ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系など)などの公知の補助成分の存在下で反応させることができる。ポリオール成分(A)100部に対するこれらの補助成分の使用量に関しては、着色剤は、好ましくは1部以下である。難燃剤は、好ましくは5部以下、さらに好ましくは2部以下である。老化防止剤は、好ましくは1部以下、さらに好ましくは0.5部以下である。抗酸化剤は、好ましくは1部以下、さらに好ましくは0.01〜0.5部である。
【0043】
本発明の製造方法において、ポリウレタンフォームの製造に際してのイソシアネート指数[(NCO基/活性水素原子含有基)の当量比×100](NCOインデックス)は、好ましくは70〜125、さらに好ましくは75〜120、特に好ましくは85〜115である。
【0044】
本発明の方法によるポリウレタンフォームの製造法の具体的な一例を示せば、下記の通りである。まず、ポリオール成分(A)、発泡剤(C)、ウレタン化触媒(D)、整泡剤(E)、および必要により、他の補助成分を所定量混合する。次いでポリウレタン発泡機または攪拌機を使用して、この混合物(ポリオールプレミックス)と有機ポリイソシアネート成分(B)とを急速混合する。得られた混合液をモールド(例えば55〜75℃)に注入し、所定時間後脱型して軟質ポリウレタンフォームを得る。
【0045】
本発明の製造方法によれば、モールド温度が55〜75℃でモールド発泡させた場合、原料の注入から脱型までの時間を2分以上4分未満(好ましくは2〜3.8分)とハイキュアー化し、かつ成形性の良好なコールドキュア軟質ポリウレタンフォームを、容易に製造することができる。
【実施例】
【0046】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0047】
実施例1〜14および比較例1〜7
表1〜表3に示す部数のポリオールプレミックスと有機ポリイソシアネート成分(B)を、高圧ウレタン発泡機(ポリマーエンジニアリング社製)の原料タンクに仕込み、液温を25℃に調節した。その後、高圧ウレタン発泡機でポリオールプレミックスと表に記載のイソシアネート指数となる量の有機ポリイソシアネート成分(B)とを15MPaで高圧吐出混合し、65℃に温度調節した400mm(長さ)×400mm(幅)×100mm(高さ)のアルミ製モールド、または自動車のシートクッションパッド成形用アルミ製モールド(実型)に注入し、キュアー時間3.5分にて成形した。
各フォームの物性値の測定結果を表1〜表3に示す。なおコア密度はフォームの中心部から、100mm×100mm×50mmの大きさに切り出して測定した密度である。
【0048】
実施例および比較例におけるポリウレタンフォームの原料は次の通りである。
なお、AO付加物は、とくに記載の無い場合は、水酸化カリウムを触媒としてAO付加して得られたものである。
(1)ポリオールa1−1:グリセリン1モルに特開2006−063344号公報の実施例1と同様にして、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを触媒としてPO79.4モルを付加し〔触媒量50ppm(反応生成物基準)、反応温度75℃〕、さらにEO6.8モルを水酸化カリウムを触媒として付加し、その後触媒成分を除去したポリオール。水酸基価=34.0、末端EO単位の含有量=6.0%、1級OH化率=82%〔式(1)の右辺=58.1〕
(2)ポリオールa1−2:グリセリン1モルに特開2006−063344号公報の実施例1と同様にして、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを触媒としてPO70.8モルを付加し〔触媒量50ppm(反応生成物基準)、反応温度75℃〕、さらにEO18.2モルを水酸化カリウムを触媒として付加し、その後触媒成分を除去したポリオール。水酸基価=34.0、末端EO単位の含有量=16.0%、1級OH化率=93%〔式(1)の右辺=83.2〕
(3)ポリオールa1−3:ペンタエリスリトール1モルに特開2006−063344号公報の実施例1と同様にして、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを触媒としてPO101.8モルを付加し〔触媒量50ppm(反応生成物基準)、反応温度75℃〕、さらにEO12.3モルを水酸化カリウムを触媒として付加し、その後触媒成分を除去したポリオール。水酸基価=39.0、末端EO単位の含有量=8.0%、1級OH化率=84%〔式(1)の右辺=61.8〕
(4)ポリオールa1−4:ペンタエリスリトール1モルに特開2006−063344号公報の実施例1と同様にして、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを触媒としてPO70.1モルを付加し〔触媒量50ppm(反応生成物基準)、反応温度75℃〕、さらにEO18.2モルを水酸化カリウムを触媒として付加し、その後触媒成分を除去したポリオール。水酸基価=45.0、末端EO単位の含有量=16.0%、1級OH化率=91%〔式(1)の右辺=76.0〕
(5)ポリオールa1−5:ペンタエリスリトール1モルに特開2006−063344号公報の実施例1と同様にして、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを触媒としてPO130.0モルを付加し〔触媒量50ppm(反応生成物基準)、反応温度75℃〕、さらにEO15.3モルを水酸化カリウムを触媒として付加し、その後触媒成分を除去したポリオール。水酸基価=32.0、末端EO単位の含有量=8.0%、1級OH化率=85%〔式(1)の右辺=66.8〕
【0049】
(6)ポリオールa2−1:グリセリンのPO・EOブロック付加物。水酸基価=34.0、末端EO単位の含有量=20.0%、1級OH化率=85%〔式(1)の右辺=88.5〕
(7)ポリオールa2−2:グリセリンのPO・EOブロック付加物。水酸基価=34.0、末端EO単位の含有量=14.0%、1級OH化率=75%〔式(1)の右辺=79.8〕
(8)ポリオールa2−3:グリセリンのPO・EOブロック付加物。水酸基価=42.0、末端EO単位の含有量=18.0%、1級OH化率=76%〔式(1)の右辺=80.9〕
(9)ポリオールa2−4:ペンタエリスリトールのPO・EOブロック付加物。水酸基価=32.0、末端EO単位の含有量=12.0%、1級OH化率=74%〔式(1)の右辺=77.4〕
【0050】
(10)ポリオールa3−1:グリセリンのPO・EOランダム付加物。水酸基価=24.0、EO単位の含有量=72.0%
(11)ポリオールa3−2:グリセリンのPO・EOランダム付加物。水酸基価=122.2、EO単位の含有量=90.0%
【0051】
(12)ポリオールa4−1:ソルビトールのEO付加物。水酸基価=1247
(13)ポリオールa4−2:ソルビトールのPO付加物。水酸基価=490
(14)ポリオールa4−3:トリエタノールアミン。水酸基価=1130
【0052】
(15)重合体ポリオールa5−1:ポリオールa1−2とポリオールa2−4(質量比:80/20)中で、スチレンとアクリロニトリル(質量比:30/70)を共重合させた重合体ポリオール(重合体含量33.5%)、水酸基価=22.0
(16)重合体ポリオールa5−2:ポリオールa2−2とポリオールa2−4(質量比:80/20)中で、スチレンとアクリロニトリル(質量比:30/70)を共重合させた重合体ポリオール(重合体含量33.5%)、水酸基価=22.0
【0053】
(17)ポリオールb1−1:ペンタエリスリトール1モルに特開2000−344881号公報の実施例1と同様にして、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを触媒としてPO111.1モルを付加し〔触媒量50ppm(反応生成物基準)、反応温度75℃〕、その後触媒成分を除去したポリオール。水酸基価=34.0、末端EO単位の含有量=0%、1級OH化率=72%
【0054】
(18)ポリオールb2−1:グリセリンのPO付加物。水酸基価=34.0
(19)ポリオールb2−2:ペンタエリスリトールのPO・EOブロック付加物。水酸基価=32.0、末端EO単位の含有量=7.0%、1級OH化率=61%〔式(1)の右辺=63.4〕
【0055】
(20)ウレタン化触媒D−1:三共エアプロ(株)製「DABCO−33LV」(トリエチレンジアミンの33%ジプロピレングリコール溶液)
(21)ウレタン化触媒D−2:東ソー(株)製「TOYOCAT ET」(ビス(ジメチルアミノエチル)エーテルの70%ジプロピレングリコール溶液)
(22)ウレタン化触媒D−3:N,N−ジメチルアミノプロピルアミンのPO付加物
【0056】
(23)整泡剤E−1:東レ・ダウコーニング(株)製「SZ−1346」
(24)整泡剤E−2:東レ・ダウコーニング(株)製「SZ−1327」
(25)発泡剤C−1:水
【0057】
(26)有機ポリイソシアネートB−1:日本ポリウレタン工業(株)製「CE−729」〔TDI−80(2,4−および2,6−TDI、2,4−体の比率が80%)/粗製MDI(平均官能基数:2.9)=80/20(質量比)(NCO%:44.6%)〕
【0058】
実施例および比較例で用いた、ポリオール(a1)、ポリオール(a2)、およびポリオールb2−2と、式(1)との関係を図1に示す。
【0059】
<物性試験>
<1>:コア密度(kg/m3
<2>:フォーム硬さ(kgf/314cm2
<3>:反発弾性率(%)
<4>:圧縮残留ひずみ率(%)
<1>〜<4>はJIS K 6400(1997年版)に準拠した。
<5>:湿熱圧縮残留ひずみ率(%)
<4>の試験において、温度50℃、湿度95%とした。
<6>:成形性
フォームにべとつきがなく、外観良好なものを○とした。
フォームにべとつき、または外観不良があるものを×とした。
<7>:クラッシング性
クラッシング時に割れがなく、良好に連通化できるものを○とした。
クラッシング時に割れが発生したものを×とした。
【0060】
【表1】

【0061】
【表2】

【0062】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の製造方法によれば、ハイキュアーで生産性が良好かつ成形性が良好なコールドキュア軟質ポリウレタンフォームを製造できるので、得られたポリウレタンフォームは、クッション材として有用であり、特に自動車等の車両座席用のクッション材として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】式(1)、および式(1)と実施例および比較例で用いたポリオールとの関係を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール成分(A)と有機ポリイソシアネート成分(B)とを、水を含有する発泡剤(C)、ウレタン化触媒(D)、および整泡剤(E)の存在下に反応させてコールドキュア軟質ポリウレタンフォームを製造する方法において、(A)が下記ポリオール(a1)、(a2)、(a3)、(a4)および(a5)を必須成分として含有することを特徴とする前記方法。
ポリオール(a1):平均官能基数が2〜4であり、水酸基価が26〜45mgKOH/gであり、末端オキシエチレン単位の含有量が4〜20質量%であり、かつ活性水素1個あたりのエチレンオキサイドの平均付加モル数xと末端水酸基の1級OH化率y(%)が下記式(1)の関係を満たすポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール。
y≧42.0x0.47(1−x/41) (1)
ポリオール(a2):平均官能基数が2〜4であり、水酸基価が26〜45mgKOH/であり、末端オキシエチレン単位の含有量が10〜30質量%である(a1)以外のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール。
ポリオール(a3):平均官能基数が2〜4であり、水酸基価が10〜190mgKOH/であり、オキシエチレン単位の含有量が31〜95質量%であるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール。
ポリオール(a4):平均官能基数が2〜8であり、水酸基価が340〜1300mgKOH/gであるポリオール。
ポリオール(a5):(a1)および/または(a2)中で、ラジカル重合開始剤の存在下、ビニルモノマーを重合させて得られる重合体ポリオール。
【請求項2】
(a1)が平均官能基数が2〜4の活性水素化合物に、BF3以外の、フッ素原子、(置換)フェニル基および/または3級アルキル基が結合したホウ素もしくはアルミニウム化合物を触媒としてプロピレンオキサイドを付加し、ついでエチレンオキサイドを付加して得られたものである請求項1記載のコールドキュア軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項3】
(A)中の、(a1)の含量が10〜79.4質量%、(a2)の含有量が10〜79.4質量%、(a3)の含量が0.1〜15質量%、(a4)の含量が0.5〜20質量%、(a5)の含有量が10〜79.4質量%である請求項1または2記載のコールドキュア軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項4】
モールド発泡法であって、モールド温度が55〜75℃、原料の注入から脱型までの時間が2分以上4分未満である請求項1〜3のいずれか記載のコールドキュア軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか記載の製造方法で得られたコールドキュア軟質ポリウレタンフォームからなる車両座席用クッション材。

【図1】
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【公開番号】特開2009−179713(P2009−179713A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−19805(P2008−19805)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】