説明

転がり軸受部品の内部欠陥検査方法及び転がり軸受部品用内部欠陥検査装置

【課題】転がり軸受部品の内部欠陥を正確に検出することのできる転がり軸受部品の内部欠陥検査方法及び転がり軸受部品用内部欠陥検査装置を提供する。
【解決手段】 もみ抜き保持器cの内部欠陥を検出するセンサとして電磁誘導センサ12を用いて鋳造欠陥等の内部欠陥を検出するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軌道輪、転動体、保持器などの転がり軸受部品の内部に欠陥があるか否かを検査する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、円筒ころ軸受に使用される保持器としては、プレス保持器と称されるものともみ抜き保持器と称されるものとがあり、このうち後者の保持器は、前者の保持器より摩擦熱の発生が少ないことから、高速回転が要求される仕様に適している。しかし、もみ抜き保持器は高力黄銅などの銅合金を鋳造成形して形成されているため、巣などの鋳造欠陥が保持器内部に発生することがある。
【0003】
従来、鋳造欠陥の有無を検査する方法としては、超音波探傷(UT)、放射線検査(RT)、渦流探傷(ET)などがある。しかし、超音波探傷は被検体の表面に超音波プローブを押し当てて欠陥を探傷する検査方法であるため、被検体の表面形状がもみ抜き保持器のように複雑である場合には探傷精度にバラツキが発生し易くなるという難点がある(特許文献1及び2参照)。また、放射線検査はX線やγ線などの放射線を被検体に照射し、その透過像を撮影して欠陥の有無を検査する方法であるため、巣のような未開口欠陥の場合には検出が難しいという難点がある。
【0004】
これに対し、渦流探傷は、渦流探傷プローブの励磁コイルに交流電流を通電して被検体に渦電流を励起させ、そのときのコイルのインピーダンス変化から欠陥を探傷する検査方法であるため、前記したUTやRTでは検出が困難な微小な欠陥でも検出することが可能である(例えば、特許文献3〜7参照)。しかしながら、従来の渦流探傷では、鋳造欠陥が被検体の表層部に存在する場合には良いが、被検体内の深部に存在する場合には巣などの鋳造欠陥を高精度に検出することが困難であった。
【0005】
また、近年、軸受の使用環境がますます厳しくなってきており、保持器の強度向上が要求されている。保持器素材として用いられる銅合金の内部には、介在物や巣などの内部欠陥が存在しており、高強度の銅合金製保持器を得るためには、介在物や巣などの内部欠陥を定量的に評価する必要がある。しかし、銅合金内部の複数の種類の内部欠陥や、極めて低い確率で発生する内部欠陥を定量的に検出して評価する方法がなかった。
【特許文献1】特開2006−113044号公報
【特許文献2】特開2003−329653号公報
【特許文献3】特許第3758439号公報
【特許文献4】特開平5−2082号公報
【特許文献5】特開平5−149923号公報
【特許文献6】特開平8−54375号公報
【特許文献7】特開2001−318080号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述した問題点に着目してなされたものであり、その目的は、転がり軸受部品の内部欠陥を正確に検出することのできる転がり軸受部品の内部欠陥検査方法及び転がり軸受部品用内部欠陥検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明に係る転がり軸受部品の内部欠陥検査方法は、転がり軸受部品の内部欠陥を検出する方法であって、前記内部欠陥を検出するセンサとして、前記転がり軸受部品に交流磁界を付与する励磁コイルと、該励磁コイルから前記転がり軸受部品に付与された交流磁界の磁束密度を検出するための誘導コイルとを有する電磁誘導センサを用い、前記誘導コイルに発生した誘導起電力の振幅と位相のうち少なくとも一方の変化量を測定して前記内部欠陥を検出することを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明に係る転がり軸受部品の内部欠陥検査方法は、請求項1記載の転がり軸受部品の内部欠陥検査方法において、前記転がり軸受部品が内輪、外輪、転動体、保持器及び間座のいずれかであることを特徴とする。
請求項3記載の発明に係る転がり軸受部品の内部欠陥検査方法は、請求項1記載の転がり軸受部品の内部欠陥検査方法において、前記電磁誘導センサにより転がり軸受部品の内部欠陥を検出するに際して、転がり軸受の内輪と外輪との間に少なくとも転動体を配した状態で内部欠陥を検出するようにしたことを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明に係る転がり軸受部品の内部欠陥検査方法は、請求項1記載の転がり軸受部品の内部欠陥検査方法において、前記電磁誘導センサにより転がり軸受部品の内部欠陥を検出するに際して、転がり軸受の内輪と外輪との間に転動体及び保持器またはスペーサを配した状態で内部欠陥を検出するようにしたことを特徴とする。
請求項5記載の発明に係る転がり軸受部品の内部欠陥検査方法は、請求項1記載の転がり軸受部品の内部欠陥検査方法において、前記電磁誘導センサにより転がり軸受部品の内部欠陥を検出するに際して、内輪の外周側または外輪の内周側に転動体及び保持器を配した状態で内部欠陥を検出するようにしたことを特徴とする。
【0010】
請求項6記載の発明に係る転がり軸受部品の内部欠陥検査方法は、請求項3〜5のいずれか一項記載の転がり軸受部品の内部欠陥検査方法において、前記転がり軸受部品により構成される転がり軸受が内輪と外輪を組み立てた状態で分離可能なころ軸受であることを特徴とする。
請求項7記載の発明に係る転がり軸受部品の内部欠陥検査方法は、請求項1〜6のいずれか一項記載の転がり軸受部品の内部欠陥検査方法において、前記転がり軸受部品が銅合金もみ抜き型保持器であることを特徴とする。
【0011】
請求項8記載の発明に係る転がり軸受部品の内部欠陥検査方法は、請求項7項記載の転がり軸受部品の内部欠陥検査方法において、前記保持器の表面または内部に存在する欠陥が所定の大きさ以下となるように閾値を設定することを特徴とする。
請求項9記載の発明に係る転がり軸受部品の内部欠陥検査方法は、請求項7または8項記載の転がり軸受部品の内部欠陥検査方法において、前記保持器の表層部に存在する欠陥のうち、検査対象体積1.0×10mm当りに存在する平方根長さが0.4mm以上の欠陥を10.0個以下に管理すること特徴とする。
【0012】
請求項10記載の発明に係る転がり軸受部品用内部欠陥検査装置は、転がり軸受部品の内部欠陥を検出する装置であって、前記転がり軸受部品に交流磁界を付与する励磁コイルと該励磁コイルから前記転がり軸受部品に付与された交流磁界の磁束密度を検出するための誘導コイルとを有する電磁誘導センサと、前記誘導コイルに発生した誘導起電力の振幅と位相のうち少なくとも一方の変化量を測定して0.5mm以上の内部欠陥を検出する検出手段とを具備し、管理すべき転がり軸受部品の内部欠陥が所定の大きさ以下となるように閾値を任意の値に設定可能であることを特徴とする。
【0013】
請求項11記載の発明に係る転がり軸受部品用内部欠陥検査装置は、請求項10記載の転がり軸受部品用内部欠陥検査装置において、前記電磁誘導センサを揺動駆動するセンサ揺動機構と、前記電磁誘導センサを互いに直交する三つの軸方向のうち少なくとも一つの軸方向に送り駆動するセンサ送り機構とを具備したことを特徴とする。
請求項12記載の発明に係る転がり軸受部品用内部欠陥検査装置は、請求項11記載の転がり軸受部品用内部欠陥検査装置において、前記転がり軸受部品はターンテーブル上方に載置されていることを特徴とする。
【0014】
請求項13記載の発明に係る転がり軸受部品用内部欠陥検査装置は、請求項10〜12のいずれか一項記載の転がり軸受部品用内部欠陥検査装置において、前記電磁誘導センサの出力をデータ処理するデータ処理部と、このデータ処理部のデータ処理値を閾値と比較して内部欠陥の有無を判定する判定部とを具備したことを特徴とする。
請求項14記載の発明に係る転がり軸受部品用内部欠陥検査装置は、請求項13記載の転がり軸受部品用内部欠陥検査装置において、前記判定部の判定結果を表示する表示手段と前記電磁誘導センサの出力を記憶する記憶手段のうち少なくとも一方を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、転がり軸受部品の内部欠陥を検出するセンサとして電磁誘導センサを用いたことで、巣などの内部欠陥が転がり軸受部品の内部に存在するか否かを正確に検査することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明に係る転がり軸受部品の内部欠陥検査方法に使用される内部欠陥検査装置の一例を図1に示す。同図に示される内部欠陥検査装置10Aは、被検体である転がり軸受部品を部品単体又は転がり軸受として組立てた状態あるいは半組立て状態として載置するターンテーブル11と、このターンテーブル11の上方に配置された電磁誘導センサ12と、この電磁誘導センサ12をX軸回り(図中矢印θx方向)に揺動駆動するセンサ揺動機構13と、このセンサ揺動機構13を介して電磁誘導センサ12を図中Z軸方向に昇降駆動するセンサ昇降機構14と、電磁誘導センサ12を図中X軸方向及びY軸方向に動かしてセンサを位置決めするセンサ位置決め機構16とを備えており、ターンテーブル11は転がり軸受部品の位置決め機構15により図中X軸方向に移動可能となっている。
【0017】
図2は電磁誘導センサ12の概略構成を示す図であり、同図に示されるように、電磁誘導センサ12は被検査対象物である転がり軸受部品に交流磁界を付与する励磁コイル122と、この励磁コイル122から転がり軸受部品に付与された交流磁界の磁束密度を検出するための誘導コイル121とから構成されている。この電磁誘導センサ12の励磁コイル122は、その一部を誘導コイル121に接触させて誘導コイル121と同軸に巻回されている。そして、電磁誘導センサ12の誘導コイル121には、励磁コイル122の励磁によって発生した交流磁場の変化を誘導コイル121に発生した誘導起電力から検出する検出回路(図示せず)が接続されている。
【0018】
なお、図1はターンテーブル11上に転がり軸受部品の外輪ともみ抜き保持器で保持された転動体を半組立ての状態で載置した場合で、転がり軸受は組立てた状態で内輪と外輪が分離可能な円筒ころ軸受であり、符号aは円筒ころ軸受の外輪、bは円筒ころ、cはもみ抜き保持器を示している。
このような内部欠陥検査装置10Aを使用してもみ抜き保持器cの内部に巣などの鋳造欠陥が存在するか否かを検査する場合は、先ず、図1に示すように、内輪(図示せず)が取り除かれたもみ抜き保持器付き円筒ころ軸受をターンテーブル11上に載置する。次に、ターンテーブル11、センサ揺動機構13、センサ昇降機構14、センサ位置決め機構16及び被検体である転がり軸受部品の位置決め機構15を駆動して電磁誘導センサ12をもみ抜き保持器cの端面に近づけた後、電磁誘導センサ12の励磁コイル122に交流電圧を印加する。そうすると、電磁誘導センサ12の励磁コイル122が励磁状態となり、励磁コイル122からもみ抜き保持器cに交流磁界18(図3参照)が付与される。そして、ターンテーブル11上のもみ抜き保持器cに交流磁界18が付与されると、電磁誘導センサ12の誘導コイル121に誘導起電力が発生する。このとき、誘導コイル121に発生した誘導起電力は交流磁界の磁束密度に応じて変化し、交流磁界の磁束密度はもみ抜き保持器cの内部に存在する内部欠陥の大きさに応じて変化する。したがって、誘導コイル121に発生した誘導起電力の変化を誘導コイル121に接続された検出回路で検出することにより、もみ抜き保持器cの内部に巣などの鋳造欠陥があるか否かを正確に検出することができる。
【0019】
次に、本発明に係る転がり軸受部品の内部欠陥検査方法に使用される内部欠陥検査装置の他の例を図4に示す。同図に示される内部欠陥検査装置10Bは、被検体である転がり軸受部品を部品単体又は転がり軸受として組立てた状態あるいは半組立て状態として載置するターンテーブル11と、このターンテーブル11の上方に配置された電磁誘導センサ12と、この電磁誘導センサ12を図中Z軸回り(図中矢印θz方向)に揺動駆動するセンサ揺動機構19と、このセンサ揺動機構19を介して電磁誘導センサ12を図中Z軸方向に昇降駆動するセンサ昇降機構14と、電磁誘導センサ12を図中X軸方向及びY軸方向に動かしてセンサを位置決めするセンサ位置決め機構16とを備えており、ターンテーブル11は転がり軸受部品の位置決め機構15により図中X軸方向に移動可能となっている。
【0020】
電磁誘導センサ12は、図2に示すように、誘導コイル121と、この誘導コイル121に一部を接触させて誘導コイル121と同軸に巻回された励磁コイル122とからなり、誘導コイル121には、励磁コイル122の励磁によって発生した交流磁場の変化を誘導コイル121に発生した誘導起電力から検出する検出回路(図示せず)が接続されている。
【0021】
このような内部欠陥検査装置10Bを使用してもみ抜き保持器cの柱部内に巣などの鋳造欠陥が存在するか否かを検査する場合は、先ず、図4に示すように、内輪(図示せず)が取り除かれたもみ抜き保持器付き円筒ころ軸受をターンテーブル11上に載置する。次に、ターンテーブル11、センサ揺動機構19、センサ昇降機構14、センサ位置決め機構16及び被検体である転がり軸受部品の位置決め機構15を駆動して電磁誘導センサ12をもみ抜き保持器cの柱部に近づけた後、電磁誘導センサ12の励磁コイル122に交流電圧を印加すると、図3に示すような交流磁界18が電磁誘導センサ12に発生する。このとき、もみ抜き保持器cの柱部内に巣などの鋳造欠陥がある場合は、電磁誘導センサ12に発生した交流磁界18が変化することによって誘導コイル121に発生する誘導起電力も変化するため、誘導コイル121に発生した誘導起電力の変化を誘導コイル121に接続された検出回路で検出することにより、もみ抜き保持器cの柱部内に巣などの鋳造欠陥があるか否かを正確に検出することができる。
【0022】
上述した実施形態では、内輪が取り除かれたもみ抜き保持器付き円筒ころ軸受をターンテーブル11上に載置して巣などの鋳造欠陥がもみ抜き保持器cの内部にあるか否かを検査したが、図5に示すように、もみ抜き保持器単体をターンテーブル11上に載置して巣などの鋳造欠陥がもみ抜き保持器cの内部にあるか否かを検査するようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、転がり軸受部品としてもみ抜き保持器を例示したが、これに限られるものではない。たとえば、図6に示すように、転がり軸受部品として外輪aをターンテーブル11上に載置して外輪aの内部欠陥を電磁誘導センサ12で検出するようにしてもよい。同様に、内輪の内部欠陥の検出にも適用できる。
【0023】
なお、組立てた状態で内輪と外輪が分離可能なころ軸受としては、実施例の円筒ころ軸受に限らず、円錐ころ軸受や自動調心ころ軸受でも手で分解・組立てが可能であり、分解・組立ての繰り返しにより性能に影響する傷等が発生しなければ適用可能である。
次に、本発明に係る転がり軸受部品用内部欠陥検査装置の概略構成を図7に示す。同図に示される転がり軸受部品用内部欠陥検査装置は、検査対象物である転がり軸受部品(被検査物27)に交流磁界を付与する励磁コイル122と、この励磁コイル122から転がり軸受部品に付与された交流磁界の磁束密度を検出するための誘導コイル121とを備えており、これらの両コイル122,121は一つの筐体内に収容されて電磁誘導センサ12を構成している。
【0024】
また、図7に示される転がり軸受部品用内部欠陥検査装置は、誘導コイル121のインダクタンス変化(誘導コイル121に発生した誘導起電力の大きさ)を検出するインダクタンス変化検出回路(データ処理部)22と、このインダクタンス変化検出回路22で検出されたインダクタンス変化を予め設定された閾値と比較して内部欠陥の有無を判定する判定部としての比較判定回路23とを備えており、比較判定回路23の判定結果は表示装置24に表示されるとともに、記録装置25により記録用紙等の記録媒体に記録されるようになっている。
【0025】
また、図7に示される転がり軸受部品用内部欠陥検査装置は記憶装置26を備えており、電磁誘導センサ12の出力は記憶装置26に記憶されるようになっている。なお、誘導コイル121は励磁コイル122に一部を接触させて励磁コイル122と同軸に巻回されている。また、図7中21は電磁誘導センサ12の励磁コイル122に交流電流を供給する交流電源を示している。
【0026】
図7に示した転がり軸受部品用内部欠陥検査装置を用いて転がり軸受部品に内部欠陥があるか否かを検査する場合は、被検査物27の表面に電磁誘導センサ12を近づける。そして、この状態で電磁誘導センサ12の励磁コイル121に交流電流を供給して被検査物27に交流磁界を付与すると、電磁誘導センサ12の誘導コイル122に誘導起電力が発生する。このとき、電磁誘導センサ12の誘導コイル122に発生した誘導起電力は被検査物27に付与された交流磁界の磁束密度に応じて変化し、交流磁界の磁束密度は被検査物27の内部に存在する内部欠陥の大きさに応じて変化する。
【0027】
したがって、電磁誘導センサ12の誘導コイル122に発生した誘導起電力の振幅と位相のうち少なくとも一方の変化量をインダクタンス変化検出回路22で検出し、インダクタンス変化検出回路22によって検出された変化量を予め設定された閾値と比較することで、巣などの内部欠陥が転がり軸受部品の内部に存在するか否かを精度よく検査することができる。
【0028】
また、介在物や巣などの内部欠陥が転がり軸受部品の内部にあるか否かを検出するセンサとして電磁誘導センサ12を用いたことで、銅合金からなる保持器の内部に存在する内部欠陥の存在確率を推定することができるとともに、検査対象体積1.0×10mm当りに存在する平方根長さ0.4mm以上の内部欠陥の数が10.0個以下であるか否かを推定して、内部欠陥の数を10.0個以下に管理することができる。
【0029】
図7に示した本発明の一実施形態では、比較判定回路23の判定結果を表示する表示装置24と、比較判定回路23の判定結果を記録する記録装置25と、電磁誘導センサ12の出力を記憶する記憶装置26とを備えたものを例示したが、本発明は図7に示した一実施形態に限定されるものではない。たとえば、表示装置24、記録装置25及び記憶装置26のうち少なくとも一方を備えたものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る転がり軸受部品の内部欠陥検査方法に使用される内部欠陥検査装置の一例を示す図である。
【図2】図1に示される電磁誘導センサの基本的構成を示す図である。
【図3】電磁誘導センサに発生する交流磁場を模式的に示す図である。
【図4】本発明に係る転がり軸受部品の内部欠陥検査方法に使用される内部欠陥検査装置の他の例を示す図である。
【図5】図4に示される内部欠陥検査装置のターンテーブル上にもみ抜き保持器単体を載置した状態を示す図である。
【図6】図4に示される内部欠陥検査装置のターンテーブル上に転がり軸受の軌道輪を載置した状態を示す図である。
【図7】本発明に係る転がり軸受部品用内部欠陥検査装置の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0031】
11 ターンテーブル
12 電磁誘導センサ
121 誘導コイル
122 励磁コイル
13,19 センサ揺動機構
14 センサ送り機構
15 軸受部品の位置決め機構
16 センサ位置決め機構
21 交流電源
22 インダクタンス変化検出回路(データ処理部)
23 比較判定回路(判定部)
24 表示装置
25 記録装置
26 記憶装置
a 外輪
b 円筒ころ
c もみ抜き保持器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
転がり軸受部品の内部欠陥を検出する方法であって、前記内部欠陥を検出するセンサとして、前記転がり軸受部品に交流磁界を付与する励磁コイルと、該励磁コイルから前記転がり軸受部品に付与された交流磁界の磁束密度を検出するための誘導コイルとを有する電磁誘導センサを用い、前記誘導コイルに発生した誘導起電力の振幅と位相のうち少なくとも一方の変化量を測定して前記内部欠陥を検出することを特徴とする転がり軸受部品の内部欠陥検査方法。
【請求項2】
前記転がり軸受部品が内輪、外輪、転動体、保持器及び間座のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の転がり軸受部品の内部欠陥検査方法。
【請求項3】
前記電磁誘導センサにより転がり軸受部品の内部欠陥を検出するに際して、転がり軸受の内輪と外輪との間に少なくとも転動体を配した状態で内部欠陥を検出するようにしたことを特徴とする請求項1記載の転がり軸受部品の内部欠陥検査方法。
【請求項4】
前記電磁誘導センサにより転がり軸受部品の内部欠陥を検出するに際して、転がり軸受の内輪と外輪との間に転動体及び保持器またはスペーサを配した状態で内部欠陥を検出するようにしたことを特徴とする請求項1記載の転がり軸受部品の内部欠陥検査方法。
【請求項5】
前記電磁誘導センサにより転がり軸受部品の内部欠陥を検出するに際して、内輪の外周側または外輪の内周側に転動体及び保持器を配した状態で内部欠陥を検出するようにしたことを特徴とする請求項1記載の転がり軸受部品の内部欠陥検査方法。
【請求項6】
前記転がり軸受部品により構成される転がり軸受が内輪と外輪を組み立てた状態で分離可能なころ軸受であることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項記載の転がり軸受部品の内部欠陥検査方法。
【請求項7】
前記転がり軸受部品が銅合金もみ抜き型保持器であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項記載の転がり軸受部品の内部欠陥検査方法。
【請求項8】
請求項7項記載の転がり軸受部品の内部欠陥検査方法において、前記保持器の表面または内部に存在する欠陥が所定の大きさ以下となるように閾値を設定することを特徴とする転がり軸受部品の内部欠陥検査方法。
【請求項9】
請求項7または8項記載の転がり軸受部品の内部欠陥検査方法において、前記保持器の表層部に存在する欠陥のうち、検査対象体積1.0×10mm当りに存在する平方根長さが0.4mm以上の欠陥を10.0個以下に管理すること特徴とする転がり軸受部品の内部欠陥検査方法。
【請求項10】
転がり軸受部品の内部欠陥を検出する装置であって、前記転がり軸受部品に交流磁界を付与する励磁コイルと該励磁コイルから前記転がり軸受部品に付与された交流磁界の磁束密度を検出するための誘導コイルとを有する電磁誘導センサと、前記誘導コイルに発生した誘導起電力の振幅と位相のうち少なくとも一方の変化量を測定して0.5mm以上の内部欠陥を検出する検出手段とを具備し、管理すべき転がり軸受部品の内部欠陥が所定の大きさ以下となるように閾値を任意の値に設定可能であることを特徴とする転がり軸受部品用内部欠陥検査装置。
【請求項11】
前記電磁誘導センサを揺動駆動するセンサ揺動機構と、前記電磁誘導センサを互いに直交する三つの軸方向のうち少なくとも一つの軸方向に送り駆動するセンサ送り機構とを具備したことを特徴とする請求項10記載の転がり軸受部品用内部欠陥検査装置。
【請求項12】
請求項11記載の転がり軸受部品用内部欠陥検査装置において、前記転がり軸受部品はターンテーブル上方に載置されていることを特徴とする転がり軸受部品用内部欠陥検査装置。
【請求項13】
請求項10〜12のいずれか一項記載の転がり軸受部品用内部欠陥検査装置において、前記電磁誘導センサの出力をデータ処理するデータ処理部と、このデータ処理部のデータ処理値を閾値と比較して内部欠陥の有無を判定する判定部とを具備したことを特徴とする転がり軸受部品用内部欠陥検査装置。
【請求項14】
前記判定部の判定結果を表示する表示手段と前記電磁誘導センサの出力を記憶する記憶手段のうち少なくとも一方を有することを特徴とする請求項13記載の転がり軸受部品用内部欠陥検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−20434(P2008−20434A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−92077(P2007−92077)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】