説明

転動装置

【課題】水分が内部に浸入する環境下で使用されながら、錆の発生を抑制できる転動装置を提供する。
【解決手段】軌道面2aを有する内輪2(内方部材)と、軌道面3aを有する外輪3(外方部材)と、両軌道面間に転動自在に配された複数の円すいころ4(転動体)とを備えてなる転動装置1であって、該転動装置1は、内輪2および外輪3で囲まれた内部空間6に水分が浸入する環境下で使用されるものであり、内輪2、外輪3、および円すいころ4の少なくとも一つが、金属製部材であり、該金属製部材の表面の少なくとも一部に、植物由来の多価アルコール化合物にて被膜処理が施されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部空間に水分(水や水蒸気)が浸入する環境下で使用される、転がり軸受、リニアガイド装置、ボールねじ、直動ベアリングなどの転動装置に関し、特に発錆が生じにくい転動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
転動装置は、内方部材と、外方部材と、これらの間に転動自在に配された複数の転動体などから構成されるものである。例えば、転がり軸受や、リニアガイド装置、ボールねじ、直動ベアリングなどの直動装置などがある。直動装置は、工作機械や分析装置、搬送装置などの直動案内部に使用され、特に工作機械などに用いる場合は、冷却水が装置内部に進入する。
【0003】
多量の水と接触する厳しい環境で使用される転がり軸受として、例えば、鉄鋼製造設備の圧延機の圧延ロールを支持する圧延機ロールネック用転がり軸受が挙げられる。この圧延機ロールネック用転がり軸受では、ハウジングシールが装着されていても、軸受内部に圧延水や冷却水が侵入することが多い。また、ロール交換などのために数時間にわたって停止することや、定期的なロール研磨のために圧延機から軸受が取外されることがあり、その停止期間中に軸受内部で錆(いわゆる置き錆)が生じやすい。このような使用環境では、軸受寿命は、内部剥離による転動疲労寿命ではなく、錆を起点とした剥離等の損傷も含めて発錆により支配されている場合がある。
【0004】
従来、この置き錆などの発生を抑える手段として、例えば、保持器の全面に銅鍍金を施し、さらに保持器の大径端側の端部に銅鍍金の上から犠牲電極としての亜鉛鍍金を施したり、軸受内部にアルカリ水を供給したり、軸受内部に窒素ガスなどの低活性ガスやアルゴンガスなどの不活性ガスを充填させて、発錆を抑制する防錆手段を備えたものが提案されている(特許文献1参照)。また、圧延機ロールネック軸受の軸受寿命を延長すべく、外輪の転走面、内輪の転走面および転動体の表面の少なくとも一つの面にリン酸マンガン被膜等の化成処理膜を形成し、該化成処理膜における単位表面積あたりの結晶数を、発錆に起因する転がり軸受寿命から転動疲労に起因する転がり軸受寿命に遷移する領域における結晶数に設定したものが提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−106588号公報
【特許文献2】特開2003−239992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記転がり軸受や直動装置において、内部での錆の発生を防止するために水分自体の侵入を防ぐシールを取り付けたとしても、完全に水分の侵入を防げるとは限らないので、水分が侵入しても発錆しないことが求められている。
【0007】
また、過酷な条件で運転される圧延機ロールネック用転がり軸受の場合は、水の進入が多く、上記特許文献1や特許文献2の防錆手段では、十分な防錆性を確保できないおそれがある。また、リン酸マンガン被膜等の化成処理膜は腐食被膜であるため、軸受を構成する金属材料(母材)を若干侵食する。そのため、軸受の軌道面に化成処理を施した場合は、侵食の程度によってはその部分を起点とした剥離が生じ、化成処理を施していない場合の発錆寿命よりも短い時間で寿命に至る場合がある。
【0008】
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、水分が内部に浸入する環境下で使用されながら、錆の発生を抑制できる転動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の転動装置は、外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し上記内方部材の外方に配された外方部材と、上記両軌道面間に転動自在に配された複数の転動体とを備えてなる転動装置であって、該転動装置は、上記内方部材および上記外方部材で囲まれた内部空間に水分が浸入する環境下で使用されるものであり、上記内方部材、上記外方部材、および上記転動体の少なくとも一つが、金属製部材であり、該金属製部材の表面の少なくとも一部に、植物由来の多価アルコール化合物にて被膜処理が施されていることを特徴とする。
【0010】
上記被膜処理を施された部材が、該部材の表面の少なくとも上記一部に酸化鉄被膜を有することを特徴とする。
【0011】
上記酸化鉄被膜は、膜厚が0.05μm〜2μmであることを特徴とする。
【0012】
上記被膜処理が、水および/または有機溶媒に上記植物由来の多価アルコール化合物を分散または溶解させた処理液中に、被膜処理を施す上記金属製部材を浸漬する処理であることを特徴とする。
【0013】
上記転動装置が、圧延機ロールネック用転がり軸受、または、直動装置であることを特徴とする。
【0014】
上記植物由来の多価アルコール化合物が、クロロゲン酸またはその誘導体であることを特徴とする。また、上記植物由来の多価アルコール化合物が、キナ酸またはその誘導体であることを特徴とする。また、上記植物由来の多価アルコール化合物が、没食子酸またはその誘導体であることを特徴とする。
【0015】
上記植物由来の多価アルコール化合物が、コーヒー酸またはその誘導体であることを特徴とする。また、上記植物由来の多価アルコール化合物は、エラグ酸またはその誘導体であることを特徴とする。
【0016】
上記植物由来の多価アルコール化合物が、クルクミンまたはその誘導体であることを特徴とする。また、上記植物由来の多価アルコール化合物が、ケルセチンまたはその誘導体であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の転動装置は、内方部材、外方部材、および転動体の少なくとも一つが金属製部材であり、該金属製部材の表面の少なくとも一部に、植物由来の多価アルコール化合物にて被膜処理が施されているので、内方部材および外方部材で囲まれた内部空間に水分が浸入する環境下で使用されるものでありながら、装置内部の錆発生を抑制できる。また、表面処理に植物由来の多価アルコール化合物を用いるので、母材の侵食がほとんどなく、該処理部分を起点とした剥離が生じない。さらに、植物由来の多価アルコール化合物を用いるので、環境負荷の低い転動装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の転動装置の一例である圧延機ロールネック用転がり軸受を示す部分断面図である。
【図2】本発明の転動装置(直動装置)の一例であるボールねじを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
転動装置について、植物由来の多価アルコール化合物にて構成部材表面を処理したものを用いて、防錆性試験を行なったところ錆発生を抑制できることがわかった。これは、上記植物由来の多価アルコール化合物の作用により、金属製の部材表面に酸化鉄被膜が形成されて該表面が不活性化し、防錆効果をもつようになったものである。本発明はこのような知見に基づくものである。
【0020】
本発明の転動装置である転がり軸受を図1に基づいて説明する。図1は、本発明の転動装置の一例である圧延機ロールネック用転がり軸受を示す部分断面図である。図1に示すように、製鉄所に設置された圧延機のロールネックを回転自在に支承する複列円すいころ軸受1は、ロールネックに外嵌固定した内輪2(内方部材)と、ハウジングに内嵌固定した外輪3(外方部材)と、複数の円すいころ4と、これら円すいころ4を収容する複数のポケットを円周所定間隔で有する保持器5とを主要部として構成される。ここで、複数の円すいころ4は、内輪2の外周面に形成した軌道面2aと、外輪3の内周面に形成され上記軌道面2aと対向する軌道面3aとの間に、転動自在に配されている。この複列円すいころ軸受1は、内輪2(内方部材)および外輪3(外方部材)で囲まれた内部空間6に圧延水や冷却水が浸入する環境下で使用され、軸方向両端部にハウジングシールが装着されていても、これらの進入を完全には防止できない。
【0021】
内輪2、外輪3、および円すいころ4の少なくとも一つが、金属製部材であり、該金属製部材の表面の少なくとも一部に、植物由来の多価アルコール化合物にて被膜処理が施されている(図示省略)。また、発錆を抑制するため、保持器5の表面にも上記被膜処理を施すことが好ましい。
【0022】
本発明の転動装置である直動装置を図2に基づいて説明する。図2は、本発明の転動装置(直動装置)の一例であるボールねじを示す断面図である。図2に示すように、本発明のボールねじ7は、内方部材であるねじ軸8の外周面に形成したねじ溝8a(軌道面)と、外方部材であるボールナット9の内周面に形成したねじ溝9a(軌道面)との間に、転動体である複数のボール10を介在させたものである。ねじ軸8またはボールナット9の回転動力をボール10を介してボールナット9(またはねじ軸8)に伝達し、ボールナット9を軸方向に移動させるものである。このボールねじ7は、ねじ軸8およびボールナット9で囲まれた内部空間に水が浸入する環境下で使用される。ねじ軸8、ボールナット9、およびボール10の少なくとも一つが、金属製部材であり、該金属製部材の表面の少なくとも一部に、植物由来の多価アルコール化合物にて被膜処理が施されている(図示省略)。
【0023】
本発明の転動装置の金属製部材の表面において、被膜処理を施す少なくとも一部は、特に限定されるものではない。該処理を施し、酸化鉄被膜を形成した箇所において発錆を抑制することができる。よって、少なくとも水分と接触する可能性のある部分には、該被膜処理を施すことが好ましい。装置内部全体の発錆を抑制するため、内部空間に係る全体面に上記被膜処理を施すことが最も好ましい。これらの被膜を処理を施し、発錆を抑制することで、上記転がり軸受や、直動装置を長寿命とすることができる。
【0024】
上記酸化鉄被膜は、膜厚が0.05μm〜2μmであることが好ましい。膜厚が0.05μm未満であると、短時間で膜が剥れるなどにより、発錆を長期間にわたり抑制することができない。膜厚が2μmをこえると、被膜形成の処理時間が長くなりすぎる。
【0025】
なお、転動装置である転がり軸受として、円すいころ軸受である圧延機ロールネック用転がり軸受を挙げて説明したが、転がり軸受の種類は円すいころ軸受に限定されるものではない。本発明の転動装置は、例えば、深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受、自動調心玉軸受、針状ころ軸受、円筒ころ軸受、自動調心ころ軸受等のラジアル形の転がり軸受や、スラスト玉軸受、スラストころ軸受等のスラスト形の転がり軸受も適用対象となる。また、転動装置である直動装置として、ボールねじを挙げて説明したが、直動装置の種類は、ボールねじに限定されるものではなく、リニアガイド装置、直動ベアリングなども適用対象となる。さらに、その他の種類の様々な転動装置に対しても適用可能である。
【0026】
本発明の転動装置に用いる、内方部材、外方部材、転動体、保持器などの部材は周知の金属材料からなる。本発明においては、少なくともいずれかの金属製部材が、植物由来の多価アルコール化合物による被膜処理が可能な金属材料から構成される必要がある。具体例として、軌道輪などの材料としては、軸受鋼(高炭素クロム軸受鋼JIS G 4805)、肌焼鋼(JIS G4104等)、高速度鋼(AMS 6490)、ステンレス鋼(JIS G4303)、高周波焼入鋼(JIS G4051等)などが挙げられる。また、保持器材料としては、打ち抜き保持器用冷間圧延鋼板(JIS G 3141等)、もみ抜き保持器用炭素鋼(JIS G4051)、もみ抜き保持器用高力黄銅鋳物(JIS H 5102等)などが挙げられる。また、他の合金を採用することもできる。
【0027】
本発明の転動装置において、金属製部材の表面に施される被膜処理は、植物由来の多価アルコール化合物の作用により該面に酸化鉄被膜が形成される処理であればよく、被膜処理方法は特に限定されない。被膜処理方法として、例えば、植物由来の多価アルコール化合物を水および/または有機溶媒に分散または溶解させた処理液中に、被膜形成対象となる金属製部材を浸漬し、部材表面に酸化鉄被膜を形成させる方法を採用できる。この方法では、被膜形成を速めるため加温しながら行なうことが好ましい。
【0028】
また、植物由来の多価アルコール化合物を、水や有機溶媒に分散または溶解させた処理液を、被膜形成対象となる金属製部材の表面などに塗布することによって該面に酸化鉄被膜を形成することもできる。
【0029】
さらに、上記被膜処理は、グリースなどを介して施された処理であってもよい。すなわち、転動装置の内部空間に封入するグリースなどに、植物由来の多価アルコール化合物を配合して、転動装置使用時における該グリース中の該化合物と金属製部材との反応により酸化鉄被膜を形成することもできる。
【0030】
本発明において使用できる多価アルコール化合物は、後述する植物由来のものである。これらの化合物を用いた被膜処理を各部材に施すことで、上記酸化鉄被膜の形成による転動装置内部の錆発生の抑制に加え、環境負荷の低い転動装置となる。
【0031】
本発明において使用できる植物由来の多価アルコール化合物としては、例えば、没食子酸、エラグ酸、クロロゲン酸、コーヒー酸、キナ酸、クルクミン、ケルセチン、ピロガロール、テアフラビン、アントシアニン、ルチン、リグナン、カテキンなどが挙げられる。また、植物由来のセサミン、イソフラボン、クマリンなどから得られる多価アルコール化合物も使用できる。以上のような多価アルコール化合物は、単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0032】
これらの中で、被膜処理の際に、金属製部材表面に酸化鉄被膜を形成しやすいことから、没食子酸またはその誘導体、エラグ酸またはその誘導体、クロロゲン酸またはその誘導体、コーヒー酸またはその誘導体、キナ酸またはその誘導体、クルクミンまたはその誘導体、ケルセチンまたはその誘導体を用いることが好ましい。また、後述の実施例に示すように、被膜処理後の転動装置の防錆性に優れることから、クロロゲン酸、キナ酸、没食子酸が特に好ましく、次いでコーヒー酸、エラグ酸が好ましい。
【0033】
本発明に用いる没食子酸は、フシノキ、茶の葉などに含まれる多価アルコール化合物であり、下記式(1)に示す構造を有する。また、本発明に用いるエラグ酸は、レッドラズベリーなどに含まれる多価アルコール化合物であり、下記式(2)に示す構造を有する。
【化1】

【化2】

【0034】
本発明に用いる没食子酸の誘導体としては、没食子酸メチル、没食子酸エチル、没食子酸プロピル、没食子酸ブチル、没食子酸ペンチル、没食子酸ヘキシル、没食子酸ヘプチル、没食子酸オクチル等の没食子酸エステルや没食子酸ビスマス等の没食子酸塩が挙げられる。また、エラグ酸についても、同様の誘導体を用いることができる。
【0035】
本発明に用いるクロロゲン酸は、コーヒー豆などに含まれる多価アルコール化合物であり、下記式(3)に示す構造を有する。
【化3】

【0036】
本発明に用いるコーヒー酸およびキナ酸は、クロロゲン酸の加水分解で得られる多価アルコール化合物であり、コーヒー酸は下記式(4)に、キナ酸は下記式(5)にそれぞれ示す構造を有する。
【化4】

【化5】

【0037】
本発明に用いるクルクミンは、ウコンなどに含まれる多価アルコール化合物であり、下記式(6)に示す構造を有する。
【化6】

【0038】
本発明に用いるケルセチンは、柑橘類などに含まれる多価アルコール化合物であり、下記式(7)に示す構造を有する。
【化7】

【実施例】
【0039】
以下に示す各実施例に用いた多価アルコール化合物は、全て東京化成社製試薬を用いた。
【0040】
実施例1〜実施例7
以下に実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。圧延機ロールネック用の円すいころ軸受を用意して、錆発生までに要した時間を測定した。表1に示した多価アルコール化合物を水溶液または有機溶媒に溶解させ、0.5wt%に調製し処理液とした。室温(25℃)で、該処理液中に円すいころ軸受を浸漬したまま4時間処理液を撹拌させ、円すいころ軸受の金属製部材(材質:SUJ2)の表面全体に酸化鉄被膜(膜厚:0.08μm)を形成させた。得られた円すいころ軸受について以下に示す湿潤試験を行ない錆発生までに要した時間を測定した。結果を表1に併記する。
【0041】
<湿潤試験>
表面処理を施した円すいころ軸受を温度49℃、相対湿度95%以上の湿潤状態に保持し、円すいころ軸受における軌道面(内・外輪転走面)に錆が発生するまでの時間(時間、h)を調査した。
【0042】
比較例1
実施例1と同様の円すいころ軸受に表面処理を施さずに湿潤試験を行ない、錆発生までに要した時間を測定した。結果を表1に併記する。
【0043】
【表1】

【0044】
表1に示すように、実施例1〜7は、湿潤試験において錆発生までの時間が全て500時間以上の優れた防錆性を示した。これは、特定の多価アルコール化合物により形成された酸化鉄被膜による錆発生が抑制できたことによると考えられる。特に、クロロゲン酸、キナ酸、没食子酸を用いた場合では、2000時間以上の非常に優れた防錆性を示した。一方、比較例1では、実施例1〜7と比較して錆発生までの時間が大幅に短い結果となった。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の転動装置は、水分が内部に浸入した場合であっても長期間にわたり錆の発生を抑制できるので、内部空間に水分が浸入する環境下で使用される、転がり軸受、リニアガイド装置、ボールねじ、直動ベアリングなどの転動装置として好適に利用できる。
【符号の説明】
【0046】
1 複列円すいころ軸受(転動装置)
2 内輪
3 外輪
4 円すいころ
5 保持器
6 内部空間
7 ボールねじ
8 ねじ軸
9 ボールナット
10 ボール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配された複数の転動体とを備えてなる転動装置であって、
該転動装置は、前記内方部材および前記外方部材で囲まれた内部空間に水分が浸入する環境下で使用されるものであり、
前記内方部材、前記外方部材、および前記転動体の少なくとも一つが、金属製部材であり、該金属製部材の表面の少なくとも一部に、植物由来の多価アルコール化合物にて被膜処理が施されていることを特徴とする転動装置。
【請求項2】
前記被膜処理を施された部材が、該部材の表面の少なくとも前記一部に酸化鉄被膜を有することを特徴とする請求項1記載の転動装置。
【請求項3】
前記酸化鉄被膜は、膜厚が0.05μm〜2μmであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の転動装置。
【請求項4】
前記被膜処理が、水および/または有機溶媒に前記植物由来の多価アルコール化合物を分散または溶解させた処理液中に、被膜処理を施す前記金属製部材を浸漬する処理であることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載の転動装置。
【請求項5】
前記転動装置が、圧延機ロールネック用転がり軸受であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項記載の転動装置。
【請求項6】
前記転動装置が、直動装置であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項記載の転動装置。
【請求項7】
前記植物由来の多価アルコール化合物が、クロロゲン酸またはその誘導体であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項記載の転動装置。
【請求項8】
前記植物由来の多価アルコール化合物が、キナ酸またはその誘導体であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項記載の転動装置。
【請求項9】
前記植物由来の多価アルコール化合物が、没食子酸またはその誘導体であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項記載の転動装置。
【請求項10】
前記植物由来の多価アルコール化合物が、コーヒー酸またはその誘導体であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項記載の転動装置。
【請求項11】
前記植物由来の多価アルコール化合物が、エラグ酸またはその誘導体であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項記載の転動装置。
【請求項12】
前記植物由来の多価アルコール化合物が、クルクミンまたはその誘導体であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項記載の転動装置。
【請求項13】
前記植物由来の多価アルコール化合物が、ケルセチンまたはその誘導体であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項記載の転動装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−52610(P2012−52610A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196114(P2010−196114)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】