説明

軸受支持装置および軸受支持方法

【課題】異なる種類の軸受を交換可能とした軸受支持装置および軸受支持方法の提供。
【解決手段】レジストローラ1の軸受を収容する保持ガイド11に形成した空間部12は、異なる種類の軸受を保持する形状とされている。軸受挿入部の幅寸法Waは、ころがり軸受13とすべり軸受14(図2)のいずれを収容した場合でも対応できる寸法としている。ころがり軸受13は、レジストローラ1の軸端に設けた溝1aに止め輪(Eリング)15を嵌めこんで固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸受の交換が簡単に行なえる軸受支持装置および軸受支持方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真方式のトナー像形成手段は、外周面に感光層を有する像担持体としての感光体と、この感光体の外周面を一様に帯電させる帯電手段と、この帯電手段により一様に帯電させられた外周面を選択的に露光して静電潜像を形成する露光手段と、この露光手段により形成された静電潜像に現像剤であるトナーを付与して可視像(トナー像)とする現像手段とを有している。
【0003】
カラー画像を形成するロータリ方式の画像形成装置としては、上記のようなトナー像形成手段を、中間転写ベルトに対して配置する。これらトナー像形成手段による感光体上のトナー像を順次中間転写ベルトに転写して、中間転写ベルト上で複数色(例えば、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック(黒))のトナー像を重ね合わせ、中間転写ベルト上でカラー画像を得る中間転写ベルト形式のものがある。
【0004】
前記構成の画像形成装置においては、用紙搬送経路にフィードローラやレジストローラなどの多数の用紙搬送ローラが設けられている。これらの用紙搬送ローラは、駆動ローラと従動ローラが一対で設けられており、用紙は駆動ローラと従動ローラ間の間隙をニップ圧(押圧力)を受けながら搬送される。
【0005】
このように、ローラにニップ圧が作用するのでローラの損耗が早くなり、高耐久性のローラとしてアルミナ粒子をローラ表面に施したものを用いる場合がある。この場合には、ローラの荷重が増大するので、軸受けとして例えばころがり軸受けを使用する。一方、通常の合成樹脂製ローラを使用する場合には、ローラ荷重がそれほど大きくないので、軸受けとして例えばすべり軸受けを使用する。ユーザは、同一の画像形成装置において、ローラの軸受けとして、すべり軸受けまたはころがり軸受けを交換して使用したいという要請がある。
【0006】
特許文献1には、VTRキャプスタンモータなどに用いる軸受装置が
記載されている。この軸受装置は、軸受ホルダ12にベアリング軸受または焼結軸受のいずれかの軸受15を用いることが記載されている。
【0007】
【特許文献1】特開平08−109931号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の技術は、軸受ホルダ12にベアリング軸受または焼結軸受のいずれかの軸受15を装着できるということが開示されているに止まり、同一のVTRキャプスタンモータの使用中に、他方の軸受に取り替えて使用することは記載されていない。このため、前記画像形成装置などの機械を使用中に、特定の軸受から他の構造の軸受に交換して使用したいというユーザの要請には対応できない、いう問題があった。
【0009】
本発明は、従来技術のこのような種々の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、軸受の交換が簡単に行なえる軸受支持装置および軸受支持方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成する本発明の軸受支持装置において、軸受を収容する空間部を形成した軸受保持部を有し、前記空間部の形状は、ローラに嵌合される異なる種類の複数の軸受を収容できるように形成されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の軸受支持装置において、前記異なる種類の複数の軸受は、すべり軸受およびころがり軸受であって、前記ローラの軸端に溝を設け、前記軸端に装着される軸受を前記溝に嵌合する部材で固定する構成を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の軸受支持装置において、前記ローラは、単一の露光手段を有し、複数色の画像形成を順次行って中間転写媒体上に複数色の画像を重ね合わせて形成するカラー画像形成装置に設けられることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の軸受支持装置において、前記ローラは、複数の露光手段を用いて同時に複数色の画像形成を行うカラー画像形成装置に設けられることを特徴とする。
【0014】
本発明の軸受支持方法は、ローラの軸端を、軸受保持部に異なる種類の複数の軸受を収容できるように形成された空間部に載置する段階と、前記ローラの軸端に軸受を装着する段階と、前記軸受を前記ローラの軸端に固定する段階と、からなることを特徴とする
【0015】
本発明の軸受支持方法は、ローラの軸端に軸受を装着する段階と、前記ローラの軸端に装着された前記軸受を、軸受保持部に異なる種類の複数の軸受を収容できるように形成された空間部に載置する段階と、前記軸受を前記ローラの軸端に固定する段階と、からなることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図4は、本発明が適用される画像形成装置の縦断側面図である。図4において、画像形成装置160には主要構成部材として、ロータリ構成の現像装置161、像担持体として機能する感光体ドラム165、有機ELアレイが設けられている像書込手段(ラインヘッド)167、中間転写ベルト169、用紙搬送路174、定着器の加熱ローラ172、給紙トレイ178が設けられている。
【0017】
現像装置161は、現像ロータリ161aが軸161bを中心として矢視A方向に回転する。現像ロータリ161aの内部は4分割されており、それぞれイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色の像形成ユニットが設けられている。162a〜162dは、前記4色の各像形成ユニットに配置されており、矢視B方向に回転する現像ローラ、163a〜163dは、矢視C方向に回転するトナ−供給ローラである。また、164a〜164dはトナーを所定の厚さに規制する規制ブレードである。
【0018】
感光体ドラム165は、図示を省略した駆動モータ、例えばステップモータにより現像ローラ162aとは逆方向の矢視D方向に駆動される。中間転写ベルト169は、従動ローラ170bと駆動ローラ170a間に張架されており、駆動ローラ170aが前記感光体ドラム165の駆動モータに連結されて、中間転写ベルトに動力を伝達している。当該駆動モータの駆動により、中間転写ベルト169の駆動ローラ170aは感光体ドラム165とは逆方向の矢視E方向に回動される。
【0019】
用紙搬送路174には、複数の搬送ローラと排紙ローラ対176などが設けられており、用紙を搬送する。中間転写ベルト169に担持されている片面の画像(トナー像)が、二次転写ローラ171の位置で用紙の片面に転写される。二次転写ローラ171は、クラッチにより中間転写ベルト169に離当接され、クラッチオンで中間転写ベルト169に当接されて用紙に画像が転写される。
【0020】
上記のようにして画像が転写された用紙は、次に、定着ヒータHを有する定着器で定着処理がなされる。定着器には、加熱ローラ172、加圧ローラ173が設けられている。定着処理後の用紙は、排紙ローラ対176に引き込まれて矢視F方向に進行する。この状態から排紙ローラ対176が逆方向に回転すると、用紙は方向を反転して両面プリント用搬送路175を矢視G方向に進行する。177は電装品ボックス、178は用紙を収納する給紙トレイ、179は給紙トレイ178の出口に設けられているピックアップローラである。ハウジング180には、排気ファン181が設けられている。
【0021】
ピックアップローラ179の用紙搬送方向からみて下流側の用紙搬送路174には、フィードローラ3が設けられている。また、二次転写ローラ171の上流側にはレジストローラ1、レジスト従動コロ軸2が配置されている。これらのレジストローラ1、レジスト従動コロ軸2、フィードローラ3の軸端部は、後述するように合成樹脂などで形成されている支持部材に取り付けられている。なお、図4の例では、露光手段として発光素子を用いるラインヘッドが設けられているが、光源にレーザ光を用いた走査光学系を設ける構成としても良い。
【0022】
図3は、図4の用紙搬送路を部分的に示す斜視図である。図3において、合成樹脂からなる支持部材4は、多数のローラを保持する。この例では支持部材4は、レジストローラ1、レジスト従動コロ軸2、フィードローラ3を保持している。5はハウジング180に取り付けられる金属板で、支持部材4に隣接して設けられている。支持部材4には、図1、図2で説明するように、レジストローラ保持ガイド11が設けられている。
【0023】
図1は、本発明の実施形態を示す断面図である。図1(a)において、
レジストローラ1、レジスト従動コロ軸2は支持部材4に保持されている。図1(b)は、図1(a)のA部を拡大して示す断面図である。図1(a)に示されているように、支持部材4にはレジストローラ1の保持ガイド11が設けられている。この保持ガイド11には、レジストローラ1の軸受を収容する空間部12が形成されている。
【0024】
本発明の実施形態における、レジストローラ1の軸受装着の例について説明する。最初に空間部12にレジストローラ1を載置する。次に、レジストローラ1の図示反対側端部を適宜移動しないように固定して、矢視P方向からころがり軸受13をレジストローラ1の軸端の所定位置に嵌入する。続いてレジストローラ1の軸端に設けた溝1aに止め輪(Eリング)15を嵌めこんでころがり軸受13を固定する。
【0025】
レジストローラ1の図示反対側端部に対してもころがり軸受13を装着し、止め輪(Eリング)15で固定する。止め輪15は、ころがり軸受13のスラスト規制を行なうものである。この例では、耐久性の良好なローラとするために、例えばレジストローラ表面にアルミナ粒子を混入させて、荷重が大きくなっているローラ対を支持する際の軸受支持装置としている。
【0026】
図2は、他の実施形態を示している。図2においては、レジストローラ1の軸受としてすべり軸受を使用する場合の装着例を示している。図2(a)は、図1(a)と同様の構成を示している。図2(b)は、図2(a)のB部を拡大して示す断面図である。図2(a)に示されているように、レジストローラ1の軸端からころがり軸受13を除去し、予めすべり軸受14を軸端に装着する。
【0027】
次に、レジストローラ1の軸端に装着したすべり軸受14を、矢視Q方向から前記保持ガイド11に形成した空間部12に載置する。続いてレジストローラ1の軸端に設けた溝1bに止め輪(Eリング)16を嵌めこんですべり軸受14を固定する。止め輪16は、すべり軸受14のスラスト規制を行なうものである。この例では、通常の合成樹脂製のレジストローラを支持する際の軸受支持装置としている。
【0028】
このように、図1、図2の構成では、レジストローラ1の軸受を収容する保持ガイド11に形成した空間部12は、異なる種類の軸受を保持する形状とされている。すなわち、図1、図2において、軸受挿入部の幅寸法Waは、ころがり軸受13とすべり軸受14のいずれを収容した場合でも対応できる寸法としている。このため、ユーザの要請に応じてレジストローラの材質を変更した場合、例えば通常の合成樹脂製のレジストローラから、高耐久性のレジストローラに変更した場合に、同じ軸受挿入部を用いて軸受をすべり軸受からころがり軸受に簡単に変更できる。このため、異なる軸受挿入部を用意する必要がないので、コストを低減できる。また、軸受の交換も簡単にできるので、軸受交換に煩雑な処理を必要としないという利点がある。
【0029】
なお、本発明の軸受支持装置をロータリ型画像形成装置の用紙搬送ローラであるレジストローラ対の例で説明したが、本発明はロータリ型画像形成装置において使用される他のローラ対、例えば転写ローラや定着ローラなどのローラ対にも適用できる。また、画像形成装置はロータリ型に限定されることなく、複数の露光手段を用いて同時に複数色の画像形成を行うタンデム方式の画像形成装置のローラ対にも、本発明の軸受支持装置を適用できる。
【0030】
このように、本発明の実施形態にかかる軸受支持装置は、図4に示されているようなロータリ形式の現像手段を有する画像形成装置、すなわち、単一の露光手段を有し、複数色の画像形成を順次行って中間転写媒体上に複数色の画像を重ね合わせて形成するカラー画像形成装置に設けることができる。また、本発明の軸受支持装置は、上記のようにタンデム方式の画像形成装置に設けることができる。さらに、画像形成装置以外の装置において、複数の軸受を交換して使用する場合にも本発明の適用は除外されない。
【0031】
以上、本発明の実施形態にかかる軸受支持装置および軸受支持方法について説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されず種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施形態を示す断面図である。
【図2】本発明の実施形態を示す断面図である。
【図3】本発明の実施形態にかかる斜視図である。
【図4】本発明の実施形態を示す画像形成装置の縦断側面図である。
【符号の説明】
【0033】
1・・・レジストローラ、2・・・レジスト従動コロ軸、3・・・フィードローラ、4・・・支持部材、5・・・金属板、6〜8・・・カバー、9・・・ネジリバネ、10・・・ローラ保持装置、160・・・画像形成装置、161・・・現像装置、165・・・感光体ドラム、167・・・ラインヘッド、169・・・中間転写ベルト、171・・・二次転写ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸受を収容する空間部を形成した軸受保持部を有し、前記空間部の形状は、ローラに嵌合される異なる種類の複数の軸受を収容できるように形成されていることを特徴とする、軸受支持装置。
【請求項2】
前記異なる種類の複数の軸受は、すべり軸受およびころがり軸受であって、前記ローラの軸端に溝を設け、前記軸端に装着される軸受を前記溝に嵌合する部材で固定する構成を備えたことを特徴とする、請求項1に記載の軸受支持装置。
【請求項3】
前記ローラは、単一の露光手段を有し、複数色の画像形成を順次行って中間転写媒体上に複数色の画像を重ね合わせて形成するカラー画像形成装置に設けられることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の軸受支持装置。
【請求項4】
前記ローラは、複数の露光手段を用いて同時に複数色の画像形成を行うカラー画像形成装置に設けられることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の軸受支持装置。
【請求項5】
前記ローラは、レジストローラであることを特徴とする、請求項3または請求項4に記載のローラ保持装置。
【請求項6】
ローラの軸端を軸受保持部に異なる種類の複数の軸受を収容できるように形成された空間部に載置する段階と、前記ローラの軸端に軸受を装着する段階と、前記軸受を前記ローラの軸端に固定する段階と、からなることを特徴とする軸受支持方法。
【請求項7】
ローラの軸端に軸受を装着する段階と、前記ローラの軸端に装着された前記軸受を、軸受保持部に異なる種類の複数の軸受を収容できるように形成された空間部に載置する段階と、前記軸受を前記ローラの軸端に固定する段階と、からなることを特徴とする軸受支持方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2008−57603(P2008−57603A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−233134(P2006−233134)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】