説明

軸外れ複合プレプレグの製造方法及び装置

本発明は、裏紙の縦方向に対して±5度のような角度でファイバ方向を有するテープ形態の2つの層の軸外れ複合プレプレグ材料を好ましく製造する方法及び装置に関する。このような軸外れプレプレグ複合材料テープの使用は主に航空機の複合翼ストリンガまたはスパーのような高い縦横比の部品を製造するためのものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複合材料に関し、特に航空機の複合部品を製造するための軸外れ複合プレプレグ材料の製造方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多プライのテープの製造およびクロスプライ構造材料の製造のための既知の方法及び装置が存在する。このような既知の方法は0度、±45度、90度のような標準的なプライ角度のファイバ配向を有する炭素テープの多数の層を使用することを含んでいる。さらに新しい研究により、航空機の複合部品に±5度、±65度のプライ角度配向のような標準的ではないプライ角度のファイバ配向を使用すると、非常に大きい重量の節約の可能性があることが示されている。65度のプライ角度の配向は既存の装置で容易に載置されることができる。しかしながら、±5度のプライ角度の配向は現在のレイアッププロセス、特にストリンガレイアップのような狭い航空機の複合部では困難を生じる。プレプレグテープで非常に浅い角度の切断をすることは全ての現在のプレプレグ積層マシンでは実用的ではなくまたは不可能である。部品のエッジからコースを脱線することによって浅い角度の切断を防止することが可能であるが、これは大量の材料を浪費する。現在、これらの浅い角度のレイアップの重量の利点を得るため、手作業の切断及びレイアップが必要とされている。手作業の切断でさえも、切断の長さ(即ち15.2cm(6インチ)幅のテープでは管理が困難な約175.2cm(69インチ))と長細いテールのためにこのことは困難であろう。好ましい方法は+5度のテープの1つの層と−5度のテープの第2の層で既に構成されているプレプレグ材料のロールを得ることである。しかしながら、このような製品の構造は知られておらず、または有効ではない。
【0003】
標準的ではないプライ角度配向の使用が大きな重量の節約をもたらすことができることを示す研究がなされている。しかし、構成方法は限定されている。手作業のレイアップは高価であり、既存のマシンによるレイアップは特に狭い部品で材料を非常に浪費する。±5度の材料が効率的に生成されるならば、これは通常のテープ載置マシンにより載置されることができる。実際にこれは2つの層が一度に載置されることができるので生産性を増加することができる。
【0004】
したがって、既知の方法及び装置に関連される問題をもたない軸外れ複合プレプレグ材料を製造するための改良された方法及び装置が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本発明は軸外れ複合プレプレグ材料を製造するための改良された方法及び装置のこの必要性を満たし、特有であり自明ではない有効な軸外れ複合プレプレグ材料を製造するための方法及び装置を提供する。既知の方法及び装置には本発明の全ての多くの利点を提供するものは存在しない。既知の方法及び装置とは異なって、軸外れ複合プレプレグ材料を製造するための方法及び装置は次の利点を提供する。これは低い角度、即ち約±5度のファイバ方向を裏紙の縦方向の角度に対して有する狭いテープの形態で2つの層の一方向軸外れ複合プレプレグ材料を製造する方法及び装置を提供し、これは種々のファイバ配向の幾つかのプライを有する複合プレプレグ材料のロールを生成する方法及び装置を提供し、これは幾つかのプライが個別ではなく一度に配置されることができるのでレイアップ部品の生産性を改良でき、これはクロスプライが載置材料で構成されるために別々のクロスプライ積層が必要とされないので必要とされるレイアップマシンを簡単にする方法及び装置を提供し、これは航空機の複合翼ストリンガまたはスパーのような主に高い縦横比の部品を生成するための軸外れテープを効率的及び廉価で製造する方法及び装置を提供する。軸外れテープは部品の長さに沿って供給されることができるので、一方向プレプレグテープを部品の境界から脱線することにより生じる大量の三角形のプレプレグスクラップを防止する。材料の浪費に加えて、部品のエッジの脱線はマシンの作動時間を付加する。
【0006】
本発明の第1のバージョンではテープ形態で2つの層の軸外れ複合プレプレグ材料を製造する装置が提供され、これは第1のロールスタンド上に取付けられた裏紙のロールと、裏紙のロールを広げ、少なくとも2つのマンドレルスタンド上に支持された円筒形のマンドレルの周囲に裏紙を巻き付けるように構成されている少なくとも1つの紙ガイドと、マンドレルとは独立して支持され相互に反対方向でマンドレル周囲で同軸的に回転するように設計されている少なくとも2つの適用ホイールと、マンドレル周囲に巻き付けられるプレプレグ管を成形するためプレプレグ材料を裏紙に圧縮し加圧するための圧縮コンポーネントと、プレプレグ管を切断するための切断コンポーネントと、裏紙と複合プレプレグから成形されるテープ形態である実質上平坦な2つの層の軸外れ複合プレプレグ出力材料を成形するために切断プレプレグ管を開いて平坦に載置するためのオープナーコンポーネントとを具備し、各ホイール内には紙剥離ロールと、プレプレグ材料を有する少なくとも1つの複合プレプレグ供給ロールが取付けられ、紙剥離ロールとプレプレグ供給ロールはマンドレルの中心線から法線ベクトルに関して軸外れであるそれぞれの軸に存在し、さらに各ホイールはプレプレグ供給ロールからテープ層をマンドレル周囲に螺旋の配向で裏紙上に同時に載置するように設計され、テープは第2のロールスタンド上に取付けられている出力ロールを成形するため周囲に巻き付けられている。本発明の別のバージョンでは、装置がテープ形態の3以上の層の軸外れ複合プレプレグ材料を成形し、1つのホイール当り1つのプレプレグ供給ロールを有する3以上の適用ホイールを有する点を除いて装置は前述したように与えられる。
【0007】
本発明の別のバージョンでは、テープ形態で2つの層の軸外れ複合プレプレグ材料を製造する方法が与えられ、この方法は第1のロールスタンド上に取付けられた裏紙のロールを広げ、少なくとも2つのマンドレルスタンド上に支持される円筒形のマンドレルの周囲に裏紙を巻き付け、相互に反対方向でマンドレル周囲で少なくとも2つの適用ホイールを同軸的に回転し、各ホイール内には紙剥離ロールと、プレプレグ材料を有する少なくとも1つの複合プレプレグ供給ロールが取付けられ、紙剥離ロールとプレプレグ供給ロールはマンドレルの中心線から法線ベクトルに関して軸外れであるそれぞれの軸に存在し、さらに各ホイールはプレプレグ供給ロールからテープ層をマンドレル周囲に螺旋の配向で裏紙上に同時に載置し、マンドレル周囲に巻き付けられるプレプレグ管を成形するため圧縮コンポーネントによってプレプレグ材料を裏紙に圧縮し加圧し、切断コンポーネントによりプレプレグ管を切断し、裏紙と複合プレプレグから成形されるテープ形態である実質上平坦な2つの層の軸外れ複合プレプレグ出力材料を成形するためにオープナーコンポーネントにより切断プレプレグ管を開いて平坦に載置し、第2のロールスタンド上に取付けられる出力ロールを成形するため周囲に複合プレプレグテープを巻き付けるステップを含んでいる。本発明の別のバージョンでは、方法がテープ形態で3以上の層の軸外れ複合プレプレグ材料を成形し、1つのホイール当り1つのプレプレグ供給ロールを有する3以上の適用ホイールを有する点を除いて方法は前述したように行われる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の1実施形態による軸外れ複合プレプレグ材料を製造する装置を示す斜視図。
【図2】ヒーターコンポーネントを含む本発明の装置のホイール部を示す斜視図。
【図3】+5度及び−5度のマンドレル軸に対するプレプレグ供給ロールの配向角度を示す図。
【図4】5度のプライが平坦に載置されるときのマンドレルの軸に対するプレプレグ供給ロールの配向角度を示す図。
【図5】65度のプライが平坦に載置されるときのマンドレルの軸に対するプレプレグ供給ロールの配向角度を示す図。
【図6】マンドレルの周囲に1つの十分なプライを供給する供給ホイール内の4つのプレプレグ供給ロールを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の前述及び他の利点および特徴と、本発明が実現される方法は好ましい例示的な実施形態を示しており、実寸大ではない添付図面を参照にした本発明の以下の詳細な説明を考慮して、さらに明白になるであろう。
【0010】
本発明を以下、本発明の全てではないが幾つかの実施形態を示している添付図面を参照してさらに十分に説明する。本発明は幾つかの異なる形態で実施されることができるが、ここで説明された実施形態に限定されると解釈されてはならない。これらの実施形態は本発明が徹底的で完全なものであり、本発明の技術的範囲を十分に当業者に伝えるために与えられている。同様の符合は全体を通して同一の素子を指している。
【0011】
図面、特に図1を参照すると、本発明の1実施形態によりテープ形態の2つの層の軸外れ複合プレプレグ材料を生成する装置及びシステム10が示されている。本発明は0度の複合プレプレグ(通常の材料の構造)のロールを好ましくは±5度の配向の2つの層のロールに変換する方法及び装置に関する。この結果的な製品は通常の複合テープ積層マシンのような既存のレイアップマシンにロードされることができ、これが通常の0度の材料であるかのように分配されることができる。変換マシンの構造は材料の小売業者または部品製造業者により使用されるものと同じであってよい。用語「プレプレグ」はここで使用されるとき、用語「プレプレグネートされた」の短縮形である。プレプレグ材料はマット、織物または典型的に硬化される樹脂を有する不織材料の組合せである。標準的なプレプレグは仕上げられた部品で所望であるよりも多くの樹脂を含んでおり、過剰な樹脂は硬化期間中に抜き取られる。実質的な樹脂プレプレグは仕上げられた部品に所望されるのと同じ樹脂内容を含んでおり、樹脂は硬化期間中に抜き取られない。化学的増粘剤を含んでいるプレプレグは鋳造マットと呼ばれ、シート形態であるものはシート鋳造化合物と呼ばれている。
【0012】
図1は本発明の装置10を示している。装置は第1のロールスタンド14上に取付けられ支持されている裏紙12のロールを具備している。好ましくは、裏紙は厚紙の管またはコアに設けられている非接着被覆を有する紙材である。装置10はさらに裏紙12を広げるか解き、裏紙を少なくとも2つのマンドレルスタンド20上に支持された円筒形マンドレル18の周囲に巻き付けるように構成されている少なくとも1つの紙ガイド16を具備している。装置10はさらにマンドレル18から独立して支持され、好ましくは相互に対して反対方向でマンドレルの周りを同軸的に回転するように設計されている少なくとも2つの適用ホイール22を具備している。各ホイール22は駆動ローラー24により支持され駆動される。各ホイール22は紙剥離ロール26と、プレプレグ材料を有する少なくとも1つのプレプレグ供給ロール28を有する。紙剥離ロール26は軸30上に取付けられている。プレプレグ供給ロールは軸32上に取付けられている。軸30、32はマンドレルの中心線から法線ベクトルに関して僅かに曲げられている。ホイール22は反対方向で回転し、それぞれプレプレグテープをマンドレルの周囲に螺旋配向で載置する。各ホイール22は螺旋に配向されたテープ層をそれがマンドレルに沿って動くときプレプレグ供給ロールから裏紙上に同時に載置するように設計されている。各ホイールの回転は裏紙がマンドレルに沿って動くとき、その線形運動に対して機械的または電子的に同期される。これは各螺旋層がマンドレルの100%のカバー範囲を与えることを確実にする。各適用ホイールは供給材料の有効な幅に応じて、1、2、3、4またはそれ以上のプレプレグ供給リールを含むことができる。別のバージョンでは、3以上の適用ホイールが3以上の層の軸外れ複合プレプレグ材料またはプレプレグテープを提供するために装置で使用されることができる。装置の別のバージョンでは、1個の適用ホイールだけが単一層の複合プレプレグ材料またはプレプレグテープを提供するために装置で使用されることができる。装置は1つのみの適用ホイールだけで構成されることができる。代わりに装置は2つの適用ホイールで構成されることができ、ホイールの一方は外され使用されない。代わりに、装置は3以上の適用ホイールで構成されることができる。供給ロールの必要とされる幅はプライ角度に基づき、軸に関して小さいプライ角度は大きいプライ角度よりも広いテープを必要とする。必要とされる供給幅は適用ホイール内の2以上の供給ロールから得られることができる。好ましくは、供給ロール上のプレプレグ材料は約0.01778cm(0.007インチ)から約0.02159cm(0.0085インチ)の厚さを有し、より好ましくはプレプレグ材料は0.02032cm(0.008インチ)の厚さを有する。好ましくは裏紙は60.96cm(24インチ)の幅と、約0.0127cm(0.005インチ)の厚さを有する。しかしながら、裏紙の他の適切な幅も使用されることができる。全てのケースで、マンドレルの直径は裏紙がマンドレルを完全にカバーすることを確実にするためπ(πは3.14159265に等しい)により割算される裏紙の幅に等しいかそれよりも小さくなければならない。
【0013】
装置10はさらにマンドレル18の周りに巻き付けられたプレプレグ管36を成形するためプレプレグ材料を圧縮し、裏紙12へ加圧するための第1の圧縮コンポーネント34を具備している。圧縮コンポーネント34は適用ホイール22からさらに下流に位置される旋回圧縮ローラーの形態であることが好ましい。随意選択的に、放射または対流熱源(図示せず)が圧縮プロセスで助けるために圧縮コンポーネントの上流のプレプレグテープを軟化するために使用されることができる。装置はさらにプレプレグ管36を切断するための切断コンポーネント38を具備することができる。好ましくは切断コンポーネント38は裏紙のエッジが接する場所でプレプレグ管36を切断するために使用されるスリッターホイールの形態である。装置10はさらに出力プロダクトまたはロール40を成形するために切断プレプレグ管36を開きそれを平坦に載置するためのオープナーコンポーネント(図示せず)を具備することができ、出力プロダクトまたはロール40は載置されるとき裏紙を有する実質的に平坦な2つの層の軸外れ複合プレプレグ材料である。プレプレグ管36は平坦なシートに漸進的に開かれ、第2のロールスタンド42上に取付けられている出力ロール40の周囲に巻かれ巻付けられる。好ましくは、出力ロールは60.96cm(24インチ)幅と、0.381cm(0.15インチ)の典型的な二重プレプレグの厚さを有する。しかしながら他の適切な幅も使用されることができる。出力ロールのすぐ前に別の切断コンポーネント(図示せず)を設けて、出力材料を巻くために多数のロールを使用することが望ましい。例えば60.96cm(24インチ)幅は4つの15.24cm(6インチ)幅の出力ロールになるように切断されることができる。このような切断と巻付けプロセスは産業で普通に使用されている。装置10はさらに複合プレプレグ材料またはテープを出力ロール周囲に巻きつける前にそれを圧縮し加圧するための第2の圧縮コンポーネント44を具備することができる。さらに種々のローラー及び熱源(図示せず)がプレプレグ管から平坦なシートへの転移を容易にするために設けられることができる。
【0014】
図2はヒーターコンポーネント46を含む本発明の装置のホイール22を示す斜視図である。好ましくは、ヒーターコンポーネントは樹脂の粘性を改良するためにプレプレグ供給ロールの加熱に使用されることができる石英灯のような放射ヒーターである。好ましくは、ヒーターコンポーネントはプレプレグ供給ロールを加熱して、それを軟化するためにプレプレグ供給ロールに近接して位置される。好ましくは、プレプレグ供給ロールの加熱に使用される温度は華氏約150度未満であり、特に好ましい温度は華氏90度である。マンドレルスタンド間のマンドレルの範囲にしたがって、マンドレル支持ローラー48はマンドレルのたるみを防止する必要がある可能性がある。ローラー48がプレプレグ材料に接触しているので、これは弗化炭化水素プラスティック材料のような非接着表面を有する。好ましくは、結果的な2つの層の軸外れ複合プレプレグ材料は、炭素ファイバが裏紙の中心軸から、第1のプレプレグ層で約+5度および第2のプレプレグ層で−5度の角度で配向されている硬化されていない樹脂マトリックスの一方向炭素ファイバを具備している。さらに結果的な複合体は硬化されていない樹脂マトリックスの一方向炭素ファイバを具備する2つの層の軸外れ複合プレプレグ材料を具備することができ、ここでは炭素ファイバは裏紙の中心軸から、第1のプレプレグ層で約5度から約85度および第2のプレプレグ層で約−5度から約−85度の角度で配向されている。特に、炭素ファイバは裏紙の中心軸から、第1のプレプレグ層で30度未満の角度、第2のプレプレグ層で対応して−30度未満の角度で配向されている。
【0015】
図3は+5度と−5度のマンドレルの軸に対するプレプレグ供給ロールの配向角度50を示している。しかしながら、5度から85度までの種々の他の角度が異なるマシンのセットアップで生成されることができる。プライの数は直列の対応する数のホイールを有する実施形態では1から6以上まで変化することができる。
【0016】
図4は5度のプライ52が平坦に載置されているときのマンドレルの軸に対するプレプレグ供給ロールの配向角度を示す図である。各プライの配向はプレプレグ供給ロールの異なる幅を必要とする。5度のような浅いプライ角度は図4で示されているように出力幅とほぼ同じ幅のプレプレグ供給ロールを必要とする。供給ロール幅54はマンドレル18と同様に示されている。
【0017】
65度のような大きいプライ角度は図5に示されているように狭いプレプレグ供給ロールを必要とする。図5は65度のプライ56が平坦に載置されているときのマンドレルの軸に対するプレプレグ供給ロールの配向角度の図である。供給ロール幅54も示されている。プレプレグ供給ロールが比較的広いならば、必要な幅を設けるために単一のロールの代わりに2以上の狭いプレプレグ供給ロールが使用されることができる。
【0018】
図6は適用ホイール(図示せず)内部にあり、マンドレル18の周囲に1つのプライ全体を供給する4つのプレプレグ供給ロール28の図である。本発明の装置はしたがって4つの別々の供給ホイールを含むことができる。
【0019】
本発明の別のバージョンでは、テープ形態の3以上の層の軸外れ複合プレプレグ材料を生成する装置が与えられる。この装置は第1のロールスタンドに取付けられた裏紙のロールと、裏紙を広げ裏紙を少なくとも2つのマンドレルスタンド上に支持される円筒形のマンドレルの周りに巻き付けるように構成されている少なくとも1つの紙ガイドを具備している。この装置はさらに成形される複合プレプレグ材料の層の数に等しい数の複数の適用ホイールを具備し、各適用ホイールはマンドレルと独立して支持され、マンドレルの周りを回転するように設計されている。各ホイール内には紙剥離ロールと、プレプレグ材料を有する1つの複合プレプレグ供給ロールが取付けられており、紙剥離ロールと供給ロールはマンドレルの中心線から法線ベクトルに関して軸外れであるぞれぞれの軸に存在する。さらに各ホイールはプレプレグ供給ロールからテープ層をマンドレル周囲に螺旋の配向で裏紙上に同時に載置するように設計されている。装置はさらにマンドレルの周囲に巻き付けられたプレプレグ管を成形するためにプレプレグ材料を裏紙に圧縮し加圧する圧縮コンポーネントを具備している。装置はさらにプレプレグ管を切断するための切断コンポーネントを含んでいる。装置はさらに裏紙と複合プレプレグから成形される実質的に平坦な3以上の層の軸外れ複合プレプレグ材料をテープ形態で成形するために切断プレプレグ管を開き、平坦に載置するオープナーコンポーネントを具備することができ、テープは第2のロールスタンドに取付けられる出力ロールを成形するために周りに巻き付けられる。3以上の層の軸外れ複合プレプレグ材料は硬化されていない樹脂マトリックスの一方向炭素ファイバを具備し、炭素ファイバは裏紙の中心軸から、第1のプレプレグ層で約+5度乃至+85度の範囲および、第2のプレプレグ層で約−5度乃至−85度の範囲の角度で配向される。
【0020】
本発明の別のバージョンでは、出力ロールまたはテープ形態で2つの層の軸外れ複合プレプレグ材料を製造する方法が与えられる。この方法は後に分離され連続的なリボンとして巻かれる材料の管を連続的に編む通常の複合テープ積層マシンを使用する既存の方法に類似している。本発明の方法は編込みプロセスにより生成されるよりも非常に鋭角のファイバ角度で不織プロダクトを生成する点が異なる。本発明の方法は最初に第1のロールスタンド14に取付けられた裏紙12のロールを広げ、少なくとも2つのマンドレルスタンド20上に支持される円筒形マンドレル18の周囲に裏紙を巻き付けるステップを含んでいる。方法はさらに少なくとも2つの適用ホイール22が相互に反対方向でマンドレルの周りを同軸的に回転するステップを含んでおり、各ホイール内では、紙剥離ロール26と、プレプレグ材料を有する少なくとも1つの複合プレプレグ供給ロール28が取付けられており、紙剥離ロールと供給ロールはマンドレルの中心線から法線ベクトルに関して軸外れであるそれぞれの軸30、32上にある。各ホイールはプレプレグ供給ロールからプレプレグテープをマンドレル周囲に螺旋配向で同時に載置する。各適用ホイールはホイール内に1、2、3、4またはそれ以上のプレプレグ供給ロールを含むことができる。前述したように、好ましくは複合プレプレグテープは15.24cm(6インチ)幅である。さらに方法は1、2、3、4またはそれ以上の適用ホイールを含むことができる。この方法はさらに、マンドレル周囲に巻かれるプレプレグ管36を成形するために第1の圧縮コンポーネント34によってプレプレグ供給ロールを圧縮し裏紙へ加圧するステップを含んでいる。方法はさらに、切断コンポーネント38によってプレプレグ間を切断するステップを含んでいる。方法はさらに裏紙及び複合プレプレグから成形される実質的に平坦な2つの層の軸外れ複合プレプレグ材料をテープ形態で成形するためオープナーコンポーネント(図示せず)により切断プレプレグ管を開き、平坦に載置するステップを含んでいる。方法はさらに第2のロールスタンド42上に取付けられる出力プロダクトまたはロール40を成形するために複合プレプレグテープを周囲に巻き付けるステップを含んでいる。方法はさらに圧縮ステップの前に、第1のヒーターコンポーネントによってプレプレグ供給ロールを軟化するためにそれを加熱するステップを含むことができる。好ましくは、プレプレグ供給ロールの加熱に使用される温度は華氏約150度未満であり、さらに好ましくは温度は華氏90度である。方法はさらに複合プレプレグテープを巻き付けるステップの前に、第2の圧縮コンポーネント44によって複合プレプレグを圧縮し加圧するステップを含むことができる。
【0021】
好ましくは、本発明の方法は樹脂マトリックスの一方向炭素ファイバを含む2つの層の軸外れ複合プレプレグ材料を生成し、炭素ファイバは裏紙の中心軸から、第1のプレプレグ層で約+5度および第2のプレプレグ層で−5度の角度で配向される。さらに本発明の方法は樹脂マトリックスで一方向炭素ファイバを具備する2つの層の軸外れ複合プレプレグ材料を生成することができ、炭素ファイバは裏紙の中心軸から、第1のプレプレグ層で約30度未満および第2のプレプレグ層で−30度未満の角度で配向される。さらに、本発明の方法は1つの適用ホイール内に1つのみのプレプレグ供給ロールだけが方法で使用されるとき樹脂マトリックスで一方向炭素ファイバを有する1つの層の軸外れ複合プレプレグ材料を生成することができる。プレプレグ複合材料出力プロダクトを成形する平均速度は毎分約5080cm−12700cm(2000−5000インチ)である。
【0022】
本発明は0ではないファイバ配向の単一プライを有する材料のロール、または+5度、−5度、+65度、−65度のプライを有するプロダクトのような全てが材料の1つのロール中に組み合わされている多数の配向を有するテープの多数のプライを備えたロールを生成する方法及び装置を提供する。このようなロールからの各層は多数の方向で強度を有する。本発明の方法及び装置は±5度に配向された材料の単一層を有する材料のロールを生成することもできる。このような軸外れのプレプレグ複合材料の使用は主として航空機の複合翼ストリンガまたはスパーのような高い縦横比の部品を製造するためのものである。
【0023】
本発明の多数の変形及び他の実施形態は前述の説明及び関連図面に提示された教示の利点と共に本発明が関係する当業者に理解されるであろう。それ故、本発明は開示されている特定の実施形態に限定されず、変形及び他の実施形態が特許請求の範囲内に含まれることを意図していることが理解されるであろう。特定の用語がここで使用されているが、これらは単なる一般及び説明の意味で使用されており、発明を限定する目的ではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープ形態で2つの層の軸外れ複合プレプレグ材料を製造する装置において、
第1のロールスタンド上の裏紙のロールと、
裏紙を広げ、少なくとも2つのマンドレルスタンド上に支持されている円筒形のマンドレルの周囲に裏紙を巻き付けるように構成されている少なくとも1つの紙ガイドと、
マンドレルとは独立して支持され相互に反対方向でマンドレル周囲で同軸的に回転するように設計されている少なくとも2つの適用ホイールと、
マンドレル周囲に巻き付けられたプレプレグ管を成形するためにプレプレグ材料を裏紙に圧縮し加圧するための圧縮コンポーネントと、
プレプレグ管を切断するための切断コンポーネントと、
裏紙と複合プレプレグから成形されるテープ形態である実質上平坦な2つの層の軸外れ複合プレプレグ出力材料を形成するために切断プレプレグ管を開いて平坦に載置するためのオープナーコンポーネントとを具備し、
各ホイール内には紙剥離ロールと、プレプレグ材料を有する少なくとも1つの複合プレプレグ供給ロールが取付けられ、紙剥離ロールとプレプレグ供給ロールはマンドレルの中心線から法線ベクトルに関して軸外れであるそれぞれの軸上に存在し、さらに各ホイールはプレプレグ供給ロールからテープ層をマンドレルの周囲に螺旋の配向で裏紙上に同時に載置するように設計され、
テープは第2のロールスタンド上に取付けられる出力ロールを成形するため周囲に巻き付けられ、
それによって複合プレプレグ材料は硬化されていない樹脂マトリックスの一方向炭素ファイバを具備し、プレプレグ材料は既存のレイアップマシンにロードされる装置。
【請求項2】
さらにプレプレグを軟化するように加熱するためにプレプレグ供給ロールの近くにヒーターコンポーネントを具備している請求項1記載の装置。
【請求項3】
炭素ファイバは裏紙の中心軸から、第1のプレプレグ層で約+5度および第2のプレプレグ層で−5度の角度で配向されている請求項1記載の方法。
【請求項4】
炭素ファイバは裏紙の中心軸から、第1のプレプレグ層で約30度未満および第2のプレプレグ層で−30度未満の角度で配向されている請求項1記載の方法。
【請求項5】
炭素ファイバは裏紙の中心軸から、第1のプレプレグ層で約+85度未満および第2のプレプレグ層で−85度未満の角度で配向されている請求項1記載の方法。
【請求項6】
1つの適用ホイール内でただ1個のプレプレグ供給ロールが装置で使用されている請求項1記載の装置。
【請求項7】
各適用ホイールは4つのプレプレグ供給ロールを含んでいる請求項1記載の装置。
【請求項8】
適用ホイールの数は3以上である請求項1記載の装置。
【請求項9】
さらに、出力ロールの周囲に巻かれる前に、複合プレプレグテープを圧縮し加圧する第2の圧縮コンポーネントを具備している請求項1記載の装置。
【請求項10】
テープ形態で3以上の層の軸外れ複合プレプレグ材料を製造する装置において、
第1のロールスタンド上の裏紙のロールと、
裏紙を広げ、少なくとも2つのマンドレルスタンド上に支持される円筒形のマンドレルの周囲に裏紙を巻き付けるように構成されている少なくとも1つの紙ガイドと、
成形される複合プレプレグ材料の層の数に等しい数の少なくとも2つの適用ホイールと、
マンドレル周囲に巻き付けられたプレプレグ管を成形するためにプレプレグ材料を裏紙に圧縮し加圧するための圧縮コンポーネントと、
プレプレグ管を切断するための切断コンポーネントと、
裏紙と複合プレプレグから形成されるテープ形態で実質上平坦な3以上の層の軸外れ複合プレプレグ材料を成形するために切断プレプレグ管を開いて平坦に載置するためのオープナーコンポーネントとを具備し、
各適用ホイールはマンドレルと独立して支持されマンドレル周囲で回転するように設計されており、ホイール内には紙剥離ロールと、プレプレグ材料を有する少なくとも1つの複合プレプレグ供給ロールが取付けられ、紙剥離ロールとプレプレグ供給ロールはマンドレルの中心線から法線ベクトルに関して軸外れであるそれぞれの軸上に存在し、さらに各ホイールはプレプレグ供給ロールからテープ層をマンドレル周囲に螺旋の配向で裏紙上に載置するように設計され、
テープは第2のロールスタンド上に取付けられる出力ロールを成形するために周囲に巻き付けられ、
それによって複合プレプレグ材料は硬化されていない樹脂マトリックスの一方向炭素ファイバを具備し、プレプレグ材料は既存のレイアップマシンにロードされる装置。
【請求項11】
炭素ファイバは裏紙の中心軸から、第1のプレプレグ層で約+5度と+85度の間および第2のプレプレグ層で−5度と−85度の間の角度で配向されている請求項10記載の装置。
【請求項12】
テープ形態で2つの層の軸外れ複合プレプレグ材料を製造する方法において、
第1のロールスタンド上に取付けられた裏紙のロールを広げ、少なくとも2つのマンドレルスタンド上に支持される円筒形のマンドレルの周囲に裏紙を巻き付け、
相互に反対方向でマンドレルの周囲で少なくとも2つの適用ホイールを同軸的に回転させ、各ホイール内には紙剥離ロールと、プレプレグ材料を有する少なくとも1つの複合プレプレグ供給ロールが取付けられ、紙剥離ロールとプレプレグ供給ロールはマンドレルの中心線から法線ベクトルに関して軸外れであるそれぞれの軸上に存在し、さらに各ホイールはプレプレグ供給ロールからテープ層をマンドレル周囲に螺旋の配向で裏紙上に同時に載置し、
マンドレル周囲に巻き付けられるプレプレグ管を成形するために圧縮コンポーネントによってプレプレグ材料を裏紙に圧縮し加圧し、
切断コンポーネントによりプレプレグ管を切断し、
裏紙と複合プレプレグから成形されたテープ形態である実質上平坦な2つの層の軸外れ複合プレプレグ出力材料を形成するためにオープナーコンポーネントにより切断プレプレグ管を開いて平坦に載置し、
第2のロールスタンド上に取付けられる出力ロールを形成するため周囲に複合プレプレグテープを巻き付けるステップを含んでおり、
それによって複合プレプレグ材料は硬化されていない樹脂マトリックスの一方向炭素ファイバを具備し、プレプレグ材料は既存のレイアップマシンにロードされる方法。
【請求項13】
さらに前記圧縮ステップの前に、プレプレグを軟化するように第1のヒーターコンポーネントにより加熱するステップを含んでいる請求項12記載の方法。
【請求項14】
さらに、前記切断ステップの前に、プレプレグを軟化するように第2のヒーターコンポーネントにより加熱するステップを含んでいる請求項12記載の方法。
【請求項15】
さらに、前記複合プレプレグテープの巻き付けステップの前に、複合プレプレグを圧縮し加圧するステップを含んでいる請求項12記載の方法。
【請求項16】
炭素ファイバは裏紙の中心軸から、第1のプレプレグ層で約+5度および第2のプレプレグ層で−5度の角度で配向されている請求項1記載の方法。
【請求項17】
炭素ファイバは裏紙の中心軸から、第1のプレプレグ層で約30度未満および第2のプレプレグ層で−30度未満の角度で配向されている請求項1記載の方法。
【請求項18】
炭素ファイバは裏紙の中心軸から、第1のプレプレグ層で約+85度未満および第2のプレプレグ層で−85度未満の角度で配向されている請求項1記載の方法。
【請求項19】
適用ホイールの数は3以上である請求項12記載の方法。
【請求項20】
適用ホイールの数は成形される軸外れ複合プレプレグ材料の層の数に等しい請求項12記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−541092(P2009−541092A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−516501(P2009−516501)
【出願日】平成19年6月5日(2007.6.5)
【国際出願番号】PCT/US2007/013340
【国際公開番号】WO2008/057146
【国際公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】