説明

軸流圧縮機

【課題】圧縮部から吐出された作動流体を所定流速まで減速させる構成を有しつつ、軸流圧縮機の小型化を図る。
【解決手段】軸流圧縮機10は、回転軸22aを有する電動機22と、電動機22の回転軸22aに増速機を介することなく接続される駆動軸40と、この駆動軸40と一体的に回転するロータ31とを有し、駆動軸40を駆動することによって作動流体を圧縮する圧縮部20と、圧縮部20の吐出口から吐出された作動流体の流速を低減させるための空間を有する減速部24と、を備えている。電動機22の回転軸22aは、駆動軸40の吐出口側の端部に接続され、減速部24は、電動機22を囲むように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸流圧縮機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、圧縮機として、下記特許文献1に開示されているように増速機構を備えたものが知られている。すなわち、電動機の駆動軸と圧縮部の主軸との間に増速機構を介装して電動機の回転数より大なる回転数にて圧縮部を駆動することにより、電動機の回転数を低速としつつ、圧縮部を高速で駆動するようにしている。そして、圧縮部には、半径方向に延出されたディフューザが設けられており、圧縮部の羽根車の作用によって増速されつつ昇圧された作動流体の速度をディフューザによって落とすようにしている。この圧縮機では、ディフューザによって所定の速度まで減速された作動流体が吐出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−5092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に開示された圧縮機では、小型化を図るには限界があるという問題がある。すなわち、この圧縮機には増速機構が設けられているが、増速機構は、電動機の駆動軸の回転数に対して圧縮部の主軸の回転数を増大させるべく、電動機の回転軸に設けられた第1歯車の径が大きなものとならざるを得ず、しかもこの第1歯車を圧縮部の主軸に設けられた第2歯車を噛み合わせるべく、電動機を圧縮部に対してオフセットして配置しなければならない。このため、圧縮部の径方向の幅が大きくなってしまうという問題があり、この結果として圧縮機としての小型化、特に軸流圧縮機としての小型化を図るには限界がある。また、圧縮部にはディフューザが設けられていて、このディフューザは羽根車に対して径方向に延びるため、この点でも圧縮部の径方向の幅が大きくなってしまうという問題がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、圧縮部から吐出された作動流体を所定流速まで減速させる構成を有しつつ、軸流圧縮機の小型化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するため、本発明は、作動流体を圧縮するための軸流圧縮機であって、回転軸を有する電動機と、前記電動機の回転軸に増速機を介することなく接続される駆動軸と、この駆動軸と一体的に回転するロータとを有し、前記駆動軸を駆動することによって作動流体を圧縮する圧縮部と、前記圧縮部の吐出口から吐出された作動流体の流速を低減させるための空間を有する減速部と、を備え、前記電動機の回転軸は、前記駆動軸の吐出口側の端部に接続され、前記減速部は、前記電動機を囲むように配置されている軸流圧縮機である。
【0007】
本発明による軸流圧縮機では、電動機の回転軸に増速機を介することなく圧縮部の駆動軸が接続された構成となっている。このため、電動機を圧縮部に対して径方向に位置ずれした状態で配置させる必要がなく、軸流圧縮機として圧縮部の径方向の幅が大きくなることを防止することができる。しかも、増速機が設けられていないため、この点からも圧縮部の径方向の幅が大きくなることを防止することができる。さらに、前記減速部は、前記駆動軸の軸方向において前記電動機を越えるところまで延びていてもよい。この態様では、減速部が電動機の周囲を駆動軸の軸方向に延びる構成となるので、減速部の空間の容積すなわち作動流体の流速を減速させるための空間の容積を確保しつつ、軸流圧縮機の径方向の幅が大きくなることを防止することができる。
【0008】
前記圧縮部の駆動軸と前記電動機の回転軸とは、振動減衰部を介して接続されていてもよい。この態様では、電動機が高回転数で駆動される場合でも、回転軸の振動が圧縮部の駆動軸に伝達することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、本発明によれば、圧縮部から吐出された作動流体を所定流速まで減速させる構成を有しつつ、軸流圧縮機の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る軸流圧縮機の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係る軸流圧縮機10は、冷凍機に設けられる圧縮機として構成されるものであり、蒸発器12及び凝縮器13を有する冷媒回路14に設けられている。この軸流圧縮機10は、蒸発器12で蒸発した作動流体(冷媒)としての水蒸気を圧縮する。この水蒸気は、比較的低温、低圧の水蒸気である。本実施形態の軸流圧縮機10で圧縮された作動流体たる水蒸気は、その軸流圧縮機10の吐出口において、例えば大気圧以下の圧力で150℃以下の温度となる。この冷媒回路14では、軸流圧縮機10で圧縮された作動流体が凝縮器13に送られ、凝縮器13において凝縮される。作動流体が相変化を伴って冷媒回路14を循環する。そして、蒸発器12において冷媒が蒸発することにより、2次側熱媒体に冷熱を供給することができる。この2次側熱媒体は、図外の利用側装置に供給されて冷却対象としての室内空気等を冷却する。
【0013】
軸流圧縮機10は、作動流体を圧縮する圧縮空間CSを有する圧縮部20と、圧縮部20を駆動するための電動機22と、圧縮空間CSから吐出された作動流体の流速を減速するための減速部24と、を備えている。軸流圧縮機10のケーシング26は、圧縮部20に配置される円筒状の第1ケース部27と、圧縮部20の一端側(上流側)に配置される第2ケース部28と、圧縮部20の他端側(下流側)となる減速部24に配置される第3ケース部29とを備えている。
【0014】
圧縮部20は、第1ケース部27と、第1ケース部27内に配置されたロータ31とを備えている。第1ケース部27とロータ31との間の空間が、作動流体を圧縮するための圧縮空間CSとして機能する。この圧縮空間CSは、図1の左側が吸入口CS1となり、右側が吐出口CS2となる。したがって、蒸発器12で蒸発した作動流体は図1の左側の吸入口CS1を通して圧縮空間CS内に吸入され、この作動流体は圧縮空間CS内を図1の左から右に移動するにつれて圧縮されて吐出口CS2から吐出される。
【0015】
第1ケース部27の内周面には、複数の静翼33が軸方向に間隔をおいて固定されている。この第1ケース部27は、軸方向が水平になるように設置される。
【0016】
ロータ31は、複数の動翼34と複数のスペーサ35とを備えている。これらの複数の動翼34は、静翼33と交互に位置するように軸方向に間隔をおいて配置されている。スペーサ35は、円筒状に形成される部材であり、静翼33の径方向内側に配置されるとともに、隣り合う動翼34の間にそれぞれ配置されている。図例では、4つの動翼34と4つのスペーサ35が設けられた構成を示しているがこれに限られるものではない。
【0017】
動翼34は、円筒状のボス部37と、このボス部37の周囲に一体的に形成された翼部38とを備えている。すなわち、動翼34は、後述するように、何れもアルミニウム製又はアルミニウム合金製であり、1つの素材から削り出して成形した一体成形品である。翼部38はボス部37の周方向に複数形成されている。ボス部37の外周面及び内周面はスペーサ35の外周面及び内周面と面一の状態となっている。
【0018】
圧縮部20は、駆動軸40と、第1押え部材41と、第2押え部材42と、固定部の一例としてのナット43と、円板状部材44とを備えている。駆動軸40は、ロータ軸部46と、ロータ軸部46の両端部にそれぞれ配置された2つのエンド軸部47,47とを備えている。
【0019】
ロータ軸部46は、第1ケース部27の軸心上に配置されており、第1ケース部27の軸方向に沿って延びている。ロータ軸部46の両端部は、軸方向において動翼34及びスペーサ35の外側に位置しており、この両端部にはそれぞれ図略の雄ねじ部が設けられている。
【0020】
第1押え部材41は、最上流段の動翼34に接触するように配置され、また第2押え部材42は、最下流段の動翼34の外側に位置するスペーサ35に接触するように配置されている。第1押え部材41と第2押え部材42とは、同じ構成の部材であるが、軸方向において逆向きに配設される。
【0021】
第1押え部材41は、円板状に形成されており、該押え部材41,42には、ロータ軸部46を挿通させる中央貫通孔が形成されている。第1押え部材41と動翼34とが嵌合されることにより、第1押え部材41の軸心と最上流段の動翼34の軸心とが一致するようになっている。そして、ボルトによって第1押え部材41にエンド軸部(第1エンド軸部)47を固定することにより、エンド軸部47と第1押え部材41とが同軸状となる。
【0022】
第2押え部材42は最下流段の動翼34の外側に位置するスペーサ35に嵌合している。これにより、第2押え部材42の軸心と最下流側に位置するスペーサ35の軸心とが一致している。そして、ボルトによって第2押え部材42にエンド軸部(第2エンド軸部)47を固定することにより、エンド軸部47と第2押え部材42とが同軸状となる。
【0023】
第1押え部材41及び第2押え部材42において、中央貫通孔に挿通されたロータ軸部46の雄ねじ部にナット43を螺合することにより、ロータ31(動翼34及びスペーサ35)を挟み込んだ状態でナット43によって第1押え部材41及び第2押え部材42を軸方向の両側から締め付けることができる。ナット43を螺合する際には、第1押え部材41及び第2押え部材42は予め定められたトルク値で締め付けられる。なお、ここでいう「予め定められたトルク値」は、後述するとおり、ロータ31とロータ軸部46との線膨張係数の相違、ひいては両者の駆動時の膨張量の相違に基づき、ロータ31の組み付け時よりも駆動時のほうがナット43による結合力が増大することを考慮して定められる。これにより、互いに隣り合う動翼34とスペーサ35とは互いに嵌合されている。
【0024】
スペーサ35及びボス部37の内径は、ロータ軸部46の外径よりも十分大きい。このため、スペーサ35及びボス部37が繋がって形成される円筒部とロータ軸部46との間には軸方向に延びる空間が形成されている。この空間すなわちロータ31の内側空間31aには、円板状部材44が設けられている。スペーサ35には、円板状部材44の厚みに対応する幅の凹部が形成されており、この凹部に円板状部材44の外周部が挿入され、この状態で円板状部材44とスペーサ35とがボルトによって締結されている。すなわち、円板状部材44は動翼34のボス部37とスペーサ35との間に隙間なく挟み込まれている。
【0025】
円板状部材44は、ロータ軸部46に対して垂直になる姿勢で配設されており、その中央部には厚み方向に貫通する貫通孔が形成されている。この貫通孔にはロータ軸部46が挿通されている。したがって、ロータ軸部46は、その中間部位の複数個所で円板状部材44に支持されている。
【0026】
動翼34は、何れもアルミニウム製又はアルミニウム合金製であり、またスペーサ35は、何れもアルミニウム製又はアルミニウム合金製である。言い換えるとロータ31は、アルミニウム製又はアルミニウム合金製である。一方、ロータ軸部46はチタン製又はチタン合金製である。したがって、ロータ軸部46は、アルミニウムよりも低い線膨張係数を有する材質で構成されている。このため、軸流圧縮機10の駆動時に発生する熱によりロータ31及びロータ軸部46が膨張する際には、ロータ軸部46よりもロータ31の方がより軸方向に膨張する。
【0027】
第1押え部材41及び第2押え部材42は、ステンレス製又はステンレス合金製である。なお、円板状部材44は、アルミニウム製又はアルミニウム合金製である。
【0028】
本実施形態では、最上流段の動翼34も含めて、動翼34はアルミニウム製又はアルミニウム合金製となっている。なお、少なくとも最上流段の動翼34については、陽極酸化被膜処理が施されていてもよい。この場合には、動翼34の軽量化を図りながら動翼34のエロージョンを効果的に防止することができる。また、最上流段の動翼34は、チタン製、チタン合金製、ステンレス製又はステンレス合金製としてもよい。この場合には、エロージョンを防止しつつ最上流段の動翼34の耐久性を確保することができる。
【0029】
図1に示すように、両端部のエンド軸部47,47は、それぞれ軸受け55,55によって支持されており、ロータ軸部46と同軸上に配置されている。軸受け55は、エンド軸部47の主部47cにおいてエンド軸部47を回転可能に支持する。主部47cはロータ軸部46と同軸上に延びる部分である。
【0030】
両軸受け55,55は、それぞれハウジング56,57に収められている。一端部側の軸受け55を収納する上流側のハウジング56は、第2ケース部28との間に円筒状の空間を形成するように設けられ、この空間は、圧縮空間CSに導入される作動流体が流れる上流側空間USとなる。一方、他端部側の軸受け55を収納する下流側のハウジング57は、第3ケース部29との間に円筒状の空間を形成するように設けられ、この空間は、圧縮空間CSから導出された作動流体が流れる下流側空間DSとなる。
【0031】
各ハウジング56,57は複数の支持部材59,59を介して第2ケース部28又は第3ケース部29に支持されている。各支持部材59は、棒状に形成されるとともに、周方向に放射状に配設されている。支持部材59,59は上流側空間US及び下流側空間DSに配置されているが、断面が流線形となっていることにより、作動流体の流れを阻害しないようになっている。なお、図例では、下流側空間DSの支持部材59がハウジング57の内側まで入り込んだ構成となっているが、このハウジング57の内側に入り込んでいる部位については棒状に形成されていなくてもよい。
【0032】
支持部材59には、潤滑剤を供給及び排出するための給排通路59aが形成されている。潤滑剤は、第2ケース部28及び第3ケース部29の外部から導入され、この給排通路59aの1つを通って軸受け55に供給され、他の給排通路59aを通って軸受け55から排出される。
【0033】
吐出口CS2側のエンド軸部47は、下流側のハウジング57内に配置されており、このエンド軸部47には、振動減衰部の一例としてのフレキシブルカップリング61を介して電動機22の回転軸22aが接続されている。圧縮部20の駆動軸40と電動機22の回転軸22aとが増速機を介することなく接続されているので、電動機22の回転数とロータ31の回転数とは同じ回転数となっている。
【0034】
前記減速部24は、第3ケース部29によって形成された下流側空間DSを有している。第3ケース部29は、第1ケース部27の軸方向一端部に繋がる外周面部29aと、外周面部29aの内側に配置されて軸方向に延びる内周面部29bと、外周面部29a及び内周面部29bの軸方向端部同士を接続する端面部29cと、を備えている。
【0035】
外周面部29aは、円筒状に形成されるとともに軸方向の中間部において、吐出口CS2から遠ざかるにつれて内径が少しずつ大きくなるフレア部29dが形成されている。そして、このフレア部29dから先の部位29eは内径が一定となっている。一方、内周面部29bは、下流側のハウジング57の端部に接続され、軸方向に沿って外径が一定となっている円筒状に形成されている。したがって、下流側空間DSには、軸方向に垂直な断面が円環状であり、かつ断面積が次第に拡大するテーパー部と、軸方向に垂直な断面が円環状であり、かつ断面積が一定となっている平行部とが含まれている。
【0036】
少なくともテーパー部は、圧縮部20によって圧縮された作動流体を減速して圧力回復するディフューザとして機能する。平行部は、テーパー部で減速された流体を集合するコレクタとして機能する。減速部24では、作動流体がテーパー部で十分に減速されるので、平行部において過大な損失を発生せずに圧力回復することができる。なお、図例では、内周面部29bがハウジング57と段差状に接続された構成を示しているが、この段差部をなくすようにしてもよい。また内周面部29bは、外周面部29aのテーパー部に対応するところがテーパー状に形成されている構成としてもよい。また、平行部の長さ等は、吐出口CS2から吐出された作動流体の流速をどの程度まで減速するかに応じて適宜選択することができる。
【0037】
外周面部29aにおいて、平行部を構成する部位29eには、排出ポート65が設けられている。この排出ポート65には、下流側空間DS内で減速された作動流体を凝縮器13に導くための配管が接続されている。
【0038】
内周面部29bには、ハウジング57との接続部から径方向内側に延出されるように電動機支持部66が設けられている。電動機22は、減速部24の内周面部29bの内側に配置されるとともに、電動機支持部66に取り付けられている。
【0039】
本実施形態に係る軸流圧縮機10では、電動機22の回転軸22aが回転すると、圧縮部20の駆動軸40も同じ回転数で回転し、ロータ31が軸回りに回転する。これに伴い、上流側空間US内の作動流体が吸入口CS1を通して圧縮空間CSに吸入され、圧縮空間CS内では作動流体が圧縮されながら図1の右方向に送られ、吐出口CS2を通して下流側空間DSに吐出される。この作動流体は減速部24内において減速されるとともに圧力回復し、排出ポート65を通して排出される。
【0040】
以上説明したように、本実施形態では、電動機22の回転軸22aに増速機を介することなく圧縮部20の駆動軸40が接続された構成となっている。このため、電動機22を圧縮部20に対して径方向に位置ずれした状態で配置させる必要がなく、軸流圧縮機10として圧縮部20の径方向の幅が大きくなることを防止することができる。しかも、増速機が設けられていないため、この点からも圧縮部20の径方向の幅が大きくなることを防止することができる。さらに、減速部24が電動機22の周囲を駆動軸40の軸方向に延びる構成としているので、減速部24の空間の容積すなわち作動流体の流速を減速させるための空間の容積を確保しつつ、軸流圧縮機10の径方向の幅が大きくなることを防止することができる。特に、本実施形態に係る軸流圧縮機10は、圧縮される作動流体たる水蒸気が、その軸流圧縮機10の入り口から吐出口において、例えば大気圧以下の圧力で5℃から150℃の範囲の温度、動翼が7段程度の複数段となる場合は、例えば、5℃から250℃の範囲の温度の水蒸気を圧縮するためのものであるので、低出力の電動機22を利用できる。この点からも、圧縮部20の径方向の幅が大きくなることを防止することもできる。また、軸流圧縮機10では、軸方向に作動流体が吐出され、減速部24がその方向に延びる形状となっているため、減速部24が径方向に曲げられる構成に比べて圧力回復の効率を向上させることができる。
【0041】
また本実施形態では、圧縮部20の駆動軸40と電動機22の回転軸22aとをフレキシブルカップリング61を介して接続しているので、電動機22が高回転数で駆動される場合でも、回転軸22aの振動が圧縮部20の駆動軸40に伝達することを抑制することができる。
【0042】
なお、本発明は、前記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。例えば、前記実施形態では、冷凍機に用いられる軸流圧縮機10として構成した例について説明したが、これに限られるものではない。例えば、軸流圧縮機10を例えば、冷却水を得るためのチラー、空調装置、濃縮機等に用いられる圧縮機として構成してもよい。
【0043】
作動流体は、水蒸気に限定されるものではない。例えば、空気、酸素、窒素、炭化水素系のプロセスガス等の種々の流体を作動流体として適用することができる。
【0044】
また前記実施形態では、ロータ31が複数の動翼34を有する構成としたが、これに限られるものではなく、1つの動翼34を有する構成としてもよい。
【0045】
また前記実施形態では、フレキシブルカップリング61を介して電動機22の回転軸22aと圧縮部20の駆動軸40とを接続する構成としたが、この構成に限られるものではない。例えば、駆動軸40と回転軸22aとを図略の中間軸を介して接続し、中間軸の軸受けを設けるようにしてもよい。この中間軸によっても回転軸22aの振動が駆動軸40に伝達することを抑制することができるので、この中間軸は振動減衰部として機能する。
【0046】
また前記実施形態では、振動減衰部を介して電動機22の回転軸22aと圧縮部20の駆動軸40とを接続する構成としたが、電動機22の回転数等によって適宜振動減衰部を省略し、駆動軸40と回転軸22aとを直接接続する構成を採用してもよい。
【符号の説明】
【0047】
20 圧縮部
22 電動機
22a 回転軸
24 減速部
31 ロータ
34 動翼
61 フレキシブルカップリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動流体を圧縮するための軸流圧縮機であって、
回転軸を有する電動機と、
前記電動機の回転軸に増速機を介することなく接続される駆動軸と、この駆動軸と一体的に回転するロータとを有し、前記駆動軸を駆動することによって作動流体を圧縮する圧縮部と、
前記圧縮部の吐出口から吐出された作動流体の流速を低減させるための空間を有する減速部と、を備え、
前記電動機の回転軸は、前記駆動軸の吐出口側の端部に接続され、
前記減速部は、前記電動機を囲むように配置されている軸流圧縮機。
【請求項2】
前記減速部は、前記駆動軸の軸方向において前記電動機を越えるところまで延びている請求項1に記載の軸流圧縮機。
【請求項3】
前記圧縮部の駆動軸と前記電動機の回転軸とは、振動減衰部を介して接続されている請求項1又は2に記載の軸流圧縮機。

【図1】
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【公開番号】特開2011−196189(P2011−196189A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60580(P2010−60580)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【出願人】(000213297)中部電力株式会社 (811)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【出願人】(507385785)ダニッシュ テクノロジカル インスティテュート (7)
【出願人】(507385796)
【Fターム(参考)】