説明

輻射線吸収組成物、当該組成物を適用することによりなされる方法および物品

配位子を有する金属またはメタロイドの赤外(IR)輻射線吸収化合物は、多くの用途で有用である。金属またはメタロイド中心を囲むシッフ塩基ビキノン(SBB)配位子は1例としてレーザー溶着用途に用いることができ、ここでは効果的な赤外輻射線吸収と耐熱性が要求される。これらの化合物は、シッフ塩基ビキノン金属錯体(SBBC)として知られているであろう。本発明の組成物および方法は、多くの様々なNIR吸収化合物の例を提供し、これらは高いNIR吸収強度、良好な熱安定性、および比較的薄い可視色を示す。これらのNIR吸収化合物は、熱可塑性樹脂のレーザー溶着を含む多くの様々な用途、およびIR反射ファブリックに適用され得る。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
発明の背景
赤外線(IR)吸収化合物は多くの用途で有益である。これらは、光記録媒体、熱書き込み型ディスプレイ(thermal writing display)、レーザー印刷、レーザーフィルタ、IR写真、医療用途、プラスチック再加熱、レーザー溶着、レーザーマーキングにおいて、並びに溶接のための防護眼鏡に関して、および軍事用途においてレーザーからの保護に関して有用である。いくつかのクラスのIR吸収化合物が知られており、カーボンブラック、無機顔料、金属、有機染料、および有機顔料を含む。
【0002】
多くのクラスの有機IR染料が知られており、スクアリン酸染料、クロコン酸染料、イミニウム染料、シアニン、アントラキノン、クアテリレン、ペリレン、ポルフィリン、トリフェニルメタン、ポリメチン、キニーネ染料、アゾ化合物等を含む。有機金属IR吸収剤も知られており、金属フタロシアニン、金属ナフトシアニン、および金属ジチオレンを含む。IR吸収化合物の詳細な概説が出版されている(Chem. Rev. 1992, 92, 1197-1226)。
【0003】
赤外線は、700nmよりも長く、1mm未満の波長を有する「光」として一般に定義される。近赤外(NIR)光は、700nm〜14,000nmの波長を有する輻射線として一般に定義される。大部分の一般的なNIR吸収染料および顔料は、700nm〜3000nmに最大IR吸光度を有する。大抵の一般的なNIR染料は約700〜1500nmで光を吸収する。黒体吸収剤であるカーボンブラックのような化合物は、非常に広い波長範囲に渡って光を吸収する。
【0004】
NIR吸収化合物は、強いNIR光吸収を有することが非常に望まれるが、今のところは、最小限の可視光線の光吸収を有するだけである(すなわち、400nm〜700nmでの光吸収)。これらの化合物は、無着色およびわずかに着色された透明用途における使用に有利であり、ここでは強い色がない状態での強いNIR光吸収が望まれる。いくつかの有利なNIR化合物は、液体またはプラスチック組成物の状態で、殆ど可視光線を通す。
【0005】
多くの用途において非常に有用であるためには、NIR吸収剤は、所望の波長における吸収に加えて、いくつかの性質を有する必要がある。吸収能力(モル吸光係数により特性付けられる)は十分に高い必要がある。化合物は、用いられる媒体中で十分に溶解性であるか、相溶性である必要がある。さらに、化合物は、吸収剤の所望の寿命の間、過度な分解を伴うことなしに所望の用途における取り込みおよび使用を促進するために、十分に熱的および酸化的に安定である必要がある。
【0006】
透過レーザー溶着は、熱可塑性樹脂物品を接合するためのよく知られる方法である。この技術の1つの実施形態において、IRレーザービームはIR透過部分を通過し、IR吸収化学種を含む第2の部分に作用する。これらのIR吸収化学種を、溶融混合によってポリマーの大部分に含めることができるし、またはコーティングとして2つの部分の間の接触面に塗布することもできる。IR吸収化学種はレーザーから十分なエネルギーを吸収して、周囲のプラスチックを溶融させる。2つの部分からの溶融したプラスチックは合流し、冷やされることにより強い結合を形成するか、または溶着される。IR吸収化学種は、短時間の間、溶融ポリマー中で耐えられるに十分なほど熱的に安定であることが必要である。製品の製造中での、溶融ポリマー中へのIR吸収化合物の取り込みのためには、高いレベルの熱的安定性が必要である。IR吸収化合物が、適用部分中またはその上に最小限の色を与えることも特に有利であるが、これは常に必要なわけではない。従って、適切な吸収特性を与え、かつ高い熱的安定性を示し得るのと同時に、溶着部分または継ぎ目上に最小限の色を与える化合物についてのこの産業における要求が存在する。いくつかのNIR染料は、熱可塑性媒体中に取り込むための、またはコーティングを介してレーザー溶着に用いられるための性質の適切な組み合わせを有する。いくつか知られる中で、シアニン、イミニウム/ジイモニウム、クアテリレン、金属ジチオレン、およびスクアリリウムが最も一般的である。これらの化合物の多くは調製が困難であるか、調製に費用がかかる。
【0007】
従って、新規の、そして改善されたIR吸収化合物についての強い要求がある。この産業において、製造が容易で、プラスチック中に取り込むために十分な熱的安定性を有するNIR吸収化合物についての要求がある。このような化合物を多くの異なる用途で用いることができ、例えば、コーティングを介したレーザー溶着を含む。比較的低い可視吸収を提供し、取り込まれる製品に最小限の色を与える化合物を取り込むことが望まれるであろう。
【0008】
発明の詳細な説明
本発明の実施に際して、化合物を、プラスチックのためのIR吸収剤および添加物として、今日まで認められていなかった方法で用いることが可能である。下記は、一般式1の化合物であり、ここで、R1−R4は同一であるか異なっていてもよく、アルキル、分枝アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ハロゲン、ジアルキルアミノ、ポリオキシアルキレン、カルボキシル、アシル、または水素から成る。特に有用であり得るいくつかのR1−R4基は、メチル、エチル、イソプロピル、tert−アミル、イソブチル、およびtert−ブチルを含む。
【化8】

【0009】
これらの化合物は、金属中心を取り囲むシッフ塩基ビキノン(Schiff base biquinone:SBB)により特徴付けられる。式1の構造は、多数の酸化状態、電子状態、共鳴構造、互変異性体のいずれも包含することを意図する。化学文献において、これらのSBB配位子は、安定ジアニオン性セミキノナトラジカル、不対電子を含まないモノアニオン性ジエノン、または他の限界構造(canonical form)として知られている(例えば、Cador, O. Inorganic Chemistry 2003, 42, 6432-6440;Chaudhuri, P. Inorganic Chemistry 1999, 38, 2781-2790 を参照のこと)。これらの化合物を、シッフ塩基ビキノン金属錯体(Schiff base biquinone metal complex;SBBC)を称することができる。多くの金属中心がSBBC錯体について開示されており、これらの錯体は、多くの酸化状態で存在することが知られている。しかしながら、熱可塑性ポリマーまたは熱硬化性ポリマーにおけるSBBCを含むこのような組成物は知られていないか、あるいはレーザー溶着、レーザーフィルタにおけるこのようなIR吸収コーティング中の組成物としての使用か、または例として、テキスタイル材料の染色のための使用が開示されていた。
【0010】
ある場合には、ジ−アルキル置換されたカテコールが有用な基であり、本発明の化合物の合成において用いられる。また、R1−R4は水素であってもよいために、本発明の実施に際して用いることができる単置換のカテコールの優れた選択も存在する。上記式1において、nは約1〜約4である。
【0011】
3,5−ジ−アルキル置換されたカテコール(1,2−ジヒドロキシベンゼン)に基づくカテコールを用いることができ、例えば、3−メチル−5−イソプロピル、3,5−ジメチル、3−メチル−5−エチル、3−メチル−5−t−ブチル、3−t−ブチル−5−メチル、3,5−ジイソプロピル、5−メチル−3−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)、3−t−ブチル−5−t−オクチル、5−t−ブチル−3−(1,1−ジメチル−ヘキシル)、3,5−ジドデシル、3−メチル−5−プロピル、3,5−ビス−(2,2−ジメチル−プロピル)、5−(1,1−ジメチル−ヘキシル)−3−メチル、3−メチル−5−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)、3,5−ジ−t−アミル、3−(1,1−ジメチル−ヘキシル)−5−メチル、3−t−ブチル−5−t−オクチル、5−t−ブチル−3−t−オクチル、3,5−ビス−(1,1−ジメチル−ヘキシル)、3,5−ビス−(1,1,3,3−テトラメチル−ブチル)、3−メチル−5−(1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−ヘキシル)、5−メチル−3−(1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−ヘキシル)、5−メチル−3−ペンタデシル、3,5−ジ−n−プロピル、3−イソプロピル−5−(1,1,3,3−テトラメチル−ブチル)、5−t−ブチル−3−メチル、5−メチル−3−t−ブチル、3−t−ブチル−5−イソプロピル、3−イソプロピル−5−t−ブチル、3,5−ジオクタデシル、3−t−ブチル−5−エチル、3−t−ブチル−5−イソプロピル、3,5−ジ−n−ジブチル、3,5−ジ(1,1,2,2−テトラメチルプロピル)、および3,5−ジ−2−エチルヘキシルを含む。
【0012】
モノアルキル置換されたカテコール化合物も同様に用いることができ、例えば、3−メチル、5−メチル、3−エチル、5−エチル、3−イソプロピル、5−イソプロピル、3−n−プロピル、5−n−プロピル、3−ブチル、5−ブチル、3−sec−ブチル、5−sec−ブチル、3−t−ブチル、5−t−ブチル、3−(1−メチルブチル)、5−(1−メチルブチル)、3−アミル、5−アミル、3−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)、5−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)、3−(2,2−ジメチルプロピル)、5−(2,2−ジメチルプロピル)、3−(2−エチルヘキシル)、5−(2−エチルヘキシル)、3−(1,1−ジメチルヘキシル)、5−(1,1−ジメチルヘキシル)、3−t−アミル、5−t−アミル、3−(1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−ヘキシル)、3−(1,1,2,2−テトラメチルプロピル)、5−(1,1,2,2−テトラメチルプロピル)、3−ヘキシル、5−ヘキシル、3−ヘプチル、5−ヘプチル、3−オクチル、および5−オクチルを含む。
【0013】
本発明は、高いNIR吸収強度、良好な熱安定性、および弱い可視色を示す多くの様々なNIR吸収化合物の例を提供する。これらのNIR吸収剤は、光記録媒体、熱書き込み、テキスタイル材料の染色、電子ディスプレイ、レーザー印刷、レーザーフィルタ、IR写真、医療用途、プラスチック再加熱、レーザー溶着、レーザーマーキングにおける用途、並びに溶接のための防護眼鏡に関しての、および軍事用途におけるレーザーからの保護のための用途を有し得る。
【0014】
本発明は、幅広い範囲の組成物を提供することができる。第1に、上記の式1の化合物を含む熱可塑性または熱硬化性組成物を用いることができる。金属類の化学種(すなわち、式1または2中の「M」)は、いずれかの酸化状態、価数、または電子状態にある、金属、メタロイド、半導体、ランタニド種元素、またはアクチニド種元素であり得る。R1−R4は同じであるか異なっていてもよく、アルキル、分枝アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ハロゲン、ジアルキルアミノ、ポリオキシアルキレン、カルボキシル、アシル、または水素から成る。R1−R4に非常に有用であり得る化学種は、特に、メチル、エチル、イソプロピル、イソブチル、tert−アミル、およびtert−ブチルを含む。
【化9】

【0015】
式2に示す化合物を含む熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂も開示し、ここで、「M」と規定したのは金属、メタロイド、または半導体、ランタニド種元素、またはアクチニド種元素であってよく、R1−R4は同じであるか異なっていてもよく、アルキル、分枝アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ハロゲン、ジアルキルアミノ、ポリオキシアルキレン、カルボキシル、アシル、または水素から成る。非常に有用であり得る化学種は、メチル、エチル、イソプロピル、イソブチル、tert−アミル、およびtert−ブチルを含む。上記式2において、nは約1〜約4であり、mは約1〜約4である。
【0016】
式2の化合物において、さらなる配位子(L)mが、式2中の化合物における金属中心またはメタロイド中心の周りに存在していてもよく、例えば(限定されないが)以下、ピリジン、ビピリジン、ターピリジン、クロリド若しくは他のハロゲン、ペルクロラート、スルファート、ホスファート、オルガノホスファート、ホスフィン、シクロペンタジエニル、アセタート、マロナート、アルカノアート、ベンゾアート、アセチルアセトナート、アルコキシド、オキシド、シッフ塩基、アミン、イミン、チオール、ジアミン、チオレン、インドアニリン、アゾ、ホルマジル(formazyl)、フタロシアニン、フェニル、置換フェニル、およびメロシアニン、カルボニル、シアノ、オキソ、カルボキシル、アクア、ヒドロキソ、スルファト、スルフィト、ニトリト、ニトロ、ニトロシル、イソチオシアナト、チオスルファト、エチレンジアミン、オキサラト、エチレンジアミン四酢酸、カボナト(cabonato)、アミド、イミド、ニトリド、アンミノ(ammino)、ペルオキソ、ホスファト、ホスフィト、ホスフィド、ボラート、スルフィド、ポルフィリン、モノオキシム、クラウンエーテル、クリプタート、クロマト(chromato)、クロミト(chromito)、ヒドリド、シクリペンチルジエノ(cyclypentyldieno)、アリール、およびチアシル(thiacyl)である。「m」は、約1〜約4である。
【0017】
本明細書中に記載する用途に有用な組成物は、また、液体またはペレットとして、所望の溶融熱可塑性または熱硬化性樹脂配合物(または前駆配合物)中にさらに導入するための、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸掃去剤、青味剤、カラー調整剤、抗微生物剤、スリップ剤、可塑剤、耐衝撃性改良剤、酸化防止剤、充填剤、透明剤、核剤、またはこれらの混合物を含んでいてもよい。このような化合物を含む組成物、特に熱可塑性樹脂を調製する方法も、本発明において意図される。
【0018】
式1または2における「M」は本質的にはいずれの金属、または本明細書中で定義した他の化学種であってよい。代表例を表1に示すが、本発明は、表1に示したこれらの金属のみに限定されない。用途を有し得る金属は、限定されないが、以下(元素記号)のK、Cs、La、Bi、Sb、Zr、InおよびMoを含む。これらの金属は、3,5−ジ−アルキル置換されたカテコール(1,2−ジヒドロキシベンゼン)に基づくカテコールと共に用いられた際には特有の用途を有し得る。本発明の用途は、本明細書中に開示されているこれらの金属のみに限定されない。
【0019】
「熱可塑性樹脂」という語は、十分に高い温度に曝された際に、固体から液体へと物理状態における変化を示すいずれの合成ポリマー材料をも包含するものとする。最も良く知られる熱可塑性樹脂タイプの材料は、例えば、ポリオレフィン(すなわち、ポリプロピレン、ポリエチレン等)、ポリエステル(すなわち、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリトリメチレンテレフタラート等)、ポリアミド(すなわち、ナイロン−1,1、ナイロン−1,2、ナイロン−6、またはナイロン−6,6)、ポリスチレン、ポリカルボナート、ポリビニルハライド(すなわち、ポリビニルクロリド、およびポリビニルジフロリド)、ポリ乳酸、アクリラートポリマーである。本発明の実施に容易に用いられる熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリラート、ポリカルボナート、ナイロン、ポリエチレン、およびポリエステルを含む。
【0020】
本発明の化合物の適用の利益を享受し得る熱可塑性樹脂物品は、ボトル、貯蔵容器、シート、フィルム、繊維、プラック、ホース、チューブ、シリンジ、医療機器、および電子部品を含み得る。シートの形態にあるポリエステル、ポリスチレン、ポリカルボナート、ポリアクリラート、および他の同様の樹脂材料が含まれ、これらは、強度機能および弾力性機能のために窓に存在している。このような場合に、本発明のNIR吸収化合物は、このような熱可塑性樹脂物品に、装飾的、審美的、または保護目的で優れたIR吸収を提供するか、または優れたIR吸収に寄与する。熱可塑性樹脂としてのこのような物品のためのこのようなNIR吸収剤の考えられる使用は多岐にわたる。考えられる最終用途は、溶媒系、印刷インク中での使用、テキスタイル中でのおよびテキスタイルとの使用(テキスタイル、繊維、またはファブリック上でのまたはその中での使用)、液晶ディスプレイ等のディスプレイデバイスにおける使用、電子記録媒体中または電子記録媒体上での使用を含む。
【0021】
本発明のNIR吸収化合物を、任意の量で、有益な結果を提供することが必要とされるこのような熱可塑性樹脂に加えることができる。この量は、樹脂の総量あたり、約0.00001ppm〜25,000ppmであってよく、場合によっては、約0.001〜約15,000ppm、他の用途においては約0.1〜約5,000ppmであってよく、さらに他の用途においては約100〜約25,00であってよい。NIR吸収剤が多く存在するほど、そこでのIR吸収はより強い。
【0022】
「熱硬化性樹脂」という語は、十分な熱に曝された際に、または十分な量の触媒の存在下で、予め決められた形に自身を形づくるポリマー状の固体を指す。発泡体、シート、物品、カバー等がもちろん考えられ、本発明の範囲内である。このような熱硬化性樹脂の例は、ポリウレタン、エポキシ、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル系、熱硬化性ポリカルボナート等を含む。
【0023】
本発明のNIR吸収化合物を、任意の量で、このような熱硬化性樹脂に、その飽和限界まで加えることができる。この量は、樹脂の総量あたり、約0.00001ppm〜約25,000ppmであってよく、他の態様においては、約0.001〜約15,000ppmであってよく、他の用途においては、約0.1〜約5,000ppmであってよい。組成物中に存在するNIR吸収剤が多いほど、そこでのIR吸収はより強い。目的とする熱硬化性樹脂中で他の着色剤と混合する場合には、同じ量を、飽和限界の範囲内で使用することができ、すなわち、任意の追加の着色剤の量によって決まる。
【0024】
熱可塑性または熱硬化性IR吸収剤(および他の添加剤)を、射出成形(または他のタイプの成形、例えばブロー成形)中にこのような組成物に加え、また限定されないが、吸収剤を樹脂ペレットと混合して全体のコーティングされたペレットを溶融することにより、または樹脂と吸着剤を事前混合して、互いにペレット形態に組み込みながらマスターバッチ溶融工程を通じて組成物に加える。このようなプラスチックは、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリカルボナート、および他のよく知られる樹脂を含む。一般的には、IR吸収剤、着色剤、UV吸収剤、および他の可能性のある添加剤を含むこのようなプラスチックを、任意回数の押出法により形成することができる。
【0025】
本発明の1つの用途において、少なくとも第1のポリマー物品と第2のポリマー物品とを提供する。式1および/または2に記載する化合物を、ポリマー物品上に、またはポリマー物品中に加えることができる。ポリマー物品は、熱可塑性樹脂、またはポリオレフィン、または他の化合物であり得る。物品を互いに近接して配置する。その後、レーザー輻射線等の輻射線を照射する。この化合物は輻射線を吸収し、熱を生じて、この熱はポリマー物品の一部を溶融する。その後、輻射線を除去することにより、第1のポリマー物品を第2のポリマー物品に接合させる。
【0026】
本発明の他の実施形態において、テキスタイルまたはファブリックに、式1または2の化合物を付着させることができる。低いIR反射率を有するファブリックまたはテキスタイルを作製することができる。このようなファブリックは、ファブリックの内部または背後に位置する物品の赤外線検出を回避するための、電子カモフラージュとして有用であり得る。これは軍事用途を有し得る。
【0027】
本発明の他の実施形態は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紙、またはファブリックを含むテキスタイル物品等の固体基材への塗布に適する溶液または分散状態にある、式1または2の本発明のIR吸収剤を含む組成物を含む。このような組成物は、溶媒、分散剤、凝固剤、増粘剤、着色剤、キレート剤等を含んでいてもよい。このような溶液または分散体は、溶媒であるか水ベースのものであってよく、レーザー溶着のためのプラスチック部分に、および改善されたIR吸収のためのファブリックに、本発明のIR吸収剤を塗布するのに有用であり得る。光記録媒体、熱書き込み型ディスプレイ、レーザー印刷、レーザーフィルタ、IR写真、医療用途、プラスチック再加熱、レーザー溶着、レーザーマーキングにおいて、並びに溶接のための防護眼鏡に関して、および軍事用途におけるレーザーからの保護等の用途における使用に意図されるこのような溶液は、本発明の範囲内と想定される。
【0028】
1つの実施形態において、Mitsui and Company 製のDHT−4A(登録商標)等のヒドロタルサイト化合物を用いることができ、以下の例でさらに述べる。この化合物は、輻射線溶着用途、および他の用途に役立ち得る。
【0029】
新規の当該金属中心を有するIR吸収剤は、色およびコストの面で大きな利点を提供する。吸収剤は、薄い色でのポリマー再加熱、レーザーイメージング、レーザー光保護、薄い色を有するレーザー溶着プラスチック、および多くの他の用途に適している。従来技術において用いられる化合物は高価であり、しばしば、強い色と低い熱的安定性を有する。
【0030】
次に本発明の実施形態を参照し、その1つ以上の例を以下に示す。各例は、本発明の説明のために挙げ、本発明を限定するものでない。事実、種々の改変および変更を、本発明の範囲または意図を逸脱することなく行うことができることは当業者に明らかであろう。
【0031】

SBBC化合物の調製のための一般方法(直接生成)
3,5−ジ−tert−ブチル−カテコール(4.5当量)を、金属塩(1当量)、および28%の水酸化アンモニウム水溶液(約30当量)と、エタノール溶媒中で混合した。この混合物を、室温で空気をスパージしながら終夜撹拌した。材料をろ過し、水で洗浄し、エタノールで洗浄して、乾燥させた。クロロホルム/エタノールからの再結晶が時には必要であった。場合によっては、不溶性の材料を除去するために、再結晶溶液を熱ろ過することが必要であった。
【0032】
SBBC化合物の調製のための一般方法(トランスメタル化)
トランスメタル化ルートを、ZnSBBCを用いてのSbSBBCの合成により例示する。ZnSBBC(1.0g)、SbCl3(0.25g)、および塩化メチレン(30mL)を、室温で終夜、空気をスパージしながら撹拌した。水(25mL)を加え、有機相を分液漏斗を用いて集めた。エタノールを加えて生成物を沈殿させた。収量は0.25gであった。
【0033】
Zn(SBB)(Pyr)2の調製方法(例22)
二塩化亜鉛(1.52g)、および5.38gの3,5−ジ−t−ブチルカテコールを、1.9mLの28%のNH4OHと40mLのピリジン中に溶解させた。反応混合物を室温で終夜、空気下で撹拌した。固体沈殿をろ過し、ヘキサンで洗浄して、真空オーブン中50℃で乾燥させた。H1−NMRおよび粉末X線回折は、SBB配位子と金属中心あたり2つのピリジンと一致した。
【表1】

【0034】
プラスチック組成物
このクラスの化合物の多くについて、NIRにおける吸収は幅広く、例中で報告した吸収極大は概略値として報告したにすぎない。本明細書中に報告するラムダ最大値は、UV−Vis分光光度装置で測定したものの典型である。
【0035】
ポリプロピレン(PP)
以下の配合を、押出用に、ポリプロピレン中に本発明のIR吸収剤を混合するのに用いた。
【0036】
ポリプロピレンホモポリマー(12MFI) 995.2g
Millad3988(登録商標)(Milliken Chemical) 2.5g
Irganox1010(登録商標)(Ciba Specialty Chemical) 1.0g
Irgafos168(登録商標)(Ciba Specialty Chemical) 1.0g
DHT−4A(Mitsui & Co.) 0.2g
本発明のIR吸収剤 0.1〜1.0g
添加剤とポリマーペレットを十分に混合した。材料を、25:1の長さ/直径比を有する16mmプリズム同方向回転二軸押出機で成形した。全てのPP例を行うためのヒーターの温度設定値は210〜220℃であった。
【0037】
射出成形PPプラック
本発明のIR吸収剤と混合したPP樹脂を、Arburg221−75−350の40トン射出成形マシーンにおいて、230℃のバレル温度で射出成形した。ペレットを、マシーンの供給口に重力供給した。供給部において、回転する加熱された(マシーンのバレルから熱伝達された)スクリュー押出機を用いて溶融を行った。スクリューの回転により、添加剤と溶融樹脂同士を十分に混合して均一なプラスチック溶融物を生じさせ、これを型中に注入し、熱可塑性樹脂物品、例えば、50ミルの均一な厚さを有する2インチ×3インチのプラックを形成した。表のスペクトルデータを集めるためにプラックを用いた。
【表2】

【0038】
圧縮成形PP物品
Millad(登録商標)3988で透明化した透明ランダムコポリマーポリプロピレン(30MFI)をパウダーに低温粉砕(cryo-grind)した。DHT−4A(2000ppm)、本発明のIR吸収剤(500ppm)、およびPP繊維(fluff)を、乳鉢と乳棒を用いて十分に混合した。サンプルを、400F°および15000psiで運転するCarver Lab Pressにおいて、50ミルの円盤に圧縮成形した。
【表3】

【0039】
圧縮成形PMMA物品
ポリメチルメタクリラート(Cyro Acrylite(登録商標)M−30)を粉末に低温粉砕した。DHT−4A(2000ppm)、本発明のIR吸収剤(500ppm)、およびPMMA繊維を、乳鉢と乳棒を用いて十分に混合した。サンプルを、320〜370F°および15000psiで運転するCarver Lab Pressにおいて、50ミルのプラックに圧縮成形した。
【表4】

【0040】
圧縮成形PS物品
ポリスチレン(Atofina PS500)を粉末に低温粉砕した。DHT−4A(800ppm)、本発明のIR吸収剤(500ppm)、およびPS繊維を、乳鉢と乳棒を用いて十分に混合した。サンプルを、350〜400F°および15000psiで運転するCarver Lab Pressにおいて、50ミルの厚さのプラックに圧縮成形した。
【表5】

【0041】
圧縮成形PC物品
ポリカルボナート(Bayer Makrolon(登録商標)2407)、DHT−4A(800ppm)、および本発明のIR吸収剤(500ppm)を十分に混合した。サンプルを、550F°および15000psiで運転するCarver Lab Pressにおいて、50ミルのプラックに圧縮成形した。
【表6】

【0042】
圧縮成形ポリエステル物品
アモルファスPET(Eastman Eastar(登録商標)6763)、DHT−4A(800ppm)、および本発明のIR吸収剤(500ppm)を十分に混合した。サンプルを、440〜500F°および15000psiで運転するCarver Lab Pressにおいて、30ミルのプラックに圧縮成形した。
【表7】

【0043】
射出成形PETプラック
PETペレット(M&G 8006)を、50ppm未満の水レベルまで乾燥し、Hobartミキサで本発明のIR吸収剤と混合した。サンプルを、Arburg220M−35−90の40トン射出成形マシーンにおいて、540〜550F°のバレル温度で射出成形した。ペレットを、マシーンの供給口に重力供給した。供給部において、回転する加熱された(マシーンのバレルからの熱伝達)スクリュー押出機を用いて溶融を行った。スクリューの回転により、添加剤と溶融樹脂同士を十分に混合して均一なプラスチック溶融物を生じさせ、これを型中に注入し、熱可塑性樹脂物品、例えば、50ミルの均一な厚さを有する2インチ×3インチのプラックを形成した。
【表8】

【0044】
射出成形PSプラック
ポリスチレン(Atofina PS500)(本発明のIR吸収剤(500ppm)およびDHT−4A(800ppm)と共に、プリズム二軸スクリュー押出機で予め成形されたもの)を、Arburg Allrounder(登録商標)射出成形マシーンにおいて、215℃のバレル温度で射出成形した。ペレットを、マシーンの供給口に重力供給した。供給部において、回転する加熱された(マシーンのバレルから熱伝達された)スクリュー押出機を用いて溶融を行った。スクリューの回転により、添加剤と溶融樹脂同士を十分に混合して均一なプラスチック溶融物を生じさせ、これを型中に注入して、熱可塑性樹脂物品、例えば、50ミルの均一な厚さを有する2インチ×3インチのプラックを形成した。
【表9】

【0045】
射出成形PCプラック
ポリカルボナート(Bayer Makrolon(登録商標)2407)、DHT−4A(2000ppm)を乾燥し、これを、本発明のIR吸収剤(500ppm)およびDHT−4A(2000ppm)とHobartミキサにおいて混合した。この混合物を、Arburg Allrounder(登録商標)射出成形マシーンにおいて、277℃のバレル温度で射出成形した。ペレットを、マシーンの供給口に重力供給した。供給部において、回転する加熱された(マシーンのバレルから熱伝達された)スクリュー押出機を用いて溶融を行った。スクリューの回転により、添加剤と溶融樹脂同士を十分に混合して均一なプラスチック溶融物を生じさせ、これを型中に注入して、熱可塑性樹脂物品、例えば、50ミルの均一な厚さを有する2インチ×3インチのプラックを形成した。
【表10】

【0046】
射出成形PMMAプラック
ポリメチルメタクリラート(Cyro Acrylite(登録商標)M−30)を乾燥し、これを、本発明の吸収剤(500ppm)およびDHT−4A(2000ppm)とHobartミキサにおいて混合した。この混合物を、Arburg Arburg Allrounder(登録商標)射出成形マシーンにおいて、210℃のバレル温度で射出成形した。ペレットを、マシーンの供給口に重力供給した。供給部において、回転する加熱された(マシーンのバレルから熱伝達された)スクリュー押出機を用いて溶融を行った。スクリューの回転により、添加剤と溶融樹脂同士を十分に混合して均一なプラスチック溶融物を生じさせ、これを型中に注入して、熱可塑性樹脂物品、例えば、50ミルの均一な厚さを有する2インチ×3インチのプラックを形成した。
【表11】

【0047】
レーザー溶着(例52〜54)
例51からのプラックを、対照PMMAプラック(50ミル)に透過レーザー溶着した。優れた接着が観察された。
【0048】
例46からのプラックを、対照PSプラック(50ミル)に透過レーザー溶着した。優れた接着が観察された。
【0049】
例32からのプラックを、対照PPプラック(50ミル)に透過レーザー溶着した。優れた接着が観察された。
【0050】
2つのポリマー物品を接着する方法が意図され、この方法では、第1のポリマー物品と第2のポリマー物品とが、溶着部において互いに融解または溶融し得る。少なくとも1つのポリマー物品は式1または2で上記した化合物を含有し、IR輻射線吸収化合物はIR輻射線の吸収に関与し、IR輻射線は溶融を引き起こして、接着または溶着の形成を引き起こす。物品を互いに配置した後、輻射線をポリマー物品に照射する。1つの物品内部または上部の化合物は輻射線を吸収し、これは上記第1または第2のポリマー物品の一部を加熱し溶融させる。その後、輻射線を除去すると、第2のポリマー物品への第1のポリマー物品の接着が生じる。
【0051】
例55 ファブリックの染色
MgSBBCのジクロロメタン溶液を調製し(0.025〜0.5重量%)、ナイロンファブリックを溶媒中に1分間浸して浸染した。IR反射スペクトルを図1に示すが、これはIR反射率におけるかなりの低下を示している。このようなファブリックは、本質的に任意の分野における用途をも有することができ、ここでは、ファブリックが、IR輻射線を受けた際に、反射されるIRの量の低下を提供することが重要である。このようなファブリックは、例えばカモフラージュバリアとしての使用を含む多くの用途を有することができ、これは、IR輻射線検出方法による探知を妨げる。ファブリックはニットであるか、または本質的に任意の織ファブリック若しくは不織ファブリックであってよい。ファブリックを、いくつかの代表例を挙げると、合成材料、例えばポリエステル、または天然材料、例えばコットン、またはポリ−コットン配合物から作製することができる。
【0052】
本発明の検討は、例示的な実施形態の記載のみであり、本発明のより広い態様を限定するものとしては意図されず、この広い態様は、例示的な構成において具現化される。本発明は、添付する特許請求の範囲における例示により示される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】例55の組成物についてのIR反射スペクトルを示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
輻射線吸収化合物を含む熱可塑性樹脂組成物であって、前記化合物は、
【化1】

(式中、
(a)R1、R2、R3、およびR4は独立して、アルキル、分枝アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ハロゲン、ジアルキルアミノ、ポリオキシアルキレン、カルボキシル、アシル、および水素から成る群から選択され、
(b)nは約1〜約4であり、および
(c)前記Mは、金属、メタロイド、半導体、ランタニド種元素、およびアクチニド種元素から成る群から選択される1種以上を含む)
を含む熱可塑性樹脂組成物。
【請求項2】
前記熱可塑性樹脂組成物は、ポリエステル、ポリカルボナート、ポリスチレン、ポリアクリラート、ポリプロピレン、ポリエチレン、およびブロックコポリマーから成る群から選択される熱可塑性樹脂を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
1〜R4のうちの少なくとも1つはアルキルを含み、前記アルキルは、メチル、エチル、イソプロピル、イソブチル、tert−アミル、およびtert−ブチルの1種以上から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記熱可塑性樹脂組成物がヒドロタルサイト化合物をさらに含む請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記熱可塑性樹脂組成物がポリアクリラートを含む請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
2つのポリマー物品を接合または接着するための方法であって、前記方法は、
(a)第1のポリマー物品を提供すること、
(b)第2のポリマー物品を提供すること、
(c)前記第1のポリマー物品または前記第2のポリマー物品の内部または上部に、化合物
【化2】

(式中、
1、R2、R3、およびR4は独立して、アルキル、分枝アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ハロゲン、カルボキシル、アシル、ジアルキルアミノ、ポリオキシアルキレン、および水素から成る群から選択され、nは約1〜約4であり、および前記Mは、金属、メタロイド、半導体、ランタニド種元素、およびアクチニド種元素から成る群から選択される1種以上を含む)
を提供すること、
(d)前記第1のポリマー物品と第2のポリマー物品とを互いに近接して配置すること、
(e)前記ポリマー物品に輻射線を照射し、前記化合物は輻射線を吸収して熱を生じ、前記第1のポリマー物品または前記第2のポリマー物品の一部を溶融させること、および
(f)それによって前記第2のポリマー物品に前記第1のポリマー物品を接着させること
を含む方法。
【請求項7】
低いIR反射率を有するファブリックであって、前記ファブリックは、化合物:
【化3】

(式中、
(a)R1、R2、R3、およびR4は独立して、アルキル、分枝アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ハロゲン、ジアルキルアミノ、ポリオキシアルキレン、カルボキシル、アシル、および水素から成る群から選択され、
(b)nは約1〜約4であり、および
(c)前記Mは、金属、メタロイド、半導体、ランタニド種元素、およびアクチニド種元素から成る群から選択される1種以上を含む)
を含むファブリック。
【請求項8】
輻射線吸収化合物を含む熱可塑性樹脂組成物であって、前記輻射線吸収化合物は、
【化4】

(式中、
(a)R1、R2、R3、およびR4は独立して、アルキル、分枝アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ハロゲン、ジアルキルアミノ、ポリオキシアルキレン、カルボキシル、アシル、および水素から成る群から選択され、
(b)nは約1〜約4であり、
(c)前記Mは、金属、メタロイド、半導体、ランタニド種元素、およびアクチニド種元素から成る群から選択される1種以上を含み、および
(d)前記(L)mは配位子を構成し、mは約1〜約4である)
を含む組成物。
【請求項9】
配位子(L)mが、ピリジン、ビピリジン、ターピリジン、クロリド若しくは他のハロゲン、ペルクロラート、スルファート、ホスファート、オルガノホスファート、ホスフィン、シクロペンタジエニル、アセタート、マロナート、アルカノアート、ベンゾアート、アセチルアセトナート、アルコキシド、オキシド、シッフ塩基、アミン、イミン、チオール、ジアミン、チオレン、インドアニリン、アゾ、ホルマジル(formazyl)、フタロシアニン、フェニル、置換フェニル、およびメロシアニン、カルボニル、シアノ、オキソ、カルボキシル、アクア、ヒドロキソ、スルファト、スルフィト、ニトリト、ニトロ、ニトロシル、イソチオシアナト、チオスルファト、エチレンジアミン、オキサラト、エチレンジアミン四酢酸、カボナト(cabonato)、アミド、イミド、ニトリド、アンミノ(ammino)、ペルオキソ、ホスファト、ホスフィト、ホスフィド、ボラート、スルフィド、ポルフィリン、モノオキシム、クラウンエーテル、クリプタート、クロマト(chromato)、クロミト(chromito)、ヒドリド、シクリペンチルジエノ(cyclypentyldieno)、アリール、およびチアシル(thiacyl)から成る群から選択される請求項8に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項10】
請求項8に記載の組成物を含む熱可塑性樹脂物品。
【請求項11】
前記熱可塑性樹脂が、ポリエステル、ポリカルボナート、ポリスチレン、ポリアクリラート、およびブロックコポリマーから成る群から選択される少なくとも1種を含む請求項8に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項12】
少なくとも2つの熱可塑性樹脂物品を接合するための方法であって、前記方法は、
(a)第1のポリマー物品を提供すること、
(b)第2のポリマー物品を提供すること、
(c)前記第1のポリマー物品または前記第2のポリマー物品の内部または上部に、化合物
【化5】

(式中、
1、R2、R3、およびR4は独立して、アルキル、分枝アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ハロゲン、ジアルキルアミノ、ポリオキシアルキレン、アシル、カルボキシル、および水素から成る群から選択され、
nは約1〜約4であり、(L)mは配位子を構成し、および前記Mは、金属、メタロイド、半導体、ランタニド種元素、およびアクチニド種元素から成る群から選択される1種以上を含み、mは約1〜約4である)
を提供すること、
(d)前記第1のポリマー物品と第2のポリマー物品とを互いに近接して配置すること、
(e)前記ポリマー物品に輻射線を照射し、前記化合物は輻射線を吸収して熱を生じ、前記第1のポリマー物品および/または前記第2のポリマー物品を部分的に溶融させること、および
(f)前記輻射線を除去すること、
(g)それによって前記第2のポリマー物品に前記第1のポリマー物品を接着させること
を含む方法。
【請求項13】
前記配位子(L)mが、ピリジン、ビピリジン、ターピリジン、クロリド若しくは他のハロゲン、ペルクロラート、スルファート、ホスファート、オルガノホスファート、ホスフィン、シクロペンタジエニル、アセタート、マロナート、アルカノアート、ベンゾアート、アセチルアセトナート、アルコキシド、オキシド、シッフ塩基、アミン、イミン、チオール、ジアミン、チオレン、インドアニリン、アゾ、ホルマジル、フタロシアニン、フェニル、置換フェニル、およびメロシアニン、カルボニル、シアノ、オキソ、カルボキシル、アクア、ヒドロキソ、スルファト、スルフィト、ニトリト、ニトロ、ニトロシル、イソチオシアナト、チオスルファト、エチレンジアミン、オキサラト、エチレンジアミン四酢酸、カボナト、アミド、イミド、ニトリド、アンミノ、ペルオキソ、ホスファト、ホスフィト、ホスフィド、ボラート、スルフィド、ポルフィリン、モノオキシム、クラウンエーテル、クリプタート、クロマト、クロミト、ヒドリド、シクリペンチルジエノ、アリール、およびチアシルから成る群から選択される請求項12に記載の方法。
【請求項14】
輻射線吸収化合物であって、前記化合物は、
【化6】

(式中、
(a)R1、R2、R3、およびR4は独立して、アルキル、分枝アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ハロゲン、ジアルキルアミノ、ポリオキシアルキレン、カルボキシル、アシル、および水素から成る群から選択され、
(b)nは約1〜約4であり、および
(c)Mは以下のK、Cs、Bi、Sb、ZrおよびMoの1つ以上から選択される)
を含む化合物。
【請求項15】
1、R2、R3、およびR4のうちの少なくとも1つが、アルキル基を有する請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
前記組成物がヒドロタルサイトをさらに含む請求項15に記載の化合物を含む組成物。
【請求項17】
前記化合物が、Mに結合する配位子(L)mによりさらに特徴付けられる請求項14に記載の化合物。
【請求項18】
前記配位子(L)mが、ピリジン、ビピリジン、ターピリジン、クロリド若しくは他のハロゲン、ペルクロラート、スルファート、ホスファート、オルガノホスファート、ホスフィン、シクロペンタジエニル、アセタート、マロナート、アルカノアート、ベンゾアート、アセチルアセトナート、アルコキシド、オキシド、シッフ塩基、アミン、イミン、チオール、ジアミン、チオレン、インドアニリン、アゾ、ホルマジル、フタロシアニン、フェニル、置換フェニル、およびメロシアニン、カルボニル、シアノ、オキソ、カルボキシル、アクア、ヒドロキソ、スルファト、スルフィト、ニトリト、ニトロ、ニトロシル、イソチオシアナト、チオスルファト、エチレンジアミン、オキサラト、エチレンジアミン四酢酸、カボナト、アミド、イミド、ニトリド、アンミノ、ペルオキソ、ホスファト、ホスフィト、ホスフィド、ボラート、スルフィド、ポルフィリン、モノオキシム、クラウンエーテル、クリプタート、クロマト、クロミト、ヒドリド、シクリペンチルジエノ、アリール、およびチアシルから成る群から選択される請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
物品中に請求項14に記載の化合物を含む、溶着された熱可塑性樹脂物品。
【請求項20】
ファブリックが、当該ファブリックの内部または上部に請求項14に記載の化合物を有する、低いIR反射率を有するファブリック。
【請求項21】
ポリマー物品を接合するための方法であって、前記方法は、
(a)第1のポリマー物品を提供すること、
(b)第2のポリマー物品を提供すること、
(c)前記第1のポリマー物品または前記第2の少なくとも一方上にコーティングを塗布し、このコーティングは、化合物
【化7】

(式中、
1、R2、R3、およびR4は独立して、アルキル、分枝アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ハロゲン、ジアルキルアミノ、ポリオキシアルキレン、アシル、カルボキシル、および水素から成る群から選択され、
nは約1〜約4であり、(L)mは配位子を構成し、および
前記Mは、金属、メタロイド、半導体、ランタニド種元素、およびアクチニド種元素から成る群から選択される1種以上を含む)
を含むこと、
(d)前記第1のポリマー物品と第2のポリマー物品とを互いに近接して配置し、前記コーティングがこれらの間に位置すること、
(e)前記コーティングに輻射線を照射し、前記化合物は輻射線を吸収して熱を生じ、前記第1のポリマー物品または前記第2のポリマー物品の一部が溶融すること、
(f)前記輻射線を除去すること、
(g)それによって前記第2のポリマー物品に前記第1のポリマー物品を接着させること
を含む方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法により接合されているコーティングされたポリマー物品。

【図1】
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【公表番号】特表2009−517503(P2009−517503A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−542457(P2008−542457)
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【国際出願番号】PCT/US2006/045315
【国際公開番号】WO2007/062183
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(599060788)ミリケン・アンド・カンパニー (65)
【氏名又は名称原語表記】Milliken & Company
【Fターム(参考)】