説明

農作業機用制御装置

【課題】トラクタの種類に合わせて制御ユニットを交換する必要がない農作業機用制御装置を提供する。
【解決手段】農作業機用制御装置8は、トラクタ1の信号出力部4に電気的に接続した車速信号変換ユニット11と、車速信号変換ユニット11に電気的に接続した制御ユニット12とを備える。車速信号変換ユニット11は、トラクタ1の種類に応じて異なる車速信号を入力し、この入力した車速信号を1種類の共通車速信号に変換して出力する。制御ユニット12は、車速信号変換ユニット11からの共通車速信号を入力し、この入力した共通車速信号に応じて作業部7を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業部を制御する制御ユニットを備える農作業機用制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば走行車であるトラクタの運転席に配設された遠隔操作体等の操作ユニットと、農作業機本体に配設され操作ユニットから送信される操作信号を受信する遠隔制御体等の制御ユニットとを備えた農作業機用制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、最近では、例えばトラクタの車速(走行速度)に対応させて農作業機の作業部を作動させる必要がある場合、トラクタから出力される車速信号を制御ユニットに入力し、この入力した車速信号に基づいてその作業部を制御するようにしている。
【特許文献1】特開平10−337102号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、トラクタから出力される車速信号は、走行車であるトラクタの種類(例えば各メーカ、各型式等)に応じて異なるため、農作業機用制御装置を種類が異なるトラクタに使用する場合には、トラクタの種類に合わせて制御ユニットを交換しなければならない。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、走行車の種類に合わせて制御ユニットを交換する必要がない農作業機用制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の農作業機用制御装置は、走行車の種類に応じて異なる車速信号を入力し、この入力した車速信号を1種類の共通車速信号に変換して出力する車速信号変換ユニットと、この車速信号変換ユニットと電気的に接続され、前記車速信号変換ユニットからの共通車速信号を入力し、この入力した共通車速信号に応じて作業部を制御する制御ユニットとを備えるものである。
【0007】
請求項2記載の農作業機用制御装置は、作業部を制御する制御ユニットを備える農作業機用制御装置であって、前記制御ユニットは、走行車の種類に応じて異なる車速信号を入力し、この入力した車速信号を1種類の共通車速信号に変換して出力する車速信号変換部と、この車速信号変換部と電気的に接続され、前記車速信号変換部からの共通車速信号を入力し、この入力した共通車速信号に応じて前記作業部を制御する制御部とを有するものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明によれば、走行車の種類に応じて異なる車速信号を入力しこの入力した車速信号を1種類の共通車速信号に変換して出力する車速信号変換ユニットと、この車速信号変換ユニットと電気的に接続され車速信号変換ユニットからの共通車速信号を入力しこの入力した共通車速信号に応じて作業部を制御する制御ユニットとを備える構成であるから、種類が異なる走行車に使用する場合であっても、走行車の種類に合わせて制御ユニットを交換する必要がない。
【0009】
請求項2に係る発明によれば、制御ユニットが、走行車の種類に応じて異なる車速信号を入力しこの入力した車速信号を1種類の共通車速信号に変換して出力する車速信号変換部と、この車速信号変換部と電気的に接続され車速信号変換部からの共通車速信号を入力しこの入力した共通車速信号に応じて作業部を制御する制御部とを有する構成であるから、種類が異なる走行車に使用する場合であっても、走行車の種類に合わせて制御ユニットを交換する必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の農作業機用制御装置の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0011】
図1において、1は走行車であるトラクタで、このトラクタ1は、トラクタ本体2を備え、このトラクタ本体2の前後左右の4箇所には走行車輪3が回転可能に設けられている。また、トラクタ本体2には、トラクタ1の車速(走行速度)に対応する車速信号を出力する信号出力部4が設けられている。信号出力部4は、例えば走行車輪3に固着されたギアの歯を検出するセンサ等にて構成されている。なお、トラクタ1の車速信号は、統一されておらず、トラクタ1の種類(例えば各メーカ、各型式等)に応じて異なる。すなわち例えばトラクタ1の各メーカごとに車速信号がそれぞれ異なっている。
【0012】
また、トラクタ本体2の後部には作業機昇降支持装置である3点リンク部(図示せず)が設けられ、この3点リンク部には農作業機6が連結されている。農作業機6は、例えばトラクタ1の走行により圃場上を移動しながら圃場に種子等の被散布物を圃場全体にわたって略均一に散布する播種機である。
【0013】
農作業機6は、トラクタ1の3点リンク部に連結された作業機本体(図示せず)を備え、この作業機本体にはトラクタ1の車速に対応して作動し被散布物を散布する作業部7が設けられている。作業部7は、例えば作業機本体のホッパ部内の被散布物を一定量ずつ送り出す繰出用回転体と、この繰出用回転体を回転させるモータ等の駆動手段とを有している。
【0014】
また、作業機本体には農作業機用制御装置8が設けられている。そして、この農作業機用制御装置8は、トラクタ1の信号出力部4と電気的に接続されトラクタ1の種類に応じて異なる車速信号を入力しこの入力した車速信号を予め決められた1種類の共通車速信号に変換して出力する車速信号変換ユニット11と、この車速信号変換ユニット11と電気的に接続され車速信号変換ユニット11からの共通車速信号を入力しこの入力した共通車速信号に応じて作業部7の駆動手段を制御する制御ユニット(共用制御ボックス)12とを備えている。
【0015】
車速信号変換ユニット11は、制御ユニット12とは別体に構成されたもので、制御ユニット12に接続ケーブル等を介して接続されている。なお、車速信号変換ユニット11と制御ユニット12との間の信号のやりとりを無線で行うようにしてもよい。
【0016】
また、車速信号変換ユニット11は、例えばトラクタ1から出力される車速信号のノイズ(高周波)等を除去して波形整形した後、F/VコンバータIC等にて信号変換して、1種類の共通車速信号として一定のアナログ電圧値(例えば時速1kmのときは1V、時速2kmのときは2V等)を出力するものである。F/VコンバータICでは、抵抗やコンデンサ等で、ある周波数になると何ボルト出力するかを任意に設定可能である。
【0017】
なお、車速信号変換ユニット11は、例えばトラクタ1から出力される車速信号のノイズ(高周波)等を除去して波形整形した後、CPU等にて信号変換して、1種類の共通車速信号として一定のパルス値(例えば時速1kmのときは1秒間に100パルス(5V)、時速2kmのときは1秒間に200パルス(5V)等)を出力する構成でもよい。この構成の場合、例えば時速1kmのとき50パルスしかでないトラクタ1があるとすると、ボリュームやデジタルスイッチ、或いは、トラクタ1の種類に対応するICカードやバーコードを用いて、信号変換係数を決めるようにしてもよい。なお、トラクタ1の種類が増えすぎた場合は、車速信号変換ユニット11を何種類か作ってもよい。
【0018】
そして、このような農作業機用制御装置8によれば、トラクタ1の種類に応じて異なる車速信号を入力しこの入力した車速信号を1種類の共通車速信号に変換して出力する車速信号変換ユニット11と、この車速信号変換ユニット11と電気的に接続され車速信号変換ユニット11からの共通車速信号を入力しこの入力した共通車速信号に応じて作業部7を制御する制御ユニット12とを備える構成であるから、種類が異なるトラクタ1に使用する場合であっても、トラクタ1の種類に合わせて制御ユニット12を交換する必要がなく、1つの制御ユニット12を異なる種類の複数のトラクタ1に対して共用することができる。
【0019】
なお、上記実施の形態では、車速信号変換ユニット11を制御ユニット12とは別体に構成した場合について説明したが、例えば図2に示すように、車速信号変換ユニット11と制御ユニット12とを一体化した構成とすることもできる。
【0020】
この図2に示す農作業機用制御装置8の制御ユニット21は、車速信号変換ユニット11の機能を組み込んだもので、トラクタ1の信号出力部4と電気的に接続されトラクタ1の種類に応じて異なる車速信号を入力しこの入力した車速信号を1種類の共通車速信号に変換して出力する車速信号変換部22と、この車速信号変換部22と電気的に接続され車速信号変換部22からの共通車速信号を入力しこの入力した共通車速信号に応じて作業部7を制御する制御部23とを有している。
【0021】
そして、この図2に示す農作業機用制御装置8によれば、前記図1に示す構成と同様、種類が異なるトラクタ1に使用する場合であっても、トラクタ1の種類に合わせて制御ユニット21を交換する必要がなく、1つの制御ユニット21を異なる種類の複数のトラクタ1に対して共用することができる。
【0022】
なお、トラクタ1に速度メータまでのバスラインがある場合は、そのバスラインから車速信号を検出するようにしてもよい。
【0023】
また、農作業機6は、播種機には限定されず、いかなる種類のものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施の形態に係る農作業機用制御装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の他の実施の形態に係る農作業機用制御装置を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0025】
1 走行車であるトラクタ
7 作業部
8 農作業機用制御装置
11 車速信号変換ユニット
12,21 制御ユニット
22 車速信号変換部
23 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車の種類に応じて異なる車速信号を入力し、この入力した車速信号を1種類の共通車速信号に変換して出力する車速信号変換ユニットと、
この車速信号変換ユニットと電気的に接続され、前記車速信号変換ユニットからの共通車速信号を入力し、この入力した共通車速信号に応じて作業部を制御する制御ユニットと
を備えることを特徴とする農作業機用制御装置。
【請求項2】
作業部を制御する制御ユニットを備える農作業機用制御装置であって、
前記制御ユニットは、
走行車の種類に応じて異なる車速信号を入力し、この入力した車速信号を1種類の共通車速信号に変換して出力する車速信号変換部と、
この車速信号変換部と電気的に接続され、前記車速信号変換部からの共通車速信号を入力し、この入力した共通車速信号に応じて前記作業部を制御する制御部とを有する
ことを特徴とする農作業機用制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2008−161098(P2008−161098A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−353083(P2006−353083)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(000188009)松山株式会社 (285)
【Fターム(参考)】