説明

迅速解離性ドーパミン2受容体拮抗薬

本発明は、迅速解離性ドーパミン2受容体拮抗薬である4−アリール−6−ピペラジン−1−イル−3−置換ピリダジン、これらの化合物の製造方法、前記化合物を有効成分として含有して成る製薬学的組成物に関する。本化合物は抗精神病効果を運動副作用無しに及ぼすことによって中枢神経系障害、例えば統合失調症などを治療または予防するための薬剤として使用可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、迅速解離性(fast dissociating)ドーパミン2受容体拮抗薬である4−アリール−6−ピペラジン−1−イル−3−置換ピリダジン、これらの化合物の製造方法、前記化合物を有効成分として含有して成る製薬学的組成物に関する。本化合物は抗精神病効果を運動副作用無しに及ぼすことによって中枢神経系障害、例えば統合失調症などを治療または予防するための薬剤として使用可能である。
【0002】
発明の説明
統合失調症は、人口の約1%がかかっている慢性のひどい精神的病気である。臨床的症状は生涯の比較的早い時期に現れ、一般に青年期または初期成人期中に現れる。統合失調症の症状は一般に陽性と記述される症状(幻覚、妄想および支離滅裂な考えを包含)と陰性と呼ばれる症状(社会的引きこもり、情動低下、会話の貧困および楽しみを経験することができないことを包含)に分類分けされる。加うるに、統合失調症の患者は認知欠陥、例えば注意力および記憶などの障害にも苦しむ。そのような病気の原因はまだ未知であるが、神経伝達物質の作用が異常であることが統合失調症の症状の基礎になっていると仮定されている。ドーパミン作動仮説が最も頻繁に考慮されている仮説であり、その仮説では、ドーパミン伝達の活性が過剰であることが統合失調症の患者に見られる陽性症状の一因になっていることが提案されている。そのような仮説は、ドーパミンを増加させる薬剤、例えばアンフェタミンまたはコカインなどが精神病を誘発する可能性があることが観察されかつ抗精神病薬の臨床的投与とそれがドーパミンD2受容体を阻害する効力を有することの間に相互関係が存在することが基になっている。市販の抗精神病薬は全部がドーパミンD2受容体を阻害することで陽性症状に対して治療的効力を及ぼす。そのような臨床的効力とは別に、抗精神病薬の重大な副作用、例えば錐体外路症状(EPS)および遅発性ジスキネジーなどもまたドーパミン拮抗作用に関係していると思われる。そのように衰弱させる副作用は定型もしくは第一世代の抗精神病薬(例えばハロペリドール)を用いた時に最も頻繁に見られる。非定型もしくは第二世代の抗精神病薬(例えばリスペリドン、オランザピン)を用いた時にそのような副作用が現れる度合は低く、原型的な非定型抗精神病薬であると考えられているクロザピンを用いた時には実質的に現れない。非定型抗精神病薬を用いると観察されるEPS罹病率が低くなることを説明しようとして提案されたいろいろな理論の中の1つは多重受容体仮説であり、これは最近の15年間に渡って多大な注目を集めている。受容体結合検定の結果として、いろいろな非定型抗精神病薬はドーパミンD2受容体に加えて他のいろいろな神経伝達物質受容体、特にセロトニン5−HT2受容体と相互作用する一方でハロペリドールの如き定型抗精神病薬はD2受容体とより選択的に結合することが示されている。このような理論が最近の数年間の課題になっている、と言うのは、主要な非定型抗精神病薬は全部が臨床関連投薬量の時にセロトニン5−HT2受容体を完全に占めるが、それにも拘らず、運動副作用を誘発する点で差があるからである。多重受容体仮説に対する代替仮説として、非定型抗精神病薬と定型抗精神病薬はそれらがドーパミンD2受容体から解離する速度の点で区別可能であることが非特許文献1に提案された。抗精神病薬がそのようにD2受容体から迅速に解離すると、生理学的ドーパミン伝達がより大きな度合で起こることで、抗精神病効果が運動副作用無しにもたらされるであろう。そのような仮説は特にクロザピンおよびケチアピンを考慮した時に納得される。その二者の薬剤はドーパミンD2受容体から最も速い速度で解離しかつそれらはヒトにEPSを誘発する危険性をもたらす度合が最も低い。逆に、定型抗精神病薬は解離性が最も低いドーパミンD2受容体拮抗薬であり、それに伴ってEPS罹病率が高くなる。従って、D2受容体から解離する速度を基にして新規な薬剤を同定する方策は、新規な非定型抗精神病薬をもたらす有効な方策であると思われる。
【0003】
上述したように、現在の非定型抗精神病薬は多種多様な神経伝達物質受容体と相互作用する。そのような相互作用の中の数種(例えばセロトニン5−HT6およびドーパミンD3受容体の阻害)は認知障害および陰性症状を考慮する時には有益である可能性がある。実際、数多くの臨床前データにより、5−HT6受容体拮抗作用は齧歯類における認知プロセスに対して肯定的な効果をもたらすことが示された(非特許文献2)。5−HT6拮抗作用はまた食欲および食物摂取抑制にも関係している。その上、D3受容体に拮抗作用を及ぼすとラットが起こす社会的相互作用が向上し、このことは、統合失調症の患者が示す陰性症状に有益であり得ることを示唆している(非特許文献3)。他方、低血圧、鎮静、代謝障害および体重上昇を包含する副作用には他の相互作用(例えばアドレナリンα1、ヒスタミンH1およびセロトニン5−HT2C受容体との相互作用)が媒介していると考えられている。従って、追加的目的は、アドレナリンα1、ヒスタミンH1およびセロトニン5−HT2C受容体と相互作用することなくセロトニン5−HT6およびドーパミンD3受容体を阻害することと迅速に解離するD2受容体の特性を組み合わせることにある。そのようなプロファイルは、陽性症状、陰性症状および認知欠陥に対して効力を示すと同時に現在の抗精神病薬に関連した重要な副作用の度合が低いか或は副作用の無い新規な化合物をもたらすものであると期待する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】KapurおよびSeeman、「Does fast dissociation from the dopamine D2 receptor explain the action of atypical antipsychotics?:A new hypothesis」、Am.J.Psychiatry 2001、158:3、360−369頁
【非特許文献2】MitchellおよびNeumaier(2005)、5−HT6 receptors:a novel target for cognitive enhancement、Pharmacology & Therapeutics 108:320−333
【非特許文献3】JoyceおよびMillan(2005)、Dopamine D3 receptor antagonist as therapeutic agent、Drug Discovery Today 10:917−925
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、本明細書の上に説明した如き有利な薬理学的プロファイルを有し、特に運動副作用の度合が低くかつ他の受容体と相互作用する度合が控えめであるか或は無視できるほどであることで代謝障害発症の危険性も低い迅速解離性ドーパミン2受容体拮抗薬であるばかりでなくセロトニン5−HT6およびドーパミンD3受容体拮抗薬でもある新規な化合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
式(I)
【0007】
【化1】

【0008】
[式中、
は、クロロ、トリフルオロメチルまたはシアノであり、
は、フェニル;各々がハロ、シアノ、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ、C1−4アルキルスルホニル、パーフルオロC1−4アルキル、パーフルオロC1−4アルキルオキシ、ジC1−4アルキルアミノ、ヒドロキシおよび場合により各々がハロ、C1−4アルキルおよびパーフルオロC1−4アルキルから成る群より独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいフェニルから成る群より独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されているフェニル;チエニル;各々がハロおよびC1−4アルキルから成る群より独立して選択される1または2個の置換基で置換されているチエニル;ナフチル;ピリジニル;ピロリル;ベンゾチアゾリル;インドリル;キノリニル;C3−8シクロアルキルまたはC5−7シクロアルケニルであり、
は、水素、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシまたはハロであり、
およびRは、各々独立して、水素またはC1−4アルキルであるか、或はRとRが一緒になってC1−4アルカンジイルを形成しており、
nは、1または2であり、そして
は、水素、C1−4アルキル、ヒドロキシC2−4アルキル、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルキルC1−4アルキル、ピリジニルメチル、または場合によりフェニルが各々がハロ、シアノ、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ、C1−4アルキルスルホニル、パーフルオロC1−4アルキル、パーフルオロC1−4アルキルオキシおよびジC1−4アルキルアミノから成る群より独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいフェニルメチルであるか、或はRとRが一緒になってC2−5アルカンジイルを形成している]
に従う新規な化合物およびこれらの立体異性体形態物およびこれらの製薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を用いて本目的を達成する。
【0009】
本発明に従う化合物は迅速解離性D受容体拮抗薬である。加うるに、本化合物は、ドーパミンD3およびセロトニン5−HT6受容体に対してもドーパミンD2受容体に対して示す親和性とほぼ同じほどの親和性を示す。試験した限り、本化合物は前記3種類の受容体サブタイプに対する拮抗薬である。本発明に従う化合物は、そのような特性を有することから、特に統合失調症、統合失調症様障害、統合失調性感情障害、妄想性障害、短期精神病性障害、共有精神病性障害、一般身体疾患による精神病性障害、物質誘発性精神病性障害、特定不能精神病性障害、認知症関連精神病、大鬱病性障害、気分変調性障害、月経前気分不快障害、特定不能鬱病性障害、双極性I型障害、双極性II型障害、気分循環性障害、特定不能双極性障害、一般身体疾患による気分障害、物質誘発性気分障害、特定不能気分障害、全般性不安障害、強迫性障害、パニック障害、急性ストレス障害、心的外傷後ストレス障害、精神遅滞、広汎性発達障害、注意欠陥障害、注意欠陥/多動性障害、破壊的行動障害、妄想型人格障害、分裂病型人格障害、統合失調症型人格障害、チック障害、トゥレット・シンドローム、物質依存、物質乱用、薬物離脱、抜毛癖、認知に障害がある状態、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、レヴィー小体認知症、HIV病による認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病による認知症、健忘障害、軽度認知障害、加齢関連認知低下、摂食障害、例えば拒食症および過食症など、および肥満症を治療または予防する時の薬剤として用いるに適する。
【0010】
当業者は、本明細書の以下の実験部分に示す実験データを基にして化合物を選択することができるであろう。化合物の如何なる選択も本発明の範囲内である。
【0011】
本発明は、
がクロロ、トリフルオロメチルまたはシアノであり、
がフェニル;各々がハロ、シアノ、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ、C1−4アルキルスルホニル、パーフルオロC1−4アルキル、パーフルオロC1−4アルキルオキシ、ジC1−4アルキルアミノ、ヒドロキシおよび各々がハロ、C1−4アルキルおよびパーフルオロC1−4アルキルから成る群より独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されているフェニルから成る群より独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されているフェニル;チエニル;各々がハロおよびC1−4アルキルから成る群より独立して選択される1または2個の置換基で置換されているチエニル;ナフチル;ピリジニル;ピロリル;ベンゾチアゾリル;インドリル;キノリニル;C3−8シクロアルキルまたはC5−7シクロアルケニルであり、
が水素、C1−4アルキルまたはハロであり、
およびRが各々独立して水素またはC1−4アルキルであるか、或はRとRが一緒になってC1−4アルカンジイルを形成しており、
nが1または2であり、そして
が水素、C1−4アルキル、ヒドロキシC2−4アルキル、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルキルC1−4アルキル、またはフェニルが各々がハロ、シアノ、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ、C1−4アルキルスルホニル、パーフルオロC1−4アルキル、パーフルオロC1−4アルキルオキシおよびジC1−4アルキルアミノから成る群より独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されているフェニルメチルであるか、或はRとRが一緒になってC2−5アルカンジイルを形成している、
式(I)で表される化合物およびこれらの立体異性体形態物およびこれらの製薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に関する。
【0012】
例えば、本発明は、
がトリフルオロメチルまたはシアノであり、
がフェニル;各々がハロ、シアノ、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ、C1−4アルキルスルホニル、パーフルオロC1−4アルキル、ジC1−4アルキルアミノ、ヒドロキシおよび各々がハロ、C1−4アルキルおよびパーフルオロC1−4アルキルから成る群より独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されているフェニルから成る群より独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されているフェニル;チエニル;各々がハロおよびC1−4アルキルから成る群より独立して選択される1または2個の置換基で置換されているチエニル;ナフチル;ピリジニル;ピロリル;ベンゾチアゾリル;インドリル;キノリニル;C3−8シクロアルキルまたはC5−7シクロアルケニルであり、
が水素であり、
およびRが各々独立して水素またはC1−4アルキルであり、
nが1であり、
が水素、メチル、エチル、シクロプロピル、またはフェニルが各々がハロ、シアノ、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ、C1−4アルキルスルホニル、パーフルオロC1−4アルキルおよびジC1−4アルキルアミノから成る群より独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されているフェニルメチルであるか、或はRとRが一緒になってC2−5アルカンジイルを形成している、
式(I)で表される化合物およびこれらの立体異性体形態物およびこれらの製薬学的に許
容される塩もしくは溶媒和物に関する。
【0013】
特に興味の持たれる化合物は、
がトリフルオロメチルであり、
がフェニル;各々がハロ、シアノ、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ、C1−4アルキルスルホニル、パーフルオロC1−4アルキル、ジC1−4アルキルアミノ、ヒドロキシおよび各々がハロ、C1−4アルキルおよびパーフルオロC1−4アルキルから成る群より独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されているフェニルから成る群より独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されているフェニル;チエニル;各々がハロおよびC1−4アルキルから成る群より独立して選択される1または2個の置換基で置換されているチエニル;ナフチル;ピリジニル;ピロリル;ベンゾチアゾリル;インドリル;キノリニル;C3−8シクロアルキルまたはC5−7シクロアルケニルであり、
が水素であり、
およびRが各々独立して水素またはメチルであり、
nが1であり、
が水素、エチルまたは(3,5−ジフルオロフェニル)メチルであるか、或は
とRが一緒になって1,3−プロパンジイルを形成している、
式(I)で表される化合物およびこれらの立体異性体形態物およびこれらの製薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
【0014】
式(I)で表される化合物およびこれらの立体異性体形態物の中で最も興味の持たれる化合物は、例えば
4−フェニル−6−ピペラジン−1−イル−3−トリフルオロメチル−ピリダジン(E1)、
6−(4−エチルピペラジン−1−イル)−4−フェニル−3−トリフルオロメチル−ピリダジン(E2)、
6−[4−(3,5−ジフルオロベンジル)ピペラジン−1−イル]−4−フェニル−3−トリフルオロメチル−ピリダジン(E3)、
6−(3,5−ジメチルピペラジン−1−イル)−4−フェニル−3−トリフルオロメチル−ピリダジン(E4)、
2−(5−フェニル−6−トリフルオロメチル−ピリダジン−3−イル)−オクタヒドロ−ピロロ[1,2−a]ピラジン(E5)、
4−(4−フルオロフェニル)−6−ピペラジン−1−イル−3−トリフルオロメチル−ピリダジン(E6)、
6−ピペラジン−1−イル−4−チオフェン−3−イル−3−トリフルオロメチル−ピリダジン(E7)、
6−ピペラジン−1−イル−4−o−トリル−3−トリフルオロメチル−ピリダジン(E8)、
4−(4’−フルオロビフェニル−4−イル)−6−ピペラジン−1−イル−3−トリフルオロメチル−ピリダジン(E9)および
4−フェニル−6−ピペラジン−1−イル−ピリダジン−3−カルボニトリル(E10)、および
これらの製薬学的に許容される塩および溶媒和物、
である。
【0015】
本出願の全体に渡って用語「C1−4アルキル」を単独で用いる場合および組み合わせて例えば「C1−4アルキルオキシ」、「パーフルオロC1−4アルキル」、「ジC1−4アルキルアミノ」などとして用いる場合、この用語は例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、1−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチルなどを包含し、用語「パーフル
オロC1−4アルキル」は例えばトリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピルおよびノナフルオロブチルなどを包含し、C3−8シクロアルキルはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルを包含し、C5−7シクロアルケニルはシクロペンテニル、シクロヘキセニルおよびシクロヘプテニルを包含する。用語「ハロ」はフルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを包含する。
【0016】
製薬学的に許容される塩には式(I)に従う化合物が形成し得る治療的に有効な無毒の酸付加塩形態物が含まれると定義する。式(I)に従う化合物の塩基形態物を適切な酸、例えば無機酸、例えばハロゲン化水素酸、特に塩酸、臭化水素酸など、硫酸、硝酸および燐酸など、有機酸、例えば酢酸、ヒドロキシ酢酸、プロピオン酸、乳酸、ピルビン酸、しゅう酸、マロン酸、こはく酸、マレイン酸、マンデル酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモ酸およびマンデル酸などで処理することで前記塩を得ることができる。逆に、前記塩形態物を適切な塩基で処理することで遊離形態物に変化させることができる。
【0017】
用語「溶媒和物」は、式(I)で表される化合物が形成し得る水和物およびアルコラートを指す。
【0018】
本明細書の上で用いた如き用語「立体化学異性体形態物」は、式(I)で表される化合物が取り得る可能な異性体形態物の全てを意味するものである。特に明記しない限り、化合物の化学的表示は可能なあらゆる立体化学異性体形態物の混合物を表し、前記混合物は、基本的分子構造を有するジアステレオマーおよび鏡像異性体の全てを含有する。より詳細には、立体中心はR配置またはS配置を取り得、二価の環式(部分)飽和基上の置換基はシス配置またはトランス配置のいずれかを取り得る。二重結合を含有する化合物は前記二重結合の所にE立体化学またはZ立体化学を取り得る。式(I)で表される化合物の立体化学異性体形態物は本発明の範囲内に含まれる。
【0019】
以下に記述する方法で調製する如き式(I)で表される化合物の合成は鏡像異性体のラセミ混合物の形態で実施可能であり、それを当該技術分野で公知の分割手順に従って互いに分離することができる。式(I)で表されるラセミ化合物を適切なキラル酸と反応させることで相当するジアステレオマー塩形態物に変化させることができる。その後、前記ジアステレオマー塩形態物に分離を例えば選択的もしくは分別結晶化などで受けさせた後、アルカリを用いて鏡像異性体をそれから遊離させる。鏡像異性体形態の式(I)で表される化合物を分離する代替様式は、キラル固定相を用いた液クロの使用を伴う。また、相当する立体化学的に高純度の異性体形態の適切な出発材料を用いてそのような立体化学的に高純度の異性体形態物を生じさせることも可能であるが、但しその反応が立体特異的に起こることを条件とする。特定の立体異性体が必要な場合、前記化合物の合成を好適には立体特異的製造方法を用いて行うことになるであろう。そのような方法では有利に鏡像異性体的に高純度の出発材料を用いる。
【0020】
薬理学
陽性および陰性症状および認知障害に対して有効でありかつ安全プロファイルが向上した(EPS罹病率が低くかつ代謝障害の無い)抗精神病性化合物を見つけだす目的で、我々は、ドーパミンD2受容体と選択的に相互作用しかつ前記受容体から迅速に解離することに加えて更にドーパミンD3受容体ばかりでなくセロトニン5−HT−6受容体にも親和性を示す化合物の選別を行った。最初に、[H]スピペロンおよびヒトD2L受容体細胞膜を用いた結合検定で化合物にD2親和性に関する選別を受けさせた。10μM未満のIC50を示す化合物にJosee E.LeysenおよびWalter Gommeren、Journal of Receptor Research、1984、4(7)、817−845に公開されている方法から採用した間接的検定を用いた試験を受けさせることで解離速度を評価した。
【0021】
そのような化合物に1団が50種類以上の一般的G蛋白質共役受容体(CEREP)を用いたさらなる選別を受けさせた結果、それらが奇麗なプロファイルを示す、即ちドーパミンD3受容体およびセロトニン5−HT6受容体を除いて、試験を受けさせた受容体に対して低い親和性を示すことを確認した。
【0022】
本化合物の中の数種に「ラットを用いたアポモルヒネ誘発興奮拮抗作用試験」の如きインビボモデルを用いたさらなる試験を受けさせた結果、それらは経口活性を示しかつ生物学的利用能を有することを確認した。
【0023】
更に、化合物E1が「ラットを用いた亜慢性PCP誘発アテンショナルセットシフティング(attentional set shifting)の逆転」試験(J.S.Rodefer他、Neurospychopharmacology(2007)、1−10)でも活性を示すことを確認した。
【0024】
式(I)で表される化合物が上述した薬理学を示すことを考慮すると、それらは薬剤としての使用、特に抗精神病薬としての使用に適することになる。より特別には、本化合物は統合失調症、統合失調症様障害、統合失調性感情障害、妄想性障害、短期精神病性障害、共有精神病性障害、一般身体疾患による精神病性障害、物質誘発性精神病性障害、特定不能精神病性障害、認知症関連精神病、大鬱病性障害、気分変調性障害、月経前気分不快障害、特定不能鬱病性障害、双極性I型障害、双極性II型障害、気分循環性障害、特定不能双極性障害、一般身体疾患による気分障害、物質誘発性気分障害、特定不能気分障害、全般性不安障害、強迫性障害、パニック障害、急性ストレス障害、心的外傷後ストレス障害、精神遅滞、広汎性発達障害、注意欠陥障害、注意欠陥/多動性障害、破壊的行動障害、妄想型人格障害、分裂病型人格障害、統合失調症型人格障害、チック障害、トゥレット・シンドローム、物質依存、物質乱用、薬物離脱、抜毛癖を治療または予防する時の薬剤として用いるに適する。更に、本発明の化合物が5−HT6拮抗作用を有することを考慮すると、それらは認知に障害がある状態、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、レヴィー小体認知症、HIV病による認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病による認知症、健忘障害、軽度認知障害および加齢関連認知低下の治療または予防で用いるにも有用であり得る。
【0025】
この上のパラグラフに記述した如き障害に苦しんでいる患者の治療を最適にする目的で、式(I)で表される化合物を他の向精神性化合物と一緒に投与することも可能である。このように、統合失調症の場合、陰性および認知症状を標的にすることができる。
【0026】
本発明は、また、そのような障害に苦しんでいる温血動物を治療する方法も提供し、この方法は、上述した障害の治療に有効な式(I)で表される化合物を治療的量で全身投与することを含んで成る。
【0027】
本発明は、また、本明細書の上で定義した如き式(I)で表される化合物を薬剤、特に抗精神病薬、より特別には統合失調症、統合失調症様障害、統合失調性感情障害、妄想性障害、短期精神病性障害、共有精神病性障害、一般身体疾患による精神病性障害、物質誘発性精神病性障害、特定不能精神病性障害、認知症関連精神病、大鬱病性障害、気分変調性障害、月経前気分不快障害、特定不能鬱病性障害、双極性I型障害、双極性II型障害、気分循環性障害、特定不能双極性障害、一般身体疾患による気分障害、物質誘発性気分障害、特定不能気分障害、全般性不安障害、強迫性障害、パニック障害、急性ストレス障害、心的外傷後ストレス障害、精神遅滞、広汎性発達障害、注意欠陥障害、注意欠陥/多動性障害、破壊的行動障害、妄想型人格障害、分裂病型人格障害、統合失調症型人格障害、チック障害、トゥレット・シンドローム、物質依存、物質乱用、薬物離脱、抜毛癖、認知に障害がある状態、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、レヴィー小体認知症、HIV病による認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病による認知症、健忘障害、軽度認知障害および加齢関連認知低下を治療または予防する時の薬剤を製造する目的で用いることにも関する。
【0028】
そのような病気の治療技術を有する業者は、本明細書の以下に示す試験結果から1日当たりの有効な治療量を決定することができるであろう。1日当たりの有効な治療量は体重1kg当たり約0.01mgから約10mg、より好適には体重1kg当たり約0.05mgから約1mgであろう。
【0029】
本発明は、また、製薬学的に許容される担体を含有しかつ式(I)に従う化合物を有効成分として治療的に有効な量で含有して成る製薬学的組成物にも関する。
【0030】
本主題化合物の投与を容易にする目的で、それらを投与の目的に適したいろいろな製薬学的形態物に構築することができる。本発明に従う化合物、特に式(I)に従う化合物、これらの製薬学的に許容される酸もしくは塩基付加塩、立体化学異性体形態物、N−オキサイド形態物およびプロドラッグまたはこれらのサブグループまたは組み合わせのいずれも投与の目的でいろいろな製薬学的形態物に構築可能である。適切な組成物として、全身投与用薬剤で通常用いられるあらゆる組成物を挙げることができる。本発明の製薬学的組成物を調製する時、有効量の個々の化合物を場合により付加塩形態で有効成分として製薬学的に許容される担体との密な混合物として一緒にするが、前記担体が取り得る形態は投与に望まれる製剤の形態に応じて幅広く多様であり得る。本製薬学的組成物を特に経口、直腸、経皮投与、非経口注入または吸入による投与に適した単位投薬形態物にするのが望ましい。例えば、本組成物を経口投薬形態物として調製する時、通常の製薬学的媒体のいずれも使用可能であり、例えば液状の経口用製剤、例えば懸濁液、シロップ、エリキシル、乳液および溶液などの場合には水、グリコール、油、アルコールなど、または粉末、ピル、カプセルおよび錠剤の場合には固体状担体、例えば澱粉、糖、カオリン、希釈剤、滑剤、結合剤、崩壊剤などを用いてもよい。投与が容易なことから錠剤およびカプセルが最も有利な経口投薬単位形態物に相当し、この場合には明らかに固体状の製薬学的担体を用いる。非経口用組成物の場合の担体は少なくとも大部分が一般に無菌水を含んで成るが、他の材料、例えば溶解性を補助する材料などを含有させることも可能である。例えば、注射可能溶液を調製することも可能であり、その場合の担体は食塩水溶液、グルコース溶液、または食塩水とグルコース溶液の混合物を含んで成る。例えば、注射可能溶液を調製することも可能であり、その場合の担体は食塩水溶液、グルコース溶液、または食塩水とグルコース溶液の混合物を含んで成る。長期間作用させる目的で式(I)で表される化合物が油に入っている注射可能溶液を構築することも可能である。この目的に適した油は、例えば落花生油、ゴマ油、綿実油、トウモロコシ油、大豆油、長鎖脂肪酸の合成グリセロールエステルおよびこれらの混合物および他の油などである。また、注射可能懸濁液を調製することも可能であり、この場合には適切な液状担体、懸濁剤などを用いてもよい。また、使用直前に液状形態の製剤に変換することを意図した固体形態の製剤も包含させる。経皮投与に適した組成物の場合、その担体に場合により浸透向上剤および/または適切な湿潤剤を含めてもよく、それらを場合によりいずれかの性質を有する適切な添加剤と低い比率で組み合わせてもよく、そのような添加剤は、皮膚に対して有害な影響を大きな度合ではもたらさない添加剤である。前記添加剤は皮膚への投与を助長しそして/または所望組成物の調製に役立ち得る。そのような組成物はいろいろな様式で投与可能であり、例えば経皮パッチ、スポットオン(spot−on)、軟膏などとして投与可能である。式(I)で表される化合物の酸もしくは塩基付加塩は相当する塩基もしくは酸形態物よりも水への溶解度が高いことから水性組成物の調製で用いるにより適する。
【0031】
上述した製薬学的組成物を投薬単位形態物として構築するのが特に有利である、と言うのは、その方が投与が容易でありかつ投薬が均一であるからである。本明細書で用いる如き「単位投薬形態物」は、各単位が必要な製薬学的担体と一緒に所望の治療効果をもたらすように計算して前以て決めておいた量の有効成分を含有する単位投薬物として用いるに適した物理的に個々別々の単位を指す。そのような単位投薬形態物の例は錠剤(切り目が入っている錠剤または被覆されている錠剤を包含)、カプセル、ピル、粉末、パケット、ウエハース、座薬、注射可能溶液もしくは懸濁液など、そしてそれらを複数に分けたものである。
【0032】
本発明に従う化合物は経口投与可能な効力のある化合物であることから、前記化合物を含有して成る経口投与用製薬学的組成物が特に有利である。
【0033】
式(I)で表される化合物が製薬学的組成物中で示す溶解性および/または安定性を向上させる目的で、α−、β−もしくはγ−シクロデキストリンもしくはこれらの誘導体、特にヒドロキシアルキル置換シクロデキストリン、例えば2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンなどを用いるのも有利であり得る。また、共溶媒、例えばアルコールなども本発明に従う化合物が製薬学的組成物中で示す溶解性および/または安定性を向上させ得る。
【0034】
調製
がクロロまたはトリフルオロメチルでありそしてR、R、R、R、Rおよびnがこの上で定義した通りである式(I)で表される化合物の調製は、式(II)
【0035】
【化2】

【0036】
[式中、
はクロロまたはトリフルオロメチルであり、そしてRおよびRはこの上で定義した通りである]
で表される化合物と式(III)
【0037】
【化3】

【0038】
[式中、R、R、Rおよびnはこの上で定義した通りである]
で表される化合物を適切な塩基、例えばジイソプロピルエチルアミンなどの存在下の適切な溶媒、例えばアセトニトリルなど中で適切な反応条件、例えば通常の加熱またはマイク
ロ波照射下のいずれかの便利な温度などの条件下で反応の完了を確保する時間反応させることで実施可能である。
【0039】
がクロロでありそしてRおよびRがこの上で定義した通りである式(II)で表される化合物の調製は、WO−2005/013907に記述されている手順と同様な手順を用いて実施可能である。
【0040】
がトリフルオロメチルでありそしてRおよびRがこの上で定義した通りである式(II)で表される化合物の調製は、式(IV)
【0041】
【化4】

【0042】
[式中、
はトリフルオロメチルであり、そしてRおよびRはこの上で定義した通りである]
で表される化合物とオキシ塩化燐を適切な溶媒、例えばアセトニトリルなど中で適切な反応条件、例えば通常の加熱またはマイクロ波照射下のいずれかの便利な温度などの条件下で反応の完了を確保する時間反応させることで実施可能である。
【0043】
がトリフルオロメチルでありそしてRおよびRがこの上で定義した通りである式(IV)で表される化合物の調製は、式(V)
【0044】
【化5】

【0045】
[式中、
はトリフルオロメチルであり、そしてRおよびRはこの上で定義した通りである]
で表される化合物と水加ヒドラジンを適切な触媒、例えば酢酸などの存在下の適切な溶媒、例えばアセトニトリルなど中で適切な反応条件、例えば通常の加熱またはマイクロ波照射下のいずれかの便利な温度などの条件下で反応の完了を確保する時間反応させることで実施可能である。
【0046】
がトリフルオロメチルでありそしてRおよびRがこの上で定義した通りである式(V)で表される化合物の調製は、式(VI)
【0047】
【化6】

【0048】
[式中、RおよびRはこの上で定義した通りである]
で表される化合物とCFSiMe(VII)を適切な触媒、例えばフッ化セシウムなどの存在下の適切な溶媒、例えばアセトニトリルなど中で適切な反応条件、例えば低温、典型的には−78℃から0℃の範囲の温度などの条件下で反応させることで実施可能である。
【0049】
およびRがこの上で定義した通りである式(VI)で表される化合物は商業的に入手可能であるか或はDean,W.D.;Bum,D.M.、J.Org.Chem.1993、58、7916−7917に記述されている手順と同様な手順を用いて得ることができる。
【0050】
式(I−a)
【0051】
【化7】

【0052】
[式中、
6’はこの上で定義した如きRであるが、水素ではなく、Rはクロロまたはトリフルオロメチルであり、そしてR、R、R、Rおよびnはこの上で定義した通りである]
で表される化合物の調製もまた式(I−b)
【0053】
【化8】

【0054】
[式中、
はクロロまたはトリフルオロメチルであり、そしてR、R、R、Rおよびnはこの上で定義した通りである]
で表される化合物とR6’−W[ここで、R6’はこの上で定義した如きRであるが、
水素ではなく、そしてWは脱離基、例えばハロ、例えばクロロ、ブロモまたはヨードなど、またはスルホニルオキシ基、例えばメチルスルホニルオキシ、トリフルオロメチルスルホニルオキシまたはメチルフェニルスルホニルオキシなどを表す]で表される反応体を塩基、例えばジイソプロピルエチルアミンなどの存在下の適切な溶媒、例えばアセトニトリルなど中で適切な反応条件、例えば通常の加熱またはマイクロ波照射下のいずれかの便利な温度などの条件下で反応の完了を確保する時間反応させることで実施可能である。
【0055】
別法として、R6’がこの上で定義した如きRであるが、水素ではなく、RがクロロまたはトリフルオロメチルでありそしてR、R、R、Rおよびnがこの上で定義した通りである式(I−a)で表される化合物の調製をまたRがクロロまたはトリフルオロメチルでありそしてR、R、R、Rおよびnがこの上で定義した通りである式(I−b)で表される化合物に還元N−アルキル化を適切なケトンもしくはアルデヒドを用いて適切な還元剤、例えばトリアセトキシホウ水素化ナトリウムなどの存在下の適切な溶媒、例えばテトラヒドロフランなど中で受けさせることで実施することも可能である。
【0056】
がクロロまたはトリフルオロメチルでありそしてR、R、R、Rおよびnがこの上で定義した通りである式(I−b)で表される化合物の調製は、式(VIII)
【0057】
【化9】

【0058】
[式中、
Lは適切な保護基、例えばt−ブチルオキシカルボニルなどを表し、Rはクロロまたはトリフルオロメチルであり、そしてR、R、R、Rおよびnはこの上で定義した通りである]
で表される中間体中の保護基に脱保護を適切な条件、例えばトリフルオロ酢酸をジクロロメタン中で用いるか或はLがt−ブチルオキシカルボニル基を表す時には酸形態のAmberlyst(商標)15イオン交換樹脂をメタノール中で用いるなどの条件下で受けさせることで実施可能である。
【0059】
がクロロまたはトリフルオロメチルでありそしてR、R、R、Rおよびnがこの上で定義した通りである式(VIII)で表される化合物の調製は、RがクロロまたはトリフルオロメチルでありそしてRおよびRがこの上で定義した通りである式(II)で表される化合物と式(IX)
【0060】
【化10】

【0061】
[式中、
Lは適切な保護基、例えばt−ブチルオキシカルボニルなどを表し、そしてR、Rおよびnはこの上で定義した通りである]
で表される化合物を適切な塩基、例えばジイソプロピルエチルアミンなどの存在下の適切な溶媒、例えばアセトニトリルなど中で適切な反応条件、例えば通常の加熱またはマイクロ波照射下のいずれかの便利な温度などの条件下で反応の完了を確保する時間反応させることで実施可能である。
【0062】
がトリフルオロメチルでありそしてR、R、R、Rおよびnがこの上で定義した通りでありそしてLが適切な保護基、例えばt−ブチルオキシカルボニルなどを表す式(VIII)で表される化合物の調製をまた式(X)
【0063】
【化11】

【0064】
[式中、
はトリフルオロメチルであり、そしてR、R、Rおよびnはこの上で定義した通りでありそしてLは適切な保護基、例えばt−ブチルオキシカルボニルなどを表す]
で表される化合物と相当するアリールホウ素酸R−B(OH)を適切な触媒、例えば1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)ジクロライド,ジクロロメタンなどの存在下で適切な配位子、例えば1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンなどおよび塩基、例えば燐酸カリウムなどを存在させて高温の適切な不活性溶媒、例えばジオキサンなど中で反応させることで実施することも可能である。
【0065】
がトリフルオロメチルでありそしてR、R、Rおよびnがこの上で定義した通りでありそしてLが適切な保護基、例えばt−ブチルオキシカルボニルなどを表す式(XI)で表される化合物の調製は、式(XI)
【0066】
【化12】

【0067】
[式中、
はトリフルオロメチルであり、そしてR、R、Rおよびnはこの上で定義した通りでありそしてLは適切な保護基、例えばt−ブチルオキシカルボニルなどを表す]
で表される化合物とヨウ素を適切な塩基、例えばブチルリチウムと2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの混合物などの存在下の適切な不活性溶媒、例えばテトラヒドロフランなど中で低温、典型的には−78℃から0℃の範囲の温度で反応させることで実施可能
である。
【0068】
がトリフルオロメチルであり、R、R、Rおよびnがこの上で定義した通りでありそしてLが適切な保護基、例えばt−ブチルオキシカルボニルなどを表す式(XI)で表される化合物の調製は、6−クロロ−3−トリフルオロメチルピリダジン(Goodman,A.J.;Stanforth,S.P.;Tarbit B.、Tetrahedron 1999、55、15067−15070に記述されている手順に従って調製)と1−ピペラジンカルボン酸t−ブチルを適切な塩基、例えばジイソプロピルエチルアミンなどの存在下の適切な溶媒、例えばアセトニトリルなど中で通常の加熱またはマイクロ波照射下のいずれかの便利な温度で反応の完了を確保する時間反応させることで実施可能である。
【0069】
式(I−c)
【0070】
【化13】

【0071】
[式中、
6’はこの上で定義した如きRであるが、水素ではなく、Rはトリフルオロメチルであり、そしてR、R、R、Rおよびnはこの上で定義した通りである]
で表される化合物の調製は、式(I−d)
【0072】
【化14】

【0073】
[式中、
はトリフルオロメチルであり、R、R、R、Rおよびnはこの上で定義した通りである]
で表される化合物と式R6’−W[式中、R6’はこの上で定義した如きRであるが、水素ではなく、そしてWは脱離基、例えばハロ、例えばクロロ、ブロモまたはヨードなど、またはスルホニルオキシ基、例えばメチルスルホニルオキシ、トリフルオロメチルスルホニルオキシまたはメチルフェニルスルホニルオキシなどを表す]で表される反応体を塩基、例えばジイソプロピルエチルアミンなどの存在下の適切な溶媒、例えばアセトニトリルなど中で適切な反応条件、例えば通常の加熱またはマイクロ波照射下のいずれかの便利な温度などの条件下で反応の完了を確保する時間反応させることで実施可能である。
【0074】
別法として、R6’がこの上で定義した如きRであるが、水素ではなく、RがトリフルオロメチルでありそしてR、R、R、Rおよびnがこの上で定義した通りである式(I−c)で表される化合物の調製をRがトリフルオロメチルでありそしてR、R、R、Rおよびnがこの上で定義した通りである式(I−d)で表される化合物に還元N−アルキル化を適切なケトンもしくはアルデヒドを用いて適切な還元剤、例えばトリアセトキシホウ水素化ナトリウムなどの存在下の適切な溶媒、例えばテトラヒドロフランなど中で受けさせることで実施することも可能である。
【0075】
がトリフルオロメチルであり、R、R、R、Rおよびnがこの上で定義した通りである式(I−d)で表される化合物の調製は、式(XII)
【0076】
【化15】

【0077】
[式中、
はトリフルオロメチルであり、R、R、R、Rおよびnはこの上で定義した通りであり、そしてLは適切な保護基、例えばt−ブチルオキシカルボニルなどを表す]で表される中間体中の保護基に脱保護を適切な条件、例えばトリフルオロ酢酸をジクロロメタン中で用いるか或はLがt−ブチルオキシカルボニル基を表す時には酸形態のAmberlyst(商標)15イオン交換樹脂をメタノール中で用いるなどの条件下で受けさせることで実施可能である。
【0078】
がトリフルオロメチルであり、R、R、R、Rおよびnがこの上で定義した通りでありそしてLが適切な保護基、例えばt−ブチルオキシカルボニルなどを表す式(XII)で表される化合物の調製は、式(XIII)
【0079】
【化16】

【0080】
[式中、
はトリフルオロメチルであり、R、R、Rおよびnはこの上で定義した通りであり、そしてLは適切な保護基、例えばt−ブチルオキシカルボニルなどを表す]
で表される化合物と相当するアリールホウ素酸を適切な触媒、例えばトランス−Pd(OAc)(CyNH)(Tao,B.;Boykin,D.W.、Tetrahed
ron Lett.2003、44、7993−7996に記述されている手順に従って調製)などの存在下で適切な塩基、例えば燐酸カリウムなどを存在させて適切な不活性溶媒、例えばジオキサンなど中で適切な反応条件、例えば通常の加熱またはマイクロ波照射下のいずれかの便利な温度などの条件下で反応の完了を確保する時間反応させることで実施可能である。
【0081】
がシアノであり、Rがこの上で定義した通りであるが、水素ではなく、R、R、R、Rおよびnがこの上で定義した通りである式(I)で表される化合物の調製は、式(I−e)
【0082】
【化17】

【0083】
[式中、R、R、R、Rおよびnはこの上で定義した通りである]
で表される化合物と式R6’−W[式中、R6’はこの上で定義した如きRであるが、水素ではなく、そしてWは脱離基、例えばハロ、例えばクロロ、ブロモまたはヨードなど、またはスルホニルオキシ基、例えばメチルスルホニルオキシ、トリフルオロメチルスルホニルオキシまたはメチルフェニルスルホニルオキシなどを表す]で表される反応体を塩基、例えばジイソプロピルエチルアミンなどの存在下の適切な溶媒、例えばアセトニトリルなど中で適切な反応条件、例えば通常の加熱またはマイクロ波照射下のいずれかの便利な温度などの条件下で反応の完了を確保する時間反応させることで実施可能である。
【0084】
別法として、Rがシアノであり、R6’がRであるが、水素以外でありそしてR、R、R、Rおよびnがこの上で定義した通りである式(I)で表される化合物の調製をRがシアノであり、R6’が水素でありそしてR、R、R、Rおよびnがこの上で定義した通りである式(I−e)で表される化合物に還元N−アルキル化を適切なケトンもしくはアルデヒドを用いて適切な還元剤の存在下の適切な溶媒中で受けさせることで実施することも可能である。
【0085】
がシアノであり、Rがこの上で定義した通りでありそしてR、R、R、Rおよびnがこの上で定義した通りである式(I)で表される化合物の調製は、式(XIV)
【0086】
【化18】

【0087】
[式中、R、R、R、Rおよびnはこの上で定義した通りであり、そしてLは適
切な保護基、例えばt−ブチルオキシカルボニルなどを表す]
で表される中間体中の保護基に脱保護を適切な条件、例えばトリフルオロ酢酸をジクロロメタン中で用いるか或はLがt−ブチルオキシカルボニル基を表す時には酸形態のAmberlyst(商標)15イオン交換樹脂をメタノール中で用いるなどの条件下で受けさせることで実施可能である。
【0088】
、R、R、Rおよびnがこの上で定義した通りでありそしてLが適切な保護基、例えばt−ブチルオキシカルボニルなどを表す式(XIV)で表される化合物の調製をRがクロロでありそしてR、R、R、Rおよびnがこの上で定義した通りでありそしてLが適切な保護基、例えばt−ブチルオキシカルボニルなどを表す式(VIII)で表される化合物とシアン化亜鉛を適切な触媒、例えばテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)などの存在下の適切な溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミドなど中で適切な反応条件、例えば通常の加熱またはマイクロ波照射下のいずれかの便利な温度などの条件下で反応の完了を確保する時間反応させることで実施した。
【0089】
実験部分
化学
マイクロ波補助反応を単一モード反応槽:Emrys(商標)Optimizerマイクロ波反応槽(Personal Chemistry A.B.、現在はBiotage)内で実施した。
【0090】
実施例(E1−E39)の最終的精製を記述する溶離剤を用いたシリカゲル使用カラムクロマトグラフィーまたはHyperprep RP 18 BDS(Shandon)(8μm、200mm、250g)カラムを使用した調製用逆相HPLCのいずれかを用いて実施した。3種類の可動相(可動相A:0.5%の酢酸アンモニウムが90%+アセトニトリルが10%;可動相B:メタノール;可動相C:アセトニトリル)を用いてAが75%でBが25%で流量を40ml/分にして出発して同じ条件を0.5分間保持した後に流量を0.01分かけて80ml/分にまで上昇させそしてBが50%でCが50%に41分かけて至らせそしてCが100%に20分かけて至らせてこの条件を4分間保持する勾配方法で流した。
【0091】
HスペクトルをBruker DPX 360、DPX 400またはBruker
AV−500分光計を用いて記録した。化学シフトをテトラメチルシランを基準にしたppmで表す。
【0092】
融点の測定をMettler FP62装置を用いて実施した。
LCMS
【0093】
一般的LCMS方法A:
HPLC測定を脱気装置付き四式ポンプ、オートサンプラー、カラムオーブン(温度を60℃に設定する方法4を除いて40℃に設定)、ダイオードアレイ検出器(DAD)および以下に示す個々の方法で指定する如きカラムが備わっているHP 1100(Agilent Technologies)を用いて実施した。前記カラムから出る流れを分割してMS検出器に送った。このMS検出器にはエレクトロスプレーイオン化源が備わっていた。窒素をネブライザーガスとして用いた。源の温度を140℃に維持した。データの取得をMassLynx−Openlynxソフトウエアを用いて実施した。
【0094】
一般的LCMS方法B:
HPLC測定をポンプ、ダイオードアレイ検出器(DAD)(使用した波長220nm)、カラムヒーターおよび以下に示す個々の方法で指定する如きカラムが備わっているAgilent 1100モジュールを用いて実施した。前記カラムから出る流れを分割してAgilent MSDシリーズG1946CおよびG1956Aに送った。MS検出器にはAPI−ES(大気圧エレクトロスプレーイオン化)が備わっていた。質量スペクトルを100から1000までの走査で取得した。毛細管針電圧を正イオン化モードの場合には2500Vにしそして負イオン化モードの場合には3000Vにした。フラグメンテーションの電圧を50Vにした。乾燥ガスの温度を350℃に維持して流量を10 l/分にした。
【0095】
LCMS方法1
一般的LCMS方法Aに加えて、Advanced Chromatography TechnologiesのACE−C18カラム(3.0μm、4.6x30mm)を用いた逆相HPLCを流量を1.5ml/分にして実施した。用いた勾配条件は下記である:A(0.5g/lの酢酸アンモニウム溶液)が80%でB(アセトニトリル)が10%でC(メタノール)が10%から6.5分かけてBが50%でCが50%にし、7分かけてBが100%にしそして7.5分かけて初期条件になるように平衡状態にして9.0分置く。注入体積を5μlにした。0.1秒のドゥエル時間を用いて0.5秒間に100から750まで走査することで高解像度質量スペクトル(飛行時間、TOF)を正イオン化モードのみで取得した。毛細管針の電圧を正イオン化モードの時には2.5kVにしそしてコーン電圧を20Vにした。ロックマス較正で用いた基準物質はロイシン−エンケファリンであった。
【0096】
LCMS方法2
一般的LCMS方法Aに加えて、Advanced Chromatography TechnologiesのACE−C18カラム(3.0μm、4.6x30mm)を用いた逆相HPLCを流量を1.5ml/分にして実施した。用いた勾配条件は下記である:A(0.5g/lの酢酸アンモニウム溶液)が80%でB(アセトニトリル)が10%でC(メタノール)が10%から6.5分かけてBが50%でCが50%にし、7分かけてBが100%にしそして7.5分かけて初期条件になるように平衡状態にして9.0分置く。注入体積を5μlにした。0.3秒のドゥエル時間を用いて0.5秒間に100から750まで走査することで高解像度質量スペクトル(飛行時間、TOF)を取得した。毛細管針の電圧を正イオン化モードの時には2.9kVにしそして負イオン化モードの時には2.5kVにした。コーン電圧を正イオン化モードおよび負イオン化モードの両方とも20Vにした。ロックマス較正で用いた基準物質はロイシン−エンケファリンであった。
【0097】
LCMS方法3
10μlの注入体積を用いてLCMS方法1と同じ。
【0098】
LCMS方法4
一般的LCMS方法Aに加えて、AgilentのXDB−C18カートリッジ(1.8μm、2.1x30mm)を用いた逆相HPLCを流量を1ml/分にして実施した。用いた勾配条件は下記である:A(0.5g/lの酢酸アンモニウム溶液)が90%でB(アセトニトリル)が5%でC(メタノール)が5%から6.5分かけてBが50%でCが50%にし、7.0分かけてBが100%にしそして7.5分かけて初期条件になるように平衡状態にして9.0分置く。注入体積を2μlにした。0.1秒のドゥエル時間を用いて0.5秒間に100から750まで走査することで高解像度質量スペクトル(飛行時間、TOF)を正イオン化モードのみで取得した。毛細管針の電圧を2.5kVにしそしてコーン電圧を20Vにした。ロックマス較正で用いた基準物質はロイシン−エンケファリンであった。
【0099】
LCMS方法5
一般的LCMS方法Aに加えて、Advanced Chromatography TechnologiesのACE−C18カラム(3.0μm、4.6x30mm)を用いた逆相HPLCを流量を1.5ml/分にして実施した。用いた勾配条件は下記である:A(1g/lの重炭酸アンモニウム溶液)が80%でB(アセトニトリル)が10%でC(メタノール)が10%から6.5分かけてBが50%でCが50%にし、7分かけてBが100%にしそして7.5分かけて初期条件になるように平衡状態にして9.0分置く。注入体積を5μlにした。0.1秒のドゥエル時間を用いて0.5秒間に100から750まで走査することで高解像度質量スペクトル(飛行時間、TOF)を正イオン化モードのみで取得した。毛細管針の電圧を正イオン化モードの時には2.5kVにしそしてコーン電圧を20Vにした。ロックマス較正で用いた基準物質はロイシン−エンケファリンであった。
【0100】
LCMS方法6
一般的LCMS方法Bに加えて、YMC−Pack ODS−AQ、50x2.0mm、5μmのカラムを用いた逆相HPLCを流量を0.8ml/分にして実施した。2種類の可動相(可動相A:TFAが0.1%の水;可動相B:TFAが0.05%のアセトニトリル)を用いた。最初に100%のAを1分間保持した。次に、4分かけてAが40%でBが60%になるように勾配をかけて2.5分間保持した。用いた典型的注入体積は2μlであった。オーブンの温度を50℃にした(MS極性:正)。
【0101】
LCMS方法7
一般的LCMS方法Bに加えて、YMC−Pack ODS−AQ、50x2.0mm、5μmのカラムを用いた逆相HPLCを流量を0.8ml/分にして実施した。2種類の可動相(可動相A:TFAが0.1%の水;可動相B:TFAが0.05%のアセトニトリル)を用いた。最初にAが90%でBが10%を0.8分間保持した。次に、3.7分かけてAが20%でBが80%になるように勾配をかけて3分間保持した。用いた典型的注入体積は2μlであった。オーブンの温度を50℃にした(MS極性:正)。
【0102】
記述1
5,5,5−トリフルオロ−4−オキソ−3−フェニル−ペント−2−エン酸(D1)
【0103】
【化19】

【0104】
無水フェニルマレイン酸(18.7g、0.107モル)をアセトニトリル(180ml)に入れることで生じさせた溶液を窒素下0℃(氷/水/塩化ナトリウム浴、浴の温度−10℃)で撹拌しながらこれにCsF(18.6g、0.127モル)を加えた後、CFSiMe(18.58ml、0.127モル)を滴下した。その反応混合物を1時間撹拌した後、ジエチルエーテルで希釈し、そして2Mの水酸化ナトリウム(200ml)を用いた抽出を実施した。水層を分離してこれに濃塩酸を添加することで酸性にしてpH=1にした。その混合物にジクロロメタンを用いた抽出を受けさせた。その有機層を分離して乾燥(NaSO)させた後、溶媒を真空下で蒸発させることでD1(22.6g、86%)を異性体混合物(LCMSで80/11の比率)として得た。C11に必要な値:244;測定値:243(M−H)。
【0105】
記述2
5−フェニル−6−トリフルオロメチル−2H−ピリダジン−3−オン(D2)
【0106】
【化20】

【0107】
5,5,5−トリフルオロ−4−オキソ−3−フェニル−ペント−2−エン酸(D1)(22.6g、0.084モル)をアセトニトリル(150ml)と酢酸(15ml)の混合物に入れることで生じさせた溶液を撹拌しながらこれに水加ヒドラジン(7.75ml、0.148モル)を加えた。その反応混合物を還流に16時間加熱し、室温に冷却し、ジクロロメタンで希釈した後、0.5Mの塩酸(150ml)を用いた抽出を実施した。その有機層を分離して乾燥(NaSO)させた後、溶媒を真空下で蒸発させることでD2(20.7g、100%)を異性体混合物(LCMSで75/5の比率)として得た。C11Oに必要な値:240;測定値:239(M−H)
【0108】
記述3
6−クロロ−4−フェニル−3−トリフルオロメチル−ピリダジン(D3)
【0109】
【化21】

【0110】
5−フェニル−6−トリフルオロメチル−2H−ピリダジン−3−オン(D2)(20.66g、0.086モル)をアセトニトリル(150ml)に入れることで生じさせた溶液を撹拌しながらこれにオキシ塩化燐(20ml、0.215ミリモル)を加えた後、その反応物を還流に1時間加熱した。この時間が経過した後の反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液と氷とジクロロメタンの中に注ぎ込んだ。次に、更に固体状の炭酸水素ナトリウムを気体の発生が止むまで加えた。次に、その有機層を分離して乾燥(NaSO)させた後、溶媒を真空下で蒸発させた。次に、粗残留物をシリカゲルに通して濾過してジクロロメタンで溶離させることで主要ではない異性体を除去した。次に、溶媒を蒸発させた後、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ;0−25%の酢酸エチル/ヘプタン)で再精製することでD3(7.1g、32%)を得た。C11ClFに必要な値:258;測定値:259(MH)。
【0111】
記述4
4−(5−フェニル−6−トリフルオロメチル−ピリダジン−3−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(D4)
【0112】
【化22】

【0113】
6−クロロ−4−フェニル−3−トリフルオロメチル−ピリダジン(D3)(7.1g、0.0274モル)とN−Boc−ピペラジン(5.62g、0.0302モル)をアセトニトリル(150ml)に入れることで生じさせた溶液を撹拌しながらこれにジイソプロピルエチルアミン(5.1ml、0.0302モル)を加えた後、その混合物をマイクロ波照射下で150℃に20分間加熱した。この時間が経過した後の反応混合物をジクロロメタンで希釈した後、水を用いた抽出を実施した。その有機層を分離して乾燥(MgSO)させた後、溶媒を真空下で蒸発させた。粗残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカ:ヘプタン中20%の酢酸エチルに続いてジクロロメタン中10%の酢酸エチル)で精製した。溶媒を蒸発させた後、粗生成物をヘプタンから結晶化させることでD4(10.4g、93%)を得た。C2023に必要な値:408;測定値:409(MH)。
【0114】
記述5
5,5,5−トリフルオロ−3−(4−フルオロフェニル)−4−オキソ−ペント−2−エン酸(D5)
【0115】
【化23】

【0116】
無水4−フルオロフェニルマレイン酸(1.42g、7.39ミリモル)(Dean,W.D.;Bum,D.M.、J.Org.Chem.1993、58、7916−7917に記述されている手順と同様な手順で調製)をアセトニトリル(15ml)に入れることで生じさせた溶液を窒素下0℃(氷/水/塩化ナトリウム浴、浴の温度−10℃)で撹拌しながらこれにCsF(1.1g、7.39ミリモル)を加えた後、CFSiMe(1ml、7.39ミリモル)を滴下した。その反応混合物を1時間撹拌した後、ジエチルエーテルで希釈し、そして2Mの水酸化ナトリウム(200ml)を用いた抽出を実施した。有機層を除去した後、水層に濃塩酸を添加することで酸性にしてpH=1にした。その混合物にジクロロメタンを用いた抽出を受けさせ、その有機層を取り出し、乾燥(NaSO)させた後、溶媒を真空下で蒸発させることでD5(1.4g、72%)を異性体混合物として得た。C11に必要な値:262;測定値:261(M−H)
【0117】
記述6
5−(4−フルオロフェニル)−6−トリフルオロメチル−2H−ピリダジン−3−オン(D6)
【0118】
【化24】

【0119】
5,5,5−トリフルオロ−3−(4−フルオロフェニル)−4−オキソ−ペント−2−エン酸(D5)(1.4g、5.3ミリモル)をエタノール(10ml)と酢酸(1ml)の混合物に入れることで生じさせた溶液を撹拌しながらこれに水加ヒドラジン(0.49ml、9.33ミリモル)を加えた。その反応混合物を還流に16時間加熱し、室温に冷却し、ジクロロメタンで希釈した後、0.5Mの塩酸(150ml)を用いた抽出を実施した。その有機層を分離して乾燥(NaSO)させた後、溶媒を真空下で蒸発させることでD6(0.96g、70%)を異性体混合物として得た。C11Oに必要な値:258;測定値:259(MH)。
【0120】
記述7
6−クロロ−4−(4−フルオロフェニル)−3−トリフルオロメチル−ピリダジン(D7)
【0121】
【化25】

【0122】
5−(4−フルオロフェニル)−6−トリフルオロメチル−2H−ピリダジン−3−オン(D6)(0.96g、3.7ミリモル)をアセトニトリル(10ml)に入れることで生じさせた溶液を撹拌しながらこれにオキシ塩化燐(0.866ml、9.3ミリモル)を加えた後、その反応物をマイクロ波照射下180℃で30分間撹拌した。この時間が経過した後の反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液と氷とジクロロメタンの中に注ぎ込んだ。次に、更に固体状の炭酸水素ナトリウムを気体の発生が止むまで加えた。次に、その有機層を分離して乾燥(NaSO)させた後、溶媒を真空下で蒸発させることでD7(0.81g、79%)を得た。処理後に検出した必要ではない異性体の量は痕跡量のみであった。C11ClFに必要な値:276;測定値:277(MH)。
【0123】
記述8
4−[5−(4−フルオロフェニル)−6−トリフルオロメチル−ピリダジン−3−イル]−ピペラジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(D8)
【0124】
【化26】

【0125】
6−クロロ−4−(4−フルオロフェニル)−3−トリフルオロメチル−ピリダジン(D7)(0.81g、2.93ミリモル)とN−Boc−ピペラジン(0.818g、4.39ミリモル)をアセトニトリル(10ml)に入れることで生じさせた溶液を撹拌しながらこれにジイソプロピルエチルアミン(1ml、5.9ミリモル)を加えた後、その混合物をマイクロ波照射下80℃で30分間撹拌した。この時間が経過した後の反応混合物をジクロロメタンで希釈した後、水を用いた抽出を実施した。その有機層を分離して乾燥(MgSO)させた後、溶媒を真空下で蒸発させることでD8(1.27g、62%)を得た。C2022に必要な値:426;測定値:427(MH)。
【0126】
記述9
4−(6−トリフルオロメチル−ピリダジン−3−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(D9)
【0127】
【化27】

【0128】
6−クロロ−3−トリフルオロメチルピリダジン(0.666g、5.09ミリモル)(Goodman,A.J.;Stanforth,S.P;Tarbit B.、Tetrahedron 1999、55、15067−15070に記述されている手順に従って調製)とN−Boc−ピペラジン(1.138g、6.11ミリモル)とジイソプロピルエチルアミン(1.95ml、1.12ミリモル)をアセトニトリル(10ml)に入れることで生じさせた混合物をマイクロ波照射下180℃で30分間撹拌した。溶媒を真空下で蒸発させた後、その残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;ヘキサン/酢酸エチル)で精製することでD9(1.67g、99%)を明黄色の固体として得た。C1419に必要な値:332;測定値:333(MH)。
【0129】
記述10
4−(5−ヨード−6−トリフルオロメチル−ピリダジン−3−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(D10)
【0130】
【化28】

【0131】
ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M)(6.31ml、15.79ミリモル)をテトラヒドロフラン(125ml)に入れることで生じさせた0℃の混合物に2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(3.808ml、22.56ミリモル)を加えた。次に、その反応混合物を室温で1時間撹拌した。その混合物を−78℃に冷却した後、4−(6−トリフルオロメチル−ピリダジン−3−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(D9)(2.5g、7.52ミリモル)をテトラヒドロフラン(20ml)に入れることで生じさせた溶液を加えた。その混合物を−78℃で1時間撹拌した後、ヨウ素(2.29g、9.024ミリモル)をテトラヒドロフラン(10ml)に入れることで生じさせた溶液を加えた。その混合物を−78℃で1時間撹拌した後、テトラヒドロフラン中10%の酢酸溶液で希釈した。次に、その混合物を室温にした後、溶媒を真空下で蒸発させた。その残留物をジクロロメタンで希釈した後、水を用いた抽出を実施した。その有機層を分離して乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を真空下で蒸発させた。その残留物をジエチルエーテルから沈澱させることでD10(2.81g、82%)を明黄色の固体として得た。C1418INに必要な値:458;測定値:459(MH)。
【0132】
記述11
4−[5−(2−トリル)−6−トリフルオロメチル−ピリダジン−3−イル]−ピペラジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(D11)
【0133】
【化29】

【0134】
4−(5−ヨード−6−トリフルオロメチル−ピリダジン−3−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(D10)(0.20g、0.436ミリモル)とo−トリルホウ素酸(0.071g、0.523ミリモル)と1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)ジクロライド,ジクロロメタン(0.022g、0.026ミリモル)と1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(0.015g、0.026ミリモル)と燐酸カリウム(0.138g、0.654ミリモル)をジオキサン(8.5ml)に入れることで生じさせた混合物を80℃で16時間に続いて110℃で2日間撹拌した。次に、その混合物をケイソウ土の詰め物に通して濾過した後、溶媒を真空下で蒸発させた。その残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;ジクロロメタン/メタノールを70/30)で精製することでD11(0.089g、48%)を黄色の固体として得た。C2125に必要な値:422;測定値:423(MH)。
【0135】
記述12
4−[5−(4’−フルオロビフェニル−4−イル)−6−トリフルオロメチル−ピリダジン−3−イル]−ピペラジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(D12)
【0136】
【化30】

【0137】
4−[5−(4−ブロモフェニル)−6−トリフルオロメチル−ピリダジン−3−イル]−ピペラジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(0.2g、0.41ミリモル)(D8に記述した手順と同様な手順で調製)と4−フルオロベンゼンホウ素酸(0.069g、0.49ミリモル)とトランス−Pd(OAc)(CyNH)(0.015g、0.026ミリモル)(Tao,B.;Boykin,D.W.、Tetrahedron Lett.2003、44、7993−7996に記述されている手順に従って調製)と燐酸カリウム(0.261g、1.23ミリモル)をジオキサン(3ml)に入れることで生じさせた混合物を80℃で一晩撹拌した。次に、その反応混合物をジクロロメタンで希釈した後、飽和炭酸ナトリウム溶液を用いた抽出を実施した。その有機層を分離して乾燥(NaSO)させ、濾過した後、溶媒を真空下で蒸発させた。次に、その残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;ジクロロメタン/ヘプタンを3:7から10:0)で精製した。所望画分を集めた後、真空下で蒸発させることでD12(0.115g、56%)を得た。C2626に必要な値:502;測定値:503(MH)。
【0138】
記述13
4−(6−クロロ−5−フェニル−ピリダジン−3−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(D13)
【0139】
【化31】

【0140】
3,6−ジクロロ−4−フェニル−ピリダジン(0.41g、1.82ミリモル)(WO−2005/013907に記述されている手順に従って調製)とN−Boc−ピペラジン(0.509g、2.73ミリモル)とジイソプロピルエチルアミン(0.634ml、3.64ミリモル)をアセトニトリル(7.5ml)に入れることで生じさせた混合物をマイクロ波照射下180℃で40分間撹拌した後、更に30分間撹拌した。この時間が経過した後、追加的量のジイソプロピルエチルアミン(0.1ml、0.57ミリモル)およびN−Boc−ピペラジン(0.1g、0.54ミリモル)を加えて、その結果として得た混合物を180℃で40分間撹拌した。溶媒を真空下で蒸発させた後、ジクロロメタンおよび飽和塩化アンモニウム溶液を加えた。その有機層を分離して乾燥(NaSO)させ、濾過した後、溶媒を真空下で蒸発させた。次に、その残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;ジクロロメタンそしてヘプタン/酢酸エチルを8:2から7:3)で精製した。所望画分を集めた後、真空下で蒸発させることでD13(0.137g、20%)を白色の固体として得た。C1923ClNに必要な値:374;測定値:375(MH)。
【0141】
記述14
4−(6−シアノ−5−フェニル−ピリダジン−3−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(D14)
【0142】
【化32】

【0143】
シアン化亜鉛(0.077g、0.66ミリモル)とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.1g、0.09ミリモル)の混合物に4−(6−クロロ−5−フェニル−ピリダジン−3−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(D13)(0.137g、0.36ミリモル)をN,N−ジメチルホルムアミド(3.5ml)に入れることで生じさせた溶液を加えた。その結果として得た混合物をマイクロ波照射下160℃で30分間撹拌した。溶媒を真空下で蒸発させることでD14(0.133g、定量的)を得た。C2023に必要な値:365;測定値:366(MH)。
【0144】
記述15
4−[5−(5−クロロ−チオフェン−2−イル)−6−トリフルオロメチル−ピリダジン−3−イル]−ピペラジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(D15)
【0145】
【化33】

【0146】
4−(5−ヨード−6−トリフルオロメチル−ピリダジン−3−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(D10)(0.20g、0.436ミリモル)と5−クロロチオフェン−2−ホウ素酸(0.082g、0.51ミリモル)とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.024g、0.021ミリモル)と炭酸ナトリウム(0.103g、0.96ミリモル)をジメトキシエタン(3ml)と水(0.75ml)に入れることで生じさせた混合物を密封型管に入れて110℃で16時間撹拌した。次に、その混合物をケイソウ土の詰め物に通して濾過した後、溶媒を真空下で蒸発させた。その残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;ジクロロメタン/メタノール中10%のアンモニア(7M)をジクロロメタンに97/3になるように入れた)で精製することでD15(0.152g、67%)を黄色のシロップとして得た。C1820ClFSに必要な値:448;測定値:449(MH)。
【実施例1】
【0147】
4−フェニル−6−ピペラジン−1−イル−3−トリフルオロメチル−ピリダジン(E1)
【0148】
【化34】

【0149】
4−(5−フェニル−6−トリフルオロメチル−ピリダジン−3−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(D4)(1.8g、0.0044モル)をメタノール(125ml)に入れることで生じさせた溶液に酸形態のAmberlyst(商標)15イオン交換樹脂(4.1ミリモル/g)(5.3g、0.022モル)を加えた後、その反応混合物を室温で18時間振とうした。この時間が経過した後の混合物を濾過した後、メタノール中の飽和アンモニア溶液を加えた。その混合物を1時間振とうし、濾過した後、その濾液に蒸発を真空下で受けさせた。粗生成物をエーテル/ヘプタンから結晶化させることでE1(1.3g、96%)を得た。C1515に必要な値:308;測定値:309(MH)。
融点(エーテル/ヘプタン):130.7℃
H NMR(500MHz、クロロホルム−d)δppm:1.71(bs、1H)、3.01(t、J=5.20Hz、4H)、3.77(t、J=5.20Hz、4H)、6.71(s、1H)、7.29−7.37(m、2H)、7.42−7.49(m、3H)。
13C NMR(126MHz、クロロホルム−d)δppm:45.72(s、2CH)、45.76(s、2CH)、112.73(s、CH)、122.48(q、J=581Hz、C)、128.19(s、CH)、128.36(s、2CH)、129.01(s、CH)、135.66(s、C)、140.55(s、C)、141.03(s、C)、160.22(s、C)。
【実施例2】
【0150】
6−(4−エチルピペラジン−1−イル)−4−フェニル−3−トリフルオロメチル−ピリダジン(E2)
【0151】
【化35】

【0152】
4−フェニル−6−ピペラジン−1−イル−3−トリフルオロメチル−ピリダジン(E1)(0.15g、0.49ミリモル)をテトラヒドロフラン(5ml)に入れることで生じさせた混合物にアセトアルデヒド(55ml、0.97ミリモル)を加えた。その反
応混合物を室温で30分間撹拌した後、トリアセトキシホウ水素化ナトリウム(0.154g、0.73ミリモル)を加えた。その反応混合物を室温で16時間撹拌した。次に、更にアセトアルデヒド(55ml、0.97ミリモル)およびトリアセトキシホウ水素化ナトリウム(0.154g、0.73ミリモル)を加えた後の反応混合物を室温で4時間撹拌した。次に、ジクロロメタンを加えた後の混合物に飽和塩化アンモニウム溶液を用いた抽出を受けさせた。その有機相を分離して乾燥(NaSO)させ、濾過した後、溶媒を真空下で蒸発させた。その残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;酢酸エチル/メタノール中10%のアンモニア(7M)をジクロロメタンに10:0から8:2になるように入れた)で精製した。所望画分を集め、溶媒を真空下で蒸発させ、その残留物をアセトニトリルに溶解させた後、ジエチルエーテル中の飽和塩酸溶液を添加することで塩酸塩に変化させた。得た白色の固体を濾過した後、乾燥させることでE2(0.039g、21%)を得た。C1719・HCl;遊離塩基に必要な値:336;測定値:337(MH)。
融点:281.9℃
H NMR(500MHz、DMSO−d)δppm:1.28(t、J=7.22Hz、3H)、2.98−3.22(m、4H)、3.48−3.64(m、4H)、4.73(d、J=13.58Hz、2H)、7.32−7.46(m、3H)、7.46−7.60(m、3H)、11.26(br.s、1H)。
【実施例3】
【0153】
6−[4−(3,5−ジフルオロベンジル)ピペラジン−1−イル]−4−フェニル−3−トリフルオロメチル−ピリダジン(E3)
【0154】
【化36】

【0155】
4−フェニル−6−ピペラジン−1−イル−3−トリフルオロメチル−ピリダジン(E1)(0.050g、0.16ミリモル)と臭化3,5−ジフルオロベンジル(0.031ml、0.24ミリモル)とジイソプロピルエチルアミン(0.056ml、0.32ミリモル)をアセトニトリル(2ml)に入れることで生じさせた混合物をマイクロ波照射下100℃で10分間撹拌した。溶媒を真空下で蒸発させた後、ジクロロメタンおよび塩化アンモニウム(10%の水溶液)を加えた。その混合物をケイソウ土カートリッジに通して濾過した。次に、溶媒を真空下で蒸発させた後、その残留物をクロマトトロン(調製用の遠心分離加速ラジアル薄層クロマトグラフ)使用CC−TLC(遠心分離円形薄層クロマトグラフィー)で精製した。粗生成物をジエチルエーテル/ヘプタンから結晶化させることでE3(0.037g、52%)を固体として得た。C2219に必要な値:434;測定値:435(MH)。
融点:138.8℃
H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δppm:2.56−2.62(m、4H)、3.54(s、2H)、3.78−3.85(m、4H)、6.72(tt、J=8.91、2.28Hz、1H)、6.71(s、1H)、6.86−6.95(m、2H)、7.28−7.35(m、2H)、7.41−7.51(m、3H)。
【実施例4】
【0156】
シス−6−(3,5−ジメチルピペラジン−1−イル)−4−フェニル−3−トリフルオロメチル−ピリダジン(E4)
【0157】
【化37】

【0158】
6−クロロ−4−フェニル−3−トリフルオロメチル−ピリダジン(D3)(0.15g、0.58ミリモル)と2,6−シス−ジメチルピペラジン(0.097g、0.87ミリモル)とジイソプロピルエチルアミン(0.202ml、1.16ミリモル)をアセトニトリル(3ml)に入れることで生じさせた混合物をマイクロ波照射下180℃で30分間撹拌した。溶媒を真空下で蒸発させた後、ジクロロメタンおよび飽和塩化アンモニウム溶液を加えた。その混合物を濾過した後、溶媒を真空下で蒸発させた。その残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;メタノール中のアンモニア(7M)を1−3%/ジクロロメタン)で精製した。所望画分を集めた後、真空下で蒸発させた。そのようにして得た生成物をジエチルエーテル中の塩酸溶液(2M)で処理することで相当する塩E4(0.058g、27%;シス)を淡褐色の固体として得た。C1719・HCl;遊離塩基に必要な値:336;測定値:337(MH)。
融点(エーテル):285.4℃
H NMR(400MHz、DMSO−d)δppm:1.32(d、J=6.63Hz、6H)、3.08(dd、J=13.99、11.51Hz、2H)、3.30−3.41(m、2H)、4.76(d、J=13.27Hz、2H)、7.36−7.43(m、3H)、7.49−7.55(m、3H)、9.16−9.27(m、1H)、9.60(d、J=9.74Hz、1H)。
【実施例5】
【0159】
2−(5−フェニル−6−トリフルオロメチル−ピリダジン−3−イル)−オクタヒドロ−ピロロ[1,2−a]ピラジン(E5)
【0160】
【化38】

【0161】
6−クロロ−4−フェニル−3−トリフルオロメチル−ピリダジン(D3)(0.10g、0.39ミリモル)とオクタヒドロ−ピロロ(1,2−a)ピラジンのラセミ混合物(0.053g、0.42ミリモル)とジイソプロピルエチルアミン(0.103ml、0.585ミリモル)をアセトニトリル(3ml)に入れることで生じさせた混合物をマイクロ波照射下150℃で30分間撹拌した。次に、その反応混合物をジクロロメタン(
25ml)で希釈した後、飽和炭酸ナトリウム溶液(12ml)を用いた抽出を実施した。その有機層を分離して乾燥(NaSO)させ、濾過した後、溶媒を真空下で蒸発させた。次に、その残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;メタノール中のアンモニア(7M)を0−2.5%/ジクロロメタン)で精製した。所望画分を集めた後、真空下で蒸発させた。その残留物をアセトニトリル/ヘプタンから沈澱させた。その得た生成物をジエチルエーテル中の塩酸溶液(2M)で処理することで相当する塩E5(0.081g、54%)を白色の固体として得た。C1819・HCl;遊離塩基に必要な値:348;測定値:349(MH)。
融点:104.2℃
H NMR(500MHz、DMSO−d)δppm:1.71−2.25(m、3.5H)、2.88−3.01(m、0.5H)、3.06−3.19(m、0.5H)、3.19−3.60(m、4.5H)、3.65(d、J=11.85Hz、0.5H)、3.83−3.98(m、2H)、4.26−4.37(m、0.5H)、4.86(d、J=14.16Hz、0.5H)、5.00(d、J=13.29Hz、0.5H)、7.28(s、0.5H)、7.37−7.46(m、2.5H)、7.45−7.57(m、3H)、11.74(s、0.5H)、11.87(s、0.5H)。
【実施例6】
【0162】
4−(4−フルオロフェニル)−6−ピペラジン−1−イル−3−トリフルオロメチル−ピリダジン(E6)
【0163】
【化39】

【0164】
4−[5−(4−フルオロフェニル)−6−トリフルオロメチル−ピリダジン−3−イル]−ピペラジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(D8)(1.25g、2.93ミリモル)をメタノール(50ml)に入れることで生じさせた溶液に酸形態のAmberlyst(商標)15イオン交換樹脂(4.1ミリモル/g)(3.6g、14.64ミリモル)を加えた後、その反応混合物を室温で18時間振とうした。この時間が経過した後の混合物を濾過した後、メタノール中の飽和アンモニア溶液を加えた。その混合物を1時間振とうし、濾過した後、その濾液に蒸発を真空下で受けさせた。粗生成物をHPLCで精製した。所望画分を集めた後、真空下で蒸発させることでE6(0.507g、53%)を得た。C1514に必要な値:326;測定値:327(MH)。融点:137.4℃
H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δppm:1.67(br.s、1H)、2.99−3.05(m、4H)、3.74−3.82(m、4H)、6.68(s、1H)、7.15(t、J=8.71Hz、2H)、7.31(dd、J=8.50、5.39Hz、2H)。
【実施例7】
【0165】
6−ピペラジン−1−イル−4−チオフェン−3−イル−3−トリフルオロメチル−ピリダジン(E7)
【0166】
【化40】

【0167】
4−[5−(3−チエニル)−6−トリフルオロメチル−ピリダジン−3−イル]−ピペラジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(0.074g、0.18ミリモル)(D8に関して記述した手順と同様な手順で調製)をメタノール(5ml)に入れることで生じさせた溶液に酸形態のAmberlyst(商標)15イオン交換樹脂(4.1ミリモル/g)(0.218g、0.89ミリモル)を加えた後、その反応混合物を室温で18時間振とうした。この時間が経過した後の混合物を濾過した後、メタノール中の飽和アンモニア溶液を加えた。その混合物を1時間振とうし、濾過した後、その濾液に蒸発を真空下で受けさせた。粗生成物をエーテル/ヘプタンから結晶化させることでE7(0.049g、87%)を得た。C1313Sに必要な値:314;測定値:315(MH)。
融点(エーテル/ヘプタン):244.3℃
H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δppm:1.68(br.s、1H)、2.98−3.05(m、4H)、3.73−3.81(m、4H)、6.78(s、1H)、7.14−7.21(m、1H)、7.36−7.45(m、2H)。
【実施例8】
【0168】
6−ピペラジン−1−イル−4−o−トリル−3−トリフルオロメチル−ピリダジン(E8)
【0169】
【化41】

【0170】
4−[5−(2−トリル)−6−トリフルオロメチル−ピリダジン−3−イル]−ピペラジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(D11)(0.089g、0.21ミリモル)をメタノール(7ml)に入れることで生じさせた溶液に酸形態のAmberlyst(商標)15イオン交換樹脂(4.1ミリモル/g)(0.257g、1.05ミリモル)を加えた後、その反応混合物を室温で18時間振とうした。この時間が経過した後の混合物を濾過した後、メタノール中の飽和アンモニア溶液を加えた。その混合物を1時間振とうし、濾過した後、その濾液に蒸発を真空下で受けさせた。粗生成物をHPLCで精製し、所望画分を集めた後、真空下で蒸発させることでE8(0.026g、50%)を白色固体として得た。C1617に必要な値:322;測定値:323(MH)。
H NMR(400MHz、DMSO−d)δppm:2.05(s、3H)、2.74−2.83(m、4H)、3.37(br.s、1H)、3.62−3.72(m、4H)、7.15(t、J=3.63Hz、2H)、7.26(td、J=7.26、1.66Hz、1H)、7.31−7.38(m、2H)。
【実施例9】
【0171】
4−(4’−フルオロビフェニル−4−イル)−6−ピペラジン−1−イル−3−トリフルオロメチル−ピリダジン(E9)
【0172】
【化42】

【0173】
4−[5−(4’−フルオロビフェニル−4−イル)−6−トリフルオロメチル−ピリダジン−3−イル]−ピペラジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(D12)(0.115g、0.23ミリモル)とトリフルオロ酢酸(2ml)をジクロロメタン(8ml)に入れることで生じさせた混合物を室温で2時間撹拌した。溶媒を真空下で蒸発させた後、ジクロロメタンおよび飽和炭酸ナトリウム溶液を加えた。その有機層を分離して乾燥(NaSO)させ、濾過した後、溶媒を真空下で蒸発させた。次に、その残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;メタノール中のアンモニア(7M)を1−3%/ジクロロメタン)で精製した。所望画分を集めた後、真空下で蒸発させることでE9(0.084g、91%)を得た。C2118に必要な値:402;測定値:403(MH)。
融点:161.9℃
H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δppm:1.72(br.s、1H)、2.99−3.05(m、4H)、3.75−3.82(m、4H)、6.74(s、1H)、7.13−7.20(m、2H)、7.40(d、J=8.29Hz、2H)、7.57−7.64(m、4H)。
【実施例10】
【0174】
4−フェニル−6−ピペラジン−1−イル−ピリダジン−3−カルボニトリル(E10)
【0175】
【化43】

【0176】
4−(6−シアノ−5−フェニル−ピリダジン−3−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(D14)(0.133g、0.37ミリモル)をメタノール(10ml)に入れることで生じさせた溶液に酸形態のAmberlyst(商標)15イオン交換樹脂(4.1ミリモル/g)(1.3g、5.3ミリモル)を加えた後、その反応混合物を室温で18時間振とうした。この時間が経過した後の混合物を濾過した後、メタノール中の飽和アンモニア溶液を加えた。その混合物を1時間振とうし、濾過した後、その濾液に蒸発を真空下で受けさせた。その残留物をHPLCで精製した。所望画分を集めた後、真空下で蒸発させることでE10(0.06989g、72%)を白色固体として得た。C1515に必要な値:265;測定値:266(MH)。
融点:271.6℃
H NMR(400MHz、DMSO−d)δppm:2.77−2.84(m、4H)、3.34(br.s、1H)、3.71−3.80(m、4H)、7.29(s、1H)、7.55−7.61(m、3H)、7.66−7.22(m、2H)。
【0177】
[実施例27]
4−(5−クロロ−チオフェン−2−イル)−6−ピペラジン−1−イル−3−トリフルオロメチル−ピリダジン(E27)
【0178】
【化44】

【0179】
4−[5−(5−クロロ−チオフェン−2−イル)−6−トリフルオロメチル−ピリダジン−3−イル]−ピペラジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(D15)(0.114g、0.25ミリモル)をメタノール(10ml)に入れることで生じさせた溶液に酸形態のAmberlyst(商標)15イオン交換樹脂(4.1ミリモル/g)(0.305g、1.25ミリモル)を加えた後、その反応混合物を室温で18時間振とうした。この時間が経過した後の混合物を濾過した後、メタノール中の飽和アンモニア溶液を加えた。その混合物を1時間振とうし、濾過した後、その濾液に蒸発を真空下で受けさせた。次に、その残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;メタノール中のアンモニア(7M)を3%/ジクロロメタン)で精製した。所望画分を集めた後、真空下で蒸発させた。粗生成物をジエチルエーテル中2Mの塩酸溶液に溶解させた後、その混合物を室温で16時間撹拌した。溶媒を真空下で蒸発させた。得た固体をジエチルエーテルを用いてすり潰すことでE27(0.062g、87%)を得た。C1312ClFSに必要な値:348;測定値:349(MH)。
融点:分解
H NMR(500MHz、DMSO−d)δppm:3.24(br.s、4H)、4.07(d、J=5.2Hz、4H)、7.23(d、J=3.8Hz、1H)、7.26(d、J=3.8Hz、1H)、7.41(s、1H)、9.45(br.s、2H)。
【0180】
[実施例40]
4−フェニル−6−ピペラジン−1−イル−3−トリフルオロメチル−ピリダジンの一塩酸塩(E40)
【0181】
【化45】

【0182】
E1(16g、51.90ミリモル)を2−ブタノン(400ml)に入れることで生じさせた溶液を50℃に温めてこれに2−プロパノール中の塩酸(6N、51.90ミリモル)を滴下した。その混合物を還流温度に90分間加熱することに続いて50℃で2時間撹拌した後、更に室温で一晩撹拌した。沈澱した結晶を濾過で取り出した後、真空下45℃で乾燥させることでE40(10.4g、58%)を得た。
融点:>185℃(分解)
【0183】
以下に示す実施例(E11−E19)の調製を実施例(E6)で記述した手順と同様な手順を用いて実施した。実施例(E20)の調製を記述(D13)に脱保護を実施例(E1)に関して報告した手順と同様な手順に従って受けさせることで実施した。実施例(E28)の調製を(E27)と同様であるが炭酸カリウムを塩基として用いかつ1,4−ジオキサンを溶媒として用いることで実施した。実施例(E29)(トルエン/エタノール/HO)、(E30)(トルエン/エタノール/HO)、(E31)(1,4−ジオキサン/HO)、(E32)(1,4−ジオキサン/HO)、(E33)(1,4−ジオキサン/HO)、(E34)(1,4−ジオキサン/HO)および(E35)(1,4−ジオキサン/HO)の調製を実施例(E27)に関して記述した手順と同様であるが各場合ともそれぞれ指定した溶媒を用いて実施した。実施例(E18、E27、E28、E31、E32、E33およびE34)を塩酸塩として単離した。
【0184】
縦列M.Wt遊離塩基に示す値は最も豊富に存在する同位体の正確な質量を用いて計算した正確な質量である。
【0185】
【表1】

【0186】
【表2】

【0187】
【表3】

【0188】
実施例(E21)の調製を(E3)に関して記述した手順と同様な手順を用いて実施し、実施例(E22、E24およびE25)の調製を(E2)に関して記述した手順と同様な手順を用いて実施し、(E23)の調製を(E1)に(1−エトキシシクロプロポキシ)トリメチルシランを用いた還元アミノ化をGillaspy,M.L.;Lefker,B.A.;Hada,W.A.;Hoover,D.J.、Tetrahedron Letters 1995、36、7399−7402に記述されている手順に従って受けさせることで実施し、実施例(E26)の調製を(E4)に関して記述した手順と同様な手順を用いて実施し、そして実施例(E36、E37、E38およびE39)の調製を(E2)と同様な手順であるがそれぞれE1の塩酸塩を出発材料として用い、ジクロロメタンを溶媒として用いそしてトリエンアミンを用いることで実施した。実施例(E2)、(E4)、(E5)、(E22)および(E26)を塩酸塩として単離した。実施例(E5)および(E26)(トランス)をラセミ混合物として得た。
【0189】
【表4】

【0190】
【表5】

【0191】
薬理学
ヒトD2受容体に対するインビトロ結合親和性
ヒトドーパミンD2受容体トランスフェクトCHO細胞の凍結膜を解凍させ、Ultra−Turrax T25ホモジナイザーを用いて短時間均一にした後、検定用Tris−HCl緩衝液[NaCl、CaCl、MgCl、KClをそれぞれ50、120、2、1および5mM含有し、HClでpH7.7に調整]中で特異的結合および非特異的結合に最適な適切な蛋白質濃度になるように希釈した。放射性リガンドである[H]スピペロン(NEN、比活性〜70Ci/ミリモル)を検定用緩衝液中で2nモル/Lの濃度になるように希釈した。次に、調製した放射性リガンド(50μl)を対照である10%のDMSO、Butaclamol(10−6モル/lの最終濃度)または興味の持たれる化合物のいずれか(50μl)と一緒にして400μlの前記調製した膜溶液と一緒にインキュベート(30分間、37℃)した。放射能が結合した膜をPackard Filtermate収穫装置に通して濾過してGF/B Unifilterplatesの上に置いた後、氷冷Tris−HCl緩衝液(50mM;pH7.7;6x0.5ml)で洗浄した。フィルターを乾燥させた後、シンチレーション流体を添加して、Topcountシンチレーションカウンターを用いて計数を実施した。特異的結合パーセントおよび競合結合曲線の計算をS−Plusソフトウエア(Insightful)を用いて実施した。大部分の化合物が>5.0のpIC50値を示した。
【0192】
迅速解離
10μM未満のIC50を示す化合物にJosee E.LeysenおよびWalter Gommeren、Journal of Receptor Research、1984、4(7)、817−845に公開されている方法から採用した間接的検定を用いた試験を受けさせることでそれらが示す解離速度を評価した。最初に、化合物をこれが示すIC50の4倍の濃度で用いて、それを2mlの体積のヒトD2L受容体細胞膜と一緒に25℃で1時間インキュベートした後、ガラス繊維フィルターの上に置いて40穴マルチビダー(multividor)を用いた吸引下で濾過した。その後直ちに真空を解放した。[H]スピペロンを1nM入れて前以て温め(25℃)ておいた緩衝液(0.4ml)を前記フィルターの上に加えて5分間置いた。真空を開始して直ちに2x5mlの氷冷緩衝液を用いた濯ぎを行うことでインキュベーションを停止させた。フィルターに結合した放射能の測定を液体シンチレーションスペクトロメーターを用いて実施した。この検定の原理は、ある化合物がD2受容体から解離する速度が速ければ速いほど[H]スピペロンがD2受容体と速く結合すると言った仮定が基になっている。例えばD2受容体を1850nM(4xIC50)の濃度のクロザピンと一緒にインキュベートすると、フィルター上で5分間インキュベートした後の[H]スピペロンの結合はそれの総結合能力(薬剤存在無しで測定)の60−70%に相当する。[H]スピペロンを他の抗精神病薬と一緒にインキュベートした時の結合は20から50%の範囲に渡って多様である。クロザピンを各濾過実験に含めたことから、試験を受けさせた化合物がクロザピンと同じほどか或はそれよりも速く解離するならば、それらは迅速解離性D2拮抗薬であると見なした。試験を受けさせた大部分の化合物が示した解離速度はクロザピンが示したそれよりも速かった(即ち>50%)。
【0193】
ヒトD3受容体に対するインビトロ結合親和性
ヒトドーパミンD3受容体トランスフェクトCHO細胞の凍結膜を解凍させ、Ultra−Turrax T25ホモジナイザーを用いて短時間均一にした後、50mMの検定用Tris−HCl緩衝液[NaClを120mM、CaClを2mM、MgClを1mM、KClを5mMおよびBSAを0.1%含有(HClでpH7.4に調整)]中で特異的結合および非特異的結合に最適な適切な蛋白質濃度になるように希釈した。放射性リガンドである[125I]ヨードスルプリド(Amersham、比活性〜2000Ci/ミリモル)を検定用緩衝液中で2nMの濃度になるように希釈した。次に、調製した放射性リガンド(20μl)を対照である10%のDMSO、リスペリドン(10−6Mの最終濃度)または興味の持たれる化合物のいずれか(40μl)と一緒にして70μlの前記調製した膜溶液および70μlのWGA被覆PVTビード(穴1個当たり0.25mgの最終濃度)と一緒にインキュベートした。振とうを室温で24時間行った後のプレートに計数をTopcount(商標)シンチレーションカウンターを用いて受けさせた。特異的結合パーセントおよび競合結合曲線の計算をS−Plusソフトウエア(Insightful)を用いて実施した。
【0194】
ヒト5HT6受容体に対するインビトロ結合親和性
ヒトセロトニン5HT6受容体トランスフェクトHEK細胞の凍結膜を解凍させ、Ultra−Turrax T25ホモジナイザーを用いて短時間均一にした後、50mMの検定用Tris−HCl緩衝液[MgClを10mM、EDTAを1mMおよびパーギリンを10μM含有(HClでpH7.4に調整)]中で特異的結合および非特異的結合に最適な適切な蛋白質濃度になるように希釈した。放射性リガンドである[H]リセルグ酸ジエチルアミド(Perkin Elmer、比活性〜80Ci/ミリモル)を検定用緩衝液中で20nMの濃度になるように希釈した。次に、放射性リガンド(20μl)を対照である10%のDMSO、Methiothepine(10−5Mの最終濃度)または興味の持たれる化合物のいずれか(40μl)と一緒にして70μlの前記調製した膜溶液および70μlのWGA被覆PVTビード(穴1個当たり0.25mgの最終濃度)と一緒にインキュベートした。振とうを室温で24時間行った後のプレートに計数をTopcount(商標)シンチレーションカウンターを用いて受けさせた。特異的結合パーセントおよび競合結合曲線の計算をS−Plusソフトウエア(Insightful)を用いて実施した。
【0195】
【表6】

【0196】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、
は、クロロ、トリフルオロメチルまたはシアノであり、
は、フェニル;各々がハロ、シアノ、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ、C1−4アルキルスルホニル、パーフルオロC1−4アルキル、パーフルオロC1−4アルキルオキシ、ジC1−4アルキルアミノ、ヒドロキシおよび場合により各々がハロ、C1−4アルキルおよびパーフルオロC1−4アルキルから成る群より独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいフェニルから成る群より独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されているフェニル;チエニル;各々がハロおよびC1−4アルキルから成る群より独立して選択される1または2個の置換基で置換されているチエニル;ナフチル;ピリジニル;ピロリル;ベンゾチアゾリル;インドリル;キノリニル;C3−8シクロアルキルまたはC5−7シクロアルケニルであり、
は、水素、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシまたはハロであり、
およびRは、各々独立して、水素またはC1−4アルキルであるか、或はRとRが一緒になってC1−4アルカンジイルを形成しており、
nは、1または2であり、そして
は、水素、C1−4アルキル、ヒドロキシC2−4アルキル、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルキルC1−4アルキル、ピリジニルメチル、または場合によりフェニルが各々がハロ、シアノ、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ、C1−4アルキルスルホニル、パーフルオロC1−4アルキル、パーフルオロC1−4アルキルオキシおよびジC1−4アルキルアミノから成る群より独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいフェニルメチルであるか、或はRとRが一緒になってC2−5アルカンジイルを形成している]
で表される化合物またはこれの立体異性体形態物または製薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項2】
がクロロ、トリフルオロメチルまたはシアノであり、
がフェニル;各々がハロ、シアノ、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ、C1−4アルキルスルホニル、パーフルオロC1−4アルキル、パーフルオロC1−4アルキルオキシ、ジC1−4アルキルアミノ、ヒドロキシおよび各々がハロ、C1−4アルキルおよびパーフルオロC1−4アルキルから成る群より独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されているフェニルから成る群より独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されているフェニル;チエニル;各々がハロおよびC1−4アルキルから成る群より独立して選択される1または2個の置換基で置換されているチエニル;ナフチル;ピリジニル;ピロリル;ベンゾチアゾリル;インドリル;キノリニル;C3−8シクロアルキルまたはC5−7シクロアルケニルであり、
が水素、C1−4アルキルまたはハロであり、
およびRが各々独立して水素またはC1−4アルキルであるか、或はRとRが一緒になってC1−4アルカンジイルを形成しており、
nが1または2であり、そして
が水素、C1−4アルキル、ヒドロキシC2−4アルキル、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルキルC1−4アルキル、またはフェニルが各々がハロ、シアノ、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ、C1−4アルキルスルホニル、パーフルオロC1−4アルキル、パーフルオロC1−4アルキルオキシおよびジC1−4アルキルアミノから成る群より独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されているフェニルメチルであるか、或はRとRが一緒になってC2−5アルカンジイルを形成している、
請求項1記載の化合物またはこれの製薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項3】
がトリフルオロメチルまたはシアノであり、
がフェニル;各々がハロ、シアノ、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ、C1−4アルキルスルホニル、パーフルオロC1−4アルキル、ジC1−4アルキルアミノ、ヒドロキシおよび各々がハロ、C1−4アルキルおよびパーフルオロC1−4アルキルから成る群より独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されているフェニルから成る群より独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されているフェニル;チエニル;各々がハロおよびC1−4アルキルから成る群より独立して選択される1または2個の置換基で置換されているチエニル;ナフチル;ピリジニル;ピロリル;ベンゾチアゾリル;インドリル;キノリニル;C3−8シクロアルキルまたはC5−7シクロアルケニルであり、
が水素であり、
およびRが各々独立して水素またはC1−4アルキルであり、
nが1であり、
が水素、メチル、エチル、シクロプロピル、またはフェニルが各々がハロ、シアノ、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ、C1−4アルキルスルホニル、パーフルオロC1−4アルキルおよびジC1−4アルキルアミノから成る群より独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されているフェニルメチルであるか、或はRとRが一緒になってC2−5アルカンジイルを形成している、
請求項1記載の化合物またはこれの製薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項4】
がトリフルオロメチルであり、
がフェニル;各々がハロ、シアノ、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ、C1−4アルキルスルホニル、パーフルオロC1−4アルキル、ジC1−4アルキルアミノ、ヒドロキシおよび各々がハロ、C1−4アルキルおよびパーフルオロC1−4アルキルから成る群より独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されているフェニルから成る群より独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されているフェニル;チエニル;各々がハロおよびC1−4アルキルから成る群より独立して選択される1または2個の置換基で置換されているチエニル;ナフチル;ピリジニル;ピロリル;ベンゾチアゾリル;インドリル;キノリニル;C3−8シクロアルキルまたはC5−7シクロアルケニルであり、
が水素であり、
およびRが各々独立して水素またはメチルであり、
nが1であり、
が水素、エチルまたは(3,5−ジフルオロフェニル)メチルであるか、或は
とRが一緒になって1,3−プロパンジイルを形成している、
請求項1記載の化合物またはこれの製薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項5】
4−フェニル−6−ピペラジン−1−イル−3−トリフルオロメチル−ピリダジンである請求項1記載の化合物。
【請求項6】
4−フェニル−6−ピペラジン−1−イル−3−トリフルオロメチル−ピリダジンの一
塩酸塩である請求項1記載の化合物。
【請求項7】
請求項1記載の化合物を治療的に有効な量で含有して成る製薬学的組成物。
【請求項8】
薬剤として用いるための請求項1記載の化合物。
【請求項9】
抗精神病薬として用いるための請求項8記載の化合物。
【請求項10】
統合失調症、統合失調症様障害、統合失調性感情障害、妄想性障害、短期精神病性障害、共有精神病性障害、一般身体疾患による精神病性障害、物質誘発性精神病性障害、特定不能精神病性障害、認知症関連精神病、大鬱病性障害、気分変調性障害、月経前気分不快障害、特定不能鬱病性障害、双極性I型障害、双極性II型障害、気分循環性障害、特定不能双極性障害、一般身体疾患による気分障害、物質誘発性気分障害、特定不能気分障害、全般性不安障害、強迫性障害、パニック障害、急性ストレス障害、心的外傷後ストレス障害、精神遅滞、広汎性発達障害、注意欠陥障害、注意欠陥/多動性障害、破壊的行動障害、妄想型人格障害、分裂病型人格障害、統合失調症型人格障害、チック障害、トゥレット・シンドローム、物質依存、物質乱用、薬物離脱、抜毛癖、認知に障害がある状態、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、レヴィー小体認知症、HIV病による認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病による認知症、健忘障害、軽度認知障害、加齢関連認知低下、摂食障害、例えば拒食症および過食症など、および肥満症を治療または予防する時の薬剤として用いるための請求項8記載の化合物。

【公表番号】特表2010−518051(P2010−518051A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−548697(P2009−548697)
【出願日】平成20年2月11日(2008.2.11)
【国際出願番号】PCT/EP2008/051597
【国際公開番号】WO2008/098892
【国際公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】