説明

近接センサーを用いた感知装置及び携帯端末機の近接センサー利用方法

【課題】近接センサー用いた感知装置及び携帯端末機の近接センサー利用方法を提供する。
【解決手段】本発明の近接センサーを用いた感知装置は、外部物体の近接の有無を感知する近接センサーと、近接センサーの上部に近接して配置され、近接センサーの発光部から放射された光が透過する第1透過口、及び外部物体で反射されて近接センサーの受光部に入ってくる光が透過する第2透過口が形成されたレンズ本体と、第1透過口及び第2透過口の端縁を囲むように、レンズ本体の内部に形成された反射膜を含むレンズ部と、を備え、レンズ本体と反射膜とは、二重射出成形によって一体で製作される。ここで、近接センサーの上部に設けられたレンズ部を、透明なレンズ本体の内部に不透明な反射膜を形成する構造にすることによって、近接センサーの誤作動を防止し、近接センサーが外部物体の近接の有無を感知する正確度を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近接センサーを用いた感知装置及び携帯端末機の近接センサー利用方法に関し、より詳細には、近接センサーの誤作動を防止できる近接センサーを用いた感知装置及び携帯端末機の近接センサー利用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、携帯端末機とは、ユーザが、時間や場所にとらわれることなく、自由に無線通信、ネットワーク接続、デジタル放送受信等の機能を利用することができる電子機器である。最近の携帯端末機は、通信機能はもちろん、インターネット接続、デジタル放送受信等の機能を遂行できるように開発されている。また、携帯端末機に、文書作成、ゲーム等の機能も追加されている。
【0003】
近年、携帯端末機は、ユーザの要求に合わせて、益々小型化、スリム化されている。このような傾向に合わせて、体積の大きい従来のボタン式入力装置の問題点を解決するための新しい入力装置に関心が高まっている。特に、従来の入力方式とは完全に異なるタッチスクリーンを用いた入力方式が注目を浴びている。
【0004】
一般的に、タッチスクリーンは、各種のディスプレーを利用する情報通信機器とユーザ間のインターフェースを構成する入力装置の一つであり、ユーザが手やペン等の入力ツールを画面に直接タッチすることで、情報通信機器とユーザ間のインターフェースを可能にする。タッチスクリーンは、指、ペン等の入力ツールを接触することだけで、誰でも簡単に使用できるため、ATM(Automated Teller Machine)、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話等の多様な機器、及び銀行、官庁、観光及び交通案内等の多くの分野で活用されている。
【0005】
このようなタッチスクリーンは、抵抗膜方式、静電容量方式、超音波方式、赤外線方式、表面弾性波方式等の多様な方式を使用することができるが、費用が安く、指、ペン等の多様な入力ツールを使用できる抵抗膜方式が主に使用されている。
【0006】
一方、タッチスクリーンを備える携帯端末機の場合、ユーザが通話をするために携帯端末機を耳に当てた場合、ユーザの耳や頬が携帯端末機のタッチスクリーンに接触して誤作動を起す場合がある。そのため、これを防止するために、近接センサー等を用いて、ユーザの耳や頬が近づくことを感知し、タッチスクリーンの誤作動を防止している。
【0007】
一般的に、近接センサーの上部は、携帯端末機の内部が外部に露出しないように、平面レンズやガラスシート等で覆われているが、このような平面レンズ等は透明な材質で形成されているため、近接センサーから放射された光が平面レンズ等の表面や内部で乱反射を起こし、近接センサーが誤作動してユーザの耳や頬が近づいてくると誤認するという問題点があった。このような問題を解決するためには、近接センサーの発光部の電力を減らさなければならないが、この場合、外部物体の認識距離が短くなるという問題点があった。
【0008】
従って、外部物体の近接の有無を感知する近接センサーの誤作動を防止する近接センサーを用いた感知装置、及びこれを備える携帯端末機が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、外部物体の近接の有無を感知する近接センサーの誤作動を防止する近接センサーを用いた感知装置及び携帯端末機の近接センサー利用方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するためになされた本発明の近接センサーを用いた感知装置は、外部物体の近接の有無を感知する近接センサーと、前記近接センサーの上部に近接して配置され、前記近接センサーの発光部から放射された光が透過する第1透過口、及び前記外部物体で反射されて前記近接センサーの受光部に入ってくる光が透過する第2透過口が形成されたレンズ本体と、前記第1透過口及び前記第2透過口の端縁を囲むように、前記レンズ本体の内部に形成された反射膜を含むレンズ部と、を備え、前記レンズ本体と前記反射膜とは、二重射出成形によって一体で製作されることを特徴とする。
【0011】
また、上記目的を達成するためになされた本発明の携帯端末機の近接センサー利用方法は、レンズ部と近接センサーとを含む携帯端末機において、前記レンズ部は、レンズ本体と反射膜とを含み、前記携帯端末機の近接センサー利用方法であって、前記レンズ本体内の第1透過口を介して前記近接センサーの発光部から放射された光を通過させるステップと、前記レンズ本体内の第2透過口を介して前記外部物体で反射された光を受け入れ、前記近接センサーの受光部に入るようにするステップと、を有し、前記レンズ本体と前記反射膜とは、二重射出成形によって一体で製作され、前記反射膜は、前記第1透過口及び前記第2透過口の端縁を囲むように、前記レンズ本体の内部に形成されることを特徴とする。
【0012】
本発明のその他の具体的な特徴は、詳細な説明及び図面に含まれている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の近接センサーを用いた感知装置及び携帯端末機の近接センサー利用方法によれば、近接センサーの上部に設けられるレンズ部を、透明なレンズ本体の内部に不透明な反射膜を形成する構造にすることによって、近接センサーの誤作動を防止し、近接センサーが外部物体の近接の有無を感知する正確度を高めることができる。
また、本発明によれば、レンズ部のレンズ本体と反射膜とを二重射出成形によって一体で製作することによって、近接センサーを用いた感知装置の構造を単純化することができ、費用を低減することができる。
また、近接センサーの発光部から最大電力を使って光を放射することができるため、近接センサーが認識できる近接距離を増やすことができ、近接距離が同一である場合、近接センサーの動作に必要な電力消耗を低減することができる。
また、レンズ本体の透過口の上段部又は下段部に透過口カバーを設けることによって、携帯端末機の内部が外部に露出することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】一般的なスライド型携帯端末機の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態による近接センサーを用いた感知装置の構成を概略的に示す図面である。
【図3】本発明の一実施形態による近接センサーを用いた感知装置のレンズ部の構成を示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態による近接センサーを用いた感知装置のレンズ部の構成を示す斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態による近接センサーを用いた感知装置のレンズ部を構成するレンズ本体の構造を示す斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態による近接センサーを用いた感知装置のレンズ部を構成するレンズ本体の構造を示す斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態による近接センサーを用いた感知装置のレンズ部を成している反射膜の構成を示す斜視図である。
【図8】本発明の一実施形態による近接センサーを用いた感知装置のレンズ部を成している反射膜の構成を示す斜視図である。
【図9】本発明の一実施形態による近接センサーを用いた感知装置のレンズ部において、第1透過口及び第2透過口に第1透過口カバー及び第2透過口カバーが設けられた様子を示す斜視図である。
【図10】本発明の一実施形態による近接センサーを用いた感知装置のレンズ部において、第1透過口及び第2透過口に第1透過口カバー及び第2透過口カバーが設けられた様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が、本発明を容易に実施できる程度に、本発明の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
実施形態を説明する上で、本発明の属する技術分野において、既に十分知られており、本発明と直接的に関連のない技術内容については説明を省略する。これは、不要な説明を省略することによって、本発明の要旨を曖昧にすることなく、より明確に伝えるためである。
【0017】
同様に、図面において、一部の構成要素は、誇張又は省略し、概略的に示している。また、各構成要素のサイズは、実際のサイズを全面的に反映してはいない。各図面において、同一又は対応する構成要素には同一の参照番号を付してある。
【0018】
以下、本発明の近接センサーを用いた感知装置及び携帯端末機の近接センサー利用方法を実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
本発明の詳細な説明に先立ち、以下では、説明を容易にするため、本発明の実施形態による携帯端末機を、移動通信端末機として説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。即ち、本発明の実施形態による携帯端末機は、近接センサーを用いた感知装置を備える端末機であり、好ましくは、移動通信端末機、移動電話機、個人情報端末機(PDA:Personal Digital Assistant)、スマートフォーン(Smart Phone)、IMT−2000(International Mobile Telecommunication 2000)端末機、CDMA(Code Division Multiple Access)端末機、WCDMA(Wideband Code Division Multiple Access)端末機、GSM(Global System for Mobile communication)端末機、GPRS(General Packet Radio Service)端末機、EDGE(Enhanced Data GSM Evironment)端末機、UMTS(Universal Mobile Telecommunication Service)端末機、及びデジタル放送(Digital Broadcasting)端末機、ATM(Automated Teller Machine)等のすべての情報通信機器及びマルチメディア機器と、その応用にも適用できることは勿論である。
【0020】
図1は、一般的なスライド型携帯端末機の構成を示す斜視図である。
【0021】
図1に示すように、一般的なスライド型携帯端末機1は、前面にディスプレー部11を含む上部ケース10と、キー入力部21を含む下部ケース20とから構成される。上部ケース10は、下部ケース20の上でスライドして上下に移動することができる。この時、上部ケース10又は下部ケース20は、上部ケース10がスライドして移動できるように案内するスライド部(図示しない)を含むことができる。一方、本発明の実施形態では、スライド型携帯端末機を例として説明するが、これに限定されず、回転型(Rotating type)携帯端末機又はスライド型と回転型との組合せ型(Combination type)携帯端末機にも適用することができる。
【0022】
ディスプレー部11は、ユーザが求める画面を出力したり、ユーザから命令を入力されたりするユーザインターフェース(User Interface)の役割をすることができる。このようなディスプレー部11には、LCD(Liquid Crystal Display)、OLED(Organic Light Emitting Diodes)、TFT(Thin Film Transistor)、電気泳動(Electrophoretic)、LITI(Laser Induced Thermal Image)技術等を利用することができる。LCDとは、印加電圧による液晶の透過度の変化を利用して各種装置で発生する様々な電気的情報を視覚情報に変化させて伝達する電気素子である。また、OLEDとは、蛍光性有機化合物に電流が流れると光を出す電界発光現象を利用して自ら光を出す自体発光型有機物質をいう。
【0023】
一方、図1に示すように、下部ケース20の上部面には、ユーザから操作命令が入力されるキー入力部21を形成することができ、上部ケース10がスライドして移動すると外部に露出するようになる。一方、図1では、上部ケース10の上部面全体がディスプレー部11からなる例を示しているが、上部ケース10の下段部又は側部に、ユーザから操作命令が入力される補助キー入力部(図示しない)を形成することができる。このような補助キー入力部21は、上部ケース10と下部ケース20とが結合した場合、ユーザから入力されるための最低限の機能キーで構成することができる。
【0024】
図1に示すように、携帯端末機1は、上部ケース10の上段部に設けられて音声信号を出力する受話部12と、下部ケース20の下段部に設けられて音声信号を入力する送話部22とを備えることができる。ユーザは、受話部12を耳に当てて相手から受信した音声信号を聞くことができ、送話部22に口を当てて話すことで相手に音声信号を伝達することができる。
【0025】
一方、受話部12と隣接した位置には感知装置100を備えることができる。感知装置100は、外部物体の接近を感知してディスプレー部11からの入力を許容又は遮断する役割をすることができる。例えば、ユーザが通話をするために携帯端末機1を耳に当てた場合、ユーザの耳や頬が携帯端末機1のタッチスクリーンに接触し、これをユーザの命令の入力として認識して、誤作動を起す場合が発生し得る。従って、ユーザが通話をするために携帯端末機1を耳に当てた場合、感知装置100は、これを感知してディスプレー部11からの入力を遮断することによってタッチスクリーンの誤作動を防止することができる。感知装置100の構造については、以下、図2〜図10を参照して詳細に後述する。
【0026】
図1に示すように、本発明は、上部ケース10の上部面にタッチスクリーン(Touch Screen)形態のディスプレー部11を備えるスライド型(Sliding Type)の携帯端末機1に適用することができる。ここで、携帯端末機1は、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)、PMP(Portable Multimedia Player)、ナビゲーション(navigation)機器、デジタル放送受信機等のような各種の携帯用電子機器装置を意味する。
【0027】
図2は、本発明の一実施形態による近接センサーを用いた感知装置の構成を概略的に示す図面である。
【0028】
図2に示すように、感知装置100は、外部物体の近接の有無を感知する近接センサー110と、近接センサー110の上部に設けられるレンズ部120とを含んで構成することができる。感知装置100は、携帯端末機1の上段部、例えば、受話部12と隣接した位置に設けることができる。
【0029】
図2に示すように、近接センサー110(Proximity Sensor)は、発光部111、受光部112、及び遮断膜113で構成することができ、携帯端末機1の内部に装着された電子回路基板130上に設けることができる。近接センサー110は、外部物体の近接の有無を感知し、ディスプレー部11からのユーザ命令の入力を許可又は遮断することができる。
【0030】
発光部111は、外部の任意の物体迄の近接距離を測定するために、外部に光を放射する役割を担い、受光部112は、外部物体で反射された光を受け入れる役割をすることができる。遮断膜113は、発光部111と受光部112との間に設けられ、発光部111から放射された光が受光部112に直接入ることを遮断し、近接センサー110が誤作動することを防止する役割をすることができる。好ましくは、近接センサー110は、赤外線を使用し、外部物体が一定距離以上、感知領域内に接近することを感知するIRセンサー(Infrared Sensor)を使用することができる。ここで、近接センサー110の発光部111は、赤外線(IR)を放射する発光ダイオード(Light Emitting Diode、LED)で形成することができる。
【0031】
図2では、近接センサー110の発光部111と受光部112とが物理的に分離され、その間に遮断膜113が存在する場合を例に挙げているが、近接センサー110の構造は、これに限定されず、当業者によって変更可能である。即ち、近接センサー110の発光部111と受光部112とが一体で結合された形態で構成された近接センサー110を使用することもできる。
【0032】
レンズ部120は、近接センサー110の上部に設けることができる。レンズ部120は、近接センサー110の発光部111から放射された光と、外部物体で反射されて近接センサー110の受光部112に入ってくる光が通過できるようにするだけでなく、近接センサー110が携帯端末機1の外部に露出することを防止することができる。
【0033】
以下、図3〜図10を参照して、レンズ部120の構造について詳細に説明する。
【0034】
図3及び図4は、本発明の一実施形態による近接センサーを用いた感知装置のレンズ部の構成を示す斜視図である。
【0035】
図3に示すように、レンズ部120は、第1透過口122と第2透過口123とが形成されたレンズ本体121と、レンズ本体121の内部に形成された反射膜125とで構成することができる。レンズ本体121と反射膜125とは一体型で製作されるが、図4では、説明の便宜上、レンズ部120を成しているレンズ本体121と反射膜125とが分離された様子を示している。
【0036】
レンズ本体121は、薄い平板の形状を有することができる。レンズ本体121は、透明な材質からなることが好ましく、透明なガラス又はプラスチック材質で形成することができる。これにより、近接センサー110の発光部111から放射された光と、外部物体で反射されて近接センサー110の受光部112に入ってくる光の透過率を高めることができる。
【0037】
図5及び図6は、本発明の一実施形態による近接センサーを用いた感知装置のレンズ部を構成するレンズ本体の構造を示す斜視図であり、図5は上から、図6は下から見た図である。
【0038】
レンズ本体121の内部には、近接センサー110の発光部111から放射された光が透過する第1透過口122と、外部物体で反射されて近接センサー110の受光部112に入ってくる光が透過する第2透過口123とが形成される。第1透過口122及び第2透過口123は、近接センサー110の発光部111から放射された光と、近接センサー110の受光部112に入ってくる光とがよく透過できるように、略円形の貫通ホール形状を有することが好ましい。
【0039】
本実施形態では、近接センサー110の発光部111から放射された光が通過する部分、及び外部物体で反射されて近接センサー110の受光部112に入ってくる光が通過する部分に、各々第1透過口122と第2透過口123とが形成されているものを説明しているが、これに限定されるものではない。即ち、近接センサー110の発光部111から放射された光と、外部物体で反射されて近接センサー110の受光部112に入ってくる光の移動経路に形成されるものであれば、透過口の個数及び形状は当業者によって多様に変更することが可能である。
【0040】
図5及び図6に示すように、レンズ本体121は、第1透過口122及び第2透過口123の端縁から上側又は下側方向に延長されて長く形成された第1突出部122a、122b及び第2突出部123a、123bを含むことができる。第1透過口122及び第2透過口123が円形の貫通ホール形状を有するため、第1突出部122a、122b及び第2突出部123a、123bは略円筒形状を有することができる。レンズ本体121は、第1突出部122a、122b及び第2突出部123a、123bを形成することによって、近接センサー110の発光部111から放射された光と、近接センサー110の受光部112に入ってくる光の透過率を高めることができる。図5及び図6では、第1透過口122及び第2透過口123の端縁から上下方向に突出した第1突出部122a、122b及び第2突出部123a、123bを示しているが、上側方向又は下側方向のうちのいずれか一つの方向にのみ突出することもある。
【0041】
一方、レンズ本体121には、反射膜125が挿入された形態で製作できるように、反射膜125の形状に対応する凹溝124を形成することができる。レンズ本体121の内部に反射膜125が挿入された形態で製作される場合、反射膜125の上部面がレンズ本体121の上部面と一致するように、凹溝124の深さは反射膜125の厚さと一致することが好ましい。また、反射膜125の厚さは、レンズ本体121の厚さより少し薄いほうが好ましい。
【0042】
図5では、レンズ本体121の内部に凹溝124が形成された例を示しているが、これに限定されない。例えば、レンズ本体121の内部には、反射膜125が挿入できるように、反射膜125の形状に対応してレンズ本体121の上下に貫通する貫通部(図示しない)を形成することもできる。
【0043】
反射膜125は、レンズ本体121の内部に形成され、第1透過口122及び第2透過口123の端縁を囲む形態で形成することができる。反射膜125は、不透明な材質からなることが好ましく、多様な種類の不透明樹脂(resin)を利用することができる。従って、近接センサー110の発光部111から放射された光と、近接センサー110の受光部112に入ってくる光とは、反射膜125で反射されて第1透過口122及び第2透過口123を介してのみ伝達できる。一方、反射膜125の色相は、明るい色(例えば、白色)ほど、光の反射率が高くなり、近接センサー110の認識距離を増加させることができる。
【0044】
図7及び図8は、本発明の一実施形態による近接センサーを用いた感知装置のレンズ部を成している反射膜の構成を示す斜視図であり、図7は上から、図8は下から見た図である。
【0045】
反射膜125は、第1透過口122及び第2透過口123の端縁を囲む形態であるため、内部に第1透過口122の端縁に隣接する第1貫通ホール125aと、第2透過口123の端縁に隣接する第2貫通ホール125bとを形成することができる。
【0046】
上述のように、近接センサー110の上部に設けられるレンズ部120のレンズ本体121は、透明な材質からなるため、近接センサー110の発光部111から放射された光が、外部物体に届く前に、透明なレンズ本体121の表面又は内部で乱反射され、近接センサー110の受光部112に入ることによって、外部物体が近づいたと誤認して近接センサー110が誤作動するおそれがある。
【0047】
しかし、本実施形態による近接センサー110を用いた感知装置100によれば、近接センサー110の上部に設けられるレンズ部120を、透明なレンズ本体121の内部に不透明な反射膜125を形成する構造にすることによって、近接センサー110の誤作動を防止し、近接センサー110が外部物体の近接の有無を感知する正確度を高めることができる。また、近接センサー110の発光部111から最大の電力を使って光を放射することができるため、近接センサー110が認識できる近接距離を増やすことができ、近接距離が同一である場合、近接センサー110の動作に必要な電力消耗を低減することができる。
【0048】
一方、本実施形態による近接センサー110を含む感知装置100の場合、レンズ部120のレンズ本体121と反射膜125とは二重射出成形によって一体で製作することができる。即ち、レンズ本体121は、ガラス又はプラスチックのような透明な材質を用いて射出成形し、反射膜125は、不透明樹脂のような不透明な材質を用いてレンズ本体121の上部面に凹むように形成された部分に挿入された形態で射出成形することができる。レンズ本体121の内部に反射膜125が挿入された際、反射膜125の上部面はレンズ本体121の上部面と一致することが好ましい。互いに異なる二つの材質を用いて二重射出成形する方法については、既に公知のため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0049】
一方、図5及び図7に示すように、レンズ本体121又は反射膜125のそれぞれには、レンズ本体121と反射膜125とが二重射出成形によって結合できるように、少なくとも一つの突起126a又は少なくとも一つのガイド溝126bが形成される。図5及び図7では、レンズ本体121に形成された凹溝124の上部面に三つの突起126aが形成され、反射膜125の下部面に、レンズ本体121に形成された三つの突起126aに対応する三つのガイド溝126bが形成された例を示している。従って、反射膜125は、下部面に形成されたガイド溝126bを介してレンズ本体121の凹溝124の内部に形成された突起126aに安着することができる。図5及び図7の構造は、例示であって、これに限定されず、当業者によって変更可能である。
【0050】
このように、本実施形態による近接センサー110を含む感知装置100の場合、レンズ部120のレンズ本体121と反射膜125とを二重射出成形によって一体で製作することによって、近接センサー110を用いた感知装置100の構造を単純化することができ、費用を低減することができる。
【0051】
一方、レンズ本体121の第1透過口122及び第2透過口123のそれぞれの上段部又は下段部には、第1透過口カバー127a及び第2透過口カバー127bを設けることができる(図9及び図10参照)。上述のように、近接センサー110の発光部111から放射された光と、外部物体で反射されて感知センサーの受光部112に入ってくる光の透過率を高めるためには、第1透過口122及び第2透過口123を透明に形成することがよい。しかし、第1透過口122及び第2透過口123を透明に形成した場合、近接センサー110等の携帯端末機1の内部が外部に露出するおそれがある。従って、第1透過口122及び第2透過口123の上段部又は下段部に、第1透過口カバー127a及び第2透過口カバー127bを設けることによって、携帯端末機1の内部が見えるという問題を解決することができる。
【0052】
図9及び図10は、本発明の一実施形態による近接センサーを用いた感知装置のレンズ部において、第1透過口及び第2透過口に第1透過口カバー及び第2透過口カバーが設けられた様子を示す斜視図であり、図9は上から、図10は下から見た図である。
【0053】
図9及び図10では、第1透過口カバー127a及び第2透過口カバー127bが第1透過口122及び第2透過口123の下段部、より正確には、第1突出部122b及び第2突出部123bの下段部に設けられた例を示している。図9及び図10に示すように、第1透過口カバー127a及び第2透過口カバー127bは、蜂の巣の形状で形成される。第1透過口カバー127a及び第2透過口カバー127bは、射出成形によって、第1突出部122b及び第2突出部123bと一体で形成することもでき、別途に製作して付着することもできる。
【0054】
但し、第1透過口122及び第2透過口123に、第1透過口カバー127a及び第2透過口カバー127bを設けると、近接センサー110の発光部111から放射された光と、外部物体で反射されて感知センサーの受光部112に入ってくる光、例えば、赤外線(IR)の透過率が落ちるおそれがある。また、図示しないが、感知装置100内には、携帯端末機1の節電のために、外部から入射した光の量を感知してディスプレー部11の照明を調節するための調度センサーを設けることができるが、調度センサーに入ってくる光の量を感知するためには、第1透過口122及び第2透過口123に設けられる第1透過口カバー127a及び第2透過口カバー127bの透明度を適切に調節する必要がある。
【0055】
従って、第1透過口122及び第2透過口123に設けられる第1透過口カバー127a及び第2透過口カバー127bの透明度は、近接センサー110の発光部111から放射された光と、外部物体で反射されて近接センサー110の受光部112に入ってくる光の透過率、調度センサーで使用される光の透過率、又は外部への露出程度等を考慮して決定される。
【0056】
このように、本実施形態による近接センサー110を含む感知装置100の場合、レンズ本体121の第1透過口122及び第2透過口123のそれぞれの上段部又は下段部に、第1透過口カバー127a及び第2透過口カバー127bを設けることによって、携帯端末機1の内部が外部に露出することを防止することができる。また、第1透過口カバー127a及び第2透過口カバー127bを設けるため、第1透過口122及び第2透過口123を透明な材質にすることができるので、調度センサーの感知正確度を高めることができる。
【0057】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 携帯端末機
10 上部ケース
11 ディスプレー部
12 受話部
20 下部ケース
21 キー入力部
22 送話部
100 感知装置
110 近接センサー
111 発光部
112 受光部
113 遮断膜
120 レンズ部
121 レンズ本体
122 第1透過口
122a、122b 第1突出部
123 第2透過口
123a、123b 第2突出部
124 凹溝
125 反射膜
125a 第1貫通ホール
125b 第2貫通ホール
126a 突起
126b ガイド溝
127a 第1透過口カバー
127b 第2透過口カバー
130 電子回路基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部物体の近接の有無を感知する近接センサーと、
前記近接センサーの上部に近接して配置され、前記近接センサーの発光部から放射された光が透過する第1透過口、及び前記外部物体で反射されて前記近接センサーの受光部に入ってくる光が透過する第2透過口が形成されたレンズ本体と、
前記第1透過口及び前記第2透過口の端縁を囲むように、前記レンズ本体の内部に形成された反射膜を含むレンズ部と、を備え、
前記レンズ本体と前記反射膜とは、二重射出成形によって一体で製作されることを特徴とする近接センサーを用いた感知装置。
【請求項2】
前記レンズ本体は、透明な材質からなることを特徴とする請求項1に記載の近接センサーを用いた感知装置。
【請求項3】
前記反射膜は、不透明な材質からなることを特徴とする請求項1に記載の近接センサーを用いた感知装置。
【請求項4】
前記レンズ部は、前記第1透過口及び前記第2透過口の端縁から上側又は下側方向に延長されて長く形成された第1突出部及び第2突出部を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の近接センサーを用いた感知装置。
【請求項5】
前記第1透過口及び前記第2透過口のそれぞれの上段部又は下段部には、蜂の巣の形状で形成された第1透過口カバー及び第2透過口カバーが設けられることを特徴とする請求項1に記載の近接センサーを用いた感知装置。
【請求項6】
前記レンズ本体又は前記反射膜のそれぞれには、前記レンズ本体と前記反射膜とが前記二重射出成形によって結合されるように、少なくとも一つの突起又は少なくとも一つのガイド溝が形成されることを特徴とする請求項1に記載の近接センサーを用いた感知装置。
【請求項7】
前記近接センサーは、
前記発光部と前記受光部との間に設けられ、前記発光部から放射された光が前記受光部に直接入ることを遮断する遮断膜を含むことを特徴とする請求項1に記載の近接センサーを用いた感知装置。
【請求項8】
レンズ部と近接センサーとを含む携帯端末機において、
前記レンズ部は、レンズ本体と反射膜とを含み、
前記携帯端末機の近接センサー利用方法であって、
前記レンズ本体内の第1透過口を介して前記近接センサーの発光部から放射された光を通過させるステップと、
前記レンズ本体内の第2透過口を介して前記外部物体で反射された光を受け入れ、前記近接センサーの受光部に入るようにするステップと、を有し、
前記レンズ本体と前記反射膜とは、二重射出成形によって一体で製作され、前記反射膜は、前記第1透過口及び前記第2透過口の端縁を囲むように、前記レンズ本体の内部に形成されることを特徴とする携帯端末機の近接センサー利用方法。
【請求項9】
前記レンズ本体は、透明な材質からなることを特徴とする請求項8に記載の携帯端末機の近接センサー利用方法。
【請求項10】
前記反射膜は、不透明な材質からなることを特徴とする請求項8に記載の携帯端末機の近接センサー利用方法。
【請求項11】
前記レンズ部は、前記第1透過口及び前記第2透過口の端縁から上側又は下側方向に延長されて長く形成された第1突出部及び第2突出部を更に含むことを特徴とする請求項8に記載の携帯端末機の近接センサー利用方法。
【請求項12】
前記第1透過口及び前記第2透過口のそれぞれの上段部又は下段部には、蜂の巣の形状で形成された第1透過口カバー及び第2透過口カバーが設けられることを特徴とする請求項8に記載の携帯端末機の近接センサー利用方法。
【請求項13】
前記レンズ本体又は前記反射膜のそれぞれには、前記レンズ本体と前記反射膜とが前記二重射出成形によって結合されるように、少なくとも一つの突起又は少なくとも一つのガイド溝が形成されることを特徴とする請求項8に記載の携帯端末機の近接センサー利用方法。
【請求項14】
前記近接センサーは、
前記発光部と前記受光部との間に設けられ、前記発光部から放射された光が前記受光部に直接入ることを遮断する遮断膜を含むことを特徴とする請求項8に記載の携帯端末機の近接センサー利用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−157513(P2010−157513A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247(P2010−247)
【出願日】平成22年1月4日(2010.1.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【Fターム(参考)】