説明

退出誘導機能を有する車載バッテリ充電システム

【課題】 バッテリの充電が完了した後は可及的速やかに車を退出することをユーザに促すことを効果的に行う。
【解決手段】 充電スペースに停車した車両のバッテリを充電する充電システムである。本システムは、スペースに車両が駐車状態を呈していることを判定する駐車状態判定部と、バッテリに充電用の電力を供給する充電電力供給部と、充電状態を検出する検出部と、車両のユーザにより発せられた充電指令及び/又は充電状態検出結果に基づいて電力供給を制御する制御部と、ユーザに知覚可能なメッセージを報知する報知部とを有する。制御部は、バッテリ充電動作に対し電力供給を終了させた後、駐車状態判定結果に基づいて、駐車状態が継続していると判定された場合に車両退出誘導メッセージが報知されるよう制御し、退出誘導メッセージは、バッテリの充電動作が終了した旨の充電終了通知情報、又はこの情報に代え若しくは加えて、車両が前記スペースを駐車のためだけに使用していることに対する追加サービスだけが現に提供されている旨の所期目的外利用通知情報を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広く自動車用の充電システムに関し、特に、二次電池(以下、適宜、バッテリと称する)を搭載し、これを少なくとも一部の主要な動力源として用いる電気自動車などの車両に対して、当該車両の駐車スペースを提供しつつバッテリを充電するサービスを提供するための充電ステーションにおけるバッテリ充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
かかる充電システムの例として、引用文献1及び引用文献2に記載されたものが知られている。引用文献1には、電気自動車を使用するユーザが、電気自動車から離れた遠隔地に居ながらも、充電に関する充電情報を所望のタイミングで取得することのできるシステムが開示されている。引用文献2には、電気自動車のバッテリ充電を自動化し、充電操作の煩雑さを解消することのできるシステムが開示されている。
【0003】
一般に、車載バッテリの充電時間は、これまでのガソリンスタンドにおける給油時間よりも相当に長いものとなる場合が多い。したがって、ユーザは、充電ステーションにおいてバッテリの充電のついでに比較的長く自動車を停めておかざるを得ない側面がある。このことは、所期の充電目的を逸脱して故意に駐車するという悪用を招きかねない。すなわち、充電が完了したにもかかわらず(或いは充電が完了したことを知っているにもかかわらず)、当該充電ステーションにおいて駐車状態を継続させるためだけに意図的に(時には充電行為に見せ掛けて)車を放置しておく、いわば不公正な利用状況が予想される。このような状況は、バッテリを充電しようとして待機している他の車のユーザの妨げになるとともに、数多くの車両の充電を本来の目的とする充電ステーションの円滑なサービス提供に支障を来たすことになる。
【0004】
上記引用文献に記載の技術によれば、ユーザがバッテリの充電情報を得たり充電操作の便宜が図られるものの、充電ステーションの主たるサービス全体の円滑な提供ないしは上述した状況の打開について何の考慮もなされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−48900
【特許文献2】特開2006−74868
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、バッテリの充電が完了した後は可及的速やかに車を退出することをユーザに促すことを効果的に行うことである。
【0007】
また、本発明のより具体的な目的は、バッテリの充電が完了した後は可及的速やかに車を退出するようユーザを誘導するとともに、かかる退出がなされない事態が生じたとしても合理的な態様で充電ステーションその他の充電場所の主たるサービス全体の円滑な提供をなすことである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の特定の態様は、充電スペースに停車した車両のバッテリを充電する車載バッテリ充電システムであって、前記スペースにおいて前記車両が駐車状態を呈していることを判定する駐車状態判定手段と、前記バッテリに対して充電用の電力を供給する充電電力供給手段と、前記バッテリの充電状態を検出する充電状態検出手段と、前記車両のユーザにより発せられた充電指令及び/又は前記充電状態検出手段の検出結果に基づいて前記充電電力供給手段の電力供給を制御する制御手段と、前記ユーザに対して知覚可能なメッセージを報知する報知手段と、を有し、前記制御手段は、前記バッテリの充電動作に対しその制御により前記充電電力供給手段の電力供給を終了させた後、前記駐車状態判定手段の判定結果に基づいて、前記スペースにおける駐車状態が継続していると判定された場合に前記スペースから前記車両を退出させることを促すための退出誘導メッセージが報知されるよう前記報知手段を制御し、前記退出誘導メッセージは、前記バッテリの充電動作が終了した旨の充電終了通知情報、又はこの情報に代え若しくは加えて、前記車両が前記スペースを駐車のためだけに使用していることに対する追加サービスだけが現に提供されている旨の所期目的外利用通知情報を含む、システムを提供する(請求項1)。
【0009】
この態様によれば、バッテリの充電が完了した後は、単に充電サービスが完了した旨でなく、ユーザに自分の車が所期目的外のサービス(駐車サービス)を享受している旨を示すことができるので、当該車の退出を効果的にユーザに促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施例による充電ステーションの概略的構成形態を示すブロック図である。
【図2】図1の充電ステーションに用いられる充電スタンド装置の概略的構成を示すブロック図である。
【図3】図2の充電スタンド装置を用いて構成される本発明の一実施例による充電ステーションネットワークシステムを示す概略ブロック図である。
【図4】図3のようにして構成された充電ステーションネットワークシステムにおいて行われる充電サービス管理フローの第1のパートを示すチャート図である。
【図5】図3のようにして構成された充電ステーションネットワークシステムにおいて行われる充電サービス管理フローの第2のパートを示すチャート図である。
【図6】図3のようにして構成された充電ステーションネットワークシステムにおいて行われる充電サービス管理フローの第3のパートを示すチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明による一実施の形態は、充電スペースに停車した車両のバッテリを充電する車載バッテリ充電システムであって、前記スペースにおいて前記車両が駐車状態を呈していることを判定する駐車状態判定手段と、前記バッテリに対して充電用の電力を供給する充電電力供給手段と、前記バッテリの充電状態を検出する充電状態検出手段と、前記車両のユーザにより発せられた充電指令及び/又は前記充電状態検出手段の検出結果に基づいて前記充電電力供給手段の電力供給を制御する制御手段と、前記ユーザに対して知覚可能なメッセージを報知する報知手段と、を有し、前記制御手段は、前記バッテリの充電動作に対しその制御により前記充電電力供給手段の電力供給を終了させた後、前記駐車状態判定手段の判定結果に基づいて、前記スペースにおける駐車状態が継続していると判定された場合に前記スペースから前記車両を退出させることを促すための退出誘導メッセージが報知されるよう前記報知手段を制御し、前記退出誘導メッセージは、前記バッテリの充電動作が終了した旨の充電終了通知情報、又はこの情報に代え若しくは加えて、前記車両が前記スペースを駐車のためだけに使用していることに対する追加サービスだけが現に提供されている旨の所期目的外利用通知情報を含むことを特徴とする。
【0012】
かかる発明によれば、バッテリの充電動作が終了したにもかかわらず駐車状態が継続している場合には退出誘導メッセージが報知され、この退出誘導メッセージを、単なるバッテリ充電動作終了の通知ではなく、車両が当該スペースを駐車のためだけに使用していることに対する追加サービスだけが現に提供され、所期目的外に利用していることを通知するものとしている。したがって、ユーザは、充電サービスとは別の対価請求を伴いうる或いは他のユーザの充電サービス提供の妨げとなりうるサービスとして当該追加サービスが発生していることを明確に知ることとなるので、可及的速やかに車を退出するよう誘導させられることになる。
【0013】
なお、当該知覚可能なメッセージには、視覚、聴覚、触覚又はこれらのうちのいずれかの組み合わせによる知覚を通じてユーザが知りうるメッセージが含まれる。
【0014】
上記した発明において、前記所期目的外利用通知情報は、当該充電サービスの所期対価以外に前記追加サービスの超過対価を前記ユーザに請求する又は請求する予定である旨を示す超過料金課金通知情報を含むことを特徴としてもよい。かかる発明によれば、ユーザは、当該追加サービスの利用料金が発生すること及びその料金は充電サービスの料金ではないことが知らされるので、通常は経済的な行動を意思決定の基準とするユーザに対し早急に車の退出を促すことを極めて効果的に行うことができる。
【0015】
更に、上記した発明において、前記制御手段は、前記所期対価及び前記超過対価を計算する対価計算手段を有し、前記対価計算手段は、当該充電動作中においては前記所期対価を当該充電のために前記バッテリへ供給された積算電力に応じた額としかつ前記超過対価をゼロとする一方、当該充電動作終了後においては前記所期対価を固定しかつ前記超過対価を前記車両が当該充電動作終了後において前記スペースを占有した時間に応じた額とすることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、バッテリの充電が完了した後は可及的速やかに車を退出するようユーザを誘導するとともに、かかる退出がなされない事態が生じたとしても当該スペースを駐車のために利用した時間に応じて対価を請求することができる。したがって、合理的な態様で充電ステーションのサービスを提供することができる。特に、いわゆるコインパーキングなどで駐車サービスに充電サービスを付加する場合、どちらのサービスも合理的かつ円滑に提供することが可能となる。
【0016】
更に、上記した発明において、前記ユーザのIDを識別する手段と、このIDに対応する前記ユーザの携帯電話機その他のモバイル通信機器の識別情報を取得する手段とをさらに有し、前記報知手段は、前記識別情報に基づいて前記ユーザのモバイル通信機器に対する送信メールによる表示及び/又は通話による音声によって前記退出誘導メッセージを報知するものとすることを特徴としてもよい。また、適用される施設又はエリアによっては、前記報知手段は、前記退出誘導メッセージを館内放送及び/又は域内放送によって報知することを特徴としてもよい。かかる発明によれば、このような報知を、当該サービスを利用しているユーザに確実に行うことができる。
【0017】
更に、上記した発明において、前記充電指令は、前記ユーザが指定した充電時間だけ前記バッテリを充電する指令であり、前記制御手段は、その指定された充電時間だけ充電動作が行われた状態を確認し、当該状態の確認に応答して前記充電電力供給手段の電力供給を断とする制御を行うことを特徴としてもよい。また、前記充電指令は、前記バッテリを満充電する指令であり、前記制御手段は、前記充電状態検出手段の検出結果に基づいて前記バッテリが満充電された状態を確認し、当該状態の確認に応答して前記充電電力供給手段の電力供給を断とする制御を行うことを特徴としてもよい。さらに、前記充電指令は、前記ユーザが指定した充電量又は比率だけ前記バッテリを充電する指令であり、前記制御手段は、前記充電状態検出手段の検出結果に基づいて前記バッテリが当該指定された充電量又は比率だけ充電された状態を確認し、当該状態の確認に応答して前記充電電力供給手段の電力供給を断とする制御を行うことを特徴としてもよい。
【0018】
更に、上記した発明において、前記ユーザから前記所期対価及び超過対価を含む料金の支払いを受けるための会計手段と、ロックモードにおいて前記車両を前記スペースに留めておくためのロック機構とをさらに有し、前記制御手段は、前記会計手段による前記支払いの受領を確認して前記ロックモードを解除するよう前記ロック機構を制御することを特徴としてもよい。かかる発明によれば、充電ステーションその他の充電場所において、不公正な使用を阻止することができる。
【実施例】
【0019】
以下、本発明の上記態様及び実施の形態を、実施例に基づき添付図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施例による充電ステーションの概略的構成形態を示している。
【0021】
図1において、充電ステーション1は、少なくとも1台の、本例では2台の自動車を駐車するスペース10,11を有し、この駐車スペースが本例では充電を行うためのスペースを兼ねている。スペース10,11に隣接した位置、好ましくは駐車した車両のバッテリ搭載箇所に近い位置には、充電スタンド装置20が立設される。本例では、1台の充電スタンド装置によってスペース10、11に駐車した2台の車両に対して交互に充電サービスを提供することができるような構成としている(点線矢印)。このようにすることで、一方の充電スペースにおいて1の車両への充電中に、他方の充電スペースにおいて他の車両の進入及び退出ができるため、車両の充電スペースへの進入及び退出の待ち時間を排し得て、充電スタンド装置20を効率的に利用し得る。
【0022】
充電スタンド装置20は、スペース10,11のいずれか一方に駐車した車両のバッテリに対して、ユーザが、充電のための所定ケーブル接続操作、充電指令の入力を含む充電内容指定操作、充電開始及び停止操作などを行うことを可能にする設備及び機能を有する。また、充電スタンド装置20は、駐車状態判定手段の構成部として、スペース10,11を車両が占有し駐車状態を呈しているか否かを判定するための赤外線センサ、カメラなどのセンサ2sを備えている。
【0023】
図2は、充電スタンド装置20の概略的構成をより詳しく示している。
【0024】
図2において、充電スタンド装置20は、センサ2sの他に、ユーザの充電指令その他の操作に係わるユーザーインターフェースの機能を担うディスプレイ、本例ではタッチスクリーン式ディスプレイ21を有し、さらに、ユーザのIDを識別する機能を担うカード読取装置22を有する。充電スタンド装置20はまた、バッテリ充電のための電力を伝送する充電電力ケーブル、充電ステーション1における図示せぬオペレータ室等でモニタリングその他の目的で使用されるローカル情報ケーブル、後述するサーバとの情報通信のためのグローバル情報ケーブル、及び当該充電スタンド装置への給電をなすためのスタンド給電ケーブルなどを含むケーブル束23を擁している。かかる種々のケーブルは、それぞれの目的に適う接続先へと接続されることになる。充電スタンド装置20は、バッテリに対する電力供給を行う図示せぬ充電ケーブルを有し、このケーブルの先端は実際にバッテリの電極に係合するロック機構付きプラグを形成する。充電スタンド装置20は、この充電ケーブルを通じてバッテリへの電力の供給をなす図示せぬ充電電力供給手段と、例えばこの同じ充電ケーブルを用いてバッテリの充電状態を検出する図示せぬ充電状態検出手段とを有する。充電スタンド20は、給電ケーブルを用いずに、非接触型の電磁誘導等による充電スタンド装置とすることもできる。この場合、上記のロック機構の代わりにタイヤをロックするタイヤロック機構をスペース10、11上に設ける。充電スタンド装置20は、さらに、ディスプレイ21においてユーザにより入力された充電指令及び/又は当該検出された充電状態に基づいて充電電力供給手段を制御しバッテリへの充電をオンオフ切り替える制御手段を有する。
【0025】
図3は、このように構成される充電スタンド装置を用いて構成される本発明の一実施例による充電ステーションネットワークシステムの概要を示している。
【0026】
図3において、このネットワークシステムは、複数の充電ステーション、本例では、上述した充電ステーション1と基本的に同じ機能を有する2つの充電ステーション1A及び1Bによって構成されている。充電ステーション1Aは、上述した充電スタンド装置20と同じ機能をそれぞれ有する2つの充電スタンド装置2A1,2A2を備え、充電ステーション1Bも、上述した充電スタンド装置20と同じ機能をそれぞれ有する3つの充電スタンド装置2B1,2B2,2B3を備えている。
【0027】
充電スタンド装置2A1,2A2及び2B1,2B2,2B3は、それぞれ、上述したグローバル情報ケーブルによりインターネット3に接続される。インターネット3は、これらグローバル情報ケーブルを通じて伝送されるそれぞれのデータ信号を受けるとともに、サーバ群及びデータベースによって構成されるネットワーク管理ブロック4に対して当該データ信号の橋渡しをなす。
【0028】
ネットワーク管理ブロック4は、本例では、4台のサーバコンピュータ(以下、適宜、サーバと略称する)4A〜4Dと、これらサーバに接続される充電及び駐車状態等管理用データベースメモリ(以下、適宜、データベースと略称する)400とによって構築されている。図3には、図の描写を簡明とするために、サーバ及びデータベースが集中配備されているように描かれているが、サーバもデータベースも分散したシステム形態としてもよい。
【0029】
サーバ4A〜4Dは、それぞれ、インターネット3から上記データ信号を受信し、このデータ信号に応じたデータ処理及び制御処理を行う。データベース400には、種々の情報が記憶されており、これには、充電ステーション1A,1Bを利用する顧客の会員情報、認証情報、サービス提供に伴う課金情報、顧客のサービス利用内容を示す利用情報などが含まれる。各サーバは、受信したデータ信号に応じて、必要な情報をデータベース400から読み出し、読み出された情報を用いて適切なデータ処理を行うとともに、当該処理結果及び/又は経過情報をインターネット3を介し各充電スタンド装置へ個別に通信し、また、当該処理結果及び/又は経過情報に応じたユーザに対する報知動作を司る。
【0030】
サーバからユーザへの報知は、本例では充電のために充電ステーションに自車を停めているユーザが現に所持する携帯電話機50に対するEメール通知及び/又は通話による音声通知としている。本発明の特徴の1つは、かかる通知によって充電ステーションに停車した車両の退出誘導機能を当該システムに持たせることにある。本発明の付加的特徴の1つは、サーバからインターネット3を介して充電スタンド装置に同様の退出誘導をなすためのデータを返信し、これを受けた充電スタンド装置がユーザに当該退出を促すような表示及び音声案内を行うことにある。
【0031】
図4ないし図6は、図3のようにして構成された充電ステーションネットワークシステムにおいて行われる充電サービス管理フローを示している。このフローは、本発明の実施例による(目的外)駐車車両の退出誘導機能を実現するためのステップを含むものである。
【0032】
図4ないし図6においては、図4の最上部に示されるように、ユーザ、充電スタンド装置、サーバ、データベースという各役割にステップを分ける形でフローを表している。
【0033】
先ず図4において、自動車に乗るユーザが充電ステーションを探し(ステップSU01)、充電ステーションに到着する(ステップSU02)。そしてユーザは、自車を充電スペースを兼ねた駐車スペース(図1のスペース10,11)に停めて充電スタンド装置の近くに位置づけ、充電サービスを受ける用意をする(ステップSU03)。
【0034】
これを受けて、充電スタンド装置は、センサ(図2のセンサ2s)の出力に基づいて当該スペースに車両が駐車したこと判定し(ステップSC01)、インターネット3を介してサーバにその判定結果を示すデータを転送する。サーバはこれを受け(ステップSS01)、データベース400にアクセスし、データベース400は、対応の充電スペースに駐車している車があることを情報(駐車開始情報)として記憶する(ステップSD01)。
【0035】
充電スタンド装置は、その駐車判定結果のデータ転送と同時に、認証のためのカードを提示することをユーザに求めるための表示を行う(ステップSC02)。この表示は、ディスプレイ21によって行われる。
【0036】
ユーザは、かかる表示に促され、自分の認証用IDカードを充電スタンド装置のカード読取装置22で読み取らせる(ステップSU04)。充電スタンド装置は、そのカードの読取情報に基づいてカードの認証処理を開始する(ステップSC03)。その後、充電スタンド装置は、その認証開始指令及び当該読み取られたカード情報を表すデータをインターネット3を介してサーバに送り、サーバは、当該カード情報を取得するとともに(ステップSS02)、データベース400からユーザ情報を取得する(ステップSD02)。そして、サーバは、カード情報とユーザ情報とに基づき認証確認を行う(ステップSS03)。なお、本例において、データベース400に会員情報を記憶されていないユーザについても同様に認証確認を行うこともできる。例えば、コード番号や2次元バーコードなどをディスプレイ21などによって同ユーザに与えて、これらを利用して同ユーザの携帯電話機から所定のHPにアクセスさせ、同携帯電話機の個体を識別する符号を送信させ、又は必要に応じて同ユーザを特定する情報を入力させるなどすればよい。
【0037】
この認証確認の結果、認証に成功すると、サーバは、その旨を表すデータをインターネット3を介して当該ユーザが利用している充電スタンド装置に転送し、充電スタンド装置は、充電サービスを利用できる旨をディスプレイ21に表示する(ステップSC04)。一方、認証に失敗すると、サーバは、その旨を表すデータをインターネット3を介して充電スタンド装置に転送し、充電スタンド装置は、充電サービスを利用できない旨をディスプレイ21に表示する(ステップSC05)。充電サービスを利用できない場合には、ステップSC05からステップSU04に移行することになる。
【0038】
ステップSC04の後、フローは図5に移り、ユーザは、充電するための操作及び作業ができるものと判断し、自車の充電準備状態を確認した上で充電スタンド装置に備え付けられている上記充電ケーブルを自車のバッテリに引き寄せ、その先端のプラグを当該バッテリの電極端子に接続する(ステップSU05)。かかる充電ケーブル接続作業が完了すると、充電スタンド装置は、当該充電プラグの当該電極端子に対する機械的ロックを行い、バッテリ残量チェックを行う(ステップSC06)。このチェックに伴い、充電スタンド装置は、当該バッテリ残量を示すデータをインターネット3を介してサーバに転送し(ステップSS04)、さらにサーバは、データベース400にアクセスして当該バッテリ残量の情報を記憶させる(ステップSD03)。このとき充電スタンド装置は、ディスプレイ21にチェックしたバッテリ残量を表示するようにしてもよい。
【0039】
一方、ステップSC06によるバッテリ残量チェックの後、ユーザは、充電スタンド装置の充電開始ボタンを押圧し(ステップSU06)、これに応答して充電スタンド装置は、充電ケーブルを通じた実際の電力伝送を行う充電動作を開始する(ステップSC07)。そして、充電スタンド装置は、充電動作の開始を示すデータをインターネット3を介してサーバに転送し、サーバがこれを受ける(ステップSS05)。さらにサーバはこのデータを、データベース400にアクセスして充電開始情報として記憶させる(ステップSD04)。
【0040】
ステップSC07の後、充電スタンド装置は、充電動作を維持するサブステップSC08と、現在の充電量、残り充電時間及び/又は充電開始からの経過時間をディスプレイ21に表示させるサブステップSC09とを経て、充電量が満充電量の予め規定された比率、本例では80%に達しているか否かを判定する(ステップSC10)。ステップSC10において、80%未満であると判定されると、ステップSC08に戻り、充電が継続する。この比率は、100%すなわち満充電に対応する値としてもよいし、ユーザが指定可能なものとしてもよい。また、比率ではなく量としてもよい。さらに、充電比率又は量ではなく、所定の充電時間又はユーザ指定の充電時間としてもよい。
【0041】
ステップSC10において充電量が80%以上であると判定されると、充電スタンド装置は、充電ケーブルによる電力伝送を断として充電動作を停止する(ステップSC11)。或いは強制的に、ユーザにより充電スタンド装置の充電停止ボタンが押圧されて(ステップSU07)、充電動作を停止する。かかる停止の後、充電スタンド装置は、充電動作が停止した旨を表すデータ及び/又は充電に用いた電力量を示すデータなどをインターネット3を介してサーバに転送し、サーバはこれを受信する(ステップSS06)。さらにサーバはこのデータを、データベース400にアクセスして充電終了情報として記憶させる(ステップSD05)。なお、このとき付加的に精確なバッテリ残量に対応する情報を記憶させるようにしてもよい。
【0042】
ステップSC11の後、図6において、充電スタンド装置は、充電プラグのロックを解除することを促す案内をディスプレイ21において表示する(ステップSC12)。これと同時に、充電スタンド装置は、サーバに対して事実上の充電完了がなされた旨のデータを送り、サーバは、これを受けてユーザに充電が完了したことを知らせるメールを送る(ステップSS07)。その後、ユーザは、自分の携帯電話機に送られたこの充電完了通知メールを見て、自分の車のバッテリ充電が完了したことを知ることになる(ステップSU08)。
【0043】
ステップSC12の後、充電スタンド装置は、センサ2sによる駐車確認を行う(ステップSC13)。そして、充電スタンド装置は、その確認結果をデータとしてサーバに送り、サーバはこれを受けて駐車時間を判断する(SS08)。当然のことながら、充電完了直後は駐車スペースに車が存在している状態のままである。サーバ装置は、充電動作の終了からの経過時間を計っており、予め規定された時間、本例では5分を過ぎると、次のステップSS09に進む。ここで、サーバは、ユーザへ駐車スペースからの車の退出を促すための退出誘導メッセージの通知の回数を確認し(ステップSS09)、4回未満であれば、当該通知のメールをユーザの携帯電話機に送信する(ステップSS10)。ユーザの携帯電話機は、上記ステップSU04において読み取られたユーザIDに基づき、これに対応するデータベース400において登録されている当該ユーザの携帯電話機のメールアドレス及び電話番号によって識別される。
【0044】
ユーザは、かかるメールを受け取ると、そのメール内容から、自分の車を退出するよう催促されていることを知ることになる(ステップSU09)。この通知は、単なる充電完了通知ではなく、車が当該スペースを駐車のためだけに使用していることに対する追加サービスだけが現に提供されている旨の所期目的外利用の通知である。例えば、「充電は既に完了いたしました。あなた様のお車は、現在、専ら駐車のためにスペースを使用しています。次のお客様がお待ちです。」といった内容のメッセージの通知とすることができる。メールの他にも、当該通知は、ユーザの携帯電話機に対して通話による音声によって実現することができる。ユーザがこの催促を看過した場合、充電スタンド装置のセンサ2sによる駐車確認(ステップSC13)、駐車時間確認(ステップSS08)及び通知回数確認(ステップSS09)が繰り返され、ステップSS09において通知回数が4回に達したことが確認されるまで、車両退去催促の通知をなすメール送信(ステップSS10)が繰り返されることになる。通知回数が4回に達した場合は、所定の報知義務が完了したものとみなし、通知を終了する(ステップSS11)。
【0045】
ステップSU09後の状況において、ユーザがメール又は音声通知によって催促された結果、自分のIDカードを充電スタンド装置20の読取装置22で読み取らせ、充電サービスの所期対価と駐車サービスの超過対価とに対応する料金の支払いを行う(ステップSU10)と、充電スタンド装置は、充電プラグのロックを解除し(ステップSC14)、その旨の表示をディスプレイ21において行う(ステップSC15)。そして、充電スタンド装置は、充電スタンド装置におけるホームポジションたる所定箇所に充電プラグを戻すように、すなわち所定箇所への復帰を要求する表示をディスプレイ21において行う(ステップSC16)。これを見てユーザは、充電プラグを当該所定箇所に戻し(ステップSU11)、これを充電スタンド装置が確認し(ステップSC17)、その旨のデータをサーバに送る(ステップSS12)。そして、サーバは、データベースにアクセスして対応の情報を記憶させる(ステップSD07)。ここではユーザの利用情報の更新がなされることになる。
【0046】
ステップSC17の充電プラグの所定箇所への復帰確認の後は、充電サービスの利用が終了した旨の表示を行う(ステップSC18)。ユーザはこの表示を見て、実際に自車を充電スペースから退出させることになる(ステップSU12)。
【0047】
ステップSU09において行われる通知の情報は、当該充電サービスの所期対価以外に、駐車している分の追加サービスの超過対価をユーザに請求する又は請求する予定である旨を示す超過料金課金通知情報を含むものとしてもよい。この場合、充電スタンド装置の制御部は、当該所期対価及び超過対価を計算する対価計算部を備えるのがよい。当該対価計算部は、当該充電動作中においては所期対価を当該充電のためにバッテリへ供給された積算電力に応じた額としかつ超過対価をゼロとする一方、当該充電動作終了後においては所期対価を固定しかつ超過対価を車両が当該充電動作終了後においてスペースを占有した時間に応じた額とするのがよい。こうした対価情報は、本例では、インターネット3を介してサーバに送られ、ユーザに知らされるのがよい。
【0048】
ステップSS10におけるメール送信による通知に代わり又は加えて、館内放送又は域内放送による通知とすることもできる。
【0049】
充電スタンド装置20は、貨幣入金部やクレジットカード挿入口などを備え、ユーザから所期対価及び超過対価を含む料金の支払いを受けるための会計部(図示せず)を有する。充電スタンド装置の制御手段は、ステップSU10においてこの会計部における当該支払いの受領を確認して充電プラグのバッテリに対するロックモードを解除するよう制御を行うようにしている。これにより、支払いが完了していない状態で車が移動することを防止することができる。かかるロック手段は、充電プラグでなくとも、例えば、スペースの地面に設けられたタイヤロック機構によって実現することが可能である。なお、タイヤロック機構を設ける場合に、例えば、車両の駐車可能なベルトコンベア等の移動装置をスペース10、11上に設け、これにタイヤロック機構を設けても良い。この場合、充電の完了した車両をタイヤをロックしたまま移動装置によって移動できて、充電待ちをする他の車両の充電を即座に開始することができる。
【0050】
なお、上記実施例においては、車両退出メッセージの通知をユーザの携帯電話機に行うようにしているが、これに限定されるものではなく、かかる通知を種々のモバイル通信機器に行うようにしてもよい。
【0051】
以上、本発明による代表的実施例及びこれに基づく変形例を説明したが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではなく、当業者であれば、添付した請求項の範囲を逸脱することなく種々の代替実施例及び改変例を見出すことができる。
【符号の説明】
【0052】
1,1A,1B…充電ステーション
10,11…充電スペース
20,2A1,2A2,2B1,2B2,2B3…充電スタンド装置
2s…センサ
21…ディスプレイ
22…カード読取装置
23…ケーブル束
3…インターネット
4…ネットワーク管理ブロック
4A,4B,4C,4D…サーバ
400…データベース
50…携帯電話機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電スペースに停車した車両のバッテリを充電する車載バッテリ充電システムであって、
前記スペースにおいて前記車両が駐車状態を呈していることを判定する駐車状態判定手段と、
前記バッテリに対して充電用の電力を供給する充電電力供給手段と、
前記バッテリの充電状態を検出する充電状態検出手段と、
前記車両のユーザにより発せられた充電指令及び/又は前記充電状態検出手段の検出結果に基づいて前記充電電力供給手段の電力供給を制御する制御手段と、
前記ユーザに対して知覚可能なメッセージを報知する報知手段と、
を有し、
前記制御手段は、前記バッテリの充電動作に対しその制御により前記充電電力供給手段の電力供給を終了させた後、前記駐車状態判定手段の判定結果に基づいて、前記スペースにおける駐車状態が継続していると判定された場合に前記スペースから前記車両を退出させることを促すための退出誘導メッセージが報知されるよう前記報知手段を制御し、
前記退出誘導メッセージは、前記バッテリの充電動作が終了した旨の充電終了通知情報、又はこの情報に代え若しくは加えて、前記車両が前記スペースを駐車のためだけに使用していることに対する追加サービスだけが現に提供されている旨の所期目的外利用通知情報を含むシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、前記所期目的外利用通知情報は、当該充電サービスの所期対価以外に前記追加サービスの超過対価を前記ユーザに請求する又は請求する予定である旨を示す超過料金課金通知情報を含むシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のシステムであって、前記制御手段は、前記所期対価及び前記超過対価を計算する対価計算手段を有し、前記対価計算手段は、当該充電動作中においては前記所期対価を当該充電のために前記バッテリへ供給された積算電力に応じた額としかつ前記超過対価をゼロとする一方、当該充電動作終了後においては前記所期対価を固定しかつ前記超過対価を前記車両が当該充電動作終了後において前記スペースを占有した時間に応じた額とするシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムであって、前記ユーザのIDを識別する手段と、このIDに対応する前記ユーザの携帯電話機その他のモバイル通信機器の識別情報を取得する手段とをさらに有し、前記報知手段は、前記識別情報に基づいて前記ユーザのモバイル通信機器に対する送信メールによる表示及び/又は通話による音声によって前記退出誘導メッセージを報知するシステム。
【請求項5】
請求項1又は4に記載の方法であって、前記報知手段は、前記退出誘導メッセージを館内放送及び/又は域内放送によって報知するシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムであって、前記充電指令は、前記ユーザが指定した充電時間だけ前記バッテリを充電する指令であり、前記制御手段は、その指定された充電時間だけ充電動作が行われた状態を確認し、当該状態の確認に応答して前記充電電力供給手段の電力供給を断とする制御を行うシステム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムであって、前記充電指令は、前記バッテリを満充電する指令であり、前記制御手段は、前記充電状態検出手段の検出結果に基づいて前記バッテリが満充電された状態を確認し、当該状態の確認に応答して前記充電電力供給手段の電力供給を断とする制御を行うシステム。
【請求項8】
請求項1に記載のシステムであって、前記充電指令は、前記ユーザが指定した充電量又は比率だけ前記バッテリを充電する指令であり、前記制御手段は、前記充電状態検出手段の検出結果に基づいて前記バッテリが当該指定された充電量又は比率だけ充電された状態を確認し、当該状態の確認に応答して前記充電電力供給手段の電力供給を断とする制御を行うシステム。
【請求項9】
請求項2に記載のシステムであって、前記ユーザから前記所期対価及び超過対価を含む料金の支払いを受けるための会計手段と、ロックモードにおいて前記車両を前記スペースに留めておくためのロック機構とをさらに有し、前記制御手段は、前記会計手段による前記支払いの受領を確認して前記ロックモードを解除するよう前記ロック機構を制御するシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−103721(P2011−103721A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−257363(P2009−257363)
【出願日】平成21年11月10日(2009.11.10)
【出願人】(000186913)昭和シェル石油株式会社 (322)
【Fターム(参考)】