説明

送信信号変換装置および送信信号変換プログラム、並びに、受信信号変換装置および受信信号変換プログラム

【課題】定輝度原理を満足する定輝度伝送を行いつつ、非線形変換の圧縮伸長に起因するSN比の低下を抑制することが可能な映像信号をYCC形式の信号に変換する送信信号変換装置を提供する。
【解決手段】送信信号変換装置3Bは、入力した非線形輝度加算第3色信号を線形信号に変換した輝度加算第3色信号から低域周波数成分の抽出とダウンサンプルと非線形変換とにより生成した低域非線形第3色信号と、入力した低域非線形第1色信号および低域非線形第2色信号とから低域非線形輝度信号と2つの色差信号とを生成するとともに、輝度加算第3色信号から高域輝度信号を生成し、低域非線形輝度信号を線形信号に変換しアップサンプルした信号と加算することで線形輝度信号を生成し、この線形輝度信号から非線形な輝度信号を生成することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像信号の伝送技術に係る送信信号変換装置および送信信号変換プログラム、並びに、受信信号変換装置および受信信号変換プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テレビジョン映像信号を伝送する手法として、カメラで撮影した、あるいは、電子的に生成した三原色の色信号であるR(赤)信号、G(緑)信号およびB(青)信号から、輝度信号と色差信号とを生成し伝送する手法が用いられている(非特許文献1参照)。
【0003】
ここで、図15を参照して、従来の輝度信号と色差信号とにより映像信号を伝送する手法(従来手法1)について説明する。まず、図15(a)に示すように、映像信号の送信装置1Cは、非線形変換手段(ガンマ補正手段)70によって、線形信号であるRGB信号に対してガンマ補正(受信装置2Cのガンマ特性の逆特性)を行うことで、信号レベルの小さい領域については信号を伸長し、信号レベルの大きい領域については信号の圧縮を行う処理(非線形圧縮伸長処理)を行う。これによって、線形信号であるRGB信号が、非線形信号であるRααα信号に変換される。
そして、送信装置1Cは、マトリクス変換手段71によって、ガンマ補正されたRααα信号に対して、以下の(1)式に示すマトリクス変換を行って、輝度信号Y′と、色差信号Cb′,Cr′とを生成する。
【0004】
【数1】

【0005】
ここで、r,g,bは輝度信号を生成するための係数で、例えば、HDTV信号規格であれば、r=0.2126、g=0.7152、b=0.0722である。
また、kcb,kcrは、(Bα−Y′)や(Rα−Y′)が元の信号(B(Bα),R(Rα))の約2倍のダイナミックレンジを持つため、色差信号Cb′,Cr′をそのダイナミックレンジ内に収めるための係数である。
【0006】
そして、送信装置1Cは、色差信号Cb′,Cr′に対して、帯域制限手段(LPF;低域通過フィルタ)72によって、低域周波数成分を抽出する帯域制限を行い、ダウンサンプル手段73によって、画素を水平方向、あるいは、水平垂直方向に1画素置きにダウンサンプルすることで、色差信号Cb′LD,Cr′LDに変換する。
これによって、送信装置1Cは、4:2:2形式、4:2:0形式等の信号(Y′,Cb′LD,Cr′LD)を生成する。
このように生成された輝度信号Y′と色差信号Cb′LD,Cr′LDとが受信側に送信される。
【0007】
一方、図15(b)に示すように、映像信号の受信装置2Cは、受信した映像信号のうち、色差信号Cb′LD,Cr′LDについては、アップサンプル手段80によって、アップサンプリングを行うことで、サンプル数および画素構造を輝度信号Y′と同じサンプル数および画素構造に戻す。
そして、受信装置2Cは、逆マトリクス変換手段81によって、前記(1)式の逆変換(逆マトリクス変換)を行うことで、Rααα信号を生成する。
そして、受信装置2Cは、線形変換手段82によって、Rααα信号に、送信装置1Cの非線形変換手段70におけるガンマ補正の逆特性を与えることで、RGB信号を生成する。なお、この線形変換手段82は、表示装置がCRT等のガンマ特性を有する表示装置であれば、当該表示装置に相当し、Rααα信号が、表示装置のガンマ特性を経た光として再生される。
【0008】
しかし、この従来手法1では、マトリクス変換手段71において、ガンマ補正を行った非線形なRGB信号(Rααα信号)から、輝度信号と色差信号とを生成し、さらに、帯域制限手段72によって、色差信号を帯域制限している。そのため、受信装置2Cでは、輝度信号、色差信号からRGB信号を復元した際に、輝度情報を正しく再現できないという問題がある。これは、輝度を復元するための情報は、伝送用の輝度信号だけで伝送され、色信号に影響されないことが重要であるという定輝度原理を満足しないためである(非特許文献1参照)。
さらに、この従来手法1では、色差信号への帯域制限が、非線形信号に対する帯域制限であるため、非線形信号に含まれる情報(高調波成分)の一部が帯域制限によって失われてしまい、色情報が正しく再現できないという問題もある。
【0009】
この問題を解決するには、輝度信号を線形なRGB信号から生成するとともに、非線形信号に対して帯域制限を行うのではなく、線形信号に対して帯域制限を行えばよい。このような手法として、HDTV(High Definition TeleVision)のアナログ伝送方式(MUSE方式)が採用した方式が存在する。
【0010】
ここで、図16を参照して、従来の輝度信号と色差信号とにより映像信号を伝送する他の手法(従来手法2)であるMUSE方式の伝送手法について説明する。
図16(a)に示すように、MUSE方式の送信装置1Dは、図15(a)で説明した送信装置1Cに対して、非線形変換手段70を、マトリクス変換手段71、帯域制限手段72やダウンサンプル手段73の後段に設けている。
【0011】
また、図16(b)に示すように、MUSE方式の受信装置2Dは、図15(b)で説明した受信装置2Cに対して、線形変換手段82を逆マトリクス変換手段81よりも前段に配置し、受信した輝度信号、色差信号を最初に線形信号に変換する構成としている。
すなわち、送信装置1Dでは、線形信号であるR,B信号と、線形信号である輝度信号Yの差信号R−Y,B−Yに対して帯域制限を行った後、ガンマ補正を行い伝送用の映像信号を生成している。
このようにMUSE方式の伝送手法では、定輝度原理を満足する定輝度伝送が可能になる。
【0012】
しかし、この従来手法2は、差信号R−Y(図16中、Cr等)、差信号B−Y(図16中、Cb等)に対して、非線形変換を行うため、振幅の大きな信号(差信号が大きい=高彩度部)において、振幅を圧縮する変換が行われることになる。
そのため、従来手法2は、高彩度部において、SN比(signal-to-noise ratio;信号対雑音比)が、低下するという問題がある。
【0013】
なお、従来のMUSE方式では、色差信号の非線形特性を輝度信号よりも緩やかな特性とするとともに、振幅を2倍にすることで、高彩度部のSN比の低下を抑制していた。しかし、アナログ映像信号において振幅を2倍にするということは、デジタル映像信号においてはビット数を増やす必要があり、映像信号のデータ量が増えてしまうという問題がある。
このような問題を解決するため、本願発明者は、映像信号送信装置および伝送用映像信号生成プログラム、映像信号受信装置および伝送用映像信号変換プログラム、並びに、映像信号伝送システムを発明した(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特願2010−28260号
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】日下秀夫 監修,「カラー画像工学」,映像情報メディア学会,オーム社,1997年4月25日,pp.126−129
【非特許文献2】ITU-R BT.709:Parameter values for the HDTV standards for production and international programme exchange
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
特許文献1に記載の発明(先の発明)は、定輝度原理を満足する定輝度伝送を行いつつ、非線形変換(ガンマ補正)の圧縮伸長に起因する輝度情報や色情報のSN比の低下を抑制することができるという優れた効果を奏するものである。
この先の発明は、伝送用の映像信号として、2つの色信号(低域非線形第1色信号,低域非線形第2色信号)と、輝度信号の高域周波数成分を付加した色信号(非線形輝度加算第3色信号)とを伝送する。一方、映像信号を圧縮符号化するデジタル圧縮符号化装置等では、輝度信号と色差信号とを用いて映像信号を圧縮符号化するものが存在する。そのため、先の発明によって伝送される色信号を、デジタル圧縮符号化装置等で処理可能な輝度信号と色差信号とに変換(逆変換)する技術も望まれるところである。
【0017】
本発明は、以上のような要望に鑑みてなされたものであり、定輝度原理を満足する定輝度伝送を行いつつ、非線形変換(ガンマ補正)の圧縮伸長に起因するSN比の低下を抑制することが可能な映像信号送信装置および映像信号受信装置において伝送される色情報を、輝度信号と色差信号とに変換(逆変換)する送信信号変換装置および送信信号変換プログラム、並びに、受信信号変換装置および受信信号変換プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、前記課題を解決するために創案されたものであり、まず、請求項1に記載の送信信号変換装置は、三原色の色信号である第1ないし第3色信号のうちで、前記第1色信号および第2色信号の低域周波数成分をダウンサンプルした後に非線形変換した低域非線形第1色信号および低域非線形第2色信号と、前記第1ないし第3色信号から生成した線形輝度信号の高域周波数成分である高域輝度信号に前記第3色信号の低域周波数成分を加算した後に非線形変換した非線形輝度加算第3色信号とを伝送用の映像信号として入力し、当該映像信号を、輝度信号と2つの色差信号とに変換する送信信号変換装置であって、線形変換手段と、高域信号生成手段と、帯域制限手段と、ダウンサンプル手段と、非線形変換手段と、輝度色差信号生成手段と、第2の線形変換手段と、アップサンプル手段と、高域信号加算手段と、第2の非線形変換手段と、を備える構成とした。
【0019】
かかる構成において、送信信号変換装置は、線形変換手段によって、非線形輝度加算第3色信号を、線形信号である輝度加算第3色信号に変換する。この変換は、非線形輝度加算第3色信号に、非線形輝度加算第3色信号を生成する際に行った非線形変換の逆特性を与えることにより行うことができる。
そして、送信信号変換装置は、高域信号生成手段によって、輝度加算第3色信号から、当該輝度加算第3色信号の高域周波数成分である高域輝度信号を生成する。
【0020】
また、送信信号変換装置は、帯域制限手段によって、輝度加算第3色信号から低域周波数成分を抽出し、ダウンサンプル手段によって、帯域制限手段で抽出した信号を予め定めたサンプリング間隔でダウンサンプルする。これによって、輝度加算第3色信号の低域周波数成分がダウンサンプリングされた信号(低域線形第3色信号)が生成される。
【0021】
そして、送信信号変換装置は、非線形変換手段によって、低域線形第3色信号を、非線形変換により低域非線形第3色信号に変換する。
そして、送信信号変換装置は、輝度色差信号生成手段によって、低域非線形第1色信号、低域非線形第2色信号および低域非線形第3色信号から、低域非線形輝度信号と、2つの色差信号を生成する。これによって、変換後の出力信号である2つの色差信号が生成されることになる。
【0022】
また、送信信号変換装置は、第2の線形変換手段によって、非線形輝度加算第3色信号を生成する際に行った非線形変換の逆特性を与えることにより、低域非線形輝度信号を低域線形輝度信号に変換し、アップサンプル手段によって、低域線形輝度信号を、高域輝度信号と同じサンプル数並びに画素構造となるようにアップサンプルする。
【0023】
そして、送信信号変換装置は、高域信号加算手段によって、アップサンプルした低域線形輝度信号に高域輝度信号を加算することで、線形輝度信号を生成する。
そして、送信信号変換装置は、第2の非線形変換手段によって、線形輝度信号を、非線形変換により非線形信号である輝度信号に変換する。これによって、変換後の出力信号である輝度信号が生成されることになる。
【0024】
また、請求項2に記載の送信信号変換プログラムは、三原色の色信号である第1ないし第3色信号のうちで、前記第1色信号および第2色信号の低域周波数成分をダウンサンプルした後に非線形変換した低域非線形第1色信号および低域非線形第2色信号と、前記第1ないし第3色信号から生成した線形輝度信号の高域周波数成分である高域輝度信号に前記第3色信号の低域周波数成分を加算した後に非線形変換した非線形輝度加算第3色信号とを伝送用の映像信号として入力し、当該映像信号を、輝度信号と2つの色差信号とに変換するために、コンピュータを、線形変換手段、帯域制限手段、ダウンサンプル手段、非線形変換手段、高域信号生成手段、輝度色差信号生成手段、第2の線形変換手段、アップサンプル手段、高域信号加算手段、第2の非線形変換手段、として機能させる構成とした。
【0025】
かかる構成において、送信信号変換プログラムは、線形変換手段によって、非線形輝度加算第3色信号を生成する際に行った非線形変換の逆特性を与えることにより、非線形輝度加算第3色信号を、線形信号である輝度加算第3色信号に変換する。
そして、送信信号変換プログラムは、帯域制限手段によって、輝度加算第3色信号から低域周波数成分を抽出し、ダウンサンプル手段によって、帯域制限手段で抽出した信号を予め定めたサンプリング間隔でダウンサンプルする。これによって、輝度加算第3色信号の低域周波数成分がダウンサンプリングされた信号(低域線形第3色信号)が生成される。
【0026】
また、送信信号変換プログラムは、非線形変換手段によって、低域線形第3色信号を、非線形変換により低域非線形第3色信号に変換する。
そして、送信信号変換プログラムは、高域信号生成手段によって、輝度加算第3色信号から、当該輝度加算第3色信号の高域周波数成分である高域輝度信号を生成する。
また、送信信号変換プログラムは、輝度色差信号生成手段によって、低域非線形第1色信号、低域非線形第2色信号および低域非線形第3色信号から、低域非線形輝度信号と、2つの色差信号を生成する。これによって、変換後の出力信号である2つの色差信号が生成されることになる。
【0027】
また、送信信号変換プログラムは、第2の線形変換手段によって、非線形輝度加算第3色信号を生成する際に行った非線形変換の逆特性を与えることにより、低域非線形輝度信号を低域線形輝度信号に変換し、アップサンプル手段によって、低域線形輝度信号を、高域輝度信号と同じサンプル数並びに画素構造となるようにアップサンプルする。
【0028】
そして、送信信号変換プログラムは、高域信号加算手段によって、アップサンプルした低域線形輝度信号に高域輝度信号を加算することで、線形輝度信号を生成する。
そして、送信信号変換プログラムは、第2の非線形変換手段によって、線形輝度信号を、非線形変換により非線形信号である輝度信号に変換する。これによって、変換後の出力信号である輝度信号が生成されることになる。
【0029】
さらに、請求項3に記載の受信信号変換装置は、三原色の色信号である第1ないし第3色信号のうちで、前記第1色信号および第2色信号の低域周波数成分をダウンサンプルした後に非線形変換した低域非線形第1色信号および低域非線形第2色信号と、前記第1ないし第3色信号から生成した線形輝度信号の高域周波数成分である高域輝度信号に前記第3色信号の低域周波数成分を加算した後に非線形変換した非線形輝度加算第3色信号とから生成した映像信号である輝度信号と、2つの色差信号とを入力し、当該映像信号を、前記低域非線形第1色信号、前記低域非線形第2色信号および前記非線形輝度加算第3色信号に変換する受信信号変換装置であって、線形変換手段と、高域信号生成手段と、帯域制限手段と、ダウンサンプル手段と、非線形変換手段と、色信号生成手段と、第2の線形変換手段と、アップサンプル手段と、高域信号加算手段と、第2の非線形変換手段と、を備える構成とした。
【0030】
かかる構成において、受信信号変換装置は、線形変換手段によって、輝度信号を、線形信号である線形輝度信号に変換する。この変換は、輝度信号に、非線形輝度加算第3色信号を生成する際に行った非線形変換の逆特性を与えることにより行うことができる。
そして、受信信号変換装置は、高域信号生成手段によって、線形変換手段で変換した線形輝度信号から、当該線形輝度信号の高域周波数成分である高域輝度信号を生成する。
【0031】
また、受信信号変換装置は、帯域制限手段によって、線形輝度信号から低域周波数成分を抽出し、ダウンサンプル手段によって、帯域制限手段で抽出した信号を予め定めたサンプリング間隔でダウンサンプルする。これによって、線形輝度信号の低域周波数成分がダウンサンプリングされた信号(低域線形輝度信号)が生成される。
【0032】
そして、受信信号変換装置は、非線形変換手段によって、低域線形輝度信号を、非線形変換により低域非線形輝度信号に変換する。
そして、受信信号変換装置は、色信号生成手段によって、低域非線形輝度信号と、2つの色差信号とから、低域非線形第1色信号および低域非線形第2色信号を生成するととともに、低域非線形第3色信号を生成する。これによって、変換後の出力信号である低域非線形第1色信号および低域非線形第2色信号が生成されることになる。
【0033】
また、受信信号変換装置は、第2の線形変換手段によって、非線形輝度加算第3色信号を生成する際に行った非線形変換の逆特性を与えることにより、低域非線形第3色信号を低域線形第3色信号に変換し、アップサンプル手段によって、低域線形第3色信号を、高域輝度信号と同じサンプル数並びに画素構造となるようにアップサンプルする。
【0034】
そして、受信信号変換装置は、アップサンプル手段でアップサンプルした低域線形第3色信号に高域輝度信号を加算することで、線形信号である輝度加算第3色信号を生成する。
そして、受信信号変換装置は、第2の非線形変換手段によって、輝度加算第3色信号を、非線形変換により非線形輝度加算第3色信号に変換する。これによって、変換後の出力信号である非線形輝度加算第3色信号が生成されることになる。
【0035】
また、請求項4に記載の受信信号変換プログラムは、三原色の色信号である第1ないし第3色信号のうちで、前記第1色信号および第2色信号の低域周波数成分をダウンサンプルした後に非線形変換した低域非線形第1色信号および低域非線形第2色信号と、前記第1ないし第3色信号から生成した線形輝度信号の高域周波数成分である高域輝度信号に前記第3色信号の低域周波数成分を加算した後に非線形変換した非線形輝度加算第3色信号とから生成した映像信号である輝度信号と、2つの色差信号とを入力し、当該映像信号を、前記低域非線形第1色信号、前記低域非線形第2色信号および前記非線形輝度加算第3色信号に変換するために、コンピュータを、線形変換手段、高域信号生成手段、帯域制限手段、ダウンサンプル手段、非線形変換手段、色信号生成手段、第2の線形変換手段、アップサンプル手段、高域信号加算手段、第2の非線形変換手段、として機能させる構成とした。
【0036】
かかる構成において、受信信号変換プログラムは、線形変換手段によって、輝度信号を、線形信号である線形輝度信号に変換する。この変換は、輝度信号に、非線形輝度加算第3色信号を生成する際に行った非線形変換の逆特性を与えることにより行うことができる。そして、受信信号変換プログラムは、高域信号生成手段によって、線形変換手段で変換した線形輝度信号から、当該線形輝度信号の高域周波数成分である高域輝度信号を生成する。
【0037】
また、受信信号変換プログラムは、帯域制限手段によって、線形輝度信号から低域周波数成分を抽出し、ダウンサンプル手段によって、帯域制限手段で抽出した信号を予め定めたサンプリング間隔でダウンサンプルする。これによって、線形輝度信号の低域周波数成分がダウンサンプリングされた信号(低域線形輝度信号)が生成される。
【0038】
そして、受信信号変換プログラムは、非線形変換手段によって、低域線形輝度信号を、非線形変換により低域非線形輝度信号に変換する。
そして、受信信号変換プログラムは、色信号生成手段によって、低域非線形輝度信号と、2つの色差信号とから、低域非線形第1色信号および低域非線形第2色信号を生成するととともに、低域非線形第3色信号を生成する。これによって、変換後の出力信号である低域非線形第1色信号および低域非線形第2色信号が生成されることになる。
【0039】
また、受信信号変換プログラムは、第2の線形変換手段によって、非線形輝度加算第3色信号を生成する際に行った非線形変換の逆特性を与えることにより、低域非線形第3色信号を低域線形第3色信号に変換し、アップサンプル手段によって、低域線形第3色信号を、高域輝度信号と同じサンプル数並びに画素構造となるようにアップサンプルする。
【0040】
そして、受信信号変換プログラムは、高域信号生成手段によって、線形変換手段で変換した線形輝度信号から、当該線形輝度信号の高域周波数成分である高域輝度信号を生成する。そして、受信信号変換プログラムは、アップサンプル手段でアップサンプルした低域線形第3色信号に高域輝度信号を加算することで、線形信号である輝度加算第3色信号を生成する。
そして、受信信号変換プログラムは、第2の非線形変換手段によって、輝度加算第3色信号を、非線形変換により非線形輝度加算第3色信号に変換する。これによって、変換後の出力信号である非線形輝度加算第3色信号が生成されることになる。
【発明の効果】
【0041】
本発明は、以下に示す優れた効果を奏するものである。
請求項1,2に記載の発明によれば、定輝度原理を満足する定輝度伝送を行いつつ、非線形変換の圧縮伸長に起因するSN比の低下を抑制することが可能な3つの色信号(低域非線形第1色信号,低域非線形第2色信号,非線形輝度加算第3色信号)からなる映像信号を、輝度信号と2つの色差信号とからなる映像信号に変換することができる。これによって、請求項1,2に記載の発明は、定輝度伝送とSN比の低下を抑制する効果を奏しつつ、従来のデジタル符号化装置等で利用可能な映像信号を生成することができる。
【0042】
請求項3,4に記載の発明によれば、定輝度原理を満足する定輝度伝送を行いつつ、非線形変換の圧縮伸長に起因するSN比の低下を抑制することが可能な輝度信号と2つの色差信号とからなる映像信号を、3つの色信号(低域非線形第1色信号,低域非線形第2色信号,非線形輝度加算第3色信号)からなる映像信号に変換することができる。これによって、請求項3,4に記載の発明は、定輝度伝送とSN比の低下を抑制する効果を奏しつつ、当該映像信号を従来のデジタル符号化装置等で符号復号した映像信号から、3つの色信号を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の参考例1の実施形態に係る映像信号伝送システムの構成を示すシステム構成図である。
【図2】本発明の参考例1の実施形態に係る映像信号送信装置の構成を示すブロック構成図である。
【図3】本発明の参考例1の実施形態に係る映像信号受信装置の構成を示すブロック構成図である。
【図4】本発明の参考例1の実施形態に係る映像信号送信装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の参考例1の実施形態に係る映像信号受信装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の参考例1の実施形態に係る映像信号送信装置が送信するYBR形式の信号からYCC形式の信号に変換する送信信号変換装置の構成を示すブロック構成図である。
【図7】図6の送信信号変換装置が送信するYCC形式の信号を、本発明の参考例1の実施形態に係る映像信号受信装置で受信可能なYBR形式の信号に変換する受信信号変換装置の構成を示すブロック構成図である。
【図8】本発明の参考例2の実施形態に係る映像信号伝送システムの構成を示すシステム構成図である。
【図9】本発明の参考例2の実施形態に係る映像信号送信装置の構成を示すブロック構成図である。
【図10】本発明の参考例2の実施形態に係る映像信号受信装置の構成を示すブロック構成図である。
【図11】本発明の参考例2の実施形態に係る映像信号送信装置の動作を示すフローチャートである。
【図12】本発明の参考例2の実施形態に係る映像信号受信装置の動作を示すフローチャートである。
【図13】本発明の参考例2の実施形態に係る映像信号送信装置が送信する映像信号をYCC形式の信号に変換する送信信号変換装置の構成を示すブロック構成図である。
【図14】図13の送信信号変換装置が送信するYCC形式の信号を、本発明の第1実施形態に係る映像信号受信装置で受信可能なYBR形式の信号に変換する受信信号変換装置の構成を示すブロック構成図である。
【図15】従来の映像信号を伝送する手法(従来手法1)を説明するための図であって、(a)は送信装置、(b)は受信装置の構成を示すブロック構成図である。
【図16】従来の映像信号を伝送する手法(従来手法2)を説明するための図であって、(a)は送信装置、(b)は受信装置の構成を示すブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
[参考例1の実施形態:映像信号伝送システムの構成]
まず、図1を参照して、本発明の参考例1の実施形態に係る映像信号伝送システムの構成について説明する。
【0045】
映像信号伝送システムSは、デジタル映像信号(以下、単に映像信号という)を、輝度信号と2つの色信号とで扱うYBRコンポーネント方式の伝送システムである。
この映像信号伝送システムSは、図1に示すように、伝送路Nを介して映像信号を伝送する。ここでは、映像信号伝送システムSは、映像信号を送信する側に映像信号送信装置1を備え、伝送路Nを介して映像信号を受信する側に映像信号受信装置2を備えている。
【0046】
映像信号送信装置1は、三原色の色信号であるR(赤)信号、G(緑)信号およびB(青)信号から伝送用の映像信号を生成して送信するものである。
この映像信号送信装置1は、カメラCから入力したRGB信号から、非線形圧縮伸長を行った輝度信号(Yα)と2つの色信号の低域周波数成分(BLDα,RLDα)とを生成し、ケーブル、通信回線等の伝送路Nを介して、映像信号受信装置2に送信する。また、ここでは、映像信号送信装置1は、RGB信号をカメラCから入力しているが、映像信号を電子的に生成する装置、例えば、CG装置等から入力する構成であっても構わない。
【0047】
映像信号受信装置2は、輝度信号と2つの色信号の低域周波数成分とを受信し、当該信号からRGB信号を生成し出力するものである。
この映像信号受信装置2は、伝送路Nを介して、映像信号送信装置1から、輝度信号(Yα)と2つの色信号の低域周波数成分(BLDα,RLDα)とを受信し、RGB信号として表示装置Dに出力する。なお、表示装置Dは、映像信号受信装置2の内部に備える構成であっても構わない。
【0048】
また、映像信号受信装置2が出力したRGB信号を、各種の映像信号処置装置で処理した後、再び映像信号伝送システムで伝送してもよい。
以下、本発明の参考例1の実施形態に係る映像信号送信装置1および映像信号受信装置2の構成について説明する。
【0049】
〔映像信号送信装置の構成〕
最初に、図2を参照(適宜図1参照)して、本発明の参考例1の実施形態に係る映像信号送信装置1の構成について説明を行う。ここでは、映像信号送信装置1は、輝度信号生成手段10と、帯域制限手段11と、ダウンサンプル手段12と、非線形変換手段13と、を備えている。なお、映像信号送信装置1は、RGB信号を入力する入力手段や、輝度信号と色信号の低域周波数成分とを、伝送路Nを介して、映像信号受信装置2に出力する出力手段も備えるが、ここでは図示を省略する。また、各手段の処理遅延を補正するための遅延手段(遅延回路)についても、ここでは図示を省略する。
【0050】
また、この映像信号送信装置1に入力されるRGB信号は、その信号レベルと光強度とが線形な関係を有する線形信号とする。なお、RGB信号がガンマ補正された非線形信号である場合は、入力したRGB信号に逆ガンマ特性により線形信号に変換する線形変換手段(図示せず)をさらに備えることとする。
【0051】
輝度信号生成手段10は、入力手段(不図示)を介して入力した線形信号であるRGB信号を予め定めた混合比率で混合することで輝度信号を生成するものである。この輝度信号生成手段10は、以下の(2)式に示す混合式によって、線形な輝度信号である輝度信号(線形輝度信号)Yを生成する。
【0052】
【数2】

【0053】
ここで、r,g,bは輝度信号を生成するための係数である。この係数は、RGB信号から輝度信号を生成する一般的な規格に準拠すればよく、例えば、HDTV信号規格であれば、r=0.2126、g=0.7152、b=0.0722である。あるいは、厳密に輝度を表すことにはならないが、これらを簡略化して、r=0.2、g=0.7、b=0.1等としてもよい。
この輝度信号生成手段10は、生成した輝度信号Yを非線形変換手段13に出力する。
【0054】
帯域制限手段11は、入力手段(不図示)を介して入力したB信号およびR信号から、それぞれ予め定めた低域周波数成分の信号(B,R)を抽出するものである。この帯域制限手段11は、一般的な低域通過フィルタによって構成することができる。
【0055】
また、この低域周波数成分は、後記するダウンサンプル手段12におけるダウンサンプルの度合いに応じて予め定まるもので、例えば、ダウンサンプルを1/2にする場合であれば、周波数成分の低域周波数側の半分の成分とする。
【0056】
すなわち、例えば、映像信号の伝送形式を4:2:2形式とする場合、帯域制限手段11は、水平の1次元フィルタで構成することができ、水平方向の周波数成分のうち低域周波数側の半分の帯域の信号のみを通過させるものとする。また、例えば、映像信号の伝送形式を4:2:0形式とする場合、帯域制限手段11は、水平垂直の2次元フィルタで構成することができ、水平方向および垂直方向の周波数成分のうちそれぞれ低域周波数側の半分の帯域の信号のみを通過させるものとする。
この帯域制限手段11は、抽出した各信号(B,R)を、ダウンサンプル手段12に出力する。
【0057】
ダウンサンプル手段12は、帯域制限手段11で抽出した各信号(B,R)を予め定めたサンプリング間隔(ダウンサンプル比)でダウンサンプルするものである。
このサンプリング間隔は、映像信号の伝送形式に応じて予め定められている間隔である。例えば、映像信号の伝送形式を4:2:2形式とする場合、ダウンサンプル手段12は、画素を水平方向に1画素置きにダウンサンプルする。また、例えば、映像信号の伝送形式を4:2:0形式とする場合、ダウンサンプル手段12は、画素を水平方向、垂直方向ともに1画素置きにダウンサンプルする。
【0058】
なお、帯域制限手段11におけるフィルタ特性と、ダウンサンプル手段12におけるダウンサンプル比とを変えることで、4:2:2形式や4:2:0形式以外の形式、例えば、3:1:1形式等所望のサンプル数比とすることが可能である。
このダウンサンプル手段12は、ダウンサンプルした各信号(BLD,RLD)を、非線形変換手段13に出力する。
【0059】
非線形変換手段13は、ダウンサンプル手段12でダウンサンプルした線形信号である各信号(BLD,RLD)と、輝度信号生成手段10で生成した線形信号である輝度信号Yとを、非線形信号に変換するものである。
この非線形変換は、信号レベルの小さい領域については信号を伸長し、信号レベルの大きい領域については信号の圧縮を行う処理(非線形圧縮伸長処理)である。一般的に、非線形変換は、以下の(3)式や(4)式で表すことができる。
【0060】
【数3】

【0061】
ここで、Eは非線形変換前の線形信号、E′は非線形変換後の非線形信号、α,a,b,c,dは係数を表している。なお、Eが小さい領域については、E′=eE(eは係数)で表されるに対して線形特性を与える場合もある。
例えば、HDTV信号規格では、線形信号Eから非線形信号E′への変換式は、以下の(5)式に示すように規定されている。
【0062】
【数4】

【0063】
非線形変換手段13は、この(5)式を用いて非線形変換を行うこととしてもよい。
なお、ここでは、前記(3)式を簡略化し、a=1,b=0,c=0とすることで、Eα(αのべき乗表記)を、非線形変換手段13における非線形変換後の非線形信号の表記とする。
【0064】
すなわち、非線形変換手段13は、ダウンサンプル手段12でダウンサンプルした信号BLDを低域非線形青信号BLDαに変換し、信号RLDを低域非線形赤信号RLDαに変換する。さらに、非線形変換手段13は、輝度信号生成手段10で生成した線形信号である輝度信号Yを非線形変換することで、非線形輝度信号Yαに変換する。
【0065】
この非線形変換手段13で変換した非線形輝度信号Yα、低域非線形青信号BLDαおよび低域非線形赤信号RLDαが、外部に出力する伝送用の映像信号となる。
このように、非線形変換手段13で変換した非線形輝度信号Yα、低域非線形青信号BLDαおよび低域非線形赤信号RLDαは、図示を省略した出力手段を介して、映像信号受信装置2に送信される。
【0066】
以上、本発明の参考例1の実施形態に係る映像信号送信装置1の構成について説明したが、本発明は、本実施形態の形式に限定されるものではない。前記した各手段は、回路を用いたハードウェア構成で実現することもできるし、ソフトウェアにより実現することもできる。この映像信号送信装置1をソフトウェアで実現する場合、図示を省略したCPUやメモリを搭載した一般的なコンピュータを、前記した各手段として機能させる伝送用映像信号生成プログラムによって動作させることができる。
【0067】
〔映像信号受信装置の構成〕
次に、図3を参照(適宜図1参照)して、本発明の参考例1の実施形態に係る映像信号受信装置2の構成について説明を行う。ここでは、映像信号受信装置2は、線形変換手段20と、帯域制限手段21と、高域信号生成手段22と、アップサンプル手段23と、色信号生成手段24と、高域信号加算手段25と、を備えている。なお、映像信号受信装置2は、伝送路Nを介して、輝度信号(Yα)と色信号の低域周波数成分(BLDα,RLDα)とを入力する入力手段や、RGB信号を出力する出力手段も備えるが、ここでは図示を省略する。また、各手段の処理遅延を補正するための遅延手段(遅延回路)についても、ここでは図示を省略する。
【0068】
線形変換手段20は、映像信号送信装置1から送信され、入力手段(不図示)を介して入力した輝度信号(非線形輝度信号Yα)と、色信号の低域周波数成分(低域非線形青信号BLDα,低域非線形赤信号RLDα)とを、映像信号送信装置1において行う非線形変換の逆特性を与えることにより、線形な輝度信号(Y)と、線形な低域周波数成分の色信号(低域線形青信号BLD,低域線形赤信号RLD)とに変換するものである。なお、この非線形輝度信号Yαは、映像信号送信装置1において、前記(2)式によって、線形信号であるRGB信号から生成された後、非線形変換されたものであるため、線形変換手段20において、その非線形変換の逆特性による変換を行うことで、(線形)輝度信号Yが正しく再現されることになる。
この線形変換手段20は、変換した線形輝度信号Yを、帯域制限手段21と高域信号生成手段22とに出力する。また、線形変換手段20は、変換した低域線形青信号BLDおよび低域線形赤信号RLDをアップサンプル手段23に出力する。
【0069】
帯域制限手段21は、線形変換手段20で変換した線形輝度信号Yから、予め定めた低域周波数成分(Y)を抽出するものである。なお、この帯域制限手段21は、映像信号送信装置1の帯域制限手段11(図2参照)と同じ低域周波数成分を抽出するものとする。この帯域制限手段21は、抽出した信号(低域線形輝度信号Y)を、高域信号生成手段22と色信号生成手段24とに出力する。
【0070】
高域信号生成手段22は、線形変換手段20で変換した線形輝度信号Yから、高域周波数成分の信号(高域輝度信号Y)を抽出するものである。ここでは、高域信号生成手段22は、線形輝度信号Yから、帯域制限手段21で帯域制限した低域線形輝度信号Yを減算することで、線形輝度信号Yの高域周波数成分である高域輝度信号Yを生成する。
【0071】
なお、この高域信号生成手段22は、線形輝度信号Yから、予め定めた高域周波数成分を抽出するものとして構成してもよい。この場合、高域信号生成手段22は、一般的な高域通過フィルタによって構成することができる。また、この高域周波数成分は、帯域制限手段21において行う低域周波数成分の残りの高域側の成分として予め定めておくものとする。なお、高域信号生成手段22を高域通過フィルタで構成する場合、高域信号生成手段22は、帯域制限手段21で帯域制限した低域線形輝度信号Yを使用しない。
この高域信号生成手段22は、生成した高域輝度信号Yを、高域信号加算手段25に出力する。
【0072】
アップサンプル手段23は、線形変換手段20で変換した線形信号である低域線形青信号BLDおよび低域線形赤信号RLDを、(線形)輝度信号Yと同じサンプル数および画素構造となるようにアップサンプルするものである。
【0073】
例えば、映像信号送信装置1から送信される映像信号の伝送形式が4:2:2形式である場合、アップサンプル手段23は、水平方向に1画素ごとに画素の挿入を行う。また、映像信号送信装置1から送信される映像信号の伝送形式が4:2:0形式である場合、アップサンプル手段23は、水平方向、垂直方向ともに1画素ごとに画素の挿入を行う。なお、ここで、画素の挿入は、隣接画素からの補間フィルタより求めた画素値の画素を挿入する。
【0074】
このアップサンプル手段23は、アップサンプルした低域線形青信号Bおよび低域線形赤信号Rを、色信号生成手段24と高域信号加算手段25とに出力する。
【0075】
色信号生成手段24は、帯域制限手段21で帯域制限した低域線形輝度信号Yと、アップサンプル手段23でアップサンプルした低域線形青信号Bおよび低域線形赤信号Rとから、低域線形緑信号Gを生成するものである。この色信号生成手段24は、以下の(6)式によって、低域線形緑信号Gを生成する。
【0076】
【数5】

【0077】
ここで、r,g,bは、映像信号送信装置1の輝度信号生成手段10(図2参照)において、前記(2)式で用いた係数と同じものである。
この色信号生成手段24は、生成した低域線形緑信号Gを、高域信号加算手段25に出力する。
【0078】
高域信号加算手段25は、アップサンプル手段23でアップサンプルした低域線形青信号Bおよび低域線形赤信号Rと、色信号生成手段24で生成した低域線形緑信号Gとに、それぞれ高域信号生成手段22で生成した高域輝度信号Yを加算することで、RGB信号を生成するものである。すなわち、高域信号加算手段25は、以下の(7)式によって、RGB信号を生成する。
【0079】
【数6】

【0080】
このように、高域信号加算手段25は、RGB信号の帯域制限した低域周波数成分の信号(R,G,B)と、輝度信号の高域周波数成分の信号(Y)とから、RGB信号を生成することができる。
【0081】
以上、本発明の参考例1の実施形態に係る映像信号受信装置2の構成について説明したが、本発明は、本実施形態の形式に限定されるものではない。前記した各手段は、回路を用いたハードウェア構成で実現することもできるし、ソフトウェアにより実現することもできる。この映像信号受信装置2をソフトウェアで実現する場合、図示を省略したCPUやメモリを搭載した一般的なコンピュータを、前記した各手段として機能させる伝送用映像信号変換プログラムによって動作させることができる。
【0082】
[参考例1の実施形態:映像信号伝送システムの動作]
次に、本発明の参考例1の実施形態に係る映像信号伝送システムSの動作について説明する。なお、以下では、映像信号送信装置1の動作、映像信号受信装置2の動作について順次説明を行う。
【0083】
〔映像信号送信装置の動作〕
最初に、図4を参照(適宜図1,図2参照)して、映像信号送信装置1の動作について説明する。
【0084】
まず、映像信号送信装置1は、図示を省略した入力手段によって、外部から映像信号を入力する(ステップS1)。なお、この映像信号は、線形信号である三原色信号(RGB信号)である。
そして、映像信号送信装置1は、輝度信号生成手段10によって、ステップS1で入力したRGB信号を予め定めた混合比率で混合することで輝度信号Yを生成する(ステップS2)。具体的には、輝度信号生成手段10は、前記(2)式によって輝度信号Yを生成する。
【0085】
そして、映像信号送信装置1は、帯域制限手段11によって、ステップS1で入力したB信号およびR信号から、予め定めた低域周波数成分(B,R)を抽出する(ステップS3)。
さらに、映像信号送信装置1は、ダウンサンプル手段12によって、ステップS3で抽出した各信号(B,R)を、伝送形式(4:2:2形式、4:2:0形式等)により予め定めたサンプリング間隔(ダウンサンプル比)でダウンサンプルした信号(BLD,RLD)を生成する(ステップS4)。
【0086】
そして、映像信号送信装置1は、非線形変換手段13によって、ステップS4で生成した低域周波数成分の信号(BLD,RLD)と、ステップS2で生成した輝度信号Yとを、非線形変換により非線形信号に変換する(ステップS5)。すなわち、非線形変換手段13は、輝度信号Yを非線形輝度信号Yαに変換し、低域線形青信号BLDを低域非線形青信号BLDαに変換し、低域線形赤信号RLDを低域非線形赤信号RLDαに変換する。
【0087】
その後、映像信号送信装置1は、図示を省略した出力手段によって、ステップS5で変換した非線形輝度信号Yαと、低域非線形青信号BLDαと、低域非線形赤信号RLDαとを、伝送用の映像信号として、伝送路Nを介して、映像信号受信装置2に出力する(ステップS6)。
以上の動作によって、映像信号送信装置1は、輝度信号(非線形輝度信号Yα)と、色信号(低域非線形青信号BLDα,低域非線形赤信号RLDα)とを、映像信号受信装置2に送信することができる。
【0088】
〔映像信号受信装置の動作〕
次に、図5を参照(適宜図1,図3参照)して、映像信号受信装置2の動作について説明する。
【0089】
まず、映像信号受信装置2は、図示を省略した入力手段によって、映像信号送信装置1から、伝送路Nを介して、伝送用の映像信号である輝度信号(非線形輝度信号Yα)と色信号(低域非線形青信号BLDα,低域非線形赤信号RLDα)とを入力する(ステップS10)。
そして、映像信号受信装置2は、線形変換手段20によって、ステップS10で入力した非線形輝度信号Yα、低域非線形青信号BLDαおよび低域非線形赤信号RLDαに非線形変換の逆特性を与えることで、各信号を、それぞれ線形輝度信号Y、低域線形青信号BLD,低域線形赤信号RLDに変換する(ステップS11)。
【0090】
そして、映像信号受信装置2は、帯域制限手段21によって、ステップS11で変換した線形輝度信号Yから、低域周波数成分(Y)を抽出する(ステップS12)。
【0091】
そして、映像信号受信装置2は、高域信号生成手段22によって、ステップS11で変換した線形輝度信号Yから、ステップS12で抽出した低域線形輝度信号Yを減算することで、輝度信号の高域周波数成分である高域輝度信号Yを生成する(ステップS13)。
【0092】
また、映像信号受信装置2は、アップサンプル手段23によって、ステップS11で変換した低域線形青信号BLDおよび低域線形赤信号RLDを、(線形)輝度信号Yと同じサンプル数および画素構造となるようにアップサンプルする(ステップS14)。
【0093】
そして、映像信号受信装置2は、色信号生成手段24によって、ステップS12で帯域制限した低域線形輝度信号Yと、ステップS14でアップサンプルした低域線形青信号Bおよび低域線形赤信号Rとから、低域線形緑信号Gを生成する(ステップS15)。具体的には、色信号生成手段24は、前記(6)式によって低域線形緑信号Gを生成する。
【0094】
そして、映像信号受信装置2は、高域信号加算手段25によって、ステップS14でアップサンプルした低域線形青信号Bおよび低域線形赤信号Rと、ステップS15で生成した低域線形緑信号Gとに、ステップS13で生成した高域輝度信号Yを加算することで、RGB信号を生成する(ステップS16)。
【0095】
その後、映像信号受信装置2は、図示を省略した出力手段によって、ステップS16で生成したRGB信号(映像信号)を出力する(ステップS17)。
以上の動作によって、映像信号受信装置2は、映像信号送信装置1から出力される輝度信号(非線形輝度信号Yα)と色信号(低域非線形青信号BLDα,低域非線形赤信号RLDα)とから、三原色信号(RGB信号)の映像信号を生成することができる。
【0096】
〔色再現誤差の比較〕
次に、本発明の参考例1の実施形態に係る映像信号伝送システムS(映像信号送信装置1、映像信号受信装置2)による映像信号の伝送方式と、従来手法による映像信号の伝送方式との性能の比較について説明する。
ここでは、一般的な色再現の評価方法であるL均等色空間における色の誤差を示す指標ΔEabを用いて、8ビットの非線形R,G,B信号のすべての組み合わせについて再現される色の誤差ΔEabを集計した。なお、従来手法は、図16に示した従来手法2である。
【0097】
【表1】

【0098】
この表に示すように、色の誤差ΔEabの平均値および最大値ともに本発明の手法が小さい値となっており、本発明の手法が従来手法に比べて、色再現誤差が大きく改善していることが分かる。
このように本発明は、定輝度伝送を可能にしつつ、SN比の低下を抑制することができる。
【0099】
以上、参考例1の実施形態に係る映像信号伝送システムの構成および動作について説明した。この参考例1の実施形態は、輝度信号と2つの色信号とで扱うYBRコンポーネント方式の伝送システムであるが、映像信号を圧縮符号化するデジタル圧縮符号化装置等では、輝度信号と色差信号とを用いて映像信号を圧縮符号化するものが存在する。
【0100】
そこで、ここでは、参考例1の実施形態に係る映像信号伝送システムの映像信号送信装置1が送信する映像信号を、輝度信号と2つの色差信号からなるYCC形式の映像信号に変換する送信信号変換装置と、当該送信信号変換装置が変換したYCC形式の映像信号を、映像信号受信装置2が受信するためのYBR形式の映像信号に変換する受信信号変換装置とについて説明する。
【0101】
〔送信信号変換装置の構成〕
まず、図6を参照して、本発明の実施形態に係る送信信号変換装置3の構成について説明を行う。ここでは、送信信号変換装置3は、線形変換手段30と、帯域制限手段31と、ダウンサンプル手段32と、非線形変換手段33と、色差信号生成手段34と、を備えている。なお、送信信号変換装置3は、映像信号送信装置1において生成される輝度信号および色信号を入力する入力手段や、輝度信号と色差信号を外部に出力する出力手段も備えるが、ここでは図示を省略する。また、各手段の処理遅延を補正するための遅延手段(遅延回路)についても、ここでは図示を省略する。
【0102】
線形変換手段30は、入力手段(不図示)を介して入力した輝度信号(非線形輝度信号Yα)を、映像信号送信装置1において行う非線形変換の逆特性を与えることにより、線形な輝度信号(線形輝度信号Y)に変換するものである。
この線形変換手段30は、変換した線形輝度信号Yを、帯域制限手段31に出力する。
【0103】
帯域制限手段31は、線形変換手段30で変換した線形輝度信号Yから、予め定めた低域周波数成分(Y)を抽出するものである。なお、この帯域制限手段31は、映像信号送信装置1の帯域制限手段11(図2参照)と同じ低域周波数成分を抽出するものとする。この帯域制限手段31は、抽出した信号(低域線形輝度信号Y)を、ダウンサンプル手段32に出力する。
【0104】
ダウンサンプル手段32は、帯域制限手段31で抽出した低域線形輝度信号Yを予め定めたサンプリング間隔(ダウンサンプル比)でダウンサンプルするものである。なお、このダウンサンプル手段32は、映像信号送信装置1のダウンサンプル手段12(図2参照)と同じサンプリング間隔(ダウンサンプル比)でダウンサンプルするものとする。
このダウンサンプル手段32は、ダウンサンプルした低域線形輝度信号YLDを、非線形変換手段33に出力する。
【0105】
非線形変換手段33は、ダウンサンプル手段32でダウンサンプルした線形信号である低域線形輝度信号YLDを、非線形信号(低域非線形輝度信号YLDα)に変換するものである。なお、この非線形変換手段33は、映像信号送信装置1の非線形変換手段13(図2参照)において行う非線形変換と同じ変換を行うものとする。
この非線形変換手段33は、変換した低域非線形輝度信号YLDαを、色差信号生成手段34に出力する。
【0106】
色差信号生成手段34は、非線形変換手段33で変換した低域非線形輝度信号YLDαと、入力手段(不図示)を介して入力した低域非線形青信号BLDαおよび低域非線形赤信号RLDαとから、これら信号を予め定めた混合比率で混合することによって2つの色差信号を生成するものである。2つの色差信号を、青信号と輝度信号の差信号および赤信号と輝度信号の差信号で表現することが多いが、この場合、この色差信号生成手段34は、以下の(8)式に示すように、低域非線形青信号BLDαと低域非線形輝度信号YLDαとの差信号を色差信号CbLDαとし、低域非線形赤信号RLDαと低域非線形輝度信号YLDαとの差信号を色差信号CrLDαとする。
【0107】
【数7】

【0108】
なお、色差信号生成手段34は、色差信号のダイナミックレンジを輝度信号のダイナミックレンジと同じにするために、予め定めた係数で除算することとしてもよい。
すなわち、色差信号生成手段34は、以下の(9)式に示すように、低域非線形青信号BLDαと低域非線形輝度信号YLDαとの差信号を係数kcbで除算することで色差信号CbLDαとし、低域非線形赤信号RLDαと低域非線形輝度信号YLDαとの差信号を係数kcrで除算することで色差信号CrLDαとする。なお、この係数kcb,kcrは、色差信号のダイナミックレンジを輝度信号のダイナミックレンジと同じにするための係数であるが、簡略化してそれぞれの値を“2”としてもよい。
【0109】
【数8】

【0110】
この色差信号生成手段34で生成した色差信号CbLDα,CrLDαは、図示を省略した出力手段を介して、外部に出力される。なお、輝度信号については、出力手段(不図示)は、入力手段(不図示)を介して入力した非線形輝度信号Yαをそのまま出力する。
このように、送信信号変換装置3は、映像信号送信装置1において生成した映像信号を、輝度信号と2つの色差信号とのYCC形式の映像信号に変換することができる。
【0111】
以上、本発明の実施形態に係る送信信号変換装置3の構成について説明したが、本発明は、本実施形態の形式に限定されるものではない。前記した各手段は、回路を用いたハードウェア構成で実現することもできるし、ソフトウェアにより実現することもできる。この送信信号変換装置3をソフトウェアで実現する場合、図示を省略したCPUやメモリを搭載した一般的なコンピュータを、前記した各手段として機能させる送信信号変換プログラムによって動作させることができる。
【0112】
また、ここでは、送信信号変換装置3を、映像信号送信装置1(図2参照)から出力される映像信号を変換するものとして、映像信号送信装置1とは別体の装置として構成したが、送信信号変換装置3を、映像信号送信装置1の内部に組み込んで構成してもよい。
この場合、送信信号変換装置3は、映像信号送信装置1の非線形変換手段13の後段に配置すればよい。そして、線形変換手段30は、非線形変換手段13から非線形輝度信号Yαを入力し、色差信号生成手段34は、非線形変換手段13から低域非線形青信号BLDαおよび低域非線形赤信号RLDαを入力する。
これによって、映像信号送信装置1を、YCC形式の映像信号を送信する装置として構成することができる。
【0113】
〔受信信号変換装置の構成〕
次に、図7を参照して、本発明の実施形態に係る受信信号変換装置4の構成について説明する。ここでは、受信信号変換装置4は、線形変換手段30と、帯域制限手段31と、ダウンサンプル手段32と、非線形変換手段33と、色信号生成手段40と、を備えている。
色信号生成手段40以外の構成については、図6で説明した送信信号変換装置3と同一の構成であるため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0114】
色信号生成手段40は、非線形変換手段33で変換した低域非線形輝度信号YLDαと、入力手段(不図示)を介して入力した色差信号CbLDα,CrLDαとから、色信号である低域非線形青信号BLDαおよび低域非線形赤信号RLDαを生成するものである。この色信号の生成は、色差信号生成の逆変換に相当する。
【0115】
この色信号生成手段40は、色差信号生成手段34(図6参照)において、前記(8)式によって、色差信号CbLDα,CrLDαを演算する場合、以下の(10)式により、低域非線形青信号BLDαおよび低域非線形赤信号RLDαを生成する。
【0116】
【数9】

【0117】
また、色信号生成手段40は、色差信号生成手段34(図6参照)において、前記(9)式によって、色差信号CbLDα,CrLDαを演算する場合、以下の(11)式により、低域非線形青信号BLDαおよび低域非線形赤信号RLDαを生成する。
【0118】
【数10】

【0119】
なお、色差信号生成手段34(図6参照)において、どのような混合比率で色差信号を生成するか、例えば、前記(8)式によって色差信号CbLDα,CrLDαを生成するか、前記(9)式によって色差信号CbLDα,CrLDαを生成するかは、受信信号変換装置4において既知であるものとする。
この色信号生成手段40で生成した低域非線形青信号BLDαおよび低域非線形赤信号RLDαは、図示を省略した出力手段を介して、外部に出力される。なお、輝度信号については、出力手段(不図示)は、入力手段(不図示)を介して入力した非線形輝度信号Yαをそのまま出力する。
【0120】
このように、受信信号変換装置4は、送信信号変換装置3において生成される輝度信号と2つの色差信号とのYCC形式の映像信号を、輝度信号と2つの色信号とのYBR形式の映像信号に変換することができる。そして、この映像信号を、映像信号受信装置2(図3参照)への入力信号とすることができる。
【0121】
以上、本発明の実施形態に係る受信信号変換装置4の構成について説明したが、本発明は、本実施形態の形式に限定されるものではない。前記した各手段は、回路を用いたハードウェア構成で実現することもできるし、ソフトウェアにより実現することもできる。この受信信号変換装置4をソフトウェアで実現する場合、図示を省略したCPUやメモリを搭載した一般的なコンピュータを、前記した各手段として機能させる受信信号変換プログラムによって動作させることができる。
【0122】
また、ここでは、受信信号変換装置4を、映像信号受信装置2(図3参照)に、変換した映像信号を出力するものとして、映像信号受信装置2とは別体の装置として構成したが、受信信号変換装置4を、映像信号受信装置2の内部に組み込んで構成してもよい。
この場合、受信信号変換装置4は、映像信号受信装置2の線形変換手段20の前段に配置すればよい。そして、入力手段(不図示)は、入力した非線形輝度信号Yαを線形変換手段20に出力し、色信号生成手段40は、低域非線形青信号BLDαおよび低域非線形赤信号RLDαを線形変換手段20に出力する。
これによって、映像信号受信装置2を、YCC形式の映像信号を受信する装置として構成することができる。
【0123】
[参考例2の実施形態:映像信号伝送システムの構成]
次に、図8を参照して、本発明の参考例2の実施形態に係る映像信号伝送システムの構成について説明する。
【0124】
映像信号伝送システムSは、デジタル映像信号(映像信号)として、RGBの各色信号を帯域制限した低域周波数成分に、その色信号のいずれか1つに輝度信号の高域周波数成分を付加して伝送するシステムである。
この映像信号伝送システムSは、図8に示すように、伝送路Nを介して映像信号を伝送する。ここでは、映像信号伝送システムSは、映像信号を送信する側に映像信号送信装置1Bを備え、伝送路Nを介して映像信号を受信する側に映像信号受信装置2Bを備えている。
【0125】
映像信号送信装置1Bは、三原色の色信号であるR(赤)信号、G(緑)信号およびB(青)信号から伝送用の映像信号を生成して送信するものである。
この映像信号送信装置1Bは、カメラCから入力したRGB信号の各色信号の低域周波数成分のいずれか(ここでは、G信号の成分)に輝度信号の高域周波数成分を付加して、ケーブル、通信回線等の伝送路Nを介して、映像信号受信装置2に送信する。また、ここでは、映像信号送信装置1Bは、RGB信号をカメラCから入力しているが、映像信号伝送システムS(図1参照)と同様、CG装置等の映像信号を電子的に生成する装置から入力する構成であっても構わない。
【0126】
映像信号受信装置2Bは、RGB信号の各色信号の低域周波数成分のいずれかに輝度信号の高域周波数成分が付加された信号を受信し、当該信号からRGB信号を生成し出力するものである。
この映像信号受信装置2Bは、伝送路Nを介して、映像信号送信装置1Bから、色信号の低域周波数成分のいずれかに輝度信号の高域周波数成分が付加された信号を受信し、RGB信号として表示装置Dに出力する。なお、表示装置Dは、映像信号受信装置2Bの内部に備える構成であっても構わない。
【0127】
また、この映像信号伝送システムSでは、G信号の低域周波数成分に輝度信号の高域周波数成分を付加することとしたが、この輝度信号の高域周波数成分は、どの色信号に付加することとしてもよい。
以下、本発明の参考例2の実施形態に係る映像信号送信装置1Bおよび映像信号受信装置2Bの構成について説明する。
【0128】
〔映像信号送信装置の構成〕
まず、図9を参照(適宜図2,図8参照)して、本発明の参考例2の実施形態に係る映像信号送信装置1Bの構成について説明を行う。ここでは、映像信号送信装置1Bは、輝度信号生成手段10と、帯域制限手段11Bと、ダウンサンプル手段12と、非線形変換手段13Bと、高域信号生成手段14と、高域信号加算手段15と、を備えている。
なお、帯域制限手段11B、非線形変換手段13B、高域信号生成手段14および高域信号加算手段15以外の構成については、図2で説明した映像信号送信装置1と同一の構成であるため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0129】
また、映像信号送信装置1Bは、RGB信号を入力する入力手段や、輝度信号の高域周波数成分と色信号の低域周波数成分とを、伝送路Nを介して、映像信号受信装置2Bに出力する出力手段も備えるが、ここでは図示を省略する。また、各手段の処理遅延を補正するための遅延手段(遅延回路)についても、ここでは図示を省略する。
また、この映像信号送信装置1Bに入力されるRGB信号は、映像信号送信装置1と同様、線形信号とする。
【0130】
帯域制限手段11Bは、入力手段(不図示)を介して入力したG信号、B信号およびR信号とから、それぞれ予め定めた低域周波数成分の信号(G,B,R)を抽出するものである。なお、この帯域制限手段11Bにおける帯域制限の処理内容は、入出力信号が異なるのみで、図2で説明した帯域制限手段11と同一であるため、説明を省略する。
この帯域制限手段11Bは、抽出した信号(低域線形緑信号G)を高域信号加算手段15に出力し、抽出した信号(低域線形青信号B,低域線形赤信号R)をダウンサンプル手段12に出力する。
【0131】
高域信号生成手段14は、輝度信号生成手段10で生成した線形輝度信号Yから、高域周波数成分の信号(高域輝度信号Y)を抽出するものである。ここでは、高域信号生成手段14は、帯域制限手段141と、減算手段142と、を備えている。
【0132】
帯域制限手段141は、輝度信号生成手段10で生成した輝度信号Yから、予め定めた低域周波数成分の信号(Y)を抽出するものである。なお、この帯域制限手段141における帯域制限の処理内容は、入出力信号が異なるのみで、図2で説明した帯域制限手段11と同一であるため、説明を省略する。この帯域制限手段141は、抽出した信号(低域線形輝度信号Y)を減算手段142に出力する。
【0133】
減算手段142は、輝度信号生成手段10で生成した輝度信号Yから、帯域制限手段141で帯域制限した低域線形輝度信号Yを減算することで、輝度信号の高域周波数成分である高域輝度信号Yを生成するものである。この減算手段142は、生成した高域輝度信号Yを高域信号加算手段15に出力する。
【0134】
なお、この高域信号生成手段14は、線形輝度信号Yから、予め定めた高域周波数成分を抽出するものとして構成してもよい。この場合、高域信号生成手段14は、一般的な高域通過フィルタによって構成することができる。また、この高域周波数成分は、帯域制限手段11Bにおいて行う低域周波数成分の残りの高域側の成分として予め定めておくものとする。なお、高域信号生成手段14を高域通過フィルタで構成する場合、帯域制限手段11Bは、低域線形輝度信号Yを生成する必要はない。
この高域信号生成手段14は、生成した高域輝度信号Yを、高域信号加算手段15に出力する。
【0135】
高域信号加算手段15は、高域信号生成手段14で生成した高域輝度信号Yと、帯域制限手段11Bで帯域制限した低域線形緑信号Gとを加算するものである。この高域信号加算手段15で生成される線形な信号(輝度加算緑信号)は、高域周波数成分が、輝度信号Yの高域周波数成分であり、低域周波数成分が、G信号の低域周波数成分となる。
この高域信号加算手段15は、生成した輝度加算緑信号(G+Y)を、非線形変換手段13Bに出力する。
【0136】
非線形変換手段13Bは、ダウンサンプル手段12でダウンサンプルした線形信号である各信号(BLD,RLD)と、高域信号加算手段15で生成した線形信号である輝度加算緑信号(G+Y)とを、非線形信号に変換するものである。
すなわち、非線形変換手段13Bは、ダウンサンプル手段12でダウンサンプルした信号BLDを低域非線形青信号BLDαに変換し、信号RLDを低域非線形赤信号RLDαに変換する。さらに、非線形変換手段13Bは、高域信号加算手段15で生成した輝度加算緑信号(G+Y)を非線形変換することで、非線形輝度加算緑信号(G+Yαに変換する。なお、この非線形変換手段13Bにおける非線形変換の処理内容は、入出力信号が異なるのみで、図2で説明した非線形変換手段13と同一であるため、説明を省略する。
この非線形変換手段13Bで変換した非線形輝度加算緑信号(G+Yα、低域非線形青信号BLDαおよび低域非線形赤信号RLDαが、外部に出力する伝送用の映像信号となる。
このように、非線形変換手段13Bで変換した非線形輝度加算緑信号(G+Yα、低域非線形青信号BLDαおよび低域非線形赤信号RLDαは、図示を省略した出力手段を介して、映像信号受信装置2Bに送信される。
【0137】
以上、本発明の参考例2の実施形態に係る映像信号送信装置1Bの構成について説明したが、本発明は、本実施形態の形式に限定されるものではない。前記した各手段は、回路を用いたハードウェア構成で実現することもできるし、ソフトウェアにより実現することもできる。この映像信号送信装置1Bをソフトウェアで実現する場合、図示を省略したCPUやメモリを搭載した一般的なコンピュータを、前記した各手段として機能させる伝送用映像信号生成プログラムによって動作させることができる。
【0138】
〔映像信号受信装置の構成〕
次に、図10を参照(適宜図3,図9参照)して、本発明の参考例2の実施形態に係る映像信号受信装置2Bの構成について説明を行う。ここでは、映像信号受信装置2Bは、線形変換手段20Bと、高域信号生成手段22Bと、アップサンプル手段23と、高域信号加算手段25Bと、を備えている。
なお、線形変換手段20B、高域信号生成手段22Bおよび高域信号加算手段25B以外の構成については、図3で説明した映像信号受信装置2と同一の構成であるため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0139】
また、映像信号受信装置2Bは、伝送路Nを介して、非線形輝度加算緑信号(G+Yα、低域非線形青信号BLDαおよび低域非線形赤信号RLDαを入力する入力手段や、RGB信号を出力する出力手段も備えるが、ここでは図示を省略する。また、各手段の処理遅延を補正するための遅延手段(遅延回路)についても、ここでは図示を省略する。
【0140】
線形変換手段20Bは、映像信号送信装置1Bから送信され、入力手段(不図示)を介して入力した非線形輝度加算緑信号(G+Yα、低域非線形青信号BLDαおよび低域非線形赤信号RLDαを、映像信号送信装置1Bにおいて行う非線形変換の逆特性を与えることにより、線形な信号(線形輝度加算緑信号(G+Y)、低域線形青信号BLDおよび低域線形赤信号RLD)に変換するものである。
この線形変換手段20Bは、変換した線形輝度加算緑信号(G+Y)を、G信号として出力手段(不図示)に出力するとともに、高域信号生成手段22Bに出力する。また、線形変換手段20Bは、変換した低域線形青信号BLDおよび低域線形赤信号RLDをアップサンプル手段23に出力する。
【0141】
高域信号生成手段22Bは、線形変換手段20Bで変換した線形輝度加算緑信号(G+Y)から、高域周波数成分の信号(高域輝度信号Y)を抽出するものである。ここでは、高域信号生成手段22Bは、帯域制限手段221と、減算手段222と、を備えている。
帯域制限手段221は、線形変換手段20Bで変換した線形輝度加算緑信号(G+Y)から、予め定めた低域周波数成分(G)を抽出するものである。なお、この帯域制限手段221は、映像信号送信装置1Bの帯域制限手段11B(図9参照)と同じ低域周波数成分を抽出するものとする。この帯域制限手段221は、抽出した信号(低域線形緑信号G)を、減算手段222に出力する。
減算手段222は、線形変換手段20Bで変換した線形輝度加算緑信号(G+Y)から、帯域制限手段221で帯域制限した低域線形緑信号Gを減算することで、輝度信号の高域周波数成分である高域輝度信号Yを生成するものである。この減算手段222は、生成した高域輝度信号Yを高域信号加算手段25Bに出力する。
【0142】
なお、この高域信号生成手段22Bは、線形輝度加算緑信号(G+Y)から、予め定めた高域周波数成分を抽出するものとして構成してもよい。この場合、高域信号生成手段22Bは、一般的な高域通過フィルタによって構成することができる。また、この高域周波数成分は、帯域制限手段221において行う低域周波数成分の残りの高域側の成分として予め定めておくものとする。
この高域信号生成手段22Bは、生成した高域輝度信号Yを、高域信号加算手段25に出力する。
これによって、高域信号加算手段25において、低域線形青信号Bおよび低域線形赤信号Rに、高域輝度信号Yが加算されることで、RB信号が生成される。
【0143】
以上、本発明の参考例2の実施形態に係る映像信号受信装置2Bの構成について説明したが、本発明は、本実施形態の形式に限定されるものではない。前記した各手段は、回路を用いたハードウェア構成で実現することもできるし、ソフトウェアにより実現することもできる。この映像信号受信装置2Bをソフトウェアで実現する場合、図示を省略したCPUやメモリを搭載した一般的なコンピュータを、前記した各手段として機能させる伝送用映像信号変換プログラムによって動作させることができる。
【0144】
[参考例2の実施形態:映像信号伝送システムの動作]
次に、本発明の参考例2の実施形態に係る映像信号伝送システムSの動作について説明する。なお、以下では、映像信号送信装置1Bの動作、映像信号受信装置2Bの動作について順次説明を行う。
【0145】
〔映像信号送信装置の動作〕
最初に、図11を参照(適宜図8,図9参照)して、映像信号送信装置1Bの動作について説明する。
【0146】
まず、映像信号送信装置1Bは、図示を省略した入力手段によって、外部から映像信号を入力する(ステップS20)。なお、この映像信号は、線形信号である三原色信号(RGB信号)である。
そして、映像信号送信装置1Bは、輝度信号生成手段10によって、ステップS20で入力したRGB信号を予め定めた混合比率で混合することで輝度信号Yを生成する(ステップS2)。具体的には、輝度信号生成手段10は、前記(2)式によって輝度信号Yを生成する。
【0147】
そして、映像信号送信装置1Bは、帯域制限手段11Bによって、ステップS20で入力したG信号、B信号およびR信号から、予め定めた低域周波数成分(G,B,R)を抽出する(ステップS22)。
そして、映像信号送信装置1Bは、高域信号生成手段14によって、ステップS21で生成した輝度信号Yから、輝度信号Yの高域周波数成分である高域輝度信号Yを生成する(ステップS23)。
【0148】
また、映像信号送信装置1Bは、ダウンサンプル手段12によって、ステップS22で抽出した信号(B,R)から、伝送形式(4:2:2形式、4:2:0形式等)により予め定めたサンプリング間隔(ダウンサンプル比)でダウンサンプルした信号(BLD,RLD)を生成する(ステップS24)。
そして、映像信号送信装置1Bは、高域信号加算手段15によって、ステップS22で抽出した低域線形緑信号Gに、ステップS23で生成した高域輝度信号Yを加算することで、線形信号である輝度加算緑信号(G+Y)を生成する(ステップS25)。
【0149】
そして、映像信号送信装置1Bは、非線形変換手段13Bによって、ステップS25で生成した輝度加算緑信号(G+Y)と、ステップS24でダウンサンプルした低域周波数成分の信号(BLD,RLD)とを、非線形変換により非線形信号に変換する(ステップS26)。すなわち、非線形変換手段13Bは、輝度加算緑信号(G+Y)を非線形輝度加算緑信号(G+Yαに変換し、低域線形青信号BLDを低域非線形青信号BLDαに変換し、低域線形赤信号RLDを低域非線形赤信号RLDαに変換する。
【0150】
その後、映像信号送信装置1Bは、図示を省略した出力手段によって、ステップS26で変換した非線形輝度加算緑信号(G+Yαと、低域非線形青信号BLDαと、低域非線形赤信号RLDαとを、伝送用の映像信号として、伝送路Nを介して、映像信号受信装置2Bに出力する(ステップS27)。
以上の動作によって、映像信号送信装置1Bは、低域周波数成分の色信号のいずれかに輝度信号の高域周波数成分を付加して、映像信号受信装置2に送信することができる。
【0151】
〔映像信号受信装置の動作〕
次に、図12を参照(適宜図8,図10参照)して、映像信号受信装置2の動作について説明する。
【0152】
まず、映像信号受信装置2Bは、図示を省略した入力手段によって、映像信号送信装置1Bから、伝送路Nを介して、伝送用の映像信号である非線形輝度加算緑信号(G+Yαと、低域非線形青信号BLDαと、低域非線形赤信号RLDαとを入力する(ステップS30)。
【0153】
そして、映像信号受信装置2Bは、線形変換手段20Bによって、ステップS30で入力した非線形輝度加算緑信号(G+Yα、低域非線形青信号BLDαおよび低域非線形赤信号RLDαに非線形変換の逆特性を与えることで、各信号を、それぞれ線形輝度加算緑信号(G+Y)、低域線形青信号BLDおよび低域線形赤信号RLDに変換する(ステップS31)。なお、この線形輝度加算緑信号(G+Y)が、出力用のG信号となる。
【0154】
そして、映像信号受信装置2Bは、高域信号生成手段22Bによって、ステップS31で変換した線形輝度加算緑信号(G+Y)から、輝度信号の高域周波数成分である高域輝度信号Yを生成する(ステップS32)。
【0155】
また、映像信号受信装置2Bは、アップサンプル手段23によって、ステップS31で変換した低域線形青信号BLDおよび低域線形赤信号RLDを、輝度信号と同じサンプル数および画素構造となるようにアップサンプルする(ステップS33)。
【0156】
そして、映像信号受信装置2Bは、高域信号加算手段25Bによって、ステップS33でアップサンプルした低域線形青信号Bおよび低域線形赤信号Rに、ステップS32で生成した高域輝度信号Yを加算することで、RB信号を生成する(ステップS34)。
【0157】
その後、映像信号受信装置2Bは、図示を省略した出力手段によって、ステップS31で生成したG信号と、ステップS34で生成したRB信号とを映像信号として出力する(ステップS35)。
以上の動作によって、映像信号受信装置2Bは、映像信号送信装置1Bから出力される非線形輝度加算緑信号(G+Yαと、低域非線形青信号BLDαと、低域非線形赤信号RLDαとから、三原色信号(RGB信号)の映像信号を生成することができる。
【0158】
以上、参考例2の実施形態に係る映像信号伝送システムの構成および動作について説明した。この参考例2の実施形態は、非線形輝度加算緑信号(G+Yαと、低域非線形青信号BLDαと、低域非線形赤信号RLDαとを色信号として伝送するシステムであるが、前記したように、映像信号を圧縮符号化するデジタル圧縮符号化装置等では、輝度信号と色差信号とを用いて映像信号を圧縮符号化するものが存在する。
【0159】
そこで、ここでは、参考例2の実施形態に係る映像信号伝送システムの映像信号送信装置1Bが送信する映像信号を、輝度信号と2つの色差信号からなるYCC形式の映像信号に変換する送信信号変換装置と、当該送信信号変換装置が変換したYCC形式の映像信号を、映像信号受信装置2Bが受信するための映像信号に変換する受信信号変換装置とについて説明する。
【0160】
〔送信信号変換装置の構成〕
まず、図13を参照して、本発明の実施形態に係る送信信号変換装置3Bの構成について説明を行う。ここでは、送信信号変換装置3Bは、線形変換手段50と、帯域制限手段51と、高域信号生成手段52と、ダウンサンプル手段53と、非線形変換手段54と、輝度色差信号生成手段55と、線形変換手段56と、アップサンプル手段57と、高域信号加算手段58と、非線形変換手段59と、を備えている。なお、送信信号変換装置3Bは、映像信号送信装置1Bにおいて生成される色信号(非線形輝度加算緑信号(G+Yα、低域非線形青信号BLDαおよび低域非線形赤信号RLDα)を入力する入力手段や、輝度信号と色差信号を外部に出力する出力手段も備えるが、ここでは図示を省略する。また、各手段の処理遅延を補正するための遅延手段(遅延回路)についても、ここでは図示を省略する。
【0161】
線形変換手段50は、入力手段(不図示)を介して入力した色信号(非線形輝度加算緑信号(G+Yα)を、映像信号送信装置1Bにおいて行う非線形変換の逆特性を与えることにより、線形な信号(輝度加算緑信号(G+Y))に変換するものである。
この線形変換手段50は、変換した輝度加算緑信号(G+Y)を、帯域制限手段51と高域信号生成手段52とに出力する。
【0162】
帯域制限手段51は、線形変換手段50で変換した輝度加算緑信号(G+Y)から、予め定めた低域周波数成分(G)を抽出するものである。なお、この帯域制限手段51は、映像信号送信装置1Bの帯域制限手段11B(図9参照)と同じ低域周波数成分を抽出するものとする。この帯域制限手段51は、抽出した信号(低域線形緑信号G)を、高域信号生成手段52とダウンサンプル手段53とに出力する。
【0163】
高域信号生成手段52は、線形変換手段50で変換した輝度加算緑信号(G+Y)から、高域周波数成分の信号(高域輝度信号Y)を抽出するものである。ここでは、高域信号生成手段52は、輝度加算緑信号(G+Y)から、帯域制限手段51で帯域制限した低域線形緑信号Gを減算することで、輝度加算緑信号(G+Y)の高域周波数成分である高域輝度信号Yを生成する。
【0164】
なお、この高域信号生成手段52は、輝度加算緑信号(G+Y)から、予め定めた高域周波数成分を抽出するものとして構成してもよい。この場合、高域信号生成手段52は、一般的な高域通過フィルタによって構成することができる。また、この高域周波数成分は、帯域制限手段51において行う低域周波数成分の残りの高域側の成分として予め定めておくものとする。なお、高域信号生成手段52を高域通過フィルタで構成する場合、高域信号生成手段52は、帯域制限手段51で帯域制限した低域線形緑信号Gを使用しない。
この高域信号生成手段52は、生成した高域輝度信号Yを、高域信号加算手段58に出力する。
【0165】
ダウンサンプル手段53は、帯域制限手段51で抽出した低域線形緑信号Gを予め定めたサンプリング間隔(ダウンサンプル比)でダウンサンプルするものである。なお、このダウンサンプル手段53は、映像信号送信装置1Bのダウンサンプル手段12(図9参照)と同じサンプリング間隔(ダウンサンプル比)でダウンサンプルするものとする。
このダウンサンプル手段53は、ダウンサンプルした信号GLDを、非線形変換手段54に出力する。
【0166】
非線形変換手段54は、ダウンサンプル手段53でダウンサンプルした線形信号(GLD)を、非線形信号(低域非線形緑信号GLDα)に変換するものである。なお、この非線形変換手段54は、映像信号送信装置1Bの非線形変換手段13B(図9参照)において行う非線形変換と同じ変換を行うものとする。
この非線形変換手段54は、変換した低域非線形緑信号GLDαを、輝度色差信号生成手段55に出力する。
【0167】
輝度色差信号生成手段55は、非線形変換手段54で変換した低域非線形緑信号GLDαと、入力手段(不図示)を介して入力した低域非線形青信号BLDαと、低域非線形赤信号RLDαとから、輝度信号と2つの色差信号とを生成するものである。この輝度色差信号生成手段55は、各色信号RLDα,GLDα,BLDαから、以下の(12)式に示す混合式によって、低域非線形輝度信号YLDαと色差信号CbLDαと色差信号CrLDαとを生成する。
【0168】
【数11】

【0169】
ここで、r,g,bは輝度信号を生成するための係数で、例えば、HDTV信号規格であれば、r=0.2126、g=0.7152、b=0.0722である。また、rCb,gCb,bCb、rCr,gCr,bCrは、色差信号を生成するための係数で、例えば、HDTV信号規格であれば、rCb=−0.2126/1.8556、gCb=−0.7152/1.8556、bCb=0.5、rCr=0.5、gCr=−0.7152/1.5748、bCr=−0.0722/1.5748である。
この輝度色差信号生成手段55は、生成した低域非線形輝度信号YLDαを線形変換手段56に出力する。また、2つの色差信号(色差信号CbLDα,CrLDα)は外部に出力する信号となる。
【0170】
線形変換手段56は、輝度色差信号生成手段55で生成した低域非線形輝度信号YLDαを、映像信号送信装置1Bにおいて行う非線形変換の逆特性を与えることにより、線形な信号(低域線形輝度信号YLD)に変換するものである。
この線形変換手段56は、変換した低域線形輝度信号YLDを、アップサンプル手段57に出力する。
【0171】
アップサンプル手段57は、線形変換手段56で変換した線形信号である低域線形輝度信号YLDを、高域信号生成手段52で生成する高域輝度信号Yと同じサンプル数および画素構造となるようにアップサンプルするものである。
【0172】
例えば、映像信号送信装置1Bから送信される映像信号の伝送形式が4:2:2形式である場合、アップサンプル手段57は、水平方向に1画素ごとに画素の挿入を行う。また、映像信号送信装置1Bから送信される映像信号の伝送形式が4:2:0形式である場合、アップサンプル手段57は、水平方向、垂直方向ともに1画素ごとに画素の挿入を行う。なお、ここで、画素の挿入は、隣接画素からの補間フィルタより求めた画素値の画素を挿入する。
このアップサンプル手段57は、アップサンプルした低域線形輝度信号Yを、高域信号加算手段58に出力する。
【0173】
高域信号加算手段58は、アップサンプル手段57でアップサンプルした低域線形輝度信号Yに、高域信号生成手段52で生成した高域輝度信号Yを加算することで、(線形)輝度信号Yを生成するものである。
この高域信号加算手段58は、生成した輝度信号Yを非線形変換手段59に出力する。
【0174】
非線形変換手段59は、高域信号加算手段58で生成した輝度信号Yを、非線形信号(非線形輝度信号Yα)に変換するものである。なお、この非線形変換手段59は、映像信号送信装置1Bの非線形変換手段13B(図9参照)において行う非線形変換と同じ変換を行うものとする。
この非線形変換手段59で変換した非線形輝度信号Yαと、輝度色差信号生成手段55で生成した色差信号CbLDα,CrLDαは、図示を省略した出力手段を介して、外部に出力される。
このように、送信信号変換装置3Bは、映像信号送信装置1Bにおいて生成した映像信号を、輝度信号と2つの色差信号とのYCC形式の映像信号に変換することができる。
【0175】
以上、本発明の実施形態に係る送信信号変換装置3Bの構成について説明したが、本発明は、本実施形態の形式に限定されるものではない。前記した各手段は、回路を用いたハードウェア構成で実現することもできるし、ソフトウェアにより実現することもできる。この送信信号変換装置3Bをソフトウェアで実現する場合、図示を省略したCPUやメモリを搭載した一般的なコンピュータを、前記した各手段として機能させる送信信号変換プログラムによって動作させることができる。
【0176】
また、ここでは、送信信号変換装置3Bを、映像信号送信装置1B(図9参照)から出力される映像信号を変換するものとして、映像信号送信装置1Bとは別体の装置として構成したが、送信信号変換装置3Bを、映像信号送信装置1Bの内部に組み込んで構成してもよい。
この場合、送信信号変換装置3Bは、映像信号送信装置1Bの非線形変換手段13Bの後段に配置すればよい。そして、線形変換手段50は、非線形変換手段13Bから非線形輝度加算緑信号(G+Yαを入力し、輝度色差信号生成手段55は、非線形変換手段13Bから低域非線形青信号BLDαおよび低域非線形赤信号RLDαを入力する。
これによって、映像信号送信装置1Bを、YCC形式の映像信号を送信する装置として構成することができる。
【0177】
〔受信信号変換装置の構成〕
次に、図14を参照して、本発明の実施形態に係る受信信号変換装置4Bの構成について説明する。ここでは、受信信号変換装置4Bは、線形変換手段50と、帯域制限手段51と、高域信号生成手段52と、ダウンサンプル手段53と、非線形変換手段54と、線形変換手段56と、アップサンプル手段57と、高域信号加算手段58と、非線形変換手段59と、色信号生成手段60と、を備えている。
【0178】
色信号生成手段60以外の構成については、入出力信号の種類が異なるのみで、図13で説明した送信信号変換装置3Bと同一の処理を行うものである。そこで、色信号生成手段40以外の構成については、図13で説明した送信信号変換装置3と同一の符号を付して説明を省略する。
【0179】
色信号生成手段60は、非線形変換手段54で変換した低域非線形輝度信号YLDαと、入力手段(不図示)を介して入力した色差信号CbLDα,CrLDαとから、低域非線形赤信号RLDα、低域非線形緑信号GLDαおよび低域非線形青信号BLDαを生成するものである。
【0180】
この色信号生成手段60は、送信信号変換装置3Bの輝度色差信号生成手段55(図13参照)において、前記(12)式によって、低域非線形輝度信号YLDα、色差信号CbLDα,CrLDαを演算する場合、以下の(13)式により、低域非線形赤信号RLDα、低域非線形緑信号GLDαおよび低域非線形青信号BLDαを生成する。
【0181】
【数12】

【0182】
ここで、(13)式は、前記(12)式の逆変換式であり、y,cbR,crR,y,cbG,crG,y,cbB,crBは、輝度信号および色差信号から赤信号、緑信号および青信号を生成するための係数で、例えば、HDTV信号規格であれば、y=1,cbR=0,crR=1.5748,y=1,cbG=−0.0722×1.8556/0.7152,crG=−0.2126×1.5748/0.7152,y=1,cbB=1.8556,crB=0である。
この色信号生成手段60は、生成した低域非線形緑信号GLDαを線形変換手段56に出力する。また、他の色信号である低域非線形赤信号RLDαおよび低域非線形青信号BLDαは外部に出力する信号となる。
【0183】
非線形変換手段59で変換した非線形輝度加算緑信号(G+Yαと、色信号生成手段60で生成した色信号(低域非線形赤信号RLDαおよび低域非線形青信号BLDα)は、図示を省略した出力手段を介して、外部に出力される。
このように、受信信号変換装置4Bは、送信信号変換装置3Bにおいて生成される輝度信号と2つの色差信号とのYCC形式の映像信号を、映像信号受信装置2B(図10参照)への入力信号に変換することができる。
【0184】
以上、本発明の実施形態に係る受信信号変換装置4Bの構成について説明したが、本発明は、本実施形態の形式に限定されるものではない。前記した各手段は、回路を用いたハードウェア構成で実現することもできるし、ソフトウェアにより実現することもできる。この受信信号変換装置4Bをソフトウェアで実現する場合、図示を省略したCPUやメモリを搭載した一般的なコンピュータを、前記した各手段として機能させる受信信号変換プログラムによって動作させることができる。
【0185】
また、ここでは、受信信号変換装置4Bを、映像信号受信装置2B(図10参照)に、変換した映像信号を出力するものとして、映像信号受信装置2Bとは別体の装置として構成したが、受信信号変換装置4Bを、映像信号受信装置2Bの内部に組み込んで構成してもよい。
【0186】
この場合、受信信号変換装置4Bは、映像信号受信装置2Bの線形変換手段20Bの前段に配置すればよい。そして、非線形変換手段59は、非線形輝度加算緑信号(G+Yα)を線形変換手段20Bに出力し、色信号生成手段60は、低域非線形赤信号RLDαおよび低域非線形青信号BLDαを線形変換手段20Bに出力する。
これによって、映像信号受信装置2を、YCC形式の映像信号を受信する装置として構成することができる。
【0187】
以上説明したように、映像信号伝送システムS(S)は、映像信号送信装置1(1B)において、線形なRGB信号から輝度信号Yを生成し、輝度信号Yに非線形変換を行うことで、非線形輝度信号Yαを生成する。この非線形輝度信号Yαは、映像信号受信装置2(2B)において、この非線形変換の逆特性を与えることで、輝度信号Yを正しく再現することができる。
【0188】
また、映像信号伝送システムS(S)は、映像信号送信装置1(1B)において、線形な色信号を帯域制限およびダウンサンプルした後に非線形変換によって非線形信号に変換する。この非線形信号は、受信側において非線形変換の逆特性によって線形信号に戻されるため、色を低歪みで再現することが可能になる。
【0189】
また、映像信号伝送システムS(S)は、映像信号送信装置1(1B)において、色差信号を用いないため、従来のような色差信号に対する非線形変換を行う処理がなく、映像信号の高彩度部におけるSN比の低下を抑制することができる。
【0190】
また、以上説明したように、送信信号変換装置3(3B)や受信信号変換装置4(4B)は、映像信号伝送システムS(S)において伝送される映像信号を、輝度信号と色差信号との映像信号に変換(逆変換)できるため、定輝度原理を満足する定輝度伝送を行いつつ、非線形変換の圧縮伸長に起因する輝度情報や色情報のSN比の低下を抑制する効果に加え、従来のデジタル圧縮符号化装置等を利用することができる。
【符号の説明】
【0191】
S,S 映像信号伝送システム
1,1B 映像信号送信装置
10 輝度信号生成手段
11,11B 帯域制限手段
12 ダウンサンプル手段
13,13B 非線形変換手段
14 高域信号生成手段
141 帯域制限手段
142 減算手段
15 高域信号加算手段
2,2B 映像信号受信装置
20,20B 線形変換手段
21 帯域制限手段
22,22B 高域信号生成手段
221 帯域制限手段
222 減算手段
23 アップサンプル手段
24 色信号生成手段
25,25B 高域信号加算手段
3 送信信号変換手段
30 線形変換手段
31 帯域制限手段
32 ダウンサンプル手段
33 非線形変換手段
34 色差信号生成手段
4 受信信号変換手段
40 色信号生成手段
50 線形変換手段
51 帯域制限手段
52 高域信号生成手段
53 ダウンサンプル手段
54 非線形変換手段
55 輝度色差信号生成手段
56 線形変換手段(第2の線形変換手段)
57 アップサンプル手段
58 高域信号加算手段
59 非線形変換手段(第2の非線形変換手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
三原色の色信号である第1ないし第3色信号のうちで、前記第1色信号および第2色信号の低域周波数成分をダウンサンプルした後に非線形変換した低域非線形第1色信号および低域非線形第2色信号と、前記第1ないし第3色信号から生成した線形輝度信号の高域周波数成分である高域輝度信号に前記第3色信号の低域周波数成分を加算した後に非線形変換した非線形輝度加算第3色信号とを伝送用の映像信号として入力し、当該映像信号を、輝度信号と2つの色差信号とに変換する送信信号変換装置であって、
前記非線形輝度加算第3色信号を生成する際に行った非線形変換の逆特性を与えることにより、前記非線形輝度加算第3色信号を、線形信号である輝度加算第3色信号に変換する線形変換手段と、
この線形変換手段で変換した輝度加算第3色信号から、当該輝度加算第3色信号の高域周波数成分である高域輝度信号を生成する高域信号生成手段と、
前記線形変換手段で変換した輝度加算第3色信号から低域周波数成分を抽出する帯域制限手段と、
この帯域制限手段で抽出した信号を予め定めたサンプリング間隔でダウンサンプルするダウンサンプル手段と、
このダウンサンプル手段でダウンサンプルした低域線形第3色信号を、非線形変換により低域非線形第3色信号に変換する非線形変換手段と、
前記低域非線形第1色信号、前記低域非線形第2色信号および前記低域非線形第3色信号から、低域非線形輝度信号と、前記2つの色差信号を生成する輝度色差信号生成手段と、
前記非線形輝度加算第3色信号を生成する際に行った非線形変換の逆特性を与えることにより、前記低域非線形輝度信号を低域線形輝度信号に変換する第2の線形変換手段と、
この第2の線形変換手段で変換した低域線形輝度信号を、前記高域輝度信号と同じサンプル数並びに画素構造となるようにアップサンプルするアップサンプル手段と、
前記アップサンプル手段でアップサンプルした低域線形輝度信号に前記高域輝度信号を加算することで、前記線形輝度信号を生成する高域信号加算手段と、
この高域信号加算手段で生成した線形輝度信号を、非線形変換により非線形信号である前記輝度信号に変換する第2の非線形変換手段と、
を備えることを特徴とする送信信号変換装置。
【請求項2】
三原色の色信号である第1ないし第3色信号のうちで、前記第1色信号および第2色信号の低域周波数成分をダウンサンプルした後に非線形変換した低域非線形第1色信号および低域非線形第2色信号と、前記第1ないし第3色信号から生成した線形輝度信号の高域周波数成分である高域輝度信号に前記第3色信号の低域周波数成分を加算した後に非線形変換した非線形輝度加算第3色信号とを伝送用の映像信号として入力し、当該映像信号を、輝度信号と2つの色差信号とに変換するために、コンピュータを、
前記非線形輝度加算第3色信号を生成する際に行った非線形変換の逆特性を与えることにより、前記非線形輝度加算第3色信号を、線形信号である輝度加算第3色信号に変換する線形変換手段、
この線形変換手段で変換した輝度加算第3色信号から、当該輝度加算第3色信号の高域周波数成分である高域輝度信号を生成する高域信号生成手段、
前記線形変換手段で変換した輝度加算第3色信号から低域周波数成分を抽出する帯域制限手段、
この帯域制限手段で抽出した信号を予め定めたサンプリング間隔でダウンサンプルするダウンサンプル手段、
このダウンサンプル手段でダウンサンプルした低域線形第3色信号を、非線形変換により低域非線形第3色信号に変換する非線形変換手段、
前記低域非線形第1色信号、前記低域非線形第2色信号および前記低域非線形第3色信号から、低域非線形輝度信号と、前記2つの色差信号を生成する輝度色差信号生成手段、
前記非線形輝度加算第3色信号を生成する際に行った非線形変換の逆特性を与えることにより、前記低域非線形輝度信号を低域線形輝度信号に変換する第2の線形変換手段、
この第2の線形変換手段で変換した低域線形輝度信号を、前記高域輝度信号と同じサンプル数並びに画素構造となるようにアップサンプルするアップサンプル手段、
前記アップサンプル手段でアップサンプルした低域線形輝度信号に前記高域輝度信号を加算することで、前記線形輝度信号を生成する高域信号加算手段、
この高域信号加算手段で生成した線形輝度信号を、非線形変換により非線形信号である前記輝度信号に変換する第2の非線形変換手段、
として機能させることを特徴とする送信信号変換プログラム。
【請求項3】
三原色の色信号である第1ないし第3色信号のうちで、前記第1色信号および第2色信号の低域周波数成分をダウンサンプルした後に非線形変換した低域非線形第1色信号および低域非線形第2色信号と、前記第1ないし第3色信号から生成した線形輝度信号の高域周波数成分である高域輝度信号に前記第3色信号の低域周波数成分を加算した後に非線形変換した非線形輝度加算第3色信号とから生成した映像信号である輝度信号と、2つの色差信号とを入力し、当該映像信号を、前記低域非線形第1色信号、前記低域非線形第2色信号および前記非線形輝度加算第3色信号に変換する受信信号変換装置であって、
前記非線形輝度加算第3色信号を生成する際に行った非線形変換の逆特性を与えることにより、前記輝度信号を、線形信号である線形輝度信号に変換する線形変換手段と、
この線形変換手段で変換した線形輝度信号から、当該線形輝度信号の高域周波数成分である高域輝度信号を生成する高域信号生成手段と、
前記線形変換手段で変換した線形輝度信号から低域周波数成分を抽出する帯域制限手段と、
この帯域制限手段で抽出した信号を予め定めたサンプリング間隔でダウンサンプルするダウンサンプル手段と、
このダウンサンプル手段でダウンサンプルした低域線形輝度信号を、非線形変換により低域非線形輝度信号に変換する非線形変換手段と、
前記低域非線形輝度信号と、前記2つの色差信号とから、前記低域非線形第1色信号および前記低域非線形第2色信号を生成するととともに、低域非線形第3色信号を生成する色信号生成手段と、
前記非線形輝度加算第3色信号を生成する際に行った非線形変換の逆特性を与えることにより、前記低域非線形第3色信号を低域線形第3色信号に変換する第2の線形変換手段と、
この第2の線形変換手段で変換した低域線形第3色信号を、前記高域輝度信号と同じサンプル数並びに画素構造となるようにアップサンプルするアップサンプル手段と、
前記アップサンプル手段でアップサンプルした低域線形第3色信号に前記高域輝度信号を加算することで、線形信号である輝度加算第3色信号を生成する高域信号加算手段と、
この高域信号加算手段で生成した輝度加算第3色信号を、非線形変換により前記非線形輝度加算第3色信号に変換する第2の非線形変換手段と、
を備えることを特徴とする受信信号変換装置。
【請求項4】
三原色の色信号である第1ないし第3色信号のうちで、前記第1色信号および第2色信号の低域周波数成分をダウンサンプルした後に非線形変換した低域非線形第1色信号および低域非線形第2色信号と、前記第1ないし第3色信号から生成した線形輝度信号の高域周波数成分である高域輝度信号に前記第3色信号の低域周波数成分を加算した後に非線形変換した非線形輝度加算第3色信号とから生成した映像信号である輝度信号と、2つの色差信号とを入力し、当該映像信号を、前記低域非線形第1色信号、前記低域非線形第2色信号および前記非線形輝度加算第3色信号に変換するために、コンピュータを、
前記非線形輝度加算第3色信号を生成する際に行った非線形変換の逆特性を与えることにより、前記輝度信号を、線形信号である線形輝度信号に変換する線形変換手段、
この線形変換手段で変換した線形輝度信号から、当該線形輝度信号の高域周波数成分である高域輝度信号を生成する高域信号生成手段、
前記線形変換手段で変換した線形輝度信号から低域周波数成分を抽出する帯域制限手段、
この帯域制限手段で抽出した信号を予め定めたサンプリング間隔でダウンサンプルするダウンサンプル手段、
このダウンサンプル手段でダウンサンプルした低域線形輝度信号を、非線形変換により低域非線形輝度信号に変換する非線形変換手段、
前記低域非線形輝度信号と、前記2つの色差信号とから、前記低域非線形第1色信号および前記低域非線形第2色信号を生成するととともに、低域非線形第3色信号を生成する色信号生成手段、
前記非線形輝度加算第3色信号を生成する際に行った非線形変換の逆特性を与えることにより、前記低域非線形第3色信号を低域線形第3色信号に変換する第2の線形変換手段、
この第2の線形変換手段で変換した低域線形第3色信号を、前記高域輝度信号と同じサンプル数並びに画素構造となるようにアップサンプルするアップサンプル手段、
前記アップサンプル手段でアップサンプルした低域線形第3色信号に前記高域輝度信号を加算することで、線形信号である輝度加算第3色信号を生成する高域信号加算手段、
この高域信号加算手段で生成した輝度加算第3色信号を、非線形変換により前記非線形輝度加算第3色信号に変換する第2の非線形変換手段、
として機能させることを特徴とする受信信号変換プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2011−171801(P2011−171801A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−31145(P2010−31145)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】