説明

送液ポンプ

【課題】 微量の流体を圧送するときであっても、一定の流速で安定して送液を行うことができ、脈動を小さくすることができ、さらに送液状態を連続的に変化させることができる送液ポンプを提供することを目的とする。
【解決手段】 送液ポンプ11は、流体の圧送を行う流体圧送手段12,13,14を直列に複数配設している。流体圧送手段12,13,14は、上流から下流にむかって、第1流体圧送手段12、第2流体圧送手段13、第3流体圧送手段14の順に並ぶ。第1流体圧送手段12は、流体を吸入して、上流への逆流を防ぐ。第2流体圧送手段は、流体を圧送して、上流から下流に液体を圧送する。第3流体圧送手段は、流体を排出して、下流からの逆流を防ぐ。この送液ポンプ11は、流体圧送手段12,13,14が一連の動作により上流から下流にむかって流体が流れるように流体の圧送を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流れ分析装置などに使用される微量の流体を圧送する送液ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
流れ分析装置は、送液ポンプを用いて、微量の海水試料などの試料液を装置内に連続的に取り込み、分析試薬と混合して、検出器で検出する分析装置である。流れ分析装置としては、フローインジェクション分析装置、オートアナライザーおよびフロースルー分析装置などがある。検出器には、吸光度法、蛍光法、化学発光法、電気化学的検出法などを用いた検出器がある。流れ分析装置に用いられる送液ポンプは、この分析装置の測定結果の信頼性を向上させるために、予め定めた流速で安定して送液を行うことや脈動が小さいことが求められる。また、このような送液ポンプは、試薬流量を減らし、小型化を行ったマイクロタス[Micro Total Analysis System(μTAS)、高集積分析システム]に利用されることも期待されている。
【0003】
図9は、流れ分析装置に使用される従来の送液ポンプ81の一例を示す概略図である。送液ポンプ81は、流体である液体の吸入と排出とを行う流体圧送手段82と、この流体圧送手段82の吸入側と排出側とにそれぞれ配置され、液体の逆流を防ぐ逆止弁83,84とを備える。
【0004】
逆止弁83,84は、孔を有する弁座85と、この孔の内径より大きな径のボールまたはダックビルからなる弁体86とを備える。弁座85から弁体86にむかって圧力がかかると、この逆止弁83,84は、弁座85側から弁体86側へ液体を流す。これに対して、弁体86から弁座85にむかって圧力がかかると、逆止弁83,84は、圧力差によって弁体86が弁座85に押し付けられるので、いずれの方向にも液体を流さない。つまり、逆止弁83,84は、弁体86であるボールまたはダックビルが弁座85の孔を閉塞することにより逆流を防ぐ。
【0005】
このような逆止弁83,84は、弁体86から弁座85にむかってかかる圧力と弁座85から弁体86にむかってかかる圧力との圧力差によって弁体86であるボールまたはダックビルが移動することによって、液体の流れを制御している。よって、逆止弁83,84は、弁座85から弁体86にむかって圧力がかかる状態から、弁体86から弁座85にむかって圧力がかかる状態に圧力差が変化しても、弁体86が移動して弁座85の孔を閉塞するまで、弁体86側から弁座85側へ液体が流れてしまう。つまり、このような逆止弁83,84は、圧力差の変化に対する開閉の応答速度が遅い。
【0006】
したがって、このような圧力差の変化に対する開閉の応答速度が遅い逆止弁では、液体の吸入と排出との周期である送液サイクルを短くすると、逆流を防止することができなくなる。
【0007】
以上より、このような逆止弁83,84を備えた送液ポンプ81は、脈動を小さくするために送液サイクルを短くすると、安定した送液を行うことができない。よって、この送液ポンプ81は、脈動を小さくすることができない。
【0008】
図10は、従来の送液ポンプ81を備えた流れ分析装置が検出した信号強度と測定時間との関係を示す。図10に示すように、流れ分析装置は、信号強度の乱れ91が見られる。これは、送液ポンプ81によって発生する脈動に伴う乱れである。したがって、流れ分析装置は、脈動が発生する送液ポンプを用いて試料液を送液すると、信頼性の高い測定結果が得られない。
【0009】
さらに、逆止弁83,84は、圧力差によって弁体86が弁座85を押える力が変化する。したがって、微量の液体を圧送するような場合、圧力差があまり大きくないので、弁体86が弁座85を押える力が弱く、逆止弁83,84で完全に逆流を防ぐことができない。また、逆止弁83,84は、弁座85に弁体86が嵌まり込んで、弁座から弁体にむかって圧力がかかっても、弁座85から弁体86が離れず、弁座側から弁体側へ液体が流れないこともある。
【0010】
流れ分析装置に使用される送液ポンプの他の従来技術としては、逆止弁として、弁体に外力を加えて弁座に押し付け、弁体と弁座とを平坦面同士で接触させる弁を用いた送液ポンプが挙げられる(特許文献1参照)。
【0011】
【特許文献1】特開2005−273865号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1によると、送液ポンプに用いる弁は、弁体に外力を加えて弁座に押し付け、弁体と弁座とを平坦面同士で接触させるので、液密性が高く、液体の逆流を防ぐことができ、液体を安定して圧送することができる。
【0013】
また、この送液ポンプは、カムにより弁の開閉を駆動するので、カムの設計によって任意のタイミングで弁の開閉を行うことができる。したがって、送液サイクルを短くして脈動を小さくすることができる。
【0014】
しかしながら、この送液ポンプは、ポンプの吸入側と排出側とにそれぞれ配置された弁の開閉を予め設計されたカムによって行うので、弁の開閉のタイミングを厳密に制御することは困難である。したがって、この送液ポンプは、送液サイクルを短くすることによって、脈動を小さくすることには限界がある。
【0015】
また、弁の開閉が予め設計されたカムによって行われるので、開閉のタイミングを変えることができない。したがって、液体を反対方向に流すように開閉のタイミングを変えることができないので、この送液ポンプは、液体を流す方向などの送液状態を連続的に変化させることができない。開閉のタイミングを変える場合は、カム自体を交換しなければならない。
【0016】
本発明の目的は、微量の流体を圧送するときであっても、一定の流速で安定して送液を行うことができ、脈動を小さくすることができ、さらに送液状態を連続的に変化させることができる送液ポンプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、電磁石の電磁力によって、シリンダ内の移動体を移動させて、前記移動体に連結されたダイアフラムを変形させることによって、流体の圧送を行う流体圧送手段を直列に複数配設し、
前記流体圧送手段は、上流から下流にむかって、第1流体圧送手段、第2流体圧送手段、第3流体圧送手段の順に並び、
前記第1流体圧送手段は、流体を吸入して、上流への逆流を防ぎ、
前記第2流体圧送手段は、流体を圧送して、上流から下流に液体を圧送し、
前記第3流体圧送手段は、流体を排出して、下流からの逆流を防ぎ、
前記流体圧送手段が一連の動作により上流から下流にむかって流体が流れるように流体の圧送を行うことを特徴とする送液ポンプである。
【0018】
また本発明は、前記流体圧送手段が、1つのマニホールドに複数並ぶように連結し、
それぞれの前記流体圧送手段が、電磁石の電磁力によって、独立して、シリンダ内の移動体を移動させて流体を圧送することを特徴とする。
【0019】
また本発明は、前記流体圧送手段は、円筒状の電磁石と、前記電磁石の内側に中心軸を同一にして配置される円柱状の永久磁石の移動体と、前記移動体に連結されたダイアフラムとを含む流体圧送手段であって、
前記シリンダ内に油を導入する導入口を備え、
前記移動体は、側面に一方の底面と他方の底面とにわたって溝が形成されていることを特徴とする。
【0020】
また本発明は、電磁石の電磁力によって、シリンダ内の移動体を移動させて、前記移動体に連結されたダイアフラムを変形させることによって、流体を吸入して、上流への逆流を防ぐ第1流体圧送手段と、
電磁石の電磁力によって、シリンダ内の移動体を移動させて、前記移動体に連結されたベローズを変形させることによって、流体を圧送して、上流から下流に液体を圧送する第2流体圧送手段と、
電磁石の電磁力によって、シリンダ内の移動体を移動させて、前記移動体に連結されたダイアフラムを変形させることによって、流体を吸入して、流体を排出して、下流からの逆流を防ぐ第3流体圧送手段とを直列に配設し、
上流から下流にむかって、前記第1流体圧送手段、前記第2流体圧送手段、前記第3流体圧送手段の順に並び、
前記第1流体圧送手段、前記第2流体圧送手段および前記第3流体圧送手段が一連の動作により上流から下流にむかって流体が流れるように流体の圧送を行うことを特徴とする送液ポンプである。
【0021】
また本発明は、空気圧または油圧によって、シリンダ内の移動体を移動させて、前記移動体に連結されたダイアフラムを変形させることによって、流体の圧送を行う流体圧送手段を直列に複数配設し、
前記流体圧送手段は、上流から下流にむかって、第1流体圧送手段、第2流体圧送手段、第3流体圧送手段の順に並び、
前記第1流体圧送手段は、流体を吸入して、上流への逆流を防ぎ、
前記第2流体圧送手段は、流体を圧送して、上流から下流に液体を圧送し、
前記第3流体圧送手段は、流体を排出して、下流からの逆流を防ぎ、
前記流体圧送手段が一連の動作により上流から下流にむかって流体が流れるように流体の圧送を行うことを特徴とする送液ポンプである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、電磁石の電磁力によって、シリンダ内の移動体を移動させて、この移動体に連結されたダイアフラムを変形させることによって、流体の圧送を行う流体圧送手段を直列に複数配設した送液ポンプである。
【0023】
この複数の流体圧送手段は、送液ポンプの上流から下流にむかって、第1流体圧送手段、第2流体圧送手段、第3流体圧送手段の順に並ぶ。第1流体圧送手段は、流体を吸入して、第1流体圧送手段の上流への逆流を防ぐ。第2流体圧送手段は、流体を圧送して、第2流体圧送手段の上流から第2流体圧送手段の下流に液体を圧送する。第3流体圧送手段は、流体を排出して、第3流体圧送手段の下流からの逆流を防ぐ。この送液ポンプは、流体圧送手段が一連の動作により送液ポンプの上流から送液ポンプの下流にむかって流体が流れるように流体の圧送を行う。
【0024】
これらの流体圧送手段は、電磁石の電磁力の変化によって、ダイアフラムを変形させて流体の圧送を行うと、同時に流体の流れる開状態と流れない閉状態とに切り替わる。よって、流体圧送手段は、電磁石の電磁力の変化によって開閉するので、応答速度の速い弁として使用することができる。
【0025】
したがって、第1流体圧送手段および第3流体圧送手段は、送液量などにかかわらず開閉することができるので、微量の流体を圧送する場合であっても、開閉することができる。よって、第1流体圧送手段および第3流体圧送手段は、それぞれ下流から上流にむかって流体が流れる逆流を完全に防ぐことのできる逆止弁として働くことができる。
【0026】
また、第1流体圧送手段および第3流体圧送手段は、脈動を小さくするために流体の吸入と排出との周期である送液サイクルを短くしても、開閉の応答速度が速いので、安定して送液を行うことができる。よって、この送液ポンプは脈動を小さくすることができる。
【0027】
さらに、第1流体圧送手段および第3流体圧送手段の開閉のタイミングを連続的に変化させることができるので、たとえば、流体の流れる方向を反対にするなどの送液状態を連続的に変化させることができる。
【0028】
以上より、この送液ポンプは、微量の流体を圧送するときであっても、一定の流速で安定して送液を行うことができ、脈動を小さくすることができる。さらに、送液状態を連続的に変化させることができる。
【0029】
また本発明によれば、流体圧送手段が、1つのマニホールドに複数並ぶように連結し、それぞれの流体圧送手段が、電磁石の電磁力によって、独立して、シリンダ内の移動体を移動させて流体を圧送する。
【0030】
そうすることによって、流体圧送手段間をチューブなどで接続することがないので、送液ポンプを小型化することができる。
【0031】
また本発明によれば、流体圧送手段は、円筒状の電磁石と、この電磁石の内側に中心軸を同一にして配置される円柱状の永久磁石の移動体と、この移動体に連結されたダイアフラムを含む流体圧送手段である。この流体圧送手段には、シリンダ内に油を導入する導入口を備えられ、移動体は、側面に一方の底面と他方の底面とにわたって溝が形成されている。
【0032】
この送液ポンプを、油に浸漬させて使用すると、流体圧送手段のシリンダ内に導入口から油が導入され、シリンダ内に導入された油が移動体に形成された溝を通って、移動体の周りに油が充分に行き渡る。したがって、この送液ポンプは、油まわりがよく、流体圧送手段のシリンダ内に均一に油が導入される。そうすることによって、この送液ポンプを高圧下、たとえば、深海などで作動させることができる。
【0033】
また本発明によれば、電磁石の電磁力によって、シリンダ内の移動体を移動させて、前記移動体に連結されたダイアフラムを変形させることによって、流体を吸入して、上流への逆流を防ぐ第1流体圧送手段と、電磁石の電磁力によって、シリンダ内の移動体を移動させて、前記移動体に連結されたベローズを変形させることによって、流体を圧送して、上流から下流に液体を圧送する第2流体圧送手段と、電磁石の電磁力によって、シリンダ内の移動体を移動させて、前記移動体に連結されたダイアフラムを変形させることによって、流体を吸入して、流体を排出して、下流からの逆流を防ぐ第3流体圧送手段とを直列に配設した送液ポンプである。
【0034】
この送液ポンプは、上流から下流にむかって、前記第1流体圧送手段、前記第2流体圧送手段、前記第3流体圧送手段の順に並ぶ。この送液ポンプは、第1流体圧送手段、第2流体圧送手段および第3流体圧送手段が一連の動作により送液ポンプの上流から送液ポンプの下流にむかって流体が流れるように流体の圧送を行う。
【0035】
第1流体圧送手段および第3流体圧送手段は、電磁石の電磁力の変化によって、ダイアフラムを変形させて流体の圧送を行うと、同時に流体の流れる開状態と流れない閉状態とに切り替わる。よって、流体圧送手段は、電磁石の電磁力の変化によって開閉するので、応答速度の速い弁として使用することができる。
【0036】
したがって、第1流体圧送手段および第3流体圧送手段は、送液量などにかかわらず開閉することができるので、微量の流体を圧送する場合であっても、開閉することができる。よって、第1流体圧送手段および第3流体圧送手段は、それぞれ下流から上流にむかって流体が流れる逆流を完全に防ぐことのできる逆止弁として働くことができる。
【0037】
また、第1流体圧送手段および第3流体圧送手段は、脈動を小さくするために流体の吸入と排出との周期である送液サイクルを短くしても、開閉の応答速度が速いので、安定して送液を行うことができる。よって、この送液ポンプは脈動を小さくすることができる。
【0038】
さらに、第1流体圧送手段および第3流体圧送手段の開閉のタイミングを連続的に変化させることができるので、たとえば、流体の流れる方向を反対にするなどの送液状態を連続的に変化させることができる。
【0039】
以上より、この送液ポンプは、微量の流体を圧送するときであっても、一定の流速で安定して送液を行うことができ、脈動を小さくすることができる。さらに、送液状態を連続的に変化させることができる。
【0040】
さらに、第2流体圧送手段は、電磁石の電磁力の変化によって、ベローズを変形させて流体の圧送を行う。このようなベローズを用いた流体圧送手段は、同じ大きさの流体圧送手段でも、ダイアフラムを用いた流体圧送手段より送液量を多くすることができる。
【0041】
また本発明によれば、空気圧または油圧によって、シリンダ内の移動体を移動させて、この移動体に連結されたダイアフラムを変形させることによって、流体の圧送を行う流体圧送手段を直列に複数配設した送液ポンプである。
【0042】
この複数の流体圧送手段は、送液ポンプの上流から下流にむかって、第1流体圧送手段、第2流体圧送手段、第3流体圧送手段の順に並ぶ。第1流体圧送手段は、流体を吸入して、第1流体圧送手段の上流への逆流を防ぐ。第2流体圧送手段は、流体を圧送して、第2流体圧送手段の上流から第2流体圧送手段の下流に液体を圧送する。第3流体圧送手段は、流体を排出して、第3流体圧送手段の下流からの逆流を防ぐ。この送液ポンプは、流体圧送手段が一連の動作により送液ポンプの上流から送液ポンプの下流にむかって流体が流れるように流体の圧送を行う。
【0043】
これらの流体圧送手段は、空気圧または油圧の変化によって、ダイアフラムを変形させて流体の圧送を行うと、同時に流体の流れる開状態と流れない閉状態とに切り替わる。よって、流体圧送手段は、空気圧または油圧の変化によって開閉するので、応答速度の速い弁として使用することができる。
【0044】
したがって、第1流体圧送手段および第3流体圧送手段は、送液量などにかかわらず開閉することができるので、微量の流体を圧送する場合であっても、開閉することができる。よって、第1流体圧送手段および第3流体圧送手段は、それぞれ下流から上流にむかって流体が流れる逆流を完全に防ぐことのできる逆止弁として働くことができる。
【0045】
また、第1流体圧送手段および第3流体圧送手段は、脈動を小さくするために流体の吸入と排出との周期である送液サイクルを短くしても、開閉の応答速度が速いので、安定して送液を行うことができる。よって、この送液ポンプは脈動を小さくすることができる。
【0046】
さらに、第1流体圧送手段および第3流体圧送手段の開閉のタイミングを連続的に変化させることができるので、たとえば、流体の流れる方向を反対にするなどの送液状態を連続的に変化させることができる。
【0047】
以上より、この送液ポンプは、微量の流体を圧送するときであっても、一定の流速で安定して送液を行うことができ、脈動を小さくすることができる。さらに、送液状態を連続的に変化させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
本発明は、流体を圧送する送液ポンプであり、流れ分析装置、特にフローインジェクション分析装置などに使用される微量の流体を圧送する送液ポンプに好適に用いられる。
【0049】
図1は、本発明の実施の一形態である送液ポンプ11の構成を示す概略図である。送液ポンプ11は、送液ポンプ11の上流から下流にむかって、第1流体圧送手段12、第2流体圧送手段13および第3流体圧送手段14がチューブ20を介して3つ直列に配設されている。
【0050】
第1流体圧送手段12、第2流体圧送手段13および第3流体圧送手段14は、円筒状の電磁石15と、電磁石15の内側に中心軸を同一にして配置される円柱状の永久磁石の移動体であるプランジャ17と、プランジャ17に連結されたダイアフラム18とを含む流体圧送手段である。
【0051】
流体圧送手段12,13,14は、電磁石15の電磁力によって、シリンダ16内のプランジャ17を移動させて、プランジャ17に連結されたダイアフラム18を変形させることによって、流体である液体の圧送を行う。流体圧送手段12,13,14は、ダイアフラム18を変形させて液体の圧送を行うと、同時に液体の流れる開状態と流れない閉状態とに切り替わる。よって、第1流体圧送手段12および第3流体圧送手段14は、電磁石の電磁力の変化によって開閉するので、応答速度の速い弁として使用される。また、流体圧送手段12,13,14としては、たとえば、電磁石15に電圧を印加して通電したときに、プランジャ17がダイアフラム18から離反する方向に力が働き、ダイアフラム18が開いて、液体が流れるようにし、電磁石15への電圧の印加を停止したときに、プランジャ17に接続されたばねのばね力によって、プランジャ17がダイアフラム18を押下する方向に力が働き、ダイアフラム18が閉じて、液体が流れないようにする流体圧送手段であってもよい。流体圧送手段12,13,14としては、電磁石15に通電したときに、プランジャ17がダイアフラム18を押下する方向に力が働き、ダイアフラムが閉じて、液体が流れないようにし、電磁石15への電圧の印加を停止したときに、プランジャ17に接続されたばねのばね力によって、プランジャ17がダイアフラム18から離反する方向に力が働き、ダイアフラム18が開いて、液体が流れるようにする流体圧送手段であってもよい。また、流体圧送手段12,13,14としては、ばね力を用いずに、電磁石15へ流す電流の方向を切り替えることによって、プランジャ17を移動させて、ダイアフラム18を開閉させる流体圧送手段であってもよい。流体圧送手段としては、たとえば、ダイアフラムバルブ、ダイアフラムポンプおよび電磁駆動式ダイアフラムなどを使用することができる。
【0052】
以下、流体圧送手段12,13,14は、電磁石15に通電したときに、ダイアフラム8が開いて、液体が流れるようにする流体圧送手段を用いた場合について説明する。
【0053】
送液ポンプ11は、流体圧送手段12,13,14の電磁石15に電圧の印加を開始したり、電圧の印加を停止したりする制御手段を有する。図2は、流体圧送手段12,13,14の電磁石15に電圧を印加するタイミングの一例を示す図である。図2(a)は、第1流体圧送手段12の電磁石15に電圧を印加するタイミングを示し、図2(b)は、第2流体圧送手段13の電磁石15に電圧を印加するタイミングを示し、図2(c)は、第3流体圧送手段14の電磁石15に電圧を印加するタイミングを示す。
【0054】
制御手段は、図2に示すように、流体圧送手段12,13,14の電磁石15に電圧を印加するタイミングを制御する。時刻t1に、第1流体圧送手段12の電磁石15への電圧の印加を開始する。時刻t2に、第2流体圧送手段13の電磁石15への電圧の印加を開始する。時刻t3に、第1流体圧送手段12の電磁石15への電圧の印加を停止する。時刻t4に、第3流体圧送手段14の電磁石15への電圧の印加を開始する。時刻t5に、第2流体圧送手段13の電磁石15への電圧の印加を停止する。時刻t6に、第3流体圧送手段14の電磁石15への電圧の印加を停止する。
【0055】
上記のように、電圧を印加するタイミングを切り替えることによって、時刻t1に、第1流体圧送手段12のダイアフラム18が開き、第1流体圧送手段12内に液体が流れる。時刻t2に、第2流体圧送手段13のダイアフラム18が開き、第1流体圧送手段12からチューブ20を通って第2流体圧送手段13にむかって液体が流れ、第2流体圧送手段13内に液体が流れる。時刻t3に、第1流体圧送手段12のダイアフラム18が閉じ、第2流体圧送手段13から第1流体圧送手段12にむかって流れる上流への逆流を防止することができる。時刻t4に、第3流体圧送手段14のダイアフラム18が開く。時刻t5に、第2流体圧送手段13のダイアフラム18が閉じ、第2流体圧送手段13内の液体が第2流体圧送手段13から第3流体圧送手段14にむかって流れる。そうすることによって、送液ポンプ11は、時刻t5から時刻t6の間に液体を圧送する。したがって、流体圧送手段12,13,14は、上記のような一連の動作により送液ポンプ11の上流から下流にむかって液体が流れるように液体を圧送することができる。この時刻t1から時刻t6までが、液体の吸入と排出との周期である送液サイクルの1ストロークである。
【0056】
したがって、第1流体圧送手段12および第3流体圧送手段14は、送液量などにかかわらず開閉することができるので、微量の液体を圧送する場合であっても、開閉することができる。よって、第1流体圧送手段12および第3流体圧送手段14は、第3流体圧送手段14から第1流体圧送手段12にむかって流れる逆流を防ぐことができる逆止弁として働くことができる。
【0057】
また、第1流体圧送手段12および第3流体圧送手段14は、脈動を小さくするために送液サイクルを短くしても、開閉の応答速度が速いので、安定して送液を行うことができる。したがって、送液ポンプ11は、脈動を小さくすることができる。
【0058】
さらに、第1流体圧送手段12および第3流体圧送手段14の開閉のタイミングを連続的に変化させることができるので、たとえば、液体の流れる方向を反対にするなどの送液状態を連続的に変化させることができる。
【0059】
以上より、この送液ポンプ11は、微量の液体を送液するときであっても、一定の流速で安定して送液を行うことができ、脈動を小さくすることができる。さらに、送液状態を連続的に変化させることができる。
【0060】
第2流体圧送手段13は、第1流体圧送手段12および第3流体圧送手段14より、送液量が多い流体圧送手段が好ましい。そうすることによって、第1流体圧送手段12および第3流体圧送手段14は、開閉の応答速度の速い弁として働き、第2流体圧送手段13は、液体を圧送するポンプとして働く。
【0061】
また、第2流体圧送手段13としては、上記のような電磁石の電磁力によって、シリンダ内の移動体を移動させて、移動体に連結されたダイアフラムを変形させることによって、流体の圧送を行う流体圧送手段の代わりに、電磁石の電磁力によって、シリンダ内の移動体を移動させて、移動体に連結されたベローズを変形させることによって、流体の圧送を行う流体圧送手段を用いてもよい。このようなベローズを用いた流体圧送手段は、同じ大きさの流体圧送手段でも、ダイアフラムを用いた流体圧送手段より送液量を多くすることができる。
【0062】
次に、送液ポンプ11を用いた流れ分析装置について説明する。ここでは、流れ分析装置としては、フローインジェクション分析装置を用いて説明する。フローインジェクション分析装置は、試料液を連続的に装置に取り込んで、その取り込んだ試料液に含有される測定対象物の濃度を経時的に測定することができる。たとえば、フローインジェクション分析装置は、海水を連続的に取り込んで、海水中のマンガンを分析試薬によって化学発光させ、その化学発光を検出することで、海水中のマンガン濃度を経時的に測定することができる。
【0063】
図3は、本実施形態である送液ポンプ11を用いたフローインジェクション分析装置21の測定例を示す概略図である。フローインジェクション分析装置21は、切替バルブ22と、送液ポンプ11と、カラム24と、混合部25と、反応管26と、検出部27とを含む。切替バルブ22は、フローインジェクション分析装置21に取り込む液体を、測定対象物を含む試料液と測定対象物を含まないブランク液とに切り替えるバルブである。送液ポンプ11は、試料液、ブランク液および分析試薬を検出部27まで送液するポンプである。カラム24は、測定対象物以外の金属類を捕集するカラムである。混合部25は、試料液またはブランク液と分析試薬とを混合する。反応管26は、試料液またはブランク液と分析試薬とを反応させる。検出部27は、分析試薬を反応させることによって発生する化学発光を検出して、検出部27に流れてきた液体中の測定対象物濃度を測定する。
【0064】
フローインジェクション分析装置21は、バルブ22によって、試料液を取り込むかブランク液を取り込むかを切り替える。試料液としては、マンガンなどの測定対象物を含む海水が挙げられ、ブランク液としては、海水が挙げられる。このような試料液およびブランク液を用いて測定することによって、海水中のマンガン濃度の変化を測定することができる。送液ポンプ11によって、取り込まれた試料液またはブランク液を圧送し、別に圧送されてきた緩衝液と混合する。緩衝液としては、たとえば、0.15MのpH5.0緩衝液が挙げられる。カラム24を通すことによって、試料液またはブランク液から測定対象物以外の金属類を取り除く。
【0065】
混合部25で、測定対象物以外の金属類を取り除かれた試料液またはブランク液に、分析試薬を混合する。分析試薬としては、測定対象物と反応して化学発光する物質であれば公知の分析試薬を用いることができる。測定対象物がマンガンである場合、たとえば、1.0Mルミノールと1.0Mトリエチレンテトラミンとの混合溶液、1.0M過酸化水素水および0.18Mアンモニア水溶液が挙げられ、それぞれを混合部25に圧送し、混合部25で測定対象物以外の金属類を取り除かれた試料液またはブランク液と混合する。反応管26で、試料液またはブランク液と分析試薬とを反応させて、化学発光させる。検出部27は、液体を流すフローセル31と、化学発光を検出する光センサ32と、光センサ32で検出された信号強度をA/D変換し、変換した値を記憶するデータ処理装置33とを有する。光センサ32は、光電子増倍管(photo multiplier tube:PMT)を用いることができ、データ処理装置33は、データロガーを用いることができる。検出部27によって、流れてきた液体の化学発光を検出し、流れてきた液体中の測定対象物濃度を測定する。
【0066】
送液ポンプ11は、微量の液体を送液するときであっても、一定の流速で安定して送液を行うことができ、脈動を小さくすることができるので、一定量ずつ混合させることができる。したがって、フローインジェクション分析装置21は、送液ポンプ11によって試料液を連続的に導入すれば、取り込んだ試料液中の測定対象物濃度を連続で安定して測定することができる。
【0067】
高圧化で使用する際のフローインジェクション分析装置21について説明する。フローインジェクション分析装置21を、深海などの高水圧化で用いる場合は、以下のような構成にする。
【0068】
図4は、高圧化で使用する際のフローインジェクション分析装置21の測定例を示す概略図である。図3に示されるフローインジェクション分析装置21と対応する部分には同一の参照符を付し、重複を避けて説明は省略する。
【0069】
フローインジェクション分析装置21は、高圧化でも送液ポンプ11が作動するように、油を充填した油漬け容器41内に、切替バルブ22、送液ポンプ11、カラム24、混合部25および反応管26を収容し、耐圧性の高い耐圧容器42に検出部27の光センサ32およびデータ処理装置33を収容する。油としては、油漬け容器や送液ポンプを腐食しないものであればよいが、たとえば、シリコーンオイル(東芝シリコーン社製)などが挙げられる。そうすることによって、フローインジェクション分析装置21は、高圧化で動作することができる。
【0070】
図5は、流体圧送手段の構造の一例を示す概略図である。送液ポンプ11の流体圧送手段12,13,14の構成が図5に示す構成になっていることが好ましい。流体圧送手段12,13,14は、シリンダ16内に、円筒状の電磁石15と、この電磁石15の内側に中心軸を同一にして配置される円柱状の永久磁石の移動体であるプランジャ17と、プランジャ17に連結されたダイアフラム18とを含む流体圧送手段である。電磁石15に電源53から電圧を印加すると、プランジャ17がダイアフラム18から離反する方向に力が働き、ダイアフラム18が開き、吸入側流路55と排出側流路56とに液体が流れる。電磁石15に電圧を印加しないと、ばね54によってプランジャ17がダイアフラム18を押下する方向に力が働き、ダイアフラム18が閉じ、吸入側流路55と排出側流路56とに液体が流れない。この流体圧送手段には、シリンダ16内に油を導入する導入口51が備えられ、プランジャ17は、側面に一方の底面と他方の底面とにわたって溝52が形成される。
【0071】
以上より、この送液ポンプ11を、油に浸漬させて使用すると、流体圧送手段12,13,14のシリンダ16内に導入口51から油が導入され、シリンダ16内に導入された油がプランジャ17に形成された溝52を通って、プランジャ17の周りに油が充分に行き渡る。したがって、この送液ポンプ11は、油まわりがよく、流体圧送手段12,13,14のシリンダ16内に均一に油が導入される。そうすることによって、この送液ポンプ11を高圧下、たとえば、深海などで作動させることができ、フローインジェクション分析装置21は、高圧化で動作することができる。
【0072】
流体圧送手段12,13,14は、電磁石15の電磁力によって、シリンダ16内のプランジャ17を移動させて、プランジャ17に連結されたダイアフラム18を変形させることによって、液体の圧送を行う流体圧送手段ではなくて、シリンダ16の空気圧または油圧の変化によってプランジャ17を移動させてダイアフラム18を変形させることによって、液体の圧送を行う流体圧送手段であってもよい。
【0073】
図6は、本発明の他の実施形態である送液ポンプ11の構成を示す概略図である。送液ポンプ11としては、図6に示すように、流体圧送手段12,13,14が、1つのマニホールド60に複数並ぶように連結していてもよい。このような送液ポンプ11は、それぞれの流体圧送手段12,13,14が、電磁石15の電磁力によって、独立して、シリンダ16内のプランジャ17を移動させて、プランジャ17に連結されたダイアフラム18を変形させることによって、液体の圧送を行う。そうすることによって、流体圧送手段間をチューブなどで接続することないので、送液ポンプ11を小型化することができる。
【実施例】
【0074】
本実施形態の実施例として、第1流体圧送手段12として、アドバンス電気工業株式会社製、ADVANCE 5883、第2流体圧送手段13として、高砂電気工業株式会社製、MLV、第3流体圧送手段14として、アドバンス電気工業株式会社製、ADVANCE 5885を用い、各流体圧送手段12,13,14をそれぞれテフロン(登録商標)チューブ20でつないだ送液ポンプ11について説明する。
【0075】
図7は、1ストロークの時間と流速との関係および1ストロークの時間と1ストロークあたりの流量との関係を示す図である。横軸は、1ストロークの時間(秒)を示し、右縦軸は、流速(ml/分)を示し、左縦軸は、1ストロークあたりの流量(μl)を示す。折れ線61は、1ストロークの時間と1ストロークあたりの流量との関係を示し、折れ線62は、1ストロークの時間と流速との関係を示す。
【0076】
1ストロークの時間は、図2に示す時刻t1から時刻t6までの間の時間である。また、時刻t1から時刻t2までの間の時間、時刻t2から時刻t3までの間の時間、時刻t3から時刻t4までの間の時間、時刻t4から時刻t5までの間の時間、時刻t5から時刻t6までの間の時間はそれぞれ同じ時間である。
【0077】
1ストロークの時間が0.5秒以下の場合の1ストロークの時間と1ストロークあたりの流量との関係を表1に示す。
【0078】
【表1】

【0079】
図6および表1より、1ストロークの時間が0.094秒以上であると、1ストロークあたりの流量が10μl以上あり、1ストロークの時間が0.5秒以上であると、1ストロークあたりの流量が、1ストロークあたりの流量が安定して11μl以上あり、1ストロークの時間が0.75秒以上であると、1ストロークあたりの流量が1ストロークの時間にかかわらず、一定の流量となった。以上より、送液ポンプ11は、1ストロークの時間が、0.094秒以上であることが好ましく、より好ましくは、0.5秒以上であり、さらに好ましくは、0.75秒以上である。
【0080】
次に、図4に示すフローインジェクション分析装置21の周囲の圧力を24分毎に、1×10Pa(水深0m相当)、150×10Pa(水深1500m相当)、300×10Pa(水深3000m相当)と変化させ、試料液のマンガン濃度を6分毎に0nM、25nM、50nM、100nMと変化させた。
【0081】
図8は、フローインジェクション分析装置21の周囲の圧力を変化させたときの測定結果を示す。図8(a)は、測定時間とフローインジェクション分析装置21の周囲の圧力との関係を示し、図8(b)は、測定時間と光センサ32が検出した信号強度との関係を示した。横軸は、測定時間(分)を示し、図8(a)の縦軸は、フローインジェクション分析装置21の周囲の圧力(×10Pa)を示し、図8(b)の縦軸は、光センサ32が検出した信号強度を示す。領域71は、マンガン濃度が0nMである信号強度であり、領域72は、マンガン濃度が25nMである信号強度であり、領域73は、マンガン濃度が50nMである信号強度であり、領域74は、マンガン濃度が100nMである信号強度である。
【0082】
図8(b)に示すように、フローインジェクション分析装置21は、光センサ32が検出した信号強度の乱れが見られない。このことから、本発明である送液ポンプ11は、脈動の小さく、安定した送液を行うことができることがわかる。したがって、フローインジェクション分析装置21は、信頼性の高い測定結果が得られる。
【0083】
また、図8に示すように、フローインジェクション分析装置21の周囲の圧力が150×10Pa(水深1500m相当)、300×10Pa(水深3000m相当)と高圧化であっても、1×10Paの場合と同様に、マンガン濃度の変化を検出することができた。したがって、フローインジェクション分析装置21は、図4に示すように、送液ポンプ11などを油漬け容器41に収容することで、高圧化でも測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の実施の一形態である送液ポンプ11の構成を示す概略図である。
【図2】流体圧送手段12,13,14の電磁石15に電圧を印加するタイミングの一例を示す図である。
【図3】本実施形態である送液ポンプ11を用いたフローインジェクション分析装置21の測定例を示す概略図である。
【図4】高圧化で使用する際のフローインジェクション分析装置21の測定例を示す概略図である。
【図5】流体圧送手段の構造の一例を示す概略図である。
【図6】本発明の他の実施形態である送液ポンプ11の構成を示す概略図である。
【図7】1ストロークの時間と流速との関係および1ストロークの時間と1ストロークあたりの流量との関係を示す図である。
【図8】フローインジェクション分析装置21の周囲の圧力を変化させたときの測定結果を示す。
【図9】流れ分析装置に使用される従来の送液ポンプ81の一例を示す概略図である。
【図10】従来の送液ポンプ81を備えた流れ分析装置が検出した信号強度と測定時間との関係を示す。
【符号の説明】
【0085】
11 送液ポンプ
12 第1流体圧送手段
13 第2流体圧送手段
14 第3流体圧送手段
15 電磁石
16 シリンダ
17 プランジャ
18 ダイアフラム
20 チューブ
21 フローインジェクション分析装置
22 切替バルブ
24 カラム
25 混合部
26 反応管
27 検出部
31 フローセル
32 光センサ
33 データ処理装置
41 油漬け容器
42 耐圧容器
51 導入口
52 溝
60 マニホールド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁石の電磁力によって、シリンダ内の移動体を移動させて、前記移動体に連結されたダイアフラムを変形させることによって、流体の圧送を行う流体圧送手段を直列に複数配設し、
前記流体圧送手段は、上流から下流にむかって、第1流体圧送手段、第2流体圧送手段、第3流体圧送手段の順に並び、
前記第1流体圧送手段は、流体を吸入して、上流への逆流を防ぎ、
前記第2流体圧送手段は、流体を圧送して、上流から下流に液体を圧送し、
前記第3流体圧送手段は、流体を排出して、下流からの逆流を防ぎ、
前記流体圧送手段が一連の動作により上流から下流にむかって流体が流れるように流体の圧送を行うことを特徴とする送液ポンプ。
【請求項2】
前記流体圧送手段が、1つのマニホールドに複数並ぶように連結し、
それぞれの前記流体圧送手段が、電磁石の電磁力によって、独立して、シリンダ内の移動体を移動させて流体を圧送することを特徴とする請求項1記載の送液ポンプ。
【請求項3】
前記流体圧送手段は、円筒状の電磁石と、前記電磁石の内側に中心軸を同一にして配置される円柱状の永久磁石の移動体と、前記移動体に連結されたダイアフラムとを含む流体圧送手段であって、
前記シリンダ内に油を導入する導入口を備え、
前記移動体は、側面に一方の底面と他方の底面とにわたって溝が形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の送液ポンプ。
【請求項4】
電磁石の電磁力によって、シリンダ内の移動体を移動させて、前記移動体に連結されたダイアフラムを変形させることによって、流体を吸入して、上流への逆流を防ぐ第1流体圧送手段と、
電磁石の電磁力によって、シリンダ内の移動体を移動させて、前記移動体に連結されたベローズを変形させることによって、流体を圧送して、上流から下流に液体を圧送する第2流体圧送手段と、
電磁石の電磁力によって、シリンダ内の移動体を移動させて、前記移動体に連結されたダイアフラムを変形させることによって、流体を吸入して、流体を排出して、下流からの逆流を防ぐ第3流体圧送手段とを直列に配設し、
上流から下流にむかって、前記第1流体圧送手段、前記第2流体圧送手段、前記第3流体圧送手段の順に並び、
前記第1流体圧送手段、前記第2流体圧送手段および前記第3流体圧送手段が一連の動作により上流から下流にむかって流体が流れるように流体の圧送を行うことを特徴とする送液ポンプ。
【請求項5】
空気圧または油圧によって、シリンダ内の移動体を移動させて、前記移動体に連結されたダイアフラムを変形させることによって、流体の圧送を行う流体圧送手段を直列に複数配設し、
前記流体圧送手段は、上流から下流にむかって、第1流体圧送手段、第2流体圧送手段、第3流体圧送手段の順に並び、
前記第1流体圧送手段は、流体を吸入して、上流への逆流を防ぎ、
前記第2流体圧送手段は、流体を圧送して、上流から下流に液体を圧送し、
前記第3流体圧送手段は、流体を排出して、下流からの逆流を防ぎ、
前記流体圧送手段が一連の動作により上流から下流にむかって流体が流れるように流体の圧送を行うことを特徴とする送液ポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−2335(P2008−2335A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−171961(P2006−171961)
【出願日】平成18年6月21日(2006.6.21)
【出願人】(591081321)紀本電子工業株式会社 (19)
【出願人】(503081760)
【Fターム(参考)】