説明

逆止弁

【課題】 応答性の高い逆止弁を提供する。
【解決手段】 逆止弁1は、弁本体10とねじ部20で結合される蓋部材30を有する。蓋部材30は、水Wの流入通路32、弁座36、弁室34を備える。弁本体10の支持バネ収容室14内には円錐バネ50が配設され、反転板60を支持する。反転板60は弁体40と接合される。流入する水の圧力による力が反転板の力と円錐バネのバネ力の合計よりも大きくなると、反転板60は下向きに反転し、開弁し、流出通路12から下方へ流れる。流入する力が減少すると、円錐バネ50は反転板60を上向きに反転させて閉弁する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、応答性の高い逆止弁に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁弁の代替として逆止弁を使用し、所定の圧力に達すると全開、全閉する逆止弁が求められている。
例えば、下記の特許文献は、逆止弁を開示している。
この種の弁にはコイルバネが装着されており、圧力とコイルバネのバネ条数との関係で弁の開閉は比例的に行われる。
水の制御は空気と異なり、流れている水の抵抗によりコイルバネでは定圧時にも微小に開弁するため全閉するまでに時間がかかる問題がある。
【特許文献1】特開2002−81563号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、所定の圧力に達すると、即時に弁の全開、全閉を行うことができる応答性の高い逆止弁を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した目的を達成するために、本発明の逆止弁は、基本的手段として、水の流入通路と弁座と弁室を備える蓋部材と、弁室内に摺動自在に挿入される弁体と、蓋部材に連結される水の流出通路と支持バネの収容室を備える弁本体と、弁本体の収容室に配設された弁体を弁座に向けて付勢する支持バネと、弁体と支持バネの間に当接され、弁本体と蓋部材の間に挟み込まれる反転板とを備える。そして、反転板は、閉弁時には弁体を弁座に向けて付勢する方向の力を発生し、開弁時には支持バネを圧縮する方向に力を発生するものである。
【0005】
また、流入通路側から弁体に作用する力が反転板の力と支持バネの力の合計の力より大きくなったときに開弁し、圧縮された支持バネの力が流入通路側から弁体に作用する力と反転板の力の合計の力より大きくなったときに閉弁する。
【0006】
さらに、圧縮された支持バネの力が反転板の力よりも大きく設定されることもできる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の逆止弁は、反転板により開弁、閉弁動作を補助するので、応答性の高い逆止弁を得ることができる。また、確実な開弁、閉弁が達成され、水漏れ等が確実に防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、本発明の逆止弁の閉弁状態を示す説明図である。
全体を符号1で示す逆止弁は、弁本体10と弁本体10に対してねじ部20により螺合される蓋部材30を有する。
蓋部材30は、水の流入通路32と、弁室34を有し、流入通路32と弁室34の連結部に弁座36が形成される。
【0009】
弁本体10は、水の流出通路12と、支持バネの収容室14を有する。収容室14内には、支持バネである円錐バネ50が収容される。弁本体10と蓋部材30の間に挟み込まれる反転板60の下面は、円錐バネ50により支持される。
蓋部材30の弁室34内に挿入される弁体40は、反転板60により支持され、弁室34内を昇降する。弁体40の先端には、ゴム等でつくられるシール部材44が取付けられ、弁座36に当接する。
逆止弁1の蓋部材30の流入通路32には、水等の流体Wが流入するが、所定の圧力に達するまでは、閉弁状態が保たれる。
【0010】
図2は、本発明の逆止弁を構成する部材の説明図である。
蓋部材30は、プラスチックを成形加工してつくられ、流体の流入通路32と、弁室34を有し、弁座36が形成される。弁室34の内周壁面に沿って弁体は上下動する。外周部には弁本体に螺合する雄ねじ部20aが形成される。
【0011】
弁体40もプラスチック材料でつくられ、円筒部41とテーパー部46を有する。フランジ部には外周寸法が大きい摺動部42と小径の外周部43が形成される。摺動部42は蓋部材30の内周壁面に対して摺動し、小径の外周部43との間に流体の通路が形成される。テーパー部46に設けられる溝内にOリング等のシール部材44が挿入され、弁座との間で開閉弁を形成する。
【0012】
反転板60は、弾性金属板でつくられ、反転部60aと周辺の取付部60bを有する反転部60aには、流体の通路となる開口部62が設けられる。図示の実施例にあっては、4個の丸穴が設けられているが、開口部の形状や個数は適宜に設計することができる。
【0013】
円錐バネ50は、バネ鋼等の弾性材料でつくられ、下端部50aは弁本体10に当接し、上端部50bは反転板60に当接する。
弁本体10は、プラスチックでつくられ、流体の流出通路12と円錐バネ50の収容室14を有する。
円錐バネの収容室14の底面には、円錐バネの下端部50aを受け入れる溝16が形成され、上部の内周部には、雌ねじ部20bが形成される。
【0014】
次に本発明の逆止弁の作用を説明する。
図3において、逆止弁1の流入口32から流入する水Wの圧力をPとし、閉弁状態の弁体40の受圧面積をAとすると、弁体40にかかる開弁方向の力Fは、
=P×A
となる。
【0015】
次に、反転板60の弁体40を押し上げる力をFとし、
円錐バネ50が閉弁状態のバネ長で発生する力をFとすると、
≦F+F
の間は閉弁状態が保たれる。
【0016】
流入する水Wの圧力Pが上昇し、
>F+F
となると、開弁を開始する。開弁直後に反転板60は、下向きに反転し、図4に示す状態に開弁する。
流入した水Wは、弁体40の外周部の開口部と反転板60の開口部を通過して、流出通路12から水流Wとなって流出する。
【0017】
開弁すると、流入口側の受圧面積は変化する。この受圧面積をA´とすると、
F´=P×A´
となる。
反転板60が発生する力Fは、ベクトルが下向きから上向きに変化するが力は変化しない。
【0018】
円錐バネ50は圧縮されて、そのバネ力は増加する。圧縮された状態の円錐バネ50の力をF´とすると、
F´+F≧F´
の間は開弁状態に保たれる。
逆止弁に流入する水の圧力Pが低下し、
F´+F<F´
の状態となり、円錐バネ50のバネ力により反転板60は上向きに反転し、弁体40を押し上げる。弁体40のシール部材44は、弁座36に押圧され、即時に閉弁する。
【0019】
本発明の逆止弁にあっては、
<F´
に設定しておくと、
F´=0
すなわちP=0
でも閉弁させることができる。
【0020】
以上のように、本発明の逆止弁にあっては、全閉と全開の間の作動時間が短く、応答性に優れたものである。
又、閉弁状態のシール性も高く、漏れ等の不具合も防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の逆止弁の開弁状態を示す説明図。
【図2】本発明の逆止弁を構成する部材の説明図。
【図3】本発明の逆止弁の作用を示す説明図。
【図4】本発明の逆止弁の作用を示す説明図。
【符号の説明】
【0022】
1 逆止弁
10 弁本体
20 ねじ部
30 蓋部材
40 弁体
50 円錐バネ
60 反転板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水の流入通路と弁座と弁室を備える蓋部材と、弁室内に摺動自在に挿入される弁体と、蓋部材に連結される水の流出通路と支持バネの収容室を備える弁本体と、弁本体の収容室に配設された弁体を弁座に向けて付勢する支持バネと、弁体と支持バネの間に当接され、弁本体と蓋部材の間に挟み込まれる反転板とを備え、
反転板は、閉弁時には弁体を弁座に向けて付勢する方向の力を発生し、開弁時には支持バネを圧縮する方向に力を発生する逆止弁。
【請求項2】
流入通路側から弁体に作用する力が反転板の力と支持バネの力の合計の力より大きくなったときに開弁し、圧縮された支持バネの力が流入通路側から弁体に作用する力と反転板の力の合計の力より大きくなったときに閉弁する請求項1記載の逆止弁。
【請求項3】
圧縮された支持バネの力が反転板の力よりも大きく設定される請求項1記載の逆止弁。
【請求項4】
支持バネは円錐バネである請求項1記載の逆止弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−71075(P2006−71075A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−258733(P2004−258733)
【出願日】平成16年9月6日(2004.9.6)
【出願人】(391002166)株式会社不二工機 (451)
【Fターム(参考)】