説明

透明な耐候性のバリアフィルム、ラミネーション、押出ラミネーション又は押出コーティングによる製造

本発明は、無機バリア(3)(SiOx又はAlOx)を含有するキャリアフィルム(4)が、ラミネーション又は押出コーティングによって耐候性の保護層(1)と組み合わせられるバリアフィルムに関し、その際、接着促進剤が接着剤層(2)として使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラミネーション、押出ラミネーション(接着剤ラミネーション、メルトラミネーション又はホットメルトラミネーション)又は押出コーティングによる、透明な耐候性のバリアフィルムの製造に関する。このために、無機コーティングされた、薄い透明なフィルム(例えばPET)が、耐候性の透明なフィルム(例えばPMMA又はPMMA−ポリオレフィン共押出物)と積層される。PMMA層が耐候安定性を携える一方で、無機酸化物層は、水蒸気及び酸素に対する透明な高バリア特性を有する。
【背景技術】
【0002】
耐候性の、透明かつ耐衝撃性のポリメタクリレートベースのフィルムは、出願人よりPLEXIGLAS(R)の名称で販売される。特許DE3842796A1は、澄んだ、耐衝撃性のアクリレートベースの成形材料の製造、そこから製造されたフィルム及び成形体並びに該成形材料の製造法を記載する。これらのフィルムは、熱作用及び湿気作用下で変色及び/又は脆化しない利点を有する。更に、これらは、衝撃作用又は曲げ応力が加わった際に生じる、いわゆる白化破損(Weissbruch)を防止する。これらのフィルムは透明であり、かつ熱及び湿気作用、風化作用及び衝撃応力又は曲げ応力が生じた場合にも透明なままである。
【0003】
上述の透明な、耐衝撃性のフィルムへの成形材料の加工は、理想的には、スロットダイを通したメルトの押出及びロールミル上でカレンダー仕上げすることによって行われる。このようなフィルムは、持続的な明澄性、寒熱に対して非感受性、耐候性、少ない黄変及び脆性によって及び、折り曲げたり又は折り畳んだりした際に生じる白化破損が少ないことによって優れており、それゆえ、例えば、防水シート、カールーフ又は帆におけるウィンドウとして適している。かかるフィルムは、1mm、例えば0.02〜0.5mmの厚みを有する。重要な使用領域は、例えば0.02〜0.5mmの厚みの薄い表面層を、形状安定性の硬い母体、例えば金属薄板、板紙、パーティクルボード、プラスチック板等に形成することにある。このような覆いを製造するために、様々な方法が提供されている。かくて、フィルムは成形材料へと押出され、カレンダー仕上げされ、かつ基体上に積層されることができる。押出コーティングの技術によって、押出ストランドが基体の表面に施与され、かつロールによってカレンダー仕上げされることができる。基体それ自体として熱可塑性プラスチックが用いられる場合、2つの材料の共押出が、該発明の澄んだ成形材料からなる表面層を形成しながら可能である。
【0004】
しかしながら、PMMAフィルムは、水蒸気及び酸素に対する不十分なバリア特性しか提供せず、しかし、これは、医学的適用、包装工業での適用のために、なかでも、しかし、屋外領域で使用される電気適用において必要とされる。
【0005】
バリア特性を改善するために、透明な無機層がポリマーフィルムに施与される。殊に、シリカ層及びアルミナ層が定着している。この無機酸化物層(SiOx又はAlOx)は、真空コーティングプロセス(化学的な方法、JP−A−10025357、JP−A−07074378;熱的な方法又は電子ビーム蒸着法、スパッタリング、EP1018166B1、JP2000−307136A、WO2005−029601A2)で施与される。EP1018166B1には、SiOx層のケイ素対酸素の比によりSiOx層のUV吸収に影響が及ぼされうることが示される。これは下にある層をUV線から保護するために重要である。しかしながら、ケイ素対酸素の比が変化するにつれて、バリア特性も変化することが欠点である。つまり、透明性及びバリアは、互いに無関係に変えられることはできない。
【0006】
無機酸化物層は、時に、主としてポリエステル及びポリオレフィンに施与されるが、なぜなら、これらの材料は蒸着の間ずっと熱応力に耐えるからである。その上、無機酸化物層はポリエステル及びポリオレフィンに良好に付着し、その際、ポリオレフィンは、コーティング前にコロナ処理に供される。これらの材料は、しかしながら、耐候安定性ではないので、それらは、例えばWO94/29106に記載されているように、頻繁にハロゲン化フィルムで積層される。ハロゲン化フィルムは、しかしながら、環境保護の理由から問題である。
【0007】
U,Moosheimer,Galvanotechnik 90 No.9,1999,p.2526−2531から公知のように、無機酸化物層によるPMMAのコーティングは、PMMAが無定形であるので、水蒸気及び酸素に対するバリアを改善しない。しかしながら、PMMAは、ポリエステル及びポリオレフィンとは異なり、耐候安定性である。
【0008】
出願人は、"落書き防止コーティング(Antigraffiti coating)"の名称で、傑出してPMMAに付着する塗料を使用する(DE102007007999A1)。"落書き防止効果(Antigraffiti Effekt)"は、フッ素化メタクリレートによって実現される。これらの塗料は、フッ素化成分の代わりにシロキサン含有成分が使用される場合、SiOx層への際立った付着をもたらすことができる。この塗料の利点は、それが屋外暴露において際立った長期安定性を有することである。
【0009】
課題の設定
本発明の基礎をなしている課題は、耐候安定性であり、かつ高い透明性(>300nmの波長領域で>80%)のバリアフィルムを提供することであり、その際、水蒸気及び酸素に対する高バリア特性が保証される。PMMAは耐候安定性の特性を満たし、無機酸化物層はバリアの特性を満たす。本発明は、第1に、キャリア層(Traegerschicht)としてのPMMAを無機酸化物層と結び付ける課題を有する。第2に、UV線から保護する機能は、もはや無機酸化物層により担われず(それにともなって、これは専ら光学基準に従って最適化されることができる)、PMMA層により担われるべきである。第3に、この材料の組み合わせによって、1000Vより大きい部分放電電圧が達成されるべきである。
【0010】
解決手段
該課題は、耐候安定性であるバリアフィルムによって解決される。該特性は、多層フィルムによって達成され、その際、個々の層は、ラミネーション、押出ラミネーション(接着剤ラミネーション、メルトラミネーション又はホットメルトラミネーション)又は押出コーティングによって互いに組み合わされる。このために、S.E.M.Selke,J.D.Culter,R.J.Herrnandez,"Plastics Packaging",2nd Edition,Hanser−Verlag,ISBN 1−56990−372−7の第226頁及び第227頁に記載されるような慣例の方法を使用することができる。
【0011】
PMMAの直接的な無機コーティングは、従来技術によれば可能ではないので、ポリエステルフィルム又はポリオレフィンフィルムに無機層が蒸着され、これがPMMAと積層又は押出コーティングされる。PMMA層は、ポリエステルフィルム又はポリオレフィンフィルムを屋外暴露から保護する。無機層とPMMA層との間の付着は、UV硬化性であり、かつシロキサン基を含有するアクリレートベースの接着促進剤によって製造される。ホットメルト接着剤の使用が同様に可能である。
その上、PMMA層は、ポリエステルフィルム又はポリオレフィンフィルムをUV線から保護するUV吸収剤を含有する。UV吸収剤は、あるいはポリオレフィン層内に存在していてもよい。PMMA層の代わりに、PMMA及びポリオレフィンからの共押出物も使用することができ、これは、ポリオレフィンがPMMAより低コストであることから、コストの利点をもたらす。
【0012】
本発明の利点
・本発明によるバリアフィルムは耐候安定性である。
・本発明によるバリアフィルムはハロゲン不含である。
・本発明によるバリアフィルムは、水蒸気及び酸素に対して高いバリア性(<0.1g/(m2d))を有する。
・本発明によるバリアフィルムは、SiOx層の組成とは無関係に、該バリアフィルムの下にある層をUV線から保護する。
・本発明によるバリアフィルムは、無機真空蒸着の不連続的な方法において薄いフィルムを使用することができるので、安価に製造することができる。
【0013】
保護層
保護層として、好ましくはポリメチルメタクリレート(PMMA)又は耐衝撃性PMMA(irPMMA)が使用される。ポリメタクリレート及びポリオレフィン又はポリエステルからの共押出物も使用することができる。有利なのは、ポリプロピレン及びPMMAからの共押出物である。更に、フッ素化、ハロゲン化された層、例えばPVDFとPMMAとからの共押出物又はPVDF及びPMMAからのブレンドも可能であり、その際、ただし、ハロゲン不含の利点はなくなるものとされる。
【0014】
保護層は20μm〜500μmまでの厚みを有し、有利には、該厚みは50μm〜400μmまで、極めて有利には200μm〜300μmである。
【0015】
本発明により、光安定剤をキャリア層に添加することができる。光安定剤とは、UV吸収剤、UV安定剤及びラジカル捕捉剤と解されるべきである。
【0016】
任意に含有されたUV安定剤は、例えばベンゾフェノンの誘導体であり、その置換基、例えばヒドロキシル基及び/又はアルコキシ基は、たいていは2位及び/又は4位に存在している。これらに含まれるのは、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4,4'−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンである。加えて、置換されたベンゾトリアゾールがUV保護添加剤として非常に適しており、それらに含まれるのは、なかでも、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ジ−(α,α−ジメチル−ベンジル)−フェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−5−ジブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−アミルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−sec−ブチル−5−t−ブチルフェニル)−ベンゾトリアゾール及び2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、フェノール、2,2'−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)]である。
【0017】
ベンゾトリアゾールに加えて、2−(2'−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン類のクラスのUV吸収剤、例えばフェノール−2−(4,6−ジフェニル−1,2,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシルオキシ)(Phenol-2(4,6-diphenyl-1,2,5-triazin-2-xy)-5-(hexyloxy))も使用することができる。
【0018】
更に使用可能なUV安定剤は、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸エチルエステル、2−エトキシ−2'−エチル−シュウ酸ビスアニリド、2−エトキシ−5−t−ブチル−2'−エチルシュウ酸ビスアニリド及び置換された安息香酸フェニルエステルである。
【0019】
これらの光安定剤もしくはUV安定剤は、上で示されているような低分子量化合物として、安定化されるべきポリメタクリレート材料中に含まれていてよい。しかし、UV吸収基も、マトリックスポリマー分子中で、重合可能なUV吸収化合物、例えば、ベンゾフェノン誘導体又はベンゾトリアゾール誘導体のアクリル誘導体、メタクリル誘導体又はアリル誘導体との共重合後に共有結合されていてもよい。UV安定剤の割合(その際、これは、化学的に異なるUV安定剤の混合物であってもよい)は、一般に、(メタ)アクリレートコポリマーに対して0.01質量%〜10質量%、なかでも0.01質量%〜5質量%、殊に0.02質量%〜0.2質量%である。
【0020】
ラジカル捕捉剤/UV安定剤の例として、ここでは、HALS(ヒンダードアミン系光安定剤)の名称で公知である立体障害アミンが挙げられる。それらは、塗料中及びプラスチック中、なかでもポリオレフィンプラスチック中で老化プロセスの抑制のために使用することができる(Kunststoffe,74(1984) 10,pages 620 to 623;Farbe+Lack,96th year,9/1900,pages 689 to 693)。HALS化合物の安定化作用の要因となっているものは、該化合物中に含まれるテトラメチルピペリジン基である。この化合物クラスは、ピペリジン窒素上で非置換であってもアルキル基又はアシル基で置換されていてもよい。立体障害アミンはUV範囲で吸収しない。それらは形成されたラジカルを捕捉するが、一方でUV吸収剤はこれを捕捉することができない。
混合物としても使用することができる、安定化作用を示すHALS化合物の例は、以下のものである:ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ(4,5)−デカン−2,5−ジオン、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−スクシネート、ポリ−(N−β−ヒドロキシエチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−コハク酸エステル)又はビス−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート。
特に有利なUV吸収剤は、例えばTinuvin(R)234、Tinuvin(R)360、Chimasorb(R)119又はIrganox(R)1076である。
ラジカル捕捉剤/UV安定剤は、本発明によるポリマー混合物中で、(メタ)アクリレートコポリマーに対して0.01〜15質量%の量で、なかでも0.02〜10質量%の量、殊に0.02〜5質量%の量で使用される。
【0021】
UV吸収剤は、有利にはPMMA層に含まれているが、しかしながら、それはポリオレフィン層又はポリエステル層に含まれていてもよい。
その上、保護層は、1000Vの部分放電電圧を保証するために十分な層厚を有する。これは、厚さに依存して、例えばPMMAの場合には250μmからである。部分放電電圧として、部分的に絶縁距離を埋める放電が行われる電圧と理解される(DIN EN 60664−1を参照のこと)。
【0022】
キャリア層
キャリア層として、好ましくはポリオレフィン(PE、PP)又はポリエステル(PET、PEN)からのフィルムが使用される。他のポリマーからのフィルムも使用されることができる(例えばポリアミド又はポリ乳酸)。キャリア層は1μm〜100μmまでの厚みを有し、有利には、該厚みは5μm〜50μmまで、極めて有利には10μm〜30μmである。
【0023】
キャリア層は、波長領域>300nm、有利には350〜2000nm、特に有利には380〜800nmにおいて、透明度を80%より高く、有利には85%より高く、特に有利には9%より高く有する。
【0024】
バリア層
バリア層は、キャリア層に施与されており、好ましくは、無機酸化物、例えばSiOx又はAlOxから成る。しかし、他の無機材料(例えばSiN、SiNxy、ZrO、TiO2、ZnO、Fexy、透明な有機金属化合物)も使用することができる。正確な層構造については実施例を参照のこと。SiOx層として、有利には、ケイ素と酸素の比1:1〜1:2、特に有利には1:1.3〜1:1.7の比を有する層が使用される。層厚は5〜300nm、有利には10〜100nm、特に有利には20〜80nmである。
AlOx層として、有利には、アルミニウムと酸素の比2:3を有する層が使用される。層厚は5〜300nm、有利には10〜100nm、特に有利には20〜80nmである。
無機酸化物は、物理的真空蒸着(電子ビーム処理又は熱処理)、マグネトロンスパッタリング又は化学的真空蒸着によって施与することができる。火炎−、プラズマ−又はコロナ前処理が同様に可能である。
【0025】
接着剤層
接着剤層は、保護層とバリア層との間にある。それは2つの層の間の付着を可能にする。接着剤層は、1〜100μm、有利には2〜50μm、特に有利には2〜20μmの厚みを有する。接着剤層は、塗料配合物から形成されることができ、これは引き続き硬化される。これは、有利にはUV線によって行われるが、しかし、熱的に行ってもよい。接着剤層は、1〜80質量%の多官能性メタクリレート又はアクリレート又はそれらの混合物を主成分として含有する。有利には、多官能性アクリレート、例えばヘキサンジオールジメチルアクリレート(Hexandioldimethycylat)が使用される。柔軟性を高めるために、多官能性アクリレート又はメタクリレート、例えばヒドロキシエチルメタクリレート又はラウリルメタクリレートを添加してよい。その上、接着剤層は、場合によっては、SiOxへの付着を改善する成分、例えばシロキサン基を含有するアクリレート又はメタクリレート、例えばメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを含有する。シロキサン基(Silanoxangruppen)を含有するアクリレート又はメタクリレートは、0〜48質量%で接着剤層中に含まれていてよい。接着剤層は、開始剤、例えばIrgacure(R)184又はIrgacure(R)651を0.1〜10質量%、有利には0.5〜5質量%、特に有利には1〜3質量%含有する。接着剤層は、調節剤として硫黄化合物0〜10質量%、有利には0.1〜10質量%、特に有利には0.5〜5質量%も含有してよい。1つの変形は、主成分の一部をプレポリマー0〜30質量%で置き換えることである。接着剤成分は、場合によっては、接着剤に通常用いられる添加剤0〜40質量%を含有する。しかし、接着剤層は、ホットメルト接着剤から形成されていてもよい。
これは、ポリアミド、ポリオレフィン、熱可塑性エラストマー(ポリエステル−、ポリウレタン−又はコポリアミドエラストマー)から又はコポリマーから成っていてよい。
有利なのは、エチレン−酢酸ビニルコポリマー又はエチレン−アクリレートコポリマー又はエチレン−メタクリレートコポリマーである。接着剤層は、ロール塗布法によってラミネーションにおいて又はノズルによって押出ラミネーションあるいは押出コーティングにおいて施与されることができる。
【0026】
使用
このバリアフィルムは、包装工業、ディスプレイ技術、有機太陽電池において、薄膜太陽電池において、結晶シリコンモジュールにおいて並びに有機LED用に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明によるバリアフィルムを示す図
【図2】本発明によるバリアフィルムを示す図
【図3】本発明によるバリアフィルムを示す図
【実施例】
【0028】
1.保護層−バリア層−キャリア層、ラミネーション
キャリア層(4)(例えばPET)を、バリア層(3)(例えばSiOx)でコーティングする。バリア層(3)の上に、ラミショーンによって保護層(1)(例えばPMMA)を施与する。ラミネーション用接着剤層(2)として、例えばアクリレートベース又はメタクリレートベースの接着促進剤を使用することができる。これは、ロール塗布法(ロールコーティング又はキスコーティング)によって塗布することができる。保護層(1)は、それがUV吸収剤を含有することを特徴とする。
【0029】
プロセス:
1.キャリア層(4)の真空コーティング(PVD、CVD)
2.接着剤層(2)である接着促進剤を使用しながらの、ラミネーション(ロール塗布法)によるバリア層(3)上への保護層(1)の施与
3.UV線による接着剤層(2)の硬化
【0030】
2.保護層−バリア層−キャリア層、押出コーティング
キャリア層(4)(例えばPET)を、バリア層(3)(例えばSiOx)でコーティングする。バリア層(3)の上に、押出コーティングによって、溶融状態の保護層(1)(例えばPMMA−PP共押出物)を施与する。任意に、バリア層上への保護層の付着は、接着剤層(2)、例えばアクリレート又はメタクリレートベースの接着促進剤あるいは、例えばエチレン−アクリレートコポリマーベースのホットメルト接着剤によって改善することができる。保護層(1)は、それがUV吸収剤を含有し、かつ2つ又は3つの層から成る(PMMA及びPP又はPMMA、接着促進剤又はホットメルト接着剤及びPP)ことを特徴とする。
【0031】
プロセス:
1.キャリア層(4)の真空コーティング(PVD、CVD)
2.接着剤層(2)であるホットメルト接着剤を使用する場合もある、多層押出コーティングによるバリア層(3)上への保護層(1)の施与
【0032】
3.保護層−バリア層−キャリア層、押出ラミネーション
キャリア層(4)(例えばPET)を、バリア層(3)(例えばSiOx)でコーティングする。バリア層(3)の上に、押出ラミショーンによって保護層(1)(例えばPMMA又はPMMA及びポリオレフィンからの共押出物)を施与する。ラミネーション用接着剤層(2)として、例えばエチレン−アクリレートコポリマーベースのホットメルト接着剤を使用することができる。このホットメルト接着剤を、ノズルによって溶融状態で、バリア層(3)を含有するキャリア層(4)と保護層(1)との間に押出する。保護層(1)は、それがUV吸収剤を含有することを特徴とする。
【0033】
プロセス:
1.キャリア層(4)の真空コーティング(PVD、CVD)
2.保護層(1)と、バリア層(3)を含有するキャリア層(4)との間での溶融状態における接着剤層(2)の押出ラミネーション
【0034】
本発明によるフィルムのバリアの測定
フィルム系の水蒸気透過度の測定を、ASTM F−1249に従って23℃/相対湿度85%で行う。
部分放電電圧の測定を、DIN 61730−1及びIEC 60664−1又はDIN EN 60664−1に従って行う。
【0035】

比較例
従来技術によるフィルム(EP1018166B1)、例えば、50μmの層厚を有するSiOxコーティングされたETFEは、0.7g/(m2d)の水蒸気透過度を有する。
【0036】
本発明による50μmのキャリア層の層厚を有するフィルムは、0.01〜0.1g/(m2d)の水蒸気透過度を有する(実施例1を参照のこと)。
【0037】
1.
保護層:PMMA、層厚50μm、1%のUV吸収剤 Tinuvin(R)234を含有する。
接着剤層:62%のLaromer UA 9048 V、31%のヘキサンジオールメタクリレート、2%のヒドロキシエチルメタクリレート、3%のIrgacure 651、2%の3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン。
バリア層:電子ビーム真空蒸着によって施与されたSiO1.5、層厚40nm。
キャリア層:PET Mitsubishi Hostaphan RN12、層厚:12μm。
【0038】
2.
保護層:耐衝撃性PMMA、層厚250μm、2%のUV吸収剤 Cesa Light(R)GXUVA006を含有する。
接着剤層:62%のLaromer UA 9048 V、31%のヘキサンジオールジアクリレート、2%のヒドロキシエチルメタクリレート、3%のIrgacure 184、2%のブチルアクリレート。
バリア層:Al23、層厚40nm、マグネトロンスパッタリングによって施与。
キャリア層:PEN、層厚:20μm。
【0039】
3.
保護層:PMMA及び耐衝撃性PMMAからの共押出物、層厚150μm、1.5%のUV吸収剤 Tinuvin(R)360を含有する。
接着剤層:62%のEbecryl 244、31%のヘキサンジオールジアクリレート、2%のヒドロキシエチルメタクリレート、3%のIrgacure 651、2%のGlymo。
バリア層:SiO1.7、層厚80nm、マグネトロンスパッタリングによって施与。
キャリア層:PEN、層厚:23μm。
【0040】
4.
保護層:耐衝撃性PMMA(例えばPlex 8943F)、層厚40μm、1.5%のUV吸収剤 Tinuvin(R)360を含有する)及びポリエチレン(例えばDowlex SC 2108 G、層厚200μm)からの共押出物。接着促進剤:Dupont Bynel 22 E 780(エチレン−アクリレートコポリマー)。
接着剤層:Dupont Bynel 22 E 780。
バリア層:SiO1.7、層厚80nm、電子ビーム真空蒸着によって施与。キャリア層:PET Mitsubishi Hostaphan RN75、層厚:75μm。
【0041】
5.
保護層:耐衝撃性PMM及びPPからの共押出物、全層厚280μm、1.5%のUV吸収剤 Tinuvin(R)360を含有する。PMMAとPPとの間の接着促進剤:Bynel.層厚 PMMA−Bynel−PP:210−30−30μm。
【符号の説明】
【0042】
1 保護層、 2 接着剤層、 3 バリア層、 4 キャリア層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐候安定性の保護層と、バリア層を含有するキャリア層とから成るバリアフィルムであって、その際、該保護層が耐候安定性であり、かつ該バリア層が無機酸化物から成り、水蒸気及び酸素に対するバリア作用を改善する、バリアフィルム。
【請求項2】
ハロゲン不含であることを特徴とする、請求項1記載のバリアフィルム。
【請求項3】
少なくとも1000Vの部分放電電圧を有することを特徴とする、請求項1記載のバリアフィルム。
【請求項4】
300nm超の領域で80%より高い透明率を有することを特徴とする、請求項1記載のバリアフィルム。
【請求項5】
無機バリア層と保護層との間に接着剤層が存在し、該接着剤層が、以下の組成:
a)単官能性又は多官能性のアクリレート又はメタクリレート1〜80質量%
b)プレポリマー0〜30質量%
c)シロキサン基を含有するアクリレート又はメタクリレート0〜48質量%
d)少なくとも1つの開始剤0.1〜10質量%
e)少なくとも1つの調節剤0〜10質量%
f)慣例の添加剤0〜40質量%
の接着促進剤から形成されることを特徴とする、請求項1記載のバリアフィルム。
【請求項6】
無機バリア層と保護層との間に、ホットメルト接着剤から形成される接着剤層が存在することを特徴とする、請求項1記載のバリアフィルム。
【請求項7】
バリアフィルムの製造法において、
a)キャリアフィルム(ポリオレフィン、ポリエステル)を真空蒸着又はスパッタリングによって無機コーティングし、かつ、このフィルムを、耐候性のプラスチックフィルム(PMMA、PMMA及びポリオレフィンからの共押出物)とラミネーションによって組み合わせるか、又は
b)キャリアフィルム(ポリオレフィン、ポリエステル)を真空蒸着又はスパッタリングによって無機コーティングし、かつ、このフィルムを、耐候性のプラスチックフィルム(PMMA、PMMA及びポリオレフィンからの共押出物)と押出ラミネーションによって組み合わせるか、又は
c)キャリアフィルム(ポリオレフィン、ポリエステル)を真空蒸着又はスパッタリングによって無機コーティングし、かつ、このフィルムを、耐候性のプラスチックフィルム(PMMA、PMMA及びポリオレフィンからの共押出物)と押出コーティングによって組み合わせ、かつ
d)7a)〜c)で挙げられる物理的真空蒸着にてSiOを電子ビームによって蒸着させるか、又は
e)7a)〜c)で挙げられる物理的真空蒸着にてSiOを熱蒸着させる
ことを特徴とする、バリアフィルムの製造法。
【請求項8】
包装工業、ディスプレイ技術における及び有機LED用の、請求項1記載のバリアフィルムの使用。
【請求項9】
有機太陽電池における、薄膜太陽電池における及び結晶シリコンモジュールにおける、請求項1記載のバリアフィルムの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−516250(P2012−516250A)
【公表日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546784(P2011−546784)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際出願番号】PCT/EP2010/050667
【国際公開番号】WO2010/086272
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(390009128)エボニック レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (293)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Roehm GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee,D−64293 Darmstadt,Germany
【Fターム(参考)】