説明

透明体シート状物の異物欠陥の検査装置およびその方法

【課題】 比較的単純な情報処理によってシート状物の全面を漏れなく欠陥検査しながらシート状物の有害な異物や欠陥と、付着異物とを確度高く弁別するシート状物の検査方法および装置を提供する。
【解決手段】 透明体シート状物のフィード方向上流側に設置した第1検査装置と、該検査装置の下流側の位置に付着異物除去装置を具備し、更に該付着異物除去装置の下流側に第2検査装置を具備し、第1検査装置と第2検査装置との異物欠陥の検出データを比較照合することにより、有害な異物や欠陥と、シート状物表面に付着した異物とを弁別する異物欠陥の検査システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明体シート状物に発生した異物や欠陥を検出し、製品の品質上の有害異物と無害異物とを弁別する異物欠陥検査装置およびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シート状物を連続的に製造する工程では、シート状物の原料に混入した異物、気泡や表面欠点など欠陥が発生することがあり、これらは品質規格外の欠陥としてシート状物の全面積を確実に検出する必要がある。
ところで、液晶などに用いる光学フィルムや精密な電子機器部品などに用いる高機能性フィルムは、近年ますます欠陥に対する要求規格が厳しくなりつつあり、これらのシート状物の製造はクリーンルームで行われている。しかし、クリーンルームの製造工程でも運転員の出入によって衣服から脱落した繊維状の異物や埃が侵入することがある。さらには、シート状物の製品規格外の端部をインラインでスリットする工程がある場合、スリットの部分で発生した微小のシート状物の切り屑が工程内に飛散することもある。このシート状物の切り屑、埃、繊維状の異物などが、工程内で飛散してフィルム表面に付着することがあり、これらの異物を除去するために粘着ロールや除塵装置を用いるが、完全に取り除くことは現実的には困難である。但し、このようなシート状物表面に付着した埃、繊維状の異物、シート状物の切り屑などの異物(以下、付着異物と略す)は、最終工程の製品として巻き取るまでに、後工程で除去すれば良く、品質としては無害異物として分類できる。
一方、シート状物の異物欠陥には、シート状物の原料に混入した異物や、シート状物厚み方向の内部や表面に生じた形状欠陥等があり、これらの異物欠陥は品質規格外となるため、有害異物欠陥となる。この有害異物欠陥が含まれるシート状物は、その有害異物欠陥を含む部位を切除したり、そのシート状物の巻物を出荷できない場合がある。
この有害異物欠陥が発生した場合には、迅速に前工程に情報をフィードバックして対処する必要があり、シート状物の生産工程の途中で、例えば自動欠陥検査装置によって検査を行っている。しかし、上述したように、自動欠陥検査装置で検査を行う場所でも無害異物である付着異物は存在するため、自動欠陥検査装置によって無害異物を有害異物として誤検出するといった問題があった。ここで、誤検出とは、無害異物を有害異物として誤って検出してしまうこと含めて誤検出という。
この問題を解決するため、移動する透明体のシート状物に対して、二式の検査装置を設置し、一方の検査装置ではシート状物に対して直角の透過光を検出し、他方の検査装置ではシート状物に対して側方から屈折した透過光を検出し、両者の検出信号を比較して透明体のシート状物の欠陥とシート状物の表面に付着した埃などを弁別する方法(例えば、特許文献1参照)が提案されている。しかし、シート状物の付着異物には、その種類や形状によって検査用照明光を遮ったり、透過したり、もしくは、乱反射したりする場合があり、上述した方法(特許文献1参照)では結局のところ誤検出は免れないといった問題がある。
さらに、高速で移動するシート状物は、例えば工程の状態によって移動方向に対して垂直方向の振動や、シート状物の幅方向に対するシート状物の撓みなどを完全に抑制することは困難であり、これらが欠陥検出するうえで外乱となって異物などの実体がない状態でも自動欠陥検査装置では欠陥有りと誤判定する問題があった。
【特許文献1】特開平10−176995号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
かかる問題に対して、フィルム製造工程内に目視検査を行う検査員を配置し、自動欠陥検査機の欠陥検出情報に基づいて、実際の有害な異物や欠陥か、もしくは、フィルム表面に付着した埃やスリット片などかを判断していた。
しかし、移動するフィルムに対して、直径数十ミクロン程度の異物や欠陥などを目視検査するには熟練を要する上、熟練した検査員でも見逃すといった問題があった。又、自動欠陥検査機をバックアップして検査結果を判定するために、工程に検査員を配置するのは多大な人件費がかかり、製造コストのむだである。
本発明の課題は、従来の技術の上記問題点を解決し、比較的単純な情報処理によってシート状物の全面を漏れなく異物や欠陥を検査しながら、シート状物の有害な異物や欠陥と付着異物とを確度高く弁別するシート状物の検査方法およびそのシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、本発明に係わるシート状物の異物欠陥の検査装置は、透明体シート状物の製造工程において、シート状物全面積の有害異物欠陥とシート状物全面積の表面に付着した無害異物とを、弁別することを特徴とする異物欠陥検査装置であって、シート状物のフィード方向上流側に設置した第1検査装置と、該検査装置の下流側に設置した付着異物除去装置と、該付着異物除去装置の下流側に設置した第2検査装置とを具備するものからなる。
【0005】
また、上記装置において、第1検査装置の検出データと付着異物除去装置を通過後に検出する第2検査装置の検出データとを比較照合することにより、有害異物欠陥と無害異物とを弁別することを特徴とする装置からなる。
【0006】
上記装置において、付着異物除去装置は、エアー吹付け部とエアー吸引部とを有していることを特徴とする。
【0007】
また、上記エアー吹付け部は、シート状物がロールを通過する際に、シート状物と付着異物との接触面積が小さくなった位置にエアーを吹付けるように配置され、エアー吸引部は、エアー吹付け部がエアーを吹付けた方向の延長線上に配置されることが好ましい。
【0008】
さらに、上記付着異物除去装置は、粘着ロールも有していることが好ましい。
【0009】
上記装置において、第1検査装置で検出した異物欠陥が、第2検査装置において検出されない場合には、当該検出した異物欠陥は無害異物であると判定することを特徴とする。
【0010】
また、上記装置において、第1検査装置で検出した異物欠陥の座標データと第2検査装置で検出した異物欠陥の座標データとの差異が、しきい値よりも大きい場合には、当該検出した異物欠陥は無害異物であると判定することを特徴とする。
【0011】
さらに、上記装置において、第1検査装置で検出した異物欠陥の座標データと前記第2検査装置で検出した異物欠陥の座標データとの差異が、しきい値よりも小さい場合であって、当該検出した異物欠陥の最大直径、面積及び濃淡から選ばれる少なくとも1つのデータを比較照合し、当該データの差異がしきい値よりも大きい場合には、当該検出した異物欠陥は無害異物であると判定することを特徴とする。
【0012】
本発明の異物欠陥の検査方法は、透明体シート状物の製造工程において、シート状物全面積の有害異物欠陥とシート状物全面積の表面に付着した無害異物とを、弁別することを特徴とする異物欠陥検査方法であって、シート状物のフィード方向上流側に設置した第1検査装置がデータを検出し、該検査装置の下流側に設置した付着異物除去装置が付着異物を除去し、該付着異物除去装置の下流側に設置した第2検査装置がデータを検出する方法からなる。
【0013】
本発明の異物欠陥の検査方法は、第1検査装置の検出データと付着異物除去装置を通過後に検出する第2検査装置の検出データとを比較照合することにより、有害異物欠陥と無害異物とを弁別することを特徴とする方法からなる。
【0014】
本発明の付着異物除去装置は、エアー吹付け部からエアーを吹付け、エアー吸引部からエアーを吸引することを特徴とする方法からなる。
【0015】
また、本発明の付着異物除去方法において、シート状物がロールを通過する際に、シート状物と付着異物との接触面積が小さくなった位置にエアーを吹付け、エアーを吹付けた方向の延長線上でエアーを吸引することが好ましい。
【0016】
さらに、付着異物除去方法において、粘着ロールも併用して付着異物を除去することが好ましい。
【0017】
本発明の検査方法は、第1検査装置で検出した異物欠陥が、第2検査装置において検出されない場合には、当該検出した異物欠陥は無害異物であると判定することを特徴とする方法からなる。
【0018】
また、本発明の検査方法は、第1検査装置で検出した異物欠陥の座標データと第2検査装置で検出した異物欠陥の座標データとの差異が、しきい値よりも大きい場合には、当該検出した異物欠陥は無害異物であると判定することを特徴とする方法からなる。
【0019】
さらに、本発明の検査方法は、第1検査装置で検出した異物欠陥の座標データと第2検査装置で検出した異物欠陥の座標データとの差異が、しきい値よりも小さい場合であって、当該検出した異物欠陥の最大直径、面積及び濃淡から選ばれる少なくとも1つのデータを比較照合し、当該データの差異がしきい値よりも大きい場合には、当該検出した異物欠陥は無害異物であると判定することを特徴とする方法からなる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、比較的単純な情報処理によってシート状物の全面を漏れなく欠陥検査しながら、シート状物の有害な異物や欠陥と、付着異物とを確度高く弁別することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明に係わる透明体シート状物の有害異物欠陥と品質上無害のシート状物表面に付着した無害異物とを弁別する異物欠陥検査装置およびその方法に関して説明する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここで、有害異物欠陥とは、シート状物の原料に混入した異物や変性物や気泡や、シート状物厚み方向の内部や表面に生じた形状欠陥などがあり、これらの異物欠陥は品質規格外となる異物欠陥をいう。
無害異物とは、衣服から脱落した繊維状の異物や埃や、シート状物の製品規格外の端部をインラインでスリットする工程において発生する微小のシート状物の切り屑などがシート状物表面に付着した異物をいう。これらの異物は、シート状物の最終工程の製品として巻き取るまでに、後工程で除去すれば良く、品質としては無害異物として分類される。
はじめに概略を説明する。本発明において、第1検査装置では、光源で透明体シート状物を照射し、その光源の反対側に配置された受光手段によって透過光を検出し、その透過光の光量と、異物や欠陥の存在しない透明体シート状物の透過光の光量を基準として比較し、光量の強弱に応じて設定したしきい値から逸脱した場合に異物や欠陥と判定する。すなわち、透過光の光量が弱い側のしきい値を越えた場合には光を遮ったり、吸収したりする性質の異物や欠陥と判定し、透過光の光量が強い側のしきい値を越えた場合には被検査対象の透明体シート状物に混入した気泡や厚み異常の欠陥などと判定する。このとき、異物や欠陥と判定した中には、上述した付着異物も含まれている可能性がある。
また、この透過光は透明体シート状物の幅方向に対して光量分布を検出しており、しきい値を越えた光量分布の凹凸の幅から異物や欠陥の幅を算出する。さらに、幅方向のしきい値を越えた光量分布を時系列に積算すると異物や欠陥の面積が算出できる。
また、第1検査装置では、検出した異物や欠陥について、寸法や形状などの情報や透明体シート状物において異物や欠陥の発生した幅方向の発生位置や、シート状物の移動方向の発生位置を記憶し、その情報を第2検査装置に転送する。
そして、透明体シート状物の移動方向で第1検査装置よりも下流側に、透明体シート状物の両面に対する付着異物除去装置を配置しており、この付着異物除去装置によって透明体シート状物の表面に付着した異物が除去される。この付着異物除去装置には、エアー吹付け部とエアー吸引部があり、エアー吹付け部は、第1検査装置において検出した異物欠陥が通過する際、当該異物欠陥に向かってエアーを吹き付ける装置であり、エアー吸引部は、エアー吹付け部の対向方向に配置して異物を吸引する装置である。すなわち、第1検査装置において検出した異物欠陥が付着異物の場合、エアー吹付け部によって付着異物がシート状物から剥離し、エアー吸引部によって吸引され、除去される仕組みである。
そして、付着異物除去装置の下流側に配置した第2検査装置では、第1検査装置で検出した異物や欠陥の透明体シート状物の幅方向位置が、第2検査装置の検査視野を横切るタイミングに、第1検査装置で検出した同等の寸法、かつ、同等の形状、かつ、同等の光量の、異物や欠陥が検出されるかを比較照合する。このとき、第2検査装置において、同等の寸法、かつ、同等の形状、かつ、同等の光量の、異物や欠陥が検出されると、付着異物除去装置によって除去できなかった有害な異物や欠陥と判定し、第1検査装置で検出された異物や欠陥の発生位置で第2検査装置では検出されなかった場合に付着異物と判定する。
また、本発明は、第1検査装置が、透明体シート状物の幅方向の全幅範囲について通過する異物や欠陥を全数検出し、第2検査装置が、第1検査装置で検出した異物や欠陥のシート状物幅方向の発生位置まで走査移動して位置決め停止する手段を具備している。このとき、走査移動するのは第2検査装置の受光手段のみでも良いし、受光手段と連動して照明手段も走査移動しても良い。また、第2検査装置の視野が被検査対象の透明体シート状物の幅よりも広い場合には走査する必要はない。
また、本発明は、付着異物除去装置が、エアー吹き付けと吸引による方法および粘着ロールによる方法の両方、もしくは、何れか一方を用いた装置である。
また、本発明は、付着異物除去装置のエアーを吹き付けと吸引による方法が、ロールの曲面上の位置でシート状物に付着した異物に向けてエアーを吹き付け、その反対方向の位置から吸引すること方法も適用できる。
このように構成された本発明においては、上述の付着異物除去装置によって完全に付着異物を除去されなかった場合においても、第1検査装置で検出した付着異物の位置が、第2検査装置で検出するタイミングに付着異物除去装置によって少しでも位置が変化したり、付着異物の方向や付着の仕方が変化するだけでも、付着異物と判定できる。すなわち、シート状物の内部に混入した有害な異物や欠陥は、付着異物除去装置によって位置や観察上の形状などが変化することはないため、第1検査装置と第2検査装置で検出した異物や欠陥について、その発生位置や寸法や形状などの情報に基づいて比較照合すれば、確度の高い弁別が可能である。
次に具体的な実施態様を図を用いて説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る透明体シート状物の異物欠陥検査装置の概略構成を示す模式図である。
図1において、透明体シート状物12に異物や欠陥11aがある場合、第1検査装置1の検査視野Wを通過する際に全数検出を行う。第1検査装置1の検査用カメラ4は、検出が必要な最小の異物や欠陥11aの寸法に対して、シート状物12の幅方向、および、シート状物12の移動方向の共に検出可能な精度を有している必要がある。
例えば、一次元CCDセンサの検査用カメラ4を用いる場合、シート状物12の幅方向は、検出が必要な最小の異物や欠陥11aの寸法に対して、好ましくは1/4以下のサイズの分解能になるように検査視野を設定する。例えば、異物や欠陥11aの寸法が30μmのとき、検査用カメラ4の分解能は8μm以下であることが好ましい。シート状物12の全幅を漏れなく検査する場合で、検査用カメラ4の視野がシート状物12の全幅より狭い場合、複数の検査用カメラ4をシート状物12の幅方向に並べて視野Wをカバーする。
さらに、シート状物12の移動方向についても、検出が必要な最小の異物や欠陥11aの寸法に対して、好ましくは1/4以下のサイズの分解能になるように設定する。すなわち、シート状物12の移動方向の分解能は、シート状物12の移動速度に検査用カメラ4の最高走査周期を乗じた値に対して1/4以下に設定する。
このようにシート状物12の幅方向と移動方向で分解能を設定すれば、一次元CCDセンサのビットのバラツキや、検査用カメラ4による異物や欠陥の走査タイミングを考慮してもシート状物全面積の異物や欠陥11aの検査が可能となる。
この第1検査装置1で異物や欠陥11aを検出した場合、第2検査装置2、および、異物欠陥弁別装置3に、シート状物12の幅方向の位置(以下、幅方向座標と記す)と、検出した時間とシート状物12の移動速度から換算したシート状物12の移動方向の位置(以下、移動方向座標と記す)の情報を転送する。また、同時に、検出した異物や欠陥11aのシート状物12の幅方向と移動方向の最大直径や、面積、濃淡信号などの検出データを転送する。
第1検査装置1で検出した異物や欠陥11aが付着異物の場合、シート状物の移動方向に対して後方に設置した付着異物除去装置によって除去される。付着異物除去装置は、異物除去制御装置8、エアー吹付け部9a、9b及びエアー吸引部10a、10bからなり、シート状物12の表面の異物や欠陥に向かってエアー吹付け部9a、9bがエアーを吹き付け、反対側に設置したエアー吸引部10a、10bによってエアーで吹き飛ばした付着異物を吸引する。被検査対象のシート状物12が帯電しやすい材料の場合には、エアー吹き付け部9a、9bの直前で除電するか、もしくは、イオナイザーのエアーを吹き付けることが好ましい。また、付着異物の性質によっては、エアー吹き付け部9a、9bとエアー吸引部10a、10bの代わりに粘着ロールを用いてもよく、もしくは、それら両方を併用してもよい。
さらに好ましくは、図2に示したようにロール25などの曲率を利用し、シート状物12と付着異物の接触面積が小さくなった位置でエアー吹き付け部21a、21bによるエアー吹付けとエアー吸引部22a、22bによるエアー吸引を行うと効果的である。
この付着異物除去装置は、第1検査装置1で検出したタイミングで起動してもよく、もしくは、常時起動していてもよい。
また、この付着異物除去装置は、エアー吹出量を上げるためにシート状物12の幅方向で分割してもよく、その場合には、第1検査装置1で検出したシート状物12の幅方向の異物や欠陥の座標に基づいてエアー吹き付けと吸引を行う。
第2検査装置2は、第1検査装置1から転送されたシート状物12の幅方向座標に基づいて、第2検査装置2の検査用カメラ5をシート状物12の幅方向に移動させ、異物や欠陥11bがこの第2検査装置2の検査用カメラ5の検査視野を通過する位置で停止させる。そして、第1検査装置1から転送されたシート状物12の移動方向座標に基づいて、第2検査装置2の検査用カメラ5の検査視野を横切るタイミングに検査する。そのタイミングに異物や欠陥11bが検出されなかったとき、上流側の付着異物除去装置8によって除去された付着異物、もしくは、外乱などの影響による第1検査装置1の誤検出と判断でき、第1検査装置1で検出したシート状物12の幅方向と移動方向の座標でマッピングした異物や欠陥11aは、無害であったと判定する。
また、第2検査装置2で異物や欠陥11bを検知した場合でも、第1検査装置1で検出した幅方向と移動方向の座標からズレが生じているとき、この異物は上述の付着異物除去装置8によってシート状物12の表面を移動したとして付着異物と判定する。このズレを判定するしきい値は、検査用カメラ5の検出誤差、検査用カメラ5の移動装置の位置決め誤差、シート状物12の振動や撓みなどの影響を算出し、ズレが生じ得る最大値以上に設定することが好ましい。
さらに、第1検査装置1で検出した幅方向と移動方向の座標と、第2検査装置2で検出した座標が合致した場合でも、検出した異物や欠陥11bについて、最大直径や、面積、濃淡信号などを比較照合し、差異があった場合には、この異物は上述の付着異物除去装置8によってシート状物12の表面上で付着状態が変化したとして付着異物と判定する。この差異のしきい値は、検査用カメラ4,5の幅方向と移動方向の分解能に対して、2倍以上に設定することが好ましい。
そして、第1検査装置1で検出した幅方向と移動方向の座標と、第2検査装置2で検出した座標が合致し、かつ、第1検査装置1と第2検査装置2で検出した異物や欠陥の各々の最大直径や、面積、濃淡信号などを比較照合して合致した場合、この異物は上述の付着異物除去装置8によって除去できない有害異物として判定する。
このように、第1検査装置1で検出した異物や欠陥の幅方向と移動方向の座標や、異物や欠陥の最大直径、面積、濃淡信号などの情報について、付着異物除去装置8を通過した後で検査する第2検査装置2で検出した情報とを比較照合することにより、無害な付着異物と有害な異物や欠陥とを弁別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態に係る透明体シート状物の有害な異物や欠陥と付着異物とを弁別する異物欠陥の検査システムの一例を示す図。
【図2】本発明の実施の形態に係る付着異物の除去方法の一例を示す図。
【符号の説明】
【0023】
1 第1検査装置
2 第2検査装置
3 異物欠陥弁別装置
4 第1検査装置のカメラ群
5 第2検査装置のカメラ
6 第1検査装置の照明装置
7 第2検査装置の照明装置
8 異物除去制御装置
9a シート状物上面側へのエアー吹付装置
9b シート状物下面側へのエアー吹付装置
10a シート状物上面側の吸引装置
10b シート状物下面側の吸引装置
11a 第1検査装置視野内のシート状物の異物欠陥または付着異物
11b 第2検査装置視野内のシート状物の異物欠陥または付着異物
12 被検査対象の透明体シート状物
21a シート状物上面側のエアー吹付装置
21b シート状物下面側のエアー吹付装置
22a シート状物上面側の吸引装置
22b シート状物下面側の吸引装置
23a ロール
23b ロール
24a シート状物上の異物欠陥または付着異物
24b シート状物上の異物欠陥または付着異物
W 被検査対象の透明体シート状物の検査視野幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明体シート状物の製造工程において、シート状物全面積の有害異物欠陥とシート状物全面積の表面に付着した無害異物とを、弁別することを特徴とする異物欠陥検査装置であって、シート状物のフィード方向上流側に設置した第1検査装置と、該検査装置の下流側に設置した付着異物除去装置と、該付着異物除去装置の下流側に設置した第2検査装置とを具備する異物欠陥検査装置。
【請求項2】
前記第1検査装置の検出データと前記付着異物除去装置を通過後に検出する前記第2検査装置の検出データとを比較照合することにより、前記有害異物欠陥と無害異物とを弁別することを特徴とする、請求項1に記載の異物欠陥検査装置。
【請求項3】
前記付着異物除去装置は、エアー吹付け部とエアー吸引部とを有していることを特徴とする、請求項1〜2いずれかに記載の異物欠陥検査装置。
【請求項4】
前記エアー吹付け部は、シート状物がロールを通過する際に、シート状物と付着異物との接触面積が小さくなった位置にエアーを吹付けるように配置され、前記エアー吸引部は、前記エアー吹付け部がエアーを吹付けた方向の延長線上に配置されることを特徴とする、請求項3に記載の異物欠陥検査装置。
【請求項5】
前記付着異物除去装置は、粘着ロールを有していることを特徴とする、請求項1〜4いずれかに記載の異物欠陥検査装置。
【請求項6】
前記第1検査装置で検出した異物欠陥が、前記第2検査装置において検出されない場合には、当該検出した異物欠陥は無害異物であると判定することを特徴とする、請求項1〜5いずれかに記載の異物欠陥検査装置。
【請求項7】
前記第1検査装置で検出した異物欠陥の座標データと前記第2検査装置で検出した異物欠陥の座標データとの差異が、しきい値よりも大きい場合には、当該検出した異物欠陥は無害異物であると判定することを特徴とする、請求項1〜6いずれかに記載の異物欠陥検査装置。
【請求項8】
前記第1検査装置で検出した異物欠陥の座標データと前記第2検査装置で検出した異物欠陥の座標データとの差異が、しきい値よりも小さい場合であって、当該検出した異物欠陥の最大直径、面積及び濃淡から選ばれる少なくとも1つのデータを比較照合し、当該データの差異がしきい値よりも大きい場合には、当該検出した異物欠陥は無害異物であると判定することを特徴とする、請求項1〜7いずれかに記載の異物欠陥検査装置。
【請求項9】
透明体シート状物の製造工程において、シート状物全面積の有害異物欠陥とシート状物全面積の表面に付着した無害異物とを、弁別することを特徴とする異物欠陥検査方法であって、シート状物のフィード方向上流側に設置した第1検査装置がデータを検出し、該検査装置の下流側に設置した付着異物除去装置が付着異物を除去し、該付着異物除去装置の下流側に設置した第2検査装置がデータを検出する異物欠陥検査方法。
【請求項10】
前記第1検査装置の検出データと前記付着異物除去装置を通過後に検出する前記第2検査装置の検出データとを比較照合することにより、前記有害異物欠陥と無害異物とを弁別することを特徴とする、請求項9に記載の異物欠陥検査方法。
【請求項11】
前記付着異物除去装置は、エアー吹付け部からエアーを吹付け、エアー吸引部からエアーを吸引することを特徴とする、請求項9〜10いずれかに記載の異物欠陥検査方法。
【請求項12】
シート状物がロールを通過する際に、シート状物と付着異物との接触面積が小さくなった位置にエアーを吹付け、エアーを吹付けた方向の延長線上でエアーを吸引することを特徴とする、請求項11に記載の異物欠陥検査方法。
【請求項13】
前記付着異物除去装置は、粘着ロールにより付着異物を除去することを特徴とする、請求項9〜12いずれかに記載の異物欠陥検査装置。
【請求項14】
前記第1検査装置で検出した異物欠陥が、前記第2検査装置において検出されない場合には、当該検出した異物欠陥は無害異物であると判定することを特徴とする、請求項9〜13いずれかに記載の異物欠陥検査方法。
【請求項15】
前記第1検査装置で検出した異物欠陥の座標データと前記第2検査装置で検出した異物欠陥の座標データとの差異が、しきい値よりも大きい場合には、当該検出した異物欠陥は無害異物であると判定することを特徴とする、請求項9〜14いずれかに記載の異物欠陥検査方法。
【請求項16】
前記第1検査装置で検出した異物欠陥の座標データと前記第2検査装置で検出した異物欠陥の座標データとの差異が、しきい値よりも小さい場合であって、当該検出した異物欠陥の最大直径、面積及び濃淡から選ばれる少なくとも1つのデータを比較照合し、当該データの差異がしきい値よりも大きい場合には、当該検出した異物欠陥は無害異物であると判定することを特徴とする、請求項9〜15いずれかに記載の異物欠陥検査方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−108125(P2007−108125A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−301760(P2005−301760)
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】