説明

透明導電膜、ヒータ、タッチパネル、太陽電池、有機EL装置、液晶装置および電子ペーパ

【課題】グラフェンを積層したときに光透過率の低下を緩和したり、1層のグラフェンの光透過率の上限よりも高い光透過率を得たりすることの可能な透明導電膜、ならびにそれを備えたヒータ、タッチパネル、太陽電池、有機EL装置、液晶装置および電子ペーパを提供する。
【解決手段】透明導電膜は、単層の導電性グラフェンシートを備えている。単層の導電性グラフェンシートは、グラフェンからなる第1領域と、第1領域で囲まれるとともに第1領域よりも光透過率の高い第2領域とを含んで構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、1または複数のグラフェンを積層してなる透明導電膜、ならびにそれを備えたヒータ、タッチパネル、太陽電池、有機EL装置、液晶装置および電子ペーパに関する。
【背景技術】
【0002】
透明導電膜は、タッチパネルや、太陽電池、電子ペーパ、イメージセンサなどの様々なデバイスに用いられている。透明導電膜として一般的に使われている材料としては、酸化インジウムスズ(ITO;Indium Tin Oxide)が挙げられる。ITO膜は、光透過率の極めて高い導電性材料である。しかし、近年、用途に依っては、ITO膜並みの導電率でITO膜よりも高い光透過率が要求されたり、ITO膜並みの光透過率でITO膜よりも高い導電性が要求されたりするようになってきた。
【0003】
ITOに代わる材料として近年注目されている材料として、グラフェンが挙げられる。炭素原子はsp2混成軌道によって共有結合すると、6員環(5員環または7員環を含む場合もある)を平面に敷き詰めた網状構造膜を形成する。この炭素原子の網状構造膜がグラフェンと呼ばれ、多数(典型的には数百)のグラフェンを積層したものがグラファイトと呼ばれる。
【0004】
グラフェンは、例えば、グラファイトにスコッチテープ(スコッチは、スリーエムカンパニーの登録商標)を貼り付け、テープの粘着力を利用してグラフェンを剥離したのち、表面にSiO2膜が形成されたシリコンウェハーに転写することにより得られる。最近では、グラフェンは、CVD(Chemical Vapor Deposition)を用いて形成されるようになってきており、非常に特性の良いグラフェンが得られるようになってきた(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−107921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、単層のグラフェンのシート抵抗の下限は、通常、80Ω/□程度である。また、単層のグラフェンの光透過率の上限は、通常、97.7%程度である。ここで、当業者が、シート抵抗を80Ω/□よりも小さくしようとして、例えば、グラフェンを積層することを考えたとする。しかし、グラフェンを積層すると、光透過率は、単層のグラフェンの光透過率の上限値よりも大幅に低下してしまう。例えば、グラフェンを2層、積層すると、光透過率は、95%程度にまで激減してしまう。また、当業者が、光透過率を上げようとして、グラフェンの積層数を減らすことを考えたとする。しかし、グラフェンの積層数を下限の1層にしたとしても、光透過率は、97.7%を超えることができない。
【0007】
本技術はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、グラフェンを積層したときに光透過率の低下を緩和したり、1層のグラフェンの光透過率の上限よりも高い光透過率を得たりすることの可能な透明導電膜、ならびにそれを備えたヒータ、タッチパネル、太陽電池、有機EL装置、液晶装置および電子ペーパを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本技術の透明導電膜は、1層の第1の導電性グラフェンシートを備えている。第1の導電性グラフェンシートは、グラフェンからなる第1領域と、第1領域で囲まれるとともに第1領域よりも光透過率の高い第2領域とを含んでいる。本技術による透明導電膜では、第1の導電性グラフェンシートに、グラフェンよりも光透過率の高い領域が設けられている。グラフェンよりも光透過率の高い領域は、例えば、空隙、透明ポリマー材料および無機材料のうち少なくとも1種類からなる。
【0009】
本技術のヒータは、熱発生源として上記の透明導電膜を備えている。
【0010】
本技術のタッチパネル、太陽電池、有機EL装置、液晶装置および電子ペーパは、電極として上記の透明導電膜を備えている。
【0011】
本技術において、第1領域の最狭部の幅が、10nmよりも大きくなっていることが好ましい。また、本技術において、第1領域の最狭部の幅が、10nmよりも大きくなっている場合に、第2領域のレイアウトは、μm2オーダー単位の領域において規則性を有していてもよい。
【0012】
また、本技術において、透明導電膜が複数の第1の導電性グラフェンシートを備えていてもよい。この場合に、各第1の導電性グラフェンシートの第2領域が、少なくとも一部で互いに正対しないようにレイアウトされていてもよいし、互いに正対していてもよい。また、本技術において、透明導電膜が、第1の導電性グラフェンシートの他に、グラフェンからなる1層の第2の導電性グラフェンシートをさらに備えていてもてよい。
【発明の効果】
【0013】
本技術の透明導電膜、ヒータ、タッチパネル、太陽電池、有機EL装置、液晶装置および電子ペーパによれば、第1の導電性グラフェンシートに、グラフェンよりも光透過率の高い領域を設けるようにしたので、本技術による透明導電膜に含まれる第1の導電性グラフェンシートの光透過率を、本技術のような光透過率の高い領域を有しない導電性グラフェンシートの光透過率よりも高くすることができる。従って、例えば、本技術による透明導電膜を単層の第1の導電性グラフェンシートで構成した場合には、光透過率を97.7%よりも高くすることができる。また、例えば、本技術による透明導電膜を複数の第1の導電性グラフェンシートで構成した場合には、光透過率を、本技術のような光透過率の高い領域を有しない導電性グラフェンシートを積層したときの光透過率よりも高くすることができる。従って、例えば、シート抵抗を80Ω/□よりも小さくしつつ、光透過率の低下を緩和することができる。以上のことから、本技術では、単層のグラフェンシートの光透過率の上限よりも高い光透過率を得たり、グラフェンシートを積層したときに光透過率の低下を緩和したりすることができる。
【0014】
また、本技術において、第1領域の最狭部の幅が10nmよりも大きくなっている場合には、製造方法の最適化により、グラフェンが半導体の性質を発現しないようにすることができる。これにより、グラフェンに半導体の性質が発現することによる導電率の低下をなくすることができる。
【0015】
また、本技術において、複数の第1の導電性グラフェンシートが設けられている場合に、各第1の導電性グラフェンシートの第2領域が互いに正対しないようにレイアウトされているときには、各第1の導電性グラフェンシートの第2領域が互いに正対しているときと比べて、各第1の導電性グラフェンシートの第1領域が互いに対向している領域を少なくすることができる。その結果、光透過率が大幅に低下する領域を少なくすることができる。さらに、各第1の導電性グラフェンシートの第2領域が互いに重なり合わないようにレイアウトされているときには、各第1の導電性グラフェンシートの第1領域が互いに対向している領域をさらに少なくすることができる。その結果、光透過率が大幅に低下する領域をさらに少なくすることができる。
【0016】
また、本技術において、複数の第1の導電性グラフェンシートが設けられている場合に、各第1の導電性グラフェンシートの第2領域が互いに正対しているときには、光透過率の極めて高い領域をより広範囲に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】一実施形態に係る透明導電膜の一例を表す斜視図および断面図である。
【図2】図1の第2領域の形状の一例を表す模式図である。
【図3】図1の第2領域のレイアウトの一例を表す模式図である。
【図4】図1の第2領域のレイアウトの他の例を表す模式図である。
【図5】図1の透明導電膜においてグラフェンの最狭部の幅と開口径を変化させたときの透過率の一例を表す図である。
【図6】図1の透明導電膜においてグラフェンの最狭部の幅と開口径を変化させたときの透過率の他の例を表す図である。
【図7】図1の透明導電膜においてグラフェンの最狭部の幅と開口径を変化させたときのシート抵抗の一例を表す図である。
【図8】図1の透明導電膜においてグラフェンの最狭部の幅と開口径を変化させたときのシート抵抗の他の例を表す図である。
【図9】図1の透明導電膜においてグラフェンの被覆率を変化させたときの透過率およびシート抵抗の一例を表す図である。
【図10】図1の透明導電膜の製造過程の一例を表す断面図である。
【図11】図1の透明導電膜の一変形例を表す斜視図である。
【図12】図1の透明導電膜の他の変形例を表す斜視図である。
【図13】図9の透明導電膜の一例を表す断面図である。
【図14】図9の透明導電膜の他の例を表す断面図である。
【図15】図9の透明導電膜のその他の例を表す断面図である。
【図16】グラフェンにドーピングする過程を表す模式図である。
【図17】図1(B)、図12〜図15に記載の透明導電膜の一変形例を表す断面図である。
【図18】図1(B)、図12〜図15に記載の透明導電膜の他の変形例を表す断面図である。
【図19】図17(A)〜(E)に記載の透明導電膜の一変形例を表す断面図である。
【図20】開口形成前の透明導電膜における透過率の波長依存性を表す図である。
【図21】実施例に係る透明導電膜の外観写真である。
【図22】図21(A)〜(D)の各透明導電膜の透過率の実測値を表す図である。
【図23】図20および図21(A)〜(D)の各透明導電膜の透過率の波長依存性の計測値を表す図である。
【図24】図20および図21(A)〜(D)の各透明導電膜のシート抵抗の計算値および実測値を表す図である。
【図25】図20および図21(A)〜(D)の各透明導電膜のシート抵抗におけるドーピング前とドーピング後の計算値および実測値を表す図である。
【図26】図20および図21(A)〜(D)の各透明導電膜のシート抵抗におけるドーピング前とドーピング後の計算値および実測値を表す図である。
【図27】開口率を一定(75%)にして、第1領域10Aの最狭部の幅Wを2μm、4μm、8μmおよび16μmとしたときの各透明導電膜の外観写真である。
【図28】図27(A)〜(D)の各透明導電膜のシート抵抗におけるドーピング前とドーピング後の計算値および実測値を表す図である。
【図29】図27(A)〜(D)の各透明導電膜のキャリア濃度におけるドーピング前とドーピング後の実測値を表す図である。
【図30】幅Wを変化させたときの、シート抵抗の実測値を所定の値で規格化した値(相対シート抵抗)を表す図である。
【図31】第1応用例に係る透明ヒータの展開斜視図である。
【図32】第2応用例に係るタッチパネルの断面図である。
【図33】(A)第3応用例に係るタッチパネルの断面図である。(B)図33(A)のタッチパネルにおける透明導電膜の構成を表す斜視図である。
【図34】(A)第4応用例に係るタッチパネルの断面図である。(B)図34(A)のタッチパネルにおける透明導電膜の構成を表す斜視図である。
【図35】第5応用例に係る太陽電池の断面図である。
【図36】第6応用例に係る有機EL装置の断面図である。
【図37】第7応用例に係る液晶装置の断面図である。
【図38】第8応用例に係る電子ペーパの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本技術の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。

1.実施の形態
透明導電膜が単層の導電性グラフェンシートからなる例(図1〜図10)
2.変形例
開口の代わりに切り欠きが設けられている例(図11)
透明導電膜が複数の導電性グラフェンシートからなる例(図12〜図15)
導電性グラフェンシートにドーピングがなされている例(図16)
開口に何らかの光透過性材料が充填されている例(図17、図19)
開口を有しない導電性グラフェンシートが設けられている例(図18、図19)
3.実施例(図20〜図30)
4.応用例(図31〜図38)
【0019】
<1.実施の形態>
[構成]
図1(A)は、一実施の形態に係る透明導電膜1の上面構成の一例を表すものである。図1(B)は、図1(A)のA−A矢視方向の断面構成の一例を表したものである。この透明導電膜1は、例えば、図1(B)に示したように、単層の導電性グラフェンシート10を備えたものである。なお、透明導電膜1は、導電性グラフェンシート10以外に、透明性の高い層を備えていてもよく、例えば、導電性グラフェンシート10を支持するガラス基板や樹脂基板を備えていてもよい。
【0020】
導電性グラフェンシート10は、例えば、図1(A),(B)に示したように、第1領域10Aと、第1領域10Aで囲まれるとともに第1領域10Aよりも光透過率の高い第2領域10Bとを含んで構成されたものである。
【0021】
第1領域10Aは、導電性を有する単層のグラフェンからなる。ここで、「グラフェン」とは、複数個の炭素原子がsp2混成軌道によって共有結合してなる6員環(5員環または7員環を含む場合もある)が平面に敷き詰められた網状構造膜を指している。「導電性を有する」とは、半導体のようなバンドギャップを有しないことを意味しており、バンドギャップを持たない半金属のような性質を有していることを意味している。
【0022】
グラフェンが導電性を有するためには、少なくとも、グラフェンの最狭部の幅が、10nmよりも大きくなっていることが必要である。グラフェンの最狭部の幅が10nm以下となっている場合には、現状の製造方法では、グラフェンが半導体の性質を発現し易い。しかし、グラフェンの最狭部の幅が10nmよりも大きくなっている場合には、製造方法の最適化により、グラフェンが半導体の性質を発現しないようにすることができる。従って、第1領域10Aが導電性を有するためには、第1領域10Aの最狭部の幅Wが、10nmよりも大きくなっていることが必要である。
【0023】
単層のグラフェンの光透過率は、通常、97.7%程度である。従って、第1領域10Aの光透過率も、97.7%程度となっている。また、単層のグラフェンのシート抵抗は、通常、80Ω/□程度である。従って、第1領域10Aのシート抵抗も、80Ω/□程度となっている。
【0024】
第2領域10Bは、空隙からなる。その空隙は、例えば、図1(A),(B)に示したように、開口からなる。開口の形状は、例えば、図1(A),(B)に示したように、円形状となっている。なお、開口は、円形状に限定されるものではなく、様々な形状を採り得る。開口は、例えば、図2(A)に示したように正方形状となっていてもよいし、図2(B)に示したように長方形状となっていてもよいし、図2(C)に示したように多角形状となっていてもよい。開口の形状は、図2(A)〜(C)に示したように幾何学形状となっていてもよいし、図2(D)に示したように、不定型な形状、またはランダムな形状となっていてもよい。また、各開口の形状は、図1(A),(B)に示したように互いに同一形状となっていてもよいし、図示しないが、一部の開口の形状が他の開口の形状と異なっていてもよい。
【0025】
また、第2領域10Bのレイアウトは、規則性を有している。第2領域10Bのレイアウトは、例えば、図3(A)に示したように、μm2オーダー単位(例えば1.5μm2単位)の領域において規則性を有している。透明導電膜1をデバイスに適用する際に第2領域10Bのレイアウトに対してμm2オーダー単位の領域における規則性を要求するデバイスとしては、例えば、イメージセンサなどが挙げられる。
【0026】
なお、第2領域10Bのレイアウトは、不規則性を有していてもよい。第2領域10Bのレイアウトは、例えば、図3(B)に示したように、μm2オーダー単位(例えば1.5μm2単位)の領域において不規則性を有している。第2領域10Bのレイアウトは、例えば、図3(B)に示したように、μm2オーダー単位(例えば1.5μm2単位)の領域において不規則性を有するとともに、その不規則性のある単位よりも大きな単位(例えば9μm2単位)の領域において規則性を有していてもよい。また、開口部を設けた領域全体(つまり導電性グラフェンシート10の表面全体)が、領域を問わず不規則となっていてもよい。
【0027】
また、第2領域10Bのレイアウトが規則性を有している場合に、複数の第2領域10Bは、例えば、図3(A),(B)に示したように、四角格子状に配置されていてもよいし、例えば、図4に示したように、三角格子状に配置されていてもよい。
【0028】
開口の直径Rは、透明導電膜1のシート抵抗および光透過率のうち少なくとも一方を勘案して規定されている。例えば、透明導電膜1のシート抵抗を勘案した場合には、開口の直径Rは、10nm以上となっていることが好ましい。また、例えば、透明導電膜1の光透過率を勘案した場合には、開口の直径Rは、数100μm以下となっていることが好ましい。また、例えば、透明導電膜1のシート抵抗および光透過率の双方を勘案した場合には、開口の直径Rは、10nm以上、数100μm以下となっていることが好ましい。
【0029】
図5、図6は、第1領域10Aの最狭部の幅Wと、第2領域10Bの直径Rとを変化させたときの透明導電膜1の透過率の一例を表したものである。図7、図8は、第1領域10Aの最狭部の幅Wと、第2領域10Bの直径Rとを変化させたときの透明導電膜1のシート抵抗の一例を表したものである。
【0030】
なお、図5、図7は、各第2領域10Bが円形状となっており、かつ複数の第2領域10Bが、三角格子状に配置されているときの結果である。図6、図8は、各第2領域10Bが正方形状となっており、かつ複数の第2領域10Bが、四角格子状に配置されているときの結果である。また、第1領域10Aの最狭部の幅Wの下限が、図5、図7では20nmとなっており、図6、図8では50nmとなっているが、第1領域10Aの最狭部の幅Wの実際の下限は、上述したように、10nmである。また、図5〜図8では、第2領域10Bの直径Rの下限が50nmとなっているが、第2領域10Bの直径Rの実際の下限は、上述したように、10nmである。
【0031】
図5、図6から、第1領域10Aの最狭部の幅Wが狭くなるほど、透明導電膜1の透過率が大きくなり、第2領域10Bの直径Rが大きくなるほど、透明導電膜1の透過率が大きくなることがわかる。また、図5、図6からは、第1領域10Aの最狭部の幅Wおよび第2領域10Bの直径Rの双方が大きくなっているときの透過率と、第1領域10Aの最狭部の幅Wおよび第2領域10Bの直径Rの双方が小さくなっているときの透過率とが互いに等しくなる(またはほぼ等しくなる)条件が存在していることもわかる。
【0032】
一方、図7、図8から、第1領域10Aの最狭部の幅Wが狭くなるほど、透明導電膜1のシート抵抗が大きくなり、第2領域10Bの直径Rが小さくなるほど、透明導電膜1のシート抵抗が小さくなることがわかる。また、図7、図8からは、第1領域10Aの最狭部の幅Wおよび第2領域10Bの直径Rの双方が大きくなっているときのシート抵抗と、第1領域10Aの最狭部の幅Wおよび第2領域10Bの直径Rの双方が小さくなっているときのシート抵抗とが互いに等しくなる(またはほぼ等しくなる)条件が存在していることもわかる。
【0033】
図9は、透明導電膜1が基材を覆っている割合(被覆率)と、透明導電膜1の透過率およびシート抵抗との関係の一例を表したものである。なお、図9において、被覆率が100%の結果は、第1領域10Aのみからなり、第2領域10Bを含まない単層のグラフェンシートのものである。また、図9において、被覆率が0%の結果は、基材を覆う部材が何も存在していないときの結果である。図9から、被覆率が小さくなるにつれて、透過率およびシート抵抗がともに高くなっていることがわかる。なお、本実施の形態の透明導電膜1は、第2領域10Bを含んでいることから、被覆率が1%〜99%となるような構成となっており、被覆率が0または100%となるような構成にはならない。従って、透明導電膜1の透過率は、被覆率が100%のときの透過率(97.7%)以上となっており、被覆率が0%のときの透過率(100.0%)以下となっている。また、透明導電膜1のシート抵抗は、被覆率が100%のときのシート抵抗(80Ω/□)よりも大きくなっており、被覆率が0%のときのシート抵抗(無限大)未満となっている。
【0034】
ところで、高透過率のITO付きPETフィルムの透過率は典型的には91%程度であり、そのシート抵抗は典型的には200Ω/□程度となっている。実際には、透明導電膜1を形成する基材自体の反射や吸収を考慮する必要があるが、透明導電膜1の被覆率が1%以上99%以下となっている場合には、透明導電膜1の透過率は、ITO付きPETフィルムの透過率よりも高くなっている。また、被覆率が60%以上99%以下となっている場合には、透明導電膜1の透過率はITOの透過率よりも高くなっているだけでなく、透明導電膜1のシート抵抗がITOのシート抵抗よりも低くなっている。
【0035】
また、透明導電膜1を適用するデバイスを勘案すると、第1領域10Aの最狭部の幅Wおよび第2領域10Bの直径Rは、例えば、以下のようになる。投影型静電容量タッチパネルにおいては、電極がくし型のパターン構造となっており、電極の細い部分の線幅が100μm程度となっている。そのため、電極として透明導電膜1を用いる場合には、電極が絶縁分離してしまわないように、開口のサイズ(第2領域10Bの直径R)は数10μm程度となっていることが望ましい。また、電極の抵抗は数100Ω程度となっていることが望ましいので、透明導電膜1の被覆率は、10%以上となっていることが望ましい。なお、市販品における電極の抵抗は200Ω程度となっているので、この場合には、透明導電膜1の被覆率は、60%以上となっていることが望ましい。
【0036】
また、表面型静電容量タッチパネルや抵抗膜式タッチパネルにおいては、電極がパターン構造となっていないので、開口のサイズ(第2領域10Bの直径R)はあまり問題とはならない。ただし、グラフェンの透明性が高いとはいえ、第2領域10Bの直径Rが数100μmよりも大きくなると、視認性に影響が出てくる。そのため、第2領域10Bの直径Rはそれよりも小さくなっていることが望ましい。また、電極の抵抗値は数100Ω程度が必要となるので、電極の被覆率は10%以上となっていることが望ましい。
【0037】
また、固体撮像素子や有機光電変換素子においては、画素サイズが数μmとなっているので、開口のサイズ(第2領域10Bの直径R)は、画素サイズの1/10程度である数100nm程度となっていることが望ましい。また、開口(第2領域10B)が規則的に並んでいる場合には、干渉などによる影響を低減するために、開口が不規則な位置に形成されているか、不規則な形状となっていることが望ましい。また、高透過性が重要となっているので、電極の被覆率は80%以下となっていることが望ましい。
【0038】
導電性グラフェンシート10の厚さは、グラフェンの厚さと等しく、例えば、0.3nm程度となっている。従って、導電性グラフェンシート10の厚さは、メタルグリッドの厚さ(数10μm)や、金属酸化物の厚さ(数100nm)よりも薄くなっている。また、導電性グラフェンシート10は、平坦性に優れており、耐溶媒性、耐酸性を有している。また、導電性グラフェンシート10は、その薄さから、フレキシブル性も有している。また、導電性グラフェンシート10は、CVDや転写を用いて形成することが可能であり、スパッタで形成するITOのようなダメージを有していない。
【0039】
[製造方法]
次に、透明導電膜1の製造方法の一例について説明する。
【0040】
まず、銅箔20を用意する(図10(A)参照)。次に、CVDを用いて、メタンなどのガスをチャンバー内に流すことにより、銅箔20上に1層のグラフェンシート10Dを形成する。例えば、10cm角、厚さ35μmの電解銅箔からなる銅箔20を管状炉内に設置し、1000℃で30分間、水素ガスを流す。続いて、15分間、メタンと水素の混合ガスを流すことにより、銅箔20上に1層のグラフェンシート10Dを形成する。その後、再び、水素ガスを流しながら、降温する。
【0041】
1層のグラフェンシート10Dが形成された銅箔20を炉から取り、グラフェンシート10Dの表面上に、PMMAからなる樹脂シート30を成膜する(図10(B))。次に、1Mの硝酸鉄溶液中で銅箔20を除去したのち、グラフェンシート10D上にガラス基板40を貼り合わせる(図10(C))。その後、アセトンなどによって、樹脂シート30を除去する(図10(D))。
【0042】
次に、グラフェンシート10D上に、スピンコートなどによって、フォトレジスト層を成膜する。次に、フォトレジスト層を選択的に露光し現像したのち、例えば、アッシングにより、グラフェンシート10Dを選択的に除去する。その後、フォトレジスト層を除去する。このようにして、ガラス基板40上に、導電性グラフェンシート10を備えた透明導電膜1が形成される。
【0043】
なお、上記以外の方法でも、透明導電膜1を形成することが可能である。
【0044】
(その1)
例えば、上記の製造過程において、グラフェンシート10D上にガラス基板40を貼り合わせたのち、電子線リソグラフィーを用いて樹脂シート30に所定のパターンを形成し、現像する。次に、例えば、アッシングにより、グラフェンシート10Dを選択的に除去する。その後、樹脂シート30を除去する。このようにして、ガラス基板40上に、導電性グラフェンシート10を備えた透明導電膜1が形成される。
【0045】
(その2)
例えば、上記の製造過程において、樹脂シート30を除去したのち、レーザエッチングを用いて、グラフェンシート10Dのうちレーザ照射箇所を選択的に除去する。このようにして、ガラス基板40上に、導電性グラフェンシート10を備えた透明導電膜1が形成される。なお、この手法は、レーザエッチングによる照射パターンが比較的大きな場合に適している。
【0046】
[効果]
次に、透明導電膜1の効果について説明する。
【0047】
本実施の形態では、導電性グラフェンシート10において、グラフェンよりも光透過率の高い第2領域10Bが、グラフェンからなる第1領域10Aに囲まれる態様で設けられている。これにより、導電性グラフェンシート10そのものの光透過率を、第2領域10Bのような光透過率の高い領域を有しない導電性グラフェンシートの光透過率よりも高くすることができる。その結果、光透過領域全域に導電性グラフェンシート10が設けられていたとしても、光透過領域全体としての光透過率を単層のグラフェンシートの光透過率の上限(97.7%)よりも高くすることができる。
【0048】
また、本実施の形態では、第1領域10Aの最狭部の幅Wが10nmよりも大きくなっているので、製造方法の最適化により、導電性グラフェンシート10が半導体の性質を発現しないようにすることができる。これにより、導電性グラフェンシート10に半導体の性質が発現することによる導電率の低下をなくすることができる。
【0049】
<2.変形例>
(第1変形例)
上記実施の形態では、第2領域10Bが第1領域10Aで囲まれている場合が例示されていたが、例えば、図11に示したように、一部の第2領域10Bが第1領域10Aで囲まれると共に、残りの第2領域10Bが第1領域10Aの端部(つまり導電性グラフェンシート10の端部)に形成された切り欠きとなっていてもよい。
【0050】
(第2変形例)
上記実施の形態および第1変形例では、透明導電膜1は、単層の導電性グラフェンシート10によって構成されていたが、単層の導電性グラフェンシート10を複数層、積層して構成されていてもよい。例えば、図12に示したように、透明導電膜1は、単層の導電性グラフェンシート10を2層、積層して構成されていてもよい。
【0051】
各導電性グラフェンシート10の第2領域10Bは、例えば、図13に示したように、互いに正対していてもよいし、例えば、図14に示したように、少なくとも一部で互いに正対しないようにレイアウトされていてもよい。また、各導電性グラフェンシート10の第2領域10Bは、例えば、図15に示したように、他の導電性グラフェンシート10の第1領域10Aと向き合うようにレイアウトされていてもよい。
【0052】
本変形例では、透明導電膜1が、単層の導電性グラフェンシート10を複数層、積層して構成されているので、光透過率を、第2領域10Bを有しない導電性グラフェンシートを積層したときの光透過率よりも高くすることができる。これにより、単層の導電性グラフェンシート10を複数層、積層したときに、例えば、シート抵抗を80Ω/□よりも小さくしつつ、光透過率の低下を緩和することができる。
【0053】
また、本変形例において、例えば、図13に示したように、各導電性グラフェンシート10の第2領域10Bが互いに正対するようにレイアウトされている場合には、透明導電膜1の光透過率の極めて高い領域をより広範囲に形成することができる。
【0054】
また、本変形例において、例えば、図14に示したように、各導電性グラフェンシート10の第2領域10Bが互いに正対しないようにレイアウトされている場合には、各導電性グラフェンシート10の第1領域10Aが互いに対向している領域を少なくすることができる。その結果、透明導電膜1の光透過率が大幅に低下する領域を少なくすることができる。また、図13の場合よりも、面内輝度をより均一にすることができる。
【0055】
また、本変形例において、例えば、図15に示したように、各導電性グラフェンシート10の第2領域10Bが互いに重なり合わないようにレイアウトされている場合には、各導電性グラフェンシート10の第1領域10Aが互いに対向している領域をさらに少なくすることができる。その結果、透明導電膜1の光透過率が大幅に低下する領域をさらに少なくすることができる。また、図14の場合よりも、面内輝度をより均一にすることができる。
【0056】
(第3変形例)
上記実施の形態、第1変形例および第2変形例において、第1領域10Aは、導電性のグラフェンからなっていたが、導電性のグラフェンにドーピングがなされた修飾領域を有していてもよい。導電性のグラフェンへのドーピングは、例えば、導電性のグラフェンの表面にドーピング溶液を接触させることによって行われる。ドーピング溶液は、例えば、塩化金をニトロメタンに溶解させたものであり、例えば、ニトロメタンに含まれる塩化金の濃度が0.02Mとなっているものである。
【0057】
例えば、透明導電膜1の導電性グラフェンシート10上に、上述のドーピング溶液を滴下したのち、例えば、2000rpm、40秒の条件で、スピンコートを行う。その後、導電性グラフェンシート10上のドーピング溶液を自然乾燥させる。その結果、導電性グラフェンシート10のグラフェンにドーパントである塩化金が付き、被覆率100%、シート抵抗80Ω/□の導電性グラフェンシート10が形成される。
【0058】
この導電性グラフェンシート10において、例えば被覆率が50%となるように第2領域10Bが形成されている場合には、導電性グラフェンシート10のシート抵抗が、274Ω/□となる。上記のように、被覆率が小さくなるに比例して、導電性グラフェンシート10のシート抵抗は大きくなる。しかし、第2領域10Bの直径Rが数10um以下となってくると、第2領域10Bの直径Rが数10umよりも大きな場合と比べて、グラフェンシート10Dにおけるグラフェンのエッジが多くなり、ドーピング箇所が増える。そのため、第2領域10Bの直径Rが数10um以下となっている場合には、被覆率が50%となっている場合であっても、導電性グラフェンシート10のシート抵抗が274Ω/□よりも低くなる。従って、シート抵抗のより小さな導電性グラフェンシート10を得たい場合には、第2領域10Bの直径Rが小さい導電性グラフェンシート10にドーピングを施すことが特に好ましい。
【0059】
ところで、グラフェンのエッジに選択的に付くリガンドとしては、例えば、Nano Lett. 2010, 10, 398-405などに記載されたものが知られている。この文献に記載の手法を用いることによっても、グラフェンのエッジに選択的にリガンドをつけることができる。例えば、作成した導電性グラフェンシート10を、25mMMの4-ニトロベンゼンジアゾニウムテトラフルオロボレート水溶液中にSDSを1wt%となるように加えた溶液中に浸し、35℃で7時間反応させた後、導電性グラフェンシート10を取り出して水で洗浄する。これにより、図16に示したように、下記のようなリガンドをグラフェンのエッジに選択的導入することができる。
【0060】
(第4変形例)
上記実施の形態ならびに第1変形例ないし第3変形例では、第2領域10Bは、空隙で構成されていた。しかし、例えば、図1(B),図12〜図15に例示したような透明導電膜1において、第2領域10Bが何らかの光透過性材料で構成(例えば充填)されていてもよい(例えば、図17(A)〜(E))。
【0061】
なお、図17(A)は、図1(B)の透明導電膜1において、第2領域10Bが何らかの光透過性材料で構成されたものの断面図である。図17(B)は、図11の透明導電膜1において、第2領域10Bが何らかの光透過性材料で構成されたものの断面図である。図17(C)は、図13の透明導電膜1において、第2領域10Bが何らかの光透過性材料で構成されたものの断面図である。図17(D)は、図14の透明導電膜1において、第2領域10Bが何らかの光透過性材料で構成されたものの断面図である。図17(E)は、図15の透明導電膜1において、第2領域10Bが何らかの光透過性材料で構成されたものの断面図である。
【0062】
ここで、第2領域10Bは、単層のグラフェンの光透過率よりも高い光透過率を有する材料で構成されていることが好ましく、例えば、酸化グラフェンや、透明ポリマー材料および無機材料のうち少なくとも1種類で充填されていることが好ましい。上記の透明ポリマー材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリスチレン、ABS樹脂、アクリル、ポリアミド、ポリカーボネート、テフロン(登録商標)、フィノール樹脂、メラミン、ウレタンまたはエポキシなどが挙げられる。また、上記の無機材料としては、例えば、SiO2や、NbO2などが挙げられる。
【0063】
本変形例において、導電性グラフェンシート10は、例えば、グラフェンおよび何らかの光透過性材料で全て敷き詰められた、開口や切り欠きの無い平坦なシートとなっている。
【0064】
なお、第2領域10Bに充填されている材料が、第1領域10Aの表面(グラフェン面)よりも上に飛び出していてもよい。また、第2領域10Bに充填されている材料と同一の材料が第1領域10Aの表面の全体または一部に重なっていてもよい。例えば、グラフェンに開口を設けたのち、その開口に、表面が半球状となるとともに第1領域10Aに少しはみ出した状態となるように樹脂を充填し、その状態で樹脂を硬化させることにより、凸状の第2領域10Bや、第1領域10Aの表面にはみ出した第2領域10Bとすることが可能である。
【0065】
ここで、第2領域10Bが、上述したように、単層のグラフェンの光透過率よりも高い光透過率を有する材料で構成されている場合には、第2領域10Bの光透過率が、第1領域10Aの光透過率よりも高くなる。そのため、導電性グラフェンシート10全体の光透過率も、単層のグラフェンの光透過率よりも高くなる。従って、本変形例では、上記実施の形態と同様、導電性グラフェンシート10の光透過率を97.7%よりも高くすることができる。
【0066】
(第5変形例)
上記実施の形態ならびに第1変形例ないし第4変形例では、透明導電膜1は、1または複数の導電性グラフェンシート10によって構成されていた。しかし、それらの透明導電膜1が、グラフェンからなり、かつ開口を有しない(つまり第2領域10Bを有しない)単層の導電性グラフェンシート20をさらに備えていてもよい。例えば、図1(B),図12〜図15に例示したような透明導電膜1が、さらに、導電性グラフェンシート50を備えていてもよい(例えば、図18(A)〜(E))。また、例えば、図17(A)〜(E)に例示したような透明導電膜1が、さらに、導電性グラフェンシート50を備えていてもよい(例えば、図19(A)〜(E))。
【0067】
なお、図18(A)は、図1(B)の透明導電膜1に、さらに、導電性グラフェンシート50を設けたときの断面図である。図18(B)は、図11の透明導電膜1に、さらに、導電性グラフェンシート50を設けたときの断面図である。図18(C)は、図13の透明導電膜1に、さらに、導電性グラフェンシート50を設けたときの断面図である。図18(D)は、図14の透明導電膜1に、さらに、導電性グラフェンシート50を設けたときの断面図である。図18(E)は、図15の透明導電膜1に、さらに、導電性グラフェンシート50を設けたときの断面図である。
【0068】
また、図19(A)は、図17(A)の透明導電膜1に、さらに、導電性グラフェンシート50を設けたときの断面図である。図19(B)は、図17(B)の透明導電膜1に、さらに、導電性グラフェンシート50を設けたときの断面図である。図19(C)は、図17(C)の透明導電膜1に、さらに、導電性グラフェンシート50を設けたときの断面図である。図19(D)は、図17(D)の透明導電膜1に、さらに、導電性グラフェンシート50を設けたときの断面図である。図19(E)は、図17(E)の透明導電膜1に、さらに、導電性グラフェンシート50を設けたときの断面図である。
【0069】
なお、本変形例において、透明導電膜1が、複数の導電性グラフェンシート50を備えていてもよい。
【0070】
<3.実施例>
次に、本技術の実施例について説明する。実施例に係る透明導電膜の基本的な製造方法は、上記実施の形態で記載の方法(図10(A)〜(D)参照)と同じである。なお、本実施例では、ガラス基板40の代わりに石英基板を用い、PMMAからなる樹脂シート30の除去に、アセトンなどの代わりに、400℃の水素アニールを用い、グラフェンシート10Dの選択的な除去に、アッシングの代わりに、酸素RIE(Reactive Ion Etching)を用いた。
【0071】
図20は、実施例に係る透明導電膜の製造過程において形成されたグラフェンシート10Dの透過率の波長依存性を計測したものである。図20から、波長550nmにおいて96.3%の透過率が得られた。透過率が、グラフェンの通常の透過率(97.7%)よりも若干低い値となった。
【0072】
図21(A)〜(D)は、実施例に係る透明導電膜の外観写真である。図21(A)は、開口率25%の透明導電膜の外観写真であり、図21(B)は、開口率50%の透明導電膜の外観写真である。図21(C)は、開口率75%の透明導電膜の外観写真であり、図21(D)は、開口率87.5%の透明導電膜の外観写真である。図22は、図21(A)〜(D)の各透明導電膜の透過率の実測値を表したものである。なお、図21(A)〜(D)の透明導電膜において、第1領域10Aの最狭部の幅Wを一定(8μm)とした。図22から、開口率の増大に比例して、透過率が増大することがわかった。
【0073】
図23は、図20および図21(A)〜(D)の各透明導電膜の透過率の波長依存性の計測値を表したものである。図23から、波長550nmにおいて、図21(A)〜(D)の各透明導電膜は、96.3%以上の透過率となっており、かつ、開口率の増大に伴って、透過率が増大することがわかった。図24は、図20および図21(A)〜(D)の各透明導電膜のシート抵抗の計算値および実測値を表したものである。シート抵抗の計算値は、(2R+W)×R0/((R+W)×(1−p))という算定式を用いて求めた。なお、R0は、図20の透明導電膜のシート抵抗の実測値である。pは、開口率である。図24から、開口率の増大に伴って、シート抵抗が増大していることがわかった。これは、開口率の増大に伴って、透明導電膜の断面積(電流通路の断面積)が小さくなったからである。さらに、図24から、開口率の増大に伴って、実測値の、計算値からの乖離が大きくなっていることがわかった。
【0074】
図25は、図20および図21(A)〜(D)の各透明導電膜のシート抵抗におけるドーピング前とドーピング後の計算値および実測値を表したものである。上記第3変形例に記載の方法と同様の方法でドーピングを行ったが、塩化金の濃度を0.005Mとした。図25から、ドーピング後の方が、ドーピング前(ドーピングしていない場合)よりも、シート抵抗が小さくなっていることがわかった。さらに、図25から、ドーピング後の方が、ドーピング前よりも、実測値の、計算値からの乖離が小さくなっていることがわかった。図26は、図20および図21(A)〜(D)の各透明導電膜のシート抵抗におけるドーピング前とドーピング後の計算値および実測値を表したものである。図26から、ドーピングにより、透過率が若干、低化することがわかった。
【0075】
図27(A)〜(D)は、開口率を一定(75%)にして、第1領域10Aの最狭部の幅Wを2μm、4μm、8μmおよび16μmとしたときの各透明導電膜の外観写真である。図27(A)は、幅Wが2μmの透明導電膜の外観写真であり、図27(B)は、幅Wが4μmの透明導電膜の外観写真である。図27(C)は、幅Wが8μmの透明導電膜の外観写真であり、図27(D)は、幅Wが16μmの透明導電膜の外観写真である。図28は、図27(A)〜(D)の各透明導電膜のシート抵抗におけるドーピング前とドーピング後の計算値および実測値を表したものである。図28から、幅Wを狭くするにつれて、シート抵抗の、計算値からの乖離(低下量)が大きくなることがわかった。図29は、図27(A)〜(D)の各透明導電膜のキャリア濃度におけるドーピング前とドーピング後の実測値を表したものである。図29から、幅Wを狭くするにつれて、キャリア濃度が大きくなることがわかった。図29では、開口率を一定にしていることから、図29は、グラフェンのエッジではドーピング量が多くなる傾向にあることを示唆している。
【0076】
ところで、開口率が一定であれば、透明導電膜の断面積(電流通路の断面積)も一定となるので、シート抵抗は、幅Wに依存しないと考えるのが通常である。この常識からすると、図28の実測値は、奇異にみえる。しかし、開口率が一定であっても、幅Wを狭くするにつれて、単位面積あたりのグラフェンのエッジ長さが長くなる。ここで、図29で示唆されているように、グラフェンのエッジではドーピング量が多くなる傾向にあることから、単位面積あたりのグラフェンのエッジ長さが長くなるにつれて、単位面積あたりのドーピング量も多くなると推察される。従って、開口率を一定とした上で、幅Wを狭くすると、シート抵抗も小さくなるので、図28の実測値の傾向は、しごく当然といえる。
【0077】
図30は、幅Wを変化させたときの、シート抵抗の実測値を所定の値で規格化した値(相対シート抵抗)を示したものである。図30から、幅Wを30μm以上にすると、相対シート抵抗の値は飽和することがわかった。また、幅Wが0.015μm(15nm)のとき、相対シート抵抗の値が、上述の飽和値と等しくなることがわかった。また、幅Wが0.03μm(30nm)のとき、相対シート抵抗の値が最小となることがわかった。以上のことから、幅Wは、グラフェンの導電性を考慮すると、0.01μm(10nm)よりも大きくなっていることが好ましく、相対シート抵抗の値の飽和値以下となる点を考慮すると、0.015μm(15nm)以上となっていることがより好ましい。ただ、製造誤差によるばらつきを考慮すると、幅Wは、0.03μm(30nm)以上となっていることが好ましい。相対シート抵抗の値の最低値という点では、幅Wは、0.03μm(30nm)となっていることが好ましい。幅Wは、10nmよりも大きく、30μm以下となっていることが好ましい。相対シート抵抗の値が飽和値以下となる点では、幅Wは、0.015μm(15nm)以上、30μm以下となっていることが好ましい。さらに、製造誤差によるばらつきを考慮すると、幅Wは、0.03μm(30nm)以上、30μm以下となっていることがより好ましい。
【0078】
<4.応用例>
次に、上記実施の形態およびその変形例に係る透明導電膜1の応用例について説明する。以下では、透明導電膜1の応用例として、透明導電膜1を電極として備えた各種の電子機器について説明するものとする。
【0079】
(第1応用例)
図31は、第1応用例に係る透明ヒータ100の展開斜視図である。透明ヒータ100は、発熱用の電極として透明導電膜1を備えたものである。透明ヒータ100は、透明基材110と、透明基材130との間に、電極120と、電極120に電気的に接続された透明導電膜1を備えている。透明基材110および透明基材130は、例えば、ガラス基板からなる。
【0080】
透明ヒータ100では、電極120から透明導電膜1に対して電流が流れることにより、透明導電膜1が発熱し、透明導電膜1から熱が放散される。これにより、透明ヒータ100がヒータとして機能する。ここで、透明基材110、透明導電膜1および透明基材130は、ともに、光透過性の部材で構成されていることから、例えば、液晶表示装置の映像表示面に透明ヒータ100を設置することも可能となる。そのようにした場合には、映像表示を邪魔することなく、液晶表示装置を保温することができるので、例えば、寒冷地で液晶表示装置を使用する際の動作温度範囲を広げることができる。
【0081】
(第2応用例)
図32は、第2応用例に係るタッチパネル200の断面図である。タッチパネル200は、抵抗膜方式であり、指やペンなどで押した画面の位置を電圧変化の測定によって検知するようになっている。タッチパネル200は、検知電極として複数の透明導電膜1を備えたものである。タッチパネル200は、例えば、表面に、複数の透明導電膜1の形成された透明基材210と、表面に複数の透明導電膜1の形成された透明な可撓性基材230とを、透明導電膜1同士が互いに向き合うように配置したものである。透明基材210側の各透明導電膜1および可撓性基材230側の各透明導電膜1は、帯状の形状となっており、透明基材210側の透明導電膜1と、可撓性基材230側の透明導電膜1とは、互いに直交する方向に延在している。タッチパネル200は、さらに、透明基材210側の透明導電膜1と、可撓性基材230側の透明導電膜1との間に、所定の間隙を形成するとともに透明導電膜1同士を互いに絶縁する環状の絶縁枠220と、可撓性基材230を指やペンなどで押していないときに透明導電膜1同士が互いに接触するのを防ぐ複数のドットスペーサ240とを備えている。
【0082】
タッチパネル200では、指やペンなどで可撓性基材230が押し下げられることにより、可撓性基材230側の透明導電膜1が湾曲するので、その湾曲した部分と、透明基材210側の透明導電膜1とが互いに接触し、接触した透明導電膜1に電流が流れる。これにより、タッチパネル200の出力電圧に、接触位置に対応した変動が生じるので、その電圧変動から、指やペンなどが接触した位置を検出することができる。ここで、透明基材210、透明導電膜1および可撓性基材230は、透明な部材で構成されているので、例えば、タッチパネル200を表示装置の映像表示面に設置し、タッチパネル200を入力装置として使うことも可能となる。例えば、表示装置が、特定の機能と関連付けられたアイコンを映像表示面に表示させている場合に、タッチパネル200から入力された信号から、指やペンなどがアイコンに対応する位置に接触したことを検知したときは、そのアイコンに関連付けられた機能を実行するようになっていてもよい。
【0083】
(第3応用例)
図33(A)は、第3応用例に係るタッチパネル300の断面図である。タッチパネル300は、表面型静電容量方式であり、指で触った画面の位置を静電容量の変化によって検知するようになっている。タッチパネル300は、検知電極として透明導電膜1を備えたものである。タッチパネル300は、例えば、表面に透明導電膜1の形成された透明基材310と、透明導電膜1を保護する保護膜320とを、透明導電膜1と保護膜320とが互いに向き合うように配置したものである。タッチパネル300は、さらに、図33(B)に示したように、透明導電膜1の四隅に、透明導電膜1に電気的に接続された電極330を1つずつ備えている。
【0084】
タッチパネル300では、透明導電膜1の四隅にある電極330に電圧が印加されており、それによりパネル全体に均一な電界が発生している。これにより、指が表面に触れると、タッチパネル300の静電容量が変化し、タッチパネル300の4つの電極330に、静電容量の変化に対応した電圧が出力されるので、その電圧変動から、指が接触した位置を検出することができる。ここで、透明基材310、透明導電膜1および保護膜320は、透明な部材で構成されているので、例えば、タッチパネル300を表示装置の映像表示面に設置し、タッチパネル300を入力装置として使うことも可能となる。
【0085】
(第4応用例)
図34(A)は、第4応用例に係るタッチパネル400の断面図である。タッチパネル400は、投影型静電容量方式であり、表面に指を近づけたときの電界の変化を静電容量の変化によって検知するようになっている。タッチパネル400は、検知電極として複数の透明導電膜1を備えたものである。タッチパネル400は、例えば、表面に複数の透明導電膜1の形成された透明基材410と、表面に複数の透明導電膜1の形成された保護膜430とを、透明導電膜1同士が互いに向き合うように配置したものである。タッチパネル400は、さらに、透明基材410側の透明導電膜1と、保護膜430側の透明導電膜1との間に、透明導電膜1同士を互いに絶縁する透明な絶縁層420を備えている。透明基材410側の各透明導電膜1と、保護膜430側の各透明導電膜1とは、図34(B)に示したように、帯状の形状となっており、透明基材410側の透明導電膜1と、保護膜430側の透明導電膜1とは、互いに交差する方向に延在している。
【0086】
タッチパネル400では、透明導電膜1に電圧が印加されており、それによりパネル全体に均一な電界が発生している。これにより、指が表面に近づいたときの電界の変化が静電容量の変化として現れ、透明導電膜1に、静電容量の変化に対応した電圧が出力されるので、その電圧変動から、指が接触した位置を検出することができる。ここで、透明基材410、透明導電膜1、絶縁層420および保護膜430は、透明な部材で構成されているので、例えば、タッチパネル400を表示装置の映像表示面に設置し、タッチパネル400を入力装置として使うことも可能となる。
【0087】
(第5応用例)
図35は、第5応用例に係る太陽電池500の断面図である。太陽電池500は、電極として透明導電膜1を備えたものである。太陽電池500は、例えば、CIGS(銅(Copper)、インジウム(Indium)、ガリウム(Gallium)およびセレン(Selenium))を原料とする化合物半導体などを光電変換層530として備えたものである。なお、光電変換層530は、上記の構成に限定されるものではなく、ヨウ素レドックス対を含む電解液および色素吸着酸化チタンで構成されていてもよい。太陽電池500は、例えば、光電変換層530を、表面に電極520の形成された基材510と、表面に透明導電膜1の形成された保護膜540とで挟み込んだ構造となっている。太陽電池500は、例えば、基材510および保護膜540を、電極520および透明導電膜1が互いに向き合うように配置したものである。
【0088】
太陽電池500では、光が照射されている間、光電変換層530において電流が発生する。これにより、光を電気に変換することができる。
【0089】
(第6応用例)
図36は、第6応用例に係る有機EL装置600の断面図である。有機EL装置600は、電極として透明導電膜1を備えたものである。有機EL装置600は、例えば、有機層620に電流が注入されることにより有機層620を発光させるものであり、有機層620から発せられた光を映像表示や照明光として利用するようになっている。有機EL装置600は、例えば、有機層620を、表面に透明導電膜1の形成された基材610と、Mg/Alなどで構成された金属電極630が表面に形成された基材640とで挟み込んだ構造となっている。有機EL装置600は、例えば、基材610側の透明導電膜1と、基材640側の金属電極630とが互いに向き合うように配置したものである。有機層620は、例えば、電子と正孔との再結合による発光する発光層と、発光層への正孔輸送効率を高める正孔輸送層と、発光層への電子輸送効率を高める電子輸送層とを有している。
【0090】
有機EL装置600では、有機層620に注入された電流量に応じた輝度で発光層が発光する。これにより、発光層から発せられた光を映像表示や照明光として利用することができる。
【0091】
(第7応用例)
図37は、第7応用例に係る液晶装置700の断面図である。液晶装置700は、電極として透明導電膜1を備えたものである。液晶装置700は、液晶パネル710と、液晶パネル710を背面から照明するバックライト720とを備えている。液晶パネル710は、例えば、液晶層750に電圧が印加されることにより液晶層750に入射した光を変調するものであり、液晶層750で変調された光を映像表示や照明光として利用するようになっている。液晶パネル710は、例えば、液晶層750を、表面に複数の透明導電膜1の形成された基材740と、表面全体に透明導電膜1の形成された基材760とで挟み込んだ構造となっている。基材740側の各透明導電膜1が画素電極を構成している。液晶パネル710は、基材740および基材760を、透明導電膜1同士が互いに向き合うように配置したものである。液晶パネル710は、さらに、基材740の外側に偏光板730を有しており、基材760の外側に偏光板770を有している。
【0092】
液晶装置700では、液晶層750に印加された電圧に応じて、バックライト720からの光が変調される。これにより、液晶層760で変調された光を映像表示や照明光として利用することができる。
【0093】
(第8応用例)
図38は、第8応用例に係る電子ペーパ800の断面図である。電子ペーパ800は、電極として透明導電膜1を備えたものである。電子ペーパ800は、画素電極(図示せず)に接続された複数のTFTを有するTFT基板810と、TFT基板810側の表面全体に透明導電膜1を有する基材830と、TFT基板810と透明導電膜1との間に配置された電気泳動層820とを備えている。電気泳動層820は、例えば、白と黒の粒子が入ったマイクロカプセルが面内に配置された構成となっている。白い粒子はプラスに、黒い粒子はマイナスに帯電している。そのため、電気泳動層820は、画素電極にプラスまたはマイナスの電圧が印加されることにより、表面に引き付ける粒子を切り替えることができるようになっている。電気泳動層820は、上記の構成に限られるものではなく、例えば、面内を複数の部屋に仕切る仕切り壁を有し、各部屋に、白と黒の粒子が入った構成となっていてもよい。
【0094】
電子ペーパ800では、電気泳動層820に印加された電圧に応じて、白い粒子と黒い粒子の位置が変化する。これにより、電気泳動層820に入射した外光が白い粒子で反射されたり、黒い粒子に吸収されたりすることにより、映像表示が行われる。
【0095】
以上、実施の形態およびその変形例、実施例ならびに応用例を挙げて、本技術を説明したが、本技術は、例えば、以下のような構成を取ることができる。
(1)
グラフェンからなる第1領域と、前記第1領域で囲まれるとともに前記第1領域よりも光透過率の高い第2領域とを含む1層の第1の導電性グラフェンシートを備えた
透明導電膜。
(2)
前記第2領域は、空隙、酸化グラフェン、透明ポリマー材料および無機材料のうち少なくとも1種類からなる
(1)に記載の透明導電膜。
(3)
前記第2領域は、空隙からなり、
前記空隙は、開口および切り欠きの少なくとも一方からなる
(1)または(2)に記載の透明導電膜。
(4)
前記第1領域は、ドーピングによる修飾領域を有する
(1)ないし(3)のいずれか1つに記載の透明導電膜。
(5)
前記第1領域の最狭部の幅が、10nmよりも大きくなっている
(1)ないし(4)のいずれか1つに記載の透明導電膜。
(6)
前記第1領域の最狭部の幅が、15nm以上となっている
(1)ないし(4)のいずれか1つに記載の透明導電膜。
(7)
前記第1領域の最狭部の幅が、30nm以上となっている
(1)ないし(4)のいずれか1つに記載の透明導電膜。
(8)
前記第2領域のレイアウトは、μm2オーダー単位の領域において規則性を有する
(5)ないし(7)のいずれか1つに記載の透明導電膜。
(9)
前記第1の導電性グラフェンシートの光透過率が97.7%以上となっている
(1)ないし(8)のいずれか1つに記載の透明導電膜。
(10)
当該透明導電膜は、複数の第1の導電性グラフェンシートを備えた
(1)ないし(9)のいずれか1つに記載の透明導電膜。
(11)
各第1の導電性グラフェンシートの第2領域は、互いに正対しないようにレイアウトされている
(10)に記載の透明導電膜。
(12)
各第1の導電性グラフェンシートの第2領域は、互いに正対している
(10)に記載の透明導電膜。
(13)
グラフェンからなり、かつ開口を有しない1層の第2の導電性グラフェンシートをさらに備えた
(1)ないし(12)のいずれか1つに記載の透明導電膜。
(14)
発熱用の電極として透明導電膜を備え、
前記透明導電膜は、
グラフェンからなる第1領域と、前記第1領域で囲まれるとともに前記第1領域よりも光透過率の高い第2領域とを含む1層の第1の導電性グラフェンシートを有する
ヒータ。
(15)
電極として透明導電膜を備え、
前記透明導電膜は、
グラフェンからなる第1領域と、前記第1領域で囲まれるとともに前記第1領域よりも光透過率の高い第2領域とを含む1層の第1の導電性グラフェンシートを有する
タッチパネル。
(16)
電極として透明導電膜を備え、
前記透明導電膜は、
グラフェンからなる第1領域と、前記第1領域で囲まれるとともに前記第1領域よりも光透過率の高い第2領域とを含む1層の第1の導電性グラフェンシートを有する
太陽電池。
(17)
電極として透明導電膜を備え、
前記透明導電膜は、
グラフェンからなる第1領域と、前記第1領域で囲まれるとともに前記第1領域よりも光透過率の高い第2領域とを含む1層の第1の導電性グラフェンシートを有する
有機EL装置。
(18)
電極として透明導電膜を備え、
前記透明導電膜は、
グラフェンからなる第1領域と、前記第1領域で囲まれるとともに前記第1領域よりも光透過率の高い第2領域とを含む1層の第1の導電性グラフェンシートを有する
液晶装置。
(19)
電極として透明導電膜を備え、
前記透明導電膜は、
グラフェンからなる第1領域と、前記第1領域で囲まれるとともに前記第1領域よりも光透過率の高い第2領域とを含む1層の第1の導電性グラフェンシートを有する
電子ペーパ。
【符号の説明】
【0096】
1…透明導電膜、10,50…導電性グラフェンシート、10A…第1領域、10B…第2領域、10D…グラフェンシート、20…銅箔、30…樹脂、40…ガラス基板、100…透明ヒータ、110,130,210,310,410…透明基材、120,330,520…電極、200,300,400…タッチパネル、220…絶縁枠、230…可撓性基板、240…ドットスペーサ、320…保護膜、420…絶縁層、430,540…保護膜、500…太陽電池、510,610,640,740,760,830…基材、530…光電変換層、600…有機EL装置、620…有機層、630…金属電極、700…液晶装置、710…液晶パネル、720…バックライト、730,770…偏光板、750…液晶層、800…電子ペーパ、810…TFT基板、820…電気泳動層、R…第2領域の開口の直径、W…第1領域の最狭部の幅。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラフェンからなる第1領域と、前記第1領域で囲まれるとともに前記第1領域よりも光透過率の高い第2領域とを含む1層の第1の導電性グラフェンシートを備えた
透明導電膜。
【請求項2】
前記第2領域は、空隙、酸化グラフェン、透明ポリマー材料および無機材料のうち少なくとも1種類からなる
請求項1に記載の透明導電膜。
【請求項3】
前記第2領域は、空隙からなり、
前記空隙は、開口および切り欠きの少なくとも一方からなる
請求項2に記載の透明導電膜。
【請求項4】
前記第1領域は、ドーピングによる修飾領域を有する
請求項1に記載の透明導電膜。
【請求項5】
前記第1領域の最狭部の幅が、10nmよりも大きくなっている
請求項2に記載の透明導電膜。
【請求項6】
前記第1領域の最狭部の幅が、15nm以上となっている
請求項2に記載の透明導電膜。
【請求項7】
前記第1領域の最狭部の幅が、30nm以上となっている
請求項2に記載の透明導電膜。
【請求項8】
前記第2領域のレイアウトは、μm2オーダー単位の領域において規則性を有する
請求項5に記載の透明導電膜。
【請求項9】
前記第1の導電性グラフェンシートの光透過率が97.7%以上となっている
請求項1に記載の透明導電膜。
【請求項10】
当該透明導電膜は、複数の第1の導電性グラフェンシートを備えた
請求項1に記載の透明導電膜。
【請求項11】
各第1の導電性グラフェンシートの第2領域は、互いに正対しないようにレイアウトされている
請求項10に記載の透明導電膜。
【請求項12】
各第1の導電性グラフェンシートの第2領域は、互いに正対している
請求項10に記載の透明導電膜。
【請求項13】
グラフェンからなり、かつ開口を有しない1層の第2の導電性グラフェンシートをさらに備えた
請求項1に記載の透明導電膜。
【請求項14】
発熱用の電極として透明導電膜を備え、
前記透明導電膜は、
グラフェンからなる第1領域と、前記第1領域で囲まれるとともに前記第1領域よりも光透過率の高い第2領域とを含む1層の第1の導電性グラフェンシートを有する
ヒータ。
【請求項15】
電極として透明導電膜を備え、
前記透明導電膜は、
グラフェンからなる第1領域と、前記第1領域で囲まれるとともに前記第1領域よりも光透過率の高い第2領域とを含む1層の第1の導電性グラフェンシートを有する
タッチパネル。
【請求項16】
電極として透明導電膜を備え、
前記透明導電膜は、
グラフェンからなる第1領域と、前記第1領域で囲まれるとともに前記第1領域よりも光透過率の高い第2領域とを含む1層の第1の導電性グラフェンシートを有する
太陽電池。
【請求項17】
電極として透明導電膜を備え、
前記透明導電膜は、
グラフェンからなる第1領域と、前記第1領域で囲まれるとともに前記第1領域よりも光透過率の高い第2領域とを含む1層の第1の導電性グラフェンシートを有する
有機EL装置。
【請求項18】
電極として透明導電膜を備え、
前記透明導電膜は、
グラフェンからなる第1領域と、前記第1領域で囲まれるとともに前記第1領域よりも光透過率の高い第2領域とを含む1層の第1の導電性グラフェンシートを有する
液晶装置。
【請求項19】
電極として透明導電膜を備え、
前記透明導電膜は、
グラフェンからなる第1領域と、前記第1領域で囲まれるとともに前記第1領域よりも光透過率の高い第2領域とを含む1層の第1の導電性グラフェンシートを有する
電子ペーパ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【公開番号】特開2012−216497(P2012−216497A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−9460(P2012−9460)
【出願日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】