通信システム、基地局装置、リレー局装置、リレー局装置処理能力の通知方法及び集積回路
【課題】リレー局装置の処理能力を効率的に通知・管理できる通信システム、基地局装置、リレー局装置、リレー局装置処理能力の通知方法及び集積回路を提供する。
【解決手段】リレー局装置が、自局がアクセスリンクで使用する周波数帯域によって設定される周波数帯域および周波数帯域の組み合わせ毎の処理能力のうち、バックホールリンクで使用される周波数帯域を含む処理能力を抽出し、前記基地局装置に通知する。
【解決手段】リレー局装置が、自局がアクセスリンクで使用する周波数帯域によって設定される周波数帯域および周波数帯域の組み合わせ毎の処理能力のうち、バックホールリンクで使用される周波数帯域を含む処理能力を抽出し、前記基地局装置に通知する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム、基地局装置、リレー局装置、リレー局装置処理能力の通知方法及び集積回路に関し、特に、リレー局装置が自局の通信処理能力を基地局装置に通知する通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
標準化プロジェクトである3GPP(3rd Generation Partnership Project)において、OFDM(Orthogonal Frequency-Division Multiplexing)通信方式やリソースブロックと呼ばれる所定の周波数・時間単位の柔軟なスケジューリングの採用によって、高速な通信を実現させたEvolved Universal Terrestrial Radio Access(以降EUTRAと称する)が検討され、更にその発展形であるAdvanced EUTRA(LTE-Advancedとも称される)の検討が進められている。
【0003】
Advanced EUTRAでは、EUTRAとの互換性を維持しつつ、より高速なデータ伝送が可能な技術として、キャリア・アグリゲーション(Carrier Aggregation)が提案されている。キャリア・アグリゲーションとは、複数の異なる周波数帯域(キャリア周波数、コンポーネントキャリア(Component Carrier)とも称する)で送信された送信装置のデータを、異なる周波数帯域に対応する受信装置においてそれぞれ受信することで、データレートを向上させる技術である。また、キャリア・アグリゲーションは1つの周波数帯域を複数の周波数リソースに分割してコンポーネントキャリアとすることも可能である。
【0004】
Advanced EUTRAのキャリア・アグリゲーションで用いられるコンポーネントキャリアは、プライマリコンポーネントキャリア(PCC: Primary Component Carrier)とセカンダリコンポーネントキャリア(SCC: Secondary Component Carrier)とに区別され、移動局装置が下りリンクのPCCで接続するセルをプライマリセル(PCell: Primary Cell)、下りリンクのSCCで接続するセルをセカンダリセル(SCell: Secondary Cell)と呼ぶ。プライマリセルには上りリンクコンポーネントキャリアが必ず含まれるが、セカンダリセルには含まれない場合がある。
【0005】
更に、Advanced EUTRAでは、移動局装置の通信可能範囲(カバレッジ)の拡大や、通信容量(キャパシティ)の増大を目的として、リレー局装置を用いることが検討されている。リレー局装置は、通常セルの基地局装置(DeNB)との無線リンク(以降、バックホールリンクあるいはRN−Unリンクと呼称する)によりコアネットワークとの通信を行い、更に、移動局装置との無線リンク(以降、アクセスリンクあるいはRN−Uuリンクと呼称する)により移動局装置との通信を行う。すなわちリレー局装置は、前記2つの無線リンクを用いて、移動局装置と基地局装置との間の通信を中継する。
【0006】
また、EUTRAおよびAdvanced EUTRAでは、MIMO(Multiple Input Multiple Output)技術の利用が提案されている。MIMO技術とは、送信装置において送信データをあらかじめ複数の信号(ストリーム)に分割し、それらを複数のアンテナから同じ周波数帯域で同時送信し、受信装置において複数のアンテナを用いて前記分割された信号を同時受信して結合することで、データレートを向上させる技術である。
【0007】
この手法は、最小二乗誤差法(MMSE)などの信号処理を行うことで、複数の独立な空間チャネルを生成することに等しいことから、空間多重あるいはSM(Spatial Multiplexing)と呼ばれる。この空間チャネルは、無線伝搬路をいくつかの層に切り分けて、各々の層で無線信号を並列に伝送するというイメージから、空間レイヤとも呼ばれている。
【0008】
ここで、移動局装置の持つ受信器やアンテナ数と使用する周波数帯域によって、移動局装置がサポートできるキャリア・アグリゲーションのコンポーネントキャリア数やMIMOの空間レイヤ数が異なる場合がある。
【0009】
例えば、移動局装置がアンテナを2本ずつ持つ受信器1と受信器2を具備する仮定において、図12の(a)に示すように周波数帯域1のみで下りリンクの通信を行う場合には、受信器1と受信器2を周波数帯域1で用いて、コンポーネントキャリア数は4、MIMOの空間レイヤ数は4をサポートするが、図12の(b)に示すように周波数帯域1と周波数帯域2を同時に用いる場合には、受信器2を周波数帯域2に割り当てるため、周波数帯域1のコンポーネントキャリア数は4、MIMOの空間レイヤ数は2をサポートし、周波数2のコンポーネントキャリア数は4、MIMOの空間レイヤ数は2をサポートすることになる。
【0010】
そのため、使用する周波数帯域や周波数帯域の組み合わせ毎にサポートするコンポーネントキャリア数や空間レイヤ数などの情報(処理能力)を移動局装置が基地局装置に対して通知する仕組みが提案されている(非特許文献1)。
【0011】
なお、3GPPが規定する第3世代の基地局装置はノードB(NodeB)と称され、EUTRA及びAdvanced EUTRAにおける基地局装置はイーノードB(eNodeB)と称される。基地局装置は移動局装置が通信可能なエリアであるセルを管理し、セルは移動局装置と通信可能なエリアの大きさに応じてフェムトセルやピコセル、ナノセルとも称される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】R2−110604,RAN WG2,3GPP TSG−RAN WG2 Meeting #72bis,Dublin,Ireland,17th−21th January 2011
【非特許文献2】TS 36.300,V10.2.0,3GPP TSG−RAN E−UTRA and E−UTRAN Overall description
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前述のように、移動局装置の処理能力は一意に決定されるため、非特許文献1に示されるように基地局装置へ通知することが可能である。
しかしながら、リレー局装置の処理能力は、RN−UnリンクおよびRN−Uuリンクで利用する周波数やキャリア・アグリゲーションの有無によって、前記処理能力が異なる場合があり、リレー局装置が基地局装置にすべての組み合わせに対する処理能力を通知するには多くのリソースを必要とする。
【0014】
例えば、リレー局装置がアンテナを8本持ち、RN−UnリンクとRN−Uuリンクとで共有する仮定において、アンテナを4本ずつ使用する送受信器1と送受信器2を具備する場合、図13の(a)に示すように、RN−UuリンクおよびRN−Unリンクでキャリア・アグリゲーションを行わない場合、両方のリンクでMIMOの空間レイヤ数はそれぞれ8つまでとなるが、図13の(b)に示すように、RN−Unリンク(あるいはRN−Uuリンク)でキャリア・アグリゲーションを行う場合、受信器2が周波数帯域Aと周波数帯域B間で時間的制限によりキャリア周波数を再調整することができなければ、両方のリンクでMIMOの空間レイヤ数はそれぞれ4つまでに制限される。
【0015】
上記の課題を鑑みて、本発明は、リレー局装置の処理能力を効率的に通知できる通信システム、基地局装置、リレー局装置、リレー局装置処理能力の通知方法及び集積回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明の通信システムは、リレー局装置と基地局装置を含む通信システムであって、前記リレー局装置は、自局がアクセスリンクで使用する周波数帯域によって設定される周波数帯域および周波数帯域の組み合わせ毎の処理能力のうち、バックホールリンクで使用される周波数帯域を含む処理能力を抽出し、前記基地局装置に通知することを特徴とする。
【0017】
(2)また、本発明の通信システムにおいて、前記リレー局装置は、接続した前記基地局装置の識別子を自局の保守及び運用管理をおこなうOAMシステムに通知し、前記OAMシステムは、前記通知された基地局装置の識別子を持つ基地局装置がバックホールリンクのキャリア・アグリゲーションで使用する可能性がある周波数帯域を、前記バックホールリンクで使用する周波数帯域として、前記リレー局装置に通知することを特徴とする。
【0018】
(3)また、本発明の通信システムにおいて、前記基地局装置は、前記バックホールリンクで使用する周波数帯域として、前記リレー局装置に対するバックホールリンクのキャリア・アグリゲーションで使用する可能性がある周波数帯域を、前記リレー局装置に通知することを特徴とする。
【0019】
(4)また、本発明の通信システムにおいて、前記基地局装置に通知する処理能力は、周波数帯域ごとにリレー局用のリソースを必要とするか否かの情報を含むことを特徴とする。
【0020】
(5)また、本発明のリレー局装置は、基地局装置と無線通信を行うリレー局装置であって、前記リレー局装置は、アクセスリンクで使用する周波数帯域によって設定される周波数帯域および周波数帯域の組み合わせ毎の処理能力のうち、バックホールリンクで使用される周波数帯域を含む処理能力を選択する処理能力抽出部を具備し、前記処理能力抽出部は、バックホールリンクで使用される周波数帯域として前記基地局装置から取得したバックホールリンクのキャリア・アグリゲーションで使用する可能性がある周波数帯域を用いることを特徴とする。
【0021】
(6)また、本発明の基地局装置は、リレー局装置と無線通信を行う基地局装置であって、前記基地局装置は、前記基地局装置に接続した前記リレー局装置に対して、バックホールリンクのキャリア・アグリゲーションで使用する可能性がある周波数帯域を通知し、前記リレー局装置から周波数帯域および周波数帯域の組み合わせ毎の処理能力を取得することを特徴とする。
【0022】
(7)また、本発明のリレー局装置処理能力の通知方法は、リレー局装置と基地局装置を含む通信システムにおけるリレー局装置処理能力の通知方法であって、前記基地局装置は、前記リレー局装置に対するバックホールリンクのキャリア・アグリゲーションで使用する可能性がある周波数帯域を、前記リレー局装置に通知するステップと、前記リレー局装置は、自局がアクセスリンクで使用する周波数帯域によって設定される周波数帯域および周波数帯域の組み合わせ毎の処理能力のうち、前記基地局装置から通知された周波数帯域を含む処理能力を抽出し、前記基地局装置に通知するステップとを含むことを特徴とする。
【0023】
(8)また、本発明の集積回路は、基地局装置と無線通信を行うリレー局装置の処理能力を前記基地局装置に通知する集積回路であって、前記リレー局装置のアクセスリンクで使用する周波数帯域によって設定される周波数帯域および周波数帯域の組み合わせ毎の処理能力のうち、前記基地局装置から取得したバックホールリンクのキャリア・アグリゲーションで使用する可能性がある周波数帯域を含む処理能力を選択する処理能力抽出部を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明によれば、移動局装置の処理能力を効率的に通知できる通信システム、基地局装置、リレー局装置、リレー局装置処理能力の通知方法及び集積回路を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係る基地局装置の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係るリレー局装置の一例を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る移動局装置の一例を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に係る移動局装置に対するコンポーネントキャリアの設定の一例を示した図である。
【図5】本発明の実施形態に係るContention based Random Accessのランダムアクセス手順を示したシーケンスチャートである。
【図6】従来のリレー局装置による電源投入時のフェーズ1の起動手順を示したシーケンスチャートである。
【図7】従来のリレー局装置による電源投入時のフェーズ2の起動手順を示したシーケンスチャートである。
【図8】従来の移動局装置処理能力照会の手順を示したシーケンスチャートである。
【図9】本発明の実施形態に係る通信ネットワーク構成の一例を示す図である。
【図10】本発明の実施形態1に係るフェーズ2のリレー局装置起動手順の一例を示すシーケンスチャートである。
【図11】本発明の実施形態2に係るフェーズ2のリレー局装置起動手順の一例を示すシーケンスチャートである。
【図12】従来の移動局装置におけるコンポーネントキャリアへの受信器の割り当ての一例について示した図である。
【図13】本発明の実施形態に係るリレー局装置におけるコンポーネントキャリアへの受信器の割り当ての一例について示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施形態を説明する前に、本発明に関する物理チャネルとキャリア・アグリゲーション、処理能力の通知方法について説明する。
【0027】
(1)物理チャネル
EUTRA及びAdvanced EUTRAで使用される物理チャネル(または物理シグナル)について説明を行なう。物理チャネルは、基地局装置から移動局装置へ送信される下りリンクにおける下りリンクチャネルと、移動局装置から基地局装置へ送信される上りリンクにおける上りリンクチャネルとが存在する。物理チャネルは、EUTRA、及びAdvanced EUTRAにおいて、今後追加、または、その構造が変更される可能性もあるが、変更された場合でも本発明の各実施形態の説明には影響しない。
【0028】
同期シグナル(Synchronization Signals)は、3種類のプライマリ同期シグナルと、周波数領域で互い違いに配置される31種類の符号から構成されるセカンダリ同期シグナルとで構成され、プライマリ同期シグナルとセカンダリ同期シグナルの信号の組み合わせによって、基地局装置を識別する504通りのセル識別子(セルID:Physical Cell Identity; PCI)と、無線同期のためのフレームタイミングが示される。移動局装置は、セルサーチによって受信した同期シグナルのセルIDを特定する。
【0029】
物理報知情報チャネル(PBCH; Physical Broadcast Channel)は、セル内の移動局装置で共通に用いられる制御パラメータ(報知情報(システム情報);System information)を通知する目的で送信される。物理報知情報チャネルで通知されない報知情報は、下りリンク制御チャネルで無線リソースが通知され、下りリンクデータチャネルを用いてレイヤ3メッセージで送信される。報知情報として、セル個別の識別子を示すセルグローバル識別子(CGI; Cell Global Identifier)、ページングによる待ち受けエリアを管理するトラッキングエリア識別子(TAI; Tracking Area Identifier)などが通知される。
【0030】
下りリンクリファレンスシグナルは、セル毎に所定の電力で送信されるパイロットシグナルである。また、下りリンクリファレンスシグナルは、所定の規則に基づき周波数・時間位置で周期的に繰り返される既知の信号である。移動局装置は、下りリンクリファレンスシグナルを受信することでセル毎の受信品質を測定する。また、移動局装置は、下りリンクリファレンスシグナルと同時に送信される下りリンク制御チャネル、または下りリンクデータチャネルの復調のための参照用の信号としても下りリンクリファレンスシグナルを使用する。下りリンクリファレンスシグナルに使用される系列は、セル毎に識別可能な系列が用いられる。なお、下りリンクリファレンスシグナルはセル固有RS(Cell-specific reference signals)と記載される場合もあるが、その用途と意味は同じである。
【0031】
下りリンク制御チャネル(PDCCH; Physical Downlink Control Channel)は、各サブフレームの先頭からいくつかのOFDMシンボルで送信され、移動局装置に対して基地局装置のスケジューリングに従った無線リソース割当て情報や、送信電力の増減の調整量を指示する目的で使用される。移動局装置は、下りリンクデータや下りリンク制御データであるレイヤ3メッセージ(ページング、ハンドオーバーコマンドなど)を送受信する前に自局宛の下りリンク制御チャネルを監視(モニタ)し、自局宛の下りリンク制御チャネルを受信することで、送信時には上りリンクグラント、受信時には下りリンクグラントと呼ばれる無線リソース割当て情報を取得する必要がある。
【0032】
下りリンクデータチャネル(PDSCH; Physical Downlink Shared Channel)は、下りリンクデータの他、下りリンク制御データであるレイヤ3メッセージとしてページングや報知情報を通知するためにも使用される。下りリンクデータチャネルの無線リソース割当て情報は、下りリンク制御チャネルで示される。
【0033】
また、リレー局用のリソースとして、R−PDCCH、R−PDSCHと呼ばれる下りリンク制御チャネルと下りリンクデータチャネルがPDSCHの領域に配置される。これらのリレー局用のリソースは、リレー局装置が、自局のアクセスリンクのPDCCH送信中に、バックホールリンク(基地局装置)のPDCCHを受信できない場合に用いられる。
【0034】
上りリンクデータチャネル(PUSCH; Physical Uplink Shared Channel)は、主に上りリンクデータと上りリンク制御データを送信し、下りリンクの受信品質やACK/NACKなどの制御データを含めることも可能である。また、下りリンクと同様に上りリンクデータチャネルの無線リソース割当て情報は、下りリンク制御チャネルで示される。
【0035】
ランダムアクセスチャネル(PRACH; Physical Random Access Channel)は、プリアンブル系列を通知するために使用されるチャネルであり、ガードタイムを持つ。ランダムアクセスチャネルは、移動局装置の基地局装置へのアクセス手段として用いられる。移動局装置は、上りリンク制御チャネル未設定時の送信データのスケジューリング要求や、上りリンク送信タイミングを基地局装置の受信タイミングウィンドウに合わせるために必要な送信タイミング調整情報の要求にランダムアクセスチャネルを用いる。送信タイミング調整情報を受信した移動局装置は、送信タイミング調整情報の有効時間を設定し、有効時間中は送信タイミング調整状態、有効期間外は、送信タイミング非調整状態となる。なお、それ以外の物理チャネルは、本発明の各実施形態に関わらないため詳細な説明は省略する。
【0036】
(2)キャリア・アグリゲーション
キャリア・アグリゲーションとは、複数の異なる周波数帯域(コンポーネントキャリア)を集約(アグリゲーション)して一つの周波数帯域のように扱う技術である。例えば、キャリア・アグリゲーションによって周波数帯域幅が20MHzのコンポーネントキャリアを5つ集約した場合、移動局装置は100MHzの周波数帯域幅とみなしてアクセスすることが可能となる。
【0037】
なお、集約するコンポーネントキャリアは連続した周波数帯域であっても、全てまたは一部が不連続となる周波数帯域であってもよい。例えば、使用可能な周波数帯域が800MHz帯域、2.4GHz帯域、3.4GHz帯域である場合、ある一つのコンポーネントキャリアが800MHz帯域、別のコンポーネントキャリアが2GHz帯域、さらに別のコンポーネントキャリアが3.4GHz帯域であってもよい。
【0038】
また、同一周波数帯域、例えば2.4GHz帯域内の連続または不連続のコンポーネントキャリアを集約することも可能である。各コンポーネントキャリアの周波数帯域幅は20MHzより狭い周波数帯域幅であっても良く、各々異なっていても良い。
【0039】
基地局装置は、移動局装置の処理能力、滞留しているデータバッファ量や移動局装置の受信品質、セル内の負荷やQoSなどの種々の要因に基づいて、移動局装置に割り当てる上りリンクまたは下りリンクのコンポーネントキャリアの数を増減することができる。
【0040】
[コンポーネントキャリアの構成の設定例]
図4は、本発明の実施形態に係る移動局装置がキャリア・アグリゲーションを行なう場合に、基地局装置が移動局装置に対して設定する下りリンクコンポーネントキャリアと、上りリンクコンポーネントキャリアの対応関係の一例を示した図である。図4中の下りリンクコンポーネントキャリアDL_CC1と上りリンクコンポーネントキャリアUL_CC1、下りリンクコンポーネントキャリアDL_CC2と上りリンクコンポーネントキャリアUL_CC2、及び下りリンクコンポーネントキャリアDL_CC3と上りリンクコンポーネントキャリアUL_CC3はセル固有接続(Cell Specific Linkage)している。セル固有接続とは、例えば、移動局装置がキャリア・アグリゲーションしていない場合に、基地局装置にアクセス可能な上りリンクと下りリンクの周波数帯域の対応関係(連携関係)であり、典型的には報知情報でその対応関係が示される。
【0041】
上りリンクと下りリンクの周波数帯域の対応関係は、報知情報に周波数情報として明示的に指示されるか、または明示的に指示されない場合に運用周波数毎に一意に決められる上りリンクと下りリンクの規定の周波数差の情報を用いるなどして暗黙的に指示される。これらの方法に限らず、セル毎に上りリンクと下りリンクの周波数帯域の対応関係を示すことが可能であれば、これ以外の方法を用いて指示されても良い。
【0042】
これに対し、基地局装置は、下りリンクコンポーネントキャリアと上りリンクコンポーネントキャリアの対応関係を、セル固有接続とは別に移動局装置毎に個別に設定(個別接続;UE Specific Linkage)することも可能である。個別接続は、基地局装置から下りリンクコンポーネントキャリアと上りリンクコンポーネントキャリアが追加されるときに同時に設定される。
【0043】
図4の場合、ある移動局装置が無線接続される上りリンクコンポーネントキャリアUL_CC2に対し、2つの下りリンクコンポーネントキャリア(DL_CC2、DL_CC3)が対応しており、DL_CC3とUL_CC2は個別接続されており、DL_CC1とDL_CC2はそれぞれUL_CC1とUL_CC2にセル固有接続されている。この場合、移動局装置はDL_CC1〜DL_CC3で受信処理を行い、UL_CC1およびUL_CC2で送信処理を行う。
【0044】
すなわち、DL_CC1〜DL_CC3とUL_CC1〜UL_CC2は、移動局装置が基地局装置との通信に用いる接続コンポーネントキャリアであり、UL_CC3は、移動局装置が基地局装置との通信に用いない非接続コンポーネントキャリアである。典型的にはプライマリセルの上りリンクと下りリンクはセル固有接続され、セカンダリセルの上りリンクと下りリンクは個別接続される。
【0045】
さらに、上りリンクコンポーネントキャリアで移動局装置が送信する際の送信電力調整には、下りリンクコンポーネントキャリアの受信品質(基地局装置から送信された無線信号の電力が移動局装置で受信されるまでに減衰した量を示すパスロス値など)が用いられる。
【0046】
プライマリセルの送信電力調整には、当該プライマリセルの下りリンクの受信品質が用いられる。一方、セカンダリセルの送信電力調整には、プライマリセルか当該セカンダリセルの下りリンクの受信品質のいずれか一方に基づく。セカンダリセルの送信電力調整のために、プライマリセルと当該セカンダリセルの何れの下りリンクの受信品質を利用するかは、報知情報あるいは移動局装置毎に個別のレイヤ3メッセージ(RRCメッセージ)によって、基地局装置から移動局装置へ通知される。
【0047】
(3)ランダムアクセス手順
ランダムアクセスには、Contention based Random AccessとNon−contention based Random Accessの2つのアクセス方法がある。Contention based Random Accessは、移動局装置間で衝突する可能性のあるランダムアクセスであり、接続処理時に通常行われるランダムアクセスである。
【0048】
また、Non−contention based Random Accessは、移動局装置間で衝突が発生しないランダムアクセスであり、迅速に移動局装置−基地局装置間の同期をとるために用いられるランダムアクセスであり、ハンドオーバー等の特別な場合に基地局装置主導で行われる。
【0049】
Contention based Random Accessでは、上り同期を取る(上り同期タイミングを調整する)ためにランダムアクセスプリアンブル(単にプリアンブルとも呼ばれる)をランダムアクセスチャネルで送信する。プリアンブルには、情報を表す信号パターンであるシグネチャが含まれ、数十種類のシグネチャを用意して数ビットの情報を表現することができる。
【0050】
EUTRAでは、6ビットの情報を送信することが想定され、64種類のシグネチャが用意されることが想定されている。6ビットの情報は、5ビットがランダムID、残りの1ビットが下りリンクのパスロスとランダムアクセス後に送信する上りデータ量に基づき決定される。
【0051】
ここで、Contention based Random Access及びNon−Contention based Random Accessの通信手順の概略について説明する。
【0052】
図5は、Contention based Random Accessの手順例について示したシーケンスチャートである。Contention based Random Accessは、初期アクセス時、再接続時、Inter−RATハンドオーバー時などに用いられる。
【0053】
移動局装置は、ステップS51で基地局装置から報知情報を受信し、送信するシグネチャを選択するためのシグネチャ情報(ランダムアクセスチャネルの無線リソース情報、シグネチャのグループ情報など)を取得する。そして、ランダムアクセス要求が発生した場合(ステップS52)、シグネチャ情報に基づいてシグネチャを選択し、ランダムアクセスチャネルを用いて選択したプリアンブルを基地局装置へ送信する(ステップS53)。
【0054】
基地局装置は、移動局装置からランダムアクセスチャネルを受信すると、送信されたプリアンブルから移動局装置と基地局装置間の上り同期タイミングずれ(Timing Advance)を算出し、ランダムアクセス応答(ランダムアクセスレスポンス)を送信するためにスケジューリングを行い、移動局装置に対して仮の識別子であるTemporary C−RNTI(Cell-Radio Network Temporary Identity)を割り当て、下り共用制御チャネル(PDCCH)にプリアンブルを送信した移動局装置宛の応答を示す識別子であるRA−RNTI(Random Access-Radio Network Temporary Identity)と下りデータチャネルのリソース割当て情報を配置し、下りデータチャネル(PDSCH)に上り同期タイミングずれ情報、上りスケジューリング情報、Tempolary C−RNTIおよび受信したプリアンブルのシグネチャID番号(またはランダムID)を配置し、ランダムアクセス応答として前記下り共用制御チャネルと前記下りデータチャネルを送信する(ステップS54)。
【0055】
移動局装置は、下り共用制御チャネル(PDCCH)にRA−RNTIがあることを確認すると、下りデータチャネル(PDSCH)に配置されたランダムアクセス応答の中身を確認し、送信したプリアンブルのシグネチャID番号(またはランダムID)が含まれる応答を抽出する。そして、上り同期タイミングずれを補正し、スケジューリングされた無線リソースでTempolary C−RNTIを含む上りスケジューリングデータ(例えばRRC接続要求)を送信する(ステップS55)。なお、移動局装置は、基地局装置からのランダムアクセス応答を一定期間待ち続け、送信したプリアンブルのシグネチャID番号を含んだランダムアクセス応答を受信しない場合は、再度、プリアンブルを送信する。
【0056】
基地局装置は、移動局装置からの上りスケジューリングデータを受信すると、受信した上りスケジューリングデータに含まれるTempolary C−RNTIを使用して移動局装置間で衝突が起こっているかどうかを移動局装置に判断させるための下りスケジューリングデータ(例えばRRC接続セットアップ)を移動局装置に送信する(ステップS56)。前記下りスケジューリングデータは、コンテンションレゾリューションとも呼ばれる。移動局装置は、下りスケジューリングデータを制限時間内に正しく受信することにより、ランダムアクセスが成功したと判断し、ランダムアクセス手順を終了する。そして、Tempolary C−RNTIを一時的なものでなく、当該セルにおいて移動局装置を識別するための識別子(C−RNTI)として使用する。
【0057】
一方、Non−contentioned based Random Accessでは、基地局装置がシグネチャID番号を選択して移動局装置に通知する。移動局装置は、通知されたシグネチャを使用し、ランダムアクセスチャネルでプリアンブルを送信する。
【0058】
基地局装置は、移動局装置からのプリアンブルを受信すると、プリアンブルから移動局装置−基地局装置間の同期タイミングずれを算出し、下り共用制御チャネル(PDCCH)に、ランダムアクセスチャネルを送信した移動局装置宛の応答を示すためにC−RNTIを配置し、同期タイミングずれ情報を含んだランダムアクセス応答を送信する。移動局装置は、受信したランダムアクセス応答から同期タイミングずれを補正し、ランダムアクセスが正しく完了したと判断する。
【0059】
(4)リレー局装置起動手順
従来のリレー局装置の電源投入からサービス開始までの手順を図6と図7を用いて説明する。まず、フェーズ1(図6)の処理が行われる。図6においてリレー局装置は電源が投入される(ステップS601)と、移動局装置として動作し、周辺基地局からの電波を受信し、上述のランダムアクセス手順により基地局装置に接続する(ステップS602)。さらにリレー局装置は制御局装置(MME; Mobility Management Entity)との間でネットワーク接続処理を行い(ステップS603)、リレー局装置の保守及び運用管理(OAM; Operation Administration and Maintenance)システムから自局が接続可能なDeNBのリストを取得する(ステップS604)。その後、移動局装置としてのネットワーク接続を切断し(ステップS605)、フェーズ2(図7)の処理に移る。
【0060】
フェーズ2(図7)の処理として、DeNBのリストを取得したリレー局装置は、周辺セルからの電波を受信し、DeNBのリストに含まれる基地局装置によって提供されているセルを検出する(ステップS701)。次に検出したセルを提供する基地局装置への接続処理を行う(ステップS702)。このとき、RN−UnリンクとRN−Uuリンクが同一周波数帯域を使用し、干渉を避けるためにRN−Unリンクの受信中にRN−Uuリンクの送信ができない場合などに、自局がRN−Unリンクにおいてリレー局用のリソースを必要とすることを基地局装置へ通知する。また、RN−Unリンクの送受信とRN−Uuリンクの送受信が同時に行える場合には、自局がRN−Unリンクにおいてリレー局用のリソースを必要としないことを基地局装置へ通知する。
【0061】
その後、リレー局装置のMME(MME RN)との間でネットワーク接続処理を行い(ステップS703)、リレー局装置のOAM(RN−OAM)システムとの間の通信でリレー局としてサービスするための最終的な設定(例えば、ユーザデータのQCI(QoS Class Identifier)からDSCP(Differentiated Services Code Point)へのマッピングの設定)を行う(ステップS704)。次に、リレー局装置は基地局装置としてネットワークと通信するためのS1インターフェースと隣接する基地局装置と接続するためのX2インターフェースをDeNBとの間で確立する(ステップS705およびS706)。
【0062】
ここで隣接する基地局装置からは、リレー局装置はDeNBのセルのひとつと認識される。このため、リレー局装置との間でX2インターフェースを確立したDeNBは、隣接基地局装置に対して自局のセル構成が変更となったことを通知する(ステップS707)。その後、リレー局装置はアクセスリンクの無線送信を行い、サービスを開始する(ステップS708)。
【0063】
(5)移動局装置の処理能力の通知方法
移動局装置は、自局の持つ受信器やアンテナ数によって、同時に送受信を行う周波数帯域毎および周波数帯域の組み合わせ毎にサポートできるコンポーネントキャリア数やMIMOのレイヤ数が異なる場合がある。そのため、移動局装置は基地局装置からの要求に基づいて基地局装置に周波数帯域毎および周波数帯域の組み合わせ毎にサポートできるコンポーネントキャリア数やMIMOのレイヤ数を含む処理能力を通知する。
【0064】
非特許文献2に記載されている移動局装置の処理能力通知・管理方法を図8に示す。図8において、まず基地局装置は移動局装置に対して処理能力の照会をするRRCメッセージである移動局装置能力照会メッセージ(RRC:UECapabilityEnquiry)を送信する(ステップS81)。移動局装置能力照会メッセージには、どの通信システム(RAT; Radio Access technology)に関する通知を要求するかの情報が含まれる。
【0065】
前記メッセージを受信した移動局装置は要求されたRAT(例えばEUTRAN,UTRAN,GERAN−PS,GERAN−CS,CDMA2000−1XRTTなど)に関する自局の処理能力を、移動局装置能力情報メッセージ(RRC:UECapabilityInformation)を用いて基地局装置へ通知する(ステップS82)。要求されたRATがEUTRANの場合、移動局装置は前述の周波数帯域毎および周波数帯域の組み合わせ毎にサポートできるコンポーネントキャリア数やMIMOのレイヤ数を含む処理能力を通知する。
【0066】
基地局装置は移動局装置と接続されたRRC_CONNECTED状態の間、該移動局装置の処理能力を保持する。また、基地局装置は、制御局装置(MME)との通信で用いられるS1−APメッセージの移動局装置能力情報通知メッセージ(S1−AP:UE CAPABILITY INFO INDICATION)で該移動局装置を管理するMMEに対して該移動局装置の処理能力を通知する(ステップS83)。該移動局装置の処理能力は、MMEと接続された状態(ECM_Connected)の間、MMEのメモリ内に保持され、再度、基地局装置から移動局装置能力情報通知メッセージの通知があればメモリの内容が更新される。
【0067】
次に、本発明の通信ネットワーク構成の一例を以下に示す。
【0068】
図9は、本発明の実施形態に係る通信ネットワーク構成の一例を示す図である。リレー局装置は、キャリア・アグリゲーションによって複数の周波数帯域(コンポーネントキャリア)を同時に用いて基地局装置と無線接続することが可能な場合、通信ネットワーク構成としては、ある一つの基地局装置が複数の周波数帯域毎に送信器11,送信器12、送信器13(及び図示しない受信器14、受信器15、受信器16)を備えており、各周波数帯域の制御を一つの基地局装置で行なう構成が制御の簡略化の観点から好適である。ただし、基地局装置が複数の送信器で一つの周波数帯域の送信を行う構成や、複数の周波数帯域が連続する周波数帯域であるなどの理由で一つの送信器で複数の周波数帯域の送信を行なう構成であっても構わない。
【0069】
基地局装置の送信器によって制御される各周波数帯域の通信可能範囲はセルとしてみなされ、空間的に同一のエリアに存在する。このとき、各周波数帯域がカバーするエリア(セル)はそれぞれ異なる広さ、異なる形状であっても良い。またリレー局装置は対応する周波数帯域を受信する受信器24、受信器25、受信器26、(及び図示しない送信器21,送信器22、送信器23)を備えることで前記基地局装置とのキャリア・アグリゲーションによる通信を行う。
【0070】
移動局装置についても、リレー局装置と同様に、対応する周波数帯域を受信する受信器(及び図示しない送信器)を備えることによって、複数の周波数帯域を同時に用いて基地局装置あるいはリレー局装置と無線接続することができる。
【0071】
本実施形態の記載において、基地局装置が形成するコンポーネントキャリアの周波数でカバーされるエリアのことをそれぞれセルと称して説明しているが、これは実際に運用される通信システムにおけるセルの定義とは異なる可能性があることに注意する。
【0072】
例えば、ある通信システムでは、キャリア・アグリゲーションによって用いられるコンポーネントキャリアの一部のことを、セルではなく単なる追加の無線リソースと定義するかもしれない。本発明でコンポーネントキャリアをセルと称することで、実際に運用される通信システムにおけるセルの定義と異なる場合が発生したとしても、本発明の主旨には影響しない。
【0073】
以上の事項を考慮しつつ、以下、添付図面に基づき、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明の説明において、本発明に関連した公知の機能や構成についての具体的な説明が、本発明の要旨を不明瞭にすると判定される場合には、その詳細な説明を省略する。
【0074】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態について以下に説明する。
図1は、本発明の実施形態による基地局装置の一例を示すブロック図である。本基地局装置1は、受信部101、復調部102、復号部103、制御部104、符号部105、変調部106、送信部107、ネットワーク信号処理部108、上位レイヤ109から構成される。
【0075】
上位レイヤ109は、下りリンクトラフィックデータと下りリンク制御データを符号部105へ出力する。符号部105は、入力された各データを符号化し、変調部106へ出力する。変調部106は、符号化された信号の変調を行なう。また、変調部106は、変調された信号に対して下りリンクリファレンスシグナルを多重し、周波数バンドにマッピングする。送信部107は、変調部106から出力された周波数バンドの信号を時間領域の信号へ変換し、変換した信号を既定の周波数の搬送波にのせて電力増幅を行なうと共に図示しない1つ以上の送信器から送信する。下りリンク制御データが配置される下りリンクデータチャネルは、典型的にはレイヤ3メッセージ(RRC(Radio Resource Control)メッセージ)を構成する。
【0076】
また、受信部101は、受信制御情報で通知された周波数帯域で、図示しない一つ以上の受信器を通じて、後述する移動局装置3やリレー局装置2から信号を受信し、受信した信号をベースバンドのデジタル信号に変換して、復調部102へ出力する。復調部102はデジタル信号を復調し、復号部103へ出力する。復号部103は、復調された信号を復号し、上りリンクトラフィックデータと上りリンク制御データに適切に分離し、それぞれ上位レイヤ109へ出力する。
【0077】
上位レイヤ109は、これら各ブロックの制御に必要な基地局装置制御情報を制御部104へ出力する。制御部104は、送信に関連する基地局装置制御情報は送信制御情報として、符号部105、変調部106、送信部107の各ブロックに、受信に関連する基地局装置制御情報は受信制御情報として、受信部101、復調部102、復号部103の各ブロックに適切に出力する。
【0078】
一方、ネットワーク信号処理部108は、複数の基地局装置1間(または制御局装置(MME)、ゲートウェイ装置(Gateway)、MCE)と基地局装置1との間の制御メッセージの送信または受信を行なう。制御メッセージはネットワーク回線を経由して送受信される。制御メッセージは、S1インターフェースやX2インターフェースやM1インターフェースやM2インターフェースと呼ばれる論理インターフェース上でやり取りされる。
【0079】
また、基地局装置1のRRC部は、上位レイヤ109の一部として存在する。図1において、その他の基地局装置1の構成要素は本実施形態に関係ないため省略してある。
【0080】
図2は、本発明の実施形態によるリレー局装置の一例を示すブロック図である。本リレー局装置2は、第1の受信部201、第1の復調部202、第1の復号部203、受信品質測定部217、第1の制御部205、第1の符号部207、第1の変調部208、第1の送信部209、上位レイヤ206、第2の受信部210、第2の復調部211、第2の復号部212、第2の制御部213、第2の符号部214、第2の変調部215、第2の送信部216、DeNB情報記憶部204、処理能力抽出部217から構成される。
【0081】
リレー局装置2は基地局装置1とバックホールリンクの通信を行い、移動局装置3とアクセスリンクの通信を行う。
【0082】
上位レイヤ206は、バックホールリンクの通信として、Un上りリンクトラフィックデータとUn上りリンク制御データを第1の符号部207へ出力する。第1の符号部207は、入力された各データを符号化し、第1の変調部208へ出力する。第1の変調部208は、符号化された信号の変調を行なう。また、第1の変調部208は、変調された信号に対して上りリンクリファレンスシグナルを多重し、周波数バンドにマッピングする。第1の送信部209は、第1の変調部208から出力された周波数バンドの信号を時間領域の信号へ変換し、変換した信号を既定の周波数の搬送波にのせて電力増幅を行なうと共に図示しない1つ以上の送信器から送信する。
【0083】
また、第1の受信部201は、受信制御情報で通知された周波数帯域で、図示しない一つ以上の受信器を通じて、基地局装置1や他のリレー局装置から信号を受信し、受信した信号をベースバンドのデジタル信号に変換して、第1の復調部202へ出力する。第1の復調部202は、デジタル信号を復調し、第1の復号部203へ出力する。第1の復号部203は、復調された信号を復号し、Un下りリンクトラフィックデータとUn下りリンク制御データに適切に分離し、それぞれ上位レイヤ206へ出力する。
【0084】
上位レイヤ206は、バックホールリンクに関する各ブロックの制御に必要なバックホールリンク制御情報を第1の制御部205へ出力する。第1の制御部205は、送信に関連する制御情報を送信制御情報として、第1の符号部207、第1の変調部208、第1の送信部209の各ブロックに、受信に関連する制御情報を受信制御情報として、第1の受信部201、第1の復調部202、第1の復号部203の各ブロックに適切に出力する。
【0085】
また、上位レイヤ206は、OAMから取得したDeNBのリストをDeNB情報記憶部に保持する。
【0086】
また、処理能力抽出部217は、上位レイヤからバックホールリンクのキャリア・アグリゲーションで使用される可能性がある周波数帯域の情報と自局のアクセスリンクの周波数帯域設定情報を取得し、当該周波数帯域および周波数帯域の組み合わせ毎の自局の処理能力を抽出して上位レイヤに出力する。
【0087】
また、上位レイヤ206は、アクセスリンクの通信として、Uu下りリンクトラフィックデータとUu下りリンク制御データを第2の符号部214へ出力する。第2の符号部214は、入力された各データを符号化し、第2の変調部215へ出力する。第2の変調部215は、符号化された信号の変調を行なう。また、第2の変調部215は、変調された信号に対して下りリンクリファレンスシグナルを多重し、周波数バンドにマッピングする。第2の送信部216は、第2の変調部215から出力された周波数バンドの信号を時間領域の信号へ変換し、変換した信号を既定の周波数の搬送波にのせて電力増幅を行なうと共に図示しない1つ以上の送信器から送信する。
【0088】
また、第2の受信部210は、受信制御情報で通知された周波数帯域で、図示しない一つ以上の受信器を通じて、後述する移動局装置3や他のリレー局装置から信号を受信し、受信した信号をベースバンドのデジタル信号に変換して、第2の復号部212へ出力する。第2の復号部212は、復調された信号を復号し、Uu上りリンクトラフィックデータとUu上りリンク制御データに適切に分離し、それぞれ上位レイヤ206へ出力する。
【0089】
上位レイヤ206は、これらアクセスリンクに関する各ブロックの制御に必要なアクセスリンク制御情報を第2の制御部213へ出力する。第2の制御部213は、送信に関連する制御情報を送信制御情報として、第2の符号部214、第2の変調部215、第2の送信部216の各ブロックに、受信に関連する制御情報を受信制御情報として、第2の受信部210、第2の復調部211、第2の復号部212の各ブロックに適切に出力する。図2において、その他のリレー局装置2の構成要素は本実施形態に関係ないため省略してある。また、図2においてバックホールリンクの送受信に用いる各処理部と、アクセスリンクに用いる各処理部とはその一部あるいは全てを共通化してもよい。この場合、バックホールリンクの処理とアクセスリンクの処理は時分割で行われる。
【0090】
図3は、本発明の実施形態に係る移動局装置の一例を示すブロック図である。本移動局装置3は、受信部301、復調部302、復号部303、制御部305、符号部306、変調部307、送信部308、上位レイヤ304から構成される。受信に先立ち、上位レイヤ304は、移動局装置制御情報を制御部305に出力する。制御部305は、受信に関する移動局装置制御情報を受信制御情報として、受信部301、復調部302、復号部303へ適切に出力する。受信制御情報は、受信スケジュール情報として、復調情報、復号化情報、受信周波数帯域の情報、各チャネルに関する受信タイミング、多重方法、無線リソース配置情報などの情報が含まれている。
【0091】
また、受信部301は、受信制御情報で通知された周波数帯域で、図示しない一つ以上の受信器を通じて、基地局装置1や他のリレー局装置から信号を受信し、受信した信号をベースバンドのデジタル信号に変換して、復調部302へ出力する。復調部302は、受信信号を復調して復号部303へ出力する。復号部303は、受信制御情報に基づき復調された信号を正しく復号し、下りリンクトラフィックデータと下りリンク制御データに適切に分離し、それぞれ上位レイヤ304へ出力する。
【0092】
また、送信に先立ち、上位レイヤ304は、制御部305へ移動局装置制御情報を出力する。制御部305は、送信に関する移動局装置制御情報を送信制御情報として、符号部306、変調部307、送信部308へ適切に出力する。送信制御情報は、送信信号の上りリンクスケジューリング情報として、符号化情報、変調情報、送信周波数帯域の情報、各チャネルに関する送信タイミング、多重方法、無線リソース配置情報などの情報が含まれている。
【0093】
上位レイヤ304は、符号部306へ上りリンクトラフィックデータと上りリンク制御データを上りリンクチャネルに応じて適切に出力する。符号部306は送信制御情報に従い、各データを適切に符号化し、変調部307に出力する。変調部307は、符号部306で符号化された信号の変調を行なう。また、変調部307は、変調された信号に対して下りリンクリファレンスシグナルを多重し、周波数バンドにマッピングする。
【0094】
送信部308は、変調部307から出力された周波数バンドの信号を時間領域の信号へ変換し、変換した信号を既定の周波数の搬送波にのせて電力増幅を行なうと共に図示しない1つ以上の送信器から送信する。上りリンク制御データが配置される上りリンクデータチャネルは、典型的にはレイヤ3メッセージ(無線リソース制御メッセージ;RRCメッセージ)を構成する。移動局装置3のRRC部は上位レイヤ304の一部として存在する。また、ランダムアクセス処理部306は、移動局装置3のデータリンク層を管理するMAC(Medium Access Control)の一部として存在する。図3において、その他の移動局装置3の構成要素は本実施形態に関係ないため省略してある。
【0095】
続いて、本実施形態におけるリレー局装置2の処理能力の通知方法について図10を参照して説明を行う。本実施形態におけるフェーズ1のリレー局装置起動手順は従来と同じであるため説明を省略する。
【0096】
図10は本実施形態におけるフェーズ2のリレー局装置起動手順の一例を示すシーケンスチャートである。
【0097】
図10において、DeNBのリストを取得したリレー局装置2は、周辺セルからの電波を受信し、DeNBのリストに含まれる基地局装置1によって提供されているセルを検出する(ステップS1001)。次に検出したセルを提供する基地局装置1への接続処理を行う(ステップS1002)。このとき、RN−UnリンクとRN−Uuリンクが同一周波数帯域を使用し、干渉を避けるためにRN−Unリンクの受信中にRN−Uuリンクの送信ができない場合などに、自局がRN−Unリンクにおいてリレー局用のリソースを必要とすることを基地局装置1へ通知する。また、RN−Unリンクの送受信とRN−Uuリンクの送受信が同時に行える場合には、自局がRN−Unリンクにおいてリレー局用のリソースを必要としないことを基地局装置1へ通知する。
【0098】
次に、リレー局装置2は、リレー局装置2のMME(MME RN)との間でネットワーク接続処理を行う(ステップS1003)。次にRN−OAMは、リレー局装置2のアクセスリンクの周波数帯域設定情報をリレー局装置2へ通知する(ステップS1004)。さらに従来と同様にRN−OAMシステムとの間の通信でリレー局としてサービスするための最終的な設定を行う(ステップS1005)。
【0099】
次に、リレー局装置2は、基地局装置1としてネットワークと通信するためのS1インターフェースと隣接する基地局装置1と接続するためのX2インターフェースをDeNBとの間で確立する(ステップS1006およびS1007)。リレー局装置2との間でX2インターフェースを確立したDeNBは、隣接基地局装置1に対して自局のセル構成が変更となったことを通知する(ステップS1008)。
【0100】
次に、DeNBは、バックホールリンクのキャリア・アグリゲーションで使用する可能性がある周波数帯域の情報をバックホールリンク使用周波数帯域情報としてリレー局装置2へ通知する(ステップS1009)。この通知は前記ステップS1007のX2インターフェース確立時に通知してもよい。
【0101】
リレー局装置2は、DeNBとのバックホールリンクのキャリア・アグリゲーションで使用される可能性がある周波数帯域の情報と自局のアクセスリンクの周波数帯域設定情報に基づき、当該周波数帯域および周波数帯域の組み合わせ毎の自局の処理能力をDeNBに通知する(ステップS1010)。このとき、周波数帯域毎に自局がRN−Unリンクにおいてリレー局用のリソースを必要とするか否かの情報を含めて通知してもよい。その後、リレー局装置2はアクセスリンクの無線送信を行い、サービスを開始する(ステップS1011)。サービス開始後、リレー局装置2のトラフィック増加などの理由により、DeNBがバックホールリンクのキャリア・アグリゲーションの設定を行う(ステップS1012)。ここではキャリア・アグリゲーションの設定をステップS1011のサービス開始後におこなっているが、サービス開始前におこなってもよい。
【0102】
以上のように、本実施形態におけるリレー局装置2は、RN−OAMによって設定されたアクセスリンクで使用される周波数帯域と、バックホールリンク使用周波数帯域情報通知によって通知されたバックホールリンクで使用される可能性がある周波数帯域および周波数帯域の組み合わせとを取得し、自局がサポートする周波数帯域毎および周波数帯域の組み合わせ毎の処理能力のうち、前記取得した周波数帯域およびその組み合わせに関する処理能力のみを基地局装置1に通知することで、基地局装置1とリレー局装置2との間における不必要な処理能力の通知による無線リソースの浪費やリレー局装置2の電力消費を軽減することが可能となる。
【0103】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態について以下に説明する。本実施形態は、リレー局装置の処理能力の通知に関する別の例である。
【0104】
本実施形態に用いる基地局装置とリレー局装置と移動局装置の構成は、それぞれ第1の実施形態の基地局装置1(図1)とリレー局装置2(図2)と移動局装置3(図3)と同じ構成で良いため説明を省略する。また、本実施形態におけるフェーズ1のリレー局装置起動手順も第1の実施形態と同じであるため説明を省略する。
【0105】
図11は本実施形態におけるフェーズ2のリレー局装置起動手順の一例を示すシーケンスチャートである。
【0106】
図11において、DeNBのリストを取得したリレー局装置2は、周辺セルからの電波を受信し、DeNBのリストに含まれる基地局装置1によって提供されているセルを検出する(ステップS1101)。次に検出したセルを提供する基地局装置1への接続処理を行う(ステップS1102)。このとき、RN−UnリンクとRN−Uuリンクが同一周波数帯域を使用し、干渉を避けるためにRN−Unリンクの受信中にRN−Uuリンクの送信ができない場合などに、自局がRN−Unリンクにおいてリレー局用のリソースを必要とすることを基地局装置1へ通知する。また、RN−Unリンクの送受信とRN−Uuリンクの送受信が同時に行える場合には、自局がRN−Unリンクにおいてリレー局用のリソースを必要としないことを基地局装置1へ通知する。
【0107】
次に、リレー局装置2は、リレー局装置2のMME(MME RN)との間でネットワーク接続処理を行う(ステップS1103)。次にリレー局装置2はRN−OAMに対して現在接続しているDeNBの識別子(グローバルセル識別子や物理セル識別子、またはDeNBのリスト内の順番に基づく位置情報など)を通知する(ステップS1104)。前記の識別子を通知されたRN−OAMは、リレー局装置2のアクセスリンクの周波数帯域設定情報と、DeNBとなった基地局装置1がバックホールリンクのキャリア・アグリゲーションで使用される可能性がある周波数帯域の情報とをリレー局装置2へ通知する(ステップS1105)。さらに従来と同様にRN−OAMシステムとの間の通信でリレー局としてサービスするための最終的な設定を行う(ステップS1106)。
【0108】
次に、リレー局装置2は、基地局装置1としてネットワークと通信するためのS1インターフェースと隣接する基地局装置1と接続するためのX2インターフェースをDeNBとの間で確立する(ステップS1107およびS1108)。リレー局装置2との間でX2インターフェースを確立したDeNBは、隣接基地局装置1に対して自局のセル構成が変更となったことを通知する(ステップS1109)。
【0109】
リレー局装置2は、DeNBとのバックホールリンクのキャリア・アグリゲーションで使用される可能性がある周波数帯域の情報と自局のアクセスリンクの周波数帯域設定情報に基づき、当該周波数帯域および周波数帯域の組み合わせ毎の自局の処理能力をDeNBに通知する(ステップS1110)。このとき、周波数帯域毎に自局がRN−Unリンクにおいてリレー局用のリソースを必要とするか否かの情報を含めて通知してもよい。また、ステップS1110はステップS1106のリレー局装置動作設定時におこなってもよい。その後、リレー局装置2はアクセスリンクの無線送信を行い、サービスを開始する(ステップS1111)。サービス開始後、リレー局装置2のトラフィック増加などの理由により、DeNBがバックホールリンクのキャリア・アグリゲーションの設定を行う(ステップS1112)。ここでキャリア・アグリゲーションの設定はステップS1111のサービス開始前におこなってもよい。
【0110】
以上のように、本実施形態におけるリレー局装置2は、RN−OAMによって通知されたアクセスリンクで使用される周波数帯域と、バックホールリンク使用周波数帯域情報に基づき、自局がサポートする周波数帯域毎および周波数帯域の組み合わせ毎の処理能力のうち、前記取得した周波数帯域およびその組み合わせに関する処理能力のみを基地局装置1に通知することで、基地局装置1とリレー局装置2との間における不必要な処理能力の通知による無線リソースの浪費やリレー局装置2の電力消費を軽減することが可能となる。
【0111】
なお、以上説明した実施形態は単なる例示に過ぎず、様々な変形例、置換例を用いて実現することができる。
【0112】
また、説明の便宜上、実施形態のリレー局装置2及び基地局装置1を機能的なブロック図を用いて説明したが、リレー局装置2及び基地局装置1の各部の機能またはこれらの機能の一部を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによりリレー局装置2や基地局装置1の制御を行なっても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0113】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、半導体媒体(例えば、RAM、不揮発性メモリカード等)、光記録媒体(例えば、DVD、MO、MD、CD、BD等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるディスクユニット等の記憶装置のことをいう。さらに、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに、前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0114】
また、上記各実施形態に用いたリレー局装置2および基地局装置1の各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現してもよい。各機能ブロックは個別にチップ化してもよいし、一部または全部を集積してチップ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路または汎用プロセッサで実現しても良い。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いることも可能である。
【0115】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も特許請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0116】
1…基地局装置
2…リレー局装置
3…移動局装置
101、201、210、301…受信部
102、202、211、302…復調部
103、203、212、303…復号部
104、205、213、305…制御部
105、207、214、306…符号部
106、208、215、307…変調部
107、209、216、308…送信部
108…ネットワーク信号処理部
109、206、304…上位レイヤ
204…DeNB情報記憶部
217…処理能力抽出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム、基地局装置、リレー局装置、リレー局装置処理能力の通知方法及び集積回路に関し、特に、リレー局装置が自局の通信処理能力を基地局装置に通知する通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
標準化プロジェクトである3GPP(3rd Generation Partnership Project)において、OFDM(Orthogonal Frequency-Division Multiplexing)通信方式やリソースブロックと呼ばれる所定の周波数・時間単位の柔軟なスケジューリングの採用によって、高速な通信を実現させたEvolved Universal Terrestrial Radio Access(以降EUTRAと称する)が検討され、更にその発展形であるAdvanced EUTRA(LTE-Advancedとも称される)の検討が進められている。
【0003】
Advanced EUTRAでは、EUTRAとの互換性を維持しつつ、より高速なデータ伝送が可能な技術として、キャリア・アグリゲーション(Carrier Aggregation)が提案されている。キャリア・アグリゲーションとは、複数の異なる周波数帯域(キャリア周波数、コンポーネントキャリア(Component Carrier)とも称する)で送信された送信装置のデータを、異なる周波数帯域に対応する受信装置においてそれぞれ受信することで、データレートを向上させる技術である。また、キャリア・アグリゲーションは1つの周波数帯域を複数の周波数リソースに分割してコンポーネントキャリアとすることも可能である。
【0004】
Advanced EUTRAのキャリア・アグリゲーションで用いられるコンポーネントキャリアは、プライマリコンポーネントキャリア(PCC: Primary Component Carrier)とセカンダリコンポーネントキャリア(SCC: Secondary Component Carrier)とに区別され、移動局装置が下りリンクのPCCで接続するセルをプライマリセル(PCell: Primary Cell)、下りリンクのSCCで接続するセルをセカンダリセル(SCell: Secondary Cell)と呼ぶ。プライマリセルには上りリンクコンポーネントキャリアが必ず含まれるが、セカンダリセルには含まれない場合がある。
【0005】
更に、Advanced EUTRAでは、移動局装置の通信可能範囲(カバレッジ)の拡大や、通信容量(キャパシティ)の増大を目的として、リレー局装置を用いることが検討されている。リレー局装置は、通常セルの基地局装置(DeNB)との無線リンク(以降、バックホールリンクあるいはRN−Unリンクと呼称する)によりコアネットワークとの通信を行い、更に、移動局装置との無線リンク(以降、アクセスリンクあるいはRN−Uuリンクと呼称する)により移動局装置との通信を行う。すなわちリレー局装置は、前記2つの無線リンクを用いて、移動局装置と基地局装置との間の通信を中継する。
【0006】
また、EUTRAおよびAdvanced EUTRAでは、MIMO(Multiple Input Multiple Output)技術の利用が提案されている。MIMO技術とは、送信装置において送信データをあらかじめ複数の信号(ストリーム)に分割し、それらを複数のアンテナから同じ周波数帯域で同時送信し、受信装置において複数のアンテナを用いて前記分割された信号を同時受信して結合することで、データレートを向上させる技術である。
【0007】
この手法は、最小二乗誤差法(MMSE)などの信号処理を行うことで、複数の独立な空間チャネルを生成することに等しいことから、空間多重あるいはSM(Spatial Multiplexing)と呼ばれる。この空間チャネルは、無線伝搬路をいくつかの層に切り分けて、各々の層で無線信号を並列に伝送するというイメージから、空間レイヤとも呼ばれている。
【0008】
ここで、移動局装置の持つ受信器やアンテナ数と使用する周波数帯域によって、移動局装置がサポートできるキャリア・アグリゲーションのコンポーネントキャリア数やMIMOの空間レイヤ数が異なる場合がある。
【0009】
例えば、移動局装置がアンテナを2本ずつ持つ受信器1と受信器2を具備する仮定において、図12の(a)に示すように周波数帯域1のみで下りリンクの通信を行う場合には、受信器1と受信器2を周波数帯域1で用いて、コンポーネントキャリア数は4、MIMOの空間レイヤ数は4をサポートするが、図12の(b)に示すように周波数帯域1と周波数帯域2を同時に用いる場合には、受信器2を周波数帯域2に割り当てるため、周波数帯域1のコンポーネントキャリア数は4、MIMOの空間レイヤ数は2をサポートし、周波数2のコンポーネントキャリア数は4、MIMOの空間レイヤ数は2をサポートすることになる。
【0010】
そのため、使用する周波数帯域や周波数帯域の組み合わせ毎にサポートするコンポーネントキャリア数や空間レイヤ数などの情報(処理能力)を移動局装置が基地局装置に対して通知する仕組みが提案されている(非特許文献1)。
【0011】
なお、3GPPが規定する第3世代の基地局装置はノードB(NodeB)と称され、EUTRA及びAdvanced EUTRAにおける基地局装置はイーノードB(eNodeB)と称される。基地局装置は移動局装置が通信可能なエリアであるセルを管理し、セルは移動局装置と通信可能なエリアの大きさに応じてフェムトセルやピコセル、ナノセルとも称される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】R2−110604,RAN WG2,3GPP TSG−RAN WG2 Meeting #72bis,Dublin,Ireland,17th−21th January 2011
【非特許文献2】TS 36.300,V10.2.0,3GPP TSG−RAN E−UTRA and E−UTRAN Overall description
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前述のように、移動局装置の処理能力は一意に決定されるため、非特許文献1に示されるように基地局装置へ通知することが可能である。
しかしながら、リレー局装置の処理能力は、RN−UnリンクおよびRN−Uuリンクで利用する周波数やキャリア・アグリゲーションの有無によって、前記処理能力が異なる場合があり、リレー局装置が基地局装置にすべての組み合わせに対する処理能力を通知するには多くのリソースを必要とする。
【0014】
例えば、リレー局装置がアンテナを8本持ち、RN−UnリンクとRN−Uuリンクとで共有する仮定において、アンテナを4本ずつ使用する送受信器1と送受信器2を具備する場合、図13の(a)に示すように、RN−UuリンクおよびRN−Unリンクでキャリア・アグリゲーションを行わない場合、両方のリンクでMIMOの空間レイヤ数はそれぞれ8つまでとなるが、図13の(b)に示すように、RN−Unリンク(あるいはRN−Uuリンク)でキャリア・アグリゲーションを行う場合、受信器2が周波数帯域Aと周波数帯域B間で時間的制限によりキャリア周波数を再調整することができなければ、両方のリンクでMIMOの空間レイヤ数はそれぞれ4つまでに制限される。
【0015】
上記の課題を鑑みて、本発明は、リレー局装置の処理能力を効率的に通知できる通信システム、基地局装置、リレー局装置、リレー局装置処理能力の通知方法及び集積回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明の通信システムは、リレー局装置と基地局装置を含む通信システムであって、前記リレー局装置は、自局がアクセスリンクで使用する周波数帯域によって設定される周波数帯域および周波数帯域の組み合わせ毎の処理能力のうち、バックホールリンクで使用される周波数帯域を含む処理能力を抽出し、前記基地局装置に通知することを特徴とする。
【0017】
(2)また、本発明の通信システムにおいて、前記リレー局装置は、接続した前記基地局装置の識別子を自局の保守及び運用管理をおこなうOAMシステムに通知し、前記OAMシステムは、前記通知された基地局装置の識別子を持つ基地局装置がバックホールリンクのキャリア・アグリゲーションで使用する可能性がある周波数帯域を、前記バックホールリンクで使用する周波数帯域として、前記リレー局装置に通知することを特徴とする。
【0018】
(3)また、本発明の通信システムにおいて、前記基地局装置は、前記バックホールリンクで使用する周波数帯域として、前記リレー局装置に対するバックホールリンクのキャリア・アグリゲーションで使用する可能性がある周波数帯域を、前記リレー局装置に通知することを特徴とする。
【0019】
(4)また、本発明の通信システムにおいて、前記基地局装置に通知する処理能力は、周波数帯域ごとにリレー局用のリソースを必要とするか否かの情報を含むことを特徴とする。
【0020】
(5)また、本発明のリレー局装置は、基地局装置と無線通信を行うリレー局装置であって、前記リレー局装置は、アクセスリンクで使用する周波数帯域によって設定される周波数帯域および周波数帯域の組み合わせ毎の処理能力のうち、バックホールリンクで使用される周波数帯域を含む処理能力を選択する処理能力抽出部を具備し、前記処理能力抽出部は、バックホールリンクで使用される周波数帯域として前記基地局装置から取得したバックホールリンクのキャリア・アグリゲーションで使用する可能性がある周波数帯域を用いることを特徴とする。
【0021】
(6)また、本発明の基地局装置は、リレー局装置と無線通信を行う基地局装置であって、前記基地局装置は、前記基地局装置に接続した前記リレー局装置に対して、バックホールリンクのキャリア・アグリゲーションで使用する可能性がある周波数帯域を通知し、前記リレー局装置から周波数帯域および周波数帯域の組み合わせ毎の処理能力を取得することを特徴とする。
【0022】
(7)また、本発明のリレー局装置処理能力の通知方法は、リレー局装置と基地局装置を含む通信システムにおけるリレー局装置処理能力の通知方法であって、前記基地局装置は、前記リレー局装置に対するバックホールリンクのキャリア・アグリゲーションで使用する可能性がある周波数帯域を、前記リレー局装置に通知するステップと、前記リレー局装置は、自局がアクセスリンクで使用する周波数帯域によって設定される周波数帯域および周波数帯域の組み合わせ毎の処理能力のうち、前記基地局装置から通知された周波数帯域を含む処理能力を抽出し、前記基地局装置に通知するステップとを含むことを特徴とする。
【0023】
(8)また、本発明の集積回路は、基地局装置と無線通信を行うリレー局装置の処理能力を前記基地局装置に通知する集積回路であって、前記リレー局装置のアクセスリンクで使用する周波数帯域によって設定される周波数帯域および周波数帯域の組み合わせ毎の処理能力のうち、前記基地局装置から取得したバックホールリンクのキャリア・アグリゲーションで使用する可能性がある周波数帯域を含む処理能力を選択する処理能力抽出部を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明によれば、移動局装置の処理能力を効率的に通知できる通信システム、基地局装置、リレー局装置、リレー局装置処理能力の通知方法及び集積回路を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係る基地局装置の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係るリレー局装置の一例を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る移動局装置の一例を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に係る移動局装置に対するコンポーネントキャリアの設定の一例を示した図である。
【図5】本発明の実施形態に係るContention based Random Accessのランダムアクセス手順を示したシーケンスチャートである。
【図6】従来のリレー局装置による電源投入時のフェーズ1の起動手順を示したシーケンスチャートである。
【図7】従来のリレー局装置による電源投入時のフェーズ2の起動手順を示したシーケンスチャートである。
【図8】従来の移動局装置処理能力照会の手順を示したシーケンスチャートである。
【図9】本発明の実施形態に係る通信ネットワーク構成の一例を示す図である。
【図10】本発明の実施形態1に係るフェーズ2のリレー局装置起動手順の一例を示すシーケンスチャートである。
【図11】本発明の実施形態2に係るフェーズ2のリレー局装置起動手順の一例を示すシーケンスチャートである。
【図12】従来の移動局装置におけるコンポーネントキャリアへの受信器の割り当ての一例について示した図である。
【図13】本発明の実施形態に係るリレー局装置におけるコンポーネントキャリアへの受信器の割り当ての一例について示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施形態を説明する前に、本発明に関する物理チャネルとキャリア・アグリゲーション、処理能力の通知方法について説明する。
【0027】
(1)物理チャネル
EUTRA及びAdvanced EUTRAで使用される物理チャネル(または物理シグナル)について説明を行なう。物理チャネルは、基地局装置から移動局装置へ送信される下りリンクにおける下りリンクチャネルと、移動局装置から基地局装置へ送信される上りリンクにおける上りリンクチャネルとが存在する。物理チャネルは、EUTRA、及びAdvanced EUTRAにおいて、今後追加、または、その構造が変更される可能性もあるが、変更された場合でも本発明の各実施形態の説明には影響しない。
【0028】
同期シグナル(Synchronization Signals)は、3種類のプライマリ同期シグナルと、周波数領域で互い違いに配置される31種類の符号から構成されるセカンダリ同期シグナルとで構成され、プライマリ同期シグナルとセカンダリ同期シグナルの信号の組み合わせによって、基地局装置を識別する504通りのセル識別子(セルID:Physical Cell Identity; PCI)と、無線同期のためのフレームタイミングが示される。移動局装置は、セルサーチによって受信した同期シグナルのセルIDを特定する。
【0029】
物理報知情報チャネル(PBCH; Physical Broadcast Channel)は、セル内の移動局装置で共通に用いられる制御パラメータ(報知情報(システム情報);System information)を通知する目的で送信される。物理報知情報チャネルで通知されない報知情報は、下りリンク制御チャネルで無線リソースが通知され、下りリンクデータチャネルを用いてレイヤ3メッセージで送信される。報知情報として、セル個別の識別子を示すセルグローバル識別子(CGI; Cell Global Identifier)、ページングによる待ち受けエリアを管理するトラッキングエリア識別子(TAI; Tracking Area Identifier)などが通知される。
【0030】
下りリンクリファレンスシグナルは、セル毎に所定の電力で送信されるパイロットシグナルである。また、下りリンクリファレンスシグナルは、所定の規則に基づき周波数・時間位置で周期的に繰り返される既知の信号である。移動局装置は、下りリンクリファレンスシグナルを受信することでセル毎の受信品質を測定する。また、移動局装置は、下りリンクリファレンスシグナルと同時に送信される下りリンク制御チャネル、または下りリンクデータチャネルの復調のための参照用の信号としても下りリンクリファレンスシグナルを使用する。下りリンクリファレンスシグナルに使用される系列は、セル毎に識別可能な系列が用いられる。なお、下りリンクリファレンスシグナルはセル固有RS(Cell-specific reference signals)と記載される場合もあるが、その用途と意味は同じである。
【0031】
下りリンク制御チャネル(PDCCH; Physical Downlink Control Channel)は、各サブフレームの先頭からいくつかのOFDMシンボルで送信され、移動局装置に対して基地局装置のスケジューリングに従った無線リソース割当て情報や、送信電力の増減の調整量を指示する目的で使用される。移動局装置は、下りリンクデータや下りリンク制御データであるレイヤ3メッセージ(ページング、ハンドオーバーコマンドなど)を送受信する前に自局宛の下りリンク制御チャネルを監視(モニタ)し、自局宛の下りリンク制御チャネルを受信することで、送信時には上りリンクグラント、受信時には下りリンクグラントと呼ばれる無線リソース割当て情報を取得する必要がある。
【0032】
下りリンクデータチャネル(PDSCH; Physical Downlink Shared Channel)は、下りリンクデータの他、下りリンク制御データであるレイヤ3メッセージとしてページングや報知情報を通知するためにも使用される。下りリンクデータチャネルの無線リソース割当て情報は、下りリンク制御チャネルで示される。
【0033】
また、リレー局用のリソースとして、R−PDCCH、R−PDSCHと呼ばれる下りリンク制御チャネルと下りリンクデータチャネルがPDSCHの領域に配置される。これらのリレー局用のリソースは、リレー局装置が、自局のアクセスリンクのPDCCH送信中に、バックホールリンク(基地局装置)のPDCCHを受信できない場合に用いられる。
【0034】
上りリンクデータチャネル(PUSCH; Physical Uplink Shared Channel)は、主に上りリンクデータと上りリンク制御データを送信し、下りリンクの受信品質やACK/NACKなどの制御データを含めることも可能である。また、下りリンクと同様に上りリンクデータチャネルの無線リソース割当て情報は、下りリンク制御チャネルで示される。
【0035】
ランダムアクセスチャネル(PRACH; Physical Random Access Channel)は、プリアンブル系列を通知するために使用されるチャネルであり、ガードタイムを持つ。ランダムアクセスチャネルは、移動局装置の基地局装置へのアクセス手段として用いられる。移動局装置は、上りリンク制御チャネル未設定時の送信データのスケジューリング要求や、上りリンク送信タイミングを基地局装置の受信タイミングウィンドウに合わせるために必要な送信タイミング調整情報の要求にランダムアクセスチャネルを用いる。送信タイミング調整情報を受信した移動局装置は、送信タイミング調整情報の有効時間を設定し、有効時間中は送信タイミング調整状態、有効期間外は、送信タイミング非調整状態となる。なお、それ以外の物理チャネルは、本発明の各実施形態に関わらないため詳細な説明は省略する。
【0036】
(2)キャリア・アグリゲーション
キャリア・アグリゲーションとは、複数の異なる周波数帯域(コンポーネントキャリア)を集約(アグリゲーション)して一つの周波数帯域のように扱う技術である。例えば、キャリア・アグリゲーションによって周波数帯域幅が20MHzのコンポーネントキャリアを5つ集約した場合、移動局装置は100MHzの周波数帯域幅とみなしてアクセスすることが可能となる。
【0037】
なお、集約するコンポーネントキャリアは連続した周波数帯域であっても、全てまたは一部が不連続となる周波数帯域であってもよい。例えば、使用可能な周波数帯域が800MHz帯域、2.4GHz帯域、3.4GHz帯域である場合、ある一つのコンポーネントキャリアが800MHz帯域、別のコンポーネントキャリアが2GHz帯域、さらに別のコンポーネントキャリアが3.4GHz帯域であってもよい。
【0038】
また、同一周波数帯域、例えば2.4GHz帯域内の連続または不連続のコンポーネントキャリアを集約することも可能である。各コンポーネントキャリアの周波数帯域幅は20MHzより狭い周波数帯域幅であっても良く、各々異なっていても良い。
【0039】
基地局装置は、移動局装置の処理能力、滞留しているデータバッファ量や移動局装置の受信品質、セル内の負荷やQoSなどの種々の要因に基づいて、移動局装置に割り当てる上りリンクまたは下りリンクのコンポーネントキャリアの数を増減することができる。
【0040】
[コンポーネントキャリアの構成の設定例]
図4は、本発明の実施形態に係る移動局装置がキャリア・アグリゲーションを行なう場合に、基地局装置が移動局装置に対して設定する下りリンクコンポーネントキャリアと、上りリンクコンポーネントキャリアの対応関係の一例を示した図である。図4中の下りリンクコンポーネントキャリアDL_CC1と上りリンクコンポーネントキャリアUL_CC1、下りリンクコンポーネントキャリアDL_CC2と上りリンクコンポーネントキャリアUL_CC2、及び下りリンクコンポーネントキャリアDL_CC3と上りリンクコンポーネントキャリアUL_CC3はセル固有接続(Cell Specific Linkage)している。セル固有接続とは、例えば、移動局装置がキャリア・アグリゲーションしていない場合に、基地局装置にアクセス可能な上りリンクと下りリンクの周波数帯域の対応関係(連携関係)であり、典型的には報知情報でその対応関係が示される。
【0041】
上りリンクと下りリンクの周波数帯域の対応関係は、報知情報に周波数情報として明示的に指示されるか、または明示的に指示されない場合に運用周波数毎に一意に決められる上りリンクと下りリンクの規定の周波数差の情報を用いるなどして暗黙的に指示される。これらの方法に限らず、セル毎に上りリンクと下りリンクの周波数帯域の対応関係を示すことが可能であれば、これ以外の方法を用いて指示されても良い。
【0042】
これに対し、基地局装置は、下りリンクコンポーネントキャリアと上りリンクコンポーネントキャリアの対応関係を、セル固有接続とは別に移動局装置毎に個別に設定(個別接続;UE Specific Linkage)することも可能である。個別接続は、基地局装置から下りリンクコンポーネントキャリアと上りリンクコンポーネントキャリアが追加されるときに同時に設定される。
【0043】
図4の場合、ある移動局装置が無線接続される上りリンクコンポーネントキャリアUL_CC2に対し、2つの下りリンクコンポーネントキャリア(DL_CC2、DL_CC3)が対応しており、DL_CC3とUL_CC2は個別接続されており、DL_CC1とDL_CC2はそれぞれUL_CC1とUL_CC2にセル固有接続されている。この場合、移動局装置はDL_CC1〜DL_CC3で受信処理を行い、UL_CC1およびUL_CC2で送信処理を行う。
【0044】
すなわち、DL_CC1〜DL_CC3とUL_CC1〜UL_CC2は、移動局装置が基地局装置との通信に用いる接続コンポーネントキャリアであり、UL_CC3は、移動局装置が基地局装置との通信に用いない非接続コンポーネントキャリアである。典型的にはプライマリセルの上りリンクと下りリンクはセル固有接続され、セカンダリセルの上りリンクと下りリンクは個別接続される。
【0045】
さらに、上りリンクコンポーネントキャリアで移動局装置が送信する際の送信電力調整には、下りリンクコンポーネントキャリアの受信品質(基地局装置から送信された無線信号の電力が移動局装置で受信されるまでに減衰した量を示すパスロス値など)が用いられる。
【0046】
プライマリセルの送信電力調整には、当該プライマリセルの下りリンクの受信品質が用いられる。一方、セカンダリセルの送信電力調整には、プライマリセルか当該セカンダリセルの下りリンクの受信品質のいずれか一方に基づく。セカンダリセルの送信電力調整のために、プライマリセルと当該セカンダリセルの何れの下りリンクの受信品質を利用するかは、報知情報あるいは移動局装置毎に個別のレイヤ3メッセージ(RRCメッセージ)によって、基地局装置から移動局装置へ通知される。
【0047】
(3)ランダムアクセス手順
ランダムアクセスには、Contention based Random AccessとNon−contention based Random Accessの2つのアクセス方法がある。Contention based Random Accessは、移動局装置間で衝突する可能性のあるランダムアクセスであり、接続処理時に通常行われるランダムアクセスである。
【0048】
また、Non−contention based Random Accessは、移動局装置間で衝突が発生しないランダムアクセスであり、迅速に移動局装置−基地局装置間の同期をとるために用いられるランダムアクセスであり、ハンドオーバー等の特別な場合に基地局装置主導で行われる。
【0049】
Contention based Random Accessでは、上り同期を取る(上り同期タイミングを調整する)ためにランダムアクセスプリアンブル(単にプリアンブルとも呼ばれる)をランダムアクセスチャネルで送信する。プリアンブルには、情報を表す信号パターンであるシグネチャが含まれ、数十種類のシグネチャを用意して数ビットの情報を表現することができる。
【0050】
EUTRAでは、6ビットの情報を送信することが想定され、64種類のシグネチャが用意されることが想定されている。6ビットの情報は、5ビットがランダムID、残りの1ビットが下りリンクのパスロスとランダムアクセス後に送信する上りデータ量に基づき決定される。
【0051】
ここで、Contention based Random Access及びNon−Contention based Random Accessの通信手順の概略について説明する。
【0052】
図5は、Contention based Random Accessの手順例について示したシーケンスチャートである。Contention based Random Accessは、初期アクセス時、再接続時、Inter−RATハンドオーバー時などに用いられる。
【0053】
移動局装置は、ステップS51で基地局装置から報知情報を受信し、送信するシグネチャを選択するためのシグネチャ情報(ランダムアクセスチャネルの無線リソース情報、シグネチャのグループ情報など)を取得する。そして、ランダムアクセス要求が発生した場合(ステップS52)、シグネチャ情報に基づいてシグネチャを選択し、ランダムアクセスチャネルを用いて選択したプリアンブルを基地局装置へ送信する(ステップS53)。
【0054】
基地局装置は、移動局装置からランダムアクセスチャネルを受信すると、送信されたプリアンブルから移動局装置と基地局装置間の上り同期タイミングずれ(Timing Advance)を算出し、ランダムアクセス応答(ランダムアクセスレスポンス)を送信するためにスケジューリングを行い、移動局装置に対して仮の識別子であるTemporary C−RNTI(Cell-Radio Network Temporary Identity)を割り当て、下り共用制御チャネル(PDCCH)にプリアンブルを送信した移動局装置宛の応答を示す識別子であるRA−RNTI(Random Access-Radio Network Temporary Identity)と下りデータチャネルのリソース割当て情報を配置し、下りデータチャネル(PDSCH)に上り同期タイミングずれ情報、上りスケジューリング情報、Tempolary C−RNTIおよび受信したプリアンブルのシグネチャID番号(またはランダムID)を配置し、ランダムアクセス応答として前記下り共用制御チャネルと前記下りデータチャネルを送信する(ステップS54)。
【0055】
移動局装置は、下り共用制御チャネル(PDCCH)にRA−RNTIがあることを確認すると、下りデータチャネル(PDSCH)に配置されたランダムアクセス応答の中身を確認し、送信したプリアンブルのシグネチャID番号(またはランダムID)が含まれる応答を抽出する。そして、上り同期タイミングずれを補正し、スケジューリングされた無線リソースでTempolary C−RNTIを含む上りスケジューリングデータ(例えばRRC接続要求)を送信する(ステップS55)。なお、移動局装置は、基地局装置からのランダムアクセス応答を一定期間待ち続け、送信したプリアンブルのシグネチャID番号を含んだランダムアクセス応答を受信しない場合は、再度、プリアンブルを送信する。
【0056】
基地局装置は、移動局装置からの上りスケジューリングデータを受信すると、受信した上りスケジューリングデータに含まれるTempolary C−RNTIを使用して移動局装置間で衝突が起こっているかどうかを移動局装置に判断させるための下りスケジューリングデータ(例えばRRC接続セットアップ)を移動局装置に送信する(ステップS56)。前記下りスケジューリングデータは、コンテンションレゾリューションとも呼ばれる。移動局装置は、下りスケジューリングデータを制限時間内に正しく受信することにより、ランダムアクセスが成功したと判断し、ランダムアクセス手順を終了する。そして、Tempolary C−RNTIを一時的なものでなく、当該セルにおいて移動局装置を識別するための識別子(C−RNTI)として使用する。
【0057】
一方、Non−contentioned based Random Accessでは、基地局装置がシグネチャID番号を選択して移動局装置に通知する。移動局装置は、通知されたシグネチャを使用し、ランダムアクセスチャネルでプリアンブルを送信する。
【0058】
基地局装置は、移動局装置からのプリアンブルを受信すると、プリアンブルから移動局装置−基地局装置間の同期タイミングずれを算出し、下り共用制御チャネル(PDCCH)に、ランダムアクセスチャネルを送信した移動局装置宛の応答を示すためにC−RNTIを配置し、同期タイミングずれ情報を含んだランダムアクセス応答を送信する。移動局装置は、受信したランダムアクセス応答から同期タイミングずれを補正し、ランダムアクセスが正しく完了したと判断する。
【0059】
(4)リレー局装置起動手順
従来のリレー局装置の電源投入からサービス開始までの手順を図6と図7を用いて説明する。まず、フェーズ1(図6)の処理が行われる。図6においてリレー局装置は電源が投入される(ステップS601)と、移動局装置として動作し、周辺基地局からの電波を受信し、上述のランダムアクセス手順により基地局装置に接続する(ステップS602)。さらにリレー局装置は制御局装置(MME; Mobility Management Entity)との間でネットワーク接続処理を行い(ステップS603)、リレー局装置の保守及び運用管理(OAM; Operation Administration and Maintenance)システムから自局が接続可能なDeNBのリストを取得する(ステップS604)。その後、移動局装置としてのネットワーク接続を切断し(ステップS605)、フェーズ2(図7)の処理に移る。
【0060】
フェーズ2(図7)の処理として、DeNBのリストを取得したリレー局装置は、周辺セルからの電波を受信し、DeNBのリストに含まれる基地局装置によって提供されているセルを検出する(ステップS701)。次に検出したセルを提供する基地局装置への接続処理を行う(ステップS702)。このとき、RN−UnリンクとRN−Uuリンクが同一周波数帯域を使用し、干渉を避けるためにRN−Unリンクの受信中にRN−Uuリンクの送信ができない場合などに、自局がRN−Unリンクにおいてリレー局用のリソースを必要とすることを基地局装置へ通知する。また、RN−Unリンクの送受信とRN−Uuリンクの送受信が同時に行える場合には、自局がRN−Unリンクにおいてリレー局用のリソースを必要としないことを基地局装置へ通知する。
【0061】
その後、リレー局装置のMME(MME RN)との間でネットワーク接続処理を行い(ステップS703)、リレー局装置のOAM(RN−OAM)システムとの間の通信でリレー局としてサービスするための最終的な設定(例えば、ユーザデータのQCI(QoS Class Identifier)からDSCP(Differentiated Services Code Point)へのマッピングの設定)を行う(ステップS704)。次に、リレー局装置は基地局装置としてネットワークと通信するためのS1インターフェースと隣接する基地局装置と接続するためのX2インターフェースをDeNBとの間で確立する(ステップS705およびS706)。
【0062】
ここで隣接する基地局装置からは、リレー局装置はDeNBのセルのひとつと認識される。このため、リレー局装置との間でX2インターフェースを確立したDeNBは、隣接基地局装置に対して自局のセル構成が変更となったことを通知する(ステップS707)。その後、リレー局装置はアクセスリンクの無線送信を行い、サービスを開始する(ステップS708)。
【0063】
(5)移動局装置の処理能力の通知方法
移動局装置は、自局の持つ受信器やアンテナ数によって、同時に送受信を行う周波数帯域毎および周波数帯域の組み合わせ毎にサポートできるコンポーネントキャリア数やMIMOのレイヤ数が異なる場合がある。そのため、移動局装置は基地局装置からの要求に基づいて基地局装置に周波数帯域毎および周波数帯域の組み合わせ毎にサポートできるコンポーネントキャリア数やMIMOのレイヤ数を含む処理能力を通知する。
【0064】
非特許文献2に記載されている移動局装置の処理能力通知・管理方法を図8に示す。図8において、まず基地局装置は移動局装置に対して処理能力の照会をするRRCメッセージである移動局装置能力照会メッセージ(RRC:UECapabilityEnquiry)を送信する(ステップS81)。移動局装置能力照会メッセージには、どの通信システム(RAT; Radio Access technology)に関する通知を要求するかの情報が含まれる。
【0065】
前記メッセージを受信した移動局装置は要求されたRAT(例えばEUTRAN,UTRAN,GERAN−PS,GERAN−CS,CDMA2000−1XRTTなど)に関する自局の処理能力を、移動局装置能力情報メッセージ(RRC:UECapabilityInformation)を用いて基地局装置へ通知する(ステップS82)。要求されたRATがEUTRANの場合、移動局装置は前述の周波数帯域毎および周波数帯域の組み合わせ毎にサポートできるコンポーネントキャリア数やMIMOのレイヤ数を含む処理能力を通知する。
【0066】
基地局装置は移動局装置と接続されたRRC_CONNECTED状態の間、該移動局装置の処理能力を保持する。また、基地局装置は、制御局装置(MME)との通信で用いられるS1−APメッセージの移動局装置能力情報通知メッセージ(S1−AP:UE CAPABILITY INFO INDICATION)で該移動局装置を管理するMMEに対して該移動局装置の処理能力を通知する(ステップS83)。該移動局装置の処理能力は、MMEと接続された状態(ECM_Connected)の間、MMEのメモリ内に保持され、再度、基地局装置から移動局装置能力情報通知メッセージの通知があればメモリの内容が更新される。
【0067】
次に、本発明の通信ネットワーク構成の一例を以下に示す。
【0068】
図9は、本発明の実施形態に係る通信ネットワーク構成の一例を示す図である。リレー局装置は、キャリア・アグリゲーションによって複数の周波数帯域(コンポーネントキャリア)を同時に用いて基地局装置と無線接続することが可能な場合、通信ネットワーク構成としては、ある一つの基地局装置が複数の周波数帯域毎に送信器11,送信器12、送信器13(及び図示しない受信器14、受信器15、受信器16)を備えており、各周波数帯域の制御を一つの基地局装置で行なう構成が制御の簡略化の観点から好適である。ただし、基地局装置が複数の送信器で一つの周波数帯域の送信を行う構成や、複数の周波数帯域が連続する周波数帯域であるなどの理由で一つの送信器で複数の周波数帯域の送信を行なう構成であっても構わない。
【0069】
基地局装置の送信器によって制御される各周波数帯域の通信可能範囲はセルとしてみなされ、空間的に同一のエリアに存在する。このとき、各周波数帯域がカバーするエリア(セル)はそれぞれ異なる広さ、異なる形状であっても良い。またリレー局装置は対応する周波数帯域を受信する受信器24、受信器25、受信器26、(及び図示しない送信器21,送信器22、送信器23)を備えることで前記基地局装置とのキャリア・アグリゲーションによる通信を行う。
【0070】
移動局装置についても、リレー局装置と同様に、対応する周波数帯域を受信する受信器(及び図示しない送信器)を備えることによって、複数の周波数帯域を同時に用いて基地局装置あるいはリレー局装置と無線接続することができる。
【0071】
本実施形態の記載において、基地局装置が形成するコンポーネントキャリアの周波数でカバーされるエリアのことをそれぞれセルと称して説明しているが、これは実際に運用される通信システムにおけるセルの定義とは異なる可能性があることに注意する。
【0072】
例えば、ある通信システムでは、キャリア・アグリゲーションによって用いられるコンポーネントキャリアの一部のことを、セルではなく単なる追加の無線リソースと定義するかもしれない。本発明でコンポーネントキャリアをセルと称することで、実際に運用される通信システムにおけるセルの定義と異なる場合が発生したとしても、本発明の主旨には影響しない。
【0073】
以上の事項を考慮しつつ、以下、添付図面に基づき、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明の説明において、本発明に関連した公知の機能や構成についての具体的な説明が、本発明の要旨を不明瞭にすると判定される場合には、その詳細な説明を省略する。
【0074】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態について以下に説明する。
図1は、本発明の実施形態による基地局装置の一例を示すブロック図である。本基地局装置1は、受信部101、復調部102、復号部103、制御部104、符号部105、変調部106、送信部107、ネットワーク信号処理部108、上位レイヤ109から構成される。
【0075】
上位レイヤ109は、下りリンクトラフィックデータと下りリンク制御データを符号部105へ出力する。符号部105は、入力された各データを符号化し、変調部106へ出力する。変調部106は、符号化された信号の変調を行なう。また、変調部106は、変調された信号に対して下りリンクリファレンスシグナルを多重し、周波数バンドにマッピングする。送信部107は、変調部106から出力された周波数バンドの信号を時間領域の信号へ変換し、変換した信号を既定の周波数の搬送波にのせて電力増幅を行なうと共に図示しない1つ以上の送信器から送信する。下りリンク制御データが配置される下りリンクデータチャネルは、典型的にはレイヤ3メッセージ(RRC(Radio Resource Control)メッセージ)を構成する。
【0076】
また、受信部101は、受信制御情報で通知された周波数帯域で、図示しない一つ以上の受信器を通じて、後述する移動局装置3やリレー局装置2から信号を受信し、受信した信号をベースバンドのデジタル信号に変換して、復調部102へ出力する。復調部102はデジタル信号を復調し、復号部103へ出力する。復号部103は、復調された信号を復号し、上りリンクトラフィックデータと上りリンク制御データに適切に分離し、それぞれ上位レイヤ109へ出力する。
【0077】
上位レイヤ109は、これら各ブロックの制御に必要な基地局装置制御情報を制御部104へ出力する。制御部104は、送信に関連する基地局装置制御情報は送信制御情報として、符号部105、変調部106、送信部107の各ブロックに、受信に関連する基地局装置制御情報は受信制御情報として、受信部101、復調部102、復号部103の各ブロックに適切に出力する。
【0078】
一方、ネットワーク信号処理部108は、複数の基地局装置1間(または制御局装置(MME)、ゲートウェイ装置(Gateway)、MCE)と基地局装置1との間の制御メッセージの送信または受信を行なう。制御メッセージはネットワーク回線を経由して送受信される。制御メッセージは、S1インターフェースやX2インターフェースやM1インターフェースやM2インターフェースと呼ばれる論理インターフェース上でやり取りされる。
【0079】
また、基地局装置1のRRC部は、上位レイヤ109の一部として存在する。図1において、その他の基地局装置1の構成要素は本実施形態に関係ないため省略してある。
【0080】
図2は、本発明の実施形態によるリレー局装置の一例を示すブロック図である。本リレー局装置2は、第1の受信部201、第1の復調部202、第1の復号部203、受信品質測定部217、第1の制御部205、第1の符号部207、第1の変調部208、第1の送信部209、上位レイヤ206、第2の受信部210、第2の復調部211、第2の復号部212、第2の制御部213、第2の符号部214、第2の変調部215、第2の送信部216、DeNB情報記憶部204、処理能力抽出部217から構成される。
【0081】
リレー局装置2は基地局装置1とバックホールリンクの通信を行い、移動局装置3とアクセスリンクの通信を行う。
【0082】
上位レイヤ206は、バックホールリンクの通信として、Un上りリンクトラフィックデータとUn上りリンク制御データを第1の符号部207へ出力する。第1の符号部207は、入力された各データを符号化し、第1の変調部208へ出力する。第1の変調部208は、符号化された信号の変調を行なう。また、第1の変調部208は、変調された信号に対して上りリンクリファレンスシグナルを多重し、周波数バンドにマッピングする。第1の送信部209は、第1の変調部208から出力された周波数バンドの信号を時間領域の信号へ変換し、変換した信号を既定の周波数の搬送波にのせて電力増幅を行なうと共に図示しない1つ以上の送信器から送信する。
【0083】
また、第1の受信部201は、受信制御情報で通知された周波数帯域で、図示しない一つ以上の受信器を通じて、基地局装置1や他のリレー局装置から信号を受信し、受信した信号をベースバンドのデジタル信号に変換して、第1の復調部202へ出力する。第1の復調部202は、デジタル信号を復調し、第1の復号部203へ出力する。第1の復号部203は、復調された信号を復号し、Un下りリンクトラフィックデータとUn下りリンク制御データに適切に分離し、それぞれ上位レイヤ206へ出力する。
【0084】
上位レイヤ206は、バックホールリンクに関する各ブロックの制御に必要なバックホールリンク制御情報を第1の制御部205へ出力する。第1の制御部205は、送信に関連する制御情報を送信制御情報として、第1の符号部207、第1の変調部208、第1の送信部209の各ブロックに、受信に関連する制御情報を受信制御情報として、第1の受信部201、第1の復調部202、第1の復号部203の各ブロックに適切に出力する。
【0085】
また、上位レイヤ206は、OAMから取得したDeNBのリストをDeNB情報記憶部に保持する。
【0086】
また、処理能力抽出部217は、上位レイヤからバックホールリンクのキャリア・アグリゲーションで使用される可能性がある周波数帯域の情報と自局のアクセスリンクの周波数帯域設定情報を取得し、当該周波数帯域および周波数帯域の組み合わせ毎の自局の処理能力を抽出して上位レイヤに出力する。
【0087】
また、上位レイヤ206は、アクセスリンクの通信として、Uu下りリンクトラフィックデータとUu下りリンク制御データを第2の符号部214へ出力する。第2の符号部214は、入力された各データを符号化し、第2の変調部215へ出力する。第2の変調部215は、符号化された信号の変調を行なう。また、第2の変調部215は、変調された信号に対して下りリンクリファレンスシグナルを多重し、周波数バンドにマッピングする。第2の送信部216は、第2の変調部215から出力された周波数バンドの信号を時間領域の信号へ変換し、変換した信号を既定の周波数の搬送波にのせて電力増幅を行なうと共に図示しない1つ以上の送信器から送信する。
【0088】
また、第2の受信部210は、受信制御情報で通知された周波数帯域で、図示しない一つ以上の受信器を通じて、後述する移動局装置3や他のリレー局装置から信号を受信し、受信した信号をベースバンドのデジタル信号に変換して、第2の復号部212へ出力する。第2の復号部212は、復調された信号を復号し、Uu上りリンクトラフィックデータとUu上りリンク制御データに適切に分離し、それぞれ上位レイヤ206へ出力する。
【0089】
上位レイヤ206は、これらアクセスリンクに関する各ブロックの制御に必要なアクセスリンク制御情報を第2の制御部213へ出力する。第2の制御部213は、送信に関連する制御情報を送信制御情報として、第2の符号部214、第2の変調部215、第2の送信部216の各ブロックに、受信に関連する制御情報を受信制御情報として、第2の受信部210、第2の復調部211、第2の復号部212の各ブロックに適切に出力する。図2において、その他のリレー局装置2の構成要素は本実施形態に関係ないため省略してある。また、図2においてバックホールリンクの送受信に用いる各処理部と、アクセスリンクに用いる各処理部とはその一部あるいは全てを共通化してもよい。この場合、バックホールリンクの処理とアクセスリンクの処理は時分割で行われる。
【0090】
図3は、本発明の実施形態に係る移動局装置の一例を示すブロック図である。本移動局装置3は、受信部301、復調部302、復号部303、制御部305、符号部306、変調部307、送信部308、上位レイヤ304から構成される。受信に先立ち、上位レイヤ304は、移動局装置制御情報を制御部305に出力する。制御部305は、受信に関する移動局装置制御情報を受信制御情報として、受信部301、復調部302、復号部303へ適切に出力する。受信制御情報は、受信スケジュール情報として、復調情報、復号化情報、受信周波数帯域の情報、各チャネルに関する受信タイミング、多重方法、無線リソース配置情報などの情報が含まれている。
【0091】
また、受信部301は、受信制御情報で通知された周波数帯域で、図示しない一つ以上の受信器を通じて、基地局装置1や他のリレー局装置から信号を受信し、受信した信号をベースバンドのデジタル信号に変換して、復調部302へ出力する。復調部302は、受信信号を復調して復号部303へ出力する。復号部303は、受信制御情報に基づき復調された信号を正しく復号し、下りリンクトラフィックデータと下りリンク制御データに適切に分離し、それぞれ上位レイヤ304へ出力する。
【0092】
また、送信に先立ち、上位レイヤ304は、制御部305へ移動局装置制御情報を出力する。制御部305は、送信に関する移動局装置制御情報を送信制御情報として、符号部306、変調部307、送信部308へ適切に出力する。送信制御情報は、送信信号の上りリンクスケジューリング情報として、符号化情報、変調情報、送信周波数帯域の情報、各チャネルに関する送信タイミング、多重方法、無線リソース配置情報などの情報が含まれている。
【0093】
上位レイヤ304は、符号部306へ上りリンクトラフィックデータと上りリンク制御データを上りリンクチャネルに応じて適切に出力する。符号部306は送信制御情報に従い、各データを適切に符号化し、変調部307に出力する。変調部307は、符号部306で符号化された信号の変調を行なう。また、変調部307は、変調された信号に対して下りリンクリファレンスシグナルを多重し、周波数バンドにマッピングする。
【0094】
送信部308は、変調部307から出力された周波数バンドの信号を時間領域の信号へ変換し、変換した信号を既定の周波数の搬送波にのせて電力増幅を行なうと共に図示しない1つ以上の送信器から送信する。上りリンク制御データが配置される上りリンクデータチャネルは、典型的にはレイヤ3メッセージ(無線リソース制御メッセージ;RRCメッセージ)を構成する。移動局装置3のRRC部は上位レイヤ304の一部として存在する。また、ランダムアクセス処理部306は、移動局装置3のデータリンク層を管理するMAC(Medium Access Control)の一部として存在する。図3において、その他の移動局装置3の構成要素は本実施形態に関係ないため省略してある。
【0095】
続いて、本実施形態におけるリレー局装置2の処理能力の通知方法について図10を参照して説明を行う。本実施形態におけるフェーズ1のリレー局装置起動手順は従来と同じであるため説明を省略する。
【0096】
図10は本実施形態におけるフェーズ2のリレー局装置起動手順の一例を示すシーケンスチャートである。
【0097】
図10において、DeNBのリストを取得したリレー局装置2は、周辺セルからの電波を受信し、DeNBのリストに含まれる基地局装置1によって提供されているセルを検出する(ステップS1001)。次に検出したセルを提供する基地局装置1への接続処理を行う(ステップS1002)。このとき、RN−UnリンクとRN−Uuリンクが同一周波数帯域を使用し、干渉を避けるためにRN−Unリンクの受信中にRN−Uuリンクの送信ができない場合などに、自局がRN−Unリンクにおいてリレー局用のリソースを必要とすることを基地局装置1へ通知する。また、RN−Unリンクの送受信とRN−Uuリンクの送受信が同時に行える場合には、自局がRN−Unリンクにおいてリレー局用のリソースを必要としないことを基地局装置1へ通知する。
【0098】
次に、リレー局装置2は、リレー局装置2のMME(MME RN)との間でネットワーク接続処理を行う(ステップS1003)。次にRN−OAMは、リレー局装置2のアクセスリンクの周波数帯域設定情報をリレー局装置2へ通知する(ステップS1004)。さらに従来と同様にRN−OAMシステムとの間の通信でリレー局としてサービスするための最終的な設定を行う(ステップS1005)。
【0099】
次に、リレー局装置2は、基地局装置1としてネットワークと通信するためのS1インターフェースと隣接する基地局装置1と接続するためのX2インターフェースをDeNBとの間で確立する(ステップS1006およびS1007)。リレー局装置2との間でX2インターフェースを確立したDeNBは、隣接基地局装置1に対して自局のセル構成が変更となったことを通知する(ステップS1008)。
【0100】
次に、DeNBは、バックホールリンクのキャリア・アグリゲーションで使用する可能性がある周波数帯域の情報をバックホールリンク使用周波数帯域情報としてリレー局装置2へ通知する(ステップS1009)。この通知は前記ステップS1007のX2インターフェース確立時に通知してもよい。
【0101】
リレー局装置2は、DeNBとのバックホールリンクのキャリア・アグリゲーションで使用される可能性がある周波数帯域の情報と自局のアクセスリンクの周波数帯域設定情報に基づき、当該周波数帯域および周波数帯域の組み合わせ毎の自局の処理能力をDeNBに通知する(ステップS1010)。このとき、周波数帯域毎に自局がRN−Unリンクにおいてリレー局用のリソースを必要とするか否かの情報を含めて通知してもよい。その後、リレー局装置2はアクセスリンクの無線送信を行い、サービスを開始する(ステップS1011)。サービス開始後、リレー局装置2のトラフィック増加などの理由により、DeNBがバックホールリンクのキャリア・アグリゲーションの設定を行う(ステップS1012)。ここではキャリア・アグリゲーションの設定をステップS1011のサービス開始後におこなっているが、サービス開始前におこなってもよい。
【0102】
以上のように、本実施形態におけるリレー局装置2は、RN−OAMによって設定されたアクセスリンクで使用される周波数帯域と、バックホールリンク使用周波数帯域情報通知によって通知されたバックホールリンクで使用される可能性がある周波数帯域および周波数帯域の組み合わせとを取得し、自局がサポートする周波数帯域毎および周波数帯域の組み合わせ毎の処理能力のうち、前記取得した周波数帯域およびその組み合わせに関する処理能力のみを基地局装置1に通知することで、基地局装置1とリレー局装置2との間における不必要な処理能力の通知による無線リソースの浪費やリレー局装置2の電力消費を軽減することが可能となる。
【0103】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態について以下に説明する。本実施形態は、リレー局装置の処理能力の通知に関する別の例である。
【0104】
本実施形態に用いる基地局装置とリレー局装置と移動局装置の構成は、それぞれ第1の実施形態の基地局装置1(図1)とリレー局装置2(図2)と移動局装置3(図3)と同じ構成で良いため説明を省略する。また、本実施形態におけるフェーズ1のリレー局装置起動手順も第1の実施形態と同じであるため説明を省略する。
【0105】
図11は本実施形態におけるフェーズ2のリレー局装置起動手順の一例を示すシーケンスチャートである。
【0106】
図11において、DeNBのリストを取得したリレー局装置2は、周辺セルからの電波を受信し、DeNBのリストに含まれる基地局装置1によって提供されているセルを検出する(ステップS1101)。次に検出したセルを提供する基地局装置1への接続処理を行う(ステップS1102)。このとき、RN−UnリンクとRN−Uuリンクが同一周波数帯域を使用し、干渉を避けるためにRN−Unリンクの受信中にRN−Uuリンクの送信ができない場合などに、自局がRN−Unリンクにおいてリレー局用のリソースを必要とすることを基地局装置1へ通知する。また、RN−Unリンクの送受信とRN−Uuリンクの送受信が同時に行える場合には、自局がRN−Unリンクにおいてリレー局用のリソースを必要としないことを基地局装置1へ通知する。
【0107】
次に、リレー局装置2は、リレー局装置2のMME(MME RN)との間でネットワーク接続処理を行う(ステップS1103)。次にリレー局装置2はRN−OAMに対して現在接続しているDeNBの識別子(グローバルセル識別子や物理セル識別子、またはDeNBのリスト内の順番に基づく位置情報など)を通知する(ステップS1104)。前記の識別子を通知されたRN−OAMは、リレー局装置2のアクセスリンクの周波数帯域設定情報と、DeNBとなった基地局装置1がバックホールリンクのキャリア・アグリゲーションで使用される可能性がある周波数帯域の情報とをリレー局装置2へ通知する(ステップS1105)。さらに従来と同様にRN−OAMシステムとの間の通信でリレー局としてサービスするための最終的な設定を行う(ステップS1106)。
【0108】
次に、リレー局装置2は、基地局装置1としてネットワークと通信するためのS1インターフェースと隣接する基地局装置1と接続するためのX2インターフェースをDeNBとの間で確立する(ステップS1107およびS1108)。リレー局装置2との間でX2インターフェースを確立したDeNBは、隣接基地局装置1に対して自局のセル構成が変更となったことを通知する(ステップS1109)。
【0109】
リレー局装置2は、DeNBとのバックホールリンクのキャリア・アグリゲーションで使用される可能性がある周波数帯域の情報と自局のアクセスリンクの周波数帯域設定情報に基づき、当該周波数帯域および周波数帯域の組み合わせ毎の自局の処理能力をDeNBに通知する(ステップS1110)。このとき、周波数帯域毎に自局がRN−Unリンクにおいてリレー局用のリソースを必要とするか否かの情報を含めて通知してもよい。また、ステップS1110はステップS1106のリレー局装置動作設定時におこなってもよい。その後、リレー局装置2はアクセスリンクの無線送信を行い、サービスを開始する(ステップS1111)。サービス開始後、リレー局装置2のトラフィック増加などの理由により、DeNBがバックホールリンクのキャリア・アグリゲーションの設定を行う(ステップS1112)。ここでキャリア・アグリゲーションの設定はステップS1111のサービス開始前におこなってもよい。
【0110】
以上のように、本実施形態におけるリレー局装置2は、RN−OAMによって通知されたアクセスリンクで使用される周波数帯域と、バックホールリンク使用周波数帯域情報に基づき、自局がサポートする周波数帯域毎および周波数帯域の組み合わせ毎の処理能力のうち、前記取得した周波数帯域およびその組み合わせに関する処理能力のみを基地局装置1に通知することで、基地局装置1とリレー局装置2との間における不必要な処理能力の通知による無線リソースの浪費やリレー局装置2の電力消費を軽減することが可能となる。
【0111】
なお、以上説明した実施形態は単なる例示に過ぎず、様々な変形例、置換例を用いて実現することができる。
【0112】
また、説明の便宜上、実施形態のリレー局装置2及び基地局装置1を機能的なブロック図を用いて説明したが、リレー局装置2及び基地局装置1の各部の機能またはこれらの機能の一部を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによりリレー局装置2や基地局装置1の制御を行なっても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0113】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、半導体媒体(例えば、RAM、不揮発性メモリカード等)、光記録媒体(例えば、DVD、MO、MD、CD、BD等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるディスクユニット等の記憶装置のことをいう。さらに、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに、前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0114】
また、上記各実施形態に用いたリレー局装置2および基地局装置1の各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現してもよい。各機能ブロックは個別にチップ化してもよいし、一部または全部を集積してチップ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路または汎用プロセッサで実現しても良い。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いることも可能である。
【0115】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も特許請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0116】
1…基地局装置
2…リレー局装置
3…移動局装置
101、201、210、301…受信部
102、202、211、302…復調部
103、203、212、303…復号部
104、205、213、305…制御部
105、207、214、306…符号部
106、208、215、307…変調部
107、209、216、308…送信部
108…ネットワーク信号処理部
109、206、304…上位レイヤ
204…DeNB情報記憶部
217…処理能力抽出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リレー局装置と基地局装置とを具備する通信システムであって、
前記リレー局装置は、自局がアクセスリンクで使用する周波数帯域によって設定される周波数帯域および周波数帯域の組み合わせ毎の処理能力のうち、バックホールリンクで使用される周波数帯域を含む処理能力を抽出し、前記基地局装置に通知することを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記リレー局装置は、接続した基地局装置の識別子を自局の保守及び運用管理をおこなうOAMシステムに通知し、
前記OAMシステムは、前記通知された基地局装置の識別子を持つ基地局装置がバックホールリンクのキャリア・アグリゲーションで使用する可能性がある周波数帯域を、前記バックホールリンクで使用する周波数帯域として、前記リレー局装置に通知することを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項3】
前記基地局装置は、前記バックホールリンクで使用する周波数帯域として、前記リレー局装置に対するバックホールリンクのキャリア・アグリゲーションで使用する可能性がある周波数帯域を、前記リレー局装置に通知することを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項4】
前記基地局装置に通知する処理能力は、周波数帯域ごとにリレー局用のリソースを必要とするか否かの情報を含むことを特徴とする請求項1から3記載の通信システム。
【請求項5】
基地局装置と無線通信を行うリレー局装置であって、
前記リレー局装置は、アクセスリンクで使用する周波数帯域によって設定される周波数帯域および周波数帯域の組み合わせ毎の処理能力のうち、バックホールリンクで使用される周波数帯域を含む処理能力を選択する処理能力抽出部を具備し、
前記処理能力抽出部は、バックホールリンクで使用される周波数帯域として前記基地局装置から取得したバックホールリンクのキャリア・アグリゲーションで使用する可能性がある周波数帯域を用いることを特徴とするリレー局装置。
【請求項6】
リレー局装置と無線通信を行う基地局装置であって、
前記基地局装置は、前記基地局装置に接続した前記リレー局装置に対して、バックホールリンクのキャリア・アグリゲーションで使用する可能性がある周波数帯域を通知し、前記リレー局装置から周波数帯域および周波数帯域の組み合わせ毎の処理能力を取得することを特徴とする基地局装置。
【請求項7】
リレー局装置と基地局装置とを具備する通信システムにおけるリレー局装置処理能力の通知方法であって、
前記基地局装置は、前記リレー局装置に対するバックホールリンクのキャリア・アグリゲーションで使用する可能性がある周波数帯域を、前記リレー局装置に通知するステップと、
前記リレー局装置は、自局がアクセスリンクで使用する周波数帯域によって設定される周波数帯域および周波数帯域の組み合わせ毎の処理能力のうち、前記基地局装置から通知された周波数帯域を含む処理能力を抽出し、前記基地局装置に通知するステップとを含むことを特徴とするリレー局装置処理能力の通知方法。
【請求項8】
基地局装置と無線通信を行うリレー局装置の処理能力を前記基地局装置に通知する集積回路であって、
前記リレー局装置のアクセスリンクで使用する周波数帯域によって設定される周波数帯域および周波数帯域の組み合わせ毎の処理能力のうち、前記基地局装置から取得したバックホールリンクのキャリア・アグリゲーションで使用する可能性がある周波数帯域を含む処理能力を選択する処理能力抽出部を具備することを特徴とする集積回路。
【請求項1】
リレー局装置と基地局装置とを具備する通信システムであって、
前記リレー局装置は、自局がアクセスリンクで使用する周波数帯域によって設定される周波数帯域および周波数帯域の組み合わせ毎の処理能力のうち、バックホールリンクで使用される周波数帯域を含む処理能力を抽出し、前記基地局装置に通知することを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記リレー局装置は、接続した基地局装置の識別子を自局の保守及び運用管理をおこなうOAMシステムに通知し、
前記OAMシステムは、前記通知された基地局装置の識別子を持つ基地局装置がバックホールリンクのキャリア・アグリゲーションで使用する可能性がある周波数帯域を、前記バックホールリンクで使用する周波数帯域として、前記リレー局装置に通知することを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項3】
前記基地局装置は、前記バックホールリンクで使用する周波数帯域として、前記リレー局装置に対するバックホールリンクのキャリア・アグリゲーションで使用する可能性がある周波数帯域を、前記リレー局装置に通知することを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項4】
前記基地局装置に通知する処理能力は、周波数帯域ごとにリレー局用のリソースを必要とするか否かの情報を含むことを特徴とする請求項1から3記載の通信システム。
【請求項5】
基地局装置と無線通信を行うリレー局装置であって、
前記リレー局装置は、アクセスリンクで使用する周波数帯域によって設定される周波数帯域および周波数帯域の組み合わせ毎の処理能力のうち、バックホールリンクで使用される周波数帯域を含む処理能力を選択する処理能力抽出部を具備し、
前記処理能力抽出部は、バックホールリンクで使用される周波数帯域として前記基地局装置から取得したバックホールリンクのキャリア・アグリゲーションで使用する可能性がある周波数帯域を用いることを特徴とするリレー局装置。
【請求項6】
リレー局装置と無線通信を行う基地局装置であって、
前記基地局装置は、前記基地局装置に接続した前記リレー局装置に対して、バックホールリンクのキャリア・アグリゲーションで使用する可能性がある周波数帯域を通知し、前記リレー局装置から周波数帯域および周波数帯域の組み合わせ毎の処理能力を取得することを特徴とする基地局装置。
【請求項7】
リレー局装置と基地局装置とを具備する通信システムにおけるリレー局装置処理能力の通知方法であって、
前記基地局装置は、前記リレー局装置に対するバックホールリンクのキャリア・アグリゲーションで使用する可能性がある周波数帯域を、前記リレー局装置に通知するステップと、
前記リレー局装置は、自局がアクセスリンクで使用する周波数帯域によって設定される周波数帯域および周波数帯域の組み合わせ毎の処理能力のうち、前記基地局装置から通知された周波数帯域を含む処理能力を抽出し、前記基地局装置に通知するステップとを含むことを特徴とするリレー局装置処理能力の通知方法。
【請求項8】
基地局装置と無線通信を行うリレー局装置の処理能力を前記基地局装置に通知する集積回路であって、
前記リレー局装置のアクセスリンクで使用する周波数帯域によって設定される周波数帯域および周波数帯域の組み合わせ毎の処理能力のうち、前記基地局装置から取得したバックホールリンクのキャリア・アグリゲーションで使用する可能性がある周波数帯域を含む処理能力を選択する処理能力抽出部を具備することを特徴とする集積回路。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−222444(P2012−222444A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83636(P2011−83636)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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