説明

通信システムおよびモビリティアンカー

【課題】ポリシーサーバに機能を追加せず、負荷を上昇させない。また、S−GWとP−GW間のI/FにPMIPv6を使用する標準シーケンスの範囲以外にも適用できるようにする。
【解決手段】ポリシーサーバは、第1の端末の通信路、および第2の端末の通信路を関連付けるための追加ベアラ設定要求をモビリティアンカーに送信し、モビリティアンカーは、追加ベアラ設定要求を受信した場合、第1の通信路と第3の通信路と接続する第5の通信路を設定する事の可否を判定し、第5の通信路を設定する事の可否を第5の通信路に関する情報を通信路管理情報に記録し、アクセスゲートウェイ装置へ通信路管理情報を含むリンク作成要求を送信し、アクセスゲートウェイ装置は通信路管理情報に基づいて、第1の端末から第1の通信路を経由して送信されたデータを、第5の通信路、および第3の通信路を経由して第2の端末に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システムおよびモビリティアンカーに関し、特に、同一または近隣のアクセスゲートウェイに収容されるユーザ同士が通信する場合に、ユーザトラフィックをアクセスゲートウェイ内で折返す通信システムおよびモビリティアンカーに関する。
【背景技術】
【0002】
3GPP(3rd Generation Partnership Project)のLTE(Long Term Evolution)に代表される第3.9世代移動体通信網では、ネットワークが全てIP化される。このため、従来、回線交換網によって提供されてきた電話サービスがIP網上で実現される。
【0003】
LTEのIP網は、アクセス網と、アクセス非依存のサービス網とから構成される。LTEのアクセス網は、無線通信を行なう基地局(eNB(evolutional Node B))、端末の位置管理と接続制御とを行なうMME(Mobility Management Entity)、ユーザトラフィックをサービス網に振り分けるS−GW(Serving Gateway)、およびS−GWからのトラフィックをサービス網に転送と課金データの収集とを行なうP−GW(Packet data network Gateway)から構成される。
【0004】
一方、LTEのアクセス非依存のサービス網は、電話サービスの場合、IMS(IP Multimedia Subsystem)と呼ばれる呼制御網になる。IMSにおいて、CSCF(Call Session Control Function)と呼ばれるSIP(Session Initiation Protocol)サーバが、電話番号と端末のIPアドレスとの対応付け、および通話セッションの管理を行なう。また、LTEアクセス網をIMSに接続するP−GWは、端末からCSCFへの呼制御信号および端末間の音声信号を転送し、また、課金データ(転送パケット数、転送データ量等)を収集する機能を備える。
【0005】
LTEアクセス網のMMEとS−GWとは基地局と括りつけのため、基地局に近い場所に設置される。これに対し、LTEアクセス網とIMSとの間を接続するP−GWは、サービス網に括りつけのため、サービス網に近いコア網側に設置される。従って、特に、端末が同じS−GWに収容される場合、IMS用のP−GWまで音声トラフィックを転送することによって転送遅延が発生し、コア網の帯域を圧迫してしまう問題がある。
P−GWを経由させずに音声トラフィックを転送する方法として、端末を収容するMobile Access Gateway(LTEにおいてはS−GWに相当する)の間で直接データパスを確立する方式の“Proxy Mobile IPv6 Route Optization”がある(非特許文献1参照)。しかし、非特許文献1では、Proxy Mobile IPv6 Route Optizationのデータパスの設定方法について規定しているが、設定契機または設定対象の決定方法については言及していない。
【0006】
特許文献1は、P−GW(モビリティアンカー)を通らなくとも課金情報を失わずに、経路の最適化が可能な通信システムおよびアクセスゲートウェイ装置を開示している。ここで、モビリティアンカーは、P−GWの上位概念である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−088013号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】IETF draft-qin-netlmm-pmipro-00 PMIPv6 Route Optimization
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1では、ポリシーサーバがリンク作成要求を送信する為に経路制御の判定を行なう。本来行なわない判定を行なう事でポリシーサーバの負荷が上昇する。ポリシーサーバは、一般に他のノードに比べ、一台当たりで扱う加入者数が多いため負荷上昇しやすい。
【0010】
また、特許文献1は、S−GWとP−GWと間のI/FにPMIPv6(Proxy Mobile Internet Protocol Version 6)を使用する標準シーケンスの範囲以外は適用できない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題は、端末をパケットデータ網に接続するモビリティアンカーと、端末をモビリティアンカーに接続するアクセスゲートウェイ装置と、モビリティアンカーとアクセスゲートウェイ装置を制御するポリシーサーバとを備える通信システムにおいて、アクセスゲートウェイ装置は、第1のアクセスゲートウェイ装置を含み、第1の端末と第1のアクセスゲートウェイ装置との間に第1の通信路が設定され、第1のアクセスゲートウェイ装置とモビリティアンカーとの間に第2の通信路が設定され、第2の端末と第1のアクセスゲートウェイ装置との間に第3の通信路が設定され、第1のアクセスゲートウェイ装置とモビリティアンカーとの間に第4の通信路が設定され、第1の端末は、第1の通信路、第2の通信路、第4の通信路および第3の通信路を経由して第2の端末と通信し、モビリティアンカーは、各端末の通信路に関する情報を含む通信路管理情報を管理し、ポリシーサーバは、第1の端末の通信路、および第2の端末の通信路を関連付けるための追加ベアラ設定要求をモビリティアンカーに送信し、モビリティアンカーは、追加ベアラ設定要求を受信した場合、追加ベアラ設定要求の内容を解析することによって第1の通信路と第3の通信路と接続する第5の通信路を設定する事の可否を判定し、第5の通信路を設定する事の可否を第5の通信路に関する情報を通信路管理情報に記録し、第1のアクセスゲートウェイ装置へ通信路管理情報を含むリンク作成要求を送信し、第1のアクセスゲートウェイ装置は、通信路管理情報に基づいて、第1の端末から第1の通信路を経由して送信されたデータを、第5の通信路、および第3の通信路を経由して第2の端末に送信する通信システムにより、達成できる。
【0012】
さらに、端末をパケットデータ網に接続するモビリティアンカーと、端末をモビリティアンカーに接続するアクセスゲートウェイ装置と、モビリティアンカーとアクセスゲートウェイ装置を制御するポリシーサーバとを備える通信システムにおけるモビリティアンカーであって、アクセスゲートウェイ装置は、第1のアクセスゲートウェイ装置を含み、第1の端末と第1のアクセスゲートウェイ装置との間に第1の通信路が設定され、第1のアクセスゲートウェイ装置とモビリティアンカーとの間に第2の通信路が設定され、また、第2の端末と第1のアクセスゲートウェイ装置との間に第3の通信路が設定され、第1のアクセスゲートウェイ装置とモビリティアンカーとの間に第4の通信路が設定され、第1の端末は、第1の通信路、第2の通信路、第4の通信路および第3の通信路を経由して第2の端末と通信し、モビリティアンカーは、各端末の通信路に関する情報を含む通信路管理情報を管理し、ポリシーサーバは、第1の通信路、および第3の通信路を関連付けるための追加ベアラ設定要求をモビリティアンカーに送信し、モビリティアンカーは、追加ベアラ設定要求を受信した場合、追加ベアラ設定要求の内容を解析することによって第1の通信路と第3の通信路を接続する第5の通信路を設定する事の可否を判定し、第5の通信路を設定する事の可否を第5の通信路に関する情報を通信路管理情報に記録し、アクセスゲートウェイ装置へ通信路管理情報を含むリンク作成要求を送信するモビリティアンカーにより、達成できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ポリシーサーバの負荷上昇させることなく、PMIPv6に依存せずに最短のデータパスを設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】通信網の構成例を説明する図である。
【図2】P−GWの装置構成を説明するブロック図である。
【図3】PCRFが備えるサービス情報管理テーブルの構成を説明する図である。
【図4】PCRFが備えるベアラ情報管理テーブルの構成を説明する図である。
【図5】経路判定後のP−GWが備えるベアラ情報管理テーブルの構成を説明する図である。
【図6】P−GWが実施する経路判定を説明するフローチャート図である。
【図7A】2台のUEが同一のS−GWに収容される場合のセッション確立コールフローを説明するシーケンス図(その1)である。
【図7B】2台のUEが同一のS−GWに収容される場合のセッション確立コールフローを説明するシーケンス図(その2)である。
【図8】通信網の構成例を説明する図である。
【図9】PCRFが備えるベアラ情報管理テーブルの構成を説明する図である。
【図10】経路判定後のP−GWが備えるベアラ情報管理テーブルの構成を説明する図である。
【図11】P−GWが実施する経路判定を説明するフローチャート図である。
【図12A】2台のUEが異なるS−GWに収容される場合のセッション確立コールフローを説明するシーケンス図(その1)である。
【図12B】2台のUEが異なるS−GWに収容される場合のセッション確立コールフローを説明するシーケンス図(その2)である。
【図12C】2台のUEが異なるS−GWに収容される場合のセッション確立コールフローを説明するシーケンス図(その3)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、実施例を用い図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実質同一部位には同じ参照番号を振り、説明は繰り返さない。また、以下で説明する実施例は、3GPPのLTEを説明するが、本発明はこれに限定されず、WiMAXまたはWLAN等の各種無線通信システムにも適用することができる。
【実施例1】
【0016】
以下、図1ないし図7を用いて、UE(User Equipment)71とUE72とが同じS−GW42に収容される場合の処理を説明する。まず、図1を参照して、通信網の構成を説明しよう。図1において、通信網1000は、PDN網1、IMS網2、LTEコアネットワーク3、CSCF11、PCRF(Policy and Charging Rules Function)12、P−GW21、HSS(Home Subscriber Server)22、MME41、42、S−GW42、52、eNB43A〜43C、eNB53A〜53Cを備える。
【0017】
UE71およびUE72は、無線通信機能を備えるユーザ端末である。UE71およびUE72は、eNB43(43A〜43C)を経由して通信事業者のネットワークに接続される。
【0018】
通信事業者のネットワークは、都道府県などのエリア単位に構築されるeNB43A〜43C、eNB53A〜53Cと、全国の地域網を集約するPDN網1、eNB43A〜43C、eNB53A〜53CとPDN網1との間を接続するLTEコアネットワーク3、並びにサービス単位に設置されるIMS網2から構成される。
【0019】
通信事業者のネットワークは、端末と無線通信を行なうeNB43(43A〜43C)、端末の移動管理や接続制御を行なうMME41、および端末からのユーザトラフィックをサービス網に振り分けるS−GW42が接続される。eNB53(53A〜53C)も同様である。なお、特に区別しない場合、eNB43(43A〜43C)およびeNB53(53A〜53C)をeNB43、53と記載する。
【0020】
LTEコアネットワーク3には、ユーザの認証情報を管理するHSS22と、ユーザトラフィックをIMS網2に転送するP−GW21とが接続される。
【0021】
また、本実施例において、電話の呼制御を行なうのはIMS網2である。IMS網2は、呼制御サーバ(CSCF)11と、CSCF11から送信されるサービス情報に基づいてP−GW21およびS−GW42、52を制御するポリシーサーバ(PCRF)12とが接続される。
【0022】
従来は、UE71から送信される音声データは、破線で示すパスを経由してUE72に送信されていた。つまり、従来の音声データパスは、必ずP−GW21を経由するものであった。
【0023】
実施例1では、後述する処理(図7を参照して後述)によって、音声データパスが実線に示すようなパスになる。つまり、P−GW21を経由せず、S−GW42内で音声データが折り返されて送信される。
【0024】
図2を参照して、P−GW21の装置構成を説明する。図2において、P−GW21は、Hard Disk101、CPU102、RAM103、およびIF104A、104Bを備える。これらは、バス105を介して互いに接続されている。
【0025】
P−GW21の機能を実現するためのプログラムは、Hard Disk101に格納されている。プログラムは、P−GW21の起動時にRAM103に展開される。CPU102は、RAM103内に展開されたプログラムを実行する。
【0026】
図3を参照して、PCRF12が備えるサービス情報管理テーブル150の構成を説明する。図3において、サービス情報管理テーブル150は、CSCF11から送信されたサービス情報を管理する。サービス情報は、音声データがどのような通信を用いて端末間で送信されているかを示す情報である。なお、音声データに限らず、他のサービスに関する情報も含まれる。
【0027】
サービス情報管理テーブル150は、サービスセッションID151、フロー情報152を含む。サービスセッションID151は、サービスセッションを一意に識別する識別子を格納する。また、フロー情報152は、サービスセッションに属するフローの情報として、フローID152A、フローフィルタ152B、メディア種別152Cおよび帯域152Dを含む。
【0028】
フローID152Aは、フローを一意に識別する識別子を格納する。フローフィルタ152Bは、フローを特定するための情報を格納する。具体的には、通信が行なわれるノードのIPアドレスおよびポート番号を格納する。メディア種別152Cは、フローのメディアの種別を格納する。例えば、メディア種別152Cが「audio」の場合、音声通信を示す。帯域152Dは、フローが使用している帯域を示す値を格納する。具体的には、毎秒あたりの送信データ量が格納される。
図3において、フロー情報152には、エントリ150Aおよびエントリ150Bが作成されている。
【0029】
図4を参照して、PCRF12が備えるベアラ情報管理テーブル170の構成を説明する。図4において、ベアラ情報管理テーブル170は、P−GW21およびS−GW42、52から送信されるベアラ情報を管理する。ベアラ情報は、サービスフローを転送するために使用されるベアラに関する情報である。
【0030】
ベアラ情報管理テーブル170は、ユーザID171、ユーザIP172、P−GW ID173、S−GW ID174、およびベアラ情報175を含む。ユーザID171は、端末を一意に識別するための識別子を格納する。図1のUE71のユーザID171は、「ユーザ#1」が割り当てられている。一方、UE72のユーザID171は、「ユーザ#2」が割り当てられている。
【0031】
ユーザIP172は、端末に割り当てられたIPアドレスを格納する。図1のUE71のユーザIPは「192.168.0.100」が割り当てられている。一方、UE72のユーザIP172は「192.168.0.200」が割り当てられている。
【0032】
P−GW ID173は、音声データを転送するときに経由するP−GW21に割り当てられたIPアドレスを格納する。S−GW ID174は、音声データを転送するときに経由するS−GW42、52に割り当てられたIPアドレスを格納する。
【0033】
ベアラ情報175は、S−GW42、52およびP−GW21に設定されたベアラに関する情報を格納する。具体的には、ベアラ情報175は、フローID175A、P−GW内ベアラID175B、およびS−GW内ベアラID175Cを含む。
【0034】
フローID175Aは、設定されたベアラを使用して転送されるフローを識別するための識別子を格納する。フローID152Aと同一のものである。P−GW内ベアラID175Bは、P−GW21内に設定されたベアラを識別するための識別子を格納する。P−GW内ベアラID175Bは、P−GW21が割り当てる識別子である。S−GW内ベアラID175Cは、S−GW42、52内に設定されたベアラを識別するための識別子を格納する。S−GW内ベアラID175Cは、S−GW42、52が割り当てる識別子である。
【0035】
図4において、ベアラ情報175には、エントリ170A、170Bが作成されている。エントリ170Aとエントリ170Bは、共にS−GW42のIPアドレスが割り当てられている。
【0036】
従来は、P−GW21を経由して音声データ等が転送されるため、P−GW内ベアラID175Bは、必ず設定される情報であった。しかし、実施例1では、後述する処理によって、P−GW21を経由せずに音声データ等が転送される。
【0037】
図5を参照して、P−GW21が備えるベアラ情報管理テーブル180を説明する。図5において、ベアラ情報管理テーブル180は、図4のPCRF12が備えるベアラ情報管理テーブル170の情報に基づいて、P−GW21において、同一S−GWでの折返し決定(図6を参照して後述)した場合の情報を管理する。ベアラ情報は、サービスフローを転送するために使用されるベアラに関する情報である。
【0038】
図5において、ベアラ情報管理テーブル180は、ユーザID181、ユーザIP182、P−GW ID183、S−GW ID184およびベアラ情報185を含む。ユーザID181は、端末を一意に識別するための識別子を格納する。図1のUE71のユーザID181は「ユーザ#1」が割り当てられる。一方、UE72のユーザID181は「ユーザ#2」が割り当てられている。ユーザIP182は、端末に割り当てられたIPアドレスを格納する。UE71のユーザIPは、「192.168.0.100」が割り当てられている。一方、UE72のユーザIP182は「192.168.0.200」が割り当てられている。
【0039】
P−GW ID183は、音声データを転送するときに経由するP−GW21に割り当てられたIPアドレスを格納する。S−GW ID184は、音声データを転送するときに経由するS−GW42、52に割り当てられたIPアドレスを格納する。
【0040】
ベアラ情報185は、経路判定(図7を参照して後述)の情報に基づいて決定する。ベアラ情報185は、S−GW42、52およびP−GW21に設定するベアラに関する情報を格納する。ベアラ情報185は、具体的には、フローID185A、P−GW内ベアラID185B、およびS−GW内ベアラID185Cを含む。
【0041】
フローID185Aは、設定されたベアラを使用して転送されるフローを識別するための識別子を格納する。フローID185Aは、フローID152Aと同一のものである。P−GW内ベアラID185Bは、P−GW21内に設定するベアラを識別するための識別子を格納する。P−GW内ベアラID185Bは、P−GW21が割り当てる識別子である。S−GW内ベアラID185Cは、S−GW42、52内に設定するベアラを識別するための識別子を格納する。S−GW内ベアラID185Cは、P−GW21が割り当てる識別子である。
【0042】
図5において、ベアラ情報185には、エントリ180A、180Bが作成されている。図4のベアラ管理情報170において、エントリ170Aとエントリ170Bは共にP−GW21のIPアドレスとS−GW42のIPアドレスが割り当てられている。このため、ベアラ情報185のP−GW内ベアラID185Bに、P−GW21内に設定するベアラを識別するための識別子に「−」を設定する。S−GW内ベアラID185Cについて、エントリ180Aに、通信相手のユーザID181の「ユーザ#2(UE72)」とS−GW内ベアラID「5201」を含むS−GW内ベアラID「5101」が設定される。一方、エントリ180Bに、通信相手のユーザID181の「ユーザ#1(UE71)」とS−GW内ベアラID「5101」を含むS−GW内ベアラID「5201」が設定される。なお、P−GW内ベアラID185Bの識別子に「−」を設定した場合、P−GWにベアラは追加されない。
【0043】
図6を参照して、P−GW21の経路判定のフローを説明する。図6において、このフローは、PCRFからの追加ベアラ設定要求待ち状態時に開始される。P−GW21は、PCRFから追加ベアラ設定要求の受信を待つ(S101:NO)。PCRFから追加ベアラ設定要求の受信したとき(S101:YES)、P−GW21は、追加ベアラ設定要求に含まれるユーザ情報を取得する(S102)。P−GW21は、ベアラ情報テーブル170の情報に基づき複数のUEが同一P−GWに収容されているか判定する(S103)。YESのとき、P−GW21は、2台のUEが同一S−GWに収容されているか判定する(S104)。YESのとき、P−GW21は、同一S−GW内での折返し決定して(S106)、経路判定を終了する。ステップ103またはステップ104でNOのとき、P−GW21は、そのまま経路判定を終了する。
【0044】
図7を参照して、2台のUEが同一のS−GWに収容される場合のセッション確立コールフローを説明する。図7Aにおいて、はじめに、UE71は、eNB43C、MME41、およびS−GW42を経由してP−GW21に接続され、汎用ベアラが確立された状態にある。また、UE72は、eNB43A、MME41、およびS−GW42を経由してP−GW21に接続され、汎用ベアラが確立された状態にある。このとき、UE71にはIPアドレス「192.168.0.100」が割り当てられている。一方、UE72にはIPアドレス「192.168.0.200」が割り当てられている。また、PCRF12が管理するベアラ情報管理テーブル170は、汎用ベアラに関係するエントリ170Aおよびエントリ170Bが設定された状態にある。
【0045】
次に、UE71とUE72との間でSIPを用いて通話セッションの交渉が行なわれる(S401)。なお、線上に付した○は、通話セッションの参加メンバである。CSCF11は、UE71とUE72との間で送受信されるSIPメッセージからサービス情報(音声トラフィックの通信IPアドレス、ポート番号、メディア種別、使用帯域等)を抽出し、抽出されたサービス情報をPCRF12に送信する(S402)。PCRF12は、送信された情報をサービス情報管理テーブル150に設定し、CSCF11に対してACKを返信する(S403)。図3の150Aおよび150Bは、UE71とUE72とが双方向の音声通信を交渉した場合の設定を示している。
【0046】
次に、PCRF12は、送信されたサービス情報に基づいて、ベアラ確立に関するポリシーを決定する(S404)。ステップ404でベアラ確立に関するポリシーを決定したPCRF12は、P−GW21に対して追加ベアラ設定要求を送信する(S406)。追加ベアラ設定要求には、ユーザID171、フローフィルタ152B、およびQoS/課金情報が含まれる。なお、専用ベアラ設定要求には、他の情報も含まれる。
【0047】
追加ベアラ設定要求を受信したP−GW21は、受信した追加ベアラ設定要求に含まれる情報に基づいて、経路判定を行なう(S407)。経路判定後、P−GW21は、S−GW42に対してS−GW折返しベアラ設定要求を送信する(S408)。S−GW折返しベアラ設定要求には、ベアラ情報テーブル180、およびQoS/課金情報が含まれる。なお、S−GW折返しベアラ設定要求には、他の情報も含まれる。
【0048】
S−GW折返しベアラ設定要求を受信したS−GW42は、受信したS−GW折返しベアラ設定要求に含まれる情報に基づいて、MME41にベアラ確立要求を送信し、UE71とeNB43Cとの間、およびeNB43CとS−GW42との間に追加ベアラを確立する(S409)。
【0049】
ステップ409で追加ベアラが確立された後、S−GW42は、P−GW21に対してS−GW折返しベアラ設定応答を返信する(S411)。S−GW折返しベアラ設定応答を受信したP−GW21はPCRF12に対して追加ベアラ設定応答を返信する(S412)。次に、PCRF12は、P−GW21に対して追加ベアラ設定要求を送信する(S413)。
【0050】
図7Bにおいて、追加ベアラ設定要求を受信したP−GW21は、UE72を収容するS―GW42に対してS−GW折返しベアラ設定要求を送信する(S414)。
【0051】
ステップ414〜ステップ417は、ステップ408〜ステップ411と同様の処理が行なわれる。つまり、ステップ414において、S−GW折返しベアラ設定要求を受信したS−GW42は、ステップ416において、受信したS−GW折返しベアラ設定要求に含まれる情報に基づいて、MME41にベアラ確立要求を送信し、UE72とeNB43Aとの間、およびeNB43AとS−GW42との間に追加ベアラを確立し、ステップ417において、S−GW42は、P−GW21に対してS−GW折返しベアラ設定応答を返信する。
【0052】
S−GW折返しベアラ設定応答を受信したP−GW21は、PCRF12に対して追加ベアラ設定応答を返信する(S418)。次に、PCRF12は、P−GW21に対してベアラ間リンク作成要求を送信する(S419)。ベアラ間リンク作成要求には、リンク元ベアラ情報(UE71が音声データを送受信するために用いられるベアラに関する情報)とリンク先ベアラ情報(UE72が音声データを送受信するために用いられるベアラに関する情報)とが含まれている。
【0053】
ベアラ間リンク作成要求を受信したP−GW21は、S−GW42に対してベアラ間リンク作成要求を送信する(S421)。ベアラ間リンク作成要求を受信したS−GW42は、受信したベアラ間リンク作成要求に含まれる情報に基づいて、ベアラ間のリンク情報を作成する(S422)。
【0054】
ステップ422においてベアラ間リンクを作成したS−GW42は、MME41に対してリンク作成通知を送信する(S234)。送信されるリンク作成通知には、リンク情報が含まれる。リンク作成通知を受信したMME41は、リンク作成通知に含まれるリンク情報格納し、ACKをS−GW42に返信する(S424)。次に、S−GW42は、ベアラリンク作成応答をP−GW21に対して送信する(S426)。
【0055】
ベアラリンク作成応答を受信したP−GW21はPCRF12に対してベアラリンク作成応答を送信する(S427)。ベアラリンク作成応答を受信したPCRF12は、ベアラ設定完了通知をCSCF11に送信する(S428)。ベアラ設定完了通知を受信したCSCF11は、ACKをPCRF12に返信する(S429)。UE71とUE72とは、その間のSIPセッション確立を完了させる(S431)。
【0056】
これ以降、UE71とUE72との間の音声通信が開始され、音声トラフィックが[MN71−eNB43C−S−GW42−eNB43A−CN72]の経路で転送される。
【0057】
従来の通信システムでは、音声トラフィックがPCRF12のQoS判定ルーチンにより[MN71−eNB43C−S−GW42−eNB43A−CN72]の経路で転送されるが、本実施例では、P−GW21で経路判定を行なう点に特徴がある。
【実施例2】
【0058】
実施例2では、UE71とUE72が異なるS−GW42、S−GW52に収容される場合の音声トラフィックの経路を説明する。以下、図8ないし図12を用いてUE71とUE72とが異なるS−GW42、S−GW52に収容される場合のセッション確立処理を説明する。まず、図8を参照して、実施例2における通信網の構成を説明する。図8において、UE71は、S−GW52に収容されている。一方、UE72はS−GW42に収容されている。
【0059】
従来の通信システムでは、[UE71−eNB53A−S-GW52−P-GW21−S-GW42−eNB43A−UE72]の経路で音声トラフィックが転送される。しかし、実施例2では、後述する処理によって、[UE71−eNB53A−S-GW52−S-GW42−eNB43A−UE72]の経路で音声トラフィックが転送される。
【0060】
図9を参照して、PCRF12が備えるベアラ情報管理テーブル190の構成を説明する。図9において、ベアラ情報管理テーブル190は、P−GW21およびS−GW42、52から送信されるベアラ情報を管理する。ベアラ情報は、サービスフローを転送するために使用されるベアラに関する情報である。ベアラ情報管理テーブル190は、ユーザID191、ユーザIP192、P−GW ID193、S−GW ID194、およびベアラ情報195を含む。
【0061】
ユーザID191は、端末を一意に識別するための識別子を格納する。図8のUE71のユーザID191は「ユーザ#1」が割り当てられる。一方、UE72のユーザID191は「ユーザ#2」が割り当てられている。ユーザIP192は、端末に割り当てられたIPアドレスを格納する。図8のUE71のユーザIPは、「192.168.0.100」が割り当てられる。一方、UE72のユーザIP192は、「192.168.0.200」が割り当てられている。
【0062】
P−GW ID193は、音声データを転送するときに経由するP−GW21に割り当てられたIPアドレスを格納する。S−GW ID194は、音声データを転送するときに経由するS−GW42、52に割り当てられたIPアドレスを格納する。
【0063】
ベアラ情報195は、S−GW42、52およびP−GW21に設定されたベアラに関する情報を格納し、具体的には、フローID195A、P−GW内ベアラID195B、およびS−GW内ベアラID195Cを含む。フローID195Aは、設定されたベアラを使用して転送されるフローを識別するための識別子を格納する。フローID152Aと同一のものである。P−GW内ベアラID195Bは、P−GW21内に設定されたベアラを識別するための識別子を格納する。P−GW内ベアラID195Bは、P−GW21が割り当てる識別子である。S−GW内ベアラID195Cは、S−GW42、52内に設定されたベアラを識別するための識別子を格納する。S−GW内ベアラID195Cは、S−GW42、52が割り当てる識別子である。
【0064】
図9において、ベアラ情報195には、エントリ190A〜190Bが作成されている。エントリ190AにはS−GW52のIPアドレス、エントリ190BにはS−GW42のIPアドレスが割り当てられている。
【0065】
従来は、P−GW21を経由して音声データ等が転送されるため、P−GW内ベアラID195Bは、必ず設定される情報であった。しかし、実施例2では、後述する処理によって、P−GW21を経由せずに音声データ等が転送される。
【0066】
図10を参照して、P−GW21において、複数S−GW間での折返し決定(図11を参照して後述)した場合のベアラ情報テーブル200を説明する。図10において、ベアラ情報管理テーブル200は、図9のPCRF12が備えるベアラ情報管理テーブル190の情報に基づいて、P−GW21において、複数S−GW間での折返し決定した場合の情報を管理する。ベアラ情報は、サービスフローを転送するために使用されるベアラに関する情報である。
【0067】
図10において、ベアラ情報管理テーブル200は、ユーザID201、ユーザIP202、P−GW ID203、S−GW ID204、およびベアラ情報205を含む。ユーザID201は、端末を一意に識別するための識別子を格納する。図8のUE71のユーザID201は、「ユーザ#1」が割り当てられる。一方、UE72のユーザID201は、「ユーザ#2」が割り当てられている。
【0068】
ユーザIP202は、端末に割り当てられたIPアドレスを格納する。図8のUE71のユーザIPは、「192.168.0.100」が割り当てられる。一方、UE72のユーザIP202は「192.168.0.200」が割り当てられている。
【0069】
P−GW ID203は、音声データを転送するときに経由するP−GW21に割り当てられたIPアドレスを格納する。S−GW ID204は、音声データを転送するときに経由するS−GW42、52に割り当てられたIPアドレスを格納する。
【0070】
ベアラ情報205は、経路判定(図12参照)の情報に基づいて決定する。ベアラ情報205は、S−GW42、52およびP−GW21に設定するベアラに関する情報を格納する。具体的には、ベアラ情報205は、フローID185A、P−GW内ベアラID205B、およびS−GW内ベアラID205Cを含む。
【0071】
フローID205Aは、設定されたベアラを使用して転送されるフローを識別するための識別子を格納する。フローID205Aは、フローID152Aと同一のものである。P−GW内ベアラID205Bは、P−GW21内に設定するベアラを識別するための識別子を格納する。P−GW内ベアラID205Bは、P−GW21が割り当てる識別子である。S−GW内ベアラID205Cは、S−GW42、52内に設定するベアラを識別するための識別子を格納する。S−GW内ベアラID205Cは、P−GW21が割り当てる識別子である。
【0072】
図10において、ベアラ情報205には、エントリ200A〜200Bが作成されている。ベアラ管理情報190において、エントリ190Aとエントリ190Bは共にP−GW21のIPアドレスが割り当てられている。また、エントリ190AにはS−GW52IPアドレス、エントリ190BにはS−GW42のIPアドレスが割り当てられている。このため、ベアラ情報205のP−GW内ベアラID205Bは、P−GW21内に設定するベアラを識別するための識別子に「−」を設定している。一方、S−GW内ベアラID185Cについて、エントリ180Aには通信相手のユーザID181の「ユーザ#2(UE72)」とS−GW内ベアラID「5201」を含むS−GW内ベアラID「5101」が設定されている。また、エントリ180Bには通信相手のユーザID181の「ユーザ#1(UE71)」とS−GW内ベアラID「5101」を含むS−GW内ベアラID「5201」が設定される。なお、P−GW内ベアラID185Bの識別子に「−」を設定した場合、P−GWにベアラは追加されない。
【0073】
図11を参照して、P−GW21の経路判定のフローを説明する。図11において、このフローは、PCRFからの追加ベアラ設定要求待ち状態時に開始される。なお、図11のステップ111〜ステップ116は、図6のステップ101〜ステップ106と同一なので説明を省く。1点の違いは、2台のUEが同一S−GWに収容されているかの判定(S104、S114)で、経路最適化を行なわない(S104)か、複数台のS−GW間での折り返しを決定する(S114)かである。
【0074】
図12を参照して、UE71とUE72とが異なるS−GWに収容される場合のセッション確立コールフローを説明する。
図12Aにおいて、はじめに、UE71は、eNB53A、MME51、およびS−GW52経由でP−GW21に接続され、汎用ベアラを確立された状態にある。また、UE72は、eNB43A、MME41、S−GW42経由でP−GW21に接続され、汎用ベアラを確立された状態にある。このとき、UE71にはIPアドレス「192.168.0.100」が割り当てられている。一方、UE72にはIPアドレス「192.168.0.200」が割り当てられている。また、PCRF12が管理するベアラ情報管理テーブル190は、汎用ベアラに関係するエントリ190Aおよびエントリ190Cが設定された状態にある。
【0075】
UE71とUE72とは、SIPを用いて通話セッションの交渉が行なわれる(S451)。CSCF11は、UE71とUE72との間で送受信されるSIPメッセージからサービス情報(音声トラフィックの通信IPアドレス、ポート番号、メディア種別、使用帯域等)を抽出し、抽出されたサービス情報をPCRF12に送信する(S452)。PCRF12は、送信された情報をサービス情報管理テーブル150に設定し、CSCF11に対してACKを返信する(S453)。図3の150Aおよび150Bは、UE71とUE72とが双方向の音声通信を交渉した場合の設定を示している。
【0076】
次に、PCRF12は、送信されたサービス情報に基づいて、ベアラ確立に関するポリシーを決定する(S454)。ベアラ確立に関するポリシーを決定したPCRF12は、P−GW21に対して追加ベアラ設定要求を送信する(S456)。追加ベアラ設定要求には、ユーザID171、フローフィルタ152B、およびQoS/課金情報が含まれる。なお、専用ベアラ設定要求には、他の情報も含まれる。
【0077】
追加ベアラ設定要求を受信したP−GW21は、受信した追加ベアラ設定要求に含まれる情報に基づいて、経路判定を行なう(S457)。経路判定後、P−GW21は、S−GW52に対して複数S−GW間折返しベアラ設定要求を送信する(S458)。複数S−GW間折返しベアラ設定要求には、ベアラ情報テーブル190、およびQoS/課金情報が含まれる。なお、複数S−GW間折返しベアラ設定要求には、他の情報も含まれる。
【0078】
複数S−GW間折返しベアラ設定要求を受信したS−GW52は、受信したS−GW折返しベアラ設定要求に含まれる情報に基づいて、MME51にベアラ確立要求を送信し、UE71とeNB53Aとの間、およびeNB53AとS−GW52との間に追加ベアラを確立する(S459)。
【0079】
ステップ459で追加ベアラが確立された後、S−GW52は、P−GW21に対して複数S−GW間折返しベアラ設定応答を返信する(S461)。S−GW折返しベアラ設定応答を受信したP−GW21は、PCRF12に対して追加ベアラ設定応答を返信する(S462)。
【0080】
図12Bにおいて、次に、PCRF12は、P−GW21に対して追加ベアラ設定要求を送信する(S463)。追加ベアラ設定要求を受信したP−GW21は、UE72を収容するS―GW42に対して複数S−GW間折返しベアラ設定要求を送信する(S464)。
【0081】
ステップ464〜ステップ467は、ステップ458〜ステップ461と同様の処理がP−GW21とS−GW42間、S−GW42とMME41間、MME41とeNB43A間、eNB43AとUE72間で行なわれる。つまり、ステップ464において、複数S−GW間折返しベアラ設定要求を受信したS−GW42は、受信した複数S−GW間折返しベアラ設定要求に含まれる情報に基づいて、ステップ466において、MME41にベアラ確立要求を送信し、UE72とeNB43Aとの間、およびeNB43AとS−GW42との間に追加ベアラを確立する。また、ステップ467において、S−GW42は、P−GW21に対して複数S−GW間折返しベアラ設定応答を返信する。
【0082】
複数S−GW間折返しベアラ設定応答を受信したP−GW21は、PCRF12に対して追加ベアラ設定応答を返信する(S468)。次に、PCRF12は、P−GW21に対してベアラ間リンク作成要求を送信する(S469)。ベアラ間リンク作成要求には、リンク元ベアラ情報(UE71が音声データを送受信するために用いられるベアラに関する情報)とリンク先ベアラ情報(UE72が音声データを送受信するために用いられるベアラに関する情報)とが含まれている。
【0083】
ベアラ間リンク作成要求を受信したP−GW21は、S−GW52に対してベアラ間リンク作成要求を送信する(S462)。
【0084】
次に、ベアラ間リンク作成要求を受信したS−GW52は、受信したベアラ間リンク作成要求をS−GW42へ送信する(S471)。
【0085】
図12Cに移って、ステップ471において、ベアラ間リンク作成要求を受信したS−GW42は、受信したベアラ間リンク作成要求に含まれる情報に基づいて、ベアラ間のリンク情報を作成する(S501)。ベアラ間リンクを作成したS−GW42は、MME41に対してリンク作成通知を送信する(S502)。送信されるリンク作成通知には、リンク情報が含まれる。リンク作成通知を受信したMME41は、リンク作成通知に含まれるリンク情報格納し、ACKをS−GW42に返信する(S503)。
【0086】
次に、S−GW42は、ベアラリンク作成応答をS−GW52に対して送信する(S504)。ベアラリンク作成応答をS−GW42から受信したS−GW52は、ステップ469において、P−GW21から受信したベアラリンク作成要求に含まれる情報に基づいて、ベアラ間のリンク情報を作成する(S506)。ベアラ間リンクを作成したS−GW52は、MME51に対してリンク作成通知を送信する(S507)。送信されるリンク作成通知には、リンク情報が含まれる。リンク作成通知を受信したMME51は、リンク作成通知に含まれるリンク情報格納し、ACKをS−GW52に返信する(S508)。
【0087】
次に、S−GW52は、ベアラリンク作成応答をP−GW21に対して送信する(S509)。ベアラリンク作成応答を受信したP−GW21は、PCRF12に対してベアラリンク作成応答を送信する(S511)。ベアラリンク作成応答を受信したPCRF12は、ベアラ設定完了通知をCSCF11に送信する(S512)。ベアラ設定完了通知を受信したCSCF11は、ACKをPCRF12に返信する(S513)。UE71とUE72とは、その間のSIPセッション確立を完了させる(S514)。
【0088】
これ以降、UE71とUE72との間の音声通信が開始され、音声トラフィックが[UE71−eNB53A−SGW52−SGW42−eNB43A−UE72]の経路で転送される。
【0089】
従来の通信システムでは、音声トラフィックがPCRF12のQoS判定ルーチンにより[MN71−eNB53A−SGW52−SGW42−eNB43A−CN72]の経路で転送されるが、本実施例では、P−GW21で経路判定を行なう点に特徴がある。
【0090】
本実施例によれば、ポリシーサーバの負荷上昇させることなく、PMIPv6に依存せずに最短のデータパスを設定することができる。
【符号の説明】
【0091】
1…PDN網、2…IMS網、3…LTEコアネットワーク、11…呼制御サーバ(CSCF)、12…ポリシーサーバ(PCRF)、21…P−GW、22…HSS、41…MME、42…S−GW、43(A〜C)…eNB、51…MME、52…S−GW、53(A〜C)…eNB、71…UE、72…UE、150…サービス情報管理テーブル、170…ベアラ情報管理テーブル(PCRF、同一S−GW折返し時)、180…ベアラ情報管理テーブル(P−GW、同一S−GW折返し時)、190…ベアラ情報管理テーブル(PCRF、異なるS−GW間での折返し時)、200…ベアラ情報管理テーブル(P−GW、異なるS−GW間での折返し時)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末をパケットデータ網に接続するモビリティアンカーと、前記端末を前記モビリティアンカーに接続するアクセスゲートウェイ装置と、前記モビリティアンカーと前記アクセスゲートウェイ装置を制御するポリシーサーバとを備える通信システムにおいて、
前記アクセスゲートウェイ装置は、第1のアクセスゲートウェイ装置を含み、
第1の端末と前記第1のアクセスゲートウェイ装置との間に第1の通信路が設定され、前記第1のアクセスゲートウェイ装置と前記モビリティアンカーとの間に第2の通信路が設定され、第2の端末と前記第1のアクセスゲートウェイ装置との間に第3の通信路が設定され、前記第1のアクセスゲートウェイ装置と前記モビリティアンカーとの間に第4の通信路が設定され、
前記第1の端末は、前記第1の通信路、前記第2の通信路、前記第4の通信路および前記第3の通信路を経由して前記第2の端末と通信し、
前記モビリティアンカーは、前記各端末の通信路に関する情報を含む通信路管理情報を管理し、
前記ポリシーサーバは、前記第1の端末の通信路、および前記第2の端末の通信路を関連付けるための追加ベアラ設定要求を前記モビリティアンカーに送信し、
前記モビリティアンカーは、前記追加ベアラ設定要求を受信した場合、追加ベアラ設定要求の内容を解析することによって前記第1の通信路と前記第3の通信路と接続する第5の通信路を設定する事の可否を判定し、前記第5の通信路を設定する事の可否を前記第5の通信路に関する情報を前記通信路管理情報に記録し、前記第1のアクセスゲートウェイ装置へ前記通信路管理情報を含むリンク作成要求を送信し、
前記第1のアクセスゲートウェイ装置は、前記通信路管理情報に基づいて、前記第1の端末から前記第1の通信路を経由して送信されたデータを、前記第5の通信路、および前記第3の通信路を経由して前記第2の端末に送信することを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記アクセスゲートウェイ装置は、さらに、第2のアクセスゲートウェイ装置を含み、
前記第1の端末と前記第2の端末とが、同一の前記モビリティアンカーと、異なる前記アクセスゲートウェイ装置とを経由し、前記第1の端末が前記第2のアクセスゲートウェイ装置を経由する場合、前記第1の端末と前記第2のアクセスゲートウェイ装置との間に第6の通信路が設定され、前記第2のアクセスゲートウェイ装置と前記モビリティアンカーとの間に第7の通信路が設定され、また、前記第2の端末と前記第1のアクセスゲートウェイ装置との間に前記第3の通信路が設定され、前記第1のアクセスゲートウェイ装置と前記モビリティアンカーとの間に前記第4の通信路が設定され、
前記第1の端末は、前記第6の通信路、前記第7の通信路、前記第4の通信路および前記第3の通信路を経由して前記第2の端末と通信し、
前記モビリティアンカーは、前記各端末の通信路に関する情報を含む通信路管理情報を管理し、
前記ポリシーサーバは、前記第1の端末の通信路および前記第2の端末の通信路を関連付けるための追加ベアラ設定要求を前記モビリティアンカーに送信し、
前記モビリティアンカーは、前記追加ベアラ設定要求を受信した場合、追加ベアラ設定要求の内容を解析することによって前記第3の通信路と前記第6の通信路と接続する第8の通信路を前記第1のアクセスゲートウェイ装置と前記第2のアクセスゲートウェイ装置との間に設定する事の可否を判定し、前記第8の通信路を設定する事の可否を前記第8の通信路に関する情報を前記通信路管理情報に記録し、前記アクセスゲートウェイ装置へ前記通信路管理情報を含むリンク作成要求を送信し、
前記アクセスゲートウェイ装置は、前記通信路管理情報に基づいて、前記第1の端末から前記第6の通信路を経由して送信されたデータを、前記第7の通信路および前記第3の通信路を経由して前記第2の端末に送信することを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
端末をパケットデータ網に接続するモビリティアンカーと、前記端末を前記モビリティアンカーに接続するアクセスゲートウェイ装置と、前記モビリティアンカーと前記アクセスゲートウェイ装置を制御するポリシーサーバとを備える通信システムにおけるモビリティアンカーであって、
前記アクセスゲートウェイ装置は、第1のアクセスゲートウェイ装置を含み、
第1の端末と前記第1のアクセスゲートウェイ装置との間に第1の通信路が設定され、前記第1のアクセスゲートウェイ装置と前記モビリティアンカーとの間に第2の通信路が設定され、また、第2の端末と前記第1のアクセスゲートウェイ装置との間に第3の通信路が設定され、前記第1のアクセスゲートウェイ装置と前記モビリティアンカーとの間に第4の通信路が設定され、
前記第1の端末は、前記第1の通信路、前記第2の通信路、前記第4の通信路および前記第3の通信路を経由して前記第2の端末と通信し、
前記モビリティアンカーは、前記各端末の通信路に関する情報を含む通信路管理情報を管理し、
前記ポリシーサーバは、前記第1の通信路、および前記第3の通信路を関連付けるための追加ベアラ設定要求を前記モビリティアンカーに送信し、
前記モビリティアンカーは、前記追加ベアラ設定要求を受信した場合、追加ベアラ設定要求の内容を解析することによって前記第1の通信路と前記第3の通信路を接続する第5の通信路を設定する事の可否を判定し、前記第5の通信路を設定する事の可否を前記第5の通信路に関する情報を前記通信路管理情報に記録し、前記アクセスゲートウェイ装置へ前記通信路管理情報を含むリンク作成要求を送信することを特徴とするモビリティアンカー。
【請求項4】
請求項3に記載のモビリティアンカーであって、
前記経路判定において、前記第1の端末と前記第2の端末が同一の前記モビリティアンカーと同一の前記アクセスゲートウェイ装置を経由する場合、前記経路判定により前記アクセスゲートウェイ装置内に前記第5の通信路を設定することを特徴とするモビリティアンカー。
【請求項5】
前記アクセスゲートウェイ装置は、さらに、第2のアクセスゲートウェイ装置を含み、
前記第1の端末と前記第2の端末とが、同一の前記モビリティアンカーと、異なる前記アクセスゲートウェイ装置を経由し、前記第1の端末が前記第2のアクセスゲートウェイ装置を経由する場合、
前記端末1と前記第2のアクセスゲートウェイ装置との間に第6の通信路が設定され、前記第2のアクセスゲートウェイ装置と前記モビリティアンカーとの間に第7の通信路が設定され、
前記第1の端末は、前記第6の通信路、前記第7の通信路、前記第4の通信路および前記第3の通信路を経由して前記第2の端末と通信し、
前記モビリティアンカーは、前記各端末の通信路に関する情報を含む通信路管理情報を管理し、
前記ポリシーサーバは、前記第6の通信路、および前記第3の端末の通信路を関連付けるための追加ベアラ要求を前記モビリティアンカーに送信し、
前記モビリティアンカーは、前記追加ベアラ設定要求を受信した場合、追加ベアラ設定要求の内容を解析する事によって前記第6の通信路と前記第3の通信路を接続する第8の通信路を前記第1のアクセスゲートウェイ装置と前記第2のアクセスゲートウェイ装置との間に設定する事の可否を判定し、前記第8の通信路を設定する事の可否を前記第8の通信路に関する情報を前記通信路管理情報に記録し、前記アクセスゲートウェイ装置へ前記通信路管理情報を含むリンク作成要求を送信することを特徴とする請求項3に記載のモビリティアンカー。
【請求項6】
請求項3に記載のモビリティアンカーであって、
前記経路判定において、前記第1の端末と前記第2の端末が同一の前記モビリティアンカーと異なる前記アクセスゲートウェイ装置を経由する場合、前記経路判定により前記アクセスゲートウェイ装置内に第8の通信路を設定することを特徴とするモビリティアンカー。
【請求項7】
請求項3に記載のモビリティアンカーであって、
前記追加ベアラ設定要求を受信した場合に前記経路判定を行なうことを特徴とするモビリティアンカー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【公開番号】特開2012−147366(P2012−147366A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5776(P2011−5776)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】