説明

通信システム

【課題】無線式感知器の機能が不全となる前に、ユーザに早期に適切な対応を促すことができる、通信システムを提供すること。
【解決手段】通信システム1は、無線信号を送信する送信部と、無線式感知器10の機能が不全となることを予測する機能不全予測部と、機能不全予測部により無線式感知器10の機能不全が予測されたことを報知するための機能不全報知情報を含む無線信号を、送信部を介して送信する機能不全報知部とを備える無線式感知器10と、無線信号を受信する無線通信部と、有線信号を送信する入出力部と、情報を出力する表示部と、機能不全報知情報を含む無線信号を、無線通信部を介して受信した場合、機能不全報知情報を含む有線信号を、入出力部を介して送信すると共に、機能不全報知情報を、表示部を介して出力する機能不全中継部とを備える受信用中継器30と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、火災を監視する防災システムにおいて、無線式感知器が用いられている。この無線式感知器は、住宅やビル等における監視対象領域に設置され、当該無線式感知器が備えるセンサの出力値や当該無線式感知器による火災判断結果等を含む無線信号を送信する。この無線信号は、受信用中継器を介して有線の信号に変換され、当該受信用中継器と有線接続されている受信機に受信される。受信機は、当該受信した信号に含まれる情報に基づき、火災判定や火災表示等の所定の処理を実行する。無線式感知器と受信用中継器を使用することにより、感知器と中継器との間を接続するための配線を省略することができるので、配設工事を簡略化することができる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、無線式感知器から受信用中継器までの距離が長かったり、両者間に遮蔽物が存在したりする場合、無線式感知器から送信された無線信号が受信用中継器に到達する前に大きく減衰してしまうことによりS/N比が低下して、無線信号の内容判別が困難になってしまう可能性があった。このため、無線式感知器と受信用中継器との間に無線中継器を設置し、無線式感知器からの信号を、より受信用中継器に近い場所から所定の強度で中継送信させることにより、受信用中継器に到達する無線信号の強度を当該無線信号の内容を判別するために十分なレベルに増加させることも考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−274580号公報(段落0002)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、建物内における無線信号の到達状況について事前に十分な調査を行うことは困難であった。また、無線式感知器、無線中継器、及び受信用中継器を設置した後に、家具の設置や間取りや間仕切り変更、防火扉の開閉等が行われることにより無線信号の到達状況に変化が生じる場合があった。このような場合、無線信号の到達状況に応じて無線式感知器の設置位置を変更する必要が生じる場合もある。
【0006】
この問題に対し、電池式の無線式感知器を用いることで容易に設置位置の変更を行うことも可能となるが、この場合一方で、例えば電池の放電が進むことによって出力電圧が過度に低下した場合、無線式感知器としての機能が不全となる可能性がある。そこで、機能不全に陥った場合にはその旨を受信機に通知して、早期に電池の交換を促す必要がある。しかし、このような状況においては、無線式感知器は十分な強度で無線信号の送信を行うことも困難となっており、受信機(受信用中継器)との通信が途絶えることになる。
【0007】
ここで、受信用中継器が有線接続される受信機は、元々は有線式感知器を感知器回線を介してそのまま接続する用途向けの従来型受信機(例えば、所謂P型火災受信機)である。このような従来の受信機が既設されている場合に、後から無線式感知器を接続するケースを考慮し、また受信機の共通化によるコストダウン等のために、無線式感知器を使用するシステムにおいてもこの受信機をそのまま活用している。このため、無線式感知器を接続する場合には、受信機の感知器回線に、無線信号を有線信号に変換する受信用中継器を接続する。即ち、受信用中継器は、例えば火災を示す無線信号を受信した場合に、この信号を有線式感知器と同様の有線出力に変換して、受信機と接続されている感知器回線に出力するようにしている。
【0008】
ところで、このような従来の有線式感知器を接続した火災報知設備では、有線式感知器の接続回線終端に、感知器の通常時負荷インピーダンスに比べ充分小さいインピーダンスとなる終端器を設けて常時所定レベルの電流を流し、受信機でこの電流を監視しており、回線が断線した場合にはこの通常時に対し回線電流が減少することを検出して、障害を示す報知出力を行うようにしている。
【0009】
しかし、これらの受信機は感知器回線に電池電源で動作する電池式無線機器(無線式感知器や無線中継器)を接続することを想定していないことから、電池電圧低下障害を報知(音響出力や表示出力)する機能を有していない。
【0010】
そこで、何れかの電池式無線機器が電池電圧低下によって機能不全に至った場合には、受信用中継器がその電池式無線機器との通信不良を検出して(若しくは機能不全に至る前に端末から送信される電圧低下障害を示す無線信号を検出して)、上記有線回線の断線時と同様の有線信号を感知器回線に出力するようにして、受信機で感知器回線の障害として報知するようにしている。
【0011】
ここで、無線式感知器や無線中継器等の電池式無線機器は、1台の受信用中継器に対して、つまり受信機の感知器回線1回線に対して複数台が設けられることがあるが、受信機では回線の障害を回線毎に代表報知することしかできない。即ち、どのような障害が発生したのかまでは報知することができない。この問題点を改善して、障害の種類が断線であることまでを特定可能な受信機も存在するが、依然として、感知器回線のどの部分で断線が発生したのかまでを正確に特定することはできない。
【0012】
つまり、感知器回線の断線までを特定して障害報知する受信機を用いても、1回線あたり複数の電池式無線機器を割り当てた場合に、このうち何れかの電池式無線機器が電池電圧低下による機能不全に至った場合に、受信機ではそれが割り当てられた感知器回線が断線した旨の報知しか行われない。このとき実際には受信用中継器との有線接続部分が断線した可能性、何れかの電池式無線機器が電池電圧低下を示す信号を送信した可能性、何れかの電池式無線機器が電池電圧低下のため機能不全に陥り通信不良に至った可能性、または無線通信環境が悪化して通信不良となった可能性等が考えられるが、受信機ではそれらの識別報知は行われない。そして、回線内の何れの機器や通信路で障害が発生したのかも知ることはできないため、それぞれの機器や通信路について、それぞれの場所まで出向いて障害元の特定調査を行う必要があり、原因調査と復旧に係る作業量が多くなり、また受信機と他の機器との設置場所が離れているため複数の人員が必要になり、時間もかかるといった問題点もあった。
【0013】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、無線式感知器の機能が不全となる前に、ユーザに早期に適切な対応を促すことができる、通信システムを提供することを目的とする。同時に、機能不全に至った場合でも、迅速且つ効率的に原因調査を行うことができ、更に復旧作業も効率化できる通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の通信システムは、無線信号を送信する無線式感知器であって、無線信号を送信する第1送信手段と、当該無線式感知器の機能が不全となることを予測する機能不全予測手段と、前記機能不全予測手段により当該無線式感知器の機能が不全となることが予測された場合、当該機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を含む無線信号を、前記第1送信手段を介して送信する機能不全報知手段と、を備える無線式感知器と、無線信号を有線信号として中継する受信用中継器であって、無線信号を受信する第1受信手段と、有線信号を送信する有線送信手段と、情報を出力する第1出力手段と、前記無線式感知器の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を含む無線信号を、前記第1受信手段を介して受信した場合、当該無線式感知器の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を含む有線信号を、前記有線送信手段を介して送信すると共に、前記無線式感知器の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を、前記第1出力手段を介して出力する第1機能不全中継手段と、を備える受信用中継器と、を備える。
【0015】
また、請求項2に記載の通信システムは、請求項1に記載の通信システムにおいて、無線信号を中継する無線中継器であって、無線信号を受信する第2受信手段と、無線信号を送信する第2送信手段と、情報を出力する第2出力手段と、前記無線式感知器の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を含む無線信号を前記第2受信手段を介して受信した場合、当該無線式感知器の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を含む無線信号を、前記第2送信手段を介して送信すると共に、前記無線式感知器の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を、前記第2出力手段を介して出力する第2機能不全中継手段と、を備える無線中継器、を備える。
【0016】
また、請求項3に記載の通信システムは、請求項1又は2に記載の通信システムにおいて、前記有線送信手段から有線信号を受信する受信機であって、前記受信用中継器に電力を供給する受信機を備え、前記第1機能不全中継手段は、前記無線式感知器の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を含む無線信号を、前記第1受信手段を介して受信した場合、当該無線式感知器の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を含む有線信号を、前記有線送信手段を介して前記受信機に送信する。
【0017】
また、請求項4に記載の通信システムは、請求項1から3のいずれか一項に記載の通信システムにおいて、前記第1機能不全中継手段は、前記無線式感知器の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を含む無線信号を、前記第1受信手段を介して受信した場合、断線障害が発生したことを報知するための情報を含む有線信号を、前記有線送信手段を介して送信する。
【0018】
また、請求項5に記載の通信システムは、請求項1から3のいずれか一項に記載の通信システムにおいて、前記有線信号が送信される伝送線の終端に接続される回線終端器と、前記回線終端器と前記伝送線との接続を解除する解除手段と、を備え、前記第1機能不全中継手段は、前記無線式感知器の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を含む無線信号を、前記第1受信手段を介して受信した場合、前記解除手段により前記回線終端器と前記伝送線との接続を解除させる。
【0019】
また、請求項6に記載の通信システムは、請求項1から5のいずれか一項に記載の通信システムにおいて、前記無線式感知器は、当該無線式感知器の電源となる電池を備え、前記機能不全予測手段は、前記電池の出力電圧が所定レベルを下回った場合に、前記無線式感知器の機能が不全となると予測する。
【0020】
また、請求項7に記載の通信システムは、請求項1から6のいずれか一項に記載の通信システムにおいて、前記機能不全予測手段は、前記無線式感知器の機能が不全となったことを特定し、前記機能不全報知手段は、前記機能不全予測手段により前記無線式感知器の機能が不全となったことが特定された場合、当該機能が不全となったことを報知するための情報を含む無線信号を、前記第1送信手段を介して送信し、前記第1機能不全中継手段は、前記無線式感知器の機能が不全となったことを報知するための情報を含む無線信号を、前記第1受信手段を介して受信した場合、当該無線式感知器の機能が不全となったことを報知するための情報を含む有線信号を、前記有線送信手段を介して送信すると共に、前記無線式感知器の機能が不全となったことを報知するための情報を、前記第1出力手段を介して出力する。
【0021】
また、請求項8に記載の受信用中継器は、無線式感知器又は無線中継器から送信された無線信号を有線信号として中継する受信用中継器であって、無線信号を受信する受信手段と、有線信号を送信する有線送信手段と、情報を出力する出力手段と、前記無線式感知器の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を含む無線信号を、前記受信手段を介して受信した場合、当該無線式感知器の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を含む有線信号を、前記有線送信手段を介して送信すると共に、前記無線式感知器の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を前記出力手段を介して出力する機能不全中継手段と、を備える。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に記載の通信システム、又は請求項8に記載の受信用中継器によれば、第1機能不全中継手段は、無線式感知器の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を含む無線信号を、第1受信手段を介して受信した場合、当該無線式感知器の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を含む有線信号を、有線送信手段を介して送信すると共に、無線式感知器の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を、第1出力手段を介して出力するので、無線式感知器の電池の出力電圧が過度に低下し、実際に無線式感知器の機能が不全となる前に、電池の交換等の適切な対応を受信用中継器を介して早期にユーザに促すことができる。なお、無線式感知器が電池式である場合、電池電圧低下後に無線式感知器自体において継続的な警告表示を行うことは電池寿命を一層短縮してしまう問題があるが、受信用中継器は受信機から供給される電力にて動作するため、出力手段による表示を継続的に行うことができ、無線式感知器の機能が不全となることが予測された旨を一層確実に報知することができる。また、受信用中継器で無線式感知器の機能不全予測情報が出力されるので、受信用中継器の当該情報出力内容を確認すれば、何れの無線式感知器について機能不全が予測されているか等を知ることができ、原因調査や復旧作業が効率化される。
【0023】
また、請求項2に記載の通信システムによれば、第2機能不全中継手段は、無線式感知器の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を含む無線信号を第2受信手段を介して受信した場合、当該無線式感知器の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を含む無線信号を、第2送信手段を介して送信すると共に、無線式感知器の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を、第2出力手段を介して出力するので、無線式感知器の電池の出力電圧が過度に低下し、実際に無線式感知器の機能が不全となる前に、電池の交換等の適切な対応を無線中継器を介して早期にユーザに促すことができる。特に、無線中継器により中継すべき無線信号の送信元の無線式感知器の機能不全予測情報が、当該無線中継器の第2出力手段にて出力されるので、無線中継器の当該情報出力内容を確認すれば、何れの無線式感知器について機能不全が予測されているか等を一層容易に把握することができ、原因調査や復旧作業が一層効率化される。
【0024】
また、請求項3に記載の通信システムによれば、第1機能不全中継手段は、無線式感知器の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を含む有線信号を、有線送信手段を介して受信機に送信するので、実際に無線式感知器の機能が不全となる前に、無線式感知器の電池の交換等の適切な対応を受信機の警報表示や警報音を介して早期にユーザに促すことができる。また、受信機で機能不全となることが予測された回線を知ることができる。そして、当該回線に割り当てられ、受信機の比較的近くに配置された受信用中継器で無線式感知器の機能不全予測情報が出力されるので、受信用中継器の当該情報出力内容を確認すれば、何れの無線式感知器について機能不全が予測されているか等を知ることができ、原因調査や復旧作業が効率化される。
【0025】
また、請求項4に記載の通信システムによれば、第1機能不全中継手段は、無線式感知器の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を含む無線信号を、第1受信手段を介して受信した場合、断線障害が発生したことを報知するための情報を含む有線信号を、有線送信手段を介して送信するので、有線信号を送信した受信用中継器が設けられている回線において断線障害が発生した旨の警報表示や警報音を受信機の表示盤やスピーカ等を介して出力させることができる。これにより、受信機が無線式感知器の機能不全を報知する出力を行うことができない場合であっても、特定のフロア等において何らかの障害が発生したことをユーザに把握させることができ、迅速な対応を促すことができる。
【0026】
また、請求項5に記載の通信システムによれば、第1機能不全中継手段は、無線式感知器の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を含む無線信号を、第1受信手段を介して受信した場合、有線信号が送信される伝送線の終端に接続される回線終端器と伝送線との接続を解除手段により解除させるので、受信機が伝送線の断線障害を、伝送線の終端に接続される回線終端器の有無を判断することによって検知して報知出力することができる場合には、受信機において断線障害を報知する情報を「無線式感知器の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報」として報知させることができる。
【0027】
また、請求項4又は請求項5に記載の通信システムによれば、断線障害等の、機器や回線に異常が発生した旨を示す信号を受信し、表示する機能は、多くの従来の受信機に備えられているため、機能不全が予測された場合に表示を行うための機能を持っていない従来の受信機に受信用中継器が接続された場合であっても、無線式感知器の機能不全が予測された場合に、機器になんらかの異常があることを表示、報知することが可能となる。
【0028】
また、受信機で断線障害が発生した回線を特定した後、受信機と受信用中継器を接続する配線(回線)の断線を確認する前に、当該回線に割り当てられ、受信機の比較的近くに配置された受信用中継器で無線式感知器の機能不全予測情報出力内容を確認すれば、無線式感知器の機能不全予測に起因する障害か、受信機と受信用中継器を接続する配線(回線)の断線による障害かを識別することができ、無線式感知器の機能不全予測による場合には、その無線式感知器の特定等を簡単に行うことができ、原因調査や復旧作業が効率化される。
【0029】
また、請求項6に記載の通信システムによれば、機能不全予測手段は、電池の出力電圧が所定レベルを下回った場合に、無線式感知器の機能が不全となると予測するので、無線式感知器において電池の出力電圧低下により十分な強度での無線信号の送信や無線式感知器の動作が困難となることを早期に予測することができる。そして、機能不全に至る前に電池を交換したり充電する等の対処を簡単且つ確実に行うことができる。
【0030】
また、請求項7に記載の通信システムによれば、第1機能不全中継手段は、無線式感知器の機能が不全となったことを報知するための情報を含む無線信号を、第1受信手段を介して受信した場合、当該無線式感知器の機能が不全となったことを報知するための情報を含む有線信号を、有線送信手段を介して送信すると共に、無線式感知器の機能が不全となったことを報知するための情報を出力手段を介して出力するので、無線式感知器の電池の出力電圧が過度に低下し、実際に無線式感知器の機能が不全となった場合に、電池の交換等の適切な対応を、受信用中継器を介してユーザに促すことができる。また、受信用中継器で無線式感知器の機能が不全となったことを報知する情報が出力されるので、受信用中継器の当該情報出力内容を確認すれば、何れの無線式感知器が機能不全となったか等を知ることができ、原因調査や復旧作業が効率化される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】通信システムの構成を示す概略図である。
【図2】無線式感知器の電気的要部構成を示すブロック図である。
【図3】無線式感知器が送信する無線信号に含まれる電文の構成を例示した図である。
【図4】無線中継器の電気的要部構成を示すブロック図である。
【図5】受信用中継器の電気的要部構成を示したブロック図である。
【図6】中継処理のフローチャートである。
【図7】機能不全対応処理のフローチャートである。
【図8】図7に続く機能不全対応処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る通信システムの実施の形態を詳細に説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0033】
〔実施の形態〕
まず実施の形態について説明する。
【0034】
(構成)
図1は通信システムの構成を示す概略図である。図1に示すように、通信システム1は、無線式感知器10、無線中継器20、受信用中継器30、及び受信機40を備えている。
【0035】
(構成−無線式感知器)
無線式感知器10は、無線信号を送信する電池式の無線式感知器10である。図2は、無線式感知器10の電気的要部構成を示すブロック図である。図2に示すように、無線式感知器10は、観測部11、操作部12、表示部13、送信部14、電池15、制御部16、及び記憶部17を備えている。
【0036】
観測部11は、監視領域の異状に起因する検出対象(異状に起因する物理現象等)を観測(モニタ)し、観測値に応じた信号(観測信号或いはモニタ信号という。なお、ここでは電気信号であるものとする。)を制御部16に出力する観測手段である。観測部11は、例えばクロック発振回路(図示省略)から供給されるクロック信号に同期して所定周期にて観測動作を行い、観測値に応じた信号を制御部16に入力する。この観測部11としては、例えば監視領域における火災に起因して発生する煙を観測する煙センサや、火災に起因する温度上昇を観測する温度センサ、火災に起因する炎が発する電磁波を観測する炎センサ、ガス漏れに起因するガス濃度上昇を観測するガスセンサ等の公知の観測手段を用いることができる。
【0037】
操作部12は、無線式感知器10に対する操作入力を受け付ける。この操作部12は、例えばスイッチやタッチパネル等の公知の操作手段を用いて構成される(後述する無線中継器20の操作部21、及び受信用中継器30の操作部31についても同じ)。
【0038】
表示部13は、無線式感知器10に関する情報を表示出力するための出力手段である。この表示部13としては、例えば公知のLED(Light Emitting Diode)や7セグメントディスプレイ、液晶ディスプレイ等を用いることができ、これらを組み合わせて用いることもできる(後述する無線中継器20の表示部22、及び受信用中継器30の表示部32についても同じ)。
【0039】
送信部14は、無線信号を送信する送信手段である。この送信部14は、例えば無線信号の送信回路(図示省略)を備え、送信回路を介して無線中継器20や受信用中継器30への無線信号の送信を行う。
【0040】
電池15は、無線式感知器10の電源となるものであり、無線式感知器10の各部に電力を供給する。この電池15としては、公知の乾電池や充電池を用いることができる(後述する無線中継器20の電池24についても同じ)。なお、電池15から無線式感知器10の各部に対する電力供給線の図示は省略する。
【0041】
制御部16は、無線式感知器10の各部を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである(後述する無線中継器20の制御部25、及び受信用中継器30の制御部36についても同じ)。
【0042】
この制御部16は、機能概念的に、検出処理部16a、機能不全予測部16b、及び機能不全報知部16cを備えている。検出処理部16aは、観測部11からの出力(観測信号)に基づき監視領域における異状の有無を検出する。機能不全予測部16bは、無線式感知器10の機能が不全となることを予測する機能不全予測手段である。ここで、無線式感知器10の機能不全を予測する対象や機能が不全となることを予測する具体的な基準は任意であるが、本実施の形態では、電池15の出力電圧が所定のレベルを下回る、即ち例えば所定の閾値未満となった場合に、無線信号を十分な強度で送信できなくなる可能性があるとして、無線式感知器10の機能が不全となると予測する場合を例として説明する。この場合、機能不全予測部16bは、電池15の出力電圧や出力電圧変化を、適宜の電圧監視回路(図示省略)を介して取得する。機能不全報知部16cは、無線式感知器10の機能が不全となることが予測されたこと、例えば電池15の出力電圧が所定の閾値未満となったことを報知するための情報を含む無線信号を、送信部14を介して送信する機能不全報知手段である。これら制御部16の各構成要素によって実行される処理の詳細については後述する。
【0043】
記憶部17は、無線式感知器10を一意に識別する第1識別情報を格納する識別情報格納手段である。この記憶部17は、書き換え可能な記録媒体を用いて構成され、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性記録媒体を用いることができる(後述する無線中継器20の記憶部26、及び受信用中継器30の記憶部37についても同じ)。記憶部17に記憶される第1識別情報としては、例えば無線式感知器10のシリアル番号やアドレス番号を用いることができる。
【0044】
図3は無線式感知器10が送信する無線信号に含まれる電文の構成を例示した図である。図3に示すように、電文は例えばプリアンブル、スタートコード、通信制御コード、送信元識別コード、データコード、及びエラーチェックコードを含んで構成される。この内、送信元識別コードとして第1識別情報が電文に含まれる。この第1識別情報は、無線式感知器10が無線信号を送信する際に記憶部17から読み出され、無線信号に付加されて送信される。また、観測部11で観測された温度や煙濃度、或いは検出処理部16aによる火災等の異状の有無の検出結果等はデータコードとして電文に付加される。また、通信制御コードにより、データコードに含まれている情報の種類を指定することができる(情報の種類が「登録」あるいは「火災」等で異なる場合、これに伴ってデータコードの内容も異なる。通信制御コードを解読することにより、データコードの内容を判別することができる)。
【0045】
なお、本実施の形態では、無線式感知器10は無線信号の送信のみを行い無線信号の受信は行わない片方向通信端末としているが、無線信号の受信を行うようにして他の無線式感知器10や無線中継器20、受信用中継器30等からの無線信号を受信して各種の制御や処理を行うようにすることもできる。
【0046】
(構成−無線中継器)
無線中継器20は、無線式感知器10から無線信号を受信し、当該受信した無線信号を受信用中継器30に中継する。図4は、無線中継器20の電気的要部構成を示すブロック図である。図4に示すように、無線中継器20は、操作部21、表示部22、無線通信部23、電池24、制御部25、及び記憶部26を備えている。なお、操作部21、表示部22、電池24、制御部25、及び記憶部26の構成については上述の無線式感知器10における操作部12、表示部13、電池15、制御部16、及び記憶部17と同様であるので、特記する部分を除き説明を省略する。ただし、制御部25の機能概念的な構成は無線式感知器10の制御部16とは異なる。これについては後述する。
【0047】
無線通信部23は、無線信号を受信する第2受信手段であり、無線信号の送信を行う第2送信手段である。この無線通信部23は、例えば無線信号の受信回路及び送信回路(いずれも図示せず)を備え、受信回路を介して無線式感知器10から送信された無線信号の受信を行い、送信回路を介して受信用中継器30への無線信号の送信を行う。
【0048】
制御部25は、無線式感知器10とは異なり、機能概念的に、機能不全中継部25aを備えている。機能不全中継部25aは、無線式感知器10の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を含む無線信号を、無線通信部23を介して受信した場合、当該無線式感知器10の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を含む無線信号を、無線通信部23を介して送信すると共に、無線式感知器10の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を表示部22を介して出力する第2機能不全中継手段である。例えば、無線式感知器10から無線通信部23を介して受信した無線信号に「無線式感知器10の電池15の出力電圧が所定の閾値未満となったことを報知するための情報」が含まれていた場合、機能不全中継部25aは、この「無線式感知器10の電池15の出力電圧が所定の閾値未満となったことを報知するための情報」を「無線式感知器10の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報」として無線信号に含めて送信する。この制御部25の構成要素によって実行される処理の詳細については後述する。
【0049】
記憶部26は、中継すべき無線信号の送信元としての無線式感知器10を一意に識別する第1識別情報を格納する識別情報格納手段である。また、この記憶部26には無線中継器20自身を一意に識別する第2識別情報も記憶されている。記憶部26に記憶される第1識別情報及び第2識別情報としては、例えば無線式感知器10及び無線中継器20のシリアル番号やアドレス番号を用いることができる。
【0050】
(構成−受信用中継器)
図1に戻り、受信用中継器30は無線信号を有線信号として中継するものであって、伝送線2及び電源線3を介して受信機40に接続されている。伝送線2と電源線3とは共用しても良い。この受信用中継器30は、無線式感知器10及び/又は無線中継器20から送信された無線信号を受信し、当該受信した無線信号を、受信機40が識別できる形の信号に変換して出力し、伝送線2を介して受信機40に出力する。図5は受信用中継器30の電気的要部構成を示したブロック図である。図5に示すように、受信用中継器30は、操作部31、表示部32、無線通信部33、入出力部34、電源回路部35、制御部36、及び記憶部37を備えている。なお、操作部31、表示部32、制御部36、及び記憶部37の構成については上述の無線式感知器10における操作部12、表示部13、制御部16、及び記憶部17と同様であるので、特記する部分を除き説明を省略する。ただし、制御部36の機能概念的な構成は無線式感知器10の制御部16とは異なる。これについては後述する。
【0051】
無線通信部33は、無線信号を受信する第1受信手段であり、また、無線信号を送信する。この無線通信部33は、無線信号の受信回路及び送信回路(いずれも図示せず)を備え、受信回路を介して無線式感知器10及び/又は無線中継器20から送信された無線信号の受信を行う。また、送信回路を介して無線中継器20への無線信号の送信を行う。
【0052】
入出力部34は、有線信号を送信する有線送信手段を含み、伝送線2を介して受信機40との間での各種の情報の入出力を行う。また、電源回路部35は、電源線3を介して受信機40から供給された電力を受信用中継器30の各部に供給する(なお、電源回路部35から受信用中継器30の各部に対する電力供給線の図示は省略する)。
【0053】
制御部36は、無線式感知器10とは異なり、機能概念的に、機能不全中継部36aを備えている。機能不全中継部36aは、無線式感知器10の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を含む無線信号を、無線通信部33を介して受信した場合、当該無線式感知器10の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を含む有線信号を、入出力部34を介して送信すると共に、無線式感知器10の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を表示部32を介して出力する第1機能不全中継手段である。この機能不全中継部36aが送信する有線信号に含まれる「無線式感知器10の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報」としては、受信用中継器30が接続されている受信機40が当該情報に対応して何らかの警報出力等を行うことのできるものが用いられる。例えば、受信機40が無線式感知器10の機能不全を報知する出力を行うことはできないが、当該無線式感知器10が割り当てられている回線の断線障害として報知する出力を行うことができる場合には、断線障害を報知する情報を「無線式感知器10の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報」として有線信号に含めて送信する。また、例えば、受信機40が無線式感知器10の機能不全を報知する出力を行うことはできず、また、受信用中継器30から伝送線2を介して送信される符号を受信する機能を持たないが、伝送線2の断線障害を、伝送線2の終端に接続される回線終端器(図示省略)の有無を判断することによって検知して報知出力することができる場合には、機能不全中継部36aは回線終端器と伝送線2との接続を解除する解除手段(図示省略)により回線終端器と伝送線2との接続を解除させることによって、受信機40において断線障害を報知する情報を「無線式感知器10の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報」として報知させる。
【0054】
(構成−受信機)
図1に戻り、受信機40は、受信用中継器30の入出力部34から伝送線2を介して有線信号を受信し、当該受信した有線信号に含まれる情報に基づき、警報表示や警報音出力等の各種処理を実行する。例えば、断線障害等の障害が発生したことを報知するための情報を含む有線信号を受信した場合、障害が発生した旨の警報表示や警報音を表示盤やスピーカ等の公知の出力手段(図示省略)を介して出力させる。また、受信機40は電源線3を介して受信用中継器30への電力供給を行う。この受信機40としては、例えば公知の防災受信機を用いることができる。
【0055】
(処理−中継処理)
次に、このように構成される通信システム1が実行する処理について説明する。まず、無線中継器20及び受信用中継器30が実行する中継処理について説明する。図6は中継処理のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。この処理は、例えば無線中継器20及び受信用中継器30の各々において、電源が投入された後、所定周期で繰り返し起動される。なお、この中継処理の前提として、無線式感知器10は、所定周期で、及び/又は火災等の異状状態の発生時に、自己を一意に識別する第1識別情報を含む無線信号を送信しているものとする。また、機能不全予測部16bにより無線式感知器10の機能が不全となることが予測された場合に実行される機能不全対応処理については後述する。
【0056】
図6に示すように、無線中継器20において中継処理が起動されると、無線中継器20の制御部25は無線通信部23が無線式感知器10から無線信号を受信したか否かを判定する(SA1)。具体的な判定方法は任意で、例えば、無線通信部23の受信回路において一定の強度以上の電波が検出された場合において、無線信号に含まれる電文を解釈することができた場合に、無線信号を受信したと判定する。
【0057】
その結果、無線通信部23が無線式感知器10から無線信号を受信していないと判定した場合(SA1、No)、制御部25は中継すべき無線信号がないものとし、無線中継器20における中継処理を終了する。
【0058】
一方、無線通信部23が無線式感知器10から無線信号を受信したと判定した場合(SA1、Yes)、制御部25は当該受信した無線信号に第1識別情報が含まれているか否かを判定する(SA2)。例えば、受信した無線信号に含まれる電文の送信元識別コードとして第1識別情報が含まれているか否かを判定する。
【0059】
その結果、無線信号に第1識別情報が含まれていないと判定した場合(SA2、No)、制御部25は通信システム1に属する無線式感知器10からの無線信号ではないものとし、無線中継器20における中継処理を終了する。
【0060】
一方、無線信号に第1識別情報が含まれていると判定した場合(SA2、Yes)、制御部25は、当該第1識別情報が無線中継器20の記憶部26に格納されているか否かを判定する(SA3)。
【0061】
その結果、受信した無線信号に含まれている第1識別情報が記憶部26に格納されていない場合(SA3、No)、制御部25は当該無線信号を中継する必要はないものとし、無線中継器20における中継処理を終了する。
【0062】
一方、受信した無線信号に含まれている第1識別情報が記憶部26に格納されている場合(SA3、Yes)、制御部25は、当該受信した無線信号を中継すべきと判定し、当該無線信号の送信元識別コードを第2識別情報に変更し、受信した無線信号に含まれていた第1識別情報をデータコードに付加した無線信号を無線通信部23の送信回路から送信させることで中継を行う(SA4)。SA4で中継を行った後、制御部25は無線中継器20における中継処理を終了する。
【0063】
また、受信用中継器30において中継処理が起動されると、受信用中継器30の制御部36は無線通信部33が無線式感知器10又は無線中継器20から無線信号を受信したか否かを判定する(SA5)。
【0064】
その結果、無線通信部33が無線式感知器10又は無線中継器20から無線信号を受信していないと判定した場合(SA5、No)、制御部36は中継すべき無線信号がないものとし、受信用中継器30における中継処理を終了する。
【0065】
一方、無線通信部33が無線式感知器10又は無線中継器20から無線信号を受信したと判定した場合(SA5、Yes)、例えばSA4で無線中継器20によって中継された無線信号を受信した場合、制御部36は当該受信した無線信号に第1識別情報又は第2識別情報が含まれているか否かを判定する(SA6)。例えば、受信した無線信号に含まれる電文の送信元識別コードとして第1識別情報又は第2識別情報が含まれているか否かを判定する。
【0066】
その結果、無線信号に第1識別情報又は第2識別情報の何れも含まれていないと判定した場合(SA6、No)、制御部36は通信システム1に属する無線式感知器10又は無線中継器20からの無線信号ではないものとし、受信用中継器30における中継処理を終了する。
【0067】
一方、無線信号に第1識別情報又は第2識別情報が含まれていると判定した場合(SA6、Yes)、制御部36は、当該第1識別情報又は第2識別情報が受信用中継器30の記憶部37に格納されているか否かを判定する(SA7)。
【0068】
ここで、無線式感知器10から直接受信する無線信号に第2識別情報は含まれておらず、第1識別情報のみが含まれている。この場合、火災を示す無線信号が代表的な中継対象となるが、この中継も機能不全中継部36aで制御する。
【0069】
その結果、受信した無線信号に含まれている第1識別情報又は第2識別情報が記憶部37に格納されていない場合(SA7、No)、制御部36は当該無線信号を中継する必要はないものとし、受信用中継器30における中継処理を終了する。
【0070】
一方、受信した無線信号に含まれている第1識別情報又は第2識別情報が記憶部37に格納されている場合(SA7、Yes)、制御部36は、当該受信した無線信号を有線信号として中継すべきと判定し、受信した無線信号に含まれる情報(例えば、無線式感知器10で検出された温度や煙濃度等を特定する情報、火災発生の有無を示す情報、第1識別情報又は第2識別情報等)を、信号の内容に応じて取捨選択して入出力部34から伝送線2を介して受信機40に送信する(SA8)。SA8で出力を行った後、制御部36は受信用中継器30における中継処理を終了する。
【0071】
(処理−機能不全対応処理)
次に、無線式感知器10の機能不全に対応するための機能不全対応処理について説明する。図7及び図8は、無線式感知器10、無線中継器20、及び受信用中継器30において実行される機能不全対応処理のフローチャートである。この処理は、例えば、無線式感知器10、無線中継器20、及び受信用中継器30の各々において電源が投入された後、図6の中継処理と並行して所定周期で繰り返し起動される。
【0072】
図7に示すように、機能不全対応処理が起動されると、無線式感知器10の機能不全予測部16bは、無線式感知器10の機能が不全となることが予測されるか否かを判定する(SB1)。本実施の形態では、電池15の出力電圧が所定レベルを下回ったか否か、即ち例えば所定の閾値未満となったか否かを判定する。この判定の基準となる閾値としては、例えば電池15の交換を促す必要のある電圧値であり、且つ機能不全に陥るまでに所定の猶予時間を確保できる電圧値を用いることができる。つまり、この猶予時間中に電池交換等の対処を行うことができるよう考慮した閾値を設定する。
【0073】
判定の結果、電池15の出力電圧が所定レベルを下回った場合(SB1、Yes)、すなわち、無線式感知器10の機能が不全となることが予測された場合、機能不全報知部16cは、無線式感知器10の機能が不全となることが予測されたこと、すなわち、電池15の出力電圧が所定レベルを下回ったことを報知するための機能不全報知情報と第1識別情報とをデータコードに含めた無線信号を送信部14の送信回路から送信させる(SB2)。併せて、無線式感知器10の表示部13で機能不全予測に関する表示を行ったり、スピーカやブザー(何れも図示省略)から音声出力を行わせたりするようにしても良い。その後、制御部16は無線式感知器10における機能不全対応処理を終了する。電池15の出力電圧低下による機能不全報知情報には、電池電圧データや電池切れ(動作電源供給不能)に至るまでの予測時間等を含めても良い。
【0074】
一方、SB1において電池15の出力電圧が閾値未満となっていない場合(SB1、No)、すなわち、無線式感知器10の機能が不全となることが予測されなかった場合、電池15の出力電圧低下に対応する必要がないものとし、制御部16は無線式感知器10における機能不全対応処理を終了する。
【0075】
また、無線中継器20において機能不全対応処理が起動されると、無線中継器20の機能不全中継部25aは無線通信部23が無線式感知器10から無線信号を受信したか否かを判定する(SB3)。
【0076】
その結果、無線通信部23が無線式感知器10から無線信号を受信していないと判定した場合(SB3、No)、機能不全中継部25aは無線式感知器10において機能が不全となることは予測されていないものとし、無線中継器20における機能不全対応処理を終了する。
【0077】
一方、無線通信部23が無線式感知器10から無線信号を受信したと判定した場合(SB3、Yes)、例えばSB2で無線式感知器10から送信された無線信号を受信した場合、機能不全中継部25aは当該受信した無線信号に第1識別情報及び機能不全報知情報が含まれているか否かを判定する(SB4)。
【0078】
その結果、無線信号に第1識別情報及び機能不全報知情報が含まれていないと判定した場合(SB4、No)、機能不全中継部25aは通信システム1に属する無線式感知器10からの無線信号ではない、あるいは無線式感知器10において機能が不全となることは予測されていないものとし、無線中継器20における機能不全対応処理を終了する。
【0079】
一方、無線信号に第1識別情報及び機能不全報知情報が含まれていると判定した場合(SB4、Yes)、機能不全中継部25aは、無線式感知器10の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を含む無線信号を無線通信部23から送信させる(SB5)。
【0080】
続いて、無線式感知器10の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を、表示部22を介して出力表示させる(SB6)。出力表示の具体的な内容は任意で、例えば、機能不全報知情報に基づき特定される無線式感知器10の電池15の出力電圧を示す数値を表示部22によって出力させてもよいし、電池15の出力電圧が所定レベルを下回ったことを示す旨をLEDの点滅表示や音響出力等によって表示部22によって出力させてもよい。その後、制御部25は無線中継器20における機能不全対応処理を終了する。
【0081】
図8に示すように、受信用中継器30において機能不全対応処理が起動されると、受信用中継器30の機能不全中継部36aは無線通信部33が無線式感知器10又は無線中継器20から無線信号を受信したか否かを判定する(SB7)。
【0082】
その結果、無線通信部33が無線式感知器10又は無線中継器20の何れからも無線信号を受信していないと判定した場合(SB7、No)、機能不全中継部36aは無線式感知器10において機能が不全となることは予測されていないものとし、受信用中継器30における機能不全対応処理を終了する。
【0083】
一方、無線通信部33が無線式感知器10又は無線中継器20から無線信号を受信したと判定した場合(SB7、Yes)、例えば図7のSB2で無線式感知器10から送信された無線信号を受信した場合や、SB5で無線中継器20から送信された無線信号を受信した場合、機能不全中継部36aは当該受信した無線信号に第1識別情報及び機能不全報知情報が含まれているか否かを判定する(SB8)。
【0084】
図8に戻り、無線信号に第1識別情報及び機能不全報知情報が含まれていないと判定した場合(SB8、No)、機能不全中継部36aは通信システム1に属する無線式感知器10から送信された無線信号や無線中継器20により中継された無線信号ではない、あるいは無線式感知器10において機能が不全となることは予測されていないものとし、受信用中継器30における機能不全対応処理を終了する。
【0085】
一方、無線信号に第1識別情報及び機能不全報知情報が含まれていると判定した場合(SB8、Yes)、機能不全中継部36aは、無線式感知器10の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報として、断線障害が発生したことを報知するための情報を含む有線信号を入出力部34から伝送線2を介して受信機40に送信する(SB9)。
【0086】
続いて、無線式感知器10の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を、表示部32を介して出力表示させる(SB10)。出力表示の具体的な内容は任意で、例えば、機能不全報知情報に基づき特定される無線式感知器10の電池15の出力電圧を示す数値を表示部32によって出力させてもよいし、電池15の出力電圧が所定レベルを下回ったことを示す旨をLEDの点滅表示や音響出力等によって表示部32によって出力させてもよい。その後、制御部36は受信用中継器30における機能不全対応処理を終了する。
【0087】
受信機40は、SB9で機能不全中継部36aにより入出力部34から伝送線2を介して送信された有線信号を受信すると、当該有線信号に含まれている断線障害が発生したことを報知するための情報に基づく処理を実行する。例えば、受信機40は、有線信号を送信した受信用中継器30が設けられている回線において断線障害が発生した旨の警報表示や警報音を表示盤やスピーカ等を介して出力させる。
【0088】
これにより、例えば各フロアに受信用中継器30が設けられている場合、ユーザは有線信号を送信した受信用中継器30が設けられている特定のフロアにおいて何らかの障害が発生したことを把握できる。従って、ユーザはそのフロアに設置されている受信用中継器30の表示部32を確認することにより、当該受信用中継器30に対応する無線式感知器10において機能不全が発生することが予測されたことを認識可能となる。
【0089】
さらに、ユーザは当該受信用中継器30に対応する無線中継器20の表示部22を確認することにより、当該無線中継器20に対応する無線式感知器10において機能不全が発生することが予測されたことを認識可能となる。特に、受信用中継器30に対応して複数の無線中継器20が設置されており、各無線中継器20が異なる無線式感知器10から送信された無線信号を中継対象としている場合、何れの無線中継器20に対応する無線式感知器10において機能不全が発生することが予測されたのかを認識可能となる。
【0090】
(効果)
このように実施の形態によれば、受信用中継器30の機能不全中継部36aは、無線式感知器10の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を含む無線信号を、無線通信部33を介して受信した場合、当該無線式感知器10の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を含む有線信号を、入出力部34を介して送信すると共に、無線式感知器10の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を表示部32を介して出力するので、無線式感知器10の電池15の出力電圧が過度に低下し、実際に無線式感知器10の機能が不全となる前に、電池15の交換等の適切な対応を受信用中継器30を介して早期にユーザに促すことができる。なお、無線式感知器10が電池式である場合、電池電圧低下後に無線式感知器10自体において継続的な警告表示を行うことは電池寿命を一層短縮してしまう問題があるが、受信用中継器30は受信機40から供給される電力にて動作するため、表示部32による表示を継続的に行うことができ、無線式感知器10の機能が不全となることが予測された旨を一層確実に報知することができる。また、受信用中継器30で無線式感知器10の機能不全予測情報が出力されるので、受信用中継器30の当該情報出力内容を確認すれば、何れの無線式感知器10について機能不全が予測されているか等を知ることができ、原因調査や復旧作業が効率化される。
【0091】
また、無線中継器20の機能不全中継部25aは、無線式感知器10の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を含む無線信号を、無線通信部23を介して受信した場合、当該無線式感知器10の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を含む無線信号を、無線通信部23を介して送信すると共に、無線式感知器10の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を表示部22を介して出力するので、無線式感知器10の電池15の出力電圧が過度に低下し、実際に無線式感知器10の機能が不全となる前に、電池15の交換等の適切な対応を無線中継器20を介して早期にユーザに促すことができる。特に、無線中継器20により中継すべき無線信号の送信元の無線式感知器10の機能不全予測情報が、当該無線中継器20の表示部22にて出力されるので、無線中継器20の当該情報出力内容を確認すれば、何れの無線式感知器10について機能不全が予測されているか等を一層容易に把握することができ、原因調査や復旧作業が一層効率化される。
【0092】
また、機能不全中継部36aは、無線式感知器10の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を含む有線信号を、入出力部34を介して受信機40に送信するので、実際に無線式感知器10の機能が不全となる前に、無線式感知器10の電池15の交換等の適切な対応を受信機40の警報表示や警報音を介して早期にユーザに促すことができる。また、受信機40で機能不全となることが予測された回線を知ることができる。そして、当該回線に割り当てられ、受信機40の比較的近くに配置された受信用中継器30で無線式感知器10の機能不全予測情報が出力されるので、受信用中継器30の当該情報出力内容を確認すれば、何れの無線式感知器10について機能不全が予測されているか等を知ることができ、原因調査や復旧作業が効率化される。
【0093】
特に、機能不全中継部36aは、無線式感知器10の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を含む無線信号を、無線通信部33を介して受信した場合、断線障害が発生したことを報知するための情報を含む有線信号を、入出力部34を介して送信するので、有線信号を送信した受信用中継器30が設けられている回線において断線障害が発生した旨の警報表示や警報音を受信機40の表示盤やスピーカ等を介して出力させることができる。これにより、受信機40が無線式感知器10の機能不全を報知する出力を行うことができない場合であっても、特定のフロアにおいて何らかの障害が発生したことをユーザに把握させることができ、迅速な対応を促すことができる。
【0094】
あるいは、機能不全中継手段36aは、無線式感知器10の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を含む無線信号を、無線通信部33を介して受信した場合、有線信号が送信される伝送線2の終端に接続される回線終端器と伝送線2との接続を解除手段により解除させるので、受信機40が伝送線2の断線障害を、伝送線2の終端に接続される回線終端器の有無を判断することによって検知して報知出力することができる場合には、受信機40において断線障害を報知する情報を「無線式感知器10の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報」として報知させることができる。
【0095】
また、断線障害等の、機器や回線に異常が発生した旨を示す信号を受信し、表示する機能は、多くの従来の受信機40に備えられているため、機能不全が予測された場合に表示を行うための機能を持っていない従来の受信機40に受信用中継器30が接続された場合であっても、無線式感知器10の機能不全が予測された場合に、機器になんらかの異常があることを表示、報知することが可能となる。
【0096】
また、受信機40で断線障害が発生した回線を特定した後、受信機40と受信用中継器30を接続する配線(回線)の断線を確認する前に、当該回線に割り当てられ、受信機40の比較的近くに配置された受信用中継器30で無線式感知器10の機能不全予測情報出力内容を確認すれば、無線式感知器10の機能不全予測に起因する障害か、受信機40と受信用中継器30を接続する配線(回線)の断線による障害かを識別することができ、無線式感知器10の機能不全予測による場合には、その無線式感知器10の特定等を簡単に行うことができ、原因調査や復旧作業が効率化される。
【0097】
また、機能不全予測部16bは、電池15の出力電圧が所定レベルを下回った場合に、当該無線式感知器10の機能が不全となると予測するので、無線式感知器10において電池15の出力電圧低下により十分な強度での無線信号の送信や無線式感知器10の動作が困難となることを早期に予測することができる。そして、機能不全に至る前に電池15を交換したり充電する等の対処を簡単且つ確実に行うことができる。
【0098】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0099】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0100】
(分散や統合について)
また、上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散又は統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散又は統合して構成できる。
【0101】
(機能不全予測部について)
上述した実施の形態では、機能不全予測部16bは、電池15の出力電圧が所定レベルを下回った場合に無線式感知器10の機能が不全となると予測すると説明したが、他の基準により無線式感知器10の機能が不全となると予測するようにしてもよい。例えば、観測部11が、無線式感知器10に設けられた検煙空間内に発光素子から検出光を照射し、監視領域から検煙空間に流入した煙粒子にて散乱された検出光(散乱光と呼ぶ)を受光素子にて受光して電気信号に変換出力することで、煙濃度に対応する電圧の電気信号を出力するように構成されており、検煙空間内に煙が無い場合でも所定電圧の電気信号(ゼロ点信号という)が出力されるように設定されているものとする。この場合において、観測部11から出力された電気信号がゼロ点信号レベルを所定以上下回った場合、断線等の何らかの異状が観測部11に発生しており、監視領域における異状を検出できなくなる可能性があるとして、無線式感知器10の機能が不全となると予測してもよい。このように、「予測」とは、機能不全が全く生じていない状態を基準として、当該状態から機能不全が生じる状態に変化することを予測する場合の他、ある程度の機能不全が生じている状態を基準として、当該状態から機能不全がさらに増大する状態に変化することを予測する場合を含む。1台の無線式感知器10について複数の機能不全予測を行っても良いし、同一システム内の複数の無線式感知器10について、異なる機能不全予測を行うようにしても良い。
【0102】
また、機能不全予測部16bが、無線式感知器10の機能が実際に不全となったことを特定するようにしてもよい。機能不全報知部16cは、機能不全予測部16bにより無線式感知器10の機能が不全となったことが特定された場合、当該機能が不全となったことを報知するための情報を含む無線信号を、送信部14を介して送信する。また、受信用中継器30の機能不全中継部36aは、無線式感知器10の機能が不全となったことを報知するための情報を含む無線信号を、無線通信部33を介して受信した場合、当該無線式感知器10の機能が不全となったことを報知するための情報を含む有線信号を、入出力部34を介して送信すると共に、無線式感知器10の機能が不全となったことを報知するための情報を表示部32を介して出力する。同様に、無線中継器20の機能不全中継部25aが、無線式感知器10の機能が不全となったことを報知するための情報を含む無線信号を、無線通信部23を介して受信した場合、当該無線式感知器10の機能が不全となったことを報知するための情報を含む無線信号を、無線通信部23を介して送信すると共に、無線式感知器10の機能が不全となったことを報知するための情報を表示部22を介して出力するようにしてもよい。これにより、無線式感知器10の電池15の出力電圧が過度に低下し、実際に無線式感知器10の機能が不全となった場合に、電池15の交換等の適切な対応を受信用中継器30や無線中継器20を介してユーザに促すことができる。また、受信用中継器30や無線中継器20で無線式感知器10の機能が不全となったことを報知する情報が出力されるので、受信用中継器30や無線中継器20の当該情報出力内容を確認すれば、何れの無線式感知器10が機能不全となったか等を知ることができ、原因調査や復旧作業が効率化される。
【0103】
(機能不全中継部について)
上述した実施の形態では、機能不全中継部36aが、無線式感知器10の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報として、断線障害が発生したことを報知するための情報を含む有線信号を入出力部34から伝送線2を介して受信機40に送信すると説明したが、受信機40が無線式感知器10の機能不全を報知する出力を行える場合は、機能不全報知情報を含む有線信号を受信機40に送信するようにしてもよい。
【0104】
(機能不全対応処理について)
受信用中継器30の表示部32や無線中継器20の表示部22による表示を、機能が不全となることが予測された無線式感知器10に応じて変えることも可能である。例えば、あるフロアに設けられた一つの受信用中継器30が、当該フロアに設けられた複数の無線式感知器10から直接無線信号を受信する場合や、無線中継器20により中継された無線信号を受信する場合、受信用中継器30の記憶部37には、当該複数の無線式感知器10の各々の第1識別情報と、当該複数の無線式感知器10の各々で機能が不全となることが予測された場合の表示パターンとを、相互に対応付ける表示制御テーブルを保持させておく。そして、機能不全対応処理において、受信用中継器30の制御部36は、無線式感知器10から受信した無線信号に第1識別情報及び機能不全報知情報が含まれている場合には、当該第1識別情報に対応する表示パターンを表示制御テーブルから取得し、当該取得した表示パターンにて表示部32に表示を行わせる。これにより、例えば、受信用中継器30に最も近い無線式感知器10で機能不全が予測された場合には1秒間隔での点滅表示を行い、受信用中継器30に2番目に近い無線式感知器10で機能不全が予測された場合には2秒間隔での点滅表示を行う等、ユーザが受信用中継器30の表示部32の表示を見て、機能不全が予測された無線式感知器10を一層容易に特定できるように表示することができる。
【0105】
また、一つの無線中継器20が、複数の無線式感知器10からの無線信号を中継する場合、無線中継器20の記憶部26には、当該複数の無線式感知器10の各々の第1識別情報と、当該複数の無線式感知器10の各々で機能が不全となることが予測された場合の表示パターンとを、相互に対応付ける表示制御テーブルを保持させておく。そして、機能不全対応処理において、無線中継器20の制御部25は、無線式感知器10から受信した無線信号に第1識別情報及び機能不全報知情報が含まれている場合には、当該第1識別情報に対応する表示パターンを表示制御テーブルから取得し、当該取得した表示パターンにて表示部22に表示を行わせる。これにより、例えば、無線中継器20に最も近い無線式感知器10で機能不全が予測された場合には1秒間隔での点滅表示を行い、無線中継器20に2番目に近い無線式感知器10で機能不全が予測された場合には2秒間隔での点滅表示を行う等、ユーザが無線中継器20の表示部22の表示を見て、機能不全が予測された無線式感知器10を一層容易に特定できるように表示することができる。
【0106】
また、無線中継器20の制御部25に機能不全予測部及び機能不全報知部を設け、当該機能不全予測部により無線中継器20の機能が不全となることが予測された場合、当該機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を含む無線信号を機能不全報知部が無線通信部23を介して送信するようにしてもよい。この場合、受信用中継器30は、無線中継器20の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を含む無線信号を、無線通信部33を介して受信した場合、当該無線中継器20の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を含む有線信号を、入出力部34を介して送信すると共に、無線中継器20の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を表示部32を介して出力する。これにより、無線中継器20の機能が不全となることが予測された場合においても、電池24の交換等の適切な対応を受信用中継器30を介して早期にユーザに促すことができる。さらに、無線式感知器10の機能が不全となることが予測された場合と、無線中継器20の機能が不全となることが予測された場合とで、異なる表示パターンにて表示部32に表示を行わせるようにしてもよい。これにより、受信用中継器30の情報出力内容を確認すれば、無線式感知器10又は無線中継器20の機能不全予測に起因する障害か、受信機40と受信用中継器30を接続する配線(回線)の断線による障害かを識別することができ、無線式感知器10や無線中継器20の機能不全予測による場合には、その無線式感知器10や無線中継器20の特定等を簡単に行うことができ、原因調査や復旧作業が効率化される。
【符号の説明】
【0107】
1 通信システム
2 伝送線
3 電源線
10 無線式感知器
11 観測部
12、21、31 操作部
13、22、32 表示部
14 送信部
15、24 電池
16、25、36 制御部
16a 検出処理部
16b 機能不全予測部
16c 機能不全報知部
17、26、37 記憶部
20 無線中継器
23、33 無線通信部
25a、36a 機能不全中継部
30 受信用中継器
34 入出力部
35 電源回路部
40 受信機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線信号を送信する無線式感知器であって、無線信号を送信する第1送信手段と、当該無線式感知器の機能が不全となることを予測する機能不全予測手段と、前記機能不全予測手段により当該無線式感知器の機能が不全となることが予測された場合、当該機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を含む無線信号を、前記第1送信手段を介して送信する機能不全報知手段と、を備える無線式感知器と、
無線信号を有線信号として中継する受信用中継器であって、無線信号を受信する第1受信手段と、有線信号を送信する有線送信手段と、情報を出力する第1出力手段と、前記無線式感知器の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を含む無線信号を、前記第1受信手段を介して受信した場合、当該無線式感知器の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を含む有線信号を、前記有線送信手段を介して送信すると共に、前記無線式感知器の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を、前記第1出力手段を介して出力する第1機能不全中継手段と、を備える受信用中継器と、
を備える通信システム。
【請求項2】
無線信号を中継する無線中継器であって、無線信号を受信する第2受信手段と、無線信号を送信する第2送信手段と、情報を出力する第2出力手段と、前記無線式感知器の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を含む無線信号を、前記第2受信手段を介して受信した場合、当該無線式感知器の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を含む無線信号を、前記第2送信手段を介して送信すると共に、前記無線式感知器の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を、前記第2出力手段を介して出力する第2機能不全中継手段と、を備える無線中継器、
を備える請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記有線送信手段から有線信号を受信する受信機であって、前記受信用中継器に電力を供給する受信機を備え、
前記第1機能不全中継手段は、
前記無線式感知器の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を含む無線信号を、前記第1受信手段を介して受信した場合、当該無線式感知器の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を含む有線信号を、前記有線送信手段を介して前記受信機に送信する、
請求項1又は2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記第1機能不全中継手段は、
前記無線式感知器の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を含む無線信号を、前記第1受信手段を介して受信した場合、断線障害が発生したことを報知するための情報を含む有線信号を、前記有線送信手段を介して送信する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の通信システム。
【請求項5】
前記有線信号が送信される伝送線の終端に接続される回線終端器と、
前記回線終端器と前記伝送線との接続を解除する解除手段と、を備え、
前記第1機能不全中継手段は、
前記無線式感知器の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を含む無線信号を、前記第1受信手段を介して受信した場合、前記解除手段により前記回線終端器と前記伝送線との接続を解除させる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の通信システム。
【請求項6】
前記無線式感知器は、
当該無線式感知器の電源となる電池を備え、
前記機能不全予測手段は、
前記電池の出力電圧が所定レベルを下回った場合に、前記無線式感知器の機能が不全となると予測する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の通信システム。
【請求項7】
前記機能不全予測手段は、
前記無線式感知器の機能が不全となったことを特定し、
前記機能不全報知手段は、
前記機能不全予測手段により前記無線式感知器の機能が不全となったことが特定された場合、当該機能が不全となったことを報知するための情報を含む無線信号を、前記第1送信手段を介して送信し、
前記第1機能不全中継手段は、
前記無線式感知器の機能が不全となったことを報知するための情報を含む無線信号を、前記第1受信手段を介して受信した場合、当該無線式感知器の機能が不全となったことを報知するための情報を含む有線信号を、前記有線送信手段を介して送信すると共に、前記無線式感知器の機能が不全となったことを報知するための情報を、前記第1出力手段を介して出力する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の通信システム。
【請求項8】
無線式感知器又は無線中継器から送信された無線信号を有線信号として中継する受信用中継器であって、
無線信号を受信する受信手段と、
有線信号を送信する有線送信手段と、
情報を出力する出力手段と、
前記無線式感知器の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を含む無線信号を、前記受信手段を介して受信した場合、当該無線式感知器の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を含む有線信号を、前記有線送信手段を介して送信すると共に、前記無線式感知器の機能が不全となることが予測されたことを報知するための情報を前記出力手段を介して出力する機能不全中継手段と、
を備える受信用中継器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−43373(P2012−43373A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186536(P2010−186536)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】