説明

通信制御装置、プログラムおよび記録媒体

【課題】本発明は、通信路から引き渡された情報を異なる通信路または配下の装置に引き渡される情報とする通信制御装置と、このような通信制御装置としてコンピュータを機能させるプログラムと、そのプログラムが記録された記憶媒体とに関し、通信路や配下の装置が無用に輻輳状態や過負荷状態に陥ることなく、大量の情報の安定かつ効率的な引き渡しを実現できることを目的とする。
【解決手段】第一の通信路から引き渡された情報を第二の通信路または配下の装置に引き渡されるべき情報とする通信制御装置であって、前記第一の通信路から引き渡された情報の個々の優先度を識別する優先度識別手段と、前記第一の通信路から引き渡された情報を前記優先度識別手段によって識別された優先度で前記第二の通信路または前記配下の装置に引き渡されるべき情報とする制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信路から引き渡された情報を異なる通信路または配下の装置に引き渡される情報とする通信制御装置と、このような通信制御装置としてコンピュータを機能させるプログラムと、そのプログラムが記録された記憶媒体とに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々なセンサが与える情報の無線信号として送信する装置(以下、単に「端末装置」という。)は、低廉化、小型化および軽量化が図られ、かつバッテリによる長時間の稼働が容易に実現され可能となったために、地理的に散在して移動する人や車両に関する多量かつ多様な情報の収集のために適用されつつある。
【0003】
このような端末装置は、例えば、シティーマラソンに参加する3万人以上の走者によって携帯され、これらの走者の個々の心拍数、体温等の生体情報の収集および監視に供される。
【0004】
なお、本発明に関連性がある先行技術としては、以下に列記する特許文献1ないし特許文献4があった。
【0005】
(1) 「複数の無線基地局が無線で相互接続される無線通信ネットワークを構成する無線基地局であって、他の無線基地局および配下の端末の少なくとも一方から受信した情報を一時的に保持するバッファと、自局の混み具合に応じたノードコストと、リンクの無線状態に応じたリンクコストを計算し、前記ノードコストとリンクコストとを加味したコスト情報を生成し、当該コスト情報に基づいて通信経路を決定する経路制御情報処理部と、前記決定された通信経路に従って、前記バッファに蓄積されたデータの転送先を指定する経路制御部とを備える」ことにより、「ノードの負荷分散と、無線ネットワーク効率の双方を考慮した経路制御を可能とする」点に特徴がある無線基地局…特許文献1
【0006】
(2) 「複数の無線基地局と1つ以上の無線端末とからなる無線パケット通信システムにおいて、前記複数の無線基地局間で、その中の1つの特定無線基地局(ルート局)を起点としたツリー状の通信路を形成し、前記ツリー状の通信路を介して前記無線基地局間で送受信するパケットBは、ヘッダ部に送信元無線端末のMACアドレスを含む送信元アドレス、宛先無線端末のMACアドレスを含む宛先アドレス、当該パケットを送信する転送元無線基地局のMACアドレスを含む送信局アドレス、当該パケットを受信する転送先無線基地局のMACアドレスを含む受信局アドレスを有し、前記複数の無線基地局は、それぞれ自局に帰属する無線端末を登録する帰属テーブルと、前記ツリー状の通信路に基づいて中継可能な無線基地局を登録する中継無線基地局テーブルと、宛先無線端末(宛先アドレス)と転送先無線基地局(受信局アドレス)を対応付けて登録するアドレステーブルとを有し、前記各無線基地局は、前記パケットBを受信したときに、送信元アドレスで示される送信元無線端末と送信局アドレスで示される転送元無線基地局とを対応付け、宛先無線端末(宛先アドレス)と転送先無線基地局(受信局アドレス)に見立てて前記アドレステーブルに登録し、宛先アドレスで示される宛先無線端末が前記帰属テーブルに登録されていれば、その宛先無線端末へパケットを送信し、宛先アドレスで示される宛先無線端末が前記帰属テーブルに未登録で、かつ前記アドレステーブルに登録されていれば、その宛先無線端末に対応する転送先無線基地局へ前記パケットBを送信し、宛先アドレスで示される宛先無線端末が前記帰属テーブルおよび前記アドレステーブルに未登録で、かつ前記パケットBを送信した転送元無線基地局以外に中継可能な無線基地局が前記中継無線基地局テーブルに登録されていれば、その中継可能な全無線基地局へ前記パケットBを順次送信し、宛先アドレスで示される宛先無線端末が前記帰属テーブルおよび前記アドレステーブルに未登録で、さらに前記パケットBを送信した転送元無線基地局以外に中継可能な無線基地局が前記中継無線基地局テーブルに未登録であれば、前記パケットBを廃棄する」ことにより、「無線基地局の装置規模と消費電力の増加を伴わずにパケット転送を可能にし、無線基地局が次に転送する適当な無線基地局を容易に判断できる」点に特徴がある学習型無線パケット転送方法…特許文献2
【0007】
(3) 「特定の無線基地局をルート局としてツリー状の転送経路を構成する複数の無線基地局と各無線基地局に帰属する無線端末とを含む無線パケット通信網における無線パケット転送方法であって、前記各無線基地局において、前記ツリー状の転送経路上を自局に近づく方向に転送されるパケットをモニタして、当該パケットの送信元アドレスが示す無線端末と送信局アドレスが示す無線基地局とを対応づけてテーブルに登録し、自局に帰属中の無線端末または自局からみて前記ルート局と反対方向に位置する前記ツリー状の転送経路上の無線基地局からパケットを受信した場合、当該パケットの宛先アドレスで示される宛先無線端末が前記テーブルに登録されていることを条件として前記宛先無線端末に対応づけられた無線基地局を転送先として選択し、前記ツリー状の転送経路をショートカットして前記転送先として選択された無線基地局にパケットを送信し、他無線基地局から前記ツリー状の転送経路をショートカットして送信されたパケットを受信した場合、自局からみて前記ルート局と同じ方向に位置する前記ツリー状の転送経路上の無線基地局を転送先として選択しないことを特徴とする」ことにより、「冗長な転送経路を経ることなくパケットの転送を行うことができ、スループットの低下を防止する」点に特徴がある無線パケット転送方法…特許文献3
【0008】
(4) 「通信可能範囲に位置する他の無線ブリッジの中から、通信品質が所定レベル以上のもの選択して、スパニングツリープロトコル(STP)の適用対象とし、複数の無線ブリッジに同報通信すべきパケットに対して、ブロードキャストまたはマルチキャストアドレスを中継先アドレスとしたMACヘッダを付与し、無線インタフェースから同報パケットとして送出する」ことにより、「メッセージの転送効率を高める」点に特徴がある無線ブリッジ…特許文献4
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−303827号公報
【特許文献2】特開2000−069046号公報
【特許文献3】特開2000−078147号公報
【特許文献4】特開2003−188811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、上述した端末装置から無線伝送される個々の走者の生体情報については、これらの走者の数が3万以上と多数である場合には、実際には、以下の(1),(2)に列記するように収集や監視が困難であった。
【0011】
(1) シティーマラソンが実施される特定の地域や時間帯に、無線周波数等の有限の資源が付加的に占有されると、周波数軸上等に割り付けられる通常の通信系のトラヒックに著しい圧迫や輻輳状態を生じさせる要因となる可能性がある。
【0012】
なお、このようなトラヒックの圧縮や輻輳状態については、例えば、以下のa),b)項の何れかに示す形態でトラヒックが偏在するサービスエリアの小ゾーン化と、周波数の再利用とが図られることによって、回避あるいは大幅な軽減が図られ得る。
【0013】
a) 互いにオーパラップせず、かつ共通の無線周波数(無線チャネル)が割り付けられた無線ゾーンを介して無線伝送された各走者の生体情報が、シティーマラソンのコースに沿って配置された複数の無線基地局によって収集され、かつ上位の地上局(医師、救護員等の緊急時スーパーバイザーに対するこれらの生体情報の引き渡しを行う。)に引き渡される。
【0014】
b) そのコース上で互いにオーパラップし、かつ無線周波数の再利用により形成された無線ゾーンを介して無線伝送された各走者の生体情報が上記複数の無線基地局によって収集され、かつ既述の地上局に引き渡される。
【0015】
しかし、上記a)項に示す構成では、多数の走者が近傍に集中した無線基地局は、上位の地上局に引き渡す際にこれらの操作者が携帯する端末装置から送信された大量の生体情報により輻輳状態に陥り、緊急を要する生体情報の総合的な伝送効率が著しく低下する可能性が高かった。
【0016】
また、上記b)項に示す構成では、マラソンコースに沿って複数の無線ゾーンが互いにオーパラップする地点に位置する走者が携帯する端末装置は、適用された周波数配置、チャネル配置、多元接続方式等によっては、これらの無線ゾーンを介して生体情報が重複して無線伝送されるために、地上局に引き渡される情報の情報量とその地上局に要求される処理量とが増加し、総合的な応答性が低下する可能性が高かった。
【0017】
(2) 無線周波数等の有限の資源を占有し、大量の生体情報の伝送に十分な伝送速度の無線伝送路が確保されても、上記生体情報を管理すべき管理センターでは、これらの生体情報の内、緊急を要する生体情報を優先的に抽出することにより、人数が限りがある医師、救護員等の緊急時スーパーバイザーに提供することは、容易には実現できなかった。
【0018】
本発明は、通信路や配下の装置が無用に輻輳状態や過負荷状態に陥ることなく、大量の情報の安定かつ効率的な引き渡しを実現できる通信制御装置、プログラムおよび記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明では、第一の通信路から引き渡された情報を第二の通信路または配下の装置に引き渡されるべき情報とする通信制御装置において、優先度識別手段は、前記第一の通信路から引き渡された情報の個々の優先度を識別する。制御手段は、前記第一の通信路から引き渡された情報を前記優先度識別手段によって識別された優先度で前記第二の通信路または前記配下の装置に引き渡されるべき情報とする。
【0020】
すなわち、第二の通信路または配下の装置には、第一の通信路から引き渡された情報がそれぞれの優先度で引き渡される。
【0021】
本発明では、前記優先度識別手段は、前記第一の通信路から引き渡され得る情報に適した知識が予め登録された知識ベースに基づいて、前記第一の通信路から引き渡された情報の個々の優先度を識別する。
【0022】
すなわち、第二の通信路の伝送帯域や配下の装置の処理量の優先的な割り付けの基準は、これらの伝送帯域や処理量が割り付けられる情報に基づいて解決されるべき問題に整合した優先度として与えられる。
【0023】
本発明では、前記制御手段は、前記知識ベースに登録された知識に基づく処理を前記第一の通信路から引き渡された情報に施すことにより、前記第二の通信路または前記配下の装置に引き渡されるべき情報を生成する。
【0024】
すなわち、第二の通信路や配下の装置に引き渡されるべき情報は、第一の通信路から引き渡された情報に、その情報に基づいて解決されるべき問題に適した処理が施されることによって生成される。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、第二の通信路の伝送帯域、あるいは配下の装置の処理量が優先度が高い情報に対して優先的に割り付けられ、このような優先度が低い情報に伝送帯域や処理量が無用に割り付けられることに起因する輻輳状態や過負荷状態が確度高く安定に回避される。
【0026】
または、本発明は、本発明が適用された系で解決されるべき多様な問題に対する柔軟な適応が可能となる。
【0027】
したがって、本発明が適用された系では、応答性や信頼性が安定に高く維持され、かつ性能および付加価値が総合的に高められる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態を示す図である。
【図2】本実施形態におけるデータ保管サーバの動作フローチャートである。
【図3】本実施形態における地上局の動作フローチャートである。
【図4】本実施形態における各部の連係を示す図である。
【図5】生体情報の構成を示す図である。
【図6】知識ベースの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態を示す図である。
【0030】
図において、緊急時スーパーバイザーによって操作される端末11sと、本実施形態の運用や保守を行う要員によって操作される端末11moとは、(所定の通信路を介して)地上局20に接続される。その地上局20は、配下のデータ保管サーバ30-1〜30-pとの間に個別に無線伝送路(以下、「上位無線伝送路」という。)を形成する。データ保管サーバ30-1は、マラソンコースに沿って無線ゾーン40z-11〜40z-1qをそれぞれ形成する無線基地局40-11 〜40-1q との間に個別に無線伝送路(以下、「下位無線伝送路」という。)を形成する。
【0031】
なお、無線ゾーン40z-11〜40z-1qは、例えば、半径が100メートル以下であるセルとして構成される場合には、無線LAN(WiFi),Bluetooth,ZigBee等のように2.4GHz帯が適用された無線系として形成され、あるいは半径が100メートル以上である無線ゾーンとして構成されるべき場合には、400MHz帯が適用された特定小電力無線もしくはWiMax等の無線系として形成されてもよい。
【0032】
また、上述した上位無線伝送路については、多数の走者や市民がマラソンコースに沿った特定の地域に集中して集まるために生じる膨大なトラフィックが公衆網に集中することが回避されるべき場合には、公共ブロードバンド移動通信システムとして形成されてもよい。
【0033】
なお、以下では、データ保管サーバ30-2〜30-pおよびその配下の構成については、データ保管サーバ30-1と同様であるので、対応する構成要素の符号に第一の添え番号として、「1」に代わる「2」〜「p」を付与し、ここでは、その詳細な説明を省略する。
【0034】
図2は、本実施形態におけるデータ保管サーバの動作フローチャートである。
図3は、本実施形態における地上局の動作フローチャートである。
図4は、本実施形態における各部の連係を示す図である。
【0035】
以下、図1ないし図4を参照して、本実施形態が「リモートヘルスケアシステム」として機能するための各部の連係および動作を説明する。
【0036】
本発明の特徴は、本実施形態では、データ保管サーバ30-2〜30-pと地上局20とが連係することによって後述するように行われる通信制御の形態にある。
なお、以下では、データ保管サーバ30-1〜30-pおよびこれらの配下の構成要素に共通の事項については、対応する構成要素の第一の添え番号として「1」〜「p」の何れにも該当し得ることを示す添え文字「c」を付加することにより記述する。
【0037】
データ保管サーバ30-cは、地上局20の配下で(あるいは自立的に)下位無線伝送路を介して無線基地局40-c1 〜40-cqの振る舞いを統制することにより、これらの無線基地局40-c1 〜40-cqの配下に、マラソンコースに沿って互いにオーパラップし、かつ周波数が再利用により割り付けられた無線ゾーン40z-c1〜40z-cqを形成する(図2ステップS1)。
【0038】
このようなマラソンコースに沿って移動する走者が携帯する端末装置は、無線ゾーン40z-c1〜40z-cqの内、その端末が位置する無線ゾーン(以下、「カレント無線ゾーン」という。)40z-cCを形成する無線基地局40-cC 宛に、所定の生体情報を送信する。
【0039】
このような生体情報は、例えば、図5に示すように、以下の項目がそれぞれ配置されたフィールドの列として構成されるパケットとして送信される。
(1) 送信元の端末(および宛先の地上局の対)に付与されたユニークな識別子である「ID」
【0040】
(2) 該当する生体情報に含まれる体温、脈拍、血圧、…等の何れか1つまたはこれらの組み合わせを示すユニークな「データ種別」
(3) 上記データ種別で示される体温、脈拍、血圧、…等の何れか1つまたはこれらの組み合わせがパックされる「データ」
【0041】
無線基地局40-cCは、下位無線伝送路を介してその無線基地局40-cCの上位にあるデータ保管サーバ30-cに、該当する生体情報を無線伝送する(図4(1))。
【0042】
データ保管サーバ30-cの主記憶(または外部記憶)の所定の記憶領域には、図6に示すように、以下の項目がパックされたレコードの集合として構成される知識ベース30ib-cが配置される。
【0043】
(1) 生体情報に含まれ得る記述の「データ種別」に基づく検索のキーとなる「データ種別」
(2) その「データ種別」を含む生体情報に施されるべき処理の形態と、その処理に際して適用されるべきパラメータとの対(の列)として構成される「処理形態」
【0044】
(3) 上記「データ種別」を含む生体情報に予め付与され、かつ後述する関数として定義された「優先度」
データ保管サーバ30-cは、上述したように下位無線伝送を介して無線基地局40-cCから無線伝送された生体情報(以下、「該当生体情報」という。)を識別すると、以下の処理を行う(図4(2))。
【0045】
(1) 該当生体情報に含まれる「データ種別」を抽出し、その「データ種別」を検索キーとして知識ベース30ib-c上の該当するレコード(以下、「特定レコード」という。)を特定する(図2ステップS2,図4(2))。
【0046】
(2) その「特定レコード」に定義され、かつ「該当生体情報」のデータフィールドにパックされた体温、脈拍、血圧、…等の関数として与えられる優先度Pを算出し、その優先度Pが規定の閾値thを上回っているか否かの判別を行う(図2ステップS3,図4(3))。
【0047】
(3) その優先度Pが閾値thを上回っている場合には、以下の処理(3-1)〜(3-3)を行う。
(3-1) 「特定レコード」に含まれる「処理形態」による処理を「該当生体情報」に施すことによって、「生体情報r」を生成する(図2ステップS4,図4(4)))。
【0048】
(3-2) 「該当生体情報」に含まれる「データ」に対するその「生体情報r」の反映(「データフィールド」の内容の置換を含む。)を図ることにより、「生体情報t」を生成する(図2ステップS5,図4(5))。
【0049】
(3-3) 上位無線伝送路を介して地上局20宛に、その「生体情報t」を無線伝送する(図2ステップS6,図4(6))。
(4) 上記優先度Pが閾値thを上回っているか否かにかかわらず、「該当生体情報」をログする(図2ステップS7)。
【0050】
一方、地上局20は、既述の通りに上位無線伝送路を介してデータ保管サーバ30-cから引き渡された「生体情報t」を解析し(図3ステップS1,図4(8))、その解析の結果に基づいて端末11s、端末11moの双方もしくは何れか一方に、該当する「生体情報t」を引き渡す(図3ステップS2,図4(9))。
【0051】
すなわち、無線ゾーン40z-11〜40z-1q、…、40z-p1〜40z-pqの何れに位置する端末装置から送信された生体情報も、このような生体情報が多数の端末情報から並行して送信された場合であっても、無線基地局40z-11〜40z-1q、…、40z-p1〜40z-pqとデータ保管サーバ30-1〜30-pとによって以下に列記するように行われる連係の下で、有限の無線周波数、ならびにデータ保管サーバ30-1〜30-pおよび地上局20の処理量が有効に活用されることにより、緊急度が高いほど端末端末11sや端末11moに速やかに引き渡され、迅速かつ円滑な対処の対象となる。
【0052】
(1) 無線ゾーン40z-11〜40z-1q、…、40z-p1〜40z-pqがマラソンコースに沿って無線周波数の再利用の下で形成されることにより、データ保管サーバ30-cに速やかに引き渡される。
(2) データ保管サーバ30-cによって優先度が高いと識別された生体情報tに対して、上位無線伝送路の伝送帯域が優先的に割り付けられる。
【0053】
したがって、本実施形態によれば、早急の対処が必要な状況にある走者の生体情報に対して伝送帯域、処理量その他の資源の優先的な割り付けが安価にかつ自動的に行われ、走者の総数が著しく多い場合であっても、これらの走者の生体情報の有効かつ適切な収集および管理が図られ、緊急車両の手配のように、シティマラソンの主催者やその関係者が行うべき活動や連係の支援が円滑に実現される。
【0054】
なお、本実施形態では、データ保管サーバ30-cに知識ベース30ib-cが備えられているが、このようなデータ保管サーバ30-cは、例えば、データ保管サーバ30-cによって地上局20に引き渡されるべき「生体情報t」が既述の「該当生体情報」と常に同じである場合には、その「当該生体情報」に含まれる「データ種別」に対応する優先度Pを単に与えるデータベースで代替されてもよい。
【0055】
また、本実施形態では、知識ベース30ib-cおよびこれに代わって備えられるデータベースの内容、形式、ならびにデータ保管サーバ30-cによって行われる処理の手順については、既述の処理と等化な処理の結果が得られるならば、如何なるものであってもよい。
【0056】
さらに、本実施形態では、既述の端末11s、11moは、地上局20の周辺装置として備えられている。
【0057】
しかし、これらの端末11s、11moは、地上局20の特定の通信ポートに接続され、かつ既述の上位無線伝送路と同じあるいは異なる通信路上に配置された端末であってもよい。
【0058】
また、本実施形態では、地上局20は、例えば、上位無線伝送路を介してデータ保管サーバ30-cから引き渡された「生体情報t」の内、上記端末11s、11moに引き渡されるべき「生体情報t」の優先度に制約が課されるべき場合には、既述の知識ベース30ib-cまたはその知識ベース30ib-cに代わるデータベースを備え、かつデータ保管サーバ30-cによって行われる処理と同様の処理を行ってもよい。
【0059】
さらに、本実施形態では、データ保管サーバ30-cの配下の無線基地局40-c1〜40-cq
によって無線ゾーン40z-c1〜40z-cqがそれぞれ形成されている。
【0060】
しかし、本発明はこのような構成に限定されず、データ保管サーバ30-cに対する大量の「生体情報」の無線伝送が損なわれない程度に下位無線伝送路の伝送容量が大きい場合には、データ保管サーバ30-1〜30-pの数pと、データ保管サーバ30-cの配下に無線ゾーンを個別に形成する無線基地局40-c1 〜40-cqの数qとは、如何なる値であってもよい。
【0061】
また、本実施形態では、データ保管サーバ30-cによってログされた「該当生体情報」には、特に処理が施されていない。
【0062】
しかし、このようにしてログされた「該当生体情報」については、例えば、データ保管サーバ30-c、地上局20および外部のコンピュータの何れかが単体で行う処理、またはこれらの少なくとも2つが連係する機能分散または負荷分散の下で、以下に列記する事項の実現のために活用されてもよい。
【0063】
(1) シティーマラソンの円滑かつ効率的な開催にかかわる状況の把握、ならびに生じ得る状況の早期の予測や対処
(2) 次回以降の開催にかかわる様々な改善点の洗い出し
【0064】
(3) 「該当生体情報」の送信元である端末装置が位置していた無線ゾーン40z-cC の地域に居る主催者やその関係者が行うべき以下の活動や連係の支援
(3-1) 「当該生体情報」の傾向と気候情報との総合的な勘案の下で地域毎に行われるべき「水分補給を促す放送」
(3-2) 無線ゾーン40z-11〜40z-1q、…、40z-p1〜40z-pqに個別に位置する走者(端末装置)の数の分布に応じた主催者やその関係者の配置の適正化
【0065】
さらに、本実施形態では、下位無線伝送路と上位無線伝送路とについては、何れも、「生体情報」の伝送が所望の伝送品質および伝送速度で十分な効率により達成されるならば、適用されるべき周波数配置、チャネル配置、多元接続方式、変復調方式等は如何なるものであってもよい。
【0066】
また、下位無線伝送路や上位無線伝送路を介して無線伝送されるべき生体情報の内容および形式は、これらの無線伝送路の方式に適合するならば、如何なるものであってもよい。
【0067】
さらに、本実施形態では、データ保管サーバ30-cや地上局20が「生体情報」を引き渡すために行う処理は、如何なる通信レイヤの処理として実現されてもよい。
【0068】
また、本実施形態では、地上局20およびデータ保管サーバ30-cにおいて行われる既述の通信制御は、何れも汎用のコンピュータやサーバが実行するソフトウェアによって実現されなくてもよく、例えば、専用のハードウェアのみによって実現され、あるいはハードウェアとソフトウェア(機能分散や負荷分散の有無および形態は不問である。)との連係の下で実現されてもよい。
【0069】
さらに、本発明は、シティーマラソンにおけるリモートヘルスケアシステムに限定されず、例えば、地域の絆をより強固なものとして環境負荷の低減を図るために、地域毎に再生可能なエネルギーが生成される場所や、地域毎にエネルギーが消費される場所に設置されたセンサによって出力される多数の情報の収集、監視および活用に供されることによる再生可能なエネルギーの地産地消のように、多数の情報源から非同期に通知される情報に、確度高くかつ遅滞なく好適な処理が施されるべき系であるならば、その系に含まれる通信系の構成(通信路のトポロジー等の様々な方式を含む。)の如何にかかわらず、同様に適用可能である。
【0070】
また、本実施形態では、下位無線伝送路と上位無線伝送路とを介して伝送される情報が生体情報のみとなっている。
しかし、このようにして伝送される情報は、生体情報に限定されず、例えば、以下に列記するように、如何なる情報であってもよい。
【0071】
(1) 走者が端末装置に対して行った操作に応じてその端末装置から通知された緊急情報等
(2) 端末装置に組み込まれたプロセッサによって生成され、かつ生体センサ等のセンサが与える情報と上記操作との何れもが反映されていない情報
【0072】
さらに、本実施形態では、地上局20の配下に上位無線伝送路と下位無線伝送路とを介して2階層の通信系が構成されている。
しかし、本発明は、このような階層の数は「1」または「3」以上であってもよく、これらの階層間に形成される通信路の何れも、無線伝送路に限定されず、例えば、有線伝送路や光伝送路として形成されてもよい。
【0073】
また、本実施形態では、データ保管サーバ30-cと地上局20との構成が異なるが、これらのデータ保管サーバ30-cおよび地上局20は、何れとしても機能し得るハードウェアと、そのハードウェアを駆使するプロセッサによって実行されることによって既述の通信制御を実現するソフトウェアとの組み合わせとして標準化されてもよい。
【0074】
さらに、本発明は、上述した実施形態に限定されず、本発明の範囲において多様な実施形態の構成が可能であり、構成要素の全てまたは一部に如何なる改良が施されてもよい。
【0075】
以下、本願に開示された発明の内、「特許請求の範囲」に記載しなかった発明の構成、作用および効果を「特許請求の範囲」、「課題を解決するための手段」および「発明の効果」の欄の記載に準じた様式により列記する。
【0076】
[請求項6] 請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の通信制御装置において、
前記第一の通信路から引き渡された情報を蓄積する蓄積手段を備える
ことを特徴とする通信制御装置。
【0077】
このような構成の通信制御装置では、請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の通信制御装置において、蓄積手段は、前記第一の通信路から引き渡された情報を蓄積する。
【0078】
すなわち、第一の通信路から引き渡された情報は、優先度が低いために第二の通信路または配下の装置に対する引き渡しの対象から除外され、あるいはその引き渡しが大幅に遅れた場合であっても、本発明が適用された系で行われ得る所望の処理の対象として保全される。
【0079】
したがって、第一の通信路から引き渡された情報の内、第二の通信路または配下の装置に引き渡されなかった情報であっても有効な活用が可能となり、このような活用の下で付加価値や性能が高められる。
【0080】
[請求項7] 請求項6に記載の通信制御装置において、
前記蓄積手段によって蓄積された情報に所定の処理を施す適応処理手段を備えた
ことを特徴とする通信制御装置。
【0081】
このような構成の通信制御装置では、請求項6に記載の通信制御装置において、適応処理手段は、前記蓄積手段によって蓄積された情報に所定の処理を施す。
【0082】
すなわち、第一の通信路から引き渡された情報は、優先度が低いために第二の通信路または配下の装置に対する引き渡しの対象から除外され、あるいはその引き渡しが大幅に遅れた情報であっても、本発明が適用された系で行われることが望ましい多様な処理が施される。
【0083】
したがって、第一の通信路から引き渡された情報の内、第二の通信路または配下の装置に引き渡されなかった情報であっても有効に活用される。
【符号の説明】
【0084】
11mo,11s 端末
20 地上局
30 データ保管サーバ
30ib 知識ベース
40 無線基地局
40z 無線ゾーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の通信路から引き渡された情報を第二の通信路または配下の装置に引き渡されるべき情報とする通信制御装置であって、
前記第一の通信路から引き渡された情報の個々の優先度を識別する優先度識別手段と、
前記第一の通信路から引き渡された情報を前記優先度識別手段によって識別された優先度で前記第二の通信路または前記配下の装置に引き渡されるべき情報とする制御手段と
を備えたことを特徴とする通信制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の通信制御装置において、
前記優先度識別手段は、
前記第一の通信路から引き渡され得る情報に適した知識が予め登録された知識ベースに基づいて、前記第一の通信路から引き渡された情報の個々の優先度を識別する
ことを特徴とする通信制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の通信制御装置において、
前記制御手段は、
前記知識ベースに登録された知識に基づく処理を前記第一の通信路から引き渡された情報に施すことにより、前記第二の通信路または前記配下の装置に引き渡されるべき情報を生成する
ことを特徴とする通信制御装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の通信制御装置としてコンピュータを機能させるプログラム。
【請求項5】
請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の通信制御装置としてコンピュータを機能させるプログラムが格納され、かつコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−205119(P2012−205119A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68433(P2011−68433)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
2.ZIGBEE
【出願人】(000004330)日本無線株式会社 (1,186)
【Fターム(参考)】