説明

通信方法、無線端末および基地局

本発明にかかる通信方法では、CSMAを採用する通信システムにおいて実現可能で、かつRTS/CTSにより隠れ端末によるパケットの衝突を回避可能な通信方法であって、パケットの衝突を回避するために送信禁止状態となっている無線端末4が、その期間に自端末が属する基地局2からRTSフレームを受信した場合、送信禁止状態が解除され送信可能状態となった時点で、RTRフレームを送信し、さらに、RTRフレームを受信した基地局2とRTRフレーム送信元の無線端末4が、所定のデータフレームの送信処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
この発明は、ランダムアクセス技術の1つであるCSMA(Carrier Sense Multiple Access)を採用するディジタル無線通信システムにおける通信方法に関するものであり、特に、隠れ端末の影響による無線パケットの衝突を回避可能な通信方法に関するものである。
【背景技術】
以下、従来の通信方法について説明する。ランダムアクセス技術の1つであるCSMAは、たとえば、無線パケット通信等を行う通信システムにて採用されている。上記CSMAにおいては、システムを構成する複数の無線端末が、無線パケット送信に先立ち無線チャネルをキャリアセンスする。そして、チャネル使用中(チャネルビジー)を認識した場合は無線パケットの送信を控え、その後、チャネル未使用(チャネルアイドル)を認識した段階で無線パケットを送信する。
しかしながら、上記通信システムにおいては、無線端末間が互いに電波が届かないほどの距離を隔てて存在する場合や、無線端末間に電波を遮断する障害物が存在する場合などのように、他の無線端末の送信信号を直接受信できない状況がある。このように、同一通信システムを構成しているにもかかわらずその存在を認識できない無線端末を、「隠れ端末」と呼ぶ。隠れ端末に相当する無線端末間では、キャリアセンスが有効に機能しないため、一方が無線パケットを送信中に他方が無線パケットの送信を開始してしまう場合が発生し、このような場合には、たとえば、両無線端末の中間位置に存在する無線基地局で無線パケットの衝突が発生し、正常な通信ができなくなる。
下記非特許文献1においては、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)を用いたDCF(Distributed Coordination Function)のRTS(Request to Send)/CTS(Clear to Send)により、上記隠れ端末問題を改善する。
ここで、上記CSMAを採用する無線LANシステムにおける、基地局(AP)と無線端末(STA)との間の通信方法について説明する。なお、ここでは、STA(1)がAP(1)に属し、STA(2)がAP(2)に属した状態で、通信を行う場合を想定する。また、上記STA(2)はSTA(1)の通信範囲に存在し、STA(1)はSTA(2)の干渉範囲に存在する。また、このシステムで用いるRTSおよびCTSのパケットフォーマットは、RTSとCTSのパケットを区別するためのパケットタイプフィールドと、宛先アドレスフィールドと、送信元アドレスフィールド(CTSなし)と、送信無線パケットによるチャネル使用期間フィールドと、パケットのビット誤りをチェックするための誤りチェックフィールドと、を含んでいる。
まず、AP(1)がSTA(1)に対してコントロールフレームであるRTSフレームを送信する。つぎに、STA(1)がAP(1)に対してCTSフレームを送信する。それぞれのフレームには、NAV(Net Allocation Vector)と呼ばれる仮想キャリアセンス情報が含まれており、たとえば、宛先アドレスに対応する無線端末との通信におけるチャネル使用期限が示されている。したがって、宛先アドレス以外の無線端末はNAVに明記された時刻まで(時間期間)送信禁止状態となる。すなわち、ここでは、STA(2)が送信禁止状態となる。
つぎに、CTSフレームを受信したAP(1)が、STA(1)に対してDATAフレームを送信する。そして、DATAフレームの受信を完了したSTA(1)が、AP(1)に対してACKフレームを返送する。
一方、STA(1)からCTSフレームを受け取ったSTA(2)は、NAVにより送信禁止状態となっているため、AP(2)からRTSフレームを受信した場合であっても、CTSフレームを返送できない。AP(2)では、CTSフレームが返送されないので、送信禁止状態が解除されるまでRTSフレームを再送する。なお、再送回数が予め設定された上限に達した場合にはAP(2)がフレームを破棄することとしてもよい。
つぎに、チャネル使用期限に達して上記送信禁止状態が解除された状態で、AP(2)がSTA(2)に対してRTSフレームを再送すると、STA(2)は、CTSフレームをAP(2)に対して送信する。そして、CTSフレームを受信したAP(2)が、STA(2)に対してDATAフレームを送信し、受信完了後、STA(2)がAP(2)に対してACKフレームを返送する。
このように、上記従来の無線LANシステムにおいては、同一周波数で動作する複数の基地局にそれぞれ複数の無線端末が接続され、かつ別々の基地局に接続する無線端末同士が干渉することによって隠れ端末が存在する場合、RTS/CTSによりパケットの衝突を回避できる。
【非特許文献1】 無線LAN標準化規格IEEE802.11
しかしながら、上記従来の通信方法においては、たとえば、STA(2)が、他の同一周波数で動作するAP(1)に接続されたSTA(1)のNAVにより送信禁止状態となる。そのため、送信禁止状態のときは、AP(1)からのDATAフレームを受信できても、ACKフレームを送信することができなくなり、スループットが極端に低下する、という問題があった。
また、上記スループットの低下を回避する方法としては、たとえば、複数の基地局を同期させダウンリンクとアップリンクとを時間的に制御する方法や、基地局間の距離を調節する方法があるが、これらの方法では、複数の事業者あるいは個人が基地局をランダムに設置できない、という問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、基地局間の同期制御および基地局間の距離調整を行うことなく、スループットの低下を回避可能な通信方法を得ることを目的とする。
【発明の開示】
本発明にかかる通信方法にあっては、CSMA(Carrier Sense Multiple Access)を採用する通信システムにおいて実現可能で、かつRTS(Request to Send)/CTS(Clear to Send)により隠れ端末によるパケットの衝突を回避可能な通信方法において、パケットの衝突を回避するために送信禁止状態となっている無線端末が、その期間に自端末が属する基地局からRTSフレームを受信した場合、送信禁止状態が解除され送信可能状態となった時点で、再送要求(RTR:Request To Receive)フレームを送信する再送要求ステップと、前記RTRフレームを受信した基地局と前記RTRフレーム送信元の無線端末が、所定のデータフレームの送信処理を実行する再送ステップと、を含むことを特徴とする。
この発明によれば、特定の無線端末が、基地局からのアクセスがあったにもかかわらず、隠れ端末の影響で送信禁止状態となっている場合、送信可能状態に移行した時点で、受信できなかったデータフレームを再送してもらうためのRTRフレームを送信し、基地局に過去のデータフレームを再送させることとした。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明にかかる通信方法を実現可能な通信システムの構成を示す図であり、第2図は、送信要求フレーム(RTR)のフォーマットを示す図であり、第3図は、RTSのフレームフォーマットを示す図であり、第4図は、CTSのフレームフォーマットを示す図であり、第5図は、実施の形態1の通信方法を示す図であり、第6図は、実施の形態2の通信方法を示す図であり、第7図は、本発明にかかる通信方法を実現可能な通信システムの構成を示す図であり、第8図は、実施の形態3の通信方法を示す図であり、第9図は、実施の形態4の通信方法を示す図であり、第10図は、本発明にかかる通信方法を実現可能な通信システムの構成を示す図であり、第11図は、実施の形態5の通信方法を示す図であり、第12図は、本発明にかかる通信方法を実現可能な通信システムの構成を示す図であり、第13図は、実施の形態6の通信方法を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下に、本発明にかかる通信方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
第1図は、本発明にかかる通信方法を実現可能な通信システムの構成を示す図であり、基地局(AP)と無線端末(STA)の通信状況を表している。この通信システムでは、STA3がAP1に属し、STA4およびSTA5がAP2に属した状態で、パケット通信を行う場合を想定する。また、上記STA4はSTA3の通信範囲に存在し、STA3はSTA4の干渉範囲に存在する。
また、第2図は、本実施の形態の送信要求フレーム(RTR:Request To Receive)のフォーマットを示す図である。このRTRフレームは、パケット(RTR,RTS,CTS)を区別するためのパケットタイプフィールドと、宛先アドレスフィールドと、送信元アドレスフィールドと、無線パケットによるチャネルの使用期間を示すチャネル使用期間フィールドと、パケットのビット誤りをチェックするための演算結果を付加した誤りチェックフィールドと、を含んでいる。また、第3図は、従来と同様のRTSのフレームフォーマットを示す図であり、第4図は、従来と同様のCTSのフレームフォーマットを示す図である。このRTSフレームおよびCTSフレームは、パケットを区別するためのパケットタイプフィールドと、宛先アドレスフィールドと、送信元アドレスフィールド(CTSなし)と、無線パケットによるチャネルの使用期間を示すチャネル使用期間フィールドと、パケットのビット誤りをチェックするための演算結果を付加した誤りチェックフィールドと、を含んでいる。なお、IEEE802.11の詳細なフィールドや、変復調方式等に依存する各無線パケットに共通に付加されるフィールドについては省略する。
ここで、本実施の形態の通信方法を、図面を用いて具体的に説明する。第5図は、本実施の形態の通信方法を示す図である。ここでは、一例として、IEEE802.11に基づく無線LANシステムにおける、基地局(AP)と無線端末(STA)との間の通信方法について説明する。なお、図示の縦軸を時間軸とし、また、矢印はAPからSTAへのフレームあるいはSTAからAPへのフレームを表している。
まず、AP1がSTA3に対してIEEE802.11のコントロールフレームであるRTSフレームを送信する(第5図、ステップS1)。つぎに、STA3がAP1に対してCTSフレームを送信する(ステップS2)。それぞれのフレームには、NAVと呼ばれる仮想キャリアセンス情報が含まれており、たとえば、宛先アドレスに対応する無線端末との通信におけるチャネル使用期間が示されている。したがって、宛先アドレス以外の無線端末はNAVに明記された時刻まで送信禁止状態となる。すなわち、ここでは、STA4が、STA3の通信範囲に存在することから、送信禁止状態となる(ステップS3)。
つぎに、CTSフレームを受信したAP1が、STA3に対してDATAフレームを送信する(ステップS4)。そして、DATAフレームの受信を完了したSTA3が、AP1に対してACKフレームを返送する(ステップS5)。IEEE802.11では、隠れ端末問題を解決する方法としてRTS/CTSが用いられている。
一方、ステップS2の処理でSTA3からCTSフレームを受け取ったSTA4は、NAVにより送信禁止状態となっているため(ステップS3)、たとえば、図示のように、AP2からRTSフレームを受信した場合であっても(ステップS6)、CTSフレームを返送できない(ステップS7)。そして、AP2では、所定時間が経過してもCTSフレームが返送されてこないので、RTSフレームを再送する(ステップS8)。STA4では、送信禁止状態が継続中であるため、前回同様CTSフレームを返送できない(ステップS9)。
つぎに、本実施の形態では、再送回数が2回になった段階で、AP2がSTA4に対するDATAフレームを、たとえば、所定のバッファに一時的に保存する(ステップS10)。そして、他のSTAに対するDATAがあれば、他のSTAとの通信を優先する。ここでは、図示のとおり、STA5との通信を優先し、AP2がSTA5に対してRTSフレームを送信する(ステップS11)。一方で、STA4は、ステップS11のRTSフレームに含まれたNAVに基づいて、たとえば、チャネル使用期間がステップS2のCTSフレームが示す時刻よりも先の場合、送信禁止期間を延長する(ステップS12)。なお、本実施の形態では、一例として再送回数が2回の場合について記載したが、再送回数はこれに限らない。
つぎに、ステップS11の処理でRTSフレームを受信したSTA5は、AP2に対してCTSフレームを送信する(ステップS13)。そして、CTSフレームを受信したAP2がSTA5に対してDATAフレームを送信し(ステップS14)、一方で、STA4がSTA5宛てのDATAフレーム内のNAVに基づいて送信禁止期間を延長する(ステップS15)。その後、DATAフレームの受信を完了したSTA5が、AP2に対してACKフレームを返送し(ステップS16)、この時点で、ステップS15で更新されたSTA4の送信禁止状態が解除され、送信可能状態となる。
つぎに、送信可能状態となったSTA4では、過去にAP2からRTSフレーム(ステップS6、ステップS8)を受信したにもかかわらず、隠れ端末の影響でCTSフレームを送信できなかったため、RTSフレームを再送してもらうためのRTRフレームをAP2に対して送信する(ステップS17)。一方で、STA3は、ステップS17のRTRフレームに含まれたNAVに基づいて、たとえば、STA4からのCTSフレームの受信終了時刻まで、送信禁止状態となる(ステップS18)。
つぎに、ステップS17の処理でRTRフレームを受信したAP2では、その応答としてSTA4に対してRTSフレームを送信する(ステップS19)。一方で、STA5は、ステップS19のRTSフレームに含まれたNAVに基づいて、たとえば、STA4の受信処理が完了するまで、送信禁止状態となる(ステップS20)。
つぎに、ステップS19の処理でRTSフレームを受信したSTA4では、AP2に対してCTSフレームを送信する(ステップS21)。一方で、STA3がAP2宛てのCTSフレーム内のNAVに基づいて送信禁止期間を延長する(ステップS22)。
つぎに、ステップS21の処理でCTSフレームを受信したAP2では、ステップS10の処理で一時的に保存しておいたDATAフレームを読み出し、それをSTA4に対して送信する(ステップS23)。そして、最後に、DATAフレームの受信を完了したSTA4が、AP2に対してACKフレームを返送し(ステップS24)、この時点で、STA3およびSTA5の送信禁止状態が解除され、送信可能状態となる。
なお、本実施の形態では、同一周波数で動作する基地局に接続する無線端末によって隠れ端末が発生する場合について説明したが、これに限らず、たとえば、同一周波数で動作する基地局が干渉範囲内で動作するために無線端末が送信処理を行えない場合においても、同様の手順を適用できる。また、キャリアセンスにより接続する基地局からフレームを受信したが、受信直後に送信処理が不可能になった場合であっても、無線端末が送信可能状態になった時点でRTRフレームを送信することによって同様の手順が適用できる。
また、隠れ端末対策用のRTS/CTS手順を行わないシーケンスにおいても、RTRフレームを送信することによって同様の手順が適用できる。この場合は、ステップS6〜S9の処理がDATAフレームの再送処理に置き換えられ、そして、RTRフレームを送信後、ステップS23(DATAフレーム)およびステップS24(ACKフレーム)だけの手順となる。また、無線端末からの上りトラフィックだけではなく、基地局からの下りトラフィックにも同様の手順が適用できる。また、通信システムの構成については、基地局が特定の無線端末をなりえるものとし、無線端末が基地局となりえるものとする。また、本実施の形態では、CSMA/CAに基づいたアクセス方式について説明したが、さらに、ポーリング制御に基づくアクセス方式においてもRTRフレーム内でポーリング時間を予約し、受信フレームの配送予約を行うことによって同様の手順を適用できる。
このように、本実施の形態においては、特定の無線端末が、基地局からのアクセスがあったにもかかわらず、隠れ端末の影響で送信禁止状態となっている場合、送信可能状態に移行した時点で、受信できなかったDATAフレームを再送してもらうための送信要求フレームを送信し、基地局に過去のDATAフレームを再送させることとした。これにより、基地局からのダウンリンクのパケットを効率的に受信することができるようになるので、基地局間のダウンリンク/アップリンクの同期を確立することなく、極端なスループットの低下を回避することができる。また、IEEE802.11と親和性があるので、従来のWLANカードが利用できる。
実施の形態2.
以下、実施の形態2の通信方法について説明する。なお、通信システムの構成については、先に説明した実施の形態1の第1図と同様であるため、同一の符号を付してその説明を省略する。また、本実施の形態で用いる各フレームフォーマットについても、先に説明した実施の形態1の第2図、第3図および第4図と同様である。
つづいて、本実施の形態の通信方法を、図面を用いて具体的に説明する。第6図は、実施の形態2の通信方法を示す図である。ここでは、実施の形態1と異なる動作についてのみ説明する。
ステップS16の処理によって送信可能状態となったSTA4では、過去にAP2からRTSフレーム(ステップS6、ステップS8)を受信したにもかかわらず、隠れ端末の影響でCTSフレームを送信できなかったため、RTSフレームを再送してもらうためのRTRフレームをAP2に対して送信する(ステップS17)。一方で、STA3は、ステップS17のRTRフレームに含まれたNAVに基づいて、たとえば、STA4の受信処理が完了するまで、送信禁止状態となる(ステップS31)。
つぎに、ステップS17の処理でRTRフレームを受信したAP2では、ステップS10の処理で一時的に保存しておいたDATAフレームを読み出し、それをSTA4に対して送信する(ステップS23)。一方で、STA5は、ステップS23のDATAフレームに含まれたNAVに基づいて、たとえば、STA4の受信処理が完了するまで、送信禁止状態となる(ステップS20)。
そして、最後に、DATAフレームの受信を完了したSTA4が、AP2に対してACKフレームを返送し(ステップS24)、この時点で、STA3およびSTA5の送信禁止状態が解除され、送信可能状態となる。
このように、本実施の形態においては、基地局が送信要求フレームを受信した場合に、実施の形態1で実行していたRTS/CTS手順を省略することとした。これにより、RTS/CTS手順によって帯域を占有されることがなくなるので、さらにスループットの低下を軽減することができる。
実施の形態3.
以下、実施の形態3の通信方法について説明する。第7図は、本発明にかかる通信方法を実現可能な通信システムの構成を示す図であり、APとSTAの通信状況、および同一周波数を利用するAPの通信状況を表している。この通信システムでは、STA3がAP1に属し、STA4およびSTA5がAP2に属した状態で、パケット通信を行う場合を想定する。また、上記AP2はSTA3の通信範囲に存在し、STA3はAP2の干渉範囲に存在する。なお、本実施の形態で用いる各フレームフォーマットについては、先に説明した実施の形態1の第2図、第3図および第4図と同様である。
つづいて、本実施の形態の通信方法を、図面を用いて具体的に説明する。第8図は、実施の形態3の通信方法を示す図である。ここでは、一例として、IEEE802.11に基づく無線LANシステムにおける、APとSTAとの間の通信方法について説明する。なお、図示の縦軸を時間軸とし、また、矢印はAPからSTAへのフレームあるいはSTAからAPへのフレームを表している。
まず、AP1がSTA3に対してIEEE802.11のコントロールフレームであるRTSフレームを送信する(第8図,ステップS41)。つぎに、STA3がAP1に対してCTSフレームを送信する(ステップS42)。それぞれのフレームには、NAVと呼ばれる仮想キャリアセンス情報が含まれているので、宛先アドレス以外の無線端末はNAVに明記された時刻まで送信禁止状態となる。すなわち、ここでは、AP2が、STA3の通信範囲に存在することから、送信禁止状態となる(ステップS43)。
つぎに、CTSフレームを受信したAP1が、STA3に対してDATAフレームを送信する(ステップS44)。そして、DATAフレームの受信を完了したSTA3が、AP1に対してACKフレームを返送する(ステップS45)。IEEE802.11では、隠れ端末問題あるいは干渉問題を解決する方法としてRTS/CTSが用いられている。
一方、ステップS42の処理でSTA3からCTSフレームを受け取ったAP2は、NAVにより送信禁止状態となっているため(ステップS43)、たとえば、図示のように、STA4からRTSフレームを受信した場合であっても(ステップS46)、CTSフレームを返送できない(ステップS7)。そして、STA4では、所定時間が経過してもCTSフレームが返送されてこないので、RTSフレームを再送する(ステップS48)。AP2では、送信禁止状態が継続中であるため、前回同様CTSフレームを返送できない(ステップS49)。
つぎに、本実施の形態では、再送回数が2回になった段階で、STA4がAP2に対するDATAフレームを、たとえば、所定のバッファに一時的に保存する(ステップS50)。なお、本実施の形態では、一例として、再送回数が2回の場合について記載したが、再送回数はこれに限らない。また、他の無線端末あるいは基地局に対するDATAがあれば、他の無線端末あるいは基地局との通信を優先してもよい。
つぎに、ステップS43の送信禁止状態が解除された後、送信可能状態となったAP2では、過去にSTA4からRTSフレーム(ステップS46、ステップS48)を受信したにもかかわらず、CTSフレームを送信できなかったため、RTSフレームを再送してもらうためのRTRフレームをSTA4に対して送信する(ステップS51)。一方で、STA3は、ステップS51のRTRフレームに含まれたNAVに基づいて、たとえば、AP2からのCTSフレームの受信終了時刻まで、送信禁止状態となる(ステップS52)。
つぎに、ステップS51の処理でRTRフレームを受信したSTA4では、その応答としてAP2に対してRTSフレームを送信する(ステップS53)。一方で、STA5は、ステップS53のRTSフレームに含まれたNAVに基づいて、たとえば、STA4の受信処理が完了するまで、送信禁止状態となる(ステップS54)。
つぎに、ステップS53の処理でRTSフレームを受信したAP2では、STA4に対してCTSフレームを送信する(ステップS55)。一方で、STA3が、STA4宛てのCTSフレーム内のNAVに基づいて、必要に応じて送信禁止期間を延長する(ステップS56)。
つぎに、ステップS55の処理でCTSフレームを受信したSTA4では、ステップS50の処理で一時的に保存しておいたDATAフレームを読み出し、それをAP2に対して送信する(ステップS57)。そして、最後に、DATAフレームの受信を完了したAP2が、STA4に対してACKフレームを返送し(ステップS58)、この時点で、STA3およびSTA5の送信禁止状態が解除され、送信可能状態となる。
なお、本実施の形態では、同一周波数で動作する基地局に隣接する無線端末によって隠れ端末が発生する場合について説明したが、これに限らず、たとえば、同一周波数で動作する基地局が干渉範囲内で動作するために無線端末が送信処理を行えない場合においても、同様の手順を適用できる。また、キャリアセンスにより接続する無線端末からフレームを受信したが、受信直後に送信処理が不可能になった場合であっても、基地局が送信可能状態になった時点でRTRフレームを送信することによって同様の手順が適用できる。
また、隠れ端末および干渉問題対策用のRTS/CTS手順を行わないシーケンスにおいても、RTRフレームを送信することによって同様の手順が適用できる。この場合は、ステップS46〜S49の処理がDATAフレームの再送処理に置き換えられ、そして、RTRフレームを送信後、ステップS57(DATAフレーム)およびステップS58(ACKフレーム)だけの手順となる。また、本実施の形態では、CSMA/CAに基づいたアクセス方式について説明したが、さらに、ポーリング制御に基づくアクセス方式においてもRTRフレーム内でポーリング時間を予約し、受信フレームの配送予約を行うことによって同様の手順を適用できる。この場合は、配送予約を行うフィールドをRTRフレームに追加することで対応できる。また、通信システムの構成については、先に説明した実施の形態1および2において、基地局が特定の無線端末をなりえるものとし、無線端末が基地局となりえるものとする。
このように、本実施の形態においては、特定の基地局が、無線端末からのアクセスがあったにもかかわらず、隠れ端末あるいは干渉の影響で送信禁止状態となっている場合、送信可能状態に移行した時点で、受信できなかったDATAフレームを再送してもらうための送信要求フレームを送信し、無線端末に過去のDATAフレームを再送させることとした。これにより、無線端末からのアップリンクのパケットを効率的に受信することができるようになる。
実施の形態4.
以下、実施の形態4の通信方法について説明する。なお、通信システムの構成については、先に説明した実施の形態3の第7図と同様であるため、同一の符号を付して説明を省略する。また、本実施の形態で用いる各フレームフォーマットについても、先に説明した実施の形態1の第2図、第3図および第4図と同様である。
つづいて、本実施の形態の通信方法を、図面を用いて具体的に説明する。第9図は、実施の形態4の通信方法を示す図である。ここでは、実施の形態3と異なる動作についてのみ説明する。
ステップS43の送信禁止状態が解除された後、送信可能状態となったAP2では、過去にSTA4からRTSフレーム(ステップS46、ステップS48)を受信したにもかかわらず、CTSフレームを送信できなかったため、RTSフレームを再送してもらうためのRTRフレームをSTA4に対して送信する(ステップS51)。一方で、STA3は、ステップS51のRTRフレームに含まれたNAVに基づいて、たとえば、AP2の受信処理が完了するまで、送信禁止状態となる(ステップS61)。
つぎに、ステップS51の処理でRTRフレームを受信したSTA4では、ステップS50で一時的に保存しておいたDATAフレームを読み出し、それをAP2に対して送信する(ステップS57)。一方で、STA5は、ステップS57のDATAフレームに含まれたNAVに基づいて、たとえば、AP2の受信処理が完了するまで、送信禁止状態となる(ステップS62)。
そして、最後に、DATAフレームの受信を完了したAP2が、STA4に対してACKフレームを返送し(ステップS58)、この時点で、STA3およびSTA5の送信禁止状態が解除され、送信可能状態となる。
このように、本実施の形態において、無線端末が送信要求フレームを受信した場合に、実施の形態3で実行していたRTS/CTS手順を省略することとした。これにより、RTS/CTS手順によって帯域を占有されることがなくなるので、さらにスループットの低下を軽減することができる。
実施の形態5.
以下、実施の形態5の通信方式について説明する。第10図は、本発明にかかる通信方法を実現可能な通信システムの構成を示す図であり、AP間の通信状況、およびそれぞれのAPに属するSTAを示している。APとSTAの通信方法については、前述した実施の形態1〜4と同様である。なお、本実施の形態では、APとSTAの関係について説明するが、APが特定のSTAの1台でもよいし、また、STAがAPでもかまわない。さらに、AP間は、他のネットワークによって接続されていてもよし、接続されていなくてもよい。
この通信システムでは、基地局が、他の基地局と同一チャネルあるいは干渉を受けるチャネルを使用して通信を行うことを前提とする。具体的には、AP1がAP2の干渉範囲に存在し、AP2がAP6とAP1の干渉範囲に存在し、AP6がAP2の干渉範囲に存在する。なお、本実施の形態で用いる各フレームフォーマットについては、先に説明した実施の形態1の第2図、第3図および第4図と同様である。
つづいて、本実施の形態の通信方法を、図面を用いて具体的に説明する。第11図は、実施の形態5の通信方法を示す図である。ここでは、一例として、IEEE802.11に基づく無線LANシステムにおける、AP間の通信方法について説明する。
まず、STA3が、STA3がAP1に対してIEEE802.11のコントロールフレームであるRTSフレームを送信する(第11図、ステップS71)。つぎに、AP1がSTA3に対してCTSフレームを送信する(ステップS72)。なお、ここでは、AP2がAP1の通信範囲に存在することから、NAVによる通信禁止状態となる(ステップS73)。
つぎに、CTSフレームを受信したSTA3が、AP1に対してDATAフレームを送信する(ステップS74)。そして、DATAフレームの受信を完了したAP1が、STA3に対してACKフレームを返送する(ステップS75)。
一方、ステップS72の処理で、AP1からCTSフレームを受け取ったAP2は、NAVにより送信禁止状態となっているため(ステップS73)、たとえば、図示のように、AP6から基地局通信用フレームを受信した場合であっても(ステップS76)、応答フレームを返送できない(ステップS77)。そして、AP6では、所定時間が経過しても応答フレームが返送されてこないので、基地局通信用フレームを再送する(ステップS78)。AP2では、送信禁止状態が継続中であるため、前回同様応答フレームを返送できない(ステップS79)。
つぎに、本実施の形態では、再送回数が2回になった段階で、AP6がAP2に対するDATAを、たとえば、所定のバッファに一時的に保存する(ステップS80)。そして、他のSTAあるいはAPに対するDATAがあれば、他のSTAあるいはAPとの通信を優先する。ここでは、図示のとおり、STA5との通信を優先し、AP6がSTA5に対してRTSフレームを送信する(ステップS81)。一方で、AP2は、ステップS81のRTSフレームに含まれたNAVに基づいて、たとえば、チャネル使用期間がステップS73のCTSフレームが示す時間よりも先の場合、送信禁止期間を延長する(ステップS82)。なお、本実施の形態では、一例として、再送回数が2回の場合について記載したが、再送回数はこれに限らない。
つぎに、ステップS81の処理でRTSフレームを受信したSTA5は、AP6に対してCTSフレームを送信する(ステップS83)。そして、CTSフレームを受信したAP6が、STA5に対してDATAフレームを送信し(ステップS84)、一方で、AP2がSTA5宛てのDATAフレーム内のNAVに基づいて、必要に応じて送信禁止状態を延長する(ステップS85)。その後、DATAフレームの受信を完了したSTA5が、AP6に対してACKフレームを返送する(ステップS86)。この時点で、ステップS85で更新されたAP2の送信禁止状態が解除され、送信可能となる。
つぎに、送信可能状態となったAP2では、過去にAP6から基地局通信用フレーム(ステップS76、ステップS78)を受信したにもかかわらず、応答フレームを送信できなかったため、基地局通信用フレームを再送してもらうためのRTRフレームをAP6に対して送信する(ステップS87)。一方で、AP1は、ステップS87のRTRフレームに含まれたNAVに基づいて、たとえば、AP2からの応答フレームの受信終了時刻まで送信禁止状態となる(ステップS88)。なお、本実施の形態では、RTRフレームによって、基地局間通信のためのフレーム送信をすぐに要求しているが、ポーリング方式に基づく通信システムにおいて受信時間を予約する方法を用いることとしてもよい。
つぎに、ステップS87の処理でRTRフレームを受信したAP6では、その応答として、AP2に対して基地局通信用フレームを送信する(ステップS89)。一方で、STA5は、ステップS89の基地局間通信のためのフレームに含まれたNAVに基づいて、たとえば、AP2の受信処理が完了するまで通信禁止状態となる(ステップS90)。そして、最後に、基地局間通信用のフレームの受信を完了したAP2が、AP6に対して応答フレームを返送し(ステップS91)、この時点で、STA5およびAP1の送信禁止状態が解除され、送信可能状態となる。
このように、本実施の形態においては、特定の無線端末(または基地局)が、基地局(または端末)からのアクセスがあったにもかかわらず、送信禁止状態となっている場合、送信可能の状態に移行した時点で、受信できなかったフレーム(DATA,基地局間通信のためのフレームを含む)を再送してもらうための送信要求フレームを送信し、基地局に過去のフレームを再送させることとした。これによりパケットを効率的に受信できるようになるので、極端なスループットの低下を回避することができる。
なお、隠れ端末および干渉問題対策用のRTS/CTS手順を行わないシーケンスにおいても、RTRフレームを送信することによって同様の手順が適用できる。また、本実施の形態では、CSMA/CAに基づいたアクセス方式について説明したが、さらに、ポーリング制御に基づくアクセス方式においてもRTRフレーム内でポーリング時間を予約し、受信フレームの配送予約を行うことによって、同様の手順を適用できる。この場合は、配送予約を行うフィールドをRTRフレームに追加することで対応できる。また、RTRフレームと基地局間のDATAフレームは、本実施の形態では他のフレームと同一周波数を使用することとしているが、これに限らず、他の周波数を使用することとしてもよい。
実施の形態6.
以下、実施の形態6の通信方法について説明する。第12図は,本発明にかかる通信方法を実現可能な通信システムの構成を示す図であり、APとSTAの通信状態を示している。なお、ここでは、STA3がAP1に属し、STA4およびSTA5がAP2に属し、通信を行っている。また、第12図において、AP1はSTA3の通信範囲に存在し、AP2はSTA3の干渉範囲内に存在している。また、すべての端末が同一チャネルを使用することを前提とする。
つづいて、本実施の形態の通信方法を、図面を用いて具体的に説明する。第13図は、実施の形態6の通信方法を示す図である。ここでは、一例として、無線LANに対してQoSを適用させるための規格であるIEEE802.11eに基づく、APとSTAとの間の通信方法について説明する。
まず、AP1がSTA3に対してIEEE802.11のコントロールフレームであるRTSフレームを送信する(第13図,ステップS101)。つぎに、STA3がAP1に対してCTSフレームを送信する(ステップS102)。ここでは、AP2が、STA3の通信範囲に存在することから、NAVによる送信禁止状態となる(ステップS103)。
つぎに、CTSフレームを受信したAP1が、STA3に対してDATAフレームを送信する(ステップS104)。そして、DATAフレームの受信を完了したSTA3が、AP1に対してACKフレームを返送する(ステップS105)。
一方、ステップS102の処理でSTA3からCTSフレームを受け取ったAP2は、NAVにより送信禁止状態となっているため(ステップS103)、たとえば、図示のように、STA4からRTSフレームを受信した場合であっても(ステップS106)、CTSフレームを返送できない(ステップ107)。そして、STA4では、所定時間が経過してもCTSフレームが返送されてこないので、RTSフレームを再送する(ステップS108)。AP2では、送信禁止状態が継続中であるため、前回同様CTSフレームを返送できない(ステップS109)。
つぎに、本実施の形態では、再送回数が2回になった段階で、STA4がAP2に対するDATAフレームを、たとえば、所定のバッファに一時的に保存する(ステップS110)。なお、本実施の形態では、一例として、再送回数が2回の場合について記載したが、再送回数はこれに限らない。また、他の無線端末あるいは基地局に対するDATAがあれば、他の無線端末あるいは基地局との通信を優先してもよい。
また、AP2は、上記同様、NAVにより送信禁止状態となっているため(ステップS103)、たとえば、図示のように、STA5からRTSフレームを受信した場合であっても(ステップS111)、CTSフレームを返送できない(ステップ112)。そして、STA4では、所定時間が経過してもCTSフレームが返送されてこないので、RTSフレームを再送する(ステップS113)。AP2では、送信禁止状態が継続中であるため、前回同様CTSフレームを返送できない(ステップS114)。
そして、STA5では、再送回数が2回になった段階で、AP2に対するDATAフレームを、たとえば、所定のバッファに一時的に保存する(ステップS115)。
つぎに、ステップS103の送信禁止状態が解除された後、送信可能状態となったAP2では、過去にSTA4およびSTA5からRTSフレーム(ステップS106、ステップS108、ステップS111、ステップS113)を受信したにもかかわらず、CTSフレームを送信できなかったため、RTSフレームを再送してもらうためのRTRフレームを、まず、STA5に対して送信する(ステップS116)。一方で、STA3は、ステップS116のRTRフレームに含まれたNAVに基づいて、たとえば、AP2からのCTSフレームの受信終了時刻まで、送信禁止状態となる(ステップS117)。なお、本実施の形態では、説明の便宜上、STA5からAP2へ送信するDATAフレームを優先されるべきDATAフレームとしているが、これに限らず、STA4からAP2へ送信するDATAフレームの優先順位が高ければ、ステップS116においてAP2が先にSTA4へのRTRを送信する。
つぎに、ステップS116の処理でRTRフレームを受信したSTA5では、その応答としてAP2に対してRTSフレームを送信する(ステップS118)。一方で、STA4は、ステップS118のRTSフレームに含まれたNAVに基づいて、たとえば、STA5の受信処理が完了するまで、送信禁止状態となる(ステップS119)。
つぎに、ステップS118の処理でRTSフレームを受信したAP2では、STA5に対してCTSフレームを送信する(ステップS120)。一方で、STA3が、STA5宛てのCTSフレーム内のNAVに基づいて、必要に応じて送信禁止期間を延長する(ステップS121)。
つぎに、ステップS120の処理でCTSフレームを受信したSTA5では、ステップS115の処理で一時的に保存しておいたDATAフレームを読み出し、それをAP2に対して送信する(ステップS122)。そして、最後に、DATAフレームの受信を完了したAP2が、STA5に対してACKフレームを返送し(ステップS123)、この時点で、STA3およびSTA4の送信禁止状態が解除され、送信可能状態となる。
つぎに、AP2がSTA5に対してACKフレームを返送(ステップS123)した後、AP2は、STA4へRTRフレームを送信する(ステップS124)。一方で、STA3は、ステップS124のRTRフレームに含まれたNAVに基づいて、たとえば、AP2からのCTSフレームの受信終了時刻まで、送信禁止状態となる(ステップS125)。
つぎに、ステップS124の処理でRTRフレームを受信したSTA4では、その応答としてAP2に対してRTSフレームを送信する(ステップS126)。一方で、STA5は、ステップS126のRTSフレームに含まれたNAVに基づいて、たとえば、STA4の受信処理が完了するまで、送信禁止状態となる(ステップS127)。
つぎに、ステップST26の処理でRTSフレームを受信したAP2では、STA4に対してCTSフレームを送信する(ステップS128)。一方で、STA3が、STA4宛てのCTSフレーム内のNAVに基づいて、必要に応じて送信禁止期間を延長する(ステップS129)。
つぎに、ステップS128の処理でCTSフレームを受信したSTA4では、ステップS110の処理で一時的に保存しておいたDATAフレームを読み出し、それをAP2に対して送信する(ステップS130)。そして、最後に、DATAフレームの受信を完了したAP2が、STA4に対してACKフレームを返送し(ステップS131)、この時点で、STA3およびSTA5の送信禁止状態が解除され、送信可能状態となる。
なお、本実施の形態では、同一周波数で動作する基地局に隣接する無線端末によって隠れ端末が発生する場合について説明したが、これに限らず、たとえば、同一周波数で動作する基地局が干渉範囲内で動作するために無線端末が送信処理を行えない場合においても、同様の手順を適用できる。また、キャリアセンスにより接続する無線端末からフレームを受信したが、受信直後に送信処理が不可能になった場合であっても、基地局が送信可能状態になった時点でRTRフレームを送信することによって同様の手順が適用できる。
また、隠れ端末および干渉問題対策用のRTS/CTS手順を行わないシーケンスにおいても、RTRフレームを送信することによって同様の手順が適用できる。この場合は、ステップS106〜S109,S111〜S114の処理がDATAフレームの再送処理に置き換えられ、そして、RTRフレームを送信後、ステップS122(DATAフレーム)およびステップS123(ACKフレーム)、ステップS130(DATAフレーム)およびステップS131(ACKフレーム)、だけの手順となる。また、本実施の形態では、CSMA/CAに基づいたアクセス方式について説明したが、さらに、ポーリング制御に基づくアクセス方式においてもRTRフレーム内でポーリング時間を予約し、受信フレームの配送予約を行うことによって同様の手順を適用できる。この場合は、配送予約を行うフィールドをRTRフレームに追加することで対応できる。また、通信システムの構成については、基地局が特定の無線端末をなりえるものとし、無線端末が基地局となりえるものとする。また、バッファに一時的に保存したDATAフレームの優先順位が時間の経過によって下がった場合、バッファに保存したDATAフレームを破棄することとしてもよいし、または次回以降の送信にスケジューリングしなおすこととしてもよい。ここでは、RTRフレームまたはデータフレームに優先順位を示すフィールドを追加することで対応する。
このように、本実施の形態においては、特定の基地局が、複数の無線端末からのアクセスがあったにもかかわらず、隠れ端末あるいは干渉の影響で送信禁止状態となっている場合、送信可能状態に移行した時点で、受信できなかったDATAフレームを再送してもらうための送信要求フレームを、優先度の高いデータを有する端末装置宛てに順次送信し、各無線端末に過去のDATAフレームを順に再送させることとした。これにより、複数の無線端末からのアップリンクのパケットを効率的に受信することができるようになる。
【産業上の利用可能性】
以上のように、本発明にかかる通信方法は、ランダムアクセス技術の1つであるCSMAを採用するディジタル無線通信システムに有用であり、特に、無線パケットの衝突を回避するための方法として適している。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
CSMA(Carrier Sense Multiple Access)を採用する通信システムにおいて実現可能で、かつRTS(Request to Send)/CTS(Clear to Send)により隠れ端末によるパケットの衝突を回避可能な通信方法において、
パケットの衝突を回避するために送信禁止状態となっている無線端末が、その期間に自端末が属する基地局からRTSフレームを受信した場合、送信禁止状態が解除され送信可能状態となった時点で、再送要求(RTR:Request To Receive)フレームを送信する再送要求ステップと、
前記RTRフレームを受信した基地局と前記RTRフレーム送信元の無線端末が、所定のデータフレームの送信処理を実行する再送ステップと、
を含むことを特徴とする通信方法。
【請求項2】
前記送信禁止状態となっている無線端末を収容する基地局が、当該無線端末宛てのデータを一時的に保存しておくデータ保存ステップ、
を含むことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の通信方法。
【請求項3】
前記データ保存ステップでは、CTSフレームが得られないことによるRTSフレームの再送回数が、予め規定しておいた所定回数に達した時点で、前記無線端末宛てのデータを保存することを特徴とする請求の範囲第2項に記載の通信方法。
【請求項4】
前記基地局は、RTSフレームを送信したにもかかわらず、送信先の無線端末が送信禁止状態でCTSフレームを受信できない場合、他の無線端末に対して送信すべきデータがあれば、前記送信禁止状態となっている無線端末との通信よりも前記他の無線端末との通信を優先的に実行し、
前記送信禁止状態となっている無線端末は、前記他の無線端末のチャネル使用期間に応じて送信禁止期間を延長可能とすることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の通信方法。
【請求項5】
前記再送ステップでは、送信禁止状態となっている無線端末が、その期間に複数の基地局または他の無線端末からRTSフレームを受信した場合、送信禁止状態が解除され送信可能状態となった時点で、優先度の高い順に再送処理のスケジューリングを行い、順にRTRフレームを送信することを特徴とする請求の範囲第1項に記載の通信方法。
【請求項6】
CSMA(Carrier Sense Multiple Access)を採用する通信システムにおいて実現可能で、かつRTS(Request to Send)/CTS(Clear to Send)により隠れ端末によるパケットの衝突を回避可能な基地局と前記RTS/CTSを使用していない基地局とが共存する通信システムにおける通信方法において、
パケットの衝突を回避するために送信禁止状態となっている無線端末が、その期間に自端末が属する基地局からデータフレームを受信した場合、送信禁止状態が解除され送信可能状態となった時点で、再送要求(RTR:Request To Receive)フレームを送信する再送要求ステップと、
前記RTRフレームを受信した前記基地局と前記RTRフレーム送信元の無線端末が、所定のデータフレームの送信処理を実行する再送ステップと、
を含むことを特徴とする通信方法。
【請求項7】
前記送信禁止状態となっている無線端末を収容する基地局が、当該無線端末宛てのデータを一時的に保存しておくデータ保存ステップ、
を含むことを特徴とする請求の範囲第6項に記載の通信方法。
【請求項8】
前記データ保存ステップでは、データフレームの再送回数が予め規定しておいた所定回数に達した時点で、前記無線端末宛てのデータを保存することを特徴とする請求の範囲第7項に記載の通信方法。
【請求項9】
前記基地局は、データフレームを送信したにもかかわらず、送信先の無線端末が送信禁止状態でACKフレームを受信できない場合、他の無線端末に対して送信すべきデータがあれば、前記送信禁止状態となっている無線端末との通信よりも前記他の無線端末との通信を優先的に実行し、
前記送信禁止状態となっている無線端末は、前記他の無線端末のチャネル使用期間に応じて送信禁止期間を延長可能とすることを特徴とする請求の範囲第6項に記載の通信方法。
【請求項10】
前記再送ステップでは、送信禁止状態となっている無線端末が、その期間に複数の基地局または他の無線端末からデータフレームを受信した場合、送信禁止状態が解除され送信可能状態となった時点で、優先度の高い順に再送処理のスケジューリングを行い、順にRTRフレームを送信することを特徴とする請求の範囲第6項に記載の通信方法。
【請求項11】
前記再送ステップは、
前記RTRフレームを受信した基地局が、その応答としてRTSフレームを送信する工程と、
前記RTRフレーム送信元の無線端末が、受信したRTSフレームに対する応答としてCTSフレームを送信する工程と、
前記CTSフレームを受信した基地局が、送信禁止状態で送信することができなかった前記RTRフレーム送信元の無線端末宛てのデータフレームを送信する工程と、
前記RTRフレーム送信元の無線端末が、所望のデータフレームを受信後、ACKフレームを返送する工程と、
を含むことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の通信方法。
【請求項12】
前記再送ステップは、
前記RTRフレームを受信した基地局が、送信禁止状態で送信することができなかった前記RTRフレーム送信元の無線端末宛てのデータフレームを送信する工程と、
前記RTRフレーム送信元の無線端末が、所望のデータフレームを受信後、ACKフレームを返送する工程と、
を含むことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の通信方法。
【請求項13】
前記再送ステップは、
前記RTRフレームを受信した基地局が、送信禁止状態で送信することができなかった前記RTRフレーム送信元の無線端末宛てのデータフレームを送信する工程と、
前記RTRフレーム送信元の無線端末が、所望のデータフレームを受信後、ACKフレームを返送する工程と、
を含むことを特徴とする請求の範囲第6項に記載の通信方法。
【請求項14】
前記送信禁止状態が解除された無線端末からRTRフレームを受信した他の無線端末、および前記RTRフレームを受信した基地局と通信可能なRTRフレーム送信元の無線端末以外の無線端末が、パケットの衝突を回避するために動作状態を送信禁止状態に移行し、前記再送ステップの処理が完了した時点で、送信禁止状態を解除することを特徴とする請求の範囲第11項に記載の通信方法。
【請求項15】
前記送信禁止状態が解除された無線端末からRTRフレームを受信した他の無線端末、および前記RTRフレームを受信した基地局と通信可能なRTRフレーム送信元の無線端末以外の無線端末が、パケットの衝突を回避するために動作状態を送信禁止状態に移行し、前記再送ステップの処理が完了した時点で、送信禁止状態を解除することを特徴とする請求の範囲第12項に記載の通信方法。
【請求項16】
前記送信禁止状態が解除された無線端末からRTRフレームを受信した他の無線端末、および前記RTRフレームを受信した基地局と通信可能なRTRフレーム送信元の無線端末以外の無線端末が、パケットの衝突を回避するために動作状態を送信禁止状態に移行し、前記再送ステップの処理が完了した時点で、送信禁止状態を解除することを特徴とする請求の範囲第13項に記載の通信方法。
【請求項17】
ランダムアクセス技術の一つであるCSMA(Carrier Sense Multiple Access)を採用し、かつRTS(Request to Send)/CTS(Clear to Send)により隠れ端末によるパケットの衝突を回避可能な無線端末において、
パケットの衝突を回避するために送信禁止状態となっているとき(送信禁止期間)に自端末が属する基地局からRTSフレームを受信した場合、送信禁止状態が解除され送信可能状態となった時点で、再送要求(RTR:Request To Receive)フレームを送信することを特徴とする無線端末。
【請求項18】
前記送信禁止状態となっている期間に、複数の他の無線端末または基地局からRTSフレームを受信した場合、送信禁止状態が解除され送信可能状態となった時点で、優先度の高い順に再送処理のスケジューリングを行い、順にRTRフレームを送信することを特徴とする請求の範囲第17項に記載の無線端末。
【請求項19】
前記送信禁止期間に他の無線端末との通信が優先的に実行された場合、当該他の無線端末のチャネル使用期間に応じて送信禁止期間を延長可能とすることを特徴とする請求の範囲第17項に記載の無線端末。
【請求項20】
ランダムアクセス技術の一つであるCSMA(Carrier Sense Multiple Access)を採用し、かつRTS(Request to Send)/CTS(Clear to Send)を使用していない基地局に属する無線端末において、
前記RTS/CTSを採用する基地局の影響で送信禁止状態となっているとき(送信禁止期間)に自端末が属する基地局からデータフレームを受信した場合、送信禁止状態が解除され送信可能状態となった時点で、再送要求(RTR:Request To Receive)フレームを送信することを特徴とする無線端末。
【請求項21】
前記送信禁止状態となっている期間に、複数の他の無線端末または基地局からデータフレームを受信した場合、送信禁止状態が解除され送信可能状態となった時点で、優先度の高い順に再送処理のスケジューリングを行い、順に再送要求(RTR:Request To Receive)フレームを送信することを特徴とする請求の範囲第20項に記載の基地局。
【請求項22】
前記送信禁止期間に他の無線端末との通信が優先的に実行された場合、当該他の無線端末のチャネル使用期間に応じて送信禁止期間を延長可能とすることを特徴とする請求の範囲第21項に記載の無線端末。
【請求項23】
前記RTRフレーム送信後に、前記基地局から受信したRTSフレームに対する応答としてCTSフレームを送信し、さらに、前記CTSフレーム送信後に、基地局から所望のデータフレームを受信し、受信完了後にACKフレームを返送することを特徴とする請求の範囲第17項に記載の無線端末。
【請求項24】
前記RTRフレーム送信後に、前記基地局から所望のデータフレームを受信し、受信完了後にACKフレームを返送することを特徴とする請求の範囲第17項に記載の無線端末。
【請求項25】
前記RTRフレーム送信後に、前記基地局から所望のデータフレームを受信し、受信完了後にACKフレームを返送することを特徴とする請求の範囲第20項に記載の無線端末。
【請求項26】
ランダムアクセス技術の一つであるCSMA(Carrier Sense Multiple Access)を採用し、かつRTS(Request to Send)/CTS(Clear to Send)を実現可能な基地局において、
パケットの衝突を回避するために送信禁止状態となっている無線端末に対してRTSフレームを送信し、その後、送信禁止状態が解除され送信可能状態となった無線端末から再送要求(RTR:Request To Receive)フレームを受信した場合、
前記RTRフレームに対する応答としてRTSフレームを送信し、前記RTRフレーム送信元の無線端末からCTSフレームを受信後、前記送信禁止状態で送信することができなかった前記RTRフレーム送信元の無線端末宛てのデータフレームを送信することを特徴とする基地局。
【請求項27】
ランダムアクセス技術の一つであるCSMA(Carrier Sense Multiple Access)を採用し、かつRTS(Request to Send)/CTS(Clear to Send)を実現可能な基地局において、
パケットの衝突を回避するために送信禁止状態となっている無線端末に対してRTSフレームを送信し、その後、送信禁止状態が解除され送信可能状態となった無線端末から再送要求(RTR:Request To Receive)フレームを受信した場合、
前記RTRフレームに対する応答として、前記送信禁止状態で送信することができなかった前記RTRフレーム送信元の無線端末宛てのデータフレームを送信することを特徴とする基地局。
【請求項28】
前記送信禁止状態となっている無線端末宛てのデータを一時的に保存するためのバッファ手段、
を備えることを特徴とする請求の範囲第26項に記載の基地局。
【請求項29】
前記送信禁止状態となっている無線端末宛てのデータを一時的に保存するためのバッファ手段、
を備えることを特徴とする請求の範囲第27項に記載の基地局。
【請求項30】
CTSフレームが得られないことによるRTSフレームの再送回数が、予め規定しておいた所定回数に達した時点で、前記無線端末宛てのデータを保存することを特徴とする請求の範囲第28項に記載の基地局。
【請求項31】
CTSフレームが得られないことによるRTSフレームの再送回数が、予め規定しておいた所定回数に達した時点で、前記無線端末宛てのデータを保存することを特徴とする請求の範囲第29項に記載の基地局。
【請求項32】
RTSフレームを送信したにもかかわらず、送信先の無線端末が送信禁止状態でCTSフレームを受信できない場合、他の無線端末に対して送信すべきデータがあれば、前記送信禁止状態となっている無線端末との通信よりも前記他の無線端末との通信を優先的に実行することを特徴とする請求の範囲第26項に記載の基地局。
【請求項33】
RTSフレームを送信したにもかかわらず、送信先の無線端末が送信禁止状態でCTSフレームを受信できない場合、他の無線端末に対して送信すべきデータがあれば、前記送信禁止状態となっている無線端末との通信よりも前記他の無線端末との通信を優先的に実行することを特徴とする請求の範囲第27項に記載の基地局。
【請求項34】
ランダムアクセス技術の一つであるCSMA(Carrier Sense Multiple Access)を採用し、かつRTS(Request to Send)/CTS(Clear to Send)を使用していない基地局において、
前記RTS/CTSを採用する基地局の影響で送信禁止状態となっている無線端末に対してデータフレームを送信し、その後、送信禁止状態が解除され送信可能状態となった無線端末から再送要求(RTR:Request To Receive)フレームを受信した場合、
前記RTRフレームに対する応答として、前記送信禁止状態で送信することができなかった前記RTRフレーム送信元の無線端末宛てのデータフレームを送信することを特徴とする基地局。
【請求項35】
前記送信禁止状態となっている無線端末宛てのデータを一時的に保存するためのバッファ手段、
を備えることを特徴とする請求の範囲第34項に記載の基地局。
【請求項36】
ACKフレームが得られないことによるデータフレームの再送回数が、予め規定しておいた所定回数に達した時点で、前記無線端末宛てのデータを保存することを特徴とする請求の範囲第35項に記載の基地局。
【請求項37】
データフレームを送信したにもかかわらず、送信先の無線端末が送信禁止状態でACKフレームを受信できない場合、他の無線端末に対して送信すべきデータがあれば、前記送信禁止状態となっている無線端末との通信よりも前記他の無線端末との通信を優先的に実行することを特徴とする請求の範囲第34項に記載の基地局。
【請求項38】
CSMA(Carrier Sense Multiple Access)を採用する通信システムにおいて実現可能で、かつRTS(Request to Send)/CTS(Clear to Send)により隠れ端末によるパケットの衝突を回避可能な通信方法において、
パケットの衝突を回避するために、または干渉によって、送信禁止状態となっている基地局が、その期間に自基地局に属する無線端末からRTSフレームを受信した場合、送信禁止状態が解除され送信可能状態となった時点で、再送要求(RTR:Request To Receive)フレームを送信する再送要求ステップと、
前記RTRフレームを受信した前記RTSフレーム送信元の無線端末と前記RTRフレーム送信元の基地局が、所定のデータフレームの送信処理を実行する再送ステップと、
を含むことを特徴とする通信方法。
【請求項39】
前記送信禁止状態となっている基地局に属する無線端末が、当該基地局宛てのデータを一時的に保存しておくデータ保存ステップ、
を含むことを特徴とする請求の範囲第38項に記載の通信方法。
【請求項40】
前記データ保存ステップでは、前記RTSフレームの再送回数が予め規定しておいた所定回数に達した時点で、前記基地局宛てのデータを保存することを特徴とする請求の範囲第39項に記載の通信方法。
【請求項41】
前記無線端末は、RTSフレームを送信したにもかかわらず、送信先の基地局が送信禁止状態でCTSフレームを受信できない場合、他の基地局または他の無線端末に対して送信すべきデータがあれば、前記送信禁止状態となっている基地局との通信よりも前記他の基地局または他の無線端末との通信を優先的に実行し、
前記送信禁止状態となっている基地局は、前記他の基地局または他の無線端末のチャネル使用期間に応じて送信禁止期間を延長可能とすることを特徴とする請求の範囲第38項に記載の通信方法。
【請求項42】
前記再送ステップでは、送信禁止状態となっている基地局が、その期間に複数の他の基地局または無線端末からRTSフレームを受信した場合、送信禁止状態が解除され送信可能状態となった時点で、優先度の高い順に再送処理のスケジューリングを行い、順に再送要求(RTR:Request To Receive)フレームを送信することを特徴とする請求の範囲第38項に記載の通信方法。
【請求項43】
ランダムアクセス技術の一つであるCSMA(Carrier Sense Multiple Access)を採用し、かつRTS(Request to Send)/CTS(Clear to Send)により隠れ端末によるパケットの衝突を回避可能な基地局において、
パケットの衝突を回避するために、または干渉によって、送信禁止状態となっている期間に、自基地局に属する無線端末からRTSフレームを受信した場合、送信禁止状態が解除され送信可能状態となった時点で、再送要求(RTR:Request To Receive)フレームを送信することを特徴とする基地局。
【請求項44】
前記送信禁止状態となっている期間に、複数の他の基地局または無線端末からRTSフレームを受信した場合、送信禁止状態が解除され送信可能状態となった時点で、優先度の高い順に再送処理のスケジューリングを行い、順に再送要求(RTR:Request To Receive)フレームを送信することを特徴とする請求の範囲第43項に記載の基地局。
【請求項45】
CSMA(Carrier Sense Multiple Access)を採用する通信システムにおいて実現可能で、かつRTS(Request to Send)/CTS(Clear to Send)により隠れ端末によるパケットの衝突を回避可能な基地局と前記RTS/CTSを使用していない基地局とが共存する通信システムにおける通信方法において、
パケットの衝突を回避するために、または干渉によって、送信禁止状態となっている基地局が、その期間に自基地局に属する無線端末からデータフレームを受信した場合、送信禁止状態が解除され送信可能状態となった時点で、再送要求(RTR:Request To Receive)フレームを送信する再送要求ステップと、
前記RTRフレームを受信した前記データフレーム送信元の無線端末と前記RTRフレーム送信元の基地局が、所定のデータフレームの送信処理を実行する再送ステップと、
を含むことを特徴とする通信方法。
【請求項46】
前記送信禁止状態となっている基地局に属する無線端末が、当該基地局宛てのデータを一時的に保存しておくデータ保存ステップ、
を含むことを特徴とする請求の範囲第45項に記載の通信方法。
【請求項47】
前記データ保存ステップでは、前記データフレームの再送回数が予め規定しておいた所定回数に達した時点で、前記基地局宛てのデータを保存することを特徴とする請求の範囲第46項に記載の通信方法。
【請求項48】
前記無線端末は、データフレームを送信したにもかかわらず、送信先の基地局が送信禁止状態でACKフレームを受信できない場合、他の基地局または他の無線端末に対して送信すべきデータがあれば、前記送信禁止状態となっている基地局との通信よりも前記他の基地局または他の無線端末との通信を優先的に実行し、
前記送信禁止状態となっている基地局は、前記他の基地局または他の無線端末のチャネル使用期間に応じて送信禁止期間を延長可能とすることを特徴とする請求の範囲第45項に記載の通信方法。
【請求項49】
前記再送ステップでは、送信禁止状態となっている基地局が、その期間に複数の他の基地局または無線端末からデータフレームを受信した場合、送信禁止状態が解除され送信可能状態となった時点で、優先度の高い順に再送処理のスケジューリングを行い、順に再送要求(RTR:Request To Receive)フレームを送信することを特徴とする請求の範囲第45項に記載の通信方法。
【請求項50】
ランダムアクセス技術の一つであるCSMA(Carrier Sense Multiple Access)を採用し、かつRTS(Request to Send)/CTS(Clear to Send)を使用していない基地局において、
前記RTS/CTSを再送する他の基地局または端末装置の影響で送信禁止状態となっている期間に、自基地局に属する無線端末からデータフレームを受信した場合、送信禁止状態が解除され送信可能状態となった時点で、再送要求(RTR:Request To Receive)フレームを送信することを特徴とする基地局。
【請求項51】
前記送信禁止状態となっている期間に、複数の他の基地局または無線端末からデータフレームを受信した場合、送信禁止状態が解除され送信可能状態となった時点で、優先度の高い順に再送処理のスケジューリングを行い、順に再送要求(RTR:Request To Receive)フレームを送信することを特徴とする請求の範囲第50項に記載の基地局。
【請求項52】
CSMA(Carrier Sense Multiple Access)を採用する通信システムにおいて実現可能で、かつRTS(Request to Send)/CTS(Clear to Send)により隠れ端末によるパケットの衝突を回避可能な通信方法において、
パケットの衝突を回避するために、または干渉によって、送信禁止状態となっている第1の基地局が、その期間に第2の基地局から基地局通信用フレームを受信した場合、送信禁止状態が解除され送信可能状態となった時点で、再送要求(RTR:Request To Receive)フレームを送信する再送要求ステップと、
前記RTRフレームを受信した第2の基地局と前記RTRフレーム送信元の第1の基地局が、所定のデータフレームの送信処理を実行する再送ステップと、
を含むことを特徴とする通信方法。
【請求項53】
前記第2の基地局が、前記送信禁止状態となっている第1の基地局宛てのデータを一時的に保存しておくデータ保存ステップ、
を含むことを特徴とする請求の範囲第52項に記載の通信方法。
【請求項54】
前記データ保存ステップでは、前記基地局通信用フレームの再送回数が予め規定しておいた所定回数に達した時点で、前記送信禁止状態となっている第1の基地局宛てのデータを保存することを特徴とする請求の範囲第53項に記載の通信方法。
【請求項55】
前記第2の基地局は、基地局通信用フレームを送信したにもかかわらず、送信先の第1の基地局が送信禁止状態で応答フレームを受信できない場合、前記第1の基地局以外の第3の基地局または無線端末に対して送信すべきデータがあれば、前記送信禁止状態となっている第1の基地局との通信よりも前記第3の基地局または無線端末との通信を優先的に実行し、
前記送信禁止状態となっている第1の基地局は、前記第3の基地局または無線端末のチャネル使用期間に応じて送信禁止期間を延長可能とすることを特徴とする請求の範囲第52項に記載の通信方法。
【請求項56】
ランダムアクセス技術の一つであるCSMA(Carrier Sense Multiple Access)を採用し、かつRTS(Request to Send)/CTS(Clear to Send)により隠れ端末によるパケットの衝突を回避可能な基地局において、
パケットの衝突を回避するために、または干渉によって、送信禁止状態となっている期間に、他の基地局から基地局通信用フレームを受信した場合、送信禁止状態が解除され送信可能状態となった時点で、再送要求(RTR:Request To Receive)フレームを送信することを特徴とする基地局。
【請求項57】
前記送信禁止状態となっている期間に、複数の他の基地局または無線端末から基地局通信用フレームを受信した場合、送信禁止状態が解除され送信可能状態となった時点で、優先度の高い順に再送処理のスケジューリングを行い、順に再送要求(RTR:Request To Receive)フレームを送信することを特徴とする請求の範囲第56項に記載の基地局。

【国際公開番号】WO2004/102888
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【発行日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−506257(P2005−506257)
【国際出願番号】PCT/JP2004/006862
【国際出願日】平成16年5月14日(2004.5.14)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】