説明

通信方法、通信システム、通信端末装置及び基地局装置

【課題】複数のセッションでの通信時に基地局におけるデータ保持の負担を軽減して、基地局においてデータ転送の停滞が発生してしまうことがない通信方法、通信システム、通信端末装置及び基地局装置を提供する。
【解決手段】BS11が、第1のセッションと第2のセッションの状態を把握するセッション状態把握し、第1のセッションがスリープで第2のセッションがアクティブであるとき、第1のセッション用のデータをネットワーク側から取得した場合、第2のセッションを介してMS12へ第1のセッションの状態を変更するよう指示し、MS12が指示を受けた場合、所定時間経過前であっても第1のセッションをアクティブ状態に変更し、BS11からMS12へアクティブ状態に変更された第1のセッションを介して第1のセッション用のデータを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、通信端末装置と基地局装置の間で、少なくとも第1のセッション及び第2のセッションにて通信を行うことができる通信方法、通信システム、この通信システムに用いられる通信端末装置及び基地局装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動通信端末装置と基地局装置との間で、通信を行うことができる通信システムが知られており、このような通信システムとして、例えば、「中継装置と電源制御方法」(特許文献1参照)、「移動端末、移動通信システムおよび通信方法」(特許文献2参照)、「無線通信システム」(特許文献3参照)がある。
【0003】
複数のインターフェイスを持つ通信システムにおいて電源制御を行う「中継装置と電源制御方法」の場合、有線インターフェイス(IEEE(Institute Electrical and Electronics Engineers)1394)と無線インターフェイスには、それぞれ有線待機手段と無線待機手段が存在するものの総合的な電源管理方法が無く無駄な待機電力を消費する虞があり、低消費電力モ−ドへの移行、復帰という電力管理が効率良くできない、という問題を解決するために、中継装置が、2つの基地局と接続している場合に、一方が省電力中で待機中になっていても他方でその待機から復帰する命令を送信して、復帰させる仕組みである。
【0004】
また、「移動端末、移動通信システムおよび通信方法」では、PHS(Personal Handyphone System)と無線LAN(Local Area Network)の802.11bという違う無線方式を用いて、PHSのペ−ジング機能を使って、無線LANが有効になっていないときに、移動端末を呼び出す方式である。これは、PHSと無線LANの2つの無線方式を使って、PHSの消費電力が少なくペ−ジングを使えるという利点を使って、無線LANの不安定さを解消することを考えた方式である。
【0005】
更に、リアルタイム性を重視した「無線通信システム」においては、省電力モ−ドの無線移動端末宛にマルチメディアデータ送出手段がパケット信号を送ってくるときには、その無線移動端末がそのパケット信号を要求するまでの間、これを一時的に格納するようになっている。無線基地局は周期的に報知情報を無線移動端末に送って、省電力モ−ドの無線移動端末はこれを解析することで、自端末宛のパケット信号が無線基地局側に一時的に格納されているかどうかを知り、格納されている場合にはそのパケット信号の送出を要求することにしている。
【0006】
このような無線通信システムで、無線移動端末は省電力モ−ドで送出を要求したパケット信号が受信されたときそのプロトコルを用いてリアルタイム通信が必要であるかどうかを判別するようにしている。そして、リアルタイム通信が必要であると判別したときには、無線移動端末側から省電力モ−ドから通常モ−ドに移行することを無線基地局に通知し、そのリアルタイム通信が終了したときには省電力モ−ドへの復帰を通知することにしている。
【0007】
ところで、IEEE802.16−2005において、モバイル端末用にスリープモードが規定された。モバイル端末装置が間欠に無線部分回路の電源をオン(ON)/オフ(OFF)をして、省電力を行うというモ−ドである。IEEE802.16のモバイル端末装置は、携帯端末装置と違って、基地局1台と複数の論理コネクションを開設することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−007187号公報
【特許文献2】特開2003−229800号公報
【特許文献3】特開2004−172772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、IEEE802.16−2005では、各コネクション毎の省電力の方法は規定しているが、1つの基地局に複数のコネクションを開設している場合に、それらコネクションを連携して復帰指示を行う方法は規定していない。
【0010】
基地局が、あるモバイル端末装置へのデータを転送しようとしたとき、スリープモ−ドによりそのコネクションが休止している場合には、基地局は、コネクション復帰まで、一端、データを貯めておくが、バッファがない場合はパケットを破棄することになる。
【0011】
つまり、モバイル端末装置は、間欠的に無線を受信していることから、一方のコネクションに通信しているときに他方のコネクションにデータを送ろうとしても、開設していないコネクションにはデータを送ることができない。従って、コネクションが開設するまで、基地局はパケットを保管しておく必要があり、保管量が増えるとパケットを破棄することになるため、基地局においてデータ転送の停滞が発生してしまう。
【0012】
また、コネクションが開設するまで、基地局がパケットを保管しておく場合に、優先度の高いサービス種別のパケットを保管すると、リアルタイム性を要する通信において、安定したサービス品質を維持できない場合がある。
【0013】
この発明の目的は、複数のコネクション(セッション)での通信時に基地局におけるデータ保持の負担を軽減して、基地局においてデータ転送の停滞が発生してしまうことがなく、また、優先度の高いサービス種別のパケットに対してもリアルタイムでの通信を可能にして、リアルタイム性を要する通信において、安定したサービス品質を維持できる通信方法、通信システム、通信端末装置及び基地局装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、この発明に係る通信方法は、通信端末装置と基地局装置との間で、少なくとも第1のセッション及び第2のセッションにて通信を行うことができる通信システムにおける通信方法であって、前記第1のセッションは、アクティブ状態又はスリープ状態へ所定時間毎に交互に移行される期間を有し、前記第2のセッションは、前記第1のセッションがスリープ状態のときには少なくともアクティブ状態である期間を有し、前記基地局装置が、前記第1のセッションと前記第2のセッションの状態を把握するセッション状態把握ステップと、前記把握に基づいて、前記第1のセッションがスリープ状態で、且つ、前記第2のセッションがアクティブ状態であるときに、前記第1のセッション用のデータをネットワーク側から取得した場合には、前記第2のセッションを介して、前記通信端末装置へ、前記第1のセッションの状態を変更するよう指示する指示ステップと、前記通信端末装置が、前記指示を受けた場合、前記所定時間経過前であっても、前記第1のセッションをアクティブ状態に変更するセッション状態変更ステップと、前記基地局装置から前記通信端末装置へ、前記アクティブ状態に変更された第1のセッションを介して当該第1のセッション用のデータを送信するデータ送信ステップと、を含むことを特徴としている。
【0015】
また、この発明は、前記指示ステップでは、前記ネットワーク側から、前記第1のセッション用のリアルタイム通信用のデータを取得した場合に、前記第2のセッションを介して、前記通信端末装置へ、前記第1のセッションの状態を変更するよう指示することが好ましい。
【0016】
また、この発明は、前記第2のセッションは、アクティブ状態又はスリープ状態へ所定時間毎に交互に移行される時間を有し、前記セッション状態把握ステップでは、前記第1のセッションでのアクティブ状態又はスリープ状態と前記第2のセッションでのアクティブ状態又はスリープ状態を把握することが好ましい。
【0017】
また、この発明は、前記基地局装置が、少なくとも前記第1のセッション用のデータと、前記第1のセッション及び前記第2のセッションと異なる第3のセッション用データを取得した場合に、前記第1のセッションと、前記第3のセッションにおける優先度を把握する優先度把握ステップと、前記把握した各優先度を比較する優先度比較ステップと、前記比較の結果、前記第3のセッションにおける優先度が高い場合、前記第3のセッションを介して、前記第3のセッション用のデータを優先させて送信するように制御する制御ステップと、を更に含み、前記第3のセッション用のデータが送信された後に、前記セッション状態把握ステップ以降のステップを実行することが好ましい。
【0018】
また、この発明は、前記第1のセッションと、前記第3のセッションで通信を行う通信端末装置が異なる場合、前記優先度把握ステップは、前記各セッションで通信を行う通信端末装置の優先度を把握し、前記制御ステップは、前記優先度比較ステップにおける比較の結果、前記第3のセッションで通信を行う通信端末装置の優先度が高い場合、前記第3のセッションを介して、前記第3のセッション用のデータを優先させて送信するように制御することが好ましい。
【0019】
この発明に係る通信システムは、通信端末装置と基地局装置との間で、少なくとも第1のセッション及び第2のセッションにて通信を行うことができる通信システムであって、前記通信端末装置は、前記第1のセッションが、アクティブ状態又はスリープ状態へ所定時間毎に交互に移行される期間を有し、且つ、前記第2のセッションが、前記第1のセッションがスリープ状態のときには少なくともアクティブ状態である期間を有するようにセッション状態を制御する制御手段を有し、前記基地局装置は、前記第1のセッションと前記第2のセッションの状態を把握するセッション状態把握手段と、ネットワーク側から前記第1のセッション用のデータを取得するデータ取得手段と、前記セッション状態把握手段での把握に基づいて、前記第1のセッションがスリープ状態で、且つ、前記第2のセッションがアクティブ状態であるときに、前記データ取得手段で前記第1のセッション用のデータを取得した場合には、前記第2のセッションを介して、前記通信端末装置へ、前記第1のセッションの状態を変更するよう指示する指示手段と、を有し、前記通信端末装置は、前記制御手段が、前記指示に基づいて、前記所定時間経過前であっても、前記第1のセッションをアクティブ状態に変更するようにセッション状態を制御し、前記基地局装置は、前記アクティブ状態に変更された第1のセッションを介して当該第1のセッション用のデータを送信するデータ送信手段を更に有する、ことを特徴としている。
【0020】
また、この発明に係る通信システムの前記基地局装置は、前記データ取得手段において、ネットワーク側から少なくとも前記第1のセッション用のデータと共に、前記第1のセッション及び前記第2のセッションと異なる第3のセッション用のデータを取得した場合に、前記第1のセッションと、前記第3のセッションにおける優先度を把握する優先度把握手段と、前記把握した各優先度を比較する優先度比較手段と、前記比較の結果、前記第3のセッションにおける優先度が高い場合、前記第3のセッションを介して、前記第3のセッション用のデータを優先させて送信するように制御する制御手段と、を更に有することが好ましい。
【0021】
この発明に係る通信端末装置は、基地局装置との間で、少なくとも第1のセッション及び第2のセッションにて通信を行うことができる通信端末装置であって、前記第1のセッションが、アクティブ状態又はスリープ状態へ所定時間毎に交互に移行される期間を有し、且つ、前記第2のセッションが、前記第1のセッションがスリープ状態のときには少なくともアクティブ状態である期間を有するようにセッション状態を制御する制御手段と、前記第1のセッションがスリープ状態で、且つ、前記第2のセッションがアクティブ状態であるときに、前記基地局装置からの、前記第1のセッションの状態を変更する旨を示す指示を取得する手段と、を有し、前記制御手段が、前記指示に基づいて、前記所定時間経過前であっても、前記第1のセッションをアクティブ状態に変更するようにセッション状態を制御する、ことを特徴としている。
【0022】
また、この発明に係る基地局装置は、通信端末装置との間で、少なくとも第1のセッション及び第2のセッションにて通信を行うことができる基地局装置であって、前記第1のセッションと前記第2のセッションとの状態を把握するセッション状態把握手段と、ネットワーク側から前記第1のセッション用のデータを取得するデータ取得手段と、前記セッション状態把握手段での把握に基づいて、前記第1のセッションがスリープ状態で、且つ、前記第2のセッションがアクティブ状態であるときに、前記データ取得手段で前記第1のセッション用のデータを取得した場合には、前記第2のセッションを介して、前記通信端末装置へ、前記第1のセッションの状態を変更するよう指示する指示手段と、前記指示後、前記第1のセッションを介して、前記通信端末装置へ当該第1のセッション用のデータを送信するデータ送信手段と、を有する、ことを特徴としている。
【0023】
また、この発明に係る基地局装置は、前記データ取得手段において、ネットワーク側から少なくとも前記第1のセッション用のデータと共に、前記第1のセッション及び前記第2のセッションと異なる第3のセッション用のデータを取得した場合に、前記第1のセッションと、前記第3のセッションにおける優先度を把握する優先度把握手段と、前記把握した各優先度を比較する優先度比較手段と、前記比較の結果、前記第3のセッションにおける優先度が高い場合、前記第3のセッションを介して、前記第3のセッション用のデータを優先させて送信するように制御する制御手段と、を更に有することが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
この発明によれば、複数のセッションでの通信時に基地局装置におけるデータ保持の負担を軽減することができ、基地局装置においてデータ転送の停滞が発生してしまうことがない。また、優先度の高いサービス種別のパケットに対してもリアルタイムでの通信を可能にするので、リアルタイム性を要する通信において、安定したサービス品質を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明の実施の形態に係る通信システムの概念説明図である。
【図2】第1の実施の形態に係る通信システムに用いられる基地局装置の構成を示すブロック図である。
【図3】MACデータ作成部によって作成されるパケットの構成を示す説明図である。
【図4】図1のモバイル端末装置の構成を示すブロック図である。
【図5】第1の実施の形態に係る通信システムによる通信方法におけるデータ送信について説明するシーケンス図である。
【図6】第2の実施の形態に係る通信システムに用いられる基地局装置の構成を示すブロック図である。
【図7】第2の実施の形態に係る通信システムによる通信方法におけるデータ送信について説明するシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、この発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
【0027】
図1は、この発明の実施の形態に係る通信システムの概念説明図である。図1に示すように、通信システム10は、基地局装置(Base Station:BS)11(31)と通信端末装置であるモバイル端末装置(Mobile Station:MS)12との間で、複数のセッション(図1では、一例として、第1のセッションAと第2のセッションBの2つのセッションを示す)により通信を行うことができる。
【0028】
この通信システム10は、IEEE802.16委員会が規定する高速無線データ通信(ワイヤレスブロードバンド)の新規格であるWiMAX(Worldwide interoperability
for Microwave Access)に対応している。IEEE802.16−2005においては
、モバイル端末装置用に、モバイル端末装置が間欠に無線部分回路の電源をオン(ON)/オフ(OFF)をして、省電力を行うという、スリープモードが定義されている。例えば、第1のセッションAはアクティブモード(通信中)であり、第2のセッションBはスリープモード(×)である(図1参照)。
【0029】
図2は、この発明の第1の実施の形態に係る通信システムに用いられる基地局装置の構成を示すブロック図である。図2に示すように、BS11は、有線部インターフェース13、有線データ受信部14、転送判定部15、データ転送判定部16、コネクション管理部17、転送データ一時貯蔵部18、メディアアクセスコード(Media Access Code:MAC)データ作成部(データ送信手段)19、及び無線部インターフェース20を有している。
【0030】
有線部インターフェース13は、BS11の有線(例えば、Ethernet(登録商標))との物理インターフェイスを担当しており、バックボーン(Backbone)ネットワークに接続される。有線データ受信部14は、有線部インターフェイス13とパケットの送受信を行う。これら有線部インターフェース13と有線データ受信部14は、ネットワーク側から第1のセッション用のデータを取得するデータ取得手段として機能する。
【0031】
転送判定部15は、転送が自機器(BS11)宛か或いはMS12宛かを判定し、自機器宛ならば内部で処理し、MS12宛ならばデータ転送判定部16に転送する。この転送判定部15は、上位層に接続される。
【0032】
データ転送判定部16は、データ転送を行うMS12とのコネクションがあるか否かを判定し、MS12とのマネージメントを行う。また、スリープ(Sleep)/アクティブ(Active)状態を判定して、コネクション管理部17に、コネクションの状態を格納しておく。また、MS12とのコネクション情報から、データ転送に適しているコネクションを見つけ、全MS12に対して、ブロードキャスト(Broadcast)コネクションから、MOB_TRF−IND(Mobile_Traffic-Indication)マネージメント(Management)メッセージを送信するように指示する。
【0033】
即ち、データ転送判定部16は、第1のセッションと第2のセッションの状態を把握するセッション状態把握手段として機能すると共に、セッション状態把握手段での把握に基づいて、第1のセッションがスリープ状態で、且つ、第2のセッションがアクティブ状態であるときに、有線部インターフェイス13及び有線データ受信部14で第1のセッション用のデータを取得した場合には、第2のセッションを介して、MS12へ、第1のセッションの状態を変更するよう指示(要求)する指示手段として機能する。
【0034】
コネクション管理部17は、格納したコネクション情報を管理しており、タイマーを備えて、コネクションがスリープ状態或いはアクティブ状態の何れにあるのか監視する。
【0035】
転送データ一時貯蔵部18は、送るべきデータが無い場合に、一時的にデータを貯める。
【0036】
MACデータ作成部19は、データ転送判定部16から送られてきたデータと、それを送信すべきコネクション情報から、送るべきデータを以下の方法で扱う。
・単独でMACメッセージを作成する。
・検索したコネクション宛のデータに付加する。
・MS12とのコネクションが復帰するまで、転送データ一時貯蔵部18に貯める。
【0037】
更に、当該MS12に向けて、MOB_TRF−INDマネージメントメッセージも作成する。即ち、MACデータ作成部19は、アクティブ状態に変更された第1のセッションを介して当該第1のセッション用のデータを送信する。
【0038】
無線部インターフェース20は、無線(IEEE802.16)とのインターフェイスを担当する。送信すべきパケットの物理フォーマットに合わせて、MS12に送信する。
【0039】
図3は、MACデータ作成部によって作成されるパケットの構成を示す説明図である。図3に示すのは、TLV(Type-Length-Value)を使った付加方法であり、MACメッセ
ージやデータの後ろに、MOB_TRF−INDメッセージを、Vender Specific TLV Headerでカプセル化する。
【0040】
即ち、アクティブなセッションに流れるデータに、Vender Specific TLVと、復帰指示をするセッションに関するMOB_TRF−INDメッセージを付加する。Vender Specific TLVは、Standard(IEEE802.16−2004)に規定されている。MS12側では、理解できなければ無視することになっているので、他のVenderと機器との接続にも支障が生ずることはない。
【0041】
図4は、第1の実施の形態に係る通信システムに用いられるモバイル端末装置の構成を示すブロック図である。図4に示すように、MS12は、転送判定部21、データ転送判定部22、MACデータ作成部23、無線部インターフェイス24、一時データ貯蔵部25、コネクション管理部26、及びインターフェイス制御部(制御手段)27を有している。
【0042】
データ転送判定部22は、データ転送を行うBS11とのコネクションがあるか否かを判定し、BS11とのマネージメントを行う。また、スリープ(Sleep)/アクティブ(Active)状態を判定して、コネクション管理部26に、コネクションの状態を格納しておく。送信するデータが、スリープ中のコネクションを使う場合は、コネクションがアクティブになるまで、送信するデータを一時データ貯蔵部25に格納する。
【0043】
MOB_TRF−INDマネージメントメッセージを受信したならば、スリープ中のコネクションが該当しないかを、コネクション管理部26にあるコネクションの状態から検索する。コネクション管理部26からアクティブ指示が来た場合は、コネクションを復活させる。即ち、MOB_TRF−INDマネージメントメッセージアクティブ指令を受けたコネクションを復活させる。
【0044】
MACデータ作成部23は、データ転送判定部22から送られてきたデータと、それを送信すべきコネクション情報から、送るべきデータをMACメッセージに作成する。
【0045】
無線部インターフェイス24は、無線(IEEE802.16)とのインターフェイスを担当する。送信すべきパケットの物理フォーマットに合わせて、BS11に送信する。
【0046】
一時データ貯蔵部25は、送るべきデータが無い場合に、一時的にデータを貯める。
【0047】
コネクション管理部26は、格納したコネクション情報を管理しており、タイマーを備えて、コネクションがスリープ状態或いはアクティブ状態の何れにあるのか監視する。
【0048】
インターフェイス制御部27は、第1のセッションが、アクティブ状態又はスリープ状態(インアクティブ状態)へ所定時間毎に交互に移行される期間を有し(間欠受信モード)、且つ、第2のセッションが、第1のセッションがスリープ状態のときには少なくともアクティブ状態である期間を有するようにセッション状態を制御する。また、データ転送判定部16から、第1のセッションの状態を変更するよう指示されると、この指示に基づいて、所定時間経過前であっても、第1のセッションをアクティブ状態に変更するようにセッション状態を制御する。
【0049】
次に、第1の実施の形態に係る通信システムによる通信方法について説明する。
【0050】
先ず、BS11では、データ転送判定部16において、コネクションのスリープ/アクティブを判定する。MS12からのスリープ宣言やBS11からのスリープ指示を解析して、当該コネクションの情報をコネクション管理部17に格納しておく。コネクション管理部17では、タイマーにより指定されたタイマー時間をカウントして、タイマーが切れたら、データ転送判定部16に状態が変わったコネクションを通知する。
【0051】
次に、有線部インターフェイス13を通じて、BS11に送信データが到着する。有線データ受信部14は、そのデータをパケットの状態に変換する。転送判定部15では、パケットの送信アドレスを検索して、このBS11宛か/MS12宛かを判定する。このBS11宛と判定した場合は、上位層にパケットを転送し、MS12宛の場合は、データ転送判定部16に転送する。
【0052】
データ転送判定部16では、パケットの宛先からコネクションが開設されているか否かを判定する。コネクション管理部17からコネクションのアクティブ/スリープ状態を確かめ、アクティブモードである場合はデータ転送を行い、スリープモ−ドである場合は、MS12がMOB_TRF−INDメッセージを受信だけを待っているListen中であれば、そのコネクションにMOB_TRF−INDメッセージを送信する。受信したMS12は、スリープモ−ドからアクティブモ−ドに復帰して、データ受信ができるようにする。
【0053】
一方、スリープモ−ドであった場合は、データ転送判定部16は、MOB_TRF−INDメッセージをブロードキャストコネクションに送信すると同時に、そのMS12との間でアクティブなコネクションを、コネクション管理部17に格納中の情報から探す。アクティブコネクションが存在した場合は、そのコネクションに向けてのデータを取り出して、その後ろにTLVでカプセル化したMOB_TRF−INDメッセージを付加する。転送するデータは、転送データ一時貯蔵部18に貯めておく。
【0054】
MOB_TRF−INDメッセージを送ったMS12がアクティブになった時間を待ち、転送データ一時貯蔵部18から退避していたデータを取り出して、MACデータ作成部19に送信する。
【0055】
MACデータ作成部19では、データやMACメッセージをMACのフォーマットに仕立てて、無線部インターフェース20に送る。無線部インターフェース20は、パケットを無線方式に変えて、MS12に送信する。
【0056】
MS12では、上記と同様に各部でコネクションの管理、データ転送を行う。上記と異なるのは、データ転送判定部22でスリープ・アクティブの判定をした場合、インターフェイス制御部27に通知することである。通知されたインターフェイス制御部27では、当該コネクションを検索して、アクティブにする。
【0057】
次に、MS12がMOB_TRF−INDメッセージを受信した場合を考える。
【0058】
アクティブコネクションを通じて、TLVでカプセル化したMOB_TRF−INDメッセージが、MS12に到着した場合、データ転送判定部22では、TLVの構造を解析して、MOB_TRF−INDメッセージを取り出す。そして、アクティブ指示があるコネクション情報をコネクション管理部26から検索する。
【0059】
図5は、第1の実施の形態に係る通信システムによる通信方法におけるデータ送信について説明するシーケンス図である。図5に示すように、MS12のセッションAからBS11へスリープ要求信号(MOB_SLP−REQ)が出力され、これを受けて、BS11からセッションAへスリープ応答信号(MOB_SLP−RSP)が出力される。これにより、セッションAのスリープが開始され、セッションAがスリープ状態になる。その後、所定時間経過すると、セッションAはアクティブ状態になり、以後、スリープ状態とアクティブ状態を交互に繰り返す。
【0060】
一方、MS12のセッションBは、セッションAがスリープ状態にあるときアクティブ状態となり、セッションAがアクティブ状態にあるときスリープ状態となるように、セッションAと同様に、スリープ状態とアクティブ状態を交互に繰り返す。
【0061】
そして、セッションAがアクティブ状態にあるときに、BS11が、セッションA用のデータ(セッションA宛のパケット)をネットワーク側から取得した場合、BS11からアクティブ状態にあるセッションAへ、MOB_TRF−IND(No Data)が出力される。
【0062】
セッションAがスリープ状態にあるときに、BS11が、セッションA用のデータ(セッションA宛のパケット)をネットワーク側から取得した場合、BS11からアクティブ状態にあるセッションBへ、セッションAの状態を変更する指示(MOB_TRF−IND(No Data)+MOB_TRF−IND(SessionA Data Receive))が出力される。セッションAの状態を変更する指示が入力されたセッションBは、スリープ状態のセッションAへアクティブ指令を出力し、セッションAをアクティブ状態にする。スリープ状態にあったセッションAがアクティブ状態になったので、BS11は、ネットワーク側から取得したセッションA用のデータをセッションAへ送信する。
【0063】
このように、第1の実施の形態に係る通信システム10の、第1のセッションは、アクティブ状態又はスリープ状態(インアクティブ状態)へ所定時間毎に交互に移行される期間を有し(間欠受信モード)、第2のセッションは、第1のセッションがスリープ状態のときには少なくともアクティブ状態である期間を有しており、この通信システム10において、BS11が、第1のセッションと第2のセッションの状態を把握するセッション状態把握ステップと、この把握に基づいて、第1のセッションがスリープ状態で、且つ、第2のセッションがアクティブ状態であるときに、第1のセッション用のデータをネットワーク側(バックボーンネットワーク)から取得した場合には、第2のセッションを介して、MS12へ、第1のセッションの状態を変更するよう指示(要求)する指示ステップと、MS12が、この指示を受けた場合、所定時間経過前であっても、第1のセッションをアクティブ状態に変更するセッション状態変更ステップと、BS11からMS12へ、アクティブ状態に変更された第1のセッションを介して当該第1のセッション用のデータを送信するデータ送信ステップと、の各ステップを経て通信が行われる。
【0064】
これにより、基地局装置におけるデータ保持の負担を軽減することができる。
【0065】
また、指示ステップでは、ネットワーク側から取得する第1のセッション用のデータが、リアルタイム通信用のデータであっても良い。これにより、リアルタイム性が要求される通信(緊急通信等)の高速化に貢献することができる。また、第2のセッションは、アクティブ状態又はスリープ状態へ所定時間毎に交互に移行される時間を有し(間欠受信モード)、セッション状態把握ステップでは、第1のセッションでのアクティブ状態又はスリープ状態と第2のセッションでのアクティブ状態又はスリープ状態を把握する。これにより、セッションAとセッションBのそれぞれが間欠受信モードになる場合にも対応することができる。
【0066】
つまり、基地局装置(BS11)が、あるモバイル端末装置(MS12)へのデータを転送しようとしたときに、スリープモ−ドによりそのコネクションが休止している場合、BS11は、コネクション復帰まで、一旦、データを貯めておくか、バッファがない場合は捨ててしまわなければならなかった。しかしながら、基地局装置とモバイル端末装置間で複数のコネクションが開設している場合に、あるコネクションが休止中であっても、別のコネクションを通して基地局装置からのコネクション復帰指示をする。モバイル端末装置は、その指示を受けると、直ちに当該コネクションを復帰せてデータ受信を開始する。
【0067】
これにより、データを基地局装置に一時的に貯める量が少なくなって、迅速にデータ転送を行うことができる。
【0068】
即ち、従来の通信方式では、スリープする時間は、ウィンドウサイズ(Window Size)というカウンタで測定しており、モバイル端末装置も、基地局装置がウィンドウサイズを減らしていって0になったときに、コネクションを復帰する。基地局装置は、そのコネクションに送るべきデータが来ている場合、Positive Indication bitが立ったMOB_TRF−INDメッセージを、その復帰したコネクションを通じて送信する。受信したモバイル端末装置は、スリープするウィンドウサイズのカウンタを止めて、暫くの間、電源ONのままにする。MOB_TRF−INDメッセージは、ブロードキャストメッセージで基地局装置から送信することになっている。
【0069】
ブロードキャストデータであるときには、モバイル端末装置(MS12)が確実に取得できるとは限らないので、確実にデータを送っているコネクションを使って、MOB_TRF−INDメッセージを送信する。
【0070】
この結果、コネクションの属性としてリアルタイムデータ送信中のものもあることから、コネクション復帰を早く行うことで、なるべく基地局装置でのデータ転送の停滞が起きないようにすることができる。
【0071】
上述したように、基地局装置は、復帰指示であるMOB_TRF−INDメッセージ送信を当該コネクションがアクティブ状態になるまで待つのではなく、そのモバイル端末装置と通信中のコネクションが1本でもあったら、TLV(Type-Length-Value)を使って、MOB_TRF−INDメッセージを送信する。そして、MOB_TRF−INDメッセージを、他のコネクションを通して、そのコネクションのデータやマネージメントメッセージに添付して送る。標準化しているIEEE802.16−2004で定義している11.1.6 Vendor−specific informationのTLVで、MOB_TRF−INDをカプセル化し、他のデータに埋め込む。
【0072】
次に、この発明の第2の実施の形態に係る通信システムについて説明する。図6は、この発明の第2の実施の形態に係る通信システムに用いられる基地局装置の構成を示すブロック図である。図6に示すように、基地局装置(BS)31は、有線部インターフェース13、有線データ受信部14、転送判定部15、データ転送判定部16、コネクション管理部17、転送データ一時貯蔵部18、メディアアクセスコード(Media Access Code:MAC)データ作成部(データ送信手段)19、無線部インターフェース20、及びモバイル端末サービス管理部32を有している。
【0073】
図6に示すBS31は、図2に示すBS11の構成に、モバイル端末サービス管理部32を追加している点と、有線部インターフェース13が、バックボーン(Backbone)ネットワークを介してモバイル端末管理サーバ35と接続されている点が、図2に示すBS11と異なっている。以下、相違する構成部についてのみ説明する。
【0074】
モバイル端末サービス管理部32は、モバイル端末装置(MS)12のサービス種別の情報を格納しておく。
【0075】
データ転送判定部16は、図2に示すBS11において説明した機能に加えて、更に次のような機能を備える。MS12と通信を始めたときに、モバイル端末管理サーバ35からMS12のサービス種別の情報を得るためにパケットを作成し、モバイル端末管理サーバ35からMS12のサービス種別の情報を得た場合には、サービス種別の情報をモバイル端末サービス管理部32に格納する。なお、モバイル端末管理サーバ35は、MS12の認証情報やMS12のサービス種別の情報を管理する。データ転送を行う場合には、モバイル端末サービス管理部32からMS12のサービス種別の情報を取り出して、直ぐに処理するか、一旦時間をおくのかを判断し、一旦時間をおく場合には、転送データ一時貯蔵部18にデータを格納しておく。
【0076】
即ち、データ転送判定部16は、データ取得手段として機能する有線部インターフェース13と有線データ受信部14において、ネットワーク側から少なくとも第1のセッション用のデータと共に、第1のセッション及び第2のセッションと異なる第3のセッション用のデータを取得した場合に、第1のセッションと、第3のセッションにおける優先度を把握する優先度把握手段と、把握した各セッションにおける優先度を比較する優先度比較手段として機能すると共に、比較の結果、第3のセッションにおける優先度が高い場合、第3のセッションを介して、第3のセッション用のデータを優先させて送信するように制御する制御手段として機能する。
【0077】
また、第2の実施の形態に係る通信システムに用いられるモバイル端末装置(MS)の構成は、第1の実施の形態と同様であるので各構成部の説明を省略する。
【0078】
次に、第2の実施の形態に係る通信システムによる通信方法について説明する。
【0079】
まず、BS31がMS12からの通信開始要求を受け取った場合、そのMS12のサービス種別の情報を得るために、データ転送判定部16が、モバイル端末管理サーバ35に、MACアドレスなどでMS12を一意に区別するものを通知するパケットを送信する。モバイル端末管理サーバ35は、通知された情報から、MS12のサービス種別をBS31に送り返す。データ転送判定部16では、そのサービス種別の情報をモバイル端末サービス管理部32に格納する。
【0080】
有線部インターフェイス13から転送判定部15がデータを受信するまでの処理は、第1の実施の形態の処理と同様である。
【0081】
ここで、バックボーン(Backbone)ネットワーク側からサービス種別の異なる第1のモバイル端末装置(MS)12−1と第2のモバイル端末装置(MS)12−2にほぼ同時にデータが到着した場合を考える。この場合は、MS12−1のサービス種別よりもMS12−2のサービス種別の優先度が高いと仮定する。データ転送判定部16は、データを受け取った場合に、モバイル端末サービス管理部32からMS12−1とMS12−2のサービス種別を取り出す。この場合は、MS12−2のサービス種別がMS12−1のサービス種別よりも優先度が高いので、MS12−2のセッションの方がMS12−1のセッションよりも優先度が高いと分かる。データ転送判定部16は、優先的にMS12−2のセッションに無線上のリソースを割り当てるために、MS12−1のセッション宛のデータは一時的に転送データ一時貯蔵部18に格納する。そして、MS12−2のセッション宛のデータをMACデータ作成部19に転送する。
【0082】
次に、MS12−1のセッションにデータを送れる時間になった場合は、MS12−1のセッションがアクティブ状態であれば、転送データ一時貯蔵部18からMS12−1のセッション宛のデータを取り出して、MACデータ作成部19に転送する。MS12−1のセッションがスリープ状態であれば、アクティブになることをMS12−1の別のセッションに通知した後で、送るべき時間になったならば転送データ一時貯蔵部18からMS12−1ののセッション宛のデータを取り出して、MACデータ作成部19に転送する。
【0083】
図7は、第2の実施の形態に係る通信システムによる通信方法におけるデータ送信について説明するシーケンス図である。図7に示すように、MS12−1のセッションA(第1のセッション)からBS31へスリープ要求信号(MOB_SLP−REQ)が出力され、これを受けて、BS31からセッションAへスリープ応答信号(MOB_SLP−RSP)が出力される。これにより、セッションAのスリープが開始され、セッションAがスリープ状態になる。その後、所定時間経過すると、セッションAはアクティブ状態になり、以後、スリープ状態とアクティブ状態を交互に繰り返す。
【0084】
一方、MS12−1のセッションB(第2のセッション)は、セッションAがスリープ状態にあるときアクティブ状態となり、セッションAがアクティブ状態にあるときスリープ状態となるように、セッションAと同様に、スリープ状態とアクティブ状態を交互に繰り返す。
【0085】
そして、セッションAがアクティブ状態にあるときに、BS31が、セッションA用のデータ(セッションA宛のパケット)をネットワーク側から取得した場合、BS31からアクティブ状態にあるセッションAへ、MOB_TRF−IND(No Data)が出力される。
【0086】
ここで、MS12−1のセッションAがスリープ状態にあり、MS12−2のセッションC(第3のセッション)がアクティブ状態にあるときに、BS31が、セッションA用のデータ(セッションA宛のパケット)とセッションC用のデータ(セッションC宛のパケット)とをネットワーク側から同時に取得した場合、BS31のデータ転送判定部16は、モバイル端末サービス管理部32からMS12−1とMS12−2のサービス種別を取り出す。MS12−2のサービス種別がMS12−1のサービス種別よりも優先度が高い場合には、セッションCがセッションAよりも優先度が高いので、セッションA宛のデータを一時的に転送データ一時貯蔵部18に格納し、セッションC宛のデータをMS12−2に送信する。
【0087】
次に、セッションC宛のデータの送信が終了し、セッションAにデータを送れる時間になった場合に、セッションAがスリープ状態であれば、BS31からアクティブ状態にあるMS12−1のセッションBへ、セッションAの状態を変更する指示(MOB_TRF−IND(No Data)+MOB_TRF−IND(SessionA Data Receive))が出力される。セッションAの状態を変更する指示が入力されたセッションBは、スリープ状態のセッションAへアクティブ指令を出力し、セッションAをアクティブ状態にする。
【0088】
スリープ状態にあったセッションAがアクティブ状態になったならば、BS31は、転送データ一時貯蔵部18に格納してあったセッションA用のデータをセッションAへ送信する。
【0089】
なお、セッションCは、図7に示すように、MS12−2がBS31と通信を行うセッションであるが、セッションCは、MS12−1がBS31と通信を行うセッションでも良い。
【0090】
また、BS31は、MS12のサービス種別の情報を、モバイル端末管理サーバ35から取得しているが、モバイル端末管理サーバ35に情報を要求することなく、BS31自身が、MS12がセッション開始要求時に送信するデータに含まれる情報から、MS12のサービス種別の情報を、取得するようにしても良い。
【0091】
このように、第2の実施の形態に係る通信システム10において、BS31が、少なくとも第1のセッション用のデータと、第1のセッション及び第2のセッションと異なる第3のセッション用データを取得した場合に、第1のセッションと、第3のセッションにおける優先度を把握する優先度把握ステップと、把握した各セッションにおける優先度を比較する優先度比較ステップと、比較の結果、第3のセッションにおける優先度が高い場合、第3のセッションを介して、第3のセッション用のデータを優先させて送信するように制御する制御ステップと、の各ステップを経て第3のセッション用のデータが送信される。更に、第1のセッションは、アクティブ状態又はスリープ状態(インアクティブ状態)へ所定時間毎に交互に移行される期間を有し(間欠受信モード)、第2のセッションは、第1のセッションがスリープ状態のときには少なくともアクティブ状態である期間を有しており、この通信システム10において、BS31が、第1のセッションと第2のセッションの状態を把握するセッション状態把握ステップと、この把握に基づいて、第1のセッションがスリープ状態で、且つ、第2のセッションがアクティブ状態であるときに、第1のセッション用のデータをネットワーク側(バックボーンネットワーク)から取得した場合には、第2のセッションを介して、MS12へ、第1のセッションの状態を変更するよう指示(要求)する指示ステップと、MS12が、この指示を受けた場合、所定時間経過前であっても、第1のセッションをアクティブ状態に変更するセッション状態変更ステップと、BS31からMS12へ、アクティブ状態に変更された第1のセッションを介して当該第1のセッション用のデータを送信するデータ送信ステップと、の各ステップを経て通信が行われる。
【0092】
これにより、基地局装置は、モバイル端末管理サーバからモバイル端末装置のサービス種別の情報を取得することで、モバイル端末装置毎にパケットの転送を変更することにより、基地局装置のCPUの負荷を低減できる。
【0093】
つまり、サービス種別の異なる2つのセッション宛にほぼ同時にパケットが到着した場合、基地局装置がモバイル管理サーバと通信してモバイル端末装置のサービス種別を得られるようにし、基地局装置がパケットの転送順番を変更したり、基地局装置のリソースが足りなくなったときに、優先度の低いセッション宛のパケットを、一時的に転送を止めて貯めておくことで、よりサービスの種別の高いモバイル端末装置により安定して通信ができるようになる。
【0094】
さらに、優先度の低いセッション宛のパケットを送信しようとしたときに、スリープモ−ドによりセッションが休止している場合、基地局装置は、別のセッションを通してモバイル端末装置にセッション復帰指示をする。モバイル端末装置は、その指示を受けると、直ちに当該セッションを復帰せてデータ受信を開始する。これにより、データを基地局装置に一時的に貯める量が少なくなって、迅速にデータ転送を行うことができる。
【0095】
なお、本発明は、上述した実施の形態により説明したが、この実施の形態に限定されるものではない。従って、本発明の趣旨を逸脱することなく変更態様として実施するものも含むものである。
【符号の説明】
【0096】
10 通信システム
11,31 BS
12 MS
13 有線部インターフェース
14 有線データ受信部
15 転送判定部
16 データ転送判定部
17 コネクション管理部
18 転送データ一時貯蔵部
19 MACデータ作成部
20 無線部インターフェース
21 転送判定部
22 データ転送判定部
23 MACデータ作成部
24 無線部インターフェイス
25 一時データ貯蔵部
26 コネクション管理部
27 インターフェイス制御部
32 モバイル端末サービス管理部
35 モバイル端末管理サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信端末装置と基地局装置との間で、少なくとも第1のセッション及び第2のセッションにて通信を行うことができる通信システムにおける通信方法であって、
前記第1のセッションは、アクティブ状態又はスリープ状態へ所定時間毎に交互に移行される期間を有し、前記第2のセッションは、前記第1のセッションがスリープ状態のときには少なくともアクティブ状態である期間を有し、
前記基地局装置が、前記第1のセッションと前記第2のセッションの状態を把握するセッション状態把握ステップと、
前記把握に基づいて、前記第1のセッションがスリープ状態で、且つ、前記第2のセッションがアクティブ状態であるときに、前記第1のセッション用のデータをネットワーク側から取得した場合には、前記第2のセッションを介して、前記通信端末装置へ、前記第1のセッションの状態を変更するよう指示する指示ステップと、
前記通信端末装置が、前記指示を受けた場合、前記所定時間経過前であっても、前記第1のセッションをアクティブ状態に変更するセッション状態変更ステップと、
前記基地局装置から前記通信端末装置へ、前記アクティブ状態に変更された第1のセッションを介して当該第1のセッション用のデータを送信するデータ送信ステップと、
を含む、ことを特徴とする通信方法。
【請求項2】
前記指示ステップでは、前記ネットワーク側から、前記第1のセッション用のリアルタイム通信用のデータを取得した場合に、前記第2のセッションを介して、前記通信端末装置へ、前記第1のセッションの状態を変更するよう指示する、ことを特徴とする請求項1に記載の通信方法。
【請求項3】
前記第2のセッションは、アクティブ状態又はスリープ状態へ所定時間毎に交互に移行される時間を有し、
前記セッション状態把握ステップでは、前記第1のセッションでのアクティブ状態又はスリープ状態と前記第2のセッションでのアクティブ状態又はスリープ状態を把握する、ことを特徴とする請求項1または2に記載の通信方法。
【請求項4】
前記基地局装置が、
少なくとも前記第1のセッション用のデータと、前記第1のセッション及び前記第2のセッションと異なる第3のセッション用データを取得した場合に、前記第1のセッションと、前記第3のセッションにおける優先度を把握する優先度把握ステップと、
前記把握した各優先度を比較する優先度比較ステップと、
前記比較の結果、前記第3のセッションにおける優先度が高い場合、前記第3のセッションを介して、前記第3のセッション用のデータを優先させて送信するように制御する制御ステップと、を更に含み、
前記第3のセッション用のデータが送信された後に、前記セッション状態把握ステップ以降のステップを実行する、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の通信方法。
【請求項5】
前記第1のセッションと、前記第3のセッションで通信を行う通信端末装置が異なる場合、
前記優先度把握ステップは、前記各セッションで通信を行う通信端末装置の優先度を把握し、
前記制御ステップは、前記優先度比較ステップにおける比較の結果、前記第3のセッションで通信を行う通信端末装置の優先度が高い場合、前記第3のセッションを介して、前記第3のセッション用のデータを優先させて送信するように制御する、ことを特徴とする請求項4に記載の通信方法。
【請求項6】
通信端末装置と基地局装置との間で、少なくとも第1のセッション及び第2のセッションにて通信を行うことができる通信システムであって、
前記通信端末装置は、
前記第1のセッションが、アクティブ状態又はスリープ状態へ所定時間毎に交互に移行される期間を有し、且つ、前記第2のセッションが、前記第1のセッションがスリープ状態のときには少なくともアクティブ状態である期間を有するようにセッション状態を制御する制御手段を有し、
前記基地局装置は、
前記第1のセッションと前記第2のセッションの状態を把握するセッション状態把握手段と、
ネットワーク側から前記第1のセッション用のデータを取得するデータ取得手段と、
前記セッション状態把握手段での把握に基づいて、前記第1のセッションがスリープ状態で、且つ、前記第2のセッションがアクティブ状態であるときに、前記データ取得手段で前記第1のセッション用のデータを取得した場合には、前記第2のセッションを介して、前記通信端末装置へ、前記第1のセッションの状態を変更するよう指示する指示手段と、を有し、
前記通信端末装置は、
前記制御手段が、前記指示に基づいて、前記所定時間経過前であっても、前記第1のセッションをアクティブ状態に変更するようにセッション状態を制御し、
前記基地局装置は、
前記アクティブ状態に変更された第1のセッションを介して当該第1のセッション用のデータを送信するデータ送信手段を更に有する、
ことを特徴とする通信システム。
【請求項7】
前記基地局装置は、
前記データ取得手段において、ネットワーク側から少なくとも前記第1のセッション用のデータと共に、前記第1のセッション及び前記第2のセッションと異なる第3のセッション用のデータを取得した場合に、前記第1のセッションと、前記第3のセッションにおける優先度を把握する優先度把握手段と、
前記把握した各優先度を比較する優先度比較手段と、
前記比較の結果、前記第3のセッションにおける優先度が高い場合、前記第3のセッションを介して、前記第3のセッション用のデータを優先させて送信するように制御する制御手段と、
を更に有する、ことを特徴とする請求項6に記載の通信システム。
【請求項8】
基地局装置との間で、少なくとも第1のセッション及び第2のセッションにて通信を行うことができる通信端末装置であって、
前記第1のセッションが、アクティブ状態又はスリープ状態へ所定時間毎に交互に移行される期間を有し、且つ、前記第2のセッションが、前記第1のセッションがスリープ状態のときには少なくともアクティブ状態である期間を有するようにセッション状態を制御する制御手段と、
前記第1のセッションがスリープ状態で、且つ、前記第2のセッションがアクティブ状態であるときに、前記基地局装置からの、前記第1のセッションの状態を変更する旨を示す指示を取得する手段と、を有し、
前記制御手段が、前記指示に基づいて、前記所定時間経過前であっても、前記第1のセッションをアクティブ状態に変更するようにセッション状態を制御する、
ことを特徴とする通信端末装置。
【請求項9】
通信端末装置との間で、少なくとも第1のセッション及び第2のセッションにて通信を行うことができる基地局装置であって、
前記第1のセッションと前記第2のセッションとの状態を把握するセッション状態把握手段と、
ネットワーク側から前記第1のセッション用のデータを取得するデータ取得手段と、
前記セッション状態把握手段での把握に基づいて、前記第1のセッションがスリープ状態で、且つ、前記第2のセッションがアクティブ状態であるときに、前記データ取得手段で前記第1のセッション用のデータを取得した場合には、前記第2のセッションを介して、前記通信端末装置へ、前記第1のセッションの状態を変更するよう指示する指示手段と、
前記指示後、前記第1のセッションを介して、前記通信端末装置へ当該第1のセッション用のデータを送信するデータ送信手段と、を有する、
ことを特徴とする基地局装置。
【請求項10】
前記データ取得手段において、ネットワーク側から少なくとも前記第1のセッション用のデータと共に、前記第1のセッション及び前記第2のセッションと異なる第3のセッション用のデータを取得した場合に、前記第1のセッションと、前記第3のセッションにおける優先度を把握する優先度把握手段と、
前記把握した各優先度を比較する優先度比較手段と、
前記比較の結果、前記第3のセッションにおける優先度が高い場合、前記第3のセッションを介して、前記第3のセッション用のデータを優先させて送信するように制御する制御手段と、
を更に有する、ことを特徴とする請求項9に記載の基地局装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−90295(P2012−90295A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255680(P2011−255680)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【分割の表示】特願2007−141634(P2007−141634)の分割
【原出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】