説明

通信機器

【課題】アンテナとの間に生じる結合容量を抑制して、アンテナの特性を向上させた通信機器を提供する。
【解決手段】アンテナと、半導体チップと、第1〜第4の配線が形成された半導体チップを実装する基板と、を備え、基板は、第1〜第4の基板主面電極及び第1〜第4の基板裏面電極を有し、第1〜第3の配線のうちの少なくとも一つが、板端縁部まで延長して形成されためっき処理を行うためのめっき用延長配線を有し、前記第4の配線のうちの少なくとも一つが、基板端縁部まで延長して形成されためっき処理を行うためのめっき用延長配線を有さないことを特徴とし、アンテナは、半導体チップの中央部から、半導体チップの四隅うちの一の隅または半導体チップの四辺のうちの一の辺に偏在して配設され、めっき用延長配線は、一の隅、または一の辺以外の隅または辺で、第1〜第3の配線を基板端縁部まで延長して形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明に関する実施形態は、アンテナが半導体パッケージ内に内蔵された通信機器に関する。
【背景技術】
【0002】
60GHz程度の高周波帯域を動作周波数とする通信機器は、アンテナ、アンテナとの間で高周波信号を入出力する半導体チップ、半導体チップを実装する実装基板等を備えている。アンテナは、通常、半導体チップや実装基板上に形成されており、これらアンテナ、半導体チップ及び実装基板は、樹脂やセラミックなどによりパッケージ化されている。例えば、アンテナを半導体チップの実装基板上に形成し、これらアンテナ、半導体チップ及び実装基板をパッケージ化したものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−252207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記通信機器の実装基板には、半導体チップと、外部の機器やグランドとを接続するための種々の信号配線やグランド線が形成されている。これら信号配線は、電解めっきにより形成される。このため、各信号配線は、実装基板の端縁部まで延長されている。これら延長配線は、信号配線をめっきにより形成する際には必要であるが、信号配線を形成したあとは不要であり、コストの観点から、通常、これら延長配線は実装基板上に残したままである。しかしながら、高周波帯域では、アンテナに隣接する配線等との結合容量が大きく、アンテナとこれら延長配線との間での結合容量により、アンテナの特性が劣化するという問題が生じる。
【0005】
本発明の実施形態は、かかる従来の問題を解消するためになされたもので、アンテナとの間に生じる結合容量を抑制して、アンテナの特性を向上させた通信機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る通信機器は、高周波信号を送受信するアンテナと、高周波信号を処理する矩形状の半導体チップと、グラウンドに接続される第1の配線、半導体チップへ電源を供給する第2の配線、半導体チップの保護素子に接続される第3の配線、および半導体チップからの信号を伝送する第4の配線がめっきにより形成され、半導体チップを実装する基板と、を備え、基板は、半導体実装面である基板主面に第1ないし第4の配線の先端に形成され、第1ないし第4の配線を半導体チップへ接続するための第1ないし第4の基板主面電極及び半導体実装面と逆の基板裏面に第1ないし第4の配線の先端に形成され、第1ないし第4の配線を外部装置へ接続するための第1ないし第4の基板裏面電極をさらに有し、第1ないし第3の配線のうちの少なくとも一つが、基板端縁部まで延長して形成されためっき処理を行うためのめっき用延長配線を有し、第4の配線のうちの少なくとも一つが、基板端縁部まで延長して形成されためっき処理を行うためのめっき用延長配線を有さないことを特徴とし、アンテナは、半導体チップの中央部から、半導体チップの四隅うちの一の隅または半導体チップの四辺のうちの一の辺に偏在して配設され、めっき用延長配線は、一の隅、または一の辺以外の隅または辺で、第1ないし第3の配線を基板端縁部まで延長して形成されていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施形態に係る通信機器の断面透視図である。
【図2】第1の実施形態に係る半導体チップの回路構成図である。
【図3】第1の実施形態に係る通信機器の上面透過図である。
【図4】第1の実施形態に係る通信機器の上面透過図である。
【図5】第1の実施形態に係る通信機器の上面透過図である。
【図6】第2の実施形態に係る通信機器の上面透過図である。
【図7】第2の実施形態に係る通信機器の上面透過図である。
【図8】第3の実施形態に係る通信機器の上面透過図である。
【図9】第4の実施形態に係る通信機器の裏面図である。
【図10】第4の実施形態に係る通信機器の裏面図である。
【図11】第5の実施形態に係る通信機器の断面透視図である。
【図12】第5の実施形態に係る通信機器の上面透過図である。
【図13】第6の実施形態に係る通信機器の断面透視図である。
【図14】第6の実施形態に係る通信機器の上面透過図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る通信機器1の断面透視図である。図2は、第1の実施形態に係る半導体チップ20の回路構成図である。図3〜図5は、第1の実施形態に係る通信機器の上面透過図である。以下、図1〜図5を参照して、この第1の実施形態に係る通信機器1について説明する。
【0009】
第1の実施形態に係る通信機器1は、アンテナ10を備えた半導体チップ20と、半導体チップ20を実装するための実装基板30とを備え、半導体チップ20が封止樹脂40により封止された構造を有する。半導体チップ20は、半導体チップ20の上面と隙間ができるようにして半導体チップ20を覆うキャップ部品で封止してもよい。以下の説明では、半導体チップ20が実装される側を実装基板の表面とする。
【0010】
アンテナ10は、半導体チップ20内に形成されており、数GHzから数十GHzを動作周波数とする。
【0011】
半導体チップ20は、半田等のマウント材50で実装基板30の表面上に接合される。また、半導体チップ20に形成されている信号入出力用の電極21は、ボンディングワイヤ60で実装基板30上の表面配線31と接続される。
【0012】
図2に示すように、半導体チップ20には、アンテナ10、高周波回路201、IF(intermediate frequency)帯回路202及びBB(base band)信号処理回路203が形成され、各々電源ライン204及びグランドライン205に接続されている。高周波回路201は、アンテナからの高周波信号を受信する。IF帯回路202は、受信した高周波信号を中間周波数の信号に変換する。BB信号処理回路203は、中間周波数に変換された信号をさらにベースバンド周波数に変換する。
【0013】
これら、高周波回路201、IF帯回路202及びBB信号処理回路203は、半導体チップ20に形成されている電極21に信号入出力用配線(I/O(input/output)配線)を介して接続されている。また、電源ライン204及びグランドライン205も電極21に接続されている。また、半導体チップ20には、高周波回路201、IF帯回路202及びBB信号処理回路203を保護するための素子(例えば、Fuseやダイオード等)が形成されており、これら回路保護用素子も半導体チップ20に形成されている電極21と信号入出力用配線(I/O配線)を介して接続されている。
【0014】
実装基板30は、グラウンドに接続される第1の配線、前記半導体チップへ電源を供給する第2の配線、半導体チップの保護素子に接続される第3の配線、および前記半導体チップからの信号を伝送する第4の配線がめっきにより形成されている。また、半導体チップ20が表面中央部に実装されている。
【0015】
具体的には、実装基板30は、金属配線である表面配線31及び裏面配線33と、スルーホール32aを有する誘電体32等を具備する。スルーホール32aの表面は、導電体で被覆されており、表面配線31と裏面配線33とを電気的に接続する。裏面配線33は、スルーホール32aとBGA(ball grid array)34とを電気的に接続する。ここで、表面配線31、裏面配線33及びスルーホール32aは、上記第1ないし第4の配線を構成する。実装基板30は、例えば、FR4等のプリント配線基板(ガラスエポキシシート)である。実装基板30の材料として、FR4以外にも、テフロン(登録商標)及び樹脂や、酸化アルミニウム(Al)、窒化アルミニウム(AlN)等のセラミックスを使用してもよい。
【0016】
図3及び図4は、第1の実施形態に係る通信機器1の上面透過図であり、実装基板30の裏面に形成されている裏面配線33及びBGA34も図示している。図3及び図4では、実装基板30の表面に形成されている表面配線31は実線で、実装基板30の裏面に形成されている裏面配線33及びBGA34は破線で示している。なお、表面配線31は、ボンディングワイヤ60が接続される電極31a及びめっき配線31bから構成される。
【0017】
この第1の実施形態では、表面配線31及び裏面配線33を電解めっきにより形成している。すなわち、表面配線31及び裏面配線33を形成する際には、表面配線31及び裏面配線33を形成するためのシード配線を実装基板30の基板端縁部まで延長して形成した後、電解めっきを行い表面配線31及び裏面配線33を形成している。その後、アンテナ10に隣接する延長配線33bを除去している。これらアンテナ10に隣接する延長配線33bを除去しておかないと、アンテナ10とこれら延長配線33bとの間での結合容量により、アンテナ10の特性が劣化してしまうためである。
【0018】
なお、延長配線33bは、半導体チップ20のグランドライン205(第1の配線)、電源ライン204(第2の配線)もしくは回路保護用素子のI/O配線に接続された裏面配線33(第3の配線)の延長配線33bのうち、少なくとも一つを残すようにする。高周波回路201、IF帯回路202及びBB信号処理回路203のI/O配線に接続された裏面配線33(第4の配線)の延長配線33bを残した場合、延長配線33bが、このI/O配線と静電結合し、I/O配線を流れる信号に悪影響を及ぼすためである。
【0019】
なお、33bを残す理由は、残した延長配線が、電界めっき時の電極と基板上のパターンとを電気的に接続する役割、および、半藤チップ上の電極と基板上の半導体チップ用電極とを接続する工程時に半導体チップ上の能動素子が静電破壊により壊れることを防ぐ世役割を果たす為である。
【0020】
また、半導体チップ20の電極21から延長配線33bまでを含む配線の長さは、アンテナ10の動作波長の半分の整数倍とならないように留意する。半導体チップ20の電極21から延長配線33bまでを含む配線の長さを、アンテナ10の動作波長の半分の整数倍とした場合、アンテナ10と共振してしまい、アンテナ10に悪影響を与え、アンテナ10の特性を劣化させるためである。
【0021】
図3に示した例では、実装基板30を表面側から見て、アンテナ10が半導体チップ20の下側(辺20a)に偏在して形成されている。このため、図3では、半導体チップ20の辺20bと辺20cとのコーナー(隅)近傍の辺20b側に形成された電極21と、表面配線31及びスルーホール32aを介して接続された裏面配線33の延長配線33bを残している。すなわち、図3に示した例では、アンテナ10が偏在して形成されている辺20aから最も遠い延長配線33bのうちの一つを残している。
【0022】
図4では、半導体チップ20の辺20bと辺20cとのコーナー近傍の辺20c側に形成された電極21と、表面配線31及びスルーホール32aを介して接続された裏面配線33の延長配線33bを残している。また、半導体チップの辺20cの近傍に形成された電極21と表面配線31及びスルーホール32aを介して接続された裏面配線33の延長配線33bを残すようにしてもよいし、半導体チップ20の辺20cと辺20dとのコーナー近傍に形成された電極21と表面配線31及びスルーホール32aを介して接続された裏面配線33の延長配線33bを残すようにしてもよい。
【0023】
なお、図5に示すように、除去対象である延長配線33b(半導体チップ20の辺20bと辺20cとのコーナー近傍の辺20c側に形成された電極21と、表面配線31及びスルーホール32aを介して接続された裏面配線33の延長配線33b以外の延長配線33bは、一部が残った状態であっても構わない。
【0024】
図5に示した例では、延長配線33bの残った部分は、BGA34と電気的に接続した状態となっているが、信号の経路である半導体チップ20の電極21とBGA34との間には存在しない。このため、延長配線33bの一部が残った状態であっても、アンテナ10へ与える影響が少ない。
【0025】
以上のように、この第1の実施形態に係る通信機器1は、表面配線31及び裏面配線33を形成する際に必要な延長配線33bのうち、アンテナ10の近傍に形成された電極21と電気的に接続された裏面配線33の延長配線33bを除去している。このため、アンテナ10と延長配線33bとの間での結合容量によるアンテナ10の特性劣化を抑制することができる。また、半導体チップ20に、通信に必要な全ての構成(アンテナ10、高周波回路201、IF帯回路202及びBB信号処理回路203)を形成しているので、安価で小型の通信機器1が得られる。さらに、延長配線33bによる不要な輻射を抑制できるので、この不要輻射による半導体チップ20内の回路への悪影響を抑制することができる。
【0026】
(第2の実施形態)
図6及び図7は、第2の実施形態に係る通信機器2の上面透過図である。以下、図6及び図7を参照して、第2の実施形態に係る通信機器2の構成について説明するが、図1で説明した構成と同じ構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0027】
第1の実施形態に係る通信機器1では、アンテナ10が半導体チップ20の辺20aに沿って形成されていたが、この第2の実施形態の図6に示す例では、半導体チップ20Aの辺20aと辺20bとのコーナー(隅)のアンテナ10Aを偏在して形成している。また、アンテナ10Aが偏在して形成されている辺20aと辺20bとのコーナー(隅)から最も遠い延長配線33bのうちの一つである、半導体チップ20Aの辺20bと辺20cとのコーナー(隅)近傍に形成された電極21に接続された裏面配線33の延長配線33bを残し、その他の延長配線33bを除去している。また、図7に示す例では、半導体チップ20Aの辺20aと辺20bとのコーナー(隅)にアンテナ10Aを偏在して形成している。
【0028】
また、図7に示す例では、アンテナ10Aが偏在して形成されたコーナーの対角となる辺20bと辺20cとのコーナー近傍に形成された電極21と表面配線31及びスルーホール32aを介して接続された裏面配線33の延長配線33bを残すことになる。このため、図6の例に比べ、アンテナ10Aと延長配線33bとの距離が長くなり、アンテナ10Aと延長配線33bとの間での結合容量によるアンテナ10の特性劣化を抑制する効果が強くなる。その他の効果は第1の実施形態に係る通信機器1の効果と同じである。
【0029】
以上のように、この第2の実施形態に係る通信機器2は、第1の実施形態に係る通信機器1と同様に、アンテナ10Aの近傍に形成された電極21と電気的に接続された裏面配線33の延長配線33bを除去している。このため、アンテナ10と延長配線33bとの間での結合容量によるアンテナ10の特性劣化を抑制することができる。
【0030】
(第3の実施形態)
図8は、第3の実施形態に係る通信機器3の上面透過図である。以下、図8を参照して、第3の実施形態に係る通信機器3の構成について説明するが、図1で説明した構成と同じ構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0031】
第1の実施形態に係る通信機器1では、アンテナ10が半導体チップ20に形成されていたが、この第3の実施形態では、アンテナ10Bを実装基板30上に形成している点が異なる。この第3の実施形態でも、第1の実施形態に係る通信機器1と同様に、アンテナ10Bが偏在して形成されている辺20aから最も遠い延長配線33bのうちの一つである延長配線33bを残し、アンテナ10Bの近傍に形成された電極21と電気的に接続された裏面配線33の延長配線33bを除去している。このため、アンテナ10と延長配線33bとの間での結合容量によるアンテナ10の特性劣化を抑制することができる。その他の効果は、第1の実施形態に係る通信機器1の効果と同じである。
【0032】
(第4の実施形態)
図9,10は、第4の実施形態に係る通信機器4の裏面図である。以下、図9,10を参照して、第4の実施形態に係る通信機器4の構成について説明するが、図1で説明した構成と同じ構成には同一の符号を付して説明を省略する。なお、図9,10には、実装基板30の表面に実装されている半導体チップ20を破線で図示した。
【0033】
図9,10に示すように、通信機器4の実装基板30の裏面には、複数のBGA34が配置されている。これら複数のBGA34は、伝達する信号の種類により、高周波帯(RF帯)信号用BGA34a、IF帯信号用BGA34b、BB帯信号用BGA34c、電源ライン用BGA34d、グランドライン用BGA34eの5つのグループに分類することができる。
【0034】
この第4の実施形態に係る通信機器4では、これら5つのグループのうち、高周波帯信号用BGA34aを実装基板30の最外周側、すなわち半導体チップ20から遠い位置に配置し、電源ライン用BGA34d及びグランドライン用BGA34eの少なくとも一部を実装基板30の最内周側、すなわち半導体チップ20から近い位置に配置している。
【0035】
また、図10に示すように、IQ信号や差動信号のペアは、半導体チップ20の電極21からBGA34までの距離が略同じとなるようなBGA34を接続先として選択するとよい。このようにすれば、信号配線長の違いから生じる遅延を抑制することができる。
【0036】
以上のようにBGA34を配置することにより、半導体チップ20の電極21からBGA34を通過する高周波信号によるアンテナ10への影響を効果的に低減することができる。また、図10に示すように、IQ信号や差動信号のペアは、半導体チップ20の電極21からBGA34までの距離が略同じとなるようなBGA34を接続先として選択することで、信号配線長の違いから生じる遅延を抑制することができる。その他の効果は、第1の実施形態に係る通信機器1と同じである。
【0037】
(第5の実施形態)
図11は、第5の実施形態に係る通信機器5の断面透視図である。図12は、第5の実施形態に係る通信機器5の上面透過図である。以下、図11及び図12を参照して、第5の実施形態に係る通信機器5の構成について説明するが、図1で説明した構成と同じ構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0038】
第5の実施形態では、実装基板30の裏面に、BGA34の代わりにLGA(land grid array)を具備している点が図1に示す第1の実施形態に係る通信機器1と異なる。LGAとは、BGAのはんだボールの代わりに平面電極パッドを格子状に並べたものである。LGAの特徴として、銅と比べて抵抗が高いはんだを使っていない、面接触であるので電力密度が高い、構造が単純なので物理的強度が高い、などの特性を有する。その他の効果は、第1の実施形態に係る通信機器1と同じである。
【0039】
(第6の実施形態)
図13は、第6の実施形態に係る通信機器6の断面透視図である。図14は、第6の実施形態に係る通信機器6の上面透過図である。以下、図13及び図14を参照して、第6の実施形態に係る通信機器6の構成について説明するが、図1で説明した構成と同じ構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0040】
この第6の実施形態に係る通信機器6では、半導体チップ20の裏面に電極22を具備する、いわゆるバンプ構造とし、この電極22と実装基板30の表面に設けられた電極31aとを接続している点が、第1の実施形態に係る通信機器1と異なる。この第6の実施形態に係る通信機器6によれば、ボンディングワイヤ60が不要となるので、ボンディングワイヤ60による高周波特性の劣化を抑制することができる。また、半導体チップ20の裏面に電極22を具備するバンプ構造とすることにより通信機器6のサイズをさらに小型化できる。
【0041】
(その他の実施形態)
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0042】
例えば、BGA34やLGA35以外にも、下部電極をノッチ電極、導波管構造の電極、電磁界結合を利用した電極などと置き換えるようにしてもよい。また、第2〜第4の実施形態に係る通信機器2〜4が具備するBGA34をLGA35やノッチ電極、導波管構造の電極、電磁界結合を利用した電極などと置き換えるようにしてもよい。また、無線機以外にも、レーダ、センサー等に対して適用してもよい。
【符号の説明】
【0043】
1…通信機器、10…アンテナ、20…半導体チップ、21…電極、22…電極、30…実装基板、31…表面配線、32…誘電体、32a…スルーホール、33…裏面配線、34…BGA、35…LGA、40…封止樹脂、50…マウント材、60…ボンディングワイヤ、201…高周波回路、202…IF帯回路、203…BB信号処理回路、204…電源ライン、205…グランドライン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波信号を送受信するアンテナと、
前記高周波信号を処理する矩形状の半導体チップと、
グラウンドに接続される第1の配線、前記半導体チップへ電源を供給する第2の配線、半導体チップの保護素子に接続される第3の配線、および前記半導体チップからの信号を伝送する第4の配線がめっきにより形成され、前記半導体チップを実装する基板と、
を備え、
前記基板は、半導体実装面である基板主面に前記第1ないし第4の配線の先端に形成され、前記第1ないし第4の配線を半導体チップへ接続するための第1ないし第4の基板主面電極及び半導体実装面と逆の基板裏面に前記第1ないし第4の配線の先端に形成され、前記第1ないし第4の配線を外部装置へ接続するための第1ないし第4の基板裏面電極をさらに有し、
前記第1ないし第3の配線のうちの少なくとも一つが、前記基板端縁部まで延長して形成された前記めっき処理を行うためのめっき用延長配線を有し、前記第4の配線のうちの少なくとも一つが、前記基板端縁部まで延長して形成された前記めっき処理を行うためのめっき用延長配線を有さないことを特徴とし、
前記アンテナは、前記半導体チップの中央部から、前記半導体チップの四隅うちの一の隅または前記半導体チップの四辺のうちの一の辺に偏在して配設され、
前記めっき用延長配線は、前記一の隅、または前記一の辺以外の隅または辺で、前記第1ないし第3の配線を前記基板端縁部まで延長して形成されていることを特徴とする通信機器。
【請求項2】
前記アンテナは、前記半導体チップの中央部から、前記半導体チップの四隅うちの一の隅または前記半導体チップの四辺のうちの一の辺に偏在して配設され、
前記めっき用延長配線は、前記一の隅、または前記一の辺から最も遠い対向した隅または辺で、前記第1ないし第3の配線を前記基板端縁部まで延長して形成されていることを特徴とする請求項1記載の通信機器。
【請求項3】
前記アンテナは、前記半導体チップの四辺のうちの一の辺の外側に配設され、
前記めっき用延長配線は、前記一の辺以外の辺で、前記第1ないし第3の配線を前記基板端縁部まで延長して形成されていることを特徴とする請求項1ないし2記載の通信機器。
【請求項4】
前記第1ないし第2の電極の少なくとも一つは、前記第4の電極よりも前記半導体チップに近い位置に形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載の通信機器。
【請求項5】
前記第4の配線のうち少なくとも1ペアはペアで差動信号を扱う配線であり、ペアとなる2つの配線長さが概ね等しいことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載の通信機器。
【請求項6】
前記めっき延長線の長さ、又は、前記めっき用延長配線を含む前記第1ないし第4の配線の長さが、前記アンテナの動作波長の半波長の整数倍以外であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項記載の通信機器。
【請求項7】
前記半導体チップには半導体チップのI/O電極が形成され、前記半導体チップのI/O電極と前記基板主面電極とはボンディングワイヤにより接続される構造であり、前記アンテナはボンディングワイヤを構造の一部とするアンテナであり、かつ前記半導体チップにおいてアンテナの動作波長を持つ信号の前記基板主面電極は、アンテナ向け電極のみであることを特徴とする、あるいは、半導体チップ上に形成されたオンチップ構造のアンテナであり、アンテナの動作波長を持つ信号の前記基板主面電極は無いことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項記載の通信機器。
【請求項8】
前記電極は、BGA電極又はLGA電極であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項記載の通信機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−74814(P2012−74814A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216711(P2010−216711)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】