説明

通信端末、測位システム及び測位方法

【課題】 GPSを用いることなく通信端末の現在位置を取得すること。
【解決手段】 携帯電話機10は、自端末の加速度を検出し、検出された加速度と検出時刻とを対応付けることで加速度データを生成する加速度データ生成部11と、生成された加速度データを複数保持する加速度データ保持部12と、保持された複数の加速度データを予め定められた経路上の各位置に対応する加速度の時系列変化パターンと照合することで得られた現在位置を取得する現在位置取得部15とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信端末、測位システム及び測位方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、GPS(Global Positioning System、全地球測位システム)衛星からの電波を処理して現在位置を算出すること(測位)が可能な通信端末が知られている。例えば、下記特許文献1には、GPS衛星を指定する衛星捕捉情報を予め受信して記憶しておき、記憶されている衛星捕捉情報に基づいてGPS衛星を特定し、特定されたGPS衛星からのGPS信号を処理することにより測位を行う携帯電話機が開示されている。この携帯電話機によれば、GPS衛星を特定するための衛星捕捉情報が予め取得されているので、測位を迅速に行うことが可能となる。
【特許文献1】特開2003−43127号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に記載の携帯電話機では、GPS衛星からGPS信号を受信しない限り測位を行うことができない。例えば、屋内、地下、ビル陰などでは、GPS信号の受信感度が劣悪であったりGPS信号を全く受信できなかったりするために、測位が不可能になる場合がある。
【0004】
そこで、本発明は、上記課題を解決する為になされたものであり、GPSを用いることなく通信端末の現在位置を取得することが可能な通信端末、測位システム及び測位方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の通信端末は、自端末の加速度を検出し、検出された加速度と検出時刻とを対応付けることで加速度データを生成する生成手段と、生成手段により生成された加速度データを複数保持する保持手段と、保持手段により保持された複数の加速度データを予め定められた経路上の各位置に対応する加速度の時系列変化パターンと照合することで得られた現在位置を取得する取得手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
また、本発明の測位方法は、通信端末が、自端末の加速度を検出し、検出された加速度と検出時刻とを対応付けることで加速度データを生成する生成ステップと、通信端末が、生成ステップにおいて生成された加速度データを複数保持する保持ステップと、通信端末が、保持ステップにおいて保持された複数の加速度データを予め定められた経路上の各位置に対応する加速度の時系列変化パターンと照合することで得られた現在位置を取得する取得ステップとを備えることを特徴とする。
【0007】
このような通信端末及び測位方法によれば、検出された通信端末の加速度と検出時刻とが対応付けられた加速度データが複数保持され、それら加速度データと加速度の時系列パターンとを照合することで得られた通信端末の現在位置が当該通信端末により取得される。したがって、通信端末は、GPSを用いることなく自端末の現在位置を取得することが可能になる。
【0008】
本発明の通信端末では、保持手段により保持された複数の加速度データを、当該複数の加速度データと加速度の時系列変化パターンとを照合し、当該加速度の時系列変化パターンのうち当該複数の加速度データとの一致度が最も高い部分に対応する位置を通信端末の現在位置と決定する測位サーバに送信する送信手段を更に備え、取得手段は、送信手段により送信された複数の加速度データに応じて測位サーバが算出した現在位置を受信することが好ましい。
【0009】
また、本発明の測位システムは、通信端末と、通信端末の現在位置を算出する測位サーバとを備える測位システムであって、通信端末は、自端末の加速度を検出し、検出された加速度と検出時刻とを対応付けることで加速度データを生成する生成手段と、生成手段により生成された加速度データを複数保持する保持手段と、保持手段により保持された複数の加速度データを測位サーバに送信する送信手段と、送信手段により送信された複数の加速度データに応じて測位サーバが算出した現在位置を受信し取得する取得手段とを備え、測位サーバは、予め定められた経路上の各位置に対応する加速度の時系列変化パターンを格納する格納手段と、送信手段により送信された複数の加速度データを受信する受信手段と、受信手段により受信された複数の加速度データと、格納手段に格納された加速度の時系列変化パターンとを照合し、当該加速度の時系列変化パターンのうち当該複数の加速度データとの一致度が最も高い部分に対応する位置を通信端末の現在位置と決定する算出手段と、算出手段により算出された現在位置を送信するサーバ側送信手段とを備える、ことを特徴とする。
【0010】
このような測位システムによれば、検出された通信端末の加速度と検出時刻とが対応付けられた加速度データが複数保持され、それら加速度データと加速度の時系列変化パターンとを照合することで得られた通信端末の現在位置が当該通信端末により取得される。したがって、通信端末は、GPSを用いることなく自端末の現在位置を取得することが可能になる。また、このような通信端末及び測位システムによれば、まず、複数の加速度データが通信端末から測位サーバに送信される。そして、測位サーバでそれら加速度データと加速度の時系列変化パターンとが照合され、加速度の時系列変化パターンのうち複数の加速度データとの一致度が最も高い部分に対応する位置が通信端末の現在位置と決定され、その現在位置が通信端末に送信される。これにより、通信端末は、経路情報を保持するための記憶領域を確保する必要がなくなるとともに、加速度データを測位サーバに送信するだけで自端末の現在位置を取得することが可能になる。
【0011】
本発明の通信端末では、自端末の加速度は、垂直方向の加速度と、第1の水平方向の加速度と、垂直方向及び第1の水平方向の双方と直交する第2の水平方向の加速度とであり、予め定められた経路上の各位置に対応する加速度は、垂直方向の加速度と、第1の水平方向の加速度と、第2水平方向の加速度とであることが好ましい。
【0012】
この場合、通信端末により自端末の三方向の加速度が検出され、これら各加速度に基づいて加速度データが生成される。また、加速度データと照合される加速度の時系列変化パターンにも、加速度データと同様に三方向の加速度のデータが含まれる。これにより、加速度をより詳細に検出することが可能になるので、加速度データと加速度の時系列変化パターンとの照合の精度が向上し、その結果、通信端末の現在位置をより精度良く算出することが可能になる。
【発明の効果】
【0013】
このような通信端末、測位システム及び測位方法によれば、GPSを用いることなく通信端末の現在位置を取得することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
まず、図1を用いて、実施形態に係る測位システム1について説明する。図1は、実施形態に係る測位システム1の構成を示す図である。測位システム1は、携帯電話機(通信端末)10と、測位サーバ20とを備える。携帯電話機10と測位サーバ20とは、ネットワーク(図示せず)を介して互いに接続可能である。なお、このネットワークは、例えば移動体通信網及びインターネットを備えるが、インターネットに代えて構内通信網(Local Area Network、LAN)を備えるものでもよい。
【0016】
携帯電話機10は、機能的構成要素として加速度データ生成部(生成手段)11、加速度データ保持部(保持手段)12、取得指示部13、加速度データ送信部(送信手段)14及び現在位置取得部(取得手段)15を備えている。
【0017】
加速度データ生成部11は、携帯電話機10の加速度を検出し、検出された加速度と検出時刻とを対応付けることで加速度データを生成する。そして、加速度データ生成部11は、生成した加速度データを加速度データ保持部12に出力する。加速度データ生成部11は、このような処理を所定の時間間隔で実行する。このために、加速度データ生成部11は、電子コンパス11a、角速度センサ11b及び生成部11cを備えている。
【0018】
電子コンパス11aは、前後方向及び左右方向の地磁気を検出するとともに傾き角を測定し、検出された地磁気と測定された傾き角とに基づいて方位を算出する。角速度センサ11bは、コリオリの力の原理を用いたものであり、回転運動により発生する、内部に設けられた圧電素子の歪みを電気信号として取り出すことで角速度を検出する。
【0019】
生成部11cは、電子コンパス11aから方位を取得するとともに角速度センサ11bから角速度を取得する。次に、生成部11cは、取得した方位及び角速度に基づいて、携帯電話機10の加速度を算出する(加速度を検出する)。そして、生成部11cは、算出(検出)された加速度を検出時刻と対応付けることで加速度データを生成し、生成された加速度データを加速度データ保持部12に出力する。生成部11cが方位及び角速度に基づいて算出する加速度は、X軸方向の加速度(第1の水平方向の加速度)と、Y軸方向の加速度(第2の水平方向の加速度)と、Z軸方向の加速度(垂直方向の加速度)とに分解されたものである。なお、X軸方向及びY軸方向の設定は、それぞれ南北方向及び東西方向に一致させるようにしてもよいし一致させなくてもよい。
【0020】
例えば、生成部11cは、取得した方位及び角速度に基づいて、X軸方向の加速度axと、Y軸方向の加速度ayと、Z軸方向の加速度azとを算出する。そして、生成部11cは、算出した三方向の加速度ax、ay及びazに検出時刻t1を対応付けて加速度データ(t1、ax、ay、az)を生成する。
【0021】
加速度データ保持部12は、生成部11cから入力された加速度データをメモリ(図示せず)などに記憶することでその加速度データを保持する。加速度データは、所定の時間間隔で加速度データ生成部11から加速度データ保持部12に入力されるが、加速度データ保持部12は、これら複数の加速度データのうち直近の所定時間分のものを保持する。すなわち、加速度データ保持部12は、複数の加速度データを保持する。例えば、加速度データ保持部12は、加速度データ(t1、ax、ay、az)、(t2、bx、by、bz)、(t3、cx、cy、cz)…を保持する。
【0022】
取得指示部13は、携帯電話機10の現在位置を取得するための指示信号を生成し、その信号を加速度データ送信部14に出力する。取得指示部13は、携帯電話機10の使用者が入力部(図示せず)から入力した指示に従って指示信号を生成してもよいし、携帯電話機10内に格納されたアプリケーションソフトウェアからの指示に従って指示信号を生成してもよい。
【0023】
加速度データ送信部14は、取得指示部13から指示信号が入力された場合に、加速度データ保持部12から直近の一定時間分の加速度データ(複数の加速度データ)を読み出す。そして、加速度データ送信部14は、読み出した一定時間分の加速度データと携帯電話機10を識別する端末IDとを関連付け、関連付けられた加速度データ及び端末IDをネットワーク(図示せず)を介して測位サーバ20へ送信する。このとき、加速度データ送信部14は、加速度データ保持部12に保持されているすべての加速度データを送信してもよいし、それら加速度データの一部のみを送信してもよい。
【0024】
現在位置取得部15は、測位サーバ20から送信されてきた現在位置データを受信し保持する(取得する)。この現在位置データは、加速度データ送信部14から送信された複数の加速度データ応じて測位サーバ20が算出したものである。現在位置取得部15により取得された現在位置データは、表示部(図示せず)に表示されたり他のアプリケーションソフトウェアにより使用されたりすることで、携帯電話機10の使用者により利用される。
【0025】
次に、携帯電話機10の現在位置を算出する測位サーバ20について説明する。この測位サーバ20は、機能的構成要素として加速度データ受信部(受信手段)21、パターン格納部(格納手段)22、現在位置算出部(算出手段)23及び現在位置送信部(サーバ側送信手段)24を備えている。
【0026】
加速度データ受信部21は、携帯電話機10の加速度データ送信部14から送信された一定時間分の加速度データを受信し、これらの加速度データを現在位置算出部23に出力する。このとき、加速度データ受信部21は、受信した加速度データに関連付けられている端末IDも現在位置算出部23に出力する。
【0027】
パターン格納部22は、予め定められた経路上の各位置に対応する加速度の時系列変化パターンを格納している。予め定められた経路とは、例えば鉄道の路線や自動車専用道路のように、所定の位置を所定の速度で移動することが期待できる経路のことである。ある車両(列車や自動車など)が所定の経路上を通行する場合には、上り下りやカーブ等の経路の状態と、通過時刻や所要時間等の時間情報とにより、その車両の加速度が特徴的に変化する。したがって、このような加速度の時系列変化を保持しておけば、加速度の時系列変化パターンから通行位置を把握することが可能になる。加速度の時系列変化パターンは、時刻と、各方向(X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向)の加速度と、位置とが対応付けられたレコードが時系列に複数羅列された形で構成される。
【0028】
加速度の時系列変化パターンを構成する各要素について説明する。時刻は所定の時間間隔で設定されるが、この時間間隔は、携帯電話機10の加速度データ生成部が加速度データを生成する間隔と同じであることがより好ましい。加速度の向き(X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向)は、携帯電話機10の加速度データ生成部11で生成される加速度データにおける加速度の向きと一致するように設定される。すなわち、予め定められた経路上の各位置に対応する加速度は、加速度データと同様に、第1の水平方向の加速度と、第2の水平方向の加速度と、垂直方向の加速度とである。一方、位置の表現方法は任意である。例えば、地番、建造物名、緯度経度などを用いて位置を表してもよいし、「新宿から1km」のように位置を相対的に表現してもよいし、「東京〜品川」のように区間を示すように表してもよい。
【0029】
パターン格納部22に格納されている加速度の時系列変化パターンの例を図2に示す。図2に示すように、加速度の時系列変化パターンは、予め定められた経路(経路P、Q等)毎に用意される。図2では、簡単のため、ある特定の位置(例えば、位置La)に対するレコードを一つのみ(例えば、時刻Taの時のレコードのみ)表示しているが、特定の一ヶ所に対して、時刻Ta、Taa、…というように複数の時刻における加速度が格納されていてもよい。例えば、朝夕のラッシュ時間帯と昼間とで列車の速度が異なる路線に対して、このような加速度の時系列変化パターンを用意することが考えられる。
【0030】
なお、加速度の時系列変化パターンを構成するレコードの内容はこれに限定されない。例えば、図3に示すように、時刻に代えて基準点からの所要時間を加速度と位置とに対応付けてもよい。図3では、経路Pについて、位置Laを基準点として1分間隔で加速度の時系列変化パターンが格納されている一方で、経路Qについては、位置Lhを基準点として2分間隔で加速度の時系列変化パターンが格納されている。更に、時刻を特定の一時点で表すのではなく、範囲で表してもよい。例えば、図2に示す例において、時刻Ta、Tb、…に代えて「時刻Ta〜時刻Ta」、「時刻Tb〜時刻Tb」…というように時刻を設定してもよい。このように時刻を範囲で示すことにより、携帯電話機10の移動の際に若干の時間の誤差が生じても、加速度データと加速度の時系列変化パターンとの照合を適切に行うことができる。
【0031】
現在位置算出部23は、加速度データ受信部21から入力された複数の加速度データと、パターン格納部22に格納されている加速度の時系列変化パターンとに基づいて携帯電話機10の現在位置を算出し、算出された現在位置を現在位置送信部24に出力する。具体的には、現在位置算出部23は、加速度データ受信部21から入力された複数の加速度データと、パターン格納部22に格納されている加速度の時系列変化パターンとを照合する。そして、現在位置算出部23は、それら加速度の時系列変化パターンのうち入力された複数の加速度データとの一致度が最も高い部分、すなわち最近通過したと想定される経路を示すレコードを抽出する。
【0032】
その後、現在位置算出部23は、抽出されたレコードで示される経路の終点にあたる位置(最近通過したと想定される経路の終点)を取得し、その位置を携帯電話機10の現在位置と決定する。そして、現在位置算出部23は、決定された現在位置(算出された現在位置)を現在位置データとして現在位置送信部24に出力する。このとき、現在位置算出部23は、算出された現在位置データと、加速度データと同時に入力された端末IDとを関連付けた上で、それら現在位置データと端末IDとを現在位置送信部24に出力する。
【0033】
一例として、パターン格納部22が図2に示される加速度の時系列変化パターンを格納しており、加速度データ受信部21から加速度データ(t1、ax、ay、az)、(t2、bx、by、bz)及び(t3、cx、cy、cz)(t1<t2<t3とする)が入力された場合の、現在位置算出部23の算出方法を説明する。
【0034】
この場合、現在位置算出部23は、まず、加速度データに含まれる時刻及び各方向の加速度と、加速度の時系列変化パターンに含まれる時刻及び加速度とを比較することで、加速度データと加速度の時系列変化パターンとを照合する。そして、例えば、入力された加速度データ(t1、ax、ay、az)、(t2、bx、by、bz)及び(t3、cx、cy、cz)と、レコード(Ta、Ax、Ay、Az、La)、(Tb、Bx、By、Bz、Lb)及び(Tc、Cx、Cy、Cz、Lc)との一致度が最も高い場合、現在位置算出部23は、レコード(Ta、Ax、Ay、Az、La)、(Tb、Bx、By、Bz、Lb)及び(Tc、Cx、Cy、Cz、Lc)を抽出する。そして、現在位置算出部23は、抽出されたレコードで示される経路の終点にあたる位置Lcを携帯電話機10の現在位置と決定し、現在位置データLcを端末IDと関連付けて現在位置送信部24に出力する。
【0035】
これに対し、加速度の時系列変化パターンが図3に示されるようなものである場合、現在位置算出部23は、まず、入力された加速度データのうち時刻の部分を基点からの経過時間に置き換える。例えば、入力された加速度データが(t1、ax、ay、az)、(t2、bx、by、bz)及び(t3、cx、cy、cz)である場合、現在位置算出部23は、これらの加速度データを(0、ax、ay、az)、(t2−t1、bx、by、bz)及び(t3−t1、cx、cy、cz)と加工する。そして、現在位置算出部23は、加速度データに含まれる各方向の加速度と加速度の時系列変化パターンに含まれる加速度とを比較することで、加速度データと加速度の時系列変化パターンとを照合する。
【0036】
例えば、照合した結果、加工された加速度データ(0、ax、ay、az)、(t2−t1、bx、by、bz)及び(t3−t1、cx、cy、cz)と、レコード(1、Bx、By、Bz、Lb)、(2、Cx、Cy、Cz、Lc)及び(3、Dx、Dy、Dz、Ld)との一致度が最も高い場合、現在位置算出部23は、レコード(1、Bx、By、Bz、Lb)、(2、Cx、Cy、Cz、Lc)及び(3、Dx、Dy、Dz、Ld)を抽出する。そして、現在位置算出部23は、抽出されたレコードで示される経路の終点にあたる位置Ldを携帯電話機10の現在位置と決定し、現在位置データLdを端末IDと関連付けて現在位置送信部24に出力する。
【0037】
現在位置送信部24は、現在位置算出部23から入力された現在位置データ及び端末IDを携帯電話機10に送信する。現在位置データに端末IDが関連付けられていることで、携帯電話機10の現在位置を示す現在位置データが携帯電話機10に送信される。
【0038】
次に、図4を用いて、図1に示す携帯電話機10及び測位サーバ20の動作について説明するとともに、本実施形態に係る測位方法について説明する。図4は、携帯電話機10と測位サーバ20との連携を示すシーケンス図である。
【0039】
加速度データ生成部11では、所定の時間間隔で、加速度の検出、及び、その加速度と検出時刻との対応付けによる加速度データの生成が行われている。(ステップS11、生成ステップ)。また、加速度データ保持部12による、生成された加速度データの保持も、所定の時間間隔で行われている(ステップS12、保持ステップ)。そして、携帯電話機10で現在位置の取得が指示されると、取得指示部13が現在位置取得のための指示信号を生成し加速度データ送信部14に出力する(ステップS13)。その後、加速度データ送信部14は、入力された指示信号に従って、加速度データ保持部12から複数の加速度データを読み出し、これら加速度データを測位サーバ20に送信する(ステップS14、送信ステップ)。
【0040】
測位サーバ20では、加速度の時系列変化パターンがパターン格納部22に予め格納されている。この測位サーバ20では、まず、加速度データ受信部21が複数の加速度データを受信し、これら加速度データを現在位置算出部23に出力する。次に、現在位置算出部23が、入力された加速度データとパターン格納部22に格納されている加速度の時系列変化パターンとを照合し、それら加速度データとの一致度が最も高い部分の時系列変化パターンを抽出する(ステップS15)。言い換えれば、現在位置算出部23は、加速度データとの一致度が最も高いレコードで示される経路を抽出する。その後、現在位置算出部23が、抽出されたレコードで示される経路の終点にあたる位置を携帯電話機10の現在位置と決定し、その現在位置を示す現在位置データを現在位置送信部24に出力する(ステップS16)。そして、現在位置送信部24が入力された現在位置データを携帯電話機10に送信する(ステップS17)。
【0041】
携帯電話機10では、現在位置取得部15が測位サーバ20から送信されてきた現在位置データを受信し保持する(取得する)(ステップS18、取得ステップ)。現在位置取得部15により取得された現在位置データは、表示部(図示せず)に表示されたり他のアプリケーションソフトウェアにより使用されたりする形で、携帯電話機10の使用者により利用される(ステップS19)。
【0042】
本実施形態に係る携帯電話機10及び測位方法によれば、検出された携帯電話機10の加速度と検出時刻とが対応付けられた加速度データが複数保持され、それら加速度データと加速度の時系列パターンとを照合することで得られた携帯電話機10の現在位置が当該携帯電話機10により取得される。したがって、携帯電話機10は、GPSを用いることなく自機の現在位置を取得することが可能になる。
【0043】
また、本実施形態に係る測位システム1(携帯電話機10及び測位サーバ20)によれば、まず、複数の加速度データが携帯電話機10から測位サーバ20に送信される。そして、測位サーバ20でそれら加速度データと加速度の時系列変化パターンとが照合され、加速度の時系列変化パターンのうち複数の加速度データとの一致度が最も高い部分に対応する位置が携帯電話機10の現在位置と決定され、その現在位置が携帯電話機10に送信される。これにより、携帯電話機10は、経路情報を保持するための記憶領域を確保する必要がなくなるとともに、加速度データを測位サーバ20に送信するだけで自機の現在位置を取得することが可能になる。
【0044】
また、本実施形態に係る携帯電話機10によれば、携帯電話機10において、自機の三方向の加速度が検出され、これら各加速度に基づいて加速度データが生成される。また、加速度データと照合される加速度の時系列変化パターンにも、加速度データと同様に三方向の加速度のデータが含まれる。これにより、加速度をより詳細に検出することが可能になるので、加速度データと加速度の時系列変化パターンとの照合の精度が向上し、その結果、携帯電話機10の現在位置をより精度良く算出することが可能になる。
【0045】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で以下のような様々な変形が可能である。
【0046】
上記実施形態では、携帯電話機10の加速度を三方向に分解した上で加速度データが生成された。また、これに合わせて、加速度の時系列変化パターンも三方向に分解された形で測位サーバ20内に保持された。しかし、加速度データと加速度の時系列変化パターンとにおける加速度の保持態様はこれに限定されない。例えば、垂直方向の加速度を考慮せず、互いに直交する水平方向の加速度のみに基づいて加速度データ及び加速度の時系列変化パターンを構成してもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、測位サーバ20が携帯電話機10の現在位置を算出したが、携帯電話機10が加速度の時系列変化パターンを保持し、ネットワーク(図示せず)を介して通信することなく自機の現在位置を算出するように構成してもよい。
【0048】
この場合、携帯電話機10は、加速度データ送信部14に代えてパターン格納部22の機能と現在位置算出部23の機能とを備える。そして、携帯電話機10では、現在位置算出部23にあたる機能が、取得指示部13からの指示信号を受けて加速度データ保持部12から複数の加速度データを読み出し、読み出した複数の加速度データと、自機で保持している加速度の時系列変化パターンとを照合する。なお、その後の現在位置の決定方法は、上記実施形態の場合と同様である。このように、携帯電話機10がネットワークを介して通信することなく自機の現在位置を算出するように構成することで、携帯電話機10は、通信圏外においても自機の現在位置を取得することが可能になる。
【0049】
また、上記実施形態では、複数の加速度データと加速度の時系列変化パターンとを照合して携帯電話機10の現在位置を算出したが、生成された加速度データは現在位置の算出以外にも利用可能である。例えば、携帯電話機10の使用者が鉄道を利用している場合には、加速度データの時系列変化に基づいて列車が駅に停止したことを検知することが可能である。したがって、これを利用すれば、所望の駅(例えば5個先の駅)に到着した際にアラームを鳴らすこと等が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】実施形態に係る測位システムの全体構成を示す図である。
【図2】加速度の時系列変化パターンの一例を示す図である。
【図3】加速度の時系列変化パターンの別の例を示す図である。
【図4】図1に示す携帯電話機と測位サーバとの連携を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0051】
1…測位システム、10…携帯電話機(通信端末)、11…加速度データ生成部(生成手段)、12…加速度データ保持部(保持手段)、14…加速度データ送信部(送信手段)、15…現在位置取得部(取得手段)、20…測位サーバ、21…加速度データ受信部(受信手段)、22…パターン格納部(格納手段)、23…現在位置算出部(算出手段)、24…現在位置送信部(サーバ側送信手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自端末の加速度を検出し、検出された加速度と検出時刻とを対応付けることで加速度データを生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された加速度データを複数保持する保持手段と、
前記保持手段により保持された複数の加速度データを予め定められた経路上の各位置に対応する加速度の時系列変化パターンと照合することで得られた現在位置を取得する取得手段とを備えることを特徴とする通信端末。
【請求項2】
前記保持手段により保持された複数の加速度データを、当該複数の加速度データと前記加速度の時系列変化パターンとを照合し、当該加速度の時系列変化パターンのうち当該複数の加速度データとの一致度が最も高い部分に対応する位置を前記通信端末の現在位置と決定する測位サーバに送信する送信手段を更に備え、
前記取得手段は、前記送信手段により送信された複数の加速度データに応じて前記測位サーバが算出した現在位置を受信することを特徴とする請求項1に記載の通信端末。
【請求項3】
前記自端末の加速度は、垂直方向の加速度と、第1の水平方向の加速度と、前記垂直方向及び前記第1の水平方向の双方と直交する第2の水平方向の加速度とであり、
前記予め定められた経路上の各位置に対応する加速度は、前記垂直方向の加速度と、前記第1の水平方向の加速度と、前記第2水平方向の加速度とであることを特徴とする請求項1又は2に記載の通信端末。
【請求項4】
通信端末と、前記通信端末の現在位置を算出する測位サーバとを備える測位システムであって、
前記通信端末は、
自端末の加速度を検出し、検出された加速度と検出時刻とを対応付けることで加速度データを生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された加速度データを複数保持する保持手段と、
前記保持手段により保持された複数の加速度データを前記測位サーバに送信する送信手段と、
前記送信手段により送信された複数の加速度データに応じて前記測位サーバが算出した前記現在位置を受信し取得する取得手段とを備え、
前記測位サーバは、
予め定められた経路上の各位置に対応する加速度の時系列変化パターンを格納する格納手段と、
前記送信手段により送信された複数の加速度データを受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された複数の加速度データと、前記格納手段に格納された加速度の時系列変化パターンとを照合し、当該加速度の時系列変化パターンのうち当該複数の加速度データとの一致度が最も高い部分に対応する位置を前記通信端末の現在位置と決定する算出手段と、
前記算出手段により算出された現在位置を送信するサーバ側送信手段とを備える、
ことを特徴とする測位システム。
【請求項5】
通信端末が、自端末の加速度を検出し、検出された加速度と検出時刻とを対応付けることで加速度データを生成する生成ステップと、
前記通信端末が、前記生成ステップにおいて生成された加速度データを複数保持する保持ステップと、
前記通信端末が、前記保持ステップにおいて保持された複数の加速度データを予め定められた経路上の各位置に対応する加速度の時系列変化パターンと照合することで得られた現在位置を取得する取得ステップとを備えることを特徴とする測位方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−157883(P2008−157883A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−349921(P2006−349921)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】