説明

通信端末装置、通信制御方法及び通信制御プログラム

【課題】親機及び子機の分離又は接合維持を予測し、操作の利便性を高めることにある。
【解決手段】親機(21、201)と子機(22、202)とに分離され、分離状態にある前記親機と前記子機とが直接通信により無線接続される通信端末装置(2)であって、検出部(イベント検出部4)と、通信制御部(8)とを備える、前記検出部は、前記通信端末装置における電話の着信、電話の発信、又は通話中を示す通話イベントを検出する。前記通信制御部は、前記親機と前記子機とが接合状態で、かつ前記検出部において前記通話イベントが検出された場合に、前記親機の直接通信部と前記子機の直接通信部との接続を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分離型携帯電話機等、親子機に分離可能な通信端末装置の通信制御に関し、例えば、親機又は子機の操作から予測して親子機間の通信接続を行う通信端末装置、通信制御方法及び通信制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
セパレート型携帯電話機等の通信端末装置では、親機と子機とに分離され、親機には主として外部通信機能、子機には主として操作機能を割り当てられている。分離状態では近距離通信機能で両者を無線接続し、接合状態では有線接続することが知られている。このような通信端末装置にあっては、親機又は子機を独立して使用し、必要に応じて接合する等、利便性の高い操作が可能である。
【0003】
このような親機と子機とに分離される電話機にあっては、子機が親機に対し制御チャネル変更コマンドを送出し、親機から制御チャネル変更コマンドを受信すると、制御チャネルの変更とともに事前に通話状態へ移行することが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−67131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような通信端末装置にあっては、親機と子機とを接合状態から分離状態に移行させ、また、分離状態から接合状態に移行させて利用することができる。親機と子機とを接合状態から分離状態に移行すると、親子機間は無線接続に移行することになる。この無線接続には例えば、Bluetooth 通信技術等の近距離通信技術が用いられる。
【0006】
親機と子機とを接合状態から分離状態に移行させた場合、無線接続には立ち上がり時間を要する。例えば、Bluetooth 通信技術では、その開始時点から通信の確立までに数秒程度の待機時間が必要である。即ち、分離直後では、通話や、キー入力等ができないため、電話機の利便性が損なわれるという課題がある。
【0007】
そこで、本開示の通信端末装置、通信制御方法又は通信制御プログラムの目的は、親機及び子機の分離又は接合維持を予測し、操作の利便性を高めることにある。
【0008】
また、本開示の通信端末装置、通信制御方法又は通信制御プログラムの他の目的は、省電力化を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本開示の通信端末装置は、親機と子機とに分離され、分離状態にある前記親機と前記子機とが直接通信により無線接続される通信端末装置であって、検出部と、通信制御部とを備える。前記検出部は、前記通信端末装置における電話の着信、電話の発信、又は通話中を示す通話イベントを検出する。前記通信制御部は、前記親機と前記子機とが接合状態で、かつ前記検出部において前記通話イベントが検出された場合に、前記親機の直接通信部と前記子機の直接通信部との接続を開始する。
【0010】
上記目的を達成するため、本開示の通信制御方法は、上記通信端末装置によって実行される通信制御方法であって、検出ステップと、通信制御ステップとを含んでいる。前記検出ステップは、通信端末装置における電話の着信、電話の発信、又は通話中を示す通話イベントを検出する。前記通信制御ステップは、前記親機と前記子機とが接合状態で、かつ前記検出部において前記通話イベントが検出された場合に、前記親機の直接通信部と前記子機の直接通信部との接続を開始する。
【0011】
上記目的を達成するため、本開示の通信制御プログラムは、上記通信端末装置に実行させる通信制御プログラムであって、検出機能と、通信制御機能とを含んでいる。前記検出機能は、通信端末装置における電話の着信、電話の発信、又は通話中を示す通話イベントを検出する。前記通信制御機能は、前記親機と前記子機とが接合状態で、かつ前記検出部において前記通話イベントが検出された場合に、前記親機の直接通信部と前記子機の直接通信部との接続を開始する。
【発明の効果】
【0012】
本開示の通信端末装置、通信制御方法又は通信制御プログラムによれば、次のような効果が得られる。
【0013】
(1) ユーザ操作から親子機間の分離又は接合を予測し、近距離通信により無線接続し、又はその無線接続を解除するので、ユーザ操作の利便性が高められる。
【0014】
(2) また、所定時間だけ近距離通信により無線接続を維持し、所定時間後にその無線接続を解除するので、省電力化が高められ、電源にバッテリを用いた場合にその消耗を抑制でき、発熱を抑制できる。
【0015】
そして、本発明の他の目的、特徴及び利点は、添付図面及び各実施の形態を参照することにより、一層明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施の形態に係る通信端末装置の機能部の一例を示す図である。
【図2】通信制御の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図3】他の通信制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】第2の実施の形態に係るセパレート型携帯電話機の接合及び分離を示す図である。
【図5】セパレート型携帯電話機の無線接続を示す図である。
【図6】セパレート型携帯電話機の親機の機能部を示す図である。
【図7】セパレート型携帯電話機の子機の機能部を示す図である。
【図8】セパレート型携帯電話機のハードウェアの構成例を示す図である。
【図9】セパレート型携帯電話機の一例を示す図である。
【図10】子機側をスライドさせたセパレート型携帯電話機を示す図である。
【図11】子機側をスライドさせて裏面側から見たセパレート型携帯電話機を示す図である。
【図12】子機側をスライドさせて側面側から見たセパレート型携帯電話機を示す図である。
【図13】分離状態の親機及び子機を示す図である。
【図14】分離状態の親機を裏面側から見て示した図である。
【図15】子機側のスライド筐体部をスライドさせて上面側から見た子機を示す図である。
【図16】子機側のスライド筐体部をスライドさせて側面側から見た子機を示す図である。
【図17】親子機間接点のピンアサインを示す図である。
【図18】第2の実施の形態に係る通信制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図19】通信制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図20】第3の実施の形態に係る通信制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図21】他の実施の形態に係る携帯情報端末機を示す図である。
【図22】他の実施の形態に係るセパレート型電話機を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔第1の実施の形態〕
【0018】
第1の実施の形態は、分離状態にある親機と子機とが近距離通信機能等の、無線基地局を介さない直接通信により無線接続される通信端末装置である。なお、以降の他の実施の形態においても、分離状態における親機と子機とは、本実施の形態と同様に直接通信により無線接続されるものとする。この通信端末装置は、接合中の親機又は子機に対するユーザ操作を検出し、親子機間の分離を予測してBluetooth 通信を確立させ、分離後に直ちに必要な機能を実行可能にして操作の利便性を図っている。また、通信接続の後、所定時間が経過するまで、その接続を維持し、所定時間経過後に無線接続を自動切断することにより、省電力化を図っている。
【0019】
この第1の実施の形態について、図1を参照する。図1は、通信端末装置の一例を示す図である。図1に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明は限定されない。
【0020】
この通信端末装置2は、本開示の通信端末装置の一例であって、図1に示すように、親機21と子機22とに着脱可能に分離される。分離状態では、親機21と子機22とが近距離無線通信として例えば、Bluetooth 通信機能により無線接続が可能であり、接合状態では、親機21と子機22とが有線接続される。なお、本明細書の各実施の形態における" 有線接続" とは、端子間接続等の物理的に親機と子機とが接続されている形態の接続を意味し、無線接続以外のこれらの接続を説明の便宜上" 有線接続" というものとする。
【0021】
この実施の形態では、親機21には主として通信ネットワークを介して通信する通信機能や、表示機能等が割り当てられ、また、子機22には主として通話機能や、キー操作機能等が割り当てられている。即ち、親機21は無線通信部であり、子機22はユーザインターフェイス部を構成し、これらが分離可能に構成されている。
【0022】
この実施の形態では、親機21は状態検出部4と、イベント検出部6と、通信制御部8とを備え、子機22は通信制御部10を備えている。なお、状態検出部4とイベント検出部6は、子機22に備えるように構成してもよい。
【0023】
状態検出部4は、親機21と子機22とが分離状態か接合状態かを検出する機能部の一例である。状態検出は、例えば、親機21及び子機22の接続端子間の接続状態を電気的に検出し、その検出信号により接合か分離かを判断すればよい。
【0024】
イベント検出部6は、イベント発生の検知手段の一例であって、例えば、接合状態にある親機21と子機22の何れか一方又は双方に対し、所定のイベントが発生したことを検出する。この所定のイベントとは、例えば電話の着信/発信又は通話中を表すイベントであって、そのイベントが発生した場合に、ユーザが親機21と子機22とを分離する可能性のあるイベントをいう。例えば、通話中に、ユーザが過去のメールや電話帳を参照したいという理由で、親機21と子機22とを分離し、親機21を手に持ちながら子機22で通話を行うことが考えられるため、このようなイベントが発生した場合に、メールや電話帳の参照要求に先立って無線接続を開始する。これらのイベントは、そのイベントの発生を監視又は検出する手段を備えることにより検出できるが、これらのイベントに対応する機能部が停止状態又は待機状態から活性状態に移行したかを検出し、イベント発生の検出としてもよい。
【0025】
なお、ここでいう着信/発信を表すイベントは、ユーザによる発信ボタンや受信ボタンの押下といったユーザ操作のみならず、無線基地局との無線パスの設定や通話開始の検出等、着信/発信に係る種々のイベントを含む。また、以降の説明では、説明の便宜上、これらのイベントのうち、ユーザ操作を検出する場合を主に説明するものとする。
【0026】
通信制御部8は、親機21側に搭載され、親機21と子機22とが接合状態で、ユーザ操作が検出された場合に親機21と子機22との分離を予測する予測機能を備える。そこで、この通信制御部8は、この予測機能によって親機21と子機22との分離を予測した場合、親機21と子機22との間に近距離通信機能して例えばBluetooth 通信により、無線接続を確立させる機能部である。また、通信制御部10は、子機22側に搭載され、例えば、Bluetooth 通信により、親機21との無線接続を行う機能部である。この場合、親機21側から子機22に対して無線接続を開始してもよく、子機22側から親機21に対して無線接続を開始してもよい。
【0027】
次に、通信制御の処理手順について、図2を参照する。図2は、通信制御の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0028】
この処理手順は、本開示の通信制御方法又は通信制御プログラムの一例である。この処理手順には、図2に示すように、状態検出又は状態判定機能(ステップS11)と、操作検出機能(ステップS12)と、通信制御機能(ステップS13)とが含まれる。操作検出機能(ステップS12)がユーザ操作の予測機能である。
【0029】
この処理手順では、図2に示すように、接合して通話状態から分離されることを予測し、親機21と子機22とが分離状態かを検出し(ステップS11)、分離状態か接合状態かを判断する。このステップS11では、親機21と子機22とが接合状態にあるか、分離状態にあるかを電気的に検出し、その検出に基づき接合状態であるか分離状態であるかを判定する。
【0030】
親機21と子機22が接合されていなければ(ステップS11のYES)、接合状態への移行を継続的に監視し、親機21と子機22が接合されていれば(ステップS11のNO)、所定のユーザ操作の発生を継続的に検出する(ステップS12)。
【0031】
そして、所定のユーザ操作があれば(ステップS12のYES)、親機21と子機22との無線接続を確立させる(ステップS13)。この無線接続は、近距離通信による無線接続であり、例えば、Bluetooth 通信による無線接続である。
【0032】
斯かる処理手順によれば、ユーザ操作から、親子機間の分離を予測してBluetooth 通信を確立させ、分離後に直ちに無線接続を媒介とする機能を実行可能にできる。
【0033】
次に、他の通信制御の処理手順について、図3を参照する。図3は、他の通信制御の処理手順を示すフローチャートである。
【0034】
この処理手順は、本開示の通信制御方法又は通信制御プログラムの一例である。この処理手順には、図3に示すように、無線接続の判定機能(ステップS21)と、操作検出機能(ステップS22)と、時間検出機能(ステップS23)と、通信制御機能(ステップS24)とが含まれる。
【0035】
この処理手順では、図3に示すように、親機21と子機22とが無線接続かを検出し(ステップS21)、無線接続の状態にあるかを監視する。
【0036】
親機21と子機22が有線接続されていれば(ステップS21のNO)、ユーザ操作を検出する(ステップS22)。ユーザ操作は既述の通りである。
【0037】
そして、ユーザ操作が終了し(ステップS22のNO)、その操作終了から所定時間が経過したかを判定する(ステップS23)。ユーザ操作及びその終了を監視し、ユーザ操作の終了から所定時間が経過すれば(ステップS23のYES)、無線接続を切断(又は終了)させる(ステップS24)。なお、上述の説明では、ユーザ操作の終了からの時間経過を監視する例を説明したが、親機21と子機22の有線接続の検出からの時間経過を監視するようにしてもよい。
【0038】
斯かる制御によれば、例えば通信接続の後、所定時間が経過するまで、その接続を維持し、所定時間経過後に無線接続を自動切断することにより、省電力化を図ることができる。また例えば、無線接続から有線接続に移行した場合に、再度分離して無線接続を再開しても、通信接続が維持される。
【0039】
以上述べた第1の実施の形態によれば、親機と子機とが接合状態にある場合、ユーザ操作から親機と子機との分離を予測し、分離前に近距離通信を確立させることができるので、分離後に近距離通信を確立させるための時間的ロスを削減できる。分離前に近距離による無線接続を確立させるので、分離後に接続操作を伴うことなく直ちに接続中の無線接続を活用でき、ユーザ操作の利便性が高められる。また、無線接続を開始しても、所定時間内にユーザ操作がなければ、無線接続を終了させるので、省電力化が図られ、電源に用いられるバッテリの消耗を抑制できる。さらに、有線接続に移行してから無線接続を再開する場合でも、操作可能になるまで時間を要さず、利便性が高められる。
【0040】
〔第2の実施の形態〕
【0041】
第2の実施の形態は、本開示の通信端末装置の一例として、分離状態にある親機と子機とが近距離通信機能により無線接続されるセパレート型携帯電話機の無線制御である。
【0042】
この第2の実施の形態について、図4及び図5を参照する。図4は、第2の実施の形態に係るセパレート型携帯電話機の親子機間の接合及び分離を示す図、図5は、親子機間のBluetooth 通信による無線接続を示す図である。
【0043】
セパレート型携帯電話機20は、本開示の通信端末装置の一例であって、図4に示すように、接合又は分離することが可能な親機201と子機202とを備える。接合状態では、親機201と子機202とが有線接続される。
【0044】
親機201には、通信機能として無線基地局を介する通信例えば、移動通信網と通信する無線通信機能、表示機能、無線基地局を介さない直接に子機202と通信する近距離通信機能として例えば、Bluetooth 通信機能を備え、子機202と無線接続されて親機201を介して移動通信網との通信が可能である。親機201及び子機202には、それぞれに通話機能を搭載し、何れでも通話が可能である。また、分離した親機201と子機202とを用いて通話や操作を可能にするため、近距離通信技術である無線LAN(Local Area Network)やBluetooth 通信を利用できる。
【0045】
そして、親機201と子機202との分離状態では、図5に示すように、近距離通信として例えば、Bluetooth 通信機能により無線接続される。このBluetooth 通信では、HID(Human Interface Device Profile)制御、HFP(Hands-Free Profile)制御等の通信制御方式が規格化されて搭載されている。HID制御は、キーボード制御等の入力制御に用いられ、また、HFP制御は、通話制御や音声制御に用いられる。
【0046】
次に、このセパレート型携帯電話機の機能について、図6及び図7を参照する。図6は、セパレート型携帯電話機の親機側の機能部の一例を示す図、図7は、その子機側の機能部の一例を示す図である。
【0047】
このセパレート型携帯電話機20は、親機201でセパレート型携帯電話機20の主として外部通信機能、表示機能等を実行し、子機202でセパレート型携帯電話機20の主として親機201との通信機能、通話機能等を実行する。
【0048】
そこで、親機201は、図6に示すように、外部通信制御部30と、接合・分離確認部32と、表示制御部34と、記憶制御部36と、電源制御部38と、時間制御部40と、入力制御部41と、親子通信制御部42と、Bluetooth 通信制御部44と、有線通信制御部46と、その他の機能として通話制御部等を備えている。これらの機能は親機201に搭載されているコンピュータ(プロセッサ70:図8)によって生成され実行される。
【0049】
外部通信制御部30は、外部の通信ネットワーク48と無線により接続し、通話やデータ通信の制御を行う。通信ネットワーク48には親機201が無線により基地局やサーバが接続されている。
【0050】
接合・分離確認部32は、親機201が子機202に接合されているか又は分離されているかを確認する機能部である。親機201に子機202が接合されているか又は分離されているかの判断は、親機201と子機202との電気的な結合状態の有無によって行えばよい。
【0051】
表示制御部34は、情報表示を制御する機能部の一例であって、表示部76(図8)の表示制御の機能を含む。
【0052】
記憶制御部36はデータ保持や保存を制御する機能であって、記憶手段に対するデータの書き込み又は読出しを制御する機能部である。この記憶機能部36には、親機201のソフトウェアや、通信制御情報、通信情報(接続設定情報)、ユーザ操作情報等の格納や書換え等の制御が含まれる。
【0053】
電源制御部38は、電源スイッチ部87(図8)のオン、オフを認識し、親機201側の機能部に対する電源の通電を制御する機能部である。親機201に子機202が接合されている場合には子機202側の通電制御を含んでもよい。
【0054】
時間制御部40は、計時制御手段の一例であって、接合時点から所定時間だけ無線接続を継続する場合等、所定時点から一定時間の計時等に用いられる。
【0055】
入力制御部41は、親機201側でユーザ操作を監視する操作監視部の一例であって、ユーザから付与される各種入力情報を取り込む機能部である。この入力制御部41は、例えば、既述の操作検出部6を構成しており、親機201又は子機202に対するユーザ操作を検出しており、例えば、既述のイベント検出部の一例である。
【0056】
親子通信制御部42は、親機201側で親子機間の通信形態を制御する制御機能部であって、親子機間が接合状態であれば有線接続とし、親子機間が分離状態であれば無線接続とする。この親子通信制御部42は、例えば、既述の通信制御部8を構成し、接合状態及びイベント検出により親機201と子機202との分離予測による無線接続の確立処理を行う。
【0057】
Bluetooth 通信制御部44は、子機202との直接通信を行う直接通信制御部の一例であって、電波等の無線媒体で接続する機能部であり、この場合、Bluetooth 通信を用いればよい。また、有線通信制御部46は、親子機間の接合(結合)によって有線接続し、例えば、シリアル通信を行う。
【0058】
また、子機202は、図7に示すように、電源制御部50と、接合・分離確認部52と、記憶制御部54と、入力制御部55と、親子通信制御部56と、Bluetooth 通信制御部58と、有線通信制御部60とを備え、その他通話制御部を備えている。これらの機能は子機202に搭載されているコンピュータ(プロセッサ100:図8)によって生成され実行される。
【0059】
電源制御部50は、電源スイッチ部115(図8)のオン、オフを認識し、子機202側の機能部に対する電源の通電を制御する機能部である。子機202が親機201に接合されている場合には親機201側の通電制御を含んでもよい。
【0060】
接合・分離確認部52は、子機202が親機201に接合又は分離されているかを確認する機能部である。親機201に子機202が接合又は分離されているかの判断は、既述のように、親機201と子機202との電気的な結合状態の有無によって行えばよい。
【0061】
記憶制御部54はデータ保持手段の一例であって、親機201から提供されたソフトウェアやその版数データを記憶させる制御機能部である。
【0062】
入力制御部55は、子機202側でユーザ操作を監視する操作監視部の一例であって、ユーザから付与される各種入力情報を取り込む機能部であり、これは既述のイベント検出部の一例である。
【0063】
親子通信制御部56は、子機202側で親子機間の通信形態を制御する制御機能部であって、親子機間が接合状態であれば有線接続とし、親子機間が分離状態であれば無線接続とする。この親子通信制御部56は、例えば、既述の通信制御部10を構成する。そして、既述のように、接合状態及びイベント検出により親機201と子機202との分離予測による無線接続の確立処理を行ってもよい。
【0064】
Bluetooth 通信制御部58は、親機201との直接通信であるBluetooth 通信を制御する機能部である。また、有線通信制御部60、既述のように、親子機間の接合によって接続する。
【0065】
次に、セパレート型携帯電話機20のハードウェアについて、図8を参照する。図8は、セパレート型携帯電話機のハードウェアの一例を示す図である。
【0066】
このセパレート型携帯電話機20は親機201と子機202とを着脱可能に備え、既述の各機能を実現するためのハードウェア構成を備えている。そこで、親機201は、図8に示すように、プロセッサ70と、無線通信部72と、記憶部74と、表示部76と、タッチパネル部78と、音声入出力部80と、Bluetooth 通信部82と、有線通信部84と、接合・分離検出部86と、電源スイッチ部87と、タイマー部89とを備える。
【0067】
プロセッサ70は、記憶部74にあるプログラムを実行することにより、既述の機能部(図6)を生成させ、各機能を実行する。このプロセッサ70は例えば、CPU(Central Processing Unit )で構成すればよい。
【0068】
無線通信部72は、アンテナ88を備え、プロセッサ70の制御により基地局を介して既述の通信ネットワーク48と無線通信により、通話やデータ通信を行う。この無線通信部72は例えば、高域符号分割多元接続〔W−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)〕無線通信部で構成される。
【0069】
記憶部74は、プロセッサ70の制御により、プログラム等の各種のデータを記憶し、保持する記憶手段であって、プログラム記憶部90と、データ記憶部92と、RAM(Random-Access Memory)94とを備える。プログラム記憶部90は、記録媒体で構成され、OS(Operating System)、ファームウェアプログラム、アプリケーションプログラム、通信制御プログラム等を格納する。データ記憶部92は、データの記憶手段であって、通電を解除しても記憶内容を保持できるメモリである不揮発性メモリで構成される。このデータ記憶部92には、親機201及び子機202側のソフトウェア等が保存される。RAM94は、親機201や子機202の通信制御等の各種データ処理を実行するためのワークエリアを構成する。
【0070】
表示部76は、メッセージ出力部、情報提示手段の一例であって、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)表示器で構成される。この表示部76は、プロセッサ70の制御により、子機202との接続を促すメッセージ表示等の各種の表示をする。
【0071】
タッチパネル部78は、表示部76に積層されて設置された入力手段の一例であって、プロセッサ70の制御により、表示部76の表示に応じてユーザの指やスタイラス(Stylus)ペンの接触や押圧により、指示やデータ入力を行うことができる。
【0072】
音声入出力部80は、音声の入力手段や出力手段の一例であって、マイクロフォン96及びレシーバ98を備える。この音声入出力部80は、プロセッサ70の制御により、マイクロフォン96に入力された音声を電気信号に変換してプロセッサ70に入力し、プロセッサ70の音声出力信号をレシーバ98で音声に再生する。
【0073】
Bluetooth 通信部82は、プロセッサ70の制御により、子機202との間で無線による直接通信で接続する無線接続手段であって、例えば、Bluetooth 通信により通信接続を行う。このBluetooth 通信部82は、親機201から子機202が分離されている場合、無線接続を行う。
【0074】
有線通信部84は、プロセッサ70の制御により、子機202を接合した際に有線接続する有線接続手段であって、例えば、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter )接続により有線接続を行う。この有線通信部84は、子機202と端子間接合した場合、有線接続を行う。
【0075】
接合・分離検出部86は、親機201側にあって、親機201に子機202が接合されているか、親機201から子機202が分離されているかを検出する手段の一例であり、例えば、接合・分離検出デバイスで構成される。この接合又は分離は、例えば、端子間接合の有無を電位によって検出すればよい。この場合、接合・分離検出部86に親機201と子機202との分離状態が検出された場合、Bluetooth 通信部82の無線接続の契機となる。また、接合・分離検出部86に親機201と子機202との接合状態が検出された場合、有線通信部84の有線接続の契機となる。
【0076】
電源スイッチ部87は親機201の通電開始手段の一例であり、駆動開始等に用いられる。
【0077】
タイマー部89は、計時手段の一例であって、プロセッサ70の制御により、既述の所定時点から一定時間の計時等に用いられる。このタイマー部89は例えば、親機201と子機202とが分離状態から接合状態に移行したことが検出された場合、その移行時点から所定時間が経過するまでを計時し、その経過時点を表す出力を発生する。
【0078】
次に、子機202は、プロセッサ100と、記憶部102と、キーパッド部104、106と、音声入出力部108と、Bluetooth 通信部110と、有線通信部112と、接合・分離検出部114と、電源スイッチ部115とを備える。
【0079】
プロセッサ100は記憶部102にあるプログラムを実行することにより、既述の機能部(図7)を生成させ、各機能を実行する。このプロセッサ100は親機201側と同様に例えば、CPUで構成すればよい。
【0080】
記憶部102は、プロセッサ100の制御により、プログラム等の各種のデータを記憶し、保持する記憶手段であって、プログラム記憶部116と、データ記憶部118と、RAM120とを備える。プログラム記憶部116は、記録媒体で構成され、OS、ファームウェアプログラム、アプリケーションプログラム、通信制御プログラム等を格納する。データ記憶部118は、データの記憶手段であって、通電を解除しても記憶内容を保持できるメモリである不揮発性メモリで構成される。このデータ記憶部118には、子機202側のソフトウェアの版数データ等が格納される。RAM120は、子機202側の通信制御等の各種データ処理を実行するためのワークエリアを構成する。
【0081】
キーパッド部104は、第1のキー入力部であって、子機202の固定筐体部130(図10、図15)側に設置され、記号キー、カーソルキー、決定キー等が備えられている。また、キーパッド部106は、第2のキー入力部であって、親機201から子機202が分離した際に、子機202側にあるスライド筐体部132(図13、図15)に設置され、キーパッド部104に積層されてキー入力に用いられる。
【0082】
音声入出力部108は、音声の入力手段や出力手段の一例であって、マイクロフォン122及びレシーバ124を備える。子機202が親機201から分離された際、この音声入出力部108は、プロセッサ100の制御により、マイクロフォン122に入力された音声を電気信号に変換してプロセッサ100に入力し、プロセッサ100の音声出力信号をレシーバ124で音声に再生する。
【0083】
Bluetooth 通信部110は、プロセッサ100の制御により、親機201のBluetooth 通信部82との間で無線による直接通信で接続する無線接続手段であって、例えば、Bluetooth 通信により通信接続を行う。このBluetooth 通信部110は、子機202が親機201から分離されている場合、無線接続を行う。
【0084】
有線通信部112は、プロセッサ100の制御により、親機201に接合した際に有線接続する有線接続手段であって、既述のUART接続により有線接続を行う。この有線通信部112は、親機201と端子間接合した場合、既述の有線接続を行う。
【0085】
接合・分離検出部114は、子機202側にあって、子機202が親機201に接合されているか、子機202が親機201から分離されているかを検出する手段の一例であり、既述の通り、例えば、接合・分離検出デバイスで構成される。この接合又は分離は、例えば、端子間接合の有無を電位によって検出すればよい。親機201側と同様に、接合・分離検出部114に親機201と子機202との分離状態が検出された場合、Bluetooth 通信部110の無線接続の契機となる。また、接合・分離検出部114に親機201と子機202との接合状態が検出された場合、有線通信部112の有線接続の契機となる。
【0086】
電源スイッチ部115は子機202の通電開始手段の一例であり、親機201側と同様に駆動開始等に用いられる。
【0087】
次に、セパレート型携帯電話機について、図9、図10、図11、図12、図13、図14、図15及び図16を参照する。図9は、セパレート型携帯電話機の一例を示す図、図10は、子機側をスライドさせたセパレート型携帯電話機を示す図、図11は、子機側をスライドさせて裏面側から見たセパレート型携帯電話機を示す図、図12は、子機側をスライドさせて側面側から見たセパレート型携帯電話機を示す図、図13は、分離状態の親機及び子機を示す図、図14は、分離状態の親機を裏面側から見て示した図、図15は、子機側のスライド筐体部をスライドさせて上面側から見た子機を示す図、図16は、子機側のスライド筐体部をスライドさせて側面側から見た子機を示す図である。
【0088】
セパレート型携帯電話機20は、図9に示すように、固定筐体部130と、スライド筐体部132と、可動筐体部134とが備えられている。この場合、固定筐体部130及びスライド筐体部132は子機202に用いられ、可動筐体部134は親機201に用いられている。
【0089】
固定筐体部130には、図10〜図13に示すように、スライド筐体部132がスライド機構によって固定筐体部130の長手方向にスライド可能に設置されている。スライド筐体部132には、可動筐体部134が着脱機構によって着脱される。従って、可動筐体部134がスライド筐体部132に設置された場合、スライド筐体部132によって固定筐体部130の長手方向にスライド可能である。図10、図11及び図12は、可動筐体部134がスライド筐体部132とともにスライドし、固定筐体部130から突出した状態である。この場合、可動筐体部134の背面側にはカメラ部135が設置され、このカメラ部135がスライド筐体部132にある窓部136から露出している。
【0090】
また、スライド筐体部132を固定筐体部130に一致させた際に、図9及び図13に示すように、固定筐体部130と可動筐体部134を接合又は分離させることができる。図14は可動筐体部134の背面側を示している。そして、可動筐体部134(親機201)を固定筐体部130から分離させると、固定筐体部130の上面はスライド筐体部132によって覆われ、また、図15及び図16に示すように、固定筐体部130からスライド筐体部132を長手方向にスライドさせてずらすことができる。
【0091】
斯かる構成により、セパレート型携帯電話機20には、着脱かつスライド可能な親機201と、子機202とが備えられ、親機201と子機202とが接合された場合、上面側に親機201、その下面側に子機202が配置される。可動筐体部134には表示部76及びタッチパネル部78が設置されているとともに、マイクロフォン96及びレシーバ98が設置され、側面部には電源スイッチ部87が配置されている。
【0092】
固定筐体部130には、子機202側のキーパッド部104が設置されるとともに、マイクロフォン122が配置されている。また、スライド筐体部132には、キーパッド部106が設置されるとともに、レシーバ124が配置されている。
【0093】
接合状態において、図10に示すように、可動筐体部134は、スライド筐体部132と協動してスライドし、可動筐体部134即ち、親機201をスライドさせた場合、子機202のキーパッド部104が露出し、キー入力操作が可能である。キーパッド部104には記号キー138、カーソルキー140、決定キー142、電源スイッチ部115として電源キー143等が設置されている。
【0094】
可動筐体部134を固定筐体部130から分離すると、図13に示すように、固定筐体部130上にスライド筐体部132のキーパッド部106、レシーバ124が露出する。このキーパッド部106からキー入力操作を行うことができるとともに、Bluetooth 通信により親機201を介在させた子機202側での通話が可能である。
【0095】
そして、固定筐体部130には図13に示すように、有線通信部112の接続端子部144A、144Bが設置され、また、可動筐体部134には図14に示すように、有線通信部84の接続端子部146A、146Bが設置されている。親機201と子機202とが接合状態にある場合、これら接続端子部144A−146A、144B−146Bを介して電気的に接続されるので、この接合状態は接合・分離検出部86、114によって検出される。接続端子部144A−146A、144B−146Bは、複数のピンPG1、PG2、PG3・・・PG8で構成されている。
【0096】
次に、親子機間接点のピンアサインについて、図17を参照する。図17は、親子機間接点のピンアサインテーブルの一例を示す図である。
【0097】
このピンアサインテーブル150には、ピン番号欄152、親機側機能欄154及び子機側機能欄156が設定され、データ記憶部92、118に格納されている。
【0098】
この場合、ピン番号欄152には、接続端子部144A、144B、146A、146Bを構成するピンに対応し、ピン番号としてPG1、PG2、PG3・・・PG8の8ピン構成の番号が格納されている。この場合、ピンPG1は、親機201及び子機202とも接地(GND)に割り当てられている。
【0099】
ピンPG2は、親子機間有線通信に割り当てられ、親機201側には送信側を表すUART−TX、子機202側には受信側を表すUART−RXが設定されている。ピンPG3は、親子機間有線通信に割り当てられ、親機201側には受信側を表すUART−RX、子機202側には送信側を表すUART−TXが設定されている。
【0100】
ピンPG4、PG5はともに接合検出に割り当てられ、ピンPG4は、親機201側には接合検出、子機202側には接地(GND)が割り当てられ、また、ピンPG5は、親機201側には接地(GND)、子機202側には接合検出が割り当てられている。
【0101】
ピンPG6、PG7は割り当てなしであり、PG8は親機201及び子機202のそれぞれに電源が割り当てられている。
【0102】
次に、この通信制御について、図18を参照する。図18は、通信制御の処理手順を示すフローチャートである。
【0103】
この処理手順は、通信端末装置の通信制御方法又は通信制御プログラムの一例である。この処理手順には、ユーザ操作から親機201と子機202とが分離されることを予測し、その予測に基づく通信制御の処理を含んでいる。
【0104】
この処理手順は、図18に示すように、待受け状態(ステップS101)から親機201と子機202とが分離状態であるかを判定する(ステップS102)。待受け状態は、親機201と子機202がBluetooth 通信による無線接続されていない状態であり、かつ親機201と子機202が有線接続されている状態である。親機201と子機202とが分離状態であれば、Bluetooth 通信を確立させる(ステップS103)。このBluetooth 通信の確立状態において、ユーザ操作が終了したかを判定し(ステップS104)、ユーザ操作が終了していれば(ステップS104のYES)、Bluetooth 通信による無線接続を切断し(ステップS105)、待受け状態に移行する(ステップS106)。
【0105】
ステップS102において、親機201と子機202とが分離状態でなければ(ステップS102のNO)、即ち、親機201と子機202とが接合状態であれば、ユーザ操作があるかを判定する(ステップS107)。ここで、ユーザ操作とは、電話発信等、ユーザが接合状態にある親機201又は子機202に対する操作である。ユーザ操作があれば(ステップS107のYES)、Bluetooth 通信を確立させ(ステップS103)、ユーザ操作がなければ(ステップS107のNO)、待受け状態に移行する(ステップS106)。
【0106】
そこで、親子機間の接合状態からBluetooth 通信が利用可能状態になるまでの制御について、図19を参照する。図19は、通信制御の処理手順を示すフローチャートである。
【0107】
この処理手順は、通信端末装置、その通信制御方法及び通信制御プログラムの一例であって、この処理手順では、親機201と子機202とが接合状態から、ユーザ操作により分離状態への移行を予測してBluetooth 通信部間のプロファイル接続を開始し、確立した当該プロファイル接続を介して無線接続を行う例を説明する。なお、ここでいうプロファイル接続とは、HIDやHFPの機能を利用した通信を行うためのそれぞれの通信経路(パス)を確立することをいう。
【0108】
そこで、この処理手順は、図19に示すように、親機201と子機202とが接合中である場合(ステップS201)、接合されている親機201と子機202に対するユーザ操作を監視する(ステップS202)。
【0109】
ユーザ操作があれば、親機201側のデバイス電源をONにする(ステップS203)。この通電開始により、親機201は制御ソフトウェアを始動させ(ステップS204)、Bluetooth デバイスではHID又はHFPのプロファイル接続を開始する(ステップS205)。
【0110】
子機202も同様に子機202側のデバイス電源をONにする(ステップS206)。この通電開始により、子機202は制御ソフトウェアを始動させ(ステップS207)、Bluetooth デバイスではHID又はHFPのプロファイル接続を開始する(ステップS208)。
【0111】
そこで、子機202はHID接続要求を生成し(ステップS209)、この接続要求を親機201に対して通知する(ステップS210)。この通知を受けた親機201は接続受入れを生成し(ステップS211)、この接続受入れを子機202に対して通知する(ステップS212)。
【0112】
また、子機202はHFP接続要求を生成し(ステップS213)、この接続要求を親機201に対して通知する(ステップS214)。この通知を受けた親機201は接続受入れを生成し(ステップS215)、この接続受入れを子機202に対して通知する(ステップS216)。
【0113】
これらの処理を経て、Bluetooth 通信部による無線接続が利用可能状態(プロファイル接続の完了)となる(ステップS217)。その後、親機201と子機202とが当該無線接続を介した通信を開始する。例えば、キーボード制御等の入力制御、通話制御、音声制御の対象を、有線通信制御部46からBluetooth 通信制御部44に切替える処理を実行することで当該無線接続を介した通信を開始する。なお、プロファイル接続を確立して無線接続を利用可能状態とするステップ(第一ステップ)と当該無線接続を介した通信を開始するステップ(第二ステップ)とは連続して実行してもよいが、2段階に分けて実行してもよい。例えば、特定のユーザ操作の検知があった場合に第一ステップを実行し、その後、親機201と子機202とが分離されたことを検知した段階で第二ステップを実行するようにしてもよい。
【0114】
斯かる構成によれば、接合状態にある親機201又は子機202の何れか一方又は双方に対するユーザの操作即ち、既述のユーザ操作を監視し、Bluetooth 通信を開始させることができる。即ち、ユーザ操作から、親機201と子機202とが分離されることを予測し、Bluetooth 通信を開始させることができる。このような予測動作を行うことから、分離した後、ユーザがBluetooth 通信を開始させる場合に比較し、無線接続を迅速化できるとともに、ユーザの意図に沿った動作状態を確立でき、セパレート型携帯電話機20の利便性を高めることができる。従って、上記通信制御により、ユーザ操作に応じた使い勝手の良いセパレート型携帯電話機20を実現することができる。
【0115】
次に、この第2の実施の形態の利点や特徴事項について列挙する。
【0116】
(1) この実施の形態では、親子機の分離予測による親子機間の無線通信を確立させ、分離状態に移行したとき、直ちに無線通信を媒介とする動作に移行することができる。この実施の形態では、親子機間の接合状態を監視し、タッチパネル部78の入力による親機201の表示部76の表示や、子機202のキーパッド情報等によりユーザ操作を検出することにより、親子機間の分離を予測している。この予測に基づき、親子通信制御部42、56により、Bluetooth 通信部82、110で親子機間のBluetooth 通信を確立し、無線接続を行っている。
【0117】
(2) 電話着信に関連し、親機201と子機202とを接合して電話着信から親機201と子機202とを分離した際には、電話着信時、ユーザは通話中に過去の受信メールや送信メール記録やアドレス帳を参照したい場合がある。この場合、親機201から子機202を分離し、親機201側を手に持ち、表示部76を確認しながら、子機202側のマイクロフォン122及びレシーバ124で通話することが考えられる。そのため、電話着信によるユーザ操作をトリガにし、親子通信制御部42、56によってはBluetooth デバイスの電源をONにし、Bluetooth 通信を確立させて無線接続を行う。即ち、既述のHID及びHFPの接続を行う。この接続により、通話中にユーザが親機201と子機202とを分離すると、分離前にBluetooth 通信が確立されているので、通話を中断させることなく、分離後、直ちにキー操作を行うことができる。ユーザは通話中、違和感なく親子機を分離でき、通話以外の機能操作を行うことができる。
【0118】
(3) ユーザ操作の監視に関し、即ち、ユーザ操作を検出する仕組みとして、電話着信の他、電話発信等、操作に関連する機能の起動と同時にBluetooth 通信を行ってもよい。そして、上記手順で確立させたBluetooth 通信による無線接続は、親機201と子機202との接合又は通話等のユーザ操作が終了した場合に無線接続を切断すればよい。
【0119】
〔第3の実施の形態〕
【0120】
第3の実施の形態は、親機と子機とが分離状態か接合状態かを監視し、通信接続の後、所定時間が経過した場合には、その通信接続を切断する構成である。
【0121】
この第3の実施の形態について、図20を参照する。図20は、第3の実施の形態に係る通信制御の処理手順を示すフローチャートである。
【0122】
この処理手順は、通信端末装置の通信制御方法又は通信制御プログラムの一例である。この処理手順には、親機と子機とが分離状態から接合状態に移行した後、ユーザ操作を監視し、ユーザ操作の終了から所定時間が経過すれば、Bluetooth 通信による無線接続を解除する通信制御の処理を含んでいる。この場合、ユーザ操作の終了から所定時間内にユーザ操作が再開されれば、その終了から所定時間の間、通信接続が維持される。
【0123】
この通信制御においては、セパレート型携帯電話機20では、親機201と子機202とに分離して使用している場合、親機201と子機202とはBluetooth 通信によって無線接続される。この状態で親機201と子機202とを接合した場合にはBluetooth 通信による無線接続は不要となる。しかし、ユーザは分離利用から接合に至ったのであるから、再度分離することが予想されるし、その可能性は高い。そのため、親機201と子機202とが接合されたことを検出した時点で直ちにBluetooth 通信を切断してしまうと、親機201と子機202とを分離した際には再度のBluetooth 通信の立ち上げが必要となる。この立ち上げに時間を要することは既述の通りである。そこで、接合時点から直ちにBluetooth 通信を切断せず、予め設定した時間の経過後、Bluetooth 通信のHIDと、HFPとを切断し、Bluetooth デバイスの電源をOFFすることとしたのである。
【0124】
この処理手順においても、第2の実施の形態と同様の構成(図4ないし図17)及び通信制御(図18、図19)が用いられている。
【0125】
そこで、この処理手順では、図20に示すように、親機201と子機202とを分離して通話状態であるかを監視する(ステップS301)。分離して通話状態であれば(ステップS301のYES)、親機201と子機202との分離状態が監視される(ステップS302)。分離状態でなければ(ステップS302のNO)、即ち、接合状態であれば、ユーザ操作が再開されたかを判定する(ステップS303)。ユーザ操作が再開されれば(ステップS303のYES)、ステップS302に戻り、ユーザ操作の再開でなければ(ステップS303のNO)、一定の保護時間が経過したかが判定される(ステップS304)。この保護時間は、例えば、分離状態から接合状態に移行した時点から計時される一定時間であって、Bluetooth 通信による無線接続が維持される時間である。
【0126】
そこで、保護時間が経過していない場合には(ステップS304のNO)、ステップS302に戻り、保護時間が経過した場合には(ステップS304のYES)、Bluetooth 通信を切断する(ステップS305)。
【0127】
また、親機201と子機202とを分離して通話状態でなければ(ステップS301のNO)、この通信制御処理を終了する。
【0128】
このように、Bluetooth 通信で無線接続されていた親機201と子機202とが接合された際に、その接合時点から直ちにはBluetooth 通信は切断されない。この通信切断には、予め設定した時間の経過後、即ち、保護時間の経過後、Bluetooth 通信のHIDと、HFPとを切断し、Bluetooth デバイスの電源をOFFする。
【0129】
斯かる構成では、分離終了に予測による親子通信制御確立の動作に関し、親機201と子機202との接合情報は接合・分離検出部86、114、親子通信制御部42、56から取得することができる。また、ユーザ操作は、親機201側の表示部76や子機202のキーパッド情報を親子通信制御部42、56を経由して監視され、ユーザ操作の停止が検出される。この検出時点からタイマー部89を駆動し、所定時間の経過を監視する。予め設定された所定時間である保護時間が経過すれば、タイマー部89からそのタイムアウト通知を受ける。タッチパネル部78の入力による親機201の表示部76の表示や、子機202のキーパッド情報がない場合は、Bluetooth 通信部82、110による通信接続を切断する。
【0130】
このように、分離状態から接合状態に移行しても、直ちに無線接続が遮断されないので、保護時間内であれば、無線接続を伴う所望の操作を直ちに行うことができる。また、ユーザが親子機の接合と分離を繰り返す場合でも、Bluetooth 通信が頻繁に切断されて再接続に時間を要するといった不都合はなく、ユーザ操作の迅速化が図られ、利便性が高められる。
【0131】
〔上記実施の形態の特徴事項及び他の実施の形態〕
【0132】
(1) 上記実施の形態では、子機202以外の外部との無線接続を行う無線通信部を備える親機201と、ユーザインタフェース部を搭載した子機202とを分離可能としたセパレート型携帯電話機20について例示したが、本発明は上記構成に限定されない。子機202側に無線通信部を備える構成でもよい。
【0133】
(2) ユーザが必要とする状況を想定して遅延なく近距離通信による親子機間の無線接続(親子機間通信制御)を行い、不要時には近距離通信の使用を停止して電力消費を低減することができる。上記実施の形態では、近距離通信としてBluetooth 通信手段を例示したが、本発明はBluetooth 通信に限定されない。
【0134】
(3) 上記実施の形態では、通話中に親子機を分離する契機として、通話中のメール確認等の要請を例示したが、通話中にカメラ、テレビの各機能を実行する場合にも適用でき、上記実施の形態の例示に限定されない。
【0135】
(4) 上記実施の形態では、移動通信網と通信する機能及びLCDディスプレイを持つ無線通信部を親機201に搭載し、キーパッドを持つキーパッド部で構成する機能部を子機202に搭載しているが、前者の機能を子機202側に、後者の機能を親機201側に搭載してもよい。
【0136】
(5) 上記実施の形態では、分離した際に通話や操作を可能とするため、近距離通信技術である無線LAN機能ややBluetooth 通信機能を利用している。Bluetooth 通信では、キーボード制御のためのHID、通話制御のためのHFP等の通信制御方式を規格化している。このBluetooth 通信は、無線LANよりも消費電力が小さくて済むという利点があるが、Bluetooth デバイスへ常時電力を供給する電池が消耗することになる。上記実施の形態では、未使用の場合はBluetooth デバイスの電源をOFFにするので、消費電力を低減でき、セパレート型携帯電話機20の低消費電力化をより高めることができる。
【0137】
(6) Bluetooth デバイスを使用する際にはデバイスへの電源投入と、HIDやHFPといった通信を始める時間が必要になるために、実際にLCD部とキーパッド部が通信可能となるまでに時間がかかる。接合中から分離した直後から一定時間、おおよそ3秒程度待たないと、分離した機器同士は通信できない。このことは、分離直後には、キーパッド部から通話できないあるいはキー入力ができないことを意味するが、斯かる課題は上記実施の形態によって解決されている。
【0138】
(7) 上記実施の形態では、親機と子機とに分離される通信端末装置としてセパレート型携帯電話機20を例示したが、これに限定されない。例えば、携帯情報端末機(PDA:Personal Digital Assistant)400(図21)でもよいし、セパレート型電話機500(図22)であってもよい。
【0139】
PDA400では、図21に示すように、親機401と子機402とに分離し、上記実施の形態と同様に構成すれば、既述の通信制御機能を実現することができる。図21において、上記実施の形態と同一部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0140】
セパレート型電話機500では、図22に示すように、親機501と子機502とに分離し、上記実施の形態と同様に構成すれば、既述の通信制御機能を実現することができる。図22において、上記実施の形態と同一部分には同一符号を付し、その説明を省略する。この例では、子機502に表示部504が備えられ、親機501側には送受器506が備えられている。
【0141】
(8) 上記実施の形態では、無線接続を近距離通信接続としてBluetooth 通信を利用しているが、無線接続は、Bluetooth 通信接続に限定されない。他の通信規格や無線媒体を利用してもよい。
【0142】
(9) 上記実施の形態では、ユーザ操作が無い場合に所定時間経過後、無線接続を切断しているが(図3)、これに限定されない。例えば、通信制御部8は、状態検出部4の通話イベントの終了検知から所定時間が経過するまで、親機201の直接通信部(通信制御部8、Bluetooth 通信部82)と子機202の直接通信部(通信制御部10、Bluetooth 通信部110)との接続を継続させる。即ち、通話イベントの終了検知から所定時間の経過後、親機201の直接通信部と子機202の直接通信部との接続を切断してもよい。
【0143】
以上説明したように、通信端末装置、通信制御方法又は通信制御プログラムの実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0144】
本開示の通信端末装置、通信制御方法又は通信制御プログラムは、近距離通信により無線接続される親機と子機に分離され、接合状態にある親機又は子機に対するユーザ操作を検出することにより、親子機の分離を予測する。この予測に基づき、無線接続を開始し、利便性を高めることができ、有用である。
【符号の説明】
【0145】
2 通信端末装置
4 状態検出部
6 操作検出部
8、10 通信制御部
20 セパレート型携帯電話機
21、201 親機
22、202 子機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親機と子機とに分離され、分離状態にある前記親機と前記子機とが直接通信により無線接続される通信端末装置であって、
前記通信端末装置における電話の着信、電話の発信、または通話中を示す通話イベントを検出する検出部と、
前記親機と前記子機とが接合状態で、かつ前記検出部において前記通話イベントが検出された場合に、前記親機の直接通信部と前記子機の直接通信部との接続を開始する通信制御部と、
を備えることを特徴とする通信端末装置。
【請求項2】
前記親機と前記子機との分離状態を検出する分離検出部を備え、
前記通信制御部は、前記親機の直接通信部と前記子機の直接通信部との接続を開始後に、前記分離検出部において分離状態が検出された場合に、前記直接通信部を介した通信を開始することを特徴とする、請求項1に記載の通信端末装置。
【請求項3】
前記通信制御部は、前記親機と前記子機とが分離状態から接合状態に移行したことを検出した場合、その移行時点から所定時間が経過するまで、前記親機の直接通信部と前記子機の直接通信部との接続を継続させ、前記所定時間の経過後、前記親機の直接通信部と前記子機の直接通信部との接続を切断することを特徴とする、請求項1に記載の通信端末装置。
【請求項4】
前記通信制御部は、前記検出部の前記通話イベントの終了検知から所定時間が経過するまで、前記親機の直接通信部と前記子機の直接通信部との接続を継続させ、前記所定時間の経過後、前記親機の直接通信部と前記子機の直接通信部との接続を切断することを特徴とする、請求項1に記載の通信端末装置。
【請求項5】
前記親機は無線基地局との通信機能を制御する外部通信制御部を有し、
前記子機はユーザからの操作を受付けるユーザインターフェイス部を有することを特徴とする請求項1に記載の通信端末装置。
【請求項6】
親機と子機とに分離され、分離状態にある前記親機と前記子機とが直接通信により無線接続される通信端末装置によって実行される通信制御方法であって、
前記通信端末装置における電話の着信、電話の発信、又は通話中を示す通話イベントを検出するステップと、
前記親機と前記子機とが接合状態で、かつ前記検出部において前記通話イベントが検出された場合に、前記親機の直接通信部と前記子機の直接通信部との接続を開始するステップと、
を含むことを特徴とする通信制御方法。
【請求項7】
親機と子機とに分離され、分離状態にある前記親機と前記子機とが直接通信により無線接続される通信端末装置に実行させる通信制御プログラムであって、
前記通信端末装置における電話の着信、電話の発信、又は通話中を示す通話イベントを検出する機能と、
前記親機と前記子機とが接合状態で、かつ前記検出部において前記通話イベントが検出された場合に、前記親機の直接通信部と前記子機の直接通信部との接続を開始する機能と、
を前記通信端末装置に実行させることを特徴とする通信制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−101124(P2011−101124A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−253513(P2009−253513)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】