説明

通信端末装置及び受信方法

【課題】GPS衛星を用いた測位演算により取得した測位情報に応じて間欠受信動作させることにより、一定の測位性能を保ちつつ、測位動作に要する消費電力を低減すること。
【解決手段】RF信号受信回路202は、電力制御部209から間欠的に電力の供給を受けて、受信信号の周波数変換処理を間欠的に行う。BB信号復調処理部203は、電力制御部209から間欠的に電力の供給を受けて、受信信号の復調処理を間欠的に行う。SNR算出部205は、GPS衛星毎のSNRを算出する。衛星数測定部206は、同期確立が成功したGPS衛星の拡散符号の数を捕捉したGPS衛星の数mとする。間欠DUTY決定部208は、捕捉したm個のGPS衛星の中でSNRが良好なものから順に数えてn番目のGPS衛星のSNRに基づいて間欠受信の動作を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信端末装置及び間欠受信方法に関し、特にGPS衛星等の衛星を用いて衛星航法により測位する際に、回路動作を制御して消費電力を低減する通信端末装置及び受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
GPS受信機を搭載した携帯電話等の通信端末装置において、現在地確認等の1回のみの測位(acquisition測位)を実行する場合には、消費電力は特段問題にならない。しかしながら、ナビゲーション動作等の頻繁に測位(tracking測位、acquisition測位繰り返し等)の実施が必要な場合においては、常に大きな電流が回路に流れるため、消費電力が大きくなり、通信端末装置の待ち受け時間が短くなる等の影響が現れる。
【0003】
このような頻繁に測位の実施が必要な通信端末装置では、従来、待ち受け時において、受信信号レベルを示すRSSIが所定値以上の場合に、RF回路の電流を低減して、消費電流を低減するものが知られている(例えば、特許文献1)。また、従来、受信二値化部を間欠動作させることで、消費電力の低減を図るGPS受信装置が知られている(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】特開平5−22210号公報
【特許文献2】特開平8−146114号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献2における受信二値化部の間欠受信動作の制御に、特許文献1に記載されるRSSI等の信号強度を示す受信品質を用いた場合に、精度良くGPS衛星信号の受信品質を測定できない際には、間欠受信動作を最適に制御できないという問題がある。また、これに伴って、測位性能が劣化するとともに、最悪の場合には測位不能になるという問題がある。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、衛星航法による測位演算により取得した測位情報に応じて測位動作を制御することにより、一定の測位性能を保ちつつ、測位動作に要する消費電力を低減することができる通信端末装置及び受信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の通信端末装置は、消費電力の異なる少なくとも2つの測位動作モードにて衛星航法に用いる衛星信号を受信する衛星信号受信手段と、受信した前記衛星信号の受信品質を算出する受信品質算出手段と、捕捉した衛星の数及び前記受信品質に基づいて、前記衛星信号受信手段の前記測位動作モードを制御する測位動作制御手段と、を具備する構成を採る。
【0007】
また、本発明の通信端末装置は、消費電力の異なる少なくとも2つの測位動作モードにて衛星航法に用いる衛星信号を受信する衛星信号受信手段と、受信した前記衛星信号を送信した衛星の配置の情報である配置情報を取得する衛星配置情報取得手段と、取得した前記配置情報に基づいて、前記衛星信号受信手段の前記測位動作モードを制御する測位動作制御手段と、を具備する構成を採る。
【0008】
本発明の受信方法は、衛星航法に用いる衛星信号を間欠受信するステップと、受信した前記衛星信号の受信品質を算出するステップと、受信したm(mは1より大きい整数)個の衛星の中で前記受信品質が良好なものから順に数えてn(nは1より大きくて且つm以下の整数)番目の衛星の前記受信品質に基づいて前記間欠受信の動作を制御するステップと、を具備するようにした。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、衛星航法による測位演算により取得した測位情報に応じて測位動作を制御することにより、一定の測位性能を保ちつつ、測位動作に要する消費電力を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。本発明の実施の形態においては、衛星としてGPS衛星を用いる場合を例に説明する。なお、衛星は、GPS衛星に限らず、任意の測位用の衛星を用いることができる。
【0011】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る通信システム100を示す図である。
【0012】
図1より、通信システム100は、基地局101と、基地局101と通信を行う通信端末装置102と、測位に用いるGPS信号を通信端末装置102に送信する複数のGPS衛星103a〜103dから主に構成される。
【0013】
次に、本実施の形態における通信端末装置102の構成について、図2を用いて説明する。図2は、通信端末装置102の構成を示すブロック図である。
【0014】
GPS信号受信部250は、RF信号受信回路202及びBB信号復調処理部203を含む。また、衛星情報取得部260は、SNR算出部205及び衛星数測定部206を含む。また、間欠受信動作制御部270は、間欠DUTY決定部208及び電力制御部209を含む。
【0015】
アンテナ201は、GPS衛星から送信された信号を受信してRF信号受信回路202へ出力する。
【0016】
RF信号受信回路202は、電力制御部209から間欠的に電力の供給を受けて、アンテナ201から入力した受信信号を高周波数からベースバンド(以下「BB」と記載する)周波数に周波数変換する周波数変換処理を間欠的に行う。即ち、RF信号受信回路202は、電力制御部209から電力の供給を受けた際に起動して、受信信号を高周波数からBB周波数に周波数変換する周波数変換処理を行い、電力制御部209から電力の供給を受けない場合には受信信号を高周波数からBB周波数に周波数変換する周波数変換処理を停止する。また、RF信号受信回路202は、電力制御部209から間欠的に電力の供給を受けて、受信信号の増幅及び自動利得制御(AGC)を間欠的に行う。そして、RF信号受信回路202は、周波数変換、増幅及び自動利得制御した受信信号をBB信号復調処理部203へ出力する。
【0017】
BB信号復調処理部203は、電力制御部209から間欠的に電力の供給を受けて、RF信号受信回路202から入力した受信信号の復調処理を間欠的に行う。具体的には、BB信号復調処理部203は、各GPS衛星に固有の拡散符号のレプリカを生成し、RF信号受信回路202から入力した受信信号に対して、生成した拡散符号のレプリカを乗算して積分する復調処理を行い、各GPS衛星の拡散符号を含む復調情報を測位演算部204へ出力する。
【0018】
測位演算部204は、BB信号復調処理部203から入力した各GPS衛星の復調情報とGPS制御部207から入力したアシスト情報に基づいて、GPS衛星と通信端末装置102間の距離を算出して測位演算を行うことにより自局の位置情報を取得する。そして、測位演算部204は、取得した位置情報をGPS制御部207へ出力する。また、測位演算部204は、各GPS衛星の復調情報をSNR算出部205へ出力するとともに、SNR算出部205から取得したGPS衛星毎のSNRを用いて同期確立の判定を行う。ここで、アシスト情報とは、GPS衛星の軌道情報等の情報であり、測位演算の演算時間を短縮するために用いられるものである。
【0019】
SNR算出部205は、測位演算部204から入力した復調情報よりGPS衛星毎のSNRを算出する。そして、SNR算出部205は、SNRの算出結果を測位演算部204及び間欠DUTY決定部208へ出力する。
【0020】
衛星数測定部206は、同期確立が成功したGPS衛星の拡散符号を測位演算部204から取得して、取得した拡散符号の数を捕捉したGPS衛星の数m(mは1より大きい整数)として間欠DUTY決定部208へ出力する。
【0021】
GPS制御部207は、アプリケーション制御部210からアシスト情報を取得して測位演算部204へ出力する。また、GPS制御部207は、測位演算部204から位置情報を取得してアプリケーション制御部210へ出力する。また、GPS制御部207は、アプリケーション制御部210から間欠受信動作の制御の指示信号が入力した際に、間欠DUTY決定部208に対して、デューティ比を設定することを指示する。
【0022】
間欠DUTY決定部208は、GPS制御部207からの間欠受信動作の制御の指示に従って、衛星数測定部206から入力した捕捉したGPS衛星m個の中で、SNR算出部205から入力したGPS衛星毎のSNRが大きいものから順に数えてn番目のGPS衛星のSNRに基づいて、GPS信号受信部250における間欠受信の動作を制御する。ここで、nは、1より大きくて且つm以下の整数である。即ち、間欠DUTY決定部208は、電力制御部209がRF信号受信回路202及びBB信号復調処理部203に供給する電力の供給タイミングを制御することにより、GPS信号受信部250における間欠受信の動作を制御する。ここで、制御するとは、SNRが大きいものから順に数えてn番目のGPS衛星のSNRが一定レベル以上になるように、デューティ比を調整することを意味する。例えば、間欠DUTY決定部208は、間欠受信の動作において、捕捉したm個のGPS衛星の各SNRの内、SNRが大きいものから数えてn番目のSNRがしきい値以上の場合にはデューティ比を50%にして、SNRが大きいものから数えてn番目のSNRがしきい値未満の場合にはデューティ比を100%にする。ここで、デューティ比とはGPS信号受信部250が動作している時間の割合を表し、デューティ比が大きいほど、GPS信号受信部250の動作時間が長くなる。一般に、GPS衛星の信号の受信品質が劣化している場合には、積分時間を長くする。即ちデューティ比を大きくすることにより、SNRが改善する一方で、消費電流は増大する。なお、間欠受信方法については後述する。
【0023】
電力制御部209は、間欠DUTY決定部208の制御に従ったタイミングで、RF信号受信回路202及びBB信号復調処理部203に対する、電力の供給のオンとオフを繰り返す。これにより、GPS信号受信部250は間欠受信を行う。
【0024】
アプリケーション制御部210は、外部からのキー入力の受け付け、GPS制御部207から入力した位置情報の表示処理、セルラ通信部211から入力したアシスト情報のGPS制御部207への出力処理、音声による通信処理及び画像による通信処理等を行う。また、アプリケーション制御部210は、間欠受信動作のデューティ比の設定の指示を外部から受けた際に、間欠受信動作の制御を指示する指示信号をGPS制御部207へ出力する。
【0025】
セルラ通信部211は、アプリケーション制御部210から入力した音声データまたは画像データ等を含む送信信号を符号化及び変調処理し、変調処理後の送信信号をBB信号から高周波信号に周波数変換してアンテナ212へ出力する。また、セルラ通信部211は、アンテナ212から入力した受信信号を高周波信号からBB信号に周波数変換し、周波数変換後の受信信号を復調及び復号処理してアプリケーション制御部210へ出力する。また、セルラ通信部211は、受信信号からアシスト情報を抽出してアプリケーション制御部210へ出力する。
【0026】
アンテナ212は、セルラ通信部211から入力した送信信号を送信する。また、アンテナ212は、図示しない基地局から送信されたアシスト情報を含む信号を受信してセルラ通信部211へ出力する。
【0027】
次に、通信端末装置102における間欠受信方法について、図3を用いて説明する。図3は、間欠受信方法を示すフロー図である。
【0028】
最初に、通信端末装置102は、初期設定を行う(ステップST301)。
【0029】
次に、間欠DUTY決定部208は、初期設定により設定されるデューティ比で測位するようにGPS信号受信部250を制御し、GPS信号受信部250は、電力制御部209から所定のタイミングで電力の供給を受けることにより、間欠DUTY決定部208が設定したDUTY比でGPS衛星の信号を受信する。そして、測位演算部204は、間欠DUTY決定部208が設定したDUTY比で測位演算を行う(ステップST302)。
【0030】
次に、SNR算出部205は、受信品質を示すSNRを算出する(ステップST303)。
【0031】
次に、衛星数測定部206は、通信端末装置102が捕捉したGPS衛星の数を求める。
【0032】
次に、間欠DUTY決定部208は、捕捉したGPS衛星毎のSNRの内で、SNRが大きいものから数えて3番目又は4番目、即ち捕捉したGPS衛星の内で3番目又は4番目に受信品質の良いGPS衛星を求める(ステップST304)。
【0033】
次に、間欠DUTY決定部208は、求めた3番目又は4番目に受信品質の良いGPS衛星のSNRをSNR算出部205から取得する(ステップST305)。
【0034】
次に、間欠DUTY決定部208は、ステップST305で取得した3番目又は4番目に受信品質の良いGPS衛星のSNRに基づいて、GPS信号受信部250における間欠受信中のデューティ比を決定する(ステップST306)。
【0035】
次に、間欠DUTY決定部208は、決定したデューティ比を設定する(ステップST307)。例えば、間欠DUTY決定部208は、ステップST301の初期設定で設定したデューティ比に対して50%のデューティ比を設定する。
【0036】
図4は、本実施の形態における間欠受信動作を示す図であり、連続測位動作(tracking測位)を行う場合を示すものである。ここで、連続測位動作とは、1回測位(acquisition測位)を行った後に、測位動作を中断せずに、測位演算を継続して繰り返す動作を示す。図4(a)は、GPS衛星による測位期間T1を示すものであり、図4(b)は、従来の間欠受信動作を示すものであり、図4(c)は、本実施の形態の間欠受信動作を示すものである。
【0037】
図4(a)より、GPS測位期間T1は、信号捕捉期間T11と連続測位期間T12からなる。信号捕捉期間T11では、GPS衛星の捕捉処理を行い、捕捉して同期確立した衛星信号の復調情報から測位演算を実行して自機の位置を特定する。連続測位期間T12では、信号捕捉期間T11で同期確立した衛星信号の復調処理を継続して実行し、測位演算を繰り返し行う。
【0038】
従来では、連続測位期間T12のデューティ比は常に100%であるのに対して、本実施の形態では、GPS衛星の受信品質が良い条件において連続測位期間T12のデューティ比は50%である。本実施の形態では、従来に比べてデューティ比を小さくすることにより、従来よりも消費電力を低減することができる。
【0039】
図3に戻って、次に、通信端末装置102は、測位演算の終了を検出したか否かを判定する(ステップST308)。例えば、通信端末装置102は、アプリケーション制御部210からの測位演算の終了を指示するキー入力により測位演算の終了を検出する。
【0040】
測位演算の終了を検出しない場合(ステップST308でNOの場合)には、通信端末装置102は、ステップST302〜ステップST308の処理を繰り返す。
【0041】
一方、測位演算の終了を検出した場合(ステップST308でYESの場合)には、通信端末装置102は、測位演算を終了する。
【0042】
図5は、本実施の形態における他の間欠受信動作を示す図であり、間欠測位動作(acquisition測位の繰り返し)の場合を示すものである。ここで、間欠測位動作とは、1回測位(acquisition測位)を、時間間隔をおいて繰り返し実行する動作を示す。図5(a)は、従来のGPS衛星の信号の受信品質が良好な場合の間欠受信動作を示すものであり、図5(b)は、従来のGPS衛星の信号の受信品質が劣化した場合の間欠受信動作を示すものであり、図5(c)は、本実施の形態の他の間欠受信動作を示すものである。また、図5において、GPS測位期間T1は、信号捕捉期間T11のみからなる。
【0043】
図5(a)及び図5(b)に示すように、GPS衛星の信号の受信品質が良好な場合とGPS衛星の信号の受信品質が劣化した場合の双方において、GPS測位期間T1は30sec毎に設定される。しかし、GPS衛星の信号の受信品質が劣化した場合には、GPS衛星の捕捉に時間を要するため、信号捕捉期間T11は、図5(a)に比べて図5(b)の方が長くなる。
【0044】
一方、図5(c)に示すように、本実施の形態においては、GPS衛星の信号の受信品質が良好な場合に、信号捕捉期間T11において、デューティ比を図5(a)の50%にする。図4(c)と図5(c)の双方において、本実施の形態では、従来に比べてデューティ比を小さくすることにより、従来よりも消費電力を低減することができる。図5(c)においては、受信品質が良好な場合に、受信品質の劣化による信号捕捉期間T11の劣化(増加)が小さい特性を利用している。例えば、デューティ比を50%にした場合に、受信品質の劣化により信号捕捉期間T11が1.5倍になったとすると、GPS信号受信部250のトータルの動作期間は、従来に比べ1.5×0.5=0.75倍となり、結果として消費電力は低減される。
【0045】
因みに、GPS衛星を用いた測位演算の精度劣化の要因として、以下の2つがある。即ち、1つ目として、各GPS衛星の受信品質(SNR)の劣化による各GPS衛星と受信機間との距離の誤差が増大することにより精度が劣化する。この際、SNRが低いGPS衛星ほど、SNRの劣化による距離誤差が大きい傾向にある。また、2つ目として、可視GPS衛星の衛星配置の悪化により測定精度が劣化する。この際、観測地点を中心とした単位球を想定し、想定した単位球の球面上に現実のGPS衛星が見える方向に合わせてGPS衛星を置き直して、4個のGPS衛星を互いに結んでできる四面体の体積が大きいほど測定精度が良い。また、GPS衛星の数が少ないほど、測位に用いるGPS衛星の組合せが減り、GPS衛星の配置による測位精度が劣化する。また、GPS衛星を用いて位置を算出するために、基本的には4つのGPS衛星の信号を取得する必要がある。なぜなら、未知数が、位置x、位置y、位置z、及び時間tの4つであるためである。なお、例外として、例えば高さを固定した場合等は3つのGPS衛星を用いて測位可能である。
【0046】
上記の特徴を踏まえると、SNRの最も良いGPS衛星もしくは全てのGPS衛星のSNR平均を検出して、SNR平均が所定値以上になるよう制御した場合、SNRの低いGPS衛星の距離誤差による劣化、またはSNRの低いGPS衛星が捕捉できなくなり、可視衛星の減少による精度劣化(最悪の場合測位不能)といった課題が発生する。従って、n番目に受信品質の良いGPS衛星の受信品質に応じて間欠受信動作を制御することにより、上記の課題を解決することができる。
【0047】
このように、本実施の形態によれば、GPS衛星を用いた測位演算により取得した測位情報に応じて間欠受信動作させることにより、一定の測位性能を保ちつつ、測位動作に要する消費電力を低減することができる。また、本実施の形態によれば、信号捕捉期間及び連続測位期間の双方のデューティ比を制御する場合には、連続測位期間のデューティ比のみを制御する場合に比べて、さらに消費電力を低減することができる。
【0048】
なお、本実施の形態において、3番目又は4番目に受信品質が良好なGPS衛星の受信品質に基づいて間欠受信動作を制御したが、本発明はこれに限らず、5番目等の任意の番目に受信品質が良好なGPS衛星の受信品質に基づいて間欠受信動作を制御することができる。また、本実施の形態において、GPS信号受信部に供給する電力のオンとオフを繰り返すことにより間欠受信動作を制御したが、本発明はこれに限らず、GPS信号受信部に供給する電力レベルを高レベルと低レベルに切り替えることにより、間欠受信動作を制御するようにしても良い。また、本実施の形態において、間欠受信の際に、RF信号受信回路とBB信号復調処理部の双方に対して、電力の供給のオンとオフを切り替えたが、本発明はこれに限らず、RF信号受信回路とBB信号復調処理部の何れか一方に対して、または交互に電力の供給のオンとオフを切り替えても良い。また、RF信号受信回路内またはBB信号復調処理部内の一部の回路に対して、電力の供給のオンとオフを切り替えても良い。
【0049】
(実施の形態2)
図6は、本発明の実施の形態2に係る通信端末装置における間欠測位(acquisition測位繰り返し)の方法を示すフロー図である。なお、本実施の形態において、通信システムの構成は図1と同一構成であるとともに、通信端末装置の構成は図2と同一構成であるので、その説明を省略するとともに、図6の説明においては、図2に記載の通信端末装置102の参照符号を用いて説明する。
【0050】
最初に、通信端末装置102は、初期設定を行う(ステップST601)。
【0051】
次に、測位演算部204は、測位演算を行う(ステップST602)。
【0052】
次に、SNR算出部205は、受信品質を示すSNRを算出する(ステップST603)。
【0053】
次に、衛星数測定部206は、通信端末装置102が捕捉したGPS衛星の数を求める。
【0054】
次に、間欠DUTY決定部208は、捕捉したm個のGPS衛星毎のSNRの内で、SNRが大きいものから数えて3番目又は4番目のSNRのGPS衛星、即ち捕捉したGPS衛星の内で3番目又は4番目に受信品質の良いGPS衛星を求める(ステップST604)。
【0055】
次に、間欠DUTY決定部208は、求めた3番目又は4番目に受信品質の良いGPS衛星のSNRをSNR算出部205から取得する(ステップST605)。
【0056】
次に、間欠DUTY決定部208は、ステップST605で取得した3番目又は4番目に受信品質の良いGPS衛星のSNRに基づいて、間欠測位の周期(測位間隔)を決定する(ステップST606)。例えば、間欠DUTY決定部208は、間欠測位の動作において、捕捉したm個のGPS衛星の各SNRの内、SNRが大きいものから数えてn番目のSNRがしきい値以上の場合には、SNRが大きいものから数えてn番目のSNRがしきい値未満の場合に比べて、間欠測位の測位間隔を2倍にする。この場合、間欠DUTY決定部208は、ステップST601の初期設定で設定した測位間隔30secを測位間隔60secに設定する。
【0057】
図7は、本実施の形態における間欠測位動作を示す図である。図7(a)は、従来のGPS衛星の信号の受信品質が良好な場合の間欠測位動作を示すものであり、図7(b)は、従来のGPS衛星の信号の受信品質が劣化した場合の間欠測位動作を示すものであり、図7(c)は、本実施の形態の間欠測位動作を示すものである。また、図7において、GPS測位期間T1は、信号捕捉期間T11のみからなる。
【0058】
GPS衛星の信号の受信品質が良好な場合に、従来では、図7(a)に示すように、GPS測位期間T1の測位間隔T20は、30secであるのに対して、本実施の形態では、図7(c)に示すように、GPS測位期間T1の測位間隔T20は60secである。このように、GPS衛星の信号の受信品質が良好な場合、従来では、図7(a)に示すように、測位間隔T20を30secに設定した際には、測位結果の取得周期T30が短くなるので、測位演算部204は、過剰に測位演算を行うことになる。これに対して、本実施の形態では、図7(c)に示すように、測位間隔T20を60secに設定することにより、測位結果の取得周期T30が、図7(a)に比べて長くなり、測位演算部204による過剰な測位演算を抑制することができる。
【0059】
図6に戻って、次に、間欠DUTY決定部208は、決定した測位間隔が経過したか否かを判定する(ステップST607)。
【0060】
決定した測位間隔が経過していない場合(ステップST607でNOの場合)には、間欠DUTY決定部208は、ステップST607の処理を繰り返す。
【0061】
一方、決定した測位間隔が経過した場合(ステップST607でYESの場合)には、通信端末装置102は、測位演算の終了を検出したか否かを判定する(ステップST608)。例えば、通信端末装置102は、アプリケーション制御部210からの測位演算の終了を指示するキー入力により測位演算の終了を検出する。
【0062】
測位演算の終了を検出しない場合(ステップST608でNOの場合)には、通信端末装置102は、ステップST602〜ステップST608の処理を繰り返す。
【0063】
一方、測位演算の終了を検出した場合(ステップST608でYESの場合)には、通信端末装置102は、測位演算を終了する。
【0064】
このように、本実施の形態によれば、GPS衛星を用いた測位演算により取得した測位情報に応じて間欠測位動作させることにより、一定の測位性能を保ちつつ、測位動作に要する消費電力を低減することができる。
【0065】
なお、本実施の形態において、3番目又は4番目に受信品質が良好なGPS衛星の受信品質に基づいて間欠測位動作を制御したが、本発明はこれに限らず、5番目等の任意の番目に受信品質が良好なGPS衛星の受信品質に基づいて間欠測位動作を制御することができる。また、本実施の形態において、GPS信号受信部に供給する電力のオンとオフを繰り返すことにより間欠測位動作を制御したが、本発明はこれに限らず、GPS信号受信部に供給する電力レベルを高レベルと低レベルに切り替えることにより、間欠測位動作を制御するようにしても良い。また、本実施の形態を上記の実施の形態1に適用しても良い。即ち、間欠測位の周期と合わせて、デューティ比を調整しても良い。また、本実施の形態において、間欠受信の際に、RF信号受信回路とBB信号復調処理部の双方に対して、電力の供給のオンとオフを切り替えたが、本発明はこれに限らず、RF信号受信回路とBB信号復調処理部の何れか一方に対して、または交互に電力の供給のオンとオフを切り替えても良い。また、RF信号受信回路内またはBB信号復調処理部内の一部の回路に対して、電力の供給のオンとオフを切り替えても良い。
【0066】
(実施の形態3)
図8は、本発明の実施の形態3に係る通信端末装置800の構成を示すブロック図である。
【0067】
図8に示す通信端末装置800は、図2に示す実施の形態1に係る通信端末装置102に対して、GDOP算出部801を追加し、間欠DUTY決定部208の代わりに間欠DUTY決定部802を有する。なお、図8において、図2と同一構成である部分には同一の符号を付してその説明を省略する。また、本実施の形態における通信システムは、図1において、通信端末装置102の代わりに通信端末装置800を用いる以外は同一構成であるので、その説明を省略する。
【0068】
衛星情報取得部810は、SNR算出部205、衛星数測定部206及びGDOP算出部801を含む。また、間欠受信動作制御部820は、間欠DUTY決定部802及び電力制御部209を含む。
【0069】
測位演算部204は、BB信号復調処理部203から入力した各GPS衛星の復調情報とGPS制御部207から入力したアシスト情報に基づいて、GPS衛星と通信端末装置800間の距離を算出して測位演算を行うことにより自局の位置情報を取得する。そして、測位演算部204は、取得した位置情報をGPS制御部207へ出力する。また、測位演算部204は、各GPS衛星の復調情報をSNR算出部205へ出力するとともに、SNR算出部205から取得したGPS衛星毎のSNRを用いて同期確立の判定を行う。また、測位演算部204は、測位演算の演算結果をGDOP算出部801へ出力する。
【0070】
GDOP算出部801は、測位演算部204から入力した演算結果よりGDOP(Geometrical Dilution of Precision;幾何学的精度低下率)を求める。そして、GDOP算出部801は、求めたGDOPをGPS衛星の配置の情報である配置情報として間欠DUTY決定部802へ出力する。ここで、GPS衛星を用いた測位において、観測地点を中心とした単位球を想定し、想定した単位球の球面状に現実のGPS衛星が見える方向に合わせてGPS衛星を配置し直して、4個のGPS衛星を互いに結ぶことにより形成する四面体の体積が大きいほど、測定精度が良い(誤差が小さい)。GDOPとは、このGPS衛星の配置による測定精度に与える影響を示す目安であり、GDOPが小さいほど(上記の四面体の体積が大きいほど)測定精度が良いことを示す。
【0071】
GPS制御部207は、アプリケーション制御部210からアシスト情報を取得して測位演算部204へ出力する。また、GPS制御部207は、測位演算部204から位置情報を取得してアプリケーション制御部210へ出力する。また、GPS制御部207は、アプリケーション制御部210から指示信号が入力した際に、間欠DUTY決定部802に対して、デューティ比を設定することを指示する。
【0072】
間欠DUTY決定部802は、SNR算出部205から入力した捕捉した各GPS衛星のSNRを平均してSNR平均を求める。また、間欠DUTY決定部802は、GPS制御部207からのデューティ比の設定の指示に従って、求めたSNR平均、衛星数測定部206から入力したGPS衛星の数及びGDOP算出部801から入力したGDOPに基づいて、GPS信号受信部250における間欠受信の動作を制御する。即ち、間欠DUTY決定部802は、電力制御部209がRF信号受信回路202及びBB信号復調処理部203に供給する電力の供給タイミングを制御することにより、GPS信号受信部250における間欠受信の動作を制御する。なお、間欠受信方法については後述する。
【0073】
電力制御部209は、間欠DUTY決定部802の制御に従ったタイミングで、RF信号受信回路202及びBB信号復調処理部203に対する、電力の供給のオンとオフを繰り返す。これにより、GPS信号受信部250は間欠受信を行う。
【0074】
次に、通信端末装置800における間欠受信方法について、図9及び図10を用いて説明する。図9及び図10は、間欠受信方法を示すフロー図である。
【0075】
最初に、通信端末装置800は、初期設定を行う(ステップST901)。
【0076】
次に、間欠DUTY決定部802は、初期設定により設定されるデューティ比で測位するように制御し、GPS信号受信部250は、電力制御部209から所定のタイミングで電力の供給を受けることにより、間欠DUTY決定部802が設定したデューティ比でGPS衛星の信号を受信する。そして、測位演算部204は、間欠DUTY決定部802が設定したデューティ比で測位演算を行う(ステップST902)。
【0077】
次に、間欠DUTY決定部802は、SNR算出部205、衛星数測定部206及びGDOP算出部801から衛星情報を取得する(ステップST903)。ここで、衛星情報とは、SNR算出部205が算出するSNR、衛星数測定部206が取得するGPS衛星の数及びGDOP算出部801が算出するGDOPである。
【0078】
次に、間欠DUTY決定部802は、ステップST903で取得した衛星情報に基づいて、GPS信号受信部250における間欠受信動作のデューティ比を決定する(ステップST904)。
【0079】
次に、間欠DUTY決定部802は、決定したデューティ比を設定する(ステップST905)。なお、ステップST905の処理の詳細については後述する。
【0080】
次に、通信端末装置800は、測位演算の終了を検出したか否かを判定する(ステップST906)。例えば、通信端末装置800は、アプリケーション制御部210からの測位演算の終了を指示するキー入力により測位演算の終了を検出する。
【0081】
測位演算の終了を検出しない場合(ステップST906でNOの場合)には、通信端末装置800は、ステップST902〜ステップST906の処理を繰り返す。
【0082】
一方、測位演算の終了を検出した場合(ステップST906でYESの場合)には、通信端末装置800は、測位演算を終了する。
【0083】
次に、デューティ比の決定方法(ステップST904の処理)について、図10を用いて説明する。図10は、デューティ比の決定方法を示すフロー図である。
【0084】
図9のステップST903に続く処理として、間欠DUTY決定部802は、衛星情報のGPS衛星の数が所定数以上か否かを判定する(ステップST1001)。例えば、間欠DUTY決定部802は、GPS衛星の数としきい値とを比較することにより判定する。
【0085】
GPS衛星の数が所定数以上の場合(ステップST1001でYESの場合)には、間欠DUTY決定部802は、衛星情報のGDOPが所定値以下であるか否かを判定する(ステップST1002)。例えば、間欠DUTY決定部802は、GDOPとしきい値とを比較することにより判定する。
【0086】
GDOPが所定値以下である場合(ステップST1002でYESの場合)には、間欠DUTY決定部802は、衛星情報のSNRの平均値であるSNR平均が所定値以上であるか否かを判定する(ステップST1003)。例えば、間欠DUTY決定部802は、SNRとしきい値とを比較することにより判定する。
【0087】
SNR平均が所定値以上の場合(ステップST1003でYESの場合)には、間欠DUTY決定部802は、図4(c)に示すように、連続測位期間T12において、デューティ比を50%に設定する(ステップST1004)。
【0088】
一方、ステップST1001において、GPS衛星の数が所定数(例えば4)以上ではない場合(ステップST1001でNOの場合)には、図4(b)に示すように、連続測位期間T12において、デューティ比を100%に設定する(ステップST1005)。
【0089】
また、ステップST1002において、GDOPが所定値以下ではない場合(ステップST1002でNOの場合)には、間欠DUTY決定部802は、図4(b)に示すように、連続測位期間T12において、デューティ比を100%に設定する(ステップST1006)。
【0090】
ステップST1003において、SNR平均が所定値以上ではない場合(ステップST1003でNOの場合)には、間欠DUTY決定部802は、図4(b)に示すように、連続測位期間T12において、デューティ比を100%に設定する(ステップST1007)。
【0091】
そして、ステップST1004、ステップST1005、ステップST1006またはステップST1007に続いて、図9のステップST905以降の処理を行う。
【0092】
このように、本実施の形態によれば、GPS衛星を用いた測位演算により取得した測位情報に応じて間欠受信動作させることにより、一定の測位性能を保ちつつ、測位動作に要する消費電力を低減することができる。
【0093】
なお、本実施の形態において、図5に示すように、信号捕捉期間T11におけるデューティ比を設定しても良い。また、本実施の形態において、設定するデューティ比は100%と50%の二者択一にしたが、本発明はこれに限らず、ステップST1006で設定するデューティ比を80%にし、ステップST1007で設定するデューティ比を60%にする等により、3種類以上の任意のデューティ比を設定しても良い。また、本実施の形態において、衛星数、およびSNR平均値に基づいてデューティ比を制御したが、SNRが大きいものから順に数えてn番目のGPS衛星のSNRに基づいて制御するものとしても良い。また、衛星数、SNR平均値は用いず、GDOP値のみに基づいてデューティ比を制御するものとしても良い。さらに、本実施の形態において、図6及び図7に示すように、間欠測位動作における測位間隔を制御するものとしても良い。また、本実施の形態において、間欠受信の際に、RF信号受信回路とBB信号復調処理部の双方に対して、電力の供給のオンとオフを切り替えたが、本発明はこれに限らず、RF信号受信回路とBB信号復調処理部の何れか一方に対して、または交互に電力の供給のオンとオフを切り替えても良い。また、RF信号受信回路内またはBB信号復調処理部内の一部の回路に対して、電力の供給のオンとオフを切り替えても良い。
【0094】
(実施の形態4)
図11は、本発明の実施の形態4に係る通信端末装置1100の構成を示すブロック図である。
【0095】
図11に示す通信端末装置は、図2に示す実施の形態1に係る通信端末装置102に対して、間欠DUTY決定部208を除き、回路電流決定部1101を追加し、電力制御部209の代わりに電力制御部1102を有する。なお、図11において、図2と同一構成である部分には同一の符号を付してその説明を省略する。また、本実施の形態における通信システムは、図1において、通信端末装置102の代わりに通信端末装置1100を用いる以外は同一構成であるので、その説明を省略する。
【0096】
回路電流制御部1110は、回路電流決定部1101及び電力制御部1102を含む。
【0097】
RF信号受信回路202は、電力制御部1102から電力の供給を受けて、アンテナ201から入力した受信信号を高周波数からBB周波数に周波数変換する周波数変換処理を行う。また、RF信号受信回路202は、周波数変換処理の際に、受信信号の増幅及び自動利得制御(AGC)も行う。そして、RF信号受信回路202は、周波数変換した受信信号をBB信号復調処理部203へ出力する。
【0098】
BB信号復調処理部203は、電力制御部1102から電力の供給を受けて、RF信号受信回路202から入力した受信信号の復調処理を行う。BB信号復調処理部203において各GPS衛星に固有の拡散符号のレプリカを生成し、RF信号受信回路202から入力した受信信号に乗算して積分する復調処理を行い、各GPS衛星の復調情報を測位演算部204へ出力する。
【0099】
SNR算出部205は、測位演算部204から入力した受信信号よりGPS衛星毎のSNRを算出する。そして、SNR算出部205は、SNRの算出結果を測位演算部204及び回路電流決定部1101へ出力する。
【0100】
衛星数測定部206は、同期確立が成功したGPS衛星の拡散符号を測位演算部204から取得して、取得した拡散符号の数を捕捉したGPS衛星の数mとして回路電流決定部1101へ出力する。
【0101】
GPS制御部207は、アプリケーション制御部210からアシスト情報を取得して測位演算部204へ出力する。また、GPS制御部207は、測位演算部204から位置情報を取得してアプリケーション制御部210へ出力する。また、GPS制御部207は、アプリケーション制御部210から回路電流の制御の指示信号が入力した際に、回路電流決定部1101に対して、回路電流を設定することを指示する。
【0102】
回路電流決定部1101は、GPS制御部207からの回路電流の制御の指示に従って、衛星数測定部206から入力した捕捉したGPS衛星m(mは1より大きい整数)個の中で、SNR算出部205から入力したGPS衛星毎のSNRが大きいものから順に数えてn(nは1より大きくて且つm以下の整数)番目のGPS衛星のSNRに基づいて、電力制御部1102を制御する。ここで、制御するとは、SNRが大きいものから順に数えてn番目のGPS衛星のSNRが一定レベル以上になるように、回路電流の大きさを調整することを意味する。即ち、回路電流決定部1101は、電力制御部1102がRF信号受信回路202及びBB信号復調処理部203に供給する電力を制御することにより、GPS信号受信部250における回路電流の大きさを制御する。例えば、回路電流決定部1101は、受信動作において、捕捉したm個のGPS衛星の各SNRの内、SNRが大きいものから数えてn番目のSNRがしきい値以上の場合には回路電流を80%にして、SNRが大きいものから数えてn番目のSNRがしきい値未満の場合には回路電流を100%にする。ここで、一般的に回路電流を大きくすることでGPS信号受信部250の受信感度を向上することができ、SNRが改善する一方で、消費電流は増大する。
【0103】
電力制御部1102は、回路電流決定部1101の制御に従って、RF信号受信回路202及びBB信号復調処理部203に対する電力の供給を行う。即ち、電力制御部1102は、回路電流決定部1101の制御に従って、RF信号受信回路202またはBB信号復調処理部203の回路電流の大きさを調整する。
【0104】
次に、通信端末装置における受信動作について、図12を用いて説明する。図12は、受信方法を示すフロー図である。
【0105】
最初に、通信端末装置は、初期設定を行う(ステップST1201)。
【0106】
次に、回路電流決定部1101は、初期設定により設定される回路電流で測位するように制御し、GPS信号受信部250は、電力制御部1102から電力の供給を受けることにより、回路電流決定部1101が設定した大きさの回路電流でGPS衛星の信号を受信する。そして、測位演算部204は、受信した信号を基に測位演算を行う(ステップST1202)。
【0107】
次に、SNR算出部205は、受信品質を示すSNRを算出する(ステップST1203)。
【0108】
次に、衛星数測定部206は、通信端末装置102が捕捉したGPS衛星の数を求める。
【0109】
次に、回路電流決定部1101は、捕捉したGPS衛星毎のSNRの内で、SNRが大きいものから数えて3番目又は4番目、即ち捕捉したGPS衛星の内で3番目又は4番目に受信品質の良いGPS衛星を求める(ステップST1204)。
【0110】
次に、回路電流決定部1101は、求めた3番目又は4番目に受信品質の良いGPS衛星のSNRをSNR算出部205から取得する(ステップST1205)。
【0111】
次に、回路電流決定部1101は、ステップST1203で取得した3番目又は4番目に受信品質の良いGPS衛星のSNRに基づいて、GPS信号受信部250における受信動作時の回路電流の大きさを決定する(ステップST1206)。
【0112】
次に、回路電流決定部1101は、決定した大きさの回路電流を設定する(ステップST1207)。例えば、回路電流決定部1101は、ステップの初期設定で設定した回路電流に対して80%の回路電流を設定する。
【0113】
図13は、本実施の形態における受信動作を示す図であり、連続測位動作(tracking測位)の場合を示したものである。図13(a)は、GPS衛星による測位期間T1を示すものであり、図13(b)は、従来の受信動作における消費電力を示すものであり、図13(c)は、本実施の形態の受信動作における消費電力を示すものである。
【0114】
図13(a)より、GPS測位期間T1は、信号捕捉期間T11と連続測位期間T12からなる。信号捕捉期間T11では、GPS衛星の捕捉処理を行い、捕捉して同期確立した衛星信号の復調情報から測位演算を実行して位置を特定する。連続測位期間T12では、信号捕捉期間T11で同期確立した衛星信号の復調処理を継続して実行し、測位演算を繰り返し行う。
【0115】
従来では、連続測位期間T12の回路電流の大きさは100%であるのに対して、本実施の形態では、GPS衛星の受信品質が良い条件において連続測位期間T12の回路電流の大きさは80%である。本実施の形態では、従来に比べて回路電流を小さくすることにより、従来よりも消費電力を低減することができる。
【0116】
図12に戻って、次に、通信端末装置は、測位演算の終了を検出したか否かを判定する。例えば、通信端末装置は、アプリケーション制御部210からの測位演算の終了を指示するキー入力により測位演算の終了を検出する(ステップST1208)。
【0117】
測位演算の終了を検出しない場合(ステップST1208でNOの場合)には、通信端末装置は、ステップST1202〜ステップST1208の処理を繰り返す。
【0118】
一方、測位演算の終了を検出した場合(ステップST1208でYESの場合)には、通信端末装置は、測位演算を終了する。
【0119】
また、間欠測位動作(acquisition測位の繰り返し)に適用し、信号捕捉期間T11における回路電流を制御するものとしても良い。
【0120】
このように、本実施の形態によれば、GPS衛星を用いた測位演算により取得した測位情報に応じて受信動作時の回路電流を制御することにより、一定の測位性能を保ちつつ、測位動作に要する消費電力を低減することができる。また、本実施の形態によれば、信号捕捉期間及び連続測位期間の双方の回路電流を制御する場合には、連続測位期間の回路電流のみを制御する場合に比べて、さらに消費電力を低減することができる。
【0121】
なお、本実施の形態において、3番目又は4番目に受信品質が良好なGPS衛星の受信品質に基づいて受信動作時の回路電流を制御したが、本発明はこれに限らず、5番目等の任意の番目に受信品質が良好なGPS衛星の受信品質に基づいて受信動作時の回路電流を制御することができる。また、本実施の形態において、受信動作の際に、RF信号受信回路とBB信号復調処理部の双方に対して、回路電流の大きさを制御したが、本発明はこれに限らず、RF信号受信回路とBB信号復調処理部の何れか一方に対して、回路電流の大きさを制御しても良いし、RF信号受信回路内またはBB信号復調処理部内の一部の回路に対して、回路電流の大きさを制御しても良い。
【0122】
(実施の形態5)
図14は、本発明の実施の形態5に係る通信端末装置の構成を示すブロック図である。
【0123】
図14に示す通信端末装置は、図2に示す実施の形態1に係る通信端末装置に対して、間欠DUTY決定部208を除き、回路電流決定部1401及びGDOP算出部1403を追加し、電力制御部209の代わりに電力制御部1402を有する。なお、図14において、図2と同一構成である部分には同一の符号を付してその説明を省略する。また、本実施の形態における通信システムは、図1において、通信端末装置102の代わりに通信端末装置1400を用いる以外は同一構成であるので、その説明を省略する。
【0124】
回路電流制御部1410は、回路電流決定部1401及び電力制御部1402を含む。また、衛星情報取得部1411は、SNR算出部205、衛星数測定部206及びGDOP算出部1403を含む。
【0125】
測位演算部204は、BB信号復調処理部203から入力した各GPS衛星の復調情報とGPS制御部207から入力したアシスト情報に基づいて、GPS衛星と通信端末装置800間の距離を算出して測位演算を行うことにより自局の位置情報を取得する。そして、測位演算部204は、取得した位置情報をGPS制御部207へ出力する。また、測位演算部204は、各GPS衛星の復調情報をSNR算出部205へ出力するとともに、SNR算出部205から取得したGPS衛星毎のSNRを用いて同期確立の判定を行う。また、測位演算部204は、測位演算の演算結果をGDOP算出部1403へ出力する。
【0126】
GDOP算出部1403は、測位演算部204から入力した演算結果よりGDOPを求める。そして、GDOP算出部1403は、求めたGDOPを回路電流決定部1401へ出力する。
【0127】
GPS制御部207は、アプリケーション制御部210からアシスト情報を取得して測位演算部204へ出力する。また、GPS制御部207は、測位演算部204から位置情報を取得してアプリケーション制御部210へ出力する。また、GPS制御部207は、アプリケーション制御部210から指示信号が入力した際に、回路電流決定部1401に対して、回路電流を設定することを指示する。
【0128】
回路電流決定部1401は、SNR算出部205から入力した捕捉した各GPS衛星のSNRを平均してSNR平均を求める。また、回路電流決定部1401は、GPS制御部207からの回路電流の設定の指示に従って、求めたSNR平均、衛星数測定部206から入力したGPS衛星の数及びGDOP算出部1403から入力したGDOPに基づいて、電力制御部1402を制御する。即ち、回路電流決定部1401は、電力制御部1402がRF信号受信回路202及びBB信号復調処理部203に供給する電力を制御することにより、GPS信号受信部250における回路電流の大きさを制御する。
【0129】
電力制御部1402は、回路電流決定部1401の制御に従い、RF信号受信回路202及びBB信号復調処理部203に対して電力を供給する。即ち、電力制御部1402は、回路電流決定部1401の制御に従って、RF信号受信回路202またはBB信号復調処理部203の回路電流の大きさを調整する。
【0130】
次に、通信端末装置1400における受信方法について、図15及び図16を用いて説明する。図15及び図16は、受信方法を示すフロー図である。
【0131】
最初に、通信端末装置は、初期設定を行う(ステップST1501)。
【0132】
次に、回路電流決定部1401は、初期設定により設定される回路電流で測位するように制御し、GPS信号受信部250は、電力制御部1402から電力の供給を受けることにより、回路電流決定部1401が設定した大きさの回路電流でGPS衛星の信号を受信する。そして、測位演算部204は受信信号を基に測位演算を行う(ステップST1502)。
【0133】
次に、回路電流決定部1401は、SNR算出部205、衛星数測定部206及びGDOP算出部1403から衛星情報を取得する(ステップST1503)。ここで、衛星情報とは、SNR算出部205が算出するSNR、衛星数測定部206が取得するGPS衛星の数及びGDOP算出部1403が算出するGDOPである。
【0134】
次に、回路電流決定部1401は、ステップST1503で取得した衛星情報に基づいて、GPS信号受信部250における受信動作時の回路電流の大きさを決定する(ステップST1504)。
【0135】
次に、回路電流決定部1401は、決定した大きさの回路電流を設定する(ステップST1505)。なお、ステップST1504の処理の詳細については後述する。
【0136】
次に、通信端末装置1400は、測位演算の終了を検出したか否かを判定する(ステップST1506)。例えば、通信端末装置1400は、アプリケーション制御部210からの測位演算の終了を指示するキー入力により測位演算の終了を検出する。
【0137】
測位演算の終了を検出しない場合(ステップST1506でNOの場合)には、通信端末装置1400は、ステップST1502〜ステップST1506の処理を繰り返す。
【0138】
一方、測位演算の終了を検出した場合(ステップST1506でYESの場合)には、通信端末装置1400は、測位演算を終了する。
【0139】
次に、回路電流の決定方法(ステップST1504の処理)について、図16を用いて説明する。図16は、回路電流の決定方法を示すフロー図である。
【0140】
図15のステップST1503に続く処理として、回路電流決定部1401は、衛星情報のGPS衛星の数が所定数以上か否かを判定する(ステップST1601)。例えば、回路電流決定部1401は、GPS衛星の数としきい値とを比較することにより判定する。
【0141】
GPS衛星の数が所定数以上の場合(ステップST1601でYESの場合)には、回路電流決定部1401は、衛星情報のGDOPが所定値以下であるか否かを判定する(ステップST1602)。例えば、回路電流決定部1401は、GDOPとしきい値とを比較することにより判定する。
【0142】
GDOPが所定値以下である場合(ステップST1602でYESの場合)には、回路電流決定部1401は、衛星情報のSNRの平均値であるSNR平均が所定値以上であるか否かを判定する(ステップST1603)。例えば、回路電流決定部1401は、SNRとしきい値とを比較することにより判定する。
【0143】
SNR平均が所定値以上の場合(ステップST1603でYESの場合)には、回路電流決定部1401は、図13(c)に示すように、連続測位期間T12において、回路電流を80%に設定する(ステップST1604)。
【0144】
一方、ステップST1601において、GPS衛星の数が所定数(例えば4)以上ではない場合(ステップST1601でNOの場合)には、図13(b)に示すように、連続測位期間T12において、回路電流を100%に設定する(ステップST1605)。
【0145】
また、ステップST1602において、GDOPが所定値以下ではない場合(ステップST1602でNOの場合)には、回路電流決定部1401は、図13(b)に示すように、連続測位期間T12において、回路電流を100%に設定する(ステップST1606)。
【0146】
ステップST1603において、SNR平均が所定値以上ではない場合(ステップST1603でNOの場合)には、回路電流決定部1401は、図13(b)に示すように、連続測位期間T12において、回路電流を100%に設定する(ステップST1607)。
【0147】
そして、ステップST1604、ステップST1605、ステップST1606またはステップST1607に続いて、図15のステップST1505以降の処理を行う。
【0148】
このように、本実施の形態によれば、GPS衛星を用いた測位演算により取得した測位情報に応じて受信動作させることにより、一定の測位性能を保ちつつ、測位動作に要する消費電力を低減することができる。
【0149】
なお、本実施の形態において、図5に示すように、信号捕捉期間T11における回路電流を設定しても良い。また、本実施の形態において、設定する回路電流は100%と80%の二者択一にしたが、本発明はこれに限らず、ステップST1606及びステップST1607で設定する回路電流を90%にし、ステップST1604で設定する回路電流を85%にする等により、3種類以上の任意の回路電流を設定しても良い。また、本実施の形態において、衛星数、およびSNR平均値に基づいて回路電流を制御したが、SNRが大きいものから順に数えてn番目のGPS衛星のSNRに基づいて制御するものとしても良い。また、衛星数、SNR平均値は用いず、GDOP値のみに基づいて回路電流を制御するものとしても良い。また、本実施の形態において、受信動作の際に、RF信号受信回路とBB信号復調処理部の双方に対して、回路電流の大きさを制御したが、本発明はこれに限らず、RF信号受信回路とBB信号復調処理部の何れか一方に対して、回路電流の大きさを制御しても良いし、RF信号受信回路内またはBB信号復調処理部内の一部の回路に対して、回路電流の大きさを制御しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0150】
本発明にかかる通信端末装置及び受信方法は、特にGPS衛星等の衛星を用いて衛星航法により測位する際に、回路動作を制御して消費電力を低減するのに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0151】
【図1】本発明の実施の形態1に係る通信システムを示す図
【図2】本発明の実施の形態1に係る通信端末装置の構成を示すブロック図
【図3】本発明の実施の形態1に係る間欠受信方法を示すフロー図
【図4】本発明の実施の形態1に係る間欠受信動作を示す図
【図5】本発明の実施の形態1に係る他の間欠受信動作を示す図
【図6】本発明の実施の形態2に係る間欠測位方法を示すフロー図
【図7】本発明の実施の形態2に係る間欠測位動作を示す図
【図8】本発明の実施の形態3に係る通信端末装置の構成を示すブロック図
【図9】本発明の実施の形態3に係る間欠受信方法を示すフロー図
【図10】本発明の実施の形態3に係る間欠受信方法を示すフロー図
【図11】本発明の実施の形態4に係る通信端末装置の構成を示すブロック図
【図12】本発明の実施の形態4に係る受信方法を示すフロー図
【図13】本発明の実施の形態4に係る受信動作を示す図
【図14】本発明の実施の形態5に係る通信端末装置の構成を示すブロック図
【図15】本発明の実施の形態5に係る受信方法を示すフロー図
【図16】本発明の実施の形態5に係る受信方法を示すフロー図
【符号の説明】
【0152】
102、800、1100、1400 通信端末装置
201、212 アンテナ
202 RF信号受信回路
203 BB信号復調処理部
204 測位演算部
205 SNR算出部
206 衛星数測定部
207 GPS制御部
208 間欠DUTY決定部
209 電力制御部
210 アプリケーション制御部
211 セルラ通信部
250 GPS信号受信部
260 衛星情報取得部
270 間欠受信動作制御部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
消費電力の異なる少なくとも2つの測位動作モードにて衛星航法に用いる衛星信号を受信する衛星信号受信手段と、
受信した前記衛星信号の受信品質を算出する受信品質算出手段と、
捕捉した衛星の数及び前記受信品質に基づいて、前記衛星信号受信手段の前記測位動作モードを制御する測位動作制御手段と、
を具備する通信端末装置。
【請求項2】
前記衛星信号受信手段は、前記測位動作モードの1つとして、間欠受信動作する間欠受信動作モードを有し、
前記測位動作制御手段は、捕捉したm(mは1より大きい整数)個の衛星の中で前記受信品質が良好なものから順に数えてn(nは1より大きくて且つm以下の整数)番目の衛星の前記受信品質に基づいて前記衛星信号受信手段における前記間欠受信動作を制御する請求項1記載の通信端末装置。
【請求項3】
前記測位動作制御手段は、前記間欠受信動作中のデューティ比を制御する請求項2記載の通信端末装置。
【請求項4】
前記測位動作制御手段は、前記間欠受信の間隔を制御する請求項2または請求項3記載の通信端末装置。
【請求項5】
前記測位動作制御手段は、前記m個のGPS衛星として3または4個のGPS衛星を捕捉し、前記n番目のGPS衛星として3または4番目に前記受信品質が良好なGPS衛星の前記受信品質に基づいて前記衛星信号受信手段における前記間欠受信動作を制御する請求項2から請求項4のいずれかに記載の通信端末装置。
【請求項6】
消費電力の異なる少なくとも2つの測位動作モードにて衛星航法に用いる衛星信号を受信する衛星信号受信手段と、
受信した前記衛星信号を送信した衛星の配置の情報である配置情報を取得する衛星配置情報取得手段と、
取得した前記配置情報に基づいて、前記衛星信号受信手段の前記測位動作モードを制御する測位動作制御手段と、
を具備する通信端末装置。
【請求項7】
前記衛星信号受信手段は、前記測位動作モードの1つとして、前記衛星信号受信手段の回路電流を制御する消費電流制御モードを有し、
前記測位動作制御手段は、前記衛星信号受信手段における回路電流を制御する請求項1または請求項6記載の通信端末装置。
【請求項8】
前記測位動作制御手段は、前記衛星信号受信手段が前記衛星信号を受信したm(mは1より大きい整数)個の衛星の中で受信品質が良好なものから順に数えてn(nは1より大きくて且つm以下の整数)番目の衛星の受信品質に基づいて前記衛星信号受信手段における回路電流を制御する請求項7記載の通信端末装置。
【請求項9】
前記測位動作制御手段は、取得した前記配置情報に基づいて前記衛星信号受信手段における回路電流を制御する請求項7記載の通信端末装置。
【請求項10】
衛星航法に用いる衛星信号を間欠受信するステップと、
受信した前記衛星信号の受信品質を算出するステップと、
受信したm(mは1より大きい整数)個の衛星の中で前記受信品質が良好なものから順に数えてn(nは1より大きくて且つm以下の整数)番目の衛星の前記受信品質に基づいて前記間欠受信の動作を制御するステップと、
を具備する受信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−276198(P2009−276198A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−127404(P2008−127404)
【出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】