説明

通信端末装置

【課題】受話音声の音質を高めることができる通信端末装置を提供することにある。
【解決手段】複数の基地局のそれぞれと、複数のビットレートの中から選択したビットレートで情報を変換した音声信号の電波を送受信するアンテナ17a、および受信した受信音声信号を復調し、送信する送信音声信号を変調する変復調部を含む高周波送受信回路17と、高周波送受信回路17で復調された受信音声信号の補正を行う受信音声補正回路18と、自機の位置において最も電界強度が強い一の基地局から受信する受信音声信号のビットレートよりも一の基地局以外の他の基地局から受信する受信音声信号のビットレートが高い場合に、一の基地局から受信する受信音声信号を他の基地局から受信する受信音声信号を用いて補正するように、受信音声補正回路18を制御する制御回路22と、を備える

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の基地局と通信する機能を備える通信端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の基地局と通信する携帯電話機等の通信端末装置は、通信先の基地局との間で変調方式をそれぞれ定めている。関連する技術として、本出願人は、複数の基地局から1つを選択して、当該選択した基地局との間で音声通話に係る接続を確立する無線通信装置であって、第1の基地局から第2の基地局へ接続先を切り替える際に、音声パスを前記第1の基地局から前記第2の基地局へ切り替える制御部を備え、前記制御部は、前記第2の基地局との通信方式にBPSK方式が選択されている場合に、前記第2の基地局から呼制御の応答を受信する前に前記第1の基地局から無線チャネルの切断通知を受信したときには、前記音声パスを前記第1の基地局から前記第2の基地局へ切り替えず、前記第2の基地局から呼制御の応答を受信したときに、前記音声パスを前記第1の基地局から前記第2の基地局へ切り替えることを特徴とする無線通信装置を提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−177834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通信端末装置の通信先の基地局としては、自機の位置において電界強度が最も強い基地局が選択される。しかしながら、そのようにして選択された通信先の基地局との間の通信品質が低く、その結果として受話音声の品質が低くなる場合が起こり得る。
【0005】
本発明は、受話音声の音質を高めることができる通信端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る通信端末装置は、複数の基地局との間で並列に通信を行う通信端末装置であって、複数の基地局のそれぞれと、複数のビットレートの中から選択したビットレートで情報を変換した音声信号の電波を送受信するアンテナ、および受信した受信音声信号を復調し、送信する送信音声信号を変調する変復調部を含む送受信部と、前記送受信部で復調された受信音声信号の補正を行う受信音声補正部と、自機の位置において最も電界強度が強い一の基地局から受信する受信音声信号のビットレートよりも前記一の基地局以外の他の基地局から受信する受信音声信号のビットレートが高い場合に、前記一の基地局から受信する受信音声信号を前記他の基地局から受信する受信音声信号を用いて補正するように、前記受信音声補正部を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
ここで、前記制御部は、前記一の基地局から受信する受信音声信号のビットレートよりも前記他の基地局から受信する受信音声信号のビットレートが低い場合に、前記一の基地局から受信する受信音声信号を補正しないように前記受信音声補正部を制御することが好ましい。
【0008】
また、前記送受信部は、前記受信音声信号をQPSK又はBPSKで復調を行い、前記制御部は、前記一の基地局から受信する受信音声信号がBPSKで変調されており且つ前記他の基地局から受信する受信音声信号がQPSKで変調されている場合に、前記一の基地局から受信する受信音声信号を前記他の基地局から受信する受信音声信号を用いて補正するように、前記受信音声補正部を制御することが好ましい。
【0009】
また、前記送受信部は、TDMA−TDD方式を用いたスロットダイバーシティ通信で前記基地局と信号の送受信を行うことが好ましい。
【0010】
また、前記送受信部は、前記一の基地局との通信に第1のタイムスロットを割り当て、前記他の基地局との通信に第2のタイムスロットを割り当て、前記制御部は、前記第1及び第2のタイムスロットそれぞれの変復調方式を前記第1及び第2のタイムスロットそれぞれの通信品質に応じて設定することが好ましい。
【0011】
また、前記送受信部は、前記一の基地局との通信に第1のタイムスロットを割り当てて音声通信を行っており、かつ、第1のタイムスロットを用いた前記一の基地局との音声通信の通信品質が所定の通信品質以上の場合は、第2のタイムスロットをデータ通信に割り当てることとしても良い。
【0012】
また、前記送受信部は、ハンドオーバを実施する際に、データ通信に割り当てられた第2のタイムスロットを音声通信に割り当て、前記制御部は、第2のタイムスロットの変復調方式をBPSK方式に設定することとしても良い。
【発明の効果】
【0013】
本発明の通信端末装置は、受話音声の音質を高めることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の携帯電子機器の一実施形態の概略構成を示す正面図である。
【図2】図2は、図1に示す携帯電子機器の側面図である。
【図3】図3は、図1、図2に示す携帯電子機器の機能の概略構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、携帯電子機器の処理動作の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。以下においては、通信端末装置の一例としてPHS(Personal Handy-phone System)を取り上げるが、本発明の適用対象はPHSに限定されるものではなく、例えば、携帯電話機、スマートフォン等に対しても本発明は適用できる。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る通信端末装置の概略構成を示す正面図であり、図2は、図1に示す通信端末装置の側面図である。図1、図2に示す通信端末装置10は、無線通信機能を有するPHSである。通信端末装置10は、筺体10Cが複数の筐体で構成される。具体的には、筺体10Cは、第1筺体10CAと第2筺体10CBとで開閉可能に構成される。すなわち、通信端末装置10は、折り畳み式の筐体を有する。なお、通信端末装置10の筐体は、このような構造に限定されるものではない。例えば、通信端末装置10の筐体は、両方の筐体を重ね合わせた状態から一方の筐体と他方の筐体とを互いにスライドできるようにしたスライド式の筐体であっても良いし、重ね合わせ方向に沿う軸線を中心に、一方の筐体を回転させるようにした回転式や、2軸ヒンジを介して両方の筐体を連結したものでもよい。
【0017】
第1筺体10CAと第2筺体10CBとは、連結部であるヒンジ機構18で連結されている。ヒンジ機構18で第1筺体10CAと第2筺体10CBとを連結することにより、第1筺体10CA及び第2筺体10CBは、ヒンジ機構18を中心としてともに回動して、互いに遠ざかる方向及び互いに接近する方向(図2の矢印Rで示す方向)に回動できるように構成される。第1筺体10CAと第2筺体10CBとが互いに遠ざかる方向に回動すると通信端末装置10が開き、第1筺体10CAと第2筺体10CBとが互いに接近する方向に回動すると通信端末装置10が閉じて、折り畳まれた状態となる(図2の点線で示す状態)。
【0018】
第1筺体10CAには、表示部として、図1に示す表示部12が設けられる。表示部12は、通信端末装置10が受信を待機している状態のときに待ち受け画像を表示したり、通信端末装置10の操作を補助するために用いられるメニュー画像を表示したりする。また、第1筺体10CAには、通信端末装置10の通話時に音声を出力する出力手段であるレシーバ16が設けられる。
【0019】
第2筺体10CBには、通話相手の電話番号や、メール作成時等に文字を入力するための操作キー13Aが複数設けられ、また、表示部12に表示されるメニューの選択及び決定や画面のスクロール等を容易に実行するための方向キー及び決定キー(方向及び決定キー)13Bが設けられる。操作キー13A及び方向キー及び決定キー13Bは、通信端末装置10の操作部13を構成する。また、第2筺体10CBには、通信端末装置10の通話時に音声を受け取る音声取得手段であるマイク15が設けられる。操作部13は、図2に示す、第2筺体10CBの操作面10PCに設けられる。操作面10PCとは反対側の面が、通信端末装置10の背面10PBである。
【0020】
第2筺体10CBの内部には、アンテナ(後述する)が設けられている。アンテナは、無線通信に用いる送受信アンテナであり、通信端末装置10と基地局との間で通話や電子メール等に係る電波(電磁波)の送受信に用いられる。また、第2筺体10CBには、マイク15が設けられる。マイク15は、図2に示す、通信端末装置10の操作面10PC側に配置される。
【0021】
図3は、図1、図2に示す通信端末装置の機能の概略構成及び通信端末装置と基地局との間の通信の様子を示す図である。図3に示すように、通信端末装置10は、表示部12と、操作部13と、マイク15と、スピーカ16と、高周波送受信回路17と、アンテナ17aと、受信音声補正回路18と、D/A変換回路19と、A/D変換回路20と、制御回路22と、を有する。
【0022】
制御回路22は、通信端末装置10の全体的な動作を統括的に制御する機能を有する。すなわち、制御回路22は、通信端末装置10の各種の処理が、操作部13の操作や通信端末装置10の記憶部24に記憶されるソフトウェアに応じて適切な手順で実行されるように、表示部12、高周波送受信回路17、受信音声補正回路18等の動作を制御する。通信端末装置10の各種の処理としては、例えば、回線交換網を介して行われる音声通話、電子メールの作成及び送受信、インターネットのWeb(World Wide Web)サイトの閲覧等がある。また、表示部12、高周波送受信回路17、受信音声補正回路18等の動作としては、例えば、表示部12による画像の表示、高周波送受信回路17による信号の送受信、受信音声補正回路18による受信音声の補正等がある。
【0023】
制御回路22は、記憶部24に記憶されているプログラム(例えば、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行する。制御回路22は、例えば、マイクロプロセッサユニット(MPU:Micro Processing Unit)で構成され、前記ソフトウェアで指示された手順にしたがって上述した通信端末装置10の各種の処理を実行する。すなわち、制御回路22は、記憶部24に記憶されるオペレーティングシステムプログラムやアプリケーションプログラム等から命令コードを順次読み込んで処理を実行する。
【0024】
制御回路22は、複数のアプリケーションプログラムを実行する機能を有する。制御回路22が実行するアプリケーションプログラムとしては、例えば、高周波送受信回路17の駆動を制御するアプリケーションプログラムや、受信音声補正回路18の駆動を制御するアプリケーションプログラム、画像を表示部12に表示させたりするアプリケーションプログラム等の複数のアプリケーションプログラムがある。
【0025】
記憶部24には、制御回路22での処理に利用されるソフトウェアやデータが記憶されており、上述した、高周波送受信回路17の駆動を制御するアプリケーションプログラムを作動させるタスクや、受信音声補正回路18の駆動を制御するアプリケーションプログラムを作動させるタスクが記憶されている。また、記憶部24には、これらのタスク以外にも、例えば、通信、ダウンロードされた音声データ、あるいは記憶部24に対する制御に制御回路22が用いるソフトウェア、通信相手の電話番号やメールアドレス等が記述されて管理するアドレス帳、発信音や着信音等の音声ファイル、ソフトウェアの処理過程で用いられる一時的なデータ等が記憶されている。
【0026】
なお、ソフトウェアの処理過程で用いられるコンピュータプログラムや一時的なデータは、制御回路22によって記憶部24に割り当てられた作業領域へ一時的に記憶される。記憶部24は、例えば、不揮発性の記憶デバイス(ROM:Read Only Memory等の不揮発性半導体メモリ、ハードディスク装置等)や、読み書き可能な記憶デバイス(例えば、SRAM:Static Random Access Memory、DRAM:Dynamic Random Access Memory)等で構成される。
【0027】
表示部12は、ディスプレイを有しており、制御回路22から供給される映像データに応じた映像や画像データに応じた画像をディスプレイに表示させる。ディスプレイは、例えば、液晶ディスプレイ(LCD、Liquid Crystal Display)や、有機EL(Organic Electro−Luminescence)パネルなどで構成された表示パネルで構成される。なお、表示部12は、ディスプレイに加え、サブディスプレイを有していてもよい。
【0028】
操作部13は、例えば、電源キー、通話キー、数字キー、文字キー、方向キー、決定キー、発信キー等、各種の機能が割り当てられた操作キー13Aと、方向キー及び決定キー13Bとで構成される。そして、これらのキーがユーザの操作により入力されると、その操作内容に対応する信号を発生させる。発生した信号は、ユーザの指示として制御回路22へ入力される。
【0029】
高周波送受信回路17は、アンテナ17aを有し、基地局との間でTDMA−TDD(Time Division Multiple Access―Time Division Duplex)方式による無線信号回線を確立し、基地局との間で電話通信及び情報通信を行い、基地局から受信した音声信号、文字信号、画像信号等を復調し、通信端末装置10に入力された音声信号、文字信号等を変調し基地局へ送信する。
【0030】
高周波送受信回路17は、複数の基地局にそれぞれスロットを割り当てて複数の基地局との間で並列に通信を行うスロットダイバーシティ機能を備える。高周波送受信回路17は、自機の位置において最も電界強度が強い一の基地局との間に主チャネルを確立し、一の基地局以外の他の基地局との間に別チャネルを確立する。図3では、通信端末装置10は基地局31の通信エリア35内に存在しており、通信端末装置10の位置において基地局31の電界強度が最も強いものとする。その場合には、高周波送受信回路17は、基地局31との間に主チャネルを確立し、基地局33との間に別チャネルを確立する。
【0031】
また、高周波送受信回路17は、電波の強さ、基地局をハンドオーバする等の通信品質に応じて基地局31、33との間の通信方式をそれぞれ設定する。高周波送受信回路17は、通信品質が良好な基地局との間の通信方式をビットレートの高い(例えば32kbps)QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)方式に設定し、通信品質が良好ではない基地局との間の通信方式をビットレートの低い(例えば16kbps)BPSK(Binary Phase Shift Keying)方式に設定する。BPSK方式は、QPSK方式と比べて、エラーに強いので通信が切れにくいが、ビットレートが低いので音質は良くない。なお、本発明はこれらの変調方式に限定されず、通信品質に応じて8PSK方式、64QAM(Quadrature Amplitude Modulation)方式等で基地局と無線通信を行うこととしても良い。
【0032】
また、高周波送受信回路17は、一の基地局との通信に第1のタイムスロットを割り当て、他の基地局との通信に第2のタイムスロットを割り当てる。制御回路22は、第1及び第2のタイムスロットそれぞれの変復調方式を第1及び第2のタイムスロットそれぞれの通信品質に応じて設定する。
【0033】
また、高周波送受信回路17は、一の基地局との通信に第1のタイムスロットを割り当てて音声通信を行っており、かつ、第1のタイムスロットを用いた一の基地局との音声通信の通信品質が所定の通信品質以上の場合は、第2のタイムスロットをデータ通信に割り当てるようにしても良い。これにより、音声通信とデータ通信を並行して行うことができる。さらに、高周波送受信回路17は、ハンドオーバを実施する際に、データ通信に割り当てられた第2のタイムスロットを音声通信に割り当て、制御回路22は、第2のタイムスロットの変復調方式をBPSK方式に設定するようにしても良い。これにより、ハンドオーバの際に音声通信が途切れることを抑制することができる。
【0034】
受信音声補正回路18は、制御回路22の制御下で、高周波送受信回路17から出力される受信音声を補正する。具体的には、受信音声補正回路18は、主チャネルの通信方式がビットレートの低いBPSK方式であり且つ別チャネルの通信方式がビットレートの高いQPSK方式である場合、つまり主チャネルの受信音声信号よりも別チャネルの受信音声信号の方が情報量が多い場合には、主チャネルの受信音声信号を別チャネルの受信音声信号を用いて補正する。
【0035】
なお、受信音声補正回路18は、主チャネルの通信方式がQPSK方式であり且つ別チャネルの通信方式がBPSK方式である場合、つまり主チャネルの受信音声信号の方が別チャネルの受信音声信号よりも情報量が多い場合には、主チャネルの受信音声信号を補正しない。また、受信音声補正回路18は、主チャネルの通信方式及び別チャネルの通信方式が共にBPSK方式である場合には、主チャネルの受信音声信号を別チャネルの受信音声信号を用いて補正しても良いし、補正しなくても良い。
【0036】
D/A変換回路19は、受信音声補正回路18で補正された受信音声信号をD/A(Digital/Analog)変換してレシーバ16に出力し、レシーバ16から音声が出力される。A/D変換回路20は、マイク15から入力される入力音声信号をA/D(Analog/Digital)変換して高周波送受信回路17に出力する。高周波送受信回路17は、A/D変換回路20から入力される入力音声信号を変調してアンテナ17aから電波を出力する。通信端末装置10は、基本的に以上のような構成である。
【0037】
次に、図4を用いて通信端末装置10の動作、具体的には、基地局から音声信号を受信するときにおける通信端末装置10の制御動作について説明する。図4は、基地局から音声信号を受信するときにおける通信端末装置10の処理を示すフロー図である。
【0038】
まず、制御回路22は、ステップS10として、主チャネルの変調方式がQPSK方式であるか否かを判定する。制御回路22は、ステップS10で主チャネルの変調方式がQPSK方式である(Yes)と判定したら、受信音声補正回路18に受信音声の補正を行わせずに、処理を終了する。
【0039】
制御回路22は、ステップS10で主チャネルの変調方式がQPSK方式ではない(No)、つまり主チャネルの変調方式がBPSK方式であると判定したら、ステップS12として、別チャネルの変調方式がQPSK方式であるか否かを判定する。
【0040】
制御回路22は、ステップS12で別チャネルの変調方式がQPSK方式ではない(No)と判定したら、ステップS14として、主チャネルのBPSK受信信号にエラーが検出されたか否かを判定する。なお、BPSK受信信号のエラー検出は、高周波送受信回路17で行うことができる。
【0041】
制御回路22は、ステップS14で主チャネルのBPSK受信信号にエラーが検出されていない(No)と判定したら、受信音声補正回路18に受信音声の補正を行わせずに、処理を終了する。
【0042】
制御回路22は、ステップS12で別チャネルの変調方式がQPSK方式である(Yes)と判定したら又はステップS14で主チャネルのBPSK受信信号にエラーが検出された(Yes)と判定したら、ステップS16として、主チャネルの受信音声信号を別チャネルの受信音声信号を用いて補正するように、受信音声補正回路18を制御する。
【0043】
以上の処理により、通信端末装置10は、主チャネルの通信方式がBPSK方式であり且つ別チャネルの通信方式がQPSK方式である場合には、主チャネルの受信音声信号を別チャネルの受信音声信号を用いて補正する。これにより、主チャネルの通信方式がBPSK方式であっても、受話音声の音質を高めることができる。
【0044】
また、通信端末装置10は、主チャネルの通信方式がBPSK方式であり且つ主チャネルのBPSK受信信号にエラーが検出された場合には、主チャネルの受信音声信号を別チャネルの受信音声信号を用いて補正する。これにより、主チャネルのBPSK受信信号にエラーが検出されても、エラーを補正し、受話音声の音質を高めることができる。
【0045】
このように、通信端末装置10は、主チャネル及び別チャネルの受信音声信号からより高い音質で音声を再生することができる。
【0046】
また、通信端末装置10は、主チャネルの通信方式がQPSK方式である場合には、主チャネルの受信音声信号を補正しない。これにより、処理負荷を軽減することができる。
【0047】
なお、本実施形態においては、図4に示すフローチャートで、制御回路22は、ステップS12で別チャネルの変調方式がQPSK方式ではない(No)と判定したら、ステップS14として、主チャネルのBPSK受信信号にエラーが検出されたか否かを判定することとしているが、制御回路22は、ステップS14を必ずしも実行しなくても良い。すなわち、制御回路22は、ステップS12で別チャネルの変調方式がQPSK方式ではない(No)と判定したら、処理をステップS16に進め、主チャネルの受信音声信号の補正を行うように受信音声補正回路18を制御するようにしても良い。
【0048】
また、ネットワークロボット等のように音声認識を行い音声認識結果で制御を行う場合に、通信端末装置10を用いれば、受話音声の音質を高めることができるので、音声認識の精度が良くなり、制御誤りを低減することができる。
【0049】
また、通信端末装置10は、主チャネルの変調方式がBPSKであっても通話が可能であるので、通話エリアを広くすることができる。
【0050】
なお、スロットダイバーシティについて、複数の基地局と並列に通信できない状況にある場合には、一の基地局と通信端末装置10は、スロットダイバーシティによる通信をするように制御してもよい。
【符号の説明】
【0051】
10 通信端末装置
10C 筐体
12 表示部
13 操作部
13A 操作キー
13B 方向キー及び決定キー
15 マイク
16 レシーバ
17 高周波送受信回路
17a アンテナ
18 受信音声補正回路
19 D/A変換回路
20 A/D変換回路
22 制御回路
24 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基地局との間で並列に通信を行う通信端末装置であって、
複数の基地局のそれぞれと、複数のビットレートの中から選択したビットレートで情報を変換した音声信号の電波を送受信するアンテナ、および受信した受信音声信号を復調し、送信する送信音声信号を変調する変復調部を含む送受信部と、
前記送受信部で復調された受信音声信号の補正を行う受信音声補正部と、
自機の位置において最も電界強度が強い一の基地局から受信する受信音声信号のビットレートよりも前記一の基地局以外の他の基地局から受信する受信音声信号のビットレートが高い場合に、前記一の基地局から受信する受信音声信号を前記他の基地局から受信する受信音声信号を用いて補正するように、前記受信音声補正部を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする通信端末装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記一の基地局から受信する受信音声信号のビットレートよりも前記他の基地局から受信する受信音声信号のビットレートが低い場合に、前記一の基地局から受信する受信音声信号を補正しないように前記受信音声補正部を制御することを特徴とする請求項1に記載の通信端末装置。
【請求項3】
前記送受信部は、前記受信音声信号をQPSK又はBPSKで復調を行い、
前記制御部は、前記一の基地局から受信する受信音声信号がBPSKで変調されており且つ前記他の基地局から受信する受信音声信号がQPSKで変調されている場合に、前記一の基地局から受信する受信音声信号を前記他の基地局から受信する受信音声信号を用いて補正するように、前記受信音声補正部を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の通信端末装置。
【請求項4】
前記送受信部は、TDMA−TDD方式を用いたスロットダイバーシティ通信で前記基地局と信号の送受信を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の通信端末装置。
【請求項5】
前記送受信部は、前記一の基地局との通信に第1のタイムスロットを割り当て、前記他の基地局との通信に第2のタイムスロットを割り当て、
前記制御部は、前記第1及び第2のタイムスロットそれぞれの変復調方式を前記第1及び第2のタイムスロットそれぞれの通信品質に応じて設定することを特徴とする請求項4に記載の通信端末装置。
【請求項6】
前記送受信部は、前記一の基地局との通信に第1のタイムスロットを割り当てて音声通信を行っており、かつ、第1のタイムスロットを用いた前記一の基地局との音声通信の通信品質が所定の通信品質以上の場合は、第2のタイムスロットをデータ通信に割り当てることを特徴とする請求項5に記載の通信端末装置。
【請求項7】
前記送受信部は、ハンドオーバを実施する際に、データ通信に割り当てられた第2のタイムスロットを音声通信に割り当て、
前記制御部は、第2のタイムスロットの変復調方式をBPSK方式に設定することを特徴とする請求項6に記載の通信端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−205263(P2012−205263A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70641(P2011−70641)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】