説明

通信装置、制御方法、及びプログラム

【課題】操作者が所望するプロトコルを確実に設定することができ、かつ操作者がプロトコルの特性を知らなくても適切なプロトコルに切替えることのできる通信装置、制御方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】デジタルビデオカメラとPCには、デフォルトのプロトコルとしてPTPが設定されている。デジタルビデオカメラは、PTPを用いてPCから所定のメーセージに係るダミーデータを受信すると、この受信したダミーデータに基づいて、デフォルトで設定されたPTPをMSC(マスストレージクラス)に切替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、制御方法、及びプログラムに関し、特に、複数のプロトコルを用いて通信可能な通信装置、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のデジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等の撮像装置は、例えばUSB(Universal Serial Bus)規格に係る通信ケーブルを用いてパーソナルコンピュータ(以下、PCと称する)、プリンタ等に接続できるようになっている。この種の撮像装置では、撮像した画像データをPC、プリンタに転送し、転送に係る画像データをPCで編集したり、或いはプリンタでプリントアウトしたりすることができる(特許文献1参照)。
【0003】
また、マスストレージクラス(Mass Storage Class:以下、MSCと称する)、PTP(Picture Transfer Protocol)の2つのプロトコルを用いて通信可能な撮像装置も知られている(特許文献2参照)。
【0004】
マスストレージクラスは、接続された機器を記憶装置として認識して制御するとことができるが、操作者がファイルのディレクトリ構造を知っていなければ、所望のファイルを取得することが困難である。一方、PTPは、操作者がファイルのディレクトリ構造を意識しないで、簡単にファイルを取得することができる。
【特許文献1】特開2003−143520
【特許文献2】特開2002−305677
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来は、MSCとPTPを用いて通信可能な撮像装置をPCやプリンタ等の外部機器に接続して画像データを外部機器に転送する場合は、撮像装置のセットアップメニューを用いて撮像装置のプロトコルを手動で設定する必要があった。この場合、操作者が撮像装置のプロトコルを所望のプロトコルに設定するのを忘れる場合があった。
【0006】
また、操作者がプロトコルの特性を知らない場合に、所望のプロトコルとは異なったプロトコルを誤って設定してしまうこともあった。例えば、操作者は、画像データを一括して転送する場合や大容量の動画像データを転送する場合には、一般に、通信オーバヘッドが少なく高速にデータ転送可能なMSCを設定することを望む。しかし、操作者は、このようなMSCの特性を知らない場合は、誤ってPTPを設定してしまう可能性があった。
【0007】
一方、例えば、ディレクトリ構造を意識しないで簡単に画像ファイルをPCに取り込みたい場合には、操作者は、操作性が高いPTPを設定すべきなのに、このようなPTPの特性を知らないために、誤ってMSCを設定してしまう場合があった。
【0008】
また、従来のプリンタは、コストダウンを図るため、単一のプロトコル、例えばPTPのみを実装している場合が多い。しかしながら、従来は、このようなプリンタを撮像装置に接続して画像データをプリントアウトする場合にも、操作者は、その都度、撮像装置のプロトコルを設定する必要があり、不便であった。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたもので、操作者が所望するプロトコルを確実に設定することができ、かつ操作者がプロトコルの特性を知らなくても適切なプロトコルに切替えることのできる通信装置、制御方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、複数のプロトコルを用いて通信可能な通信装置において、前記複数のプロトコルの中のデフォルトで設定されたプロトコルを用いて、通信相手から特定の種類のデータを受信する受信手段と、前記受信手段により受信した前記特定の種類のデータに基づいて、前記デフォルトで設定されたプロトコルを他のプロトコルに切替える切替手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、デフォルトで設定されたプロトコルを用いて通信相手から特定の種類のデータを受信することにより、この受信した特定の種類のデータに基づいて、前記デフォルトで設定されたプロトコルを他のプロトコルに切替えている。
【0012】
従って、操作者が所望するプロトコルを確実に設定することができ、かつ操作者がプロトコルの特性を知らなくても適切なプロトコルに切替えることのできる通信装置、制御方法、及びプログラムを提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、本発明の実施の形態に係る通信装置としてのデジタルビデオカメラの概略構成を示すブロック図である。図1に示したように、本デジタルビデオカメラは、データ入力用のデバイスとして、マイク701、音声信号処理部702、レンズ部703、CCDなどのイメージセンサ704、及びカメラ信号処理部705を有している。また、本デジタルビデオカメラは、データを記録・再生するためのデバイスとして、圧縮伸張部706、記録再生処理部707、記録再生ヘッド708、磁気テープ、ハードディスクなどの記録媒体709、カードI/F713、及びメモリカード714を有している。
【0014】
さらに、本デジタルビデオカメラは、制御用のデバイスとして、中央演算処理部(以下、CPUと称する)712、読み出し専用メモリ(以下、ROMと称する)715を有している。また、本デジタルビデオカメラは、外部機器との間でデータ、コマンドを送受信するためのデバイスとして、ストリーム処理部710、デジタルインタフェイス(以下、D−I/Fと称する)711を有している。
【0015】
なお、ROM715には、各種のプログラムの他、後述するダミーデータも格納されている。CPU712は、ROM715に格納されたプログラムに従って、後述する本実施の形態に特有な処理や、画像データを記録・再生するための一般的な処理を行なうように、適宜上記のデバイスを制御する。
【0016】
次に、図1に示したデジタルビデオカメラの基本的な動作を説明する。まず、動画記録時の動作を説明する。
【0017】
マイク701は、当該デジタルビデオカメラの周囲の音を集音し電気信号に変換して音声信号として音声信号処理部702に出力する。音声信号処理部702は、マイク701から入力された音声信号に対してノイズ除去等の所定の音声処理を施して圧縮伸張処理部706に出力する。また、レンズ部703は、被写体の光学像をCCD704上に結像する。CCD704は、結像された被写体の光学像を光電変換して画像信号としてカメラ信号処理部705に出力する。カメラ信号処理部705は、CCD704から入力された画像信号に対してガンマ補正処理等の所定の画像処理を施すと共に、TV信号に変換して圧縮伸張処理部706に出力する。
【0018】
なお、ユーザが撮影状況を監視することができるように、音声信号処理部702から出力された音声信号は、スピーカ(図示省略)からリアルタイムに出力され、カメラ信号処理705から出力されたTV信号は、液晶表示部(図示省略)にリアルタイムに表示される。
【0019】
圧縮伸張処理部706は、入力された音声信号、TV信号に対して所定の圧縮処理を施して音声データ、動画像データとして出力する。この圧縮伸張処理部706は、例えば、外部のPCに画像データを簡単に転送できるように、動画像信号をDV(Digital Video)フォーマットに変換することによりDV方式で圧縮処理を施す。また、圧縮伸張処理部706は、音声信号をモディファイド離散コサイン変換方式等の圧縮方式で圧縮する。
【0020】
圧縮伸張処理部706から出力された圧縮に係る動画像データ、音声データは、記録再生処理部707により記録用に変調されて記録再生ヘッド708を介して記録媒体709に記録される。
【0021】
また、撮影に係る動画像データ、音声データを外部のPC等の外部機器に転送する場合は、圧縮された動画像データ、音声データをストリーム処理部710によりパケット化して、D−I/F711を介して外部機器に出力する。このように音声付動画像データを外部機器に出力する場合、D−I/F711は、物理層のプロトコルとしては、マスストレージクラス(以下、MSCと称する)を使用する。
【0022】
なお、本実施の形態では、本デジタルビデオカメラを外部機器と接続した初期の状態、すなわちデフォルトでは、物理層のプロトコルとしてはPTPが設定されている。
【0023】
また、動画像を再生する場合は、記録媒体709に圧縮されて記録されている動画像データ、音声データを記録再生処理部707の制御の下に記録再生ヘッド708により読み出し、圧縮伸張処理部706により伸張して、それぞれ液晶表示部、スピーカに出力する。
【0024】
また、撮影した画像データを静止画として記録する場合は、圧縮伸張処理部706は、画像データを例えばJPEG方式等の圧縮方式で圧縮する。この圧縮された静止画像データは、カードI/F715を介して着脱自在なメモリカード715に記録される。メモリカード715に圧縮されて記録されている静止画像データを再生する場合は、当該静止画像データをカードIF714を介して読み出し、圧縮伸張処理部706にて伸張処理して、液晶表示部に表示する。
【0025】
なお、メモリカード715上の圧縮に係る静止画像データは、D−I/F711を介して、外部機器に転送することができる。この場合、圧縮に係る静止画像データは、CPU712の制御の下に、ストリーム処理部710を経由することなく、直接、D−I/F711から外部機器に転送される。また、D−I/F711は、静止画像データを外部機器に転送する場合は、物理層のプロトコルとしてはPTPを使用する。
【0026】
また、メモリカード715には、動画像データも音声データと共に記録することができる。メモリカード715に動画像データを記録する場合は、圧縮伸張処理部706は、例えば、モーションJPEGやMPEG4の圧縮方式で動画像データを圧縮する。また、圧縮伸張処理部706は、音声信号を上記のモディファイド離散コサイン変換方式等の圧縮方式で圧縮する。
【0027】
カードI/F715は、圧縮された音声付動画像データをフィイルとしてメモリカード715に記録する。このメモリカード715上の圧縮に係る音声付動画データファイルを再生する場合は、この当該音声付動画データファイルを圧縮伸張処理部706により伸張して、動画像データを液晶表示部に表示し、音声データをスピーカから出力する。
【0028】
また、メモリカード715上の圧縮に係る音声付動画データファイルは、D−I/F711を介して、外部機器に転送することができる。この場合、圧縮に係る音声付動画像データファイルは、CPU712の制御の下に、ストリーム処理部710を経由することなく、直接、D−I/F711から外部機器に転送される。また、D−I/F711は、当該音声付動画像データファイルを外部機器に転送する場合は、物理層のプロトコルとしてはMSCを使用する。
【0029】
なお、記録媒体709、メモリカード714に画像データを記録する際には、当該画像データに係るサムネイル画像データも圧縮伸張処理部706等により作成されて、当該画像データと共に記録される。
【0030】
次に、ROM716に格納されたダミーデータについて説明する。このダミーデータは、後述する図2に示した「ファイル転送への切替」、図4に示した「写真モードへの切替」等のメッセージを示すデータである。ダミーデータは、後述するように、画像データのサムネイル画像データと同様のデータ形式でPC等の外部機器に転送されるものであるが、本来転送すべきサムネイル画像データではないと言う意味で、本実施の形態ではダミーデータと称している。
【0031】
このダミーデータは、上記の「ファイル転送への切替」、「写真モードへの切替」というメーセージ内容から推測できるように、一種のコマンド(擬似コマンド)として機能し、本実施の形態では、このダミーデータに基づいてプロトコルの切替えが行なわれる。このプロトコルの切替処理については、後で詳細に説明する。
【0032】
ダミーデータは、ラスタライズされて画像データのサムネイル画像データと同様のデータ形式に変換され、D−I/F711を介して外部機器との間で授受される。なお、本実施の形態では、ダミーデータには、上記の「ファイル転送モードへの切替」、「写真モードへの切替」の他、例えば、「マスストレージクラスへの切替」、「PTPへの切替」、「フォトモードへの切替」などのメーセージ(擬似コマンド)も含まれている。
【0033】
次に、本実施の形態に特有なプロトコルの切替処理例を、図3のシーケンス図に基づいて説明する。なお、図3のシーケンス図は、ITU−T Recommendation Z.120 Message Sequence Chart規格に基づいて記述されたものである。また、ここでは、外部機器がPCである場合を想定している。
【0034】
前述のように、デジタルビデオカメラは、外部機器と接続した初期の状態、すなわちデフォルトでは、物理層のプロトコルとしてPTPが設定されている。また、デジタルビデオカメラは、静止画転送モード時においては、PTPを用いて外部機器と交信するように構成されている。また、PCにおいても、デフォルトの物理層のプロトコルとしてはPTPが設定されている。
【0035】
従って、PCは、USBケーブル等で本デジタルビデオカメラが接続された場合、自動的に図3のシーケンスに係るアプリケーションプログラムを自動的に起動し、当該デジタルビデオカメラとの間でネゴシエーションを行なうことなく、PTP用いて図3のシーケンスに係る処理を実行する。
【0036】
PCは、USBケーブル等で機器(ここではデジタルビデオカメラ)が接続されると、PCは、GetDeviceInfoコマンドを接続機器に発行することにより、接続機器の種類(撮像装置、プリンタ等)等の接続機器の情報を取得するように試みる。デジタルビデオカメラは、GetDeviceInfoコマンドを受信すると、自身の機器種類等の情報をPCに返信する(DeviceInfo Dataset)。
【0037】
次に、PCは、OpenSessionコマンドをデジタルビデオカメラに発行することにより、データ交換の管理・制御を行なうためのセッション層を確立する。次に、PCは、デジタルビデオカメラが記録している静止画像データのオブジェクトハンドルの情報を取得すべく、GetObjectHandleコマンドをデジタルビデオカメラに発行する。デジタルビデオカメラは、GetObjectHandleコマンドを受信すると、オブジェクトハンドルの情報をPCに返信する(ObjectHandle Array)。
【0038】
本実施の形態に係るデジタルビデオカメラでは、例えば、上記のダミーデータに対して常にオブジェクトハンドル番号として「1」が割り当てられる。PCのアプリケーションの多くは、オブジェクトハンドル番号の小さい順番にサムネイル画像を表示することが多いので、上記のようにダミーデータに対して常にオブジェクトハンドル番号として「1」が割り当てることで、ダミーデータが1番最初に表示される確率が高くなる。
【0039】
なお、PCのアプリケーション上のGUIの先頭画像として上記ダミーデータが表示されるように、ダミーデータに対してオブジェクトハンドル番号を割り当てるようにしてもよい。例えば、PCのアプリケーションGUIの1つのウィンドウで表示可能なデータ数が「N」であるとすると、「1」、「N+1」(ただし、N=1,2,3,…,Nなる自然数)なる複数のオブジェクトハンドル番号を1つのダミーデータに割り当てる。このようにすれば、PCのアプリケーション上のGUIの先頭画像として上記ダミーデータが表示されるだけでなく、サムネイルの表示切替えを行うべくウィンドウを更新した場合においても、常にGUI上の先頭画像としてダミーデータが表示されることとなり、利便性が向上する。
【0040】
次に、PCは、オブジェクトハンドル番号1のオブジェクトの属性情報を取得すべく、GetObjectInfo(ObjectHandle1)コマンドをデジタルビデオカメラに発行する。デジタルビデオカメラは、GetObjectInfo(ObjectHandle1)コマンドを受信すると、オブジェクトハンドル番号1のオブジェクト、すなわち、ダミーデータの属性情報をPCに返信する(ObjectInfo 1 Dataset)。
【0041】
次に、PCは、オブジェクトハンドル番号2からnのオブジェクトの属性情報を取得すべく、GetObjectInfo(ObjectHandle i)コマンドを、順次デジタルビデオカメラに発行する。デジタルビデオカメラは、GetObjectInfo(ObjectHandle i)コマンドを受信すると、順次、オブジェクトハンドル番号iのオブジェクトの属性情報をPCに返信する(ObjectInfo i Dataset)。なお、上記の「i」は、i=2,2,4,…nなる自然数である(以下、同様)。
【0042】
また、これらオブジェクトハンドル番号iのオブジェクトは、ここでは、静止画像データのサムネイル画像データであるものとする。すなわち、デジタルビデオカメラのモードとして、静止画転送モードが設定されているものとする。
【0043】
次に、PCは、オブジェクトハンドル番号1のサムネイル画像データを取得すべく、GetThumbコマンドをデジタルビデオカメラに発行する。デジタルビデオカメラは、
GetThumbコマンドを受信すると、オブジェクトハンドル番号1のサムネイル画像データ、すなわち、ダミーデータのサムネイル画像データをPCに返信する(Thumb 1 Data)。PCは、受信したオブジェクトハンドル番号1のダミーデータのサムネイル画像データをGUIの先頭画像として表示する。
【0044】
この場合、上記のように、デジタルビデオカメラのモードが静止画転送モードである場合は、デジタルビデオカメラは、ダミーデータのサムネイル画像データとしては、静止画転送モードに係るものをPCに返信する。また、デジタルビデオカメラでは、静止画転送モードに係るダミーデータとしては、「ファイル転送への切替」というメッセージ(擬似コマンド)が規定されている。
【0045】
従って、PCのGUIには、オブジェクトハンドル番号1のサムネイル画像データ、すなわち先頭画像としては、図2に符号801で示したように、「ファイル転送への切替」というメッセージ(擬似コマンド)が表示される。なお、PCのGUIには、各サムネイル画像データ801〜809に対して、個別にチェックボックス811〜819が設けられている。
【0046】
次に、PCは、オブジェクトハンドル番号2からnのサムネイル画像データを取得すべく、GetThumb(ObjectHandle i)コマンドを、順次デジタルビデオカメラに発行する。デジタルビデオカメラは、GetThumb(ObjectHandle i)コマンドを受信すると、順次、オブジェクトハンドル番号iのサムネイル画像データをPCに返信する(Thumb i Data)。
【0047】
PCは、受信したオブジェクトハンドル番号iのサムネイル画像データを、順次GUIに表示していく(図2の802〜809参照)。ここで、図2のGUI上で、操作者がサムネイル画像データ809に対応するチェックボックス819にチェックマークを入れ、不図示の転送ボタンを押下したとする。この場合は、サムネイル画像データ809に対応する静止画データがPTPを用いてデジタルビデオカメラからPCに転送されてくる。なお、図3では、この場合のシーケンスは省略されている。
【0048】
また、図2のGUI上で、操作者が「ファイル転送への切替」というダミーデータに係るサムネイル画像データ801に対応するチェックボックス811にチェックマークを入れ、不図示の転送ボタンを押下したとする。
【0049】
この場合は、PCは、上記の操作に応答して、ダミーデータのオブジェクトハンドル番号であるオブジェクトハンドル番号1を指定したGetObjecコマンド、すなわち、GetObjec(ObjectHandle 1)をデジタルビデオカメラに発行する。
【0050】
デジタルビデオカメラは、GetObjec(ObjectHandle 1)を受信すると、このObjectHandle 1のオブジェクトはダミーデータ(擬似コマンド)であるので、デジタルビデオカメラは、バスリセット処理を行なうと共に、デジタルビデオカメラのプロトコル設定をPTPからMSCに切替える。
【0051】
さらに、デジタルビデオカメラは、「ファイル転送への切替」というダミーデータを指定したGetObjecコマンドを受信したので、デジタルビデオカメラのモードをファイル転送モードに切替える。
【0052】
PCは、デジタルビデオカメラによるバスリセット処理が終了すると、デジタルビデオカメラの通信モード等の情報を取得すべく、GetDescriptorコマンドをデジタルビデオカメラに発行する。
【0053】
デジタルビデオカメラは、GetDescriptorコマンドを受信すると、デジタルビデオカメラ側に設定されているプロトコルの情報としてMSCを含むディスクリプタ、すなわち、Descriptor(MSC)をPCに返信する。PCは、このディスクリプタを受信すると、PCのプロトコル設定をPTPからMSCに切替える。
【0054】
このPC側でのプロトコル切替処理により、デジタルビデオカメラとPCの設定プロトコルが共にMSCとなるので、デジタルビデオカメラは、MSCを用いて、PC側からの要求に応じてファイル転送処理を行うことが可能となる。このファイル転送処理は、MSCを用いて行なわれるので、PCの操作者は、高速に大量の画像ファイルをPCに取り込むことが可能となる。
【0055】
次に、MSCからPTPへの切替処理例を、図4に基づいて説明する。上述したように、本実施の形態では、デジタルビデオカメラは、その設定モードが動画転送モードであった場合は、MSCを用いて外部機器と交信する。また、図4は、デジタルビデオカメラの設定モードが動画転送モードであり、外部機器がPCである場合のPC上のアプリケーションに係るGUIを示している。
【0056】
デジタルビデオカメラの設定モードが動画転送モードである場合は、デジタルビデオカメラでは、ダミーデータとしては、「写真モードへの切替」という静止画に係るモードへの切替を示すダミーデータが規定されている。また、前述のように、ダミーデータに対するオブジェクトハンドル番号は、PCのアプリケーション上のGUIの先頭画像としてダミーデータが表示されるように割り当てられている。
【0057】
従って、デジタルビデオカメラの設定モードが動画転送モードである場合は、PCのアプリケーションに係るGUIには、図4に示したように、先頭画像として、「写真モードへの切替」というダミーデータに係るサムネイル画像データ1001が表示される。
【0058】
また、デジタルビデオカメラの設定モードが動画転送モードである場合は、デジタルビデオカメラは、PCからの要求に応じて、動画像データに係るサムネイル画像データをPCに順次送信する。従って、デジタルビデオカメラの設定モードが動画転送モードである場合は、PCのアプリケーションに係るGUIには、図4に示したように、動画像データに係るサムネイル画像データ1002〜1009が順次表示されていく。なお、各サムネイル画像データ1001〜1009に対して、個別にチェックボックス1011〜1019が設けられている。
【0059】
ここで、図4のGUI上で、「写真モードへの切替」というダミーデータに係るサムネイル画像データ1001に対応するチェックボックス1011にチェックマークが入れられ、不図示の転送ボタンが押下されたとする。
【0060】
この場合、PCは、サムネイル画像データ(ダミーデータ)1001を転送するためのMSCコマンドをデジタルビデオカメラに発行する。デジタルビデオカメラは、当該MSCコマンドを受信すると、バスリセット処理を行なう。その後、デジタルビデオカメラは、通信モードのコンフィギュレーションを再度行ない、デジタルビデオカメラのプロトコル設定をMSCからPTPに切替える。さらに、デジタルビデオカメラは、「写真モードへの切替」というダミーデータに係るMSCコマンドを受信したので、デジタルビデオカメラのモードを写真モードに切替える。
【0061】
また、図3の説明の際に言及したのと同様に、PCは、デジタルビデオカメラによるバスリセット処理が終了すると、デジタルビデオカメラの通信モード等の情報を取得すべく、GetDescriptorコマンドをデジタルビデオカメラに発行する。
【0062】
デジタルビデオカメラは、GetDescriptorコマンドを受信すると、デジタルビデオカメラ側に設定されているプロトコルの情報としてPTPを含むディスクリプタをPCに返信する。PCは、このディスクリプタを受信すると、PCのプロトコル設定をMSCからPTPに切替える。
【0063】
このPC側でのプロトコル切替処理により、デジタルビデオカメラとPCの設定プロトコルが共にPTPとなるので、デジタルビデオカメラは、PTPを用いて、PC側からの要求に応じて写真に係る静止画像データの転送処理を行うことが可能となる。この写真に係る静止画像データの転送処理は、PTPを用いて行なわれるので、PCの操作者は、画像ファイルのディレクトリ構造を意識することなく簡単に所望の静止画像データをPCに取り込むことが可能となる。
【0064】
以上説明したように、本実施の形態では、デジタルビデオカメラとPCの双方に、デフォルトでPTPが設定されている。従って、本実施の形態に係るデジタルビデオカメラでは、電源を投入した後に特別な設定を行なうことなく、PCとPTPを用いて交信を行なうことが可能となる。すなわち、本実施の形態では、操作者が所望するプロトコルを確実に設定することができ、従来のように、操作者がデジタルビデオカメラのプロトコルを所望のプロトコルに設定するのを忘れないように気を配る必要はなくなる。
【0065】
また、本実施の形態では、「ファイル転送への切替」、「写真モードへの切替」といったような具体的な処理内容を示すメーセージ(ダミーデータ)に係るサムネイル画像データを、操作者がPC上で指定する。この指定により、デジタルビデオカメラとPCは、自己のプロトコル設定を指定に係るメーセージに対応する適切なプロトコルに自動的に切替えている。従って、本実施の形態では、操作者は、プロトコルの特性を知らなくても、自分が実行したい処理内容に係るサムネイル画像データを指定するだけで、その処理内容に適したプロトコルを的確に設定することが可能となる。
【0066】
また、前述したように、プリンタは、一般的に、プロトコルとしては、PTPのみを実装している場合が多い。このような場合でも、本実施の形態に係るデジタルビデオカメラでは、PTPがデフォルトで設定されているので、このようなプリンタを接続して画像データをプリントアウトする際に、その都度、デジタルビデオカメラのプロトコルをPTPに設定する必要はなく、利便性が向上する。
【0067】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されることはない。例えば、通信インタフェースとして、USB以外のIEEE1394、IEE802.3、IEEE802.11などを用いた場合に、これら通信インタフェースに係る各種のプロトコルを前述のようなダミーデータに基づいて切替える等、上記の実施の形態の機能を適用することも可能である。
【0068】
すなわち、IEEE1394を用いた場合は、ファイル転送プロトコルとしてのSBP−2、静止画転送プロトコルとしてPTP over 1394などを、ダミーデータに基づいて適宜切替えることが可能である。また、IEEE802.3やEEE802.11などを用いた場合は、TCP/IPプロトコルを使用する際に、ファイル転送プロトコルとしてFTP、HTTP、iSCSIなどのプロトコル、静止画転送プロトコルとしてPTP over IPを、ダミーデータに基づいて切替えることが可能である。
【0069】
また、無線LAN等の無線通信媒体を用いて交信する場合にも上記の実施の形態の機能を適用してもよい。また、上記の実施の形態の機能は、デジタルビデオカメラ以外のデジタルカメラ等の撮像装置、或いは撮像装置以外の情報通信機能を有する電子機器にも適用することができる。
【0070】
さらに、本発明は、上述した実施の形態の装置に限定されず、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用してもよい。
【0071】
また、本発明の目的は、前述した実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成されることは言うまでもない。
【0072】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード及び該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0073】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。または、プログラムコードをネットワークを介してダウンロードしてもよい。
【0074】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施の形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0075】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施の形態に係る通信装置としてのデジタルビデオカメラの概略構成を示すブロック図である。
【図2】上記デジタルビデオカメラが静止画転送モードである場合のPCのGUIを例示した図である。
【図3】上記デジタルビデオカメラとPCが接続された場合のプロトコル切替処理例を示すシーケンス図である。
【図4】上記デジタルビデオカメラが動画転送モードである場合のPCのGUIを例示した図である。
【符号の説明】
【0077】
711…デジタルインタフェイス(D−I/F)、712…CPU、715…メモリカード、716…ROM、709…記録媒体(磁気テープ、ハードディスク等)、801,1001…ダミーデータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプロトコルを用いて通信可能な通信装置において、
前記複数のプロトコルの中のデフォルトで設定されたプロトコルを用いて、通信相手から特定の種類のデータを受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した前記特定の種類のデータに基づいて、前記デフォルトで設定されたプロトコルを他のプロトコルに切替える切替手段と、
を有することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記受信手段により受信した前記特定の種類のデータに基づいて、現在設定されているプロトコルを他のプロトコルに切替える第2の切替手段を有することを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項3】
前記特定の種類のデータは、当該通信装置の処理モードの切替えを指示するメーセージデータであることを特徴とする請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記受信手段が受信する前記メッセージデータは、サムネイル画像データと同様のデータ形式で当該通信装置から前記通信相手に予め供給されたデータであることを特徴とする請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記デフォルトで設定されたプロトコルは、ファイルのディレクトリ構造を意識しなくてもファイルを取得可能なプロトコルであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の通信装置。
【請求項6】
前記デフォルトで設定されたプロトコルは、PTPであることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の通信装置。
【請求項7】
前記切替手段が切替える前記他のプロトコルは、ファイルのディレクトリ構造を意識しなければファイルを取得することが困難なプロトコルであることを特徴とする請求項1、請求項3〜6の何れかに記載の通信装置。
【請求項8】
前記切替手段が切替える前記他のプロトコルは、マスストレージクラスであることを特徴とする請求項1、請求項3〜7の何れかに記載の通信装置。
【請求項9】
複数のプロトコルを用いて通信可能な通信装置の制御方法において、
前記複数のプロトコルの中のデフォルトで設定されたプロトコルを用いて、通信相手から特定の種類のデータを受信する受信工程と、
前記受信工程により受信した前記特定の種類のデータに基づいて、前記デフォルトで設定されたプロトコルを他のプロトコルに切替える切替工程と、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項10】
請求項9に記載の制御方法を実行するプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−148802(P2007−148802A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−342560(P2005−342560)
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】