説明

通信装置

【課題】RF部とベースバンド部との間の伝送経路が少なく、且つ、効率よく通信を行うことのできる技術を提供する。
【解決手段】
本発明に係る通信装置は、無線信号を受信する複数のアンテナと、前記受信された無線信号の周波数を、それぞれ、より低い周波数に変換する複数のRF部と、前記周波数が変換された無線信号を、それぞれ、デジタル信号に変換する複数のA/D変換器と、前記デジタル信号に変換された各無線信号を分割し、当該分割された無線信号を時分割多重化する多重化部と、ベースバンド部と、を有し、前記ベースバンド部は、前記複数のRF部に入力される無線信号の内容に応じたスケジューリング方法で前記分割された無線信号を多重化するように、前記多重化部に指示することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の通信装置のうち、受信した無線信号をデジタル信号に変換して処理する通信装置は、例えば、特許文献1〜3に開示されている。
【0003】
特許文献1〜3に開示されているような構成において、多数の方式の通信を行う場合、必要な伝送容量に応じて、受信した無線信号の周波数をより低い周波数に変換するRF部の数や、RF部と受信した信号を解析するベースバンド部との間の伝送経路を増やさなくてはならない。
【0004】
そのような問題に鑑みた従来技術として、RF部からの出力信号を多重化することにより、RF部とベースバンド部との間の伝送経路を少なくする技術がある。そのような技術は、例えば、特許文献4に開示されている。
【0005】
具体的には、特許文献4の通信装置は、複数のアンテナのそれぞれが無線信号を受信し、受信した各無線信号をデジタル信号に変換する。そして、受信した各無線信号を、波長の異なる光信号に変換し、波長多重により複数の光信号を1つの光信号に変換する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2002−511673号公報
【特許文献2】特開2004−153661号公報
【特許文献3】特開2006−295298号公報
【特許文献4】特開2004−23715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献4に開示されている通信装置など、多重化を利用した従来の技術では、多重化が固定的であるため、多数の方式の通信を効率よく行うことができなかった。
【0008】
具体的には、特許文献4に開示されている通信装置の場合、通信方式と変換後の光信号の波長が固定的に対応付けられている(例えば、DTV放送の場合にはデジタル信号を波長λ1の光信号に変換し、データ通信の場合にはデジタル信号を波長λ2の光信号に変換することが予め定められている)。そのため、DTV放送の受信を行わない場合、即ち、波長λ1の光信号への変換が行われない場合であっても、波長λ1を他の通信に対応させることができない(データ通信の場合に、デジタル信号を波長(λ1+λ2)の光信号とすることができない)。
【0009】
また、通信のビットレートが可変であったとしても、通信方式とスケジューリング方法とが固定的に対応付けられるため、他の通信を行わない場合であっても、必要な通信の速度を上げることができない。以上のことから、従来の通信装置は、無駄のある通信装置となってしまう。
【0010】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、RF部と
ベースバンド部との間の伝送経路が少なく、且つ、効率よく通信を行うことのできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用する。
【0012】
本発明に係る通信装置は、無線信号を受信する複数のアンテナと、前記受信された無線信号の周波数を、それぞれ、より低い周波数に変換する複数のRF部と、前記周波数が変換された無線信号を、それぞれ、デジタル信号に変換する複数のA/D変換器と、前記デジタル信号に変換された各無線信号を分割し、当該分割された無線信号を時分割多重化する多重化部と、ベースバンド部と、を有し、前記ベースバンド部は、前記複数のRF部に入力される無線信号の内容に応じたスケジューリング方法で前記分割された無線信号を多重化するように、前記多重化部に指示することを特徴とする。
【0013】
本発明に係る通信装置では、ベースバンド部が、複数のRF部に入力される無線信号の内容に応じたスケジューリング方法で分割された無線信号を多重化するように、多重化部に指示する。例えば、通信装置が3つのA/D変換器a〜cを備えている場合に、多重化部がA/D変換器a→A/D変換器c→A/D変換器bの順番でデジタル信号を数ビットずつ読み出すように設定される。また、A/D変換器a→A/D変換器b→A/D変換器a→A/D変換器bのように、A/D変換器cからはデジタル信号を読まない(破棄する)ように設定される。そのような順番で読み出されることをベースバンド部が把握していれば、多重化された信号を分解し、各無線信号の内容を把握することができる。それにより、従来のような無駄を無くすことができるため、RF部とベースバンド部との間の伝送経路が少なく、且つ、効率よく通信を行うことが可能となる。
【0014】
前記多重化部は、前記デジタル信号に変換された各無線信号を分割すると共に、当該分割された無線信号毎にヘッダを付与し、前記分割された無線信号を非同期時分割多重化することが好ましい。それにより、ベースバンド部が多重化後の信号のフォーマットを予め把握する必要が無く(ヘッダを確認すればよいため)、より効率よく通信を行うことが可能となる。
【0015】
前記ヘッダは、RF部の識別情報を含むことが好ましい。RF部の識別情報とは、例えば、元の無線信号が、それぞれ、どのRF部を通過したのかを表す情報である。そのような情報をヘッダとして分割された無線信号に付与することにより、ベースバンド部が元の無線信号がどのRF部を通過したのかを容易に判断することが可能となる。また、ベースバンド部が、付与するヘッダの内容を多重化部に指示してもよい。
【0016】
前記ベースバンド部は、前記複数のRF部に入力される無線信号の内容に応じたフォーマットのデジタル信号に変換するように、前記複数のA/D変換器に指示することが好ましい。ここで言うフォーマットとは、例えば、サンプリングレートやビット数(語長)のことである。このような構成にすることにより、それらの値を無線信号の内容に応じて適切な値とすることができる。
【0017】
前記ベースバンド部は、前記複数のアンテナを介して行われる各通信の状況を把握し、それぞれの通信の状況に応じた動作をするように、前記複数のRF部に指示することが好ましい。それにより、適切な通信を行えるようにRF部を動作させることが可能となる。例えば、ユーザにとって不必要な通信は行わず、必要な通信をするためにダイバーシチ受信をするように各RF部を動作させることが可能となる。なお、各通信の状況としては、その通信が重要か否か、無線信号の受信強度は十分か否かなどである。通信が重要か否かは、例えば、無線信号に記述されていてもよいし、ユーザの操作(双方向通信の場合、ユ
ーザから外部へ情報を送信しているか否かなど)に基づいて判断すればよい。
【0018】
前記分割された無線信号は、自身の優先度合いを表す優先度情報を含み、前記ベースバンド部は、前記優先度情報に基づいて、前記スケジューリング方法を決定することが好ましい。それにより、優先度合いに応じた適切な通信を行うことが可能となる。例えば、優先度の高いものほど先にベースバンド部に送るように設定することができる。なお、分割された無線信号がヘッダを含む場合には、優先度情報はヘッダに記載されていてもよい。
【0019】
前記ベースバンド部は、前記複数のアンテナを介して行われる各通信の状況を把握し、それぞれの通信の状況に基づいて、前記スケジューリング方法を決定することが好ましい。それにより、通信状態に応じた適切な通信を行うことが可能となる。例えば、無線信号の受信強度が低い場合、安定した通信ができない可能性が高い。上記構成によれば、そのような無線信号を後回しでベースバンド部に送ったり、破棄したりすることができ、他の無線信号を優先してベースバンド部に送ることができる。
【0020】
前記ベースバンド部は、送信データを分割し、当該分割された送信データを時分割多重化し、前記多重化部は、前記時分割多重化された送信データを分割し、各RF部に振り分けることが好ましい。そのような構成にすることにより、通信装置から外部への送信時においても、RF部とベースバンド部との間の伝送経路が少なく、且つ、効率よく通信を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、RF部とベースバンド部との間の伝送経路が少なく、且つ、効率よく通信を行うことのできる通信装置を簡易な構成で実現するための技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、実施例1に係る通信装置の機能構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、分割された無線信号の多重化の一例を示す図である。
【図3】図3は、分割された無線信号の多重化の一例を示す図である。
【図4】図4は、分割された無線信号の多重化の一例を示す図である。
【図5】図5は、分割された無線信号の多重化の一例を示す図である。
【図6】図6は、分割された無線信号の多重化の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。
【0024】
<実施例1>
(構成)
図1は、実施例1に係る通信装置の機能構成を示すブロック図である。図1に示すように、実施例1に係る通信装置は、アンテナ101a〜101c、RF部102a〜102c、A/D変換器103a〜103c、多重化部104、ベースバンド部105などを備える。以下、通信装置が外部から無線信号を受信する際の各機能の動作と、通信装置が外部へ無線信号を送信する際の各機能の動作とを別々に説明する。なお、図1は通信装置が車両に搭載されている場合の例を示したものであるが、本実施例に係る通信装置は車両に搭載されることを前提とするものではない。
【0025】
(受信時の動作)
アンテナ101a〜101cは、それぞれ、無線信号を受信する。
【0026】
RF部102a〜102cは、アンテナ101a〜101cで受信された無線信号の周波数を、それぞれ、より低い周波数(IFやゼロIF)に変換する。具体的には、RF部102aはアンテナ101aで受信された無線信号の周波数をより低い周波数に変換し、RF部102bはアンテナ101bで受信された無線信号の周波数をより低い周波数に変換し、RF部102cはアンテナ101cで受信された無線信号の周波数をより低い周波数に変換する。周波数を変換するには、例えば、スーパーヘテロダイン方式やダイレクトコンバージョン方式を用いればよい。
【0027】
A/D変換器103a〜103cは、RF部102a〜102cから出力される無線信号(周波数が変換された無線信号(IFやゼロIFの信号))を、それぞれ、デジタル信号に変換する。具体的には、A/D変換器103aは、RF部102aで周波数が変換された無線信号をデジタル信号に変換し、A/D変換器103bは、RF部102bで周波数が変換された無線信号をデジタル信号に変換し、A/D変換器103cは、RF部102cで周波数が変換された無線信号をデジタル信号に変換する。
【0028】
多重化部104は、A/D変換器103a〜103cから出力される各無線信号(デジタル信号に変換された各無線信号)を分割し、当該分割された無線信号を時分割多重化する。具体的には、本実施例では、多重化部104は、同期式時分割多重化方式で無線信号を多重化する。
【0029】
ベースバンド部105は、通信(受信された無線信号の解析、受信する無線信号の選択など)をするために通信装置内の各機能を制御する。なお、多重化部104とベースバンド部105との間の信号(多重化されたデジタル信号)の伝送は、どのように行ってもよい。例えば、メタル線(例えば、銅線)を用いて伝送してもよいし、光ファイバや無線技術(ZigBee(商標)、ブルートゥース(商標)、IEEE802.11系の無線LANなど)を用いて伝送してもよい。以下、ベースバンド部105の機能の一例について具体的に説明する。
【0030】
本実施例では、ベースバンド部105は、アンテナ101a〜101cを介して行われる各通信の状況を把握し、それぞれの通信の状況に応じた動作をするように、RF部102a〜102cに指示する。それにより、適切な通信を行えるようにRF部を動作させることが可能となる。通信の状況は、その通信が重要か否か、無線信号の受信強度は十分か否かなどである。通信が重要か否かは、例えば、無線信号に記述されていてもよいし、ユーザの操作(双方向通信の場合、ユーザから外部へ情報を送信しているか否かなど)に基づいて判断すればよい。本実施例では、重要な通信、または、無線信号の受信強度が十分である場合に通信状態が良いものとし、重要でない通信、または、無線信号の受信強度が不十分である場合に通信状態が悪いものとする。
【0031】
例えば、ベースバンド部105は、重要な通信を行う場合には、ダイバーシチ受信を行うように各RF部に指示をしたり、無線信号の受信強度が不十分の場合には、その通信を中止したりする。
【0032】
また、ベースバンド部105は、RF部102a〜102cに入力される無線信号の内容に応じたフォーマットのデジタル信号に変換するように、A/D変換器103a〜103cに指示する。それにより、それらの値を無線信号の内容に応じて適切な値とすることができる。無線信号の内容とは、無線信号の種類(DTV放送用の信号、データ通信用の信号など、またはQPSK,QAMなどの変調方式)、自身(無線信号)の優先度合い、通信の状況などのことであり、フォーマットとは、サンプリングレート、ビット数(語長)などのことである。無線信号の種類や優先度合い(優先度情報)は、無線信号に記述されていてもよいし、ベースバンド部105が、それらの情報とA/D変換器やRF部など
を対応付けて記憶していてもよい。本実施例では、上述したように、ベースバンド部105が各RF部の動作を指示するため、当該指示の時点から、無線信号の種類に関する情報は、ベースバンド部105で把握されているものとする。
【0033】
例えば、ベースバンド部105は、無線信号がQPSKで変調された信号の場合には、(振幅情報が不要のため)語長を短くし、QAMで変調された信号の場合には、(振幅情報が必要であるため)語調を長くすればよい。また、無線信号がデータ通信用の信号の場合には伝送能力を高く(語長を長く;サンプリングレートを高く)し、無線信号がDTV放送用の信号の場合には伝送能力を低く(語長を短く;サンプリングレートを低く)してもよい。無線信号の優先度が高い場合には伝送能力を高くし、低い場合には伝送能力を低くしてもよい。通信状況が良い場合には伝送能力を高くし、通信状態が悪い場合には伝送能力を低くしてもよい。なお、どのような場合に伝送能力を高くするかは、ユーザやメーカが適宜設定可能なものとする。
【0034】
また、ベースバンド部105は、RF部102a〜102cに入力される無線信号の内容に応じたスケジューリング方法で分割された無線信号を多重化するように、多重化部104に指示する。本実施例では、多重化部104が、A/D変換器103a〜103cにそれぞれ対応する複数のキュー(不図示)を有しており、複数のキューのそれぞれから数ビットずつ読み出すことにより、無線信号が分割され、多重化される。当該読み出しの順序を制御することによりスケジューリング方法が制御される。なお、キューから1回で読み出すデータのビット数はどのような値(8,32,50,100ビットなど)であってもよく、無線信号毎に異なっていてもよい。
【0035】
以下、分割された無線信号の多重化の例について、図2〜5を用いて説明する。なお、図2〜5は、アンテナ101a〜101cに、無線信号a〜cがそれぞれ入力され、各無線信号が最終的に4つに分割される場合の例である。具体的には、無線信号aは、最終的に分割信号(分割された無線信号)a−1〜4に分割され、無線信号bは、最終的に分割信号(分割された無線信号)b−1〜4に分割され、無線信号cは、最終的に分割信号(分割された無線信号)c−1〜4に分割されるものとする。
【0036】
多重化は、多重化部104が、図2に示すように、無線信号a全体、無線信号b全体、無線信号c全体を順番に読み出すことによってなされてもよい。また、図3に示すように、対応する無線信号を切り換えながら(読み出し対象のキューを切り換えながら)分割信号を1つずつ読み出してもよい。図4に示すように、特定のキューからは、連続して複数の分割信号を読み出してもよい(キュー毎に連続して読み出す分割信号の数を異ならせてもよい。)。図5に示すように、特定のキューから分割信号を読み出さなくてもよい(無線信号の破棄)。
【0037】
図2〜5に示すような多重化において、読み出し順序を異ならせることにより、スケジューリング方法が制御される。
【0038】
具体的には、優先度情報に基づいてスケジューリング方法を決定すれば、優先度合いに応じた適切な通信を行うことが可能となる。例えば、分割された無線信号を、無線信号の優先度合いに応じたスケジューリング方法で多重化する場合には、優先度の高い無線信号ほど早くベースバンド部105に入力されるような順序で分割情報の読み出しを行えばよい。
【0039】
また、通信の状況に基づいてスケジューリング方法を決定すれば、通信状態に応じた適切な通信を行うことが可能となる。例えば、分割された無線信号を、通信の状況に応じたスケジューリング方法で多重化する場合には、通信状態の良い無線信号ほど早くベースバ
ンド部105に入力されるような順序で分割情報の読み出しを行えばよい。
【0040】
なお、無線信号の内容とスケジューリング方法の対応関係は、ユーザやメーカが適宜設定可能なものとする。また、スケジューリング方法は、ベースバンド部105などに無線信号の内容と対応付けて記憶されていてもよいし、通信状態(例えば、無線信号の受信強度)や優先度に基づいて、導出されるものであってもよい。
【0041】
以上述べたように、本実施例に係る通信装置では、ベースバンド部が、複数のRF部に入力される無線信号の内容に応じたスケジューリング方法で分割された無線信号を多重化するように、多重化部に指示する。そのため、そのような順番で読み出されることをベースバンド部が把握していれば、多重化された信号を分解し、各無線信号の内容を把握することができる。それにより、従来のような無駄を無くすことができるため、RF部とベースバンド部との間の伝送経路が少なく、且つ、効率よく通信を行うことが可能となる。
【0042】
(送信時の動作)
次に、本実施例に係る通信装置の各機能が、無線信号送信時に行う動作について説明する。
【0043】
ベースバンド部105は、外部へ送信するデータ(送信データ)を分割し、分割された送信データを時分割多重化する。
【0044】
多重化部104は、ベースバンド部105で時分割多重化された送信データを分割する。そして、分割された送信データ(分割送信データ)を各RF部に振り分ける。具体的には、分割送信データは、各A/D変換器へ伝送される。なお、本実施例では、多重化部104は、ベースバンド部105による多重化のフォーマットを予め把握しているものとする。それにより、分割送信データを正確に各RF部(各A/D変換器)に伝送することができる。
【0045】
A/D変換器103a〜103cは、多重化部から伝送された分割送信データをアナログ信号に変換する。なお、アナログ信号に変換された後の信号は、伝送(入力)された複数の分割送信データからなるアナログ信号へ変換される。
【0046】
RF部102a〜102cは、A/D変換器103a〜103cから出力されたアナログ信号の周波数を、より高い周波数に変換する。具体的には、外部の機器が受信できる程度の周波数まで増幅する。
【0047】
アンテナ101a〜101cは、RF部102a〜102cから出力されたアナログ信号(周波数が変換されたアナログ信号)を外部へ送信する。
【0048】
以上述べたように、本実施例によれば、上記構成により、通信装置から外部への送信時においても、RF部とベースバンド部との間の伝送経路が少なく、且つ、効率よく通信を行うことが可能となる。
【0049】
<実施例2>
以下、実施例2に係る通信装置について説明する。本実施例では、通信装置が外部から無線信号を受信する際の各機能の動作と、通信装置が外部へ無線信号を送信する際の各機能の動作とを別々に説明する。なお、本実施例に係る通信装置の構成は、図1と同様とする。また、実施例1と同様の構成などについてはその記載を省略する。
【0050】
(受信時の動作)
本実施例に係る通信装置の受信時の動作において、アンテナ101a〜101c、RF部102a〜102c、A/D変換器103a〜103cの動作は、実施例1と同様のためその説明は省略する。
【0051】
多重化部104は、A/D変換器103a〜103cから出力される各無線信号(デジタル信号に変換された各無線信号)を分割すると共に、当該分割された無線信号毎にヘッダを付与する。即ち、各無線信号をパケット化する。そして、分割された無線信号(ヘッダが付与された無線信号)を非同期時分割多重化する。即ち、分割された無線信号を非同期式時分割多重化方式で多重化する。ヘッダには、元の無線信号を表す情報が記載されているため、ヘッダを確認することで無線信号を適切に区分けすることができる。
【0052】
また、ヘッダには、例えば、RF部の識別情報が記述される。このときのRF部の識別情報は、元の無線信号が、それぞれ、どのRF部を通過したものなのかを表す情報である。なお、ヘッダに記述される内容は、これに限らない。例えば、無線信号の種類、自身(無線信号)の優先度合い、通信の状況(通信の重要度)などの情報がヘッダに記述されていてもよい。ヘッダに記述する内容は、ベースバンド部105が指示してもよい。
【0053】
ベースバンド部105は、ヘッダに記載されている情報に基づいて、通信装置内の各機能を制御する。
【0054】
例えば、ヘッダに通信の状況を表す情報が記述されている場合には、ベースバンド部105は、当該情報に基づいてRF部102a〜102cの動作の決定する。
【0055】
ヘッダに無線信号の内容を表す情報が記述されている場合には、ベースバンド部105は、当該情報に基づいてA/D変換器103a〜103cでの変換後のフォーマットを決定する。
【0056】
ヘッダに無線信号の内容を表す情報が記述されている場合には、ベースバンド部105は、当該情報に基づいて多重化部104での多重化のスケジューリング方法を決定する。
【0057】
以上述べたように、本実施例に係る通信装置では、分割された無線信号毎にヘッダを付与することにより、ベースバンド部が多重化後の信号のフォーマット(分割信号の読み出し順序)を予め把握する必要が無く(元の無線信号をヘッダから把握することができるため)、より効率よく通信を行うことが可能となる。また、多重化をより柔軟に行うことが可能となる。
【0058】
具体的には、分割された無線信号毎にヘッダを付与することにより、非同期時分割多重化された信号にも対応することができるため、図6のような多重化が可能になる。図6の多重化では、図4のように空きデータ(存在しないデータの読み込み)を無くすことができるため、効率よい通信が行える(実施例1に係る通信装置では、同期式時分割多重方式で多重化される、即ち、予め決められたパターンでキューから信号の読み出しが行われるため、信号の無いキューからも読み出しを行ってしまう)。
【0059】
(送信時の動作)
本実施例に係る通信装置の送信時の動作において、アンテナ101a〜101c、RF部102a〜102c、A/D変換器103a〜103cの動作は、実施例1と同様のためその説明は省略する。
【0060】
ベースバンド部105は、外部へ送信するデータ(送信データ)を分割すると共に、当該分割された無線信号毎にヘッダを付与する。そして、分割された無線信号(ヘッダが付
与された無線信号)を非同期時分割多重化する。
【0061】
ヘッダには、例えば、RF部の識別情報が記述される。このときのRF部の識別情報は、分割された各無線信号の伝送先のRF部(どのRF部を通って外部へ出力するのか)を表す情報である。なお、ヘッダに記述される内容は、これに限らない。例えば、RF部の識別情報ではなく、アンテナやA/D変換器の識別情報であってもよい。
【0062】
多重化部104は、ベースバンド部105で非同期時分割多重化された送信データを分割する。そして、ヘッダに記載されている情報に基づいて、分割された送信データ(分割送信データ)を各RF部に振り分ける。それにより、本実施例では、多重化部104は、ベースバンド部105による多重化のフォーマットを予め把握していなくても、分割送信データを正確に各RF部(各A/D変換器)に伝送することができる。
【0063】
以上述べたように、本実施例によれば、上記構成により、通信装置から外部への送信時においても、より効率よく通信を行うことが可能となる。また、多重化をより柔軟に行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0064】
101a〜101c アンテナ
102a〜102c RF部
103a〜103c A/D変換器
104 多重化部
105 ベースバンド部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線信号を受信する複数のアンテナと、
前記受信された無線信号の周波数を、それぞれ、より低い周波数に変換する複数のRF部と、
前記周波数が変換された無線信号を、それぞれ、デジタル信号に変換する複数のA/D変換器と、
前記デジタル信号に変換された各無線信号を分割し、当該分割された無線信号を時分割多重化する多重化部と、
ベースバンド部と、
を有し、
前記ベースバンド部は、前記複数のRF部に入力される無線信号の内容に応じたスケジューリング方法で前記分割された無線信号を多重化するように、前記多重化部に指示することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記多重化部は、前記デジタル信号に変換された各無線信号を分割すると共に、当該分割された無線信号毎にヘッダを付与し、前記分割された無線信号を非同期時分割多重化する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記ヘッダは、RF部の識別情報を含む
ことを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記ベースバンド部は、前記付与するヘッダの内容を前記多重化部に指示する
ことを特徴とする請求項2または3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記ベースバンド部は、前記複数のRF部に入力される無線信号の内容に応じたフォーマットのデジタル信号に変換するように、前記複数のA/D変換器に指示する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項6】
前記ベースバンド部は、前記複数のアンテナを介して行われる各通信の状況を把握し、それぞれの通信の状況に応じた動作をするように、前記複数のRF部に指示する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項7】
前記分割された無線信号は、自身の優先度合いを表す優先度情報を含み、
前記ベースバンド部は、前記優先度情報に基づいて、前記スケジューリング方法を決定する
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項8】
前記ベースバンド部は、前記複数のアンテナを介して行われる各通信の状況を把握し、それぞれの通信の状況に基づいて、前記スケジューリング方法を決定する
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項9】
前記ベースバンド部は、送信データを分割し、当該分割された送信データを時分割多重化し、
前記多重化部は、前記時分割多重化された送信データを分割し、各RF部に振り分けることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−171851(P2010−171851A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−14083(P2009−14083)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【出願人】(502087460)株式会社トヨタIT開発センター (232)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】