説明

通信装置

【課題】複数の通信端末間で音声通信を行う際に、聴取者の聴取状況を、発話を妨げることなく発話者に対して報知することのできる技術を提供する。
【解決手段】端末10は、他の端末10からデータを受信すると、受信したデータから通知データを抽出する。複数の通知データは通知音合成部13の導通判定部131に供給される。導通判定部131は、供給される通知データが全て「OK」を示す値である場合には、効果音成分が出力されるようにスイッチ部を切り替える一方、それ以外の場合には、効果音成分が出力されないようにスイッチ部を切り替える。通知音合成部13の合成音生成部133は、マイクロホンMCから出力される音声信号に基づいた効果音成分を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信網を介して接続された複数の通信端末を用いて会議を行う遠隔会議システムが普及している。このような遠隔会議システムにおいては、発話者と聴取者が直接対面していないため、発話者が聴取者の反応を感じることが困難であり、自身の声が相手に届いているかを不安に感じる場合がある。そこで、特許文献1には、発話者の不安を解消するために、送信した音声・画像データが受信側においてどのような状態で届いているかを送信側でリアルタイムに表示する技術が提案されている。また、特許文献2には、ネットワークを介して接続された複数の拠点同士で音声データの送受信する音声会議システムにおいて、ネットワークを介して接続された他の拠点(自拠点)から伝送された入力音声のエコーの音声信号を他の拠点に送り返すことにより、送り返された他の拠点にて、相手拠点において期待する明瞭な音声品質で再生されているかを確認することができる技術が提案されている。
【特許文献1】特開2005−269498号公報
【特許文献2】特開2007−274176号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述の特許文献1に記載の技術では、表示モニタが必要であり、表示モニタのない音声会議装置には適用することができない。また、特許文献2に記載の技術では、自身の音声のエコー音を聞いて確認する必要があるが、確認と会話が別々になってしまうため、会話をしながら同時に確認することはできない。
本発明は上述した背景に鑑みてなされたものであり、複数の通信端末間で音声通信を行う際に、聴取者の聴取状況を、発話を妨げることなく発話者に対して報知することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明は、通信ネットワークを介して接続された他の端末から送信されてくるデータを受信する受信手段と、収音手段によって収音された音声を表す音声データを、前記他の端末へ送信する送信手段と、前記収音手段によって収音された音声を表す音声データを用いて、該音声の音響効果の成分を表す効果音成分信号を生成する効果音成分生成手段と、前記受信手段によって受信されるデータを解析し、解析結果に応じて該データが予め定められた条件を満たすか否かを判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果が肯定的である場合に、前記効果音成分生成手段によって生成された効果音成分信号を、放音手段に出力する放音制御手段とを具備することを特徴とする通信装置を提供する。
【0005】
本発明の好ましい態様において、前記受信手段は、複数の端末からデータを受信し、前記判定手段は、前記受信手段によって受信されるデータを前記端末毎に解析し、解析結果に応じて該データが予め定められた条件を満たすか否かを前記端末毎に判定し、前記効果音成分生成手段は、前記判定手段による判定結果が肯定的である端末の数及び割合の少なくともいずれか一方に応じて、生成する効果音成分信号を異ならせてもよい。
【0006】
本発明の更に好ましい態様において、前記受信手段は、複数の端末からデータを受信し、前記判定手段は、前記受信手段によって受信されるデータを前記端末毎に解析し、解析結果に応じて該データが予め定められた条件を満たすか否かを前記端末毎に判定し、前記放音制御手段は、前記判定手段による判定結果が肯定的である端末の数及び割合の少なくともいずれか一方が予め定められた条件を満たす場合に、前記効果音成分信号を前記放音手段に出力してもよい。
【0007】
また、本発明の更に好ましい態様において、前記複数の端末の位置を示す位置データを前記端末毎に記憶する位置データ記憶手段を具備し、前記放音制御手段は、前記放音手段から放音される音声が、前記位置データ記憶手段に記憶された位置データと前記判定手段による前記端末毎の判定結果とに応じた方向に音像定位するように制御してもよい。
【0008】
また、本発明の更に好ましい態様において、前記放音手段による放音の態様を示す放音態様データを、前記端末毎に記憶する放音態様データ記憶手段を具備し、前記放音制御手段は、前記判定手段による判定結果が肯定的である端末に対応する放音態様データの示す放音態様で放音させてもよい。
【0009】
また、本発明の更に好ましい態様において、前記判定手段は、前記受信手段によって受信されるデータから、前記送信手段によって送信された音声データが前記他の端末で正常に再生されているか否かを示す通知データを抽出し、抽出した通知データに応じて判定してもよい。
【0010】
また、本発明の更に好ましい態様において、前記判定手段は、前記受信手段によって受信される音声データの音圧を検出し、検出した音圧が予め定められた条件を満たすか否かを判定してもよい。
【0011】
また、本発明の更に好ましい態様のおいて、前記受信手段は、音声データを含むデータを前記他の端末から受信し、前記判定手段は、前記受信手段によって受信されるデータに含まれる音声データを解析し、解析結果に応じて判定してもよい。
【0012】
また、音声又は音声の特徴を表す照合データを記憶する照合データ記憶手段を具備し、前記判定手段は、前記受信手段によって受信される音声データを前記照合データ記憶手段に記憶された照合データと照合し、照合結果が予め定められた条件を満たす音声データが含まれるか否かを判定してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数の通信端末間で音声通信を行う際に、聴取者の聴取状況を、発話を妨げることなく発話者に対して報知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
<構成>
図1は、この発明の一実施形態である遠隔会議システム1の構成を示すブロック図である。この遠隔会議システム1は、各地に設置された複数の端末10a,10b,10c…が、インターネット等の通信網20に接続されて構成される。なお、以下の説明においては、説明の便宜上、端末10a,10b,10c…を各々区別する必要がない場合には、これらを「端末10」と称して説明する。遠隔会議の参加者が端末10を用いて音声通信を行うことで、遠隔会議が実現される。
【0015】
図2は、端末10の構成の一例を示すブロック図である。図において、マイクロホンMCは、会議に参加している者(以下「参加者」という)が発声した音声を収音し、収音した音声を表す音声信号(アナログ信号)を出力する収音手段である。マイクロホンMCから出力される音声信号は、CODEC16に出力される。CODEC16は、マイクロホンMCから出力される音声信号をデジタルデータに変換する。操作部18は、会議の参加者による操作に応じた信号を出力する。操作部18には、会議の参加者が他の参加者の話をきちんと聞いている旨を入力するための専用のボタンB1が設けられている。以下の説明では、説明の便宜上、ボタンB1が押下されたときに操作部18から出力される信号を「操作信号S1」と称して説明する。操作部18から出力される操作信号S1はパケット合成部17に出力される。パケット合成部17は、操作部18から出力される操作信号S1を検出し、操作信号S1が検出されたタイミングで検出した操作信号S1に応じて通知データを生成する。パケット合成部17は、CODEC16から出力される音声データと、操作部18から出力される操作信号S1に応じた通知データとをパケット化して他の端末10へ送信する。この通知データは、参加者が専用のボタンB1を能動的に押下することによって生成されるデータであるから、会議の参加者が発話者の話をきちんと聞いているかを示すデータとして用いることができる。
【0016】
端末10には、音声通信を行う他の端末10毎にそれぞれデータ受信部22が設けられる。端末10は、他の端末10のそれぞれから受信されるデータを個別に受信する。パケット分離部11は、通信網20を介して接続された他の端末10から送信されてくるデータを受信する。他の端末10から送信されてくるデータには、他の端末10のマイクロホンMCで収音された音声を表す音声データと、他の参加者の聴取状況(参加者が発話者の話をきちんと聞いているか否か)を示す通知データとが含まれる。パケット分離部11は、受信したデータから音声データと通知データとを分離し、音声データをCODEC12に出力するとともに、通知データを通知音合成部13に出力する。CODEC12は、受信された音声データをデコードし、音声ミキサ14に出力する。音声ミキサ14は、複数の他の端末10のそれぞれに対応するCODEC12,12,…から出力される音声信号をミキシングし、加算器15に出力する。
【0017】
通知音合成部13は、パケット分離部11から供給される他端末10の通知データに応じて、聴取者が発話者の話をきちんと聞いているか否かを判定し、判定結果が肯定的である場合に、マイクロホンMCから出力される音声信号を用いて、音声の音響効果の成分を表す効果音成分信号を生成する。
図3は、通知音合成部13の構成の一例を示すブロック図である。図において、導通判定部131は、他の端末10から送信されてくる通知データを端末10毎に判定し、端末10毎の通知データが予め定められた条件を満たすか否かを判定する。この実施形態では、導通判定部131は、他の端末10から受信した通知データの値が全て「OK」を示す値である場合に、予め定められた条件を満たす(以下「導通OK」という)と判定する。一方、他の端末10から受信された通知データのうちの少なくともいずれかひとつが「NG」である場合には、導通判定部131は予め定められた条件を満たさない(以下「導通NG」という)と判定する。スイッチ部132は、導通判定部131の制御によって切り替えられる。導通判定部131は、判定結果が「導通OK」である場合には効果音成分が出力されるようにスイッチ部132を切り替える。一方、判定結果が「導通NG」である場合には、導通判定部131は、効果音成分が出力されないようにスイッチ部132を切り替える。
【0018】
合成音生成部133は、マイクロホンMCから出力される音声信号を用いて、その音声信号の示す音声の音響効果の成分を表す効果音成分信号を生成し、生成した効果音成分信号をスイッチ部132に出力する。ここでは、合成音生成部133は、マイクロホンMCから出力される音声信号を用いて、所定の音響空間において該音声信号の表す音声が放音されたときのリバーブ効果音を表す音声信号(効果音成分信号)を生成する。
図4は、合成音生成部133が行う処理の内容の一例を示す図である。図4(a)は、マイクロホンMCから出力される音声信号の一例を示す図であり、図4(b)は、合成音生成部133が生成する効果音成分信号の一例を表す図である。図において、横軸は時刻を示し、縦軸は振幅を示す。図示のように、合成音生成部133は、マイクロホンMCから出力される音声信号に対してリバーブ効果が付与された音声信号を生成するのではなく、マイクロホンMCから出力される音声信号の表す音声が所定の空間において放音されたときに発生し得るリバーブ効果音のみを表す音声信号を生成する。
【0019】
通知音合成部13から出力される効果音成分信号は、加算器15に出力される。加算器15では、音声ミキサ14から出力される音声信号と通知音合成部13から出力される効果音成分信号とが加算され、スピーカSPに出力される。これにより、スピーカSPからは、他の端末10から受信された音声データの表す音声に加えて、効果音成分が放音される。
【0020】
<動作>
次に、本実施形態の動作について説明する。まず、端末10は相互に音声通信を行う。端末10は、マイクロホンMCで収音した音声を表す音声データを、他の端末10に送信するとともに、他の端末10から通信網20を介して受信される音声データを受信し、受信した音声データをスピーカSPから音として放音する。これにより、遠隔会議が実現される。
【0021】
端末10の利用者は、操作部18を操作して、専用のボタンB1を所定時間長毎に押下しつつ、発話者の話を聞く。ここで、ボタンB1が押下されると、操作部18は、操作された内容に応じて操作信号S1を出力する。マイクロホンMCで収音された音声はCODEC16でコード化されて音声データとしてパケット合成部17に出力される。パケット合成部17は、CODEC16から出力される音声データと操作部18から出力された操作信号S1に応じた通知データとをパケット化して、他の端末10へ送信する。
【0022】
一方、パケット分離部11は、受信したデータから音声データと通知データとを分離し、音声データをCODEC12に出力するとともに、通知データを通知音合成部13に出力する。CODEC12は、供給される音声データをデコードし、音声ミキサ14に出力する。音声ミキサ14は、複数のCODEC12から出力される音声データをミキシングして加算器15に出力する。
【0023】
パケット分離部11で分離された複数の通知データは通知音合成部13の導通判定部131に供給される。導通判定部131は、供給される通知データの値が全て「OK」である場合には、効果音成分信号が出力されるようにスイッチ部132を切り替える一方、それ以外の場合には、効果音成分信号が出力されないようにスイッチ部132を切り替える。
【0024】
通知音合成部13の合成音生成部133は、マイクロホンMCから出力される音声信号を基にして効果音成分信号を生成し、加算器15に出力する。すなわち、通知音合成部13は、他の端末10から受信した通知データの値が全て「OK」である場合に効果音成分信号を出力する。一方、他の端末10から受信した通知データのなかに「NG」であるものが含まれる場合には、スイッチ部132が切り替えられることにより効果音成分信号は出力されない。
【0025】
合成音生成部133から出力される効果音成分信号は、加算器15において、音声ミキサ14から出力される音声信号とミキシングされ、スピーカSPに出力される。これにより、スピーカSPからは、他の端末10から受信された音声データの表す音声に加えて、効果音成分信号の表す効果音成分が放音される。
【0026】
このように、本実施形態によれば、端末10は、マイクロホンMCから出力される音声信号から効果音成分信号を生成し、「導通OK」である場合に効果音成分を再生する。このようにすることにより、聴取者の聴取状況を、発話を妨げることなく発話者に対して報知することができる。
また、本実施形態によれば、接続地点数が多い場合でも全体を総合評価して一つの効果音にするので話者が全体を把握するのが容易になる。
また、本実施形態では、効果音が付与された音声全体ではなく、効果音のみを出力することで、聴取者の聴取状況を発話者に対してより自然に通知することができる。
【0027】
<変形例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。以下にその例を示す。なお、以下の各態様を適宜に組み合わせてもよい。
(1)上述の実施形態では、本発明に係る端末を用いて遠隔会議を行う場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、通信ネットワークを介して講義や講演を行う場合においても本発明を適用することができる。
【0028】
(2)上述の実施形態では、合成音生成部133は、マイクロホンMCから出力される音声信号を用いてリバーブ効果音を表す効果音成分信号を生成したが、生成する効果音成分信号はこれに限らず、例えば、エコーやサラウンド効果等の効果音を表す音声信号であってもよく、空間系エフェクトの効果音(音響成分)を表す音声信号であればどのようなものであってもよい。
また、合成音生成部133が生成する効果音成分信号は音響成分を表す音声信号に限らず、例えば、音声信号との差が所定度となるようなハモリ音を表す音声信号を効果音成分信号として生成してもよい。
【0029】
(3)上述の実施形態では、他の端末10から受信した通知データが全て「OK」である場合にのみ効果音成分を放音するようにしたが、効果音成分を放音する判定の態様はこれに限らず、例えば、他の端末10から受信した通知データの過半数が「OK」である場合に効果音成分を放音するようにしてもよく、また、他の端末10から受信した通知データにおいて「OK」のものが予め定められた閾値以上ある場合に、効果音成分を放音するようにしてもよい。要は、他の端末10のうちの導通がOKである端末の数及び割合の少なくともいずれか一方が予め定められた条件を満たす場合に効果音成分信号を出力するようにすればよい。
【0030】
また、上述の実施形態において、端末10が、通知データが「OK」である端末10の数や割合に応じて、生成する効果音成分信号を異ならせるようにしてもよい。この場合は、例えば、通知音合成部13が、「OK」を示す通知データの数が多いほど(すなわち聞いている人が多いほど)音響効果が高くなる(効果音が豪華になる)ように効果音成分信号を生成するようにしてもよい。この場合は、発話者の話を聴取している者が多いほど発話者の声に対する空間エフェクトが豪華になっていくから、これにより、発話者は、聴取者が多いほど気持ちよく話すことができる。また、例えば、端末10が、通知データが「OK」である端末10の数が多いほど効果音の音圧を大きくするようにしてもよく、また、例えば、通知データが「OK」である端末10の数に応じた和音を放音するようにしてもよい。また、例えば、通知データが「OK」である端末10の割合が大きいほど高い音程の効果音を放音するようにしてもよい。
【0031】
また、上述の実施形態において、端末10が、聞いている人が少ない(「NG」を示す通知データの数が多い)場合に、効果音成分に代えてオーディエンスの雑音や口笛音を放音するようにしてもよい。
また、上述の実施形態では、「導通OK」である場合に効果音を放音するようにしたが、これに限らず、例えば、「導通NG」と判定された場合に効果音を放音するようにしてもよく、端末10の設計等に応じて適宜変更可能である。要は、聴取者の聴取状況(発話者の話を聞いているか否か、音声通信が正常に確立されているか否か、等)を、発話者に対して報知し得る態様であればよい。
【0032】
(4)上述の実施形態では、利用者によって専用のボタンB1が押下された旨を示す通知データを用いたが、通知データはこれに限らず、通知音合成部13が、端末10のマイクロホンMCによって収音された音声を表す音声データを解析することによって通知データを生成するようにしてもよい。要は、端末10が、自端末から送信した音声データが他の端末で正常に再生されているか否かを示すデータを通知データとして用いるようにしてもよい。要は、相手がきちんと話を聞いている(又は通信が正常に接続されている)ことを示す情報であればどのようなものであってもよい。
【0033】
(5)上述の実施形態では、他の端末10から受信する通知データの値を判定することによって、導通がOKか否かを判定したが、導通の判定方法はこれに限らず、例えば、他の端末10から受信する音声データを解析し、解析結果に応じて判定するようにしてもよい。より具体的には、例えば、他の端末10から受信される音声データの音圧を検出し、検出した音圧が予め定められた条件を満たす場合に、導通OKであると判定するようにしてもよい。
【0034】
また、他の例として、例えば、他の端末10から受信される音声データからうなずき音が検出されるか否かによって判定するようにしてもよい。この場合の具体的な構成の一例について、図5を参照しつつ説明する。図5に示す端末10Aにおいて、パケット分離部11,CODEC12,通知音合成部13,加算器15,CODEC16,パケット合成部17は、上述した実施形態における端末10の各部と同様であり、ここではその詳細な説明を省略する。図5において、メモリ24には、うなずき音声やうなずき音声の特徴を表す照合用データが記憶されている。音声解析部23は、他の端末10から受信された音声データをメモリ21に記憶された照合データと照合し、受信した音声データから照合結果が予め定められた条件を満たすデータ(以下「うなずき音データ」という)を検出する。音声解析部23は、予め定められた頻度でうなずき音データが検出されている場合には「OK」を示す導通情報を通知音合成部13に出力する一方、それ以外の場合には「NG」を示す導通情報を通知音合成部13に出力する。なお、通知音合成部13の動作は上述の実施形態と同様であり、ここではその詳細な説明を省略する。
すなわち、この態様では、相手が話しを聞いているか否かをうなずき音声データが検出されるか否かによって判定する。うなずき音声データの検出の態様としては、照合用データと照合して検出するようにしてもよく、また、他の端末10から受信された音声データを解析し、音声認識できなかったものをうなずき音声として検出するようにしてもよい。
【0035】
(6)また、上述の実施形態において、画像解析によってうなずき動作を検出するようにしてもよい。この場合は、端末10に利用者を撮影する撮影手段を設ける構成とし、端末10が、撮影手段から出力される映像データを画像解析し、解析結果に応じてうなずき動作を検出し、うなずき動作が検出されたか否かを判定するようにすればよい。
【0036】
(7)上述の実施形態において、端末10が、他の端末10の位置情報に応じて、放音する効果音をパンニングするようにしてもよい。この場合は、他の端末10の位置を示す位置データを他の端末10毎に記憶しておき、端末10が、端末10毎の判定結果と各端末の位置情報とに応じた方向に音像定位するように制御するようにしてもよい。
【0037】
(8)上述の実施形態において、端末10が、話者のジェスチャーを検出し、検出結果に応じた効果音を放音するようにしてもよい。この場合、ジェスチャーは国によって意味が異なるため、国毎にデータベースを異ならせるようにしてもよい。具体的には、端末10に利用者を撮影する撮影手段を設ける構成とし、端末10が、撮影手段から出力される映像データを画像解析し、解析結果を予め定められたデータベースに登録された照合用データと照合して話者のジェスチャーを検出し、検出したジェスチャーに対応する効果音を、ジェスチャーと効果音との対応関係を記憶するデータベースを参照して特定し、特定した効果音を放音するようにしてもよい。
【0038】
(9)上述の実施形態における端末10又は端末10Aの各部は、ハードウェアとして構成されてもよく、また、CPU(Central Processing Unit)等の制御部がハードウェア等の記憶手段に記憶されたコンピュータプログラムを実行することによってソフトウェアとして実現するようにしてもよい。また、この場合、制御部によって実行されるプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスクなど)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータが読取可能な記録媒体に記録した状態で提供し得る。また、インターネットのようなネットワーク経由で各装置にダウンロードさせることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】遠隔会議システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図2】端末の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】通知音合成部の構成の一例を示すブロック図である。
【図4】合成音生成部が行う処理の内容を説明するための図である。
【図5】端末の構成の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0040】
1…遠隔会議システム、10…端末、11…パケット分離部、12…CODEC、13…通知音合成部、14…音声ミキサ、15…加算器、16…CODEC、17…パケット合成部、18…操作部、20…通信網、24…メモリ、23…音声解析部、22…データ受信部、131…導通判定部、132…スイッチ部、133…合成音生成部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークを介して接続された他の端末から送信されてくるデータを受信する受信手段と、
収音手段によって収音された音声を表す音声データを、前記他の端末へ送信する送信手段と、
前記収音手段によって収音された音声を表す音声データを用いて、該音声の音響効果の成分を表す効果音成分信号を生成する効果音成分生成手段と、
前記受信手段によって受信されるデータを解析し、解析結果に応じて該データが予め定められた条件を満たすか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果が肯定的である場合に、前記効果音成分生成手段によって生成された効果音成分信号を、放音手段に出力する放音制御手段と
を具備することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記受信手段は、複数の端末からデータを受信し、
前記判定手段は、前記受信手段によって受信されるデータを前記端末毎に解析し、解析結果に応じて該データが予め定められた条件を満たすか否かを前記端末毎に判定し、
前記効果音成分生成手段は、前記判定手段による判定結果が肯定的である端末の数及び割合の少なくともいずれか一方に応じて、生成する効果音成分信号を異ならせる
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記受信手段は、複数の端末からデータを受信し、
前記判定手段は、前記受信手段によって受信されるデータを前記端末毎に解析し、解析結果に応じて該データが予め定められた条件を満たすか否かを前記端末毎に判定し、
前記放音制御手段は、前記判定手段による判定結果が肯定的である端末の数及び割合の少なくともいずれか一方が予め定められた条件を満たす場合に、前記効果音成分信号を前記放音手段に出力する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記複数の端末の位置を示す位置データを前記端末毎に記憶する位置データ記憶手段を具備し、
前記放音制御手段は、前記放音手段から放音される音声が、前記位置データ記憶手段に記憶された位置データと前記判定手段による前記端末毎の判定結果とに応じた方向に音像定位するように制御する
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記放音手段による放音の態様を示す放音態様データを、前記端末毎に記憶する放音態様データ記憶手段
を具備し、
前記放音制御手段は、前記判定手段による判定結果が肯定的である端末に対応する放音態様データの示す放音態様で放音させる
ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項6】
前記判定手段は、前記受信手段によって受信されるデータから、前記送信手段によって送信された音声データが前記他の端末で正常に再生されているか否かを示す通知データを抽出し、抽出した通知データに応じて判定する
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項7】
前記判定手段は、前記受信手段によって受信される音声データの音圧を検出し、検出した音圧が予め定められた条件を満たすか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項8】
前記受信手段は、音声データを含むデータを前記他の端末から受信し、
前記判定手段は、前記受信手段によって受信されるデータに含まれる音声データを解析し、解析結果に応じて判定する
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項9】
音声又は音声の特徴を表す照合データを記憶する照合データ記憶手段
を具備し、
前記判定手段は、前記受信手段によって受信される音声データを前記照合データ記憶手段に記憶された照合データと照合し、照合結果が予め定められた条件を満たす音声データが含まれるか否かを判定する
ことを特徴とする請求項8に記載の通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−21924(P2010−21924A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−182538(P2008−182538)
【出願日】平成20年7月14日(2008.7.14)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】