説明

通気回転装置

【課題】多量の粒状物を均一に加熱することができる通気回転装置を提供する。
【解決手段】本発明の通気回転装置1は、筒状の収容容器2の内部に収容される粒状物に対して、収容容器2の内部に導入される接触用気体を接触させるものであり、前記粒状物を収容容器2を介して加熱するヒーター8と、収容容器2の長さ方向に沿った軸を回転軸として収容容器2を回転させる駆動装置9とを備え、収容容器2の内部は、ヒーター8からの熱を伝導することにより前記粒状物を加熱する仕切り板2a…が、収容容器2の長さ方向に沿って設けられることにより複数の領域2b…に仕切られており、各領域2b…に前記粒状物が収容される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多量の粒状物と気体とを反応させる場合に、該粒状物を均一に加熱しながら、粒状物と気体とを接触させる通気回転装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、活性炭を製造する場合は、粒状物の炭素と、水蒸気や二酸化炭素などの気体とを加熱しながら反応させる。このとき、反応を効率よく行うためには、粒状物と気体とを互いに十分に接触させる必要がある。また、粒状物と気体とを反応させる場合だけでなく、湿潤した粒状物を乾燥させる場合、または粒状物にガス分子を吸着させる場合にも、粒状物と気体とを互いに十分に接触させる必要がある。
【0003】
粒状物と気体とを接触させるために用いられている装置としては、通気回転装置がある。通気回転装置は、回転する円柱状の容器に粒状物を入れ、上記容器に気体を通すことにより、粒状物と気体とを接触させるものである。
【0004】
また、活性炭を製造する場合のように、粒状物と気体とを反応させるときや、湿潤した粒状物を乾燥させるとき等には、粒状物に対して加熱しながら、該粒状物と気体とを接触させることがある。このような粒状物に対する加熱は、通気回転装置の容器の内部または外部に、加熱するための加熱手段を設けることにより行われる。
【0005】
加熱手段を備えた通気回転装置において、多量の粒状物と気体とを加熱しながら接触させる場合には、粒状物を収容する容器を大型化する構成が考えられる。しかしながら、例えば、容器の体積を10倍にしたとしても、該容器の表面積は10の2/3乗となってしまい、該容器に収容された粒状物の容積に対する伝熱面積の比率が小さくなり、該粒状物への伝熱量が低下してしまう。その結果、容器に収容された粒状物が均一に加熱されず、ムラが生じてしまう。
【0006】
そこで、粒状物への伝熱量を下げることなく、多量の粒状物と気体とを接触させるために、粒状物を収容する容器に複数の筒を設けることにより、粒状物が接触する表面積を増加させている多筒式通気回転装置が知られている。以下に、従来の多筒式通気回転装置の構成について図4を参照して説明する。図4は、従来の多筒式通気回転装置に備えられる粒状物を収容する多筒式容器101を示す斜視図である。
【0007】
図4に示すように、従来の多筒式通気回転装置に備えられた粒状物を収容するための所定の長さを有する円筒状の多筒式容器101は、熱伝導率の大きな材料からなり、その長さ方向に沿って設けられた6つの貫通孔である収容筒102を有している。各収容筒102は、多筒式容器101の長さ方向に垂直な断面の中心から等距離に設けられている。これにより、収容筒102に収容された粒状物は、該粒状物の容積に対する伝熱面積の比率が大きくなり、該粒状物に対する伝熱量が大きくなる。その結果、多量の粒状物を均一に加熱しながら気体を接触させることが可能となる。
【0008】
また、特許文献1には、多筒炉芯管を有した熱処理炉が記載されている。上記多筒炉芯管を構成する複数の炉芯管は、略円形状のパイプで構成されており、略同一円周上に配置されている。これにより、各炉芯管内の被熱処理物を均一に熱処理することができ、同一種類の被熱処理物を多数同時に熱処理することが可能である。
【0009】
また、特許文献2には、外筒内に内管と外管との二重管構造からなる複数本の内筒を収納した多筒型ロータリーキルンが記載されている。
【特許文献1】特開平7−234073号公報(公開日平成7年9月5日)
【特許文献2】特開2001−91160号公報(公開日平成13年4月6日)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記従来の多筒式通気回転装置は、例えば、粒状物を加熱するための加熱手段が、多筒式容器101の外周面に設けられた場合、または多筒式容器101の長さ方向に垂直な断面の中心を通る位置に設けられた場合、加熱手段と各収容筒102との間には多筒式容器101を構成する材料が存在する。伝熱量は熱が伝導する材料の厚みに反比例するために、加熱手段が放出した熱が各収容筒102に伝導する伝熱量は低くなってしまう。そのため、各収容筒102に収容された粒状物を十分に加熱することができず、該粒状物の加熱にムラが生じるという問題があった。
【0011】
また、特許文献1に記載された熱処理炉は、炉芯管が略円形状のパイプで構成されているために、多筒炉芯管として該炉芯管を略同一円周上に一重に設けた場合には、上述したような問題は生じない。しかしながら、多筒炉芯管として炉芯管を一重に設けた場合では、処理可能な粒状物の量は限られてしまう。そのため、上記熱処理炉において、多量の粒状物を加熱する場合には、炉芯管を同心円上に半径の長さを異ならせて略同一円周上に配置したものを二重、三重に設置している。しかしながら、炉芯管は略円形状のパイプであるために、二重、三重に配置された各炉芯管の間には空間が形成されてしまう。そのため、上記熱処理炉では、多筒炉芯管の中心近傍に配置された炉芯管ほどヒータからの熱が届きにくくなり、各炉芯管に収容された粒状物の加熱にムラが生じてしまう。
【0012】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、多量の粒状物を均一に加熱することができる通気回転装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る通気回転装置は、上記課題を解決するために、筒状の収容容器の内部に収容される粒状物接触用気体を接触させる通気回転装置であって、前記粒状物を前記収容容器を介して加熱する加熱手段と、前記収容容器の長さ方向に沿った軸を回転軸として該収容容器を回転させる回転手段とを備え、前記収容容器の内部は、前記加熱手段からの熱を伝導することにより前記粒状物を加熱する仕切り板が、該収容容器の長さ方向に沿って設けられることにより複数の領域に仕切られており、該各領域に前記粒状物が収容されることを特徴としている。
【0014】
上記構成により、収容容器の内部が該収容容器の長さ方向に沿って設けられた仕切り板によって複数の領域に仕切られており、該各領域に粒状物が収容されるために、本発明の通気回転装置は、従来の多筒式通気回転装置と比較して、同量の粒状物を収容容器の内部に収容した場合、粒状物の容積に対する該粒状物が接触する表面積の比率が大きくなる。
【0015】
また、仕切り板は板状であるために、本発明の通気回転装置の加熱手段から、収容容器を介して、仕切り板により仕切られた各領域に熱を伝導する場合は、加熱手段から、従来の多筒式通気回転装置の多筒式容器101を介して、多筒式容器101に設けられた収容筒102に熱を伝導する場合と比較して、伝熱量が大きい。そのため、加熱手段により収容容器を加熱すると、熱は仕切り板全体に効率よく伝導する。そのため、各領域に収容された粒状物の容積に対する伝熱面積の比率が大きくなり、本発明の通気回転装置は、従来の多筒式通気回転装置と比較して、該粒状物への伝熱量が大きくなる。
【0016】
そして、回転手段により収容容器を回転させ、収容容器の各領域内に接触用気体を導入することにより、各領域に収容された粒状物を、均一に加熱しながら気体と接触させることができる。
【0017】
また、本発明の通気回転装置は、前記回転手段は、前記収容容器の長さ方向に垂直な断面の中心を通る軸を回転軸として該収容容器を回転させる構成であってもよい。
【0018】
上記構成により、収容容器が回転する回転軸が、該収容容器の長さ方向に垂直な断面の中心を通る軸以外の該収容容器の長さ方向に沿った軸である場合と比較して、収容容器が回転するスペースを小さくすることができる。そのため、本発明の通気回転装置は小型化することが可能である。
【0019】
また、本発明の通気回転装置は、前記仕切り板は、金属から構成されていてもよい。
【0020】
上記構成により、加熱手段が収容容器の内部に設けられた場合であっても、外部に設けられた場合であっても、該加熱手段から放出された熱は、該収容容器を介して、該加熱手段近傍の仕切り板から、より効率的に全体の仕切り板に伝導される。そのため、上記加熱手段から放出された熱は、上記仕切り板によって仕切られた各領域に収容された粒状物に対して、より均一に伝導される。
【0021】
また、本発明の通気回転装置は、前記仕切り板は、前記収容容器の長さ方向に垂直な平面で、前記各領域を切断した形状が、同一の形状および同一のサイズとなるように該収容容器に設けられていてもよい。
【0022】
上記構成により、各領域内に収容された粒状物は、該各領域間において、該粒状物の容積に対する伝熱面積の比が同一となるために、均一に加熱される。
【0023】
また、前記仕切り板は、前記収容容器の長さ方向に垂直な平面で切断した断面の形状が、多角形となるように該収容容器に設けられていてもよい。
【0024】
仕切り板により仕切られた領域の収容容器の長さ方向に垂直な断面の形状が円形である場合は、該領域に収容された粒状物は、該収容容器の回転に伴い該領域の内周面を滑るように移動するためほとんど攪拌されない。そこで、本発明の上記構成にすることにより、仕切り板により仕切られた領域に収容された粒状物は、収容容器を回転手段により回転させることにより、該領域の任意の角において保持された粒状物が、該角の隣の角へと移動する。そのため、仕切り板により仕切られた領域の収容容器の長さ方向に垂直な断面の形状が円形である場合と比較して、本発明の仕切り板により仕切られた領域に収容された粒状物は効率よく攪拌される。
【0025】
また、本発明の通気回転装置は、前記多角形の角数n(nは整数)が、3、4、または6であることが好ましい。
【0026】
上記構成は、多角形の収容容器の形状が同一であり、しかも、前記多角形の角数が少ないために、本発明の通気回転装置の製造が容易となる。
【0027】
また、本発明の通気回転装置は、前記加熱手段は、前記収容容器の外周面に設けられていてもよい。
【0028】
従来の多筒式通気回転装置では、加熱手段から放出された熱が、多筒式収容容器に設けられた各収容筒に伝導しにくいために、該各収容筒の外周、すなわち、収容容器の内部に加熱手段としてバーナー等を設ける必要があり、収容容器の構成が複雑になるという問題があった。しかしながら、本発明の通気回転装置は、収容容器の内部が伝熱量の大きい仕切り板により仕切られているために、加熱手段から放出された熱は、該収容容器を介して、該収容容器に設けられた仕切り板に効率よく伝導する。そのため、加熱手段を収容容器の外周面に設けても、上記仕切り板により囲まれた領域に収容された粒状物を、効率よく加熱することができる。したがって、本発明の通気回転装置は、加熱手段を収容容器の外周面に設けることが可能であり、従来のように収容容器の内部に加熱手段を設けるよりも、通気回転装置の製造工程を簡略化することが可能となる。
【0029】
また、本発明の通気回転装置は、前記収容容器の両端には、前記粒状物の該収容容器内部からの流出を防止するための流出防止手段が設けられており、前記流出防止手段は、前記収容容器内部と外部との間で前記接触用気体を通過させる構成であってもよい。
【0030】
上記構成により、収容容器を回転手段により回転させた場合でも、該収容容器の各領域に収容された粒状物が、該収容容器の両端の開口部から外部に流出することを防止することができる。さらに、流出防止手段は、収容容器内部と外部との間で接触用気体を通過させる構成であるために、接触用気体を、外部から収容容器内部に導入し、上記各領域に収容された粒状物に対して接触させ、該収容容器内部から外部へと排出することができる。
【0031】
また、本発明の通気回転装置は、前記流出防止手段は、前記各領域に対応する位置において、前記収容容器内部と外部との間で接触用気体を通過させるための通気孔が少なくとも1つ設けられていてもよい。
【0032】
上記構成により、接触用気体を、流出防止手段に設けられた通気孔を介して外部から収容容器内部に導入し、上記各領域に収容された粒状物に対して接触させ、該収容容器内部から外部へと該通気孔を介して排出することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明に係る通気回転装置は、以上のように、筒状の収容容器の内部に収容される粒状物に接触用気体を接触させる通気回転装置であって、前記粒状物を前記収容容器を介して加熱する加熱手段と、前記収容容器の長さ方向に沿った軸を回転軸として該収容容器を回転させる回転手段とを備え、前記収容容器の内部は、前記加熱手段からの熱を伝導することにより前記粒状物を加熱する仕切り板が、該収容容器の長さ方向に沿って設けられることにより複数の領域に仕切られており、該各領域に前記粒状物が収容されることを特徴としている。
【0034】
上記構成により、収容容器の内部が該収容容器の長さ方向に沿って設けられた仕切り板によって複数の領域に仕切られており、該各領域に粒状物が収容されるために、本発明の通気回転装置は、従来の多筒式通気回転装置と比較して、同量の粒状物を収容容器の内部に収容した場合、粒状物の容積に対する該粒状物が接触する表面積の比率が大きくなる。
【0035】
また、仕切り板は板状であるために、本発明の通気回転装置の加熱手段から、収容容器を介して、仕切り板により仕切られた各領域に熱を伝導する場合は、加熱手段から、従来の多筒式通気回転装置の多筒式容器101を介して、多筒式容器101に設けられた収容筒102に熱を伝導する場合と比較して、伝熱量が大きい。そのため、加熱手段により収容容器を加熱すると、熱は仕切り板全体に効率よく伝導する。そのため、各領域に収容された粒状物の容積に対する伝熱面積の比率が大きくなり、本発明の通気回転装置は、従来の多筒式通気回転装置と比較して、該粒状物への伝熱量が大きくなる。
【0036】
そして、回転手段により収容容器を回転させ、収容容器の各領域内に接触用気体を導入することにより、各領域に収容された粒状物を、均一に加熱しながら気体と接触させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本発明の一実施形態について図1〜図3に基づいて説明する。
【0038】
本発明の通気回転装置は、内部が複数の領域に仕切られた収容容器の該各領域に粒状物を収容し、該粒状物を均一に加熱するとともに、該領域に気体を通すことにより、該粒状物と気体とを接触させるものである。
【0039】
図1は、本実施形態に係る通気回転装置1の概略構成を示す断面図である。図2は、図1に示した通気回転装置1のA−A’断面を矢印の方向から見た断面図である。
【0040】
図1に示すように、通気回転装置1は、収容容器2と、回転用部材3と、気体導入管(気体導入口)4と、気体導入管支持部材5と、排気管(排気口)6と、排気管支持部材7と、ヒーター(加熱手段)8と、駆動装置(回転手段)9と、導入側流出防止壁(流出防止手段)10と、排気側流出防止壁(流出防止手段)11とを備えた構成である。
【0041】
通気回転装置1は、例えば、活性炭を製造するために、粒状物の炭素と、二酸化炭素や水蒸気などの気体とを加熱しながら、化学反応、乾燥、焼成、賦活などの単位操作を行う場合に用いられる。また、通気回転装置1は、例えば、湿潤した粒状物を乾燥させる場合、または粒状物にガス分子を吸着させる場合にも用いられる。なお、上記粒状物とは、1つの粒径が10mm以下の固体をいう。なお、1つの粒状物は、凝集体または成形体であってもよい。
【0042】
収容容器2は、所定の長さを有した筒状の金属からなる容器であり、気体と接触させる粒状物を内部に収容するためのものである。収容容器2の両端は開口しており、その長さ方向に垂直な断面の形状は正六角形である。収容容器2の内部には、金属からなる複数の仕切り板2a…が収容容器2の長さ方向に沿って設けられている。仕切り板2aは、収容容器2内部に、収容容器2の長さ方向に沿って、収容容器2の一方の端部から他方の端部へと貫通する複数の領域2b…を形成する。また、収容容器2の内部に設けられた全ての領域2bは、収容容器2の長さ方向に垂直な断面において、4辺が同一の長さで形成されたひし形であり、同じサイズを有している。仕切り板2aを構成する金属としては、例えば、SUS310Sや、インコネル600等が好適に用いられる。
【0043】
上記構成により、収容容器2の回転に伴い、領域2bの任意の角において保持された粒状物が、該角の隣の角へと移動するため、領域2bの収容容器2の長さ方向に垂直な断面の形状が円形である場合と比較して、本実施形態の通気回転装置の各領域2bに収容された粒状物は効率よく攪拌される。また、全ての領域2bが同じサイズで形成されているために、各領域2bに収容された粒状物の容積に対する伝熱面積の比率が等しくなり、各領域2bに収容された粒状物を均一に加熱することが可能となる。
【0044】
なお、収容容器2は、本実施形態では、その長さ方向に垂直な断面の形状が正六角形であるが、本発明はこれに限られず、その内部に粒状物を収容可能な構成であればよい。また、収容容器2を構成する材料は、本実施形態では金属としているが、特に限定されるものではなく、熱伝導率の大きな材料であればよい。
【0045】
また、仕切り板2aを構成する材料も、本実施形態では金属としているが、特に限定されるものではなく、熱伝導率の大きな材料であればよい。また、仕切り板2aの厚みは、領域2bに収容された粒状物の荷重に耐性を有しており、かつ、各領域2bに収容された粒状物を均一に加熱することが可能な所定の伝熱量を保持できる厚みであればよい。すなわち、仕切り板2aを構成する金属および仕切り板2aの厚みとしては、通気回転装置1の用途に応じて適宜最適な材料および厚みを用いればよい。
【0046】
また、領域2bの収容容器2の長さ方向に垂直な断面における形状は、本実施形態ではひし形としているが、本発明はこれに限られない。すなわち、領域2bの収容容器2の長さ方向に垂直な断面における形状は、図3に示すように、正三角形であってもよい。さらに、領域2bの収容容器2の長さ方向に垂直な断面における形状は、正四角形であってもよく、収容容器2を駆動装置9によって回転させた際に、領域2bの内部に収容された粒状物が効率よく攪拌されるように多角形であればよい。
【0047】
なお、領域2bの収容容器2の長さ方向に垂直な断面における形状は、角数n(nは整数)が、3、4、または6であることがより望ましい。
【0048】
また、収容容器2の両端の開口部には、収容容器2の内部に収容された粒状物が外部へ流出されることを防止するために、板状の導入側流出防止壁10および排気側流出防止壁11が設けられている。導入側流出防止壁10および排気側流出防止壁11は、収容容器2の内部に収容された粒状物が、収容容器2が回転したときに外部に流出することを防止するとともに、接触用気体が通過できるサイズの貫通孔である導入側通気孔(通気孔)10aおよび排気側通気孔(通気孔)11aが各領域2bに対応するように設けられている。
【0049】
なお、導入側流出防止壁10および排気側流出防止壁11は、本実施形態では板状としているが、本発明ではこれに限られず、領域2bからの粒状物の流出を防止できる構成であればよい。
【0050】
また、導入側通気孔10aおよび排気側通気孔11aは、各領域2bに対応する位置に設けられていればよく、いくつ設けられていてもかまわない。また、本実施形態では、導入側流出防止壁10および排気側流出防止壁11は、接触用気体を通過させるために導入側通気孔10aおよび排気側通気孔11aが設けられているが、本発明はこれに限られない。つまり、導入側流出防止壁10および排気側流出防止壁11は、収容容器2の内部に収容された粒状物が外部へ流出されることを防止することができ、接触用気体を通過させることができる構成であればよい。
【0051】
ヒーター8は、収容容器2を加熱するためのものであり、回転用部材3の外周面に設けられている。ヒーター8は固定されており、回転用部材3とは接続されていない。なお、本発明ではヒーター8は上記構成に限られない。つまり、ヒーター8は、回転用部材3に接続されていてもよく、収容容器2を加熱できる構成であればかまわない。また、常温で反応、乾燥(含浸液体の蒸発)、気体の吸着などを行う場合には、ヒーター8は、電源を切るなどして使用しなくてもよい。また、乾燥などにおいて熱を必要とする場合であっても、ヒーター8を使用するのではなく、熱した接触用気体を気体導入管4から導入する構成であってもかまわない。
【0052】
回転用部材3は、収容容器2の外周面全体に設けられており、収容容器2をヒーター8に対して自在に回転させるためのものである。収容容器2の外周面の長さ方向に垂直な断面の形状が多角形であり、かつ、ヒーター8は固定されているために、収容容器2をヒーター8に対して自在に回転させるためには、収容容器2の外周面の長さ方向に垂直な断面の形状を円形になるように調節することが望ましい。そのため、回転用部材3の収容容器2に接している側の面の形状は、長さ方向に垂直な断面が多角形の収容容器2の外周面と係合する形状である。そして、回転用部材3の収容容器2に接している側の面とは反対側の面の形状は、収容容器2および回転用部材3がヒーター8に対して自在に回転可能となるように、収容容器2の長さ方向に垂直な断面が円形となっている。これにより、収容容器2は、固定されたヒーター8に対して自在に回転することが可能となる。
【0053】
なお、ヒーター8が放出した熱は、回転用部材3を介して収容容器2に伝導されるために、回転用部材3は熱伝導率の高い材料から構成されていることが望ましい。
【0054】
気体導入管4は、収容容器2内に上記粒状物と接触させるための接触用気体を導入するためのものであり、収容容器2の一方の端部において、収容容器2の開口部を覆うように設けられている。気体導入管4は、ヒーター8の外周面に設けられた気体導入管支持部材5に接続されている。なお、気体導入管4と気体導入管支持部材5との間は、接触用気体が外部に漏れないように、シールされている。
【0055】
なお、気体導入管4および気体導入管支持部材5は、上述した構成に限られない。つまり、接触用気体を外部に漏らすことなく、収容容器2の各領域2bに対して接触用気体を導入できる構成であればよい。ヒーター8が収容容器2と共に回転する場合は、気体導入管4および気体導入管支持部材5は、ヒーター8の回転に伴い回転してもかまわない。また、気体導入管支持部材5は、ヒーター8が回転する場合であっても、回転しないような構成であってもかまわない。
【0056】
排気管6は、収容容器2の気体導入管4が接続されている端部とは反対側の端部において、収容容器2の各領域2bから接触用気体等を外部に排気するためのものである。排気管6は、収容容器2の気体導入管4が接続されている端部とは反対側の端部において、収容容器2の開口部を覆うように設けられている。排気管6は、回転用部材3の外周面に設けられた排気管支持部材7に接続されている。なお、排気管6と排気管支持部材7との間は、粒状物と接触し終えた接触用気体などが外部に漏れないように、シールされている。
【0057】
なお、排気管6および排気管支持部材7は、上述した構成に限られない。つまり、接触用気体を外部に漏らすことなく、収容容器2の各領域2bから排出された接触用気体を排気できる構成であればよい。ヒーター8が回転用部材3に接続されており、収容容器2と共に回転する場合は、駆動装置9をヒーター8の外周面に設けることができるため、ヒーター8が回転用部材3の外周面全体に設けられており、排気管6および排気管支持部材7がヒーター8の外周面に接続されていてもよい。また、排気管支持部材7は、ヒーター8が回転する場合であっても、回転しないような構成であってもかまわない。
【0058】
駆動装置9は、収容容器2を回転させるためのものである。駆動装置9は、回転用部材3の外周面を一周するように設けられた回転用部材と上記回転用部材を回転させるためのモーターから構成される。駆動装置9は、収容容器2の長さ方向に垂直な断面の中心を通る軸を回転軸として、収容容器2を回転させる。なお、本実施形態では、駆動装置9が収容容器2を回転させるための回転軸を、収容容器2の長さ方向に垂直な断面の中心を通る軸としたが、本発明はこれに限られない。つまり、駆動装置9が収容容器2を回転させるための回転軸は、収容容器2の長さ方向に沿っていればよい。
【0059】
次に、本実施形態の通気回転装置1において、収容容器2内に収容された粒状物と気体導入管4から導入される気体とを接触させる動作について説明する。
【0060】
まず、気体と接触させる粒状物は収容容器2の各領域2bの内部に略均等に導入される。そして、駆動装置9が収容容器2および回転用部材3を回転させることにより、収容容器2の各領域2bの内部に保持された上記粒状物は攪拌される。また、ヒーター8が回転用部材3に対して熱を放出することにより、熱は、回転用部材3および収容容器2を介して、仕切り板2a全体に伝導される。そして、ヒーター8から放出された熱は、仕切り板2aによって仕切られた各領域2bに収容された上記粒状物に伝導される。そこに、収容容器2の各領域2b内に、気体導入管4から上記粒状物に接触させるための接触用気体が導入側流出防止壁10に設けられた導入側通気孔10aを介して導入される。導入された接触用気体は、各領域2bに収容された上記粒状物と接触したあと、排気側流出防止壁11に設けられた排気側通気孔11aを介して、排気管6から外部に排気される。
【0061】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の通気回転装置は、粒状物と気体とを効率的に接触させることができるため、例えば、化学反応、乾燥、加熱、焼成、焼却、気体の吸着などに好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の通気回転装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】図1に示した通気回転装置のA−A’断面を矢印の方向から見た断面図である。
【図3】図2に示した通気回転装置の他の一例を示す断面図である。
【図4】従来の多筒式通気回転装置に備えられた多筒容器の概略構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0064】
1 通気回転装置
2 収容容器
2a 仕切り板
2b 領域
3 回転用部材
4 気体導入管(気体導入口)
5 気体導入管支持部材
6 排気管(排気口)
7 排気管支持部材
8 ヒーター(加熱手段)
9 駆動装置(回転手段)
10 導入側流出防止壁(流出防止手段)
10a 導入側通気孔(通気孔)
11 排気側流出防止壁(流出防止手段)
11a 排気側通気孔(通気孔)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の収容容器の内部に収容される粒状物に接触用気体を接触させる通気回転装置において、
前記粒状物を前記収容容器を介して加熱する加熱手段と、
前記収容容器の長さ方向に沿った軸を回転軸として該収容容器を回転させる回転手段とを備え、
前記収容容器の内部は、前記加熱手段からの熱を伝導することにより前記粒状物を加熱する仕切り板が、該収容容器の長さ方向に沿って設けられることにより複数の領域に仕切られており、該各領域に前記粒状物が収容されることを特徴とする通気回転装置。
【請求項2】
前記回転手段は、前記収容容器の長さ方向に垂直な断面の中心を通る軸を回転軸として該収容容器を回転させることを特徴とする請求項1に記載の通気回転装置。
【請求項3】
前記仕切り板は、金属からなることを特徴とする請求項1または2に記載の通気回転装置。
【請求項4】
前記仕切り板は、前記収容容器の長さ方向に垂直な平面で、前記各領域を切断した形状が、同一の形状および同一のサイズとなるように該収容容器に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の通気回転装置。
【請求項5】
前記仕切り板は、前記収容容器の長さ方向に垂直な平面で、前記各領域を切断した形状が、多角形となるように該収容容器に設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の通気回転装置。
【請求項6】
前記多角形の角数n(nは整数)は、3、4、または6であることを特徴とする請求項5に記載の通気回転装置。
【請求項7】
前記加熱手段は、前記収容容器の外周面に設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の通気回転装置。
【請求項8】
前記収容容器の両端には、前記粒状物の該収容容器内部からの流出を防止するための流出防止手段が設けられており、
前記流出防止手段は、前記収容容器内部と外部との間で前記接触用気体を通過させることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の通気回転装置。
【請求項9】
前記流出防止手段は、前記各領域に対応する位置において、前記収容容器内部と外部との間で接触用気体を通過させるための通気孔が少なくとも1つ設けられていることを特徴とする請求項8に記載の通気回転装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−25946(P2008−25946A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−201067(P2006−201067)
【出願日】平成18年7月24日(2006.7.24)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】