説明

通知装置、通知方法、通知装置に用いるプログラムおよび集積回路

【課題】本発明の課題は、センサが検出した情報に基づいて判定した緊急事態を、緊急事態の緊急度に適した任意の通知形態により、ユーザに通知する通知装置、通知方法、通知装置に用いるプログラムおよび通知装置の集積回路を提供することである。
【解決手段】本発明の通知装置は、センサ230が検出した情報に基づいて判定した緊急事態を通知する通知装置260であって、前記センサ230が検出した情報を取得する第1取得部と、前記第1取得部により取得した前記情報に基づいて判定した緊急事態の緊急度を取得する第2取得部と、前記第2取得部により取得した前記緊急度に対応する、前記緊急事態を通知する通知形態を選択する選択部と、前記選択部により選択した前記通知形態により前記緊急事態を通知する通信装置250と、を備えるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサが検出した情報に基づいて判定した緊急事態を遠隔地にいるユーザに通知する通知装置、通知方法、通知装置に用いるプログラムおよび集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、セキュリティに対する関心が高まっており、企業や団体に限らず、個人のセキュリティ環境の整備に対するニーズも高まってきている。それに伴い、セキュリティ産業が盛んになり、様々なセキュリティシステムが開発、提案されている。
【0003】
特に、インターネットの常時接続にみられるネットワーク環境の整備に伴い、ネットワークを利用したセキュリティシステムが、個人単位で普及してきている。また、高度な機能を搭載した通信端末を利用して、遠隔地のユーザに緊急事態を通知するセキュリティシステムも開発、提案されており、ネットワークを利用したセキュリティシステムの多様化も同時に進行してきている。
【0004】
通信端末を利用したセキュリティシステムの一例をあげると、通信装置が、センサが検出した情報に基づいて判定した緊急事態を、TV電話を使って遠隔地にいるユーザの通信端末に通知するものや、動画付きメールを使って遠隔地にいるユーザの通信端末に通知するものなどが存在する。(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、同一環境に複数のセンサを設置し、センサが検出した情報に基づいて判定した緊急事態を、センサごとに通知形態の異なる通信装置によりユーザに通知するセキュリティシステムも存在する(例えば、特許文献2参照)。このセキュリティシステムにより、一つ通知形態が使用不可となった場合も別の通知形態によりセンサが検出した情報をユーザに通知することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−284247号公報
【特許文献2】特開2002−117470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述のセキュリティシステムでは、センサが検出した情報に基づいて判定した緊急事態を遠隔地にいるユーザの通信端末に通知する通知形態が固定されており、緊急事態の緊急度に適した通知形態で通知されていない場合がある。
【0008】
例えば、緊急事態を常にメールで通知する通知装置では、ユーザが所有する通信端末によってはメールを受信するまでに時間がかかり、ユーザの緊急事態への対応が遅れてしまう可能性がある。また、緊急事態を常にTV電話で通知する通知装置では、通信コストが高くなり易く、ユーザに経済的な負担を強いることになる。
【0009】
具体的には、一人暮らしの老人の家に設置したセキュリティシステムにおいて、緊急事態を常にメールで通知する場合、パケット通信を利用するメールではメールサーバや受信側の通信端末の状況によってユーザへの受信が遅れることがある。緊急事態が老人の危機的状況を通知する内容だった場合、ユーザがメールを受信するまでに遅延時間が発生することは、その危機的状況を悪化させることになりかねない。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、センサが検出した情報に基づいて判定した緊急事態を、緊急事態の緊急度に適した任意の通知形態により、ユーザに通知する通知装置、通知方法、通知装置に用いるプログラムおよび通知装置の集積回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の通知装置は、センサが検出した情報に基づいて判定した緊急事態を通知する通知装置であって、前記センサが検出した情報を取得する第1取得手段と、前記第1取得手段により取得した前記情報に基づいて判定した緊急事態の緊急度を取得する第2取得手段と、前記第2取得手段により取得した前記緊急度に対応する、前記緊急事態を通知する通知形態を選択する選択手段と、前記選択手段により選択した前記通知形態により前記緊急事態を通知する通知手段と、を備えるものである。
【0012】
従来の通知装置は、センサが検出した情報に基づいて緊急事態を判定した場合、その緊急事態の情報を遠隔地にいるユーザに通知する通知形態が固定されていたため、緊急事態の緊急性に適した通知形態で緊急事態の情報を通知できない場合があった。この構成によれば、緊急事態の緊急性に適した任意の通知形態により緊急事態の情報をユーザに通知するため、ユーザは効果的に緊急事態の情報を知ることができる。
【0013】
また、本発明の通知装置は、前記緊急度と前記通知形態との対応関係を記憶する記憶手段を備え、前記選択手段が、前記対応関係を参照し、前記第2取得手段により取得した前記緊急度に対応する前記通知形態を選択するものを含む。
【0014】
この構成によれば、予め記憶した、緊急事態の緊急性とその緊急事態を通知する通知形態との対応関係に基づいて、緊急事態の緊急性に応じた通知形態を選択するため、緊急事態の緊急性に適した通知形態を迅速に選択することができる。
【0015】
また、本発明の通知装置は、前記対応関係を設定する設定手段を備えるものを含む。
【0016】
この構成によれば、ユーザは、緊急事態の緊急性に応じた、その緊急事態を通知する通知形態を予め設定することができるため、ユーザにとって利用し易い通知形態を設定することができる。
【0017】
また、本発明の通知装置は、前記第1取得手段が、少なくとも前記センサが検出した、温度、音量、画像、または、所定ボタンの押下を含む、情報を取得するものを含む。
【0018】
この構成によれば、細分化された緊急事態の緊急性に適した任意の通知形態により緊急事態の情報をユーザに通知するため、ユーザは効果的に緊急事態の情報を知ることができる。
【0019】
また、本発明の通知装置は、前記通知形態が、非同期通信を利用した通知形態を含む。
【0020】
また、本発明の通知装置は、前記通知形態が、電子メールを含む。
【0021】
この構成によれば、電子メールなどの非同期通信により緊急事態をユーザに通知するため、緊急事態をデータ量の少ないテキスト、静止画で通知することで、緊急事態の通知にかかる通信コストを抑えることができる。
【0022】
また、本発明の通知装置は、前記通知形態が、同期通信を利用した通知形態を含む。
【0023】
また、本発明の通知装置は、前記通知形態が、音声通信またはTV電話を含む。
【0024】
この構成によれば、電話回線などの即時性の高い同期通信により緊急事態をユーザに通知するため、緊急事態がユーザに通知されるまでに発生する遅延時間を抑えることができる。
【0025】
また、本発明の通知装置は、前記選択手段が、映像を含む。
【0026】
この構成によれば、映像通信により緊急事態をユーザに通知するため、ユーザは視覚的に緊急事態を確認することができ、その緊急事態に適切に対応することができる。
【0027】
本発明の通知方法は、センサが検出した情報に基づいて判定した緊急事態を通知する通知方法であって、前記センサが検出した情報を取得する第1の取得ステップと、前記第1の取得ステップで取得した前記情報に基づいて判定した緊急事態の緊急度を取得する第2の取得ステップと、前記第2の取得ステップで取得した前記緊急度に対応する、前記緊急事態を通知する通知形態を選択する選択ステップと、前記選択ステップで選択した前記通知形態により前記緊急事態を通知する通知ステップと、を有するものである。
【0028】
本発明のプログラムは、センサが検出した情報に基づいて判定した緊急事態を通知することをコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記センサが検出した情報を取得する第1の取得ステップと、前記第1の取得ステップで取得した前記情報に基づいて判定した緊急事態の緊急度を取得する第2の取得ステップと、前記第2の取得ステップで取得した前記緊急度に対応する、前記緊急事態を通知する通知形態を選択する選択ステップと、前記選択ステップで選択した前記通知形態により前記緊急事態を通知する通知ステップと、をコンピュータに実行させるためのものである。
【0029】
本発明の集積回路は、本発明の通知装置を構成する回路を搭載したものである。
【0030】
この構成によれば、緊急事態の緊急性に適した任意の通知形態により緊急事態の情報をユーザに通知するため、ユーザは効果的に緊急事態の情報を知ることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の通知装置、通知方法、通知装置に用いるプログラムおよび集積回路によれば、センサが検出した情報に基づいて判定した緊急事態を、緊急事態の緊急度に適した任意の通知形態により、ユーザに通知するため、ユーザは効果的に緊急事態の情報を知ることができる。
【0032】
具体的には、本発明の通知装置は、緊急事態の緊急度が高いものである場合、即時性の高い音声電話によりユーザに通知するため、ユーザが緊急事態を通知されるまでに発生する遅延時間を抑えることができる。また、本発明の通知装置は、緊急事態の緊急度の低いものである場合、パケット交換方式のメール通信によりユーザに通知するため、緊急事態の通知にかかる通信コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態の通知装置を含むセキュリティシステムの概観図
【図2】本発明の実施の形態の通知装置のハードウェア構成図
【図3】本発明の実施の形態の通知装置のソフトウェア構成図
【図4】本発明の実施の形態の通知装置の処理手順
【図5】本発明の実施の形態の通知装置の通知形態情報テーブル
【図6】本発明の実施の形態の通知装置のセンサ情報テーブル
【図7】本発明の実施の形態の通知装置のセンサ情報検出例を示す概観図
【図8】本発明の実施の形態の通知装置が送信する、テキストの電子メールの表示画面
【図9】本発明の実施の形態の通知装置が送信する、静止画を含む電子メールの表示画面
【図10】本発明の実施の形態の通知装置が送信する、動画を含む電子メールの表示画面
【図11】本発明の実施の形態の通知装置のWEB映像の表示画面
【図12】本発明の実施の形態の通知装置の集積回路の構成例
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の通知装置の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0035】
図1に、本発明の実施の形態の通知装置を含むセキュリティシステムの概観図を示す。セキュリティシステムは、物や音、温度などを検出するセンサ230と、住宅101に設置された緊急通知装置260と、ユーザ102が所持している遠隔地の携帯電話103とを含んで構成されている。
【0036】
緊急通知装置260は、センサ230から入力された情報に基づいて判定した緊急事態をユーザに通知するよう制御する制御部200と、メール通信や音声電話、TV電話などの複数の通信形態を含む通信網104により緊急事態をユーザに通知する通信装置250と、ユーザが緊急通知装置260の機能を設定する入力ボタン240とを含んで構成される。センサ230および入力ボタン240はその目的から、住宅101内に設置する必要があるが、制御部200、通信装置250は、センサ230および入力ボタン240に有線または無線により接続されていれば良く、必ずしも、住宅101内にある必要はない。
【0037】
次に、緊急通知装置260のハードウェア構成について、図2に示す本発明の実施の形態の通知装置のハードウェア構成図を参照して説明する。
【0038】
CPU201は、センサ230から入力された情報から緊急事態が発生したことを判定し、その緊急事態の緊急度に適した通知形態を選択し、選択した通知形態を選択結果出力部209に出力する。ROM202は、CPU201が実行するプログラムを記憶し、RAM203は、そのプログラム実行時に用いられる、発生した緊急事態の緊急度や緊急度に適した通信形態などのデータを記憶する。
【0039】
選択結果出力部209は、CPU201が選択した通知形態により緊急事態を通知するよう通信装置250に指示し、通信装置250は、選択された通知形態により通信する旨を遠隔地の携帯電話103に通知する。その結果、選択した通知形態により遠隔地の携帯電話103と通信することができる。
【0040】
また、センサ230で検出した情報を静止画に変換する静止画コーデック204、動画に変換する動画コーデック205、音声に変換する音声コーデック211がある。なお、上記コーデックはセンサ230で検出したデータの変換のみならず、ユーザ102との通信によるデータ変換にも使用される。
【0041】
続いて、緊急通知装置260に用いるプログラムの構成について、図3に示す本発明の実施の形態の通知装置のソフトウェア構成図を参照して説明する。
【0042】
ROM202に記憶されているプログラムは、センサ情報検出ステップ300、通知形態選択ステップ301、緊急度設定ステップ302、緊急度保存ステップ303、通知形態出力ステップ304を含んで構成される。上記プログラムの動作概要を、図4に示す、本発明の実施の形態の通知装置の処理手順を参照して説明する。
【0043】
センサ情報検出ステップ300では、CPU201がセンサの検出した情報を取得する処理を実行する(S401)。通知形態選択ステップ301では、CPU201がRAM203を参照して、センサの検出した情報から判定した緊急事態の緊急度を取得し(S402)、取得した緊急度に対応する通知形態を選択する処理を実行する(S403)。そして、通知形態出力ステップ304では、CPU201が、選択した通知形態を通信装置250に出力する処理を実行する(S404)。
【0044】
緊急度設定ステップ302は、ユーザからの入力を、センサが検出した情報と緊急事態の緊急度との対応関係、及び、緊急度と通知形態との対応関係として設定する処理を実行する。また、緊急度保存ステップ303は、緊急度設定ステップ302で設定された、センサが検出した情報と緊急事態の緊急度との対応関係、及び、緊急度と通知形態の対応関係を、RAM203に書き込む処理を実行すると共に、通知形態選択ステップ301の読み出し指示に応じて、RAM203から読み出す処理を実行する。センサが検出した情報と緊急事態の緊急度との対応関係の設定方法、及び、緊急度と通知形態との対応関係の設定方法は、具体的な設定例とともに後述する。
【0045】
次に、一人暮らしの老人の家に緊急通知装置260を設置した場合の利用例について説明する。
【0046】
まず、緊急度と通知形態との対応関係の設定方法について、図5の本発明の実施の形態の通知装置の通知形態情報テーブルを参照して説明する。緊急通知装置260が備える通知形態の種類を、通知形態情報500の通知形態520に設定し、各通知形態の緊急度の値を、緊急度510に設定する。緊急度510の値は、小さな値ほど緊急度合いが低く、大きな値ほど緊急度合いが高いことを示している。
【0047】
具体的な設定例を説明する。通知形態データ531には、通知形態520として「メール」と、緊急度510として「1」が設定される。通知形態データ532には、通知形態520として「写真付きメール」と、緊急度510として「2」が設定される。通知形態データ533には、通知形態520として「動画付きメール」と、緊急度510として「3」が設定される。通知形態データ534には、通知形態520として「WEBカメラ」と、緊急度510として「4」が設定される。通知形態データ535には、通知形態520として「音声電話」と、緊急度510として「5」が設定される。通知形態データ536には、通知形態520として「TV電話」と、緊急度510として「6」が設定される。
【0048】
以上のように、一般に緊急度が低い場合は、非同期通信を利用した通知形態を用い、緊急事態をデータ量の少ないテキスト、静止画で通知することで、通信コストを抑えることができる。逆に、緊急度が高い場合は、TV電話を含む電話回線などの即時性の高い同期通信を利用した通知形態を用いることで、迅速に緊急事態をユーザに知らせることできる。
【0049】
次に、センサ230が検出した情報と緊急度の対応関係の設定方法について、図6の本発明の実施の形態の通知装置のセンサ情報テーブルを参照して説明する。
【0050】
センサ230には、物体の動きを検出する人体センサ、室温を計測できる温度センサ、音量を検出する音声センサ、特定の範囲を撮影できるカメラセンサ、振動を検出する振動センサなどがあり、家の敷居や玄関、トイレや風呂場などに設置することとする。センサ230の種類として上記以外の例も適用可能であることは言うまでもない。
【0051】
センサ230が検出する情報の種類を、センサ情報検出ステップ300によって検出し、センサ情報600のセンシング結果620に設定する。そして、各センシング結果620について緊急度610を設定する。緊急度の値は、小さな値ほど緊急度合いが低く、大きな値ほど緊急度合いが高いことを示している。この緊急度は上述した通知形態情報500において設定した緊急度510と同一の指標である。
【0052】
具体的な設定例を説明する。センサ情報データ631には、センシング結果620として「2時間以内の部屋移動」と、緊急度610として「1」が設定される。センサ情報データ632には、センシング結果620として「30分間で家の音量が緩やかに増加」と、緊急度610として「1」が設定される。センサ情報データ633には、センシング結果620として「訪問者あり」と、緊急度610として「2」が設定される。センサ情報データ634には、センシング結果620として「外出」と、緊急度610として「3」が設定される。センサ情報データ635には、センシング結果620として「2時間〜3時間の部屋移動なし」と、緊急度610として「4」が設定される。センサ情報データ636には、センシング結果620として「30分間で家の音量が急激に増加」と、緊急度610として「5」が設定される。センサ情報データ637には、センシング結果620として「3時間以上の部屋移動なし」と、緊急度610として「6」が設定される。センサ情報データ638には、センシング結果620として「30分間で室温が5度以上の上昇」と、緊急度610として「6」が設定される。センサ情報データ639には、センシング結果620として「通信依頼」と、緊急度610として「6」が設定される。
【0053】
上述の緊急度の値が設定された通知形態情報500及びセンサ情報600は、緊急度保存ステップ303を実行することでRAM203に格納される。
【0054】
センサが検出した情報から緊急度を取得する方法について、図7の本発明の通知装置のセンサ情報検出例の概観図を参照して説明する。老人701が住宅101でTV702を見ている状況において、緊急通知装置260は、音声センサ704からTV702の音量が増加している音量情報を入力されているとする。緊急通知装置260は、例えば、音声センサ704から、TV702の音量が緩やかに増加し、30分間でその音量が+10dB増加している音量情報を入力されているとすると、この入力された音量情報を事前に設定したセンサ情報600の「30分間で家の音量が緩やかに増加」に該当するセンシング結果(センシング情報データ632)と判定する。その結果、センシング結果(センシング情報データ632)に対応する緊急度610「1」を参照して、緊急度610「1」を取得し、緊急度「1」の緊急事態として判断する。また、画面220に表示したTV702の音量の推移のように、TV702の音量がグラフ上で角度+15度の傾きをもって増加した音量情報を、事前に設定したセンサ情報600の「音量が時間当たり+15度増加」に該当するセンシング結果620と判定するようにしてもよい。
【0055】
また別の例では、老人701の住宅101に設置されたスピーカ703から、ある時間に大音量のアラーム音が発生したとする。緊急通知装置260は、音声センサ704からスピーカ703の音量が急激に増加している音量情報を入力されているとする。緊急通知装置260は、例えば、スピーカ703の音量が急激に増加し、30分間で音量が+50dB増加している音量情報を入力されているとすると、この入力された音量情報を事前に設定したセンサ情報600の「30分間で家の音量が急激に増加」に該当するセンシング結果(センシング情報データ636)と判定する。その結果、センシング結果(センシング情報データ636)に対応する緊急度610「5」を参照して、緊急度610「5」を取得し、緊急度「5」の緊急事態として判断する。画面220に表示したスピーカ703の音量の推移のように、スピーカ703の音量がグラフ上で角度+45°の傾きをもって増加した音量を、事前に設定したセンサ情報600の「音量が時間当たり+45°増加」に該当するセンシング結果620と判定するようにしてもよい。
【0056】
次に、上述の方法により取得した緊急度から通知形態を選択する方法について具体的に説明する。
【0057】
センサが検出した情報が「2時間以内の部屋移動」の場合、センサ情報データ631の緊急度610は「1」に設定されているので、通知形態データ531の緊急度510が「1」に設定されている通知形態520「メール」を選択し、選択結果出力部209に伝える。選択結果出力部209は、通知形態を「メール」として、通信装置250に出力する。センサ情報データ631に「1」を設定した理由は、2時間以内の部屋移動は日常の行動のため、緊急事態と考え難いことから設定した。送信形式は、図8に示す、テキストの電子メールの表示画面におけるメール800のような形式であり、テキスト801により構成されている。センサが検出した情報の緊急度が低い場合、非同期通信を利用したメール通信により緊急事態をユーザに通知するため、ユーザは通信コストを抑えることができる。
【0058】
また、センサが検出した情報が、「訪問者あり」の場合、センサ情報データ633の緊急度610は「2」に設定されているので、通知形態データ532の緊急度510が「2」に設定されている通知形態520「写真付きメール」を選択し、選択結果出力部209に伝える。選択結果出力部209は、通知形態を「写真付きメール」として、通信装置250に出力する。センサ情報データ633に「2」を設定した理由は、訪問者が来たという情報を伝達するときに訪問者の写真があれば、訪問者が誰なのか認識し易いことから設定した。送信形式は、図9に示す、静止画を含む電子メールの表示画面におけるメール900のような形式であり、テキスト901に加え、より情報量の多い静止画902を含んで構成されている。センサが検出した情報の緊急度がそれほど高くない場合、非同期通信を利用したメール通信によりその緊急事態の静止画像をユーザに通知することで、ユーザは通信コストを抑えつつ、その緊急事態の状況を視覚的に知ることができる。
【0059】
また、センサが検出した情報が、「外出」の場合、センサ情報データ634の緊急度610は「3」に設定されているので、通知形態データ533の緊急度510が「3」に設定されている通知形態520「動画付きメール」を選択し、選択結果出力部209に伝える。選択結果出力部209は、通知形態を「動画付きメール」として、通信装置250に出力する。センサ情報データ634に「3」を設定した理由は、外出したという情報を伝達するときに外出時の動画があれば、外出した人物、もしくは動物が認識できることから設定した。送信形式は、図10に示す、動画を含む電子メールの表示画面におけるメール1001と動画ビューア1002のような形式で、テキスト1006に加え、アイコン1003に関連付けられた静止画より情報量が多い動画で構成されている。
【0060】
動画閲覧方法としては、外出中のユーザ102がメール1001を受信して、動画付きを示すアイコン1003を選択することで、動画ビューア1002が起動し、住宅101のセキュリティシステムから送信された動画を閲覧することができる。この動画は、停止ボタン1004、再生ボタン1005によって制御できる。センサが検出した情報の緊急度がそれほど高くない場合、非同期通信を利用したメール通信によりその緊急事態の動画像をユーザに通知することで、ユーザは通信コストを抑えつつ、その緊急事態の状況を適切に判断することができる。
【0061】
また、センサが検出した情報が、「2時間〜3時間の部屋移動なし」の場合、センサ情報データ635の緊急度610は「4」に設定されているので、通知形態データ534の緊急度510が「4」に設定されている通知形態520「WEBカメラ」を選択し、選択結果出力部209に伝える。選択結果出力部209は、通知形態を「WEBカメラ」として、通信装置250に出力する。センサ情報データ635に「4」を設定した理由は、2時間以上も部屋移動がないことは心配要因であるが、睡眠している可能性もあるので、映像のみのチェックを行うために設定した。送信形式は、図11のWEB映像の表示画面に示す、メール1101とWEB映像ビューア1102に対するURL1103を付加した形式である。WEBカメラ映像の閲覧方法は、外出中のユーザ102がメール1101を受信して、WEBカメラ参照先URL1103を選択することで、WEB映像ビューア1102が起動し、住宅101のセキュリティシステムから送信されたWEB映像を閲覧することができる。この映像は、停止ボタン1104、再生ボタン1105によって制御できる。この結果、非同期通信を利用したWEB経由の通信により緊急事態の状況を映像でユーザに通知することで、ユーザは通信コストを抑えつつ、リアルタイムで緊急事態の状況を確認することができる。
【0062】
また、センサが検出した情報が、「30分間で家の音量が急激に増加」の場合、センサ情報データ636の緊急度610は「5」に設定されているので、通知形態データ535の緊急度510が「5」に設定されている通知形態520「音声電話」を選択し、選択結果出力部209に伝える。選択結果出力部209は、通知形態を「音声電話」として、通信装置250に出力する。センサ情報データ636に「5」を設定した理由は、どんな音が鳴っているかの確認のために音声電話を設定した。電話回線などの即時性の高い同期通信を利用した音声電話により緊急事態をユーザに通知することで、緊急事態を通知されたユーザは迅速に緊急事態に対応することができる。
【0063】
また、センサが検出した情報が、「老人からの通信依頼」の場合、センサ情報データ637の緊急度610は「6」に設定されているので、通知形態データ536の緊急度510が「6」に設定されている通知形態520「TV電話」を選択し、選択結果出力部209に伝える。選択結果出力部209は、通知形態を「TV電話」として、通信装置250に出力する。センサ情報データ637に「6」を設定した理由は、監視対象である老人自らの依頼は緊急事態の可能性が高いため設定した。緊急度510が「5」の場合は音声電話のみであったが、より緊急度の高い場合は、即時性が高くかつ視覚的に緊急事態をユーザに伝えることができるTV電話通信により通知することで、ユーザは緊急事態を通知されたユーザは迅速にかつ適切な対応が可能となる。
【0064】
なお、本発明の通知装置に用いられるプログラムは、通知装置内のROMに格納され、CPUにより実行される構成としたが、内部記録メディアである不揮発性メモリ等または、外部記録メディアであるハードディスク等にダウンロードして格納され、CPUにより実行される構成としてもよい。ダウンロードされるプログラムの例としては、Java(登録商標)言語により記述されるプログラムが考えられるが、これに限定するものではない。
【0065】
また、本発明の通知装置は、上述のCPU、RAM、ROM等のハードウェア資源との組み合わせにより、集積回路であるLSIとして実現される場合がある。このLSIは、個別に1チップ化されても良いし、一部又はすべてを含むように1チップ化されても良い。
【0066】
図12に本発明の実施の形態の通知装置の集積回路の構成例を示す。LSI5000は集積化した回路の一例を示し、集積化した回路の機能ブロックの範囲の例である。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製作後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)やLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用しても良い。さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の通知装置、通知方法、通知装置に用いるプログラム及び通知装置の集積回路は、センサが検出した情報に基づいて判定した緊急事態を、緊急事態の緊急度に適した任意の通知形態により、ユーザに通知するため、ユーザは効果的に緊急事態の情報を知ることができるという効果を有し、センサが検出した情報に基づいて判定した緊急事態を遠隔地にいるユーザに通知することに関して有用である。
【符号の説明】
【0068】
101 住宅
102 ユーザ
103 携帯電話
104 通信網
200 制御部
230 センサ
240 入力ボタン
250 通信装置
260 緊急通知装置
300 センサ情報検出ステップ
301 通知形態選択ステップ
302 緊急度設定ステップ
303 緊急度保存ステップ
304 通知形態出力ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声センサが検出した情報に基づいて判定した緊急事態を通知する通知装置であって、
前記音声センサが検出した情報を取得する第1取得手段と、
前記第1取得手段により取得した前記情報に基づいて判定した緊急事態の緊急度を取得する第2取得手段と、
前記第2取得手段により取得した前記緊急度に対応する、前記緊急事態を通知する通知形態を選択する選択手段と、
前記選択手段により選択した前記通知形態により前記緊急事態を通知する通知手段と、を備え、
前記第1取得手段は、前記音声センサの検出した情報が、音量が所定値に到達したことである場合、情報を取得する通知装置。
【請求項2】
物体の動きを検出する人体センサが検出した情報に基づいて判定した緊急事態を通知する通知装置であって、
前記人体センサが検出した人体の移動情報を取得する第1取得手段と、
前記第1取得手段により取得した前記情報に基づいて判定した緊急事態の緊急度を取得する第2取得手段と、
前記第2取得手段により取得した前記緊急度に対応する、前記緊急事態を通知する通知形態を選択する選択手段と、
前記選択手段により選択した前記通知形態により前記緊急事態を通知する通知手段と、を備え、
前記第1取得手段は、前記人体センサの検出した情報が、人体移動の有無情報である場合、情報を取得する通知装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の通知装置であって、
前記選択手段は、前記緊急度が低い場合は前記通知形態に非同期通信を選択し、前記緊急度が高い場合は前記通知形態に同期通信を選択する通知装置。
【請求項4】
請求項1または3に記載の通知装置であって、
前記第1取得手段は、前記音声センサの検出した情報が、音量の増加率が所定値に到達したことである場合、情報を取得する通知装置。
【請求項5】
請求項4に記載の通知装置であって、
前記音量の増加率が2つの閾値を設けられており、
前記選択手段は、前記音量の増加率が第2の値よりも低い第1の値に到達し、第2の値に到達しない場合、非同期通信を選択し、前記音量の増加率が第1の値よりも高い第2の値に到達した場合、同期通信を選択する通知装置。
【請求項6】
請求項2に記載の通知装置であって、
前記第1取得手段は、前記人体センサの検出した情報が、人体移動の情報有りであり、且つその状態が所定時間以上に持続している、情報を取得する通知装置。
【請求項7】
請求項6に記載の通知装置であって、
前記人体センサの検出した情報が、人体移動の情報有りであり、且つその状態が所定時間以上に持続している場合、
前記選択手段は、非同期通信を選択する通知装置。
【請求項8】
請求項2に記載の通知装置であって、
前記第1取得手段は、前記人体センサの検出した情報が、人体移動の情報なしであり、且つその状態が所定時間以上に持続している、情報を取得する通知装置。
【請求項9】
請求項8に記載の通知装置であって、
前記人体センサの検出した情報が、人体移動の情報なしであり、且つその状態が所定時間以上に持続している場合、
前記選択手段は、同期通信を選択する通知装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の通知装置であって、
前記通知形態は、電子メール、音声通信、TV電話の少なくとも1つを含む通知装置。
【請求項11】
請求項10に記載の通知装置であって、
前記通知形態は、前記非同期通信の場合、電子メールである通知装置。
【請求項12】
請求項9に記載の通知装置であって、
前記通知形態は、前記同期通信の場合、音声通信またはTV電話を含む通知装置。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の通知装置であって、
前記選択手段は、映像を含む、前記通知形態を選択する通知装置。
【請求項14】
音声センサが検出した情報に基づいて判定した緊急事態を通知する通知方法であって、
前記音声センサが検出した情報を取得する第1取得ステップと、
前記第1取得ステップにより取得した前記情報に基づいて判定した緊急事態の緊急度を取得する第2取得ステップと、
前記第2取得ステップにより取得した前記緊急度に対応する、前記緊急事態を通知する通知形態を選択する選択ステップと、
前記選択ステップにより選択した前記通知形態により前記緊急事態を通知する通知ステップと、
を備え、
前記第1取得ステップにおいて、前記音声センサの検出した情報が、音量が所定値に到達したことである場合、情報を取得する通知方法。
【請求項15】
物体の動きを検出する人体センサが検出した情報に基づいて判定した緊急事態を通知する通知方法であって、
前記人体センサが検出した人体の移動情報を取得する第1取得ステップと、
前記第1取得ステップにより取得した前記情報に基づいて判定した緊急事態の緊急度を取得する第2取得ステップと、
前記第2取得ステップにより取得した前記緊急度に対応する、前記緊急事態を通知する通知形態を選択する選択ステップと、
前記選択ステップにより選択した前記通知形態により前記緊急事態を通知する通知ステップと、
を備え、
前記第1取得ステップにおいて、前記人体センサの検出した情報が、人体移動の有無情報である場合、情報を取得する通知方法。
【請求項16】
音声センサが検出した情報に基づいて判定した緊急事態を通知するコンピュータである通知装置に、
前記音声センサが検出した情報を取得する第1取得ステップと、
前記第1取得ステップにより取得した前記情報に基づいて判定した緊急事態の緊急度を取得する第2取得ステップと、
前記第2取得ステップにより取得した前記緊急度に対応する、前記緊急事態を通知する通知形態を選択する選択ステップと、
前記選択ステップにより選択した前記通知形態により前記緊急事態を通知する通知ステップと、
前記第1取得ステップにおいて、前記音声センサの検出した情報が、音量が所定値に到達したことである場合、情報を取得すること、
を実現させるためのプログラム。
【請求項17】
物体の動きを検出する人体センサが検出した情報に基づいて判定した緊急事態を通知するコンピュータである通知装置に、
前記人体センサが検出した人体の移動情報を取得する第1取得ステップと、
前記第1取得ステップにより取得した前記情報に基づいて判定した緊急事態の緊急度を取得する第2取得ステップと、
前記第2取得ステップにより取得した前記緊急度に対応する、前記緊急事態を通知する通知形態を選択する選択ステップと、
前記選択ステップにより選択した前記通知形態により前記緊急事態を通知する通知ステップと、
前記第1取得ステップにおいて、前記人体センサの検出した情報が、人体移動の有無情報である場合、情報を取得すること、
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−96277(P2011−96277A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287693(P2010−287693)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【分割の表示】特願2004−201809(P2004−201809)の分割
【原出願日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】