説明

通知装置

【課題】無線装置の搭載の有無に関係なく、車両の接近を通知する技術を提供する。
【解決手段】通知装置10は、交差点を中心としたエリア内に設置される。アンテナ60、無線部62、FFT部64、復調部66は、車両に搭載された無線装置からの信号を受信する。検出部68は、受信した信号をもとに、車両が交差点に接近していることを検出する。通知部70は、検出した接近に関する情報を通知する。取得部72は、通知装置10が設置された交差点とは別のエリアに設置された信号機の点灯色に関する情報を取得する。通知部70は、車両の接近を検出した場合であっても、取得した情報に含まれた点灯色によっては、通知を延期する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通知技術に関し、特に車両の接近を通知する通知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
信号機が設置されていない交差点や見通しの悪い交差点に複数の車両が交差するように進入する場合、運転者の判断によって、一方が先に交差点を通過する。しかしながら、各車両の運転者による判断が異なる場合もあり、そのような場合に衝突事故が発生しやすくなる。これに対応するために、路上装置と車載装置において通信を実行することによって、路側装置は、車両の進入許可/不許可を判定する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−294065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ITS(Intelligent Transport Systems)車車間通信システムは、アプリケーションのひとつとして、見通し外にある自車両の位置や速度情報などを他車両へ通知する。この通知によって、見通しの悪い交差点等での出会い頭車両衝突事故防止が期待される。このようなITS車車間通信システムを利用して、信号機が設置されていない交差点や見通しの悪い交差点での衝突事故発生の抑制が望まれる。また、このような交差点での衝突事故では、車両だけでなく、車載器を携帯しない歩行者をまきこむ可能性がある。そのため、車載器を携帯しない歩行者にも、ITS車車間通信システムのメリットを享受できる方が望ましい。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、無線装置の搭載の有無に関係なく、車両の接近を通知する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の通知装置は、交差点を中心としたエリア内に設置された通知装置であって、車両に搭載された無線装置からの信号を受信する受信部と、受信部において受信した信号をもとに、車両が交差点に接近していることを検出する検出部と、検出部において検出した接近に関する情報を通知する通知部と、を備える。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、無線装置の搭載の有無に関係なく、車両の接近を通知できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例に係る通信システムの構成を示す図である。
【図2】図1の車両に搭載された無線装置の構成を示す図である。
【図3】図1の通知装置の構成を示す図である。
【図4】図4(a)−(e)は、図3の通知部の構成を示す図である。
【図5】図5(a)−(c)は、図3の通知部の別の構成を示す図である。
【図6】図3の通知装置における通知処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を具体的に説明する前に、概要を述べる。本発明の実施例は、車両に搭載された無線装置間においてデータ通信を実行する通信システムに関する。無線装置は、車両の速度や位置等の情報(以下、これらを「データ」という)を格納したパケット信号(以下、データが格納されたパケット信号を「データ」ということもある)を送信する。一方、無線装置は、他の無線装置によって送信されたパケット信号を受信するとともに、データをもとに、当該他の無線装置が搭載された他の車両の接近を認識する。ここでは、効率よく複数の無線装置にデータを受信させるために、送信としてブロードキャスト送信がなされるものとする。車両の運転者は、他の車両の接近を認識するので、信号機が設置されていない交差点等における衝突事故の発生は低減される。しかしながら、前述のごとく、交差点には、歩行者や、無線装置を搭載していない車両も存在する。これらは、パケット信号を受信することによって、車両の接近を認識できないが、衝突事故にまきこまれないように対策すべきである。これに対応するために、本実施例に係る通信システムは次の処理を実行する。
【0011】
本実施例に係る通信システムでは、信号機が設置されていない交差点に通知装置が設置される。例えば、通知装置は、カーブミラーに接続されるように構成される。通知装置は、パケット信号を受信し、データをもとに、無線装置が搭載された他の車両の接近を認識する。また、通知装置は、カーブミラーの鏡面内にライトを有し、他の車両の接近を認識するとライトを点灯させる。歩行者や、無線装置を搭載していない車両の運転者は、点灯したライトを確認することによって、車両の接近を認識する。ライトの点灯によって注意を喚起させるために、ライトは、車両が接近したときだけ点灯している方が望ましい。つまり、点灯期間が長すぎると、警告的要素が低くなり、衝突事故が低減しにくくなる。
【0012】
通知装置が設置された交差点(以下、「第1交差点」という)の近くの交差点(以下、「第2交差点」という)に信号機が設置され、信号機の赤色ライトが点灯している場合、車両は、第2交差点で停止する。車両に搭載された無線装置からのパケット信号が通知装置に受信され、かつ車両が第1交差点に接近していれば、通知装置は、車両の接近を認識し、ライトを点灯させる。しかしながら、車両は停止しているので、ライトの点灯期間が長くなる。このような状況であっても、ライトの点灯期間を短縮させるために、通知装置は、次の処理を実行する。通知装置は、カメラ等の撮像機能を有し、第2交差点に設置された信号機を定期的に撮像する。また、通知装置は、撮像した画像を分析することによって、信号機の点灯色を確認する。点灯色が赤色であれば、通知装置は、第2交差点の方向から接近している車両が存在しても、ライトを点灯させない。
【0013】
図1は、本発明の実施例に係る通信システム100の構成を示す。これは、道路を上方から見た場合に相当する。通信システム100は、車両12と総称される第1車両12a、第2車両12b、第3車両12c、第4車両12d、第5車両12e、第6車両12f、第7車両12g、第8車両12h、通知装置10、信号機16を含む。各車両12には、図示しない無線装置が搭載されている。
【0014】
図示のごとく、図面の水平方向、つまり左右の方向に向かう道路と、図面の垂直方向、つまり上下の方向に向かうふたつの道路とが交差している。ここで、図面の上側が方角の「北」に相当し、左側が方角の「西」に相当し、下側が方角の「南」に相当し、右側が方角の「東」に相当する。また、ふたつの道路の交差部分がふたつあり、左側の交差部分が第2交差点202であり、右側の交差部分が第1交差点200である。前述のごとく、第2交差点202には、信号機16が設置されており、第1交差点200には、通知装置10が配置されている。第1車両12a、第2車両12bが、左から右へ向かって進んでおり、第3車両12c、第4車両12dが、右から左へ向かって進んでいる。また、第5車両12e、第6車両12fが、別の道路を上から下へ向かって進んでおり、第7車両12g、第8車両12hが、別の道路を下から上へ向かって進んでいる。
【0015】
さらに、第1車両12a、第4車両12d、第5車両12e、第7車両12gは、第1交差点200へ進入するところであり、第2車両12b、第3車両12c、第6車両12f、第8車両12hは、第2交差点202へ進入するところである。各車両12に搭載された無線装置は、IEEE802.11等の規格に準拠した無線LAN(Local Area Network)に対応する。当該無線LANでは、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)と呼ばれるアクセス制御機能が使用されている。そのため、無線LANでは、複数の無線装置によって同一の無線チャネルが共有される。なお、本実施例は、無線LANを用いて説明されるが、無線LAN以外の無線技術が使用されてもよい。
【0016】
一方、無線チャネルが共有される無線LANを通信システム100に適用する場合、不特定多数の無線装置へ情報を送信する必要があるために、パケット信号はブロードキャストにて送信される。無線装置は、キャリアセンスを実行して送信可能であると判定した場合に、前述のデータを取得して、データが格納されたパケット信号をブロードキャスト送信する。さらに、各無線装置は、他の無線装置からのデータを受信し、他の無線装置を搭載した車両12の接近を運転手へ通知する。
【0017】
通知装置10は、第1交差点200を中心としたエリア内に設置されたカーブミラーに接続して設置される。通知装置10は、無線装置の受信機能を有し、無線装置からのパケット信号を受信し、無線装置が第1交差点200に接近していることを認識する。また、通知装置10は、カーブミラーの鏡面内にライトを有し、接近を認識した場合にライトを点灯させる。前述のごとく、第1車両12a、第4車両12d、第5車両12e、第7車両12gは、第1交差点200へ進入するところであるが、第2車両12bも第1交差点200へ向かってきている。ここで、第2車両12bと通知装置10との距離は、第2車両12bの無線装置からのパケット信号が通知装置10に受信される程度であるとする。通知装置10は、第1車両12a、第4車両12d、第5車両12e、第7車両12gの無線装置からのパケット信号を受信すると、前述のごとく、ライトを点灯し、これらの車両12の接近を通知する。
【0018】
一方、信号機16が赤色に点灯している場合、第2車両12bは第2交差点202で停止する。ここで、第1車両12a、第4車両12d、第5車両12e、第7車両12gが存在しなければ、通知装置10は、第2車両12bの無線装置からのパケット信号をもとにライトを点灯させる。しかしながら、第2車両12bは第2交差点202に停止しているので、第1交差点200へ到着するまでの期間が長くなる。そのため、車両12が第1交差点200に進入しないにもかかわらず、通知装置10のライトは点灯し続ける。その結果、ライトが点灯しても、歩行者等に注意が喚起されにくくなる。これに対応するために、通知装置10は、撮像機能を有し、信号機16を定期的に撮像する。通知装置10、撮像した画像データを解析することによって、信号機16の点灯色を確認する。点灯色が赤色であれば、通知装置10は、第2車両12bの無線装置からのパケット信号を受信しても、ライトを点灯させない。通知装置10は、点灯色が青色に変化したときに、ライトを点灯させる。
【0019】
図2は、車両12に搭載された無線装置14の構成を示す。無線装置14は、アンテナ20、無線部22、送信部24、受信部26、制御部28を含む。送信部24は、測位部30、生成部32、変調部34、IFFT部36を含む。また、受信部26は、FFT部42、復調部44、通知部46を含む。
【0020】
測位部30は、GPS(Global Positioning System)受信機、ジャイロスコープ、車速センサ等によって構成され、無線装置14が搭載された車両12の存在位置、車両の進行方向、移動速度等を取得する。なお、存在位置は、緯度・経度によって示される。測位部30による存在位置等の取得には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。測位部30は、車両12の存在位置に関する情報(以下、「位置情報」ともいう)、つまり前述のデータを生成部32へ出力する。なお、位置情報には、測位時刻が含まれてもよい。
【0021】
生成部32は、測位部30から、データを取得する。生成部32は、データを格納するようにパケット信号を生成する。また、パケット信号には、本無線装置14を識別するための情報(以下、「識別情報」という)も含まれる。生成部32は、生成したパケット信号を変調部34へ出力する。変調部34は、生成部32からのパケット信号を変調する。変調方式として、BPSK、QPSK、16QAM、64QAM等が規定される。また、変調部34は、変調した結果をベースバンドのパケット信号としてIFFT部36へ出力する。なお、ベースバンドのパケット信号は、周波数領域のOFDM信号に相当する。一般的に、ベースバンドのパケット信号は、同相成分と直交成分によって形成されるので、ふたつの信号線が示されるべきであるが、ここでは、図を明瞭にするためにひとつの信号線だけを示すものとする。
【0022】
IFFT部36は、変調部34から、ベースバンドのパケット信号を入力する。IFFT部36は、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)を実行することによって、周波数領域のOFDM信号を時間領域のOFDM信号へ変換する。なお、時間領域のOFDM信号もベースバンドのパケット信号という。無線部22は、送信処理として、IFFT部36から入力したベースバンドのパケット信号に対して周波数変換を実行し、無線周波数のパケット信号を生成する。さらに、無線部22は、無線周波数のパケット信号をアンテナ20からブロードキャスト送信する。なお、無線部22には、PA(Power Amplifier)、ミキサ、D/A変換部も含まれる。前述のごとく、パケット信号の送信は、IEEE802.11等の規格に準拠した無線LANと同様に、CSMA/CAと呼ばれるアクセス制御機能にしたがってなされる。
【0023】
無線部22は、受信処理として、図示しない他の無線装置14からブロードキャスト送信されたパケット信号をアンテナ20にて受信する。他の無線装置14は、図示しない他の車両12に搭載されている。無線部22は、アンテナ20を介して受信した無線周波数のパケット信号に対して周波数変換を実行し、ベースバンドのパケット信号を生成する。ここで、ベースバンドのパケット信号は、時間領域のOFDM信号である。さらに、無線部22は、ベースバンドのパケット信号をFFT部42へ出力する。また、無線部22には、LNA(Low Noise Amplifier)、ミキサ、AGC、A/D変換部も含まれる。
【0024】
FFT部42は、無線部22からの時間領域のOFDM信号を入力する。FFT部42は、時間領域のOFDM信号に対してFFTを実行することによって、時間領域のOFDM信号を周波数領域のOFDM信号へ変換する。周波数領域のOFDM信号は、複数のサブキャリア信号にて形成される。さらに、FFT部42は、周波数領域のOFDM信号を復調部44へ出力する。復調部44は、FFT部42から周波数領域のOFDM信号を受けつける。復調部44は、周波数領域のOFDM信号を復調する。前述のごとく、周波数領域のOFDM信号は、複数のサブキャリア信号にて形成されているので、復調部44は、複数のサブキャリア信号のそれぞれに対して復調処理を実行する。復調部44は、復調した結果を通知部46へ出力する。
【0025】
通知部46は、復調部44からの復調結果を受けつける。通知部46は、復調結果を処理することによって、パケット信号に含まれた他の車両の存在位置に関する情報を取得する。通知部46は、他の車両の存在位置に関する情報をもとに、他車両12の存在位置や接近等を検出する。その際、通知部46は、測位部30から、自車両の存在位置に関する情報を受けつけていてもよい。また、通知部46は、図示しないモニタやスピーカを介して、運転者へ接近等を通知する。運転者が、他の車両の接近を認識することによって、衝突事故が防止される。なお、他の車両の接近をモニタにて通知する場合、通知部46は、カーナビゲーション装置によって表示される地図画像上に他の車両の画像を合成してもよい。制御部28は、無線装置14全体のタイミングを制御する。
【0026】
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0027】
図3は、通知装置10の構成を示す。通知装置10は、アンテナ60、無線部62、FFT部64、復調部66、検出部68、通知部70、取得部72、制御部74を含む。アンテナ60、無線部62、FFT部64、復調部66は、図2のアンテナ20、無線部22、FFT部42、復調部44と同様のタイプである。そのため、ここでは、図2との差異を中心に説明する。
【0028】
アンテナ60、無線部62、FFT部64、復調部66は、車両12に搭載された無線装置14からの信号を受信する。復調部66は、復調結果を検出部68へ出力する。取得部72は、撮像機能を有し、所定の間隔で撮像を実行する。ここで、取得部72は、図1の第2交差点202に設置された信号機16を撮像する。また、取得部72は、撮像した画像データを解析することによって、信号機16の点灯色を特定する。具体的に説明すると、取得部72は、画像データに撮像された信号機16のうち、赤色ライト、黄色ライト、青色ライトがそれぞれ配置される位置を予め認識している。
【0029】
また、取得部72は、撮像した画像データのうち、赤色ライトの部分の輝度、黄色ライトの部分の輝度、青色ライトの部分の輝度を取得し、取得した輝度を比較することによって、最大の輝度に対応したライトの色を特定する。特定したライトの色が、信号機16の点灯色に相当する。つまり、取得部72は、本通知装置10が設置された第1交差点200とは別のエリア、つまり第2交差点202に設置された信号機16の点灯色に関する情報を取得する。取得部72は、点灯色に関する情報を検出部68へ出力する。
【0030】
検出部68は、検出部68からの復調結果として、識別情報および位置情報を受けつける。検出部68は、識別情報および位置情報をもとに、所定の車両12が交差点に接近していることを検出する。ここでは、検出処理をさらに具体的に説明する。識別情報は、車両12に1対1で対応づけられているので、検出部68は、識別情報と位置情報との組合せを識別情報単位に分類する。これは、車両12ごとに位置情報を分類することに相当する。前述のごとく、位置情報には時刻が含まれているので、ひとつの車両12に対する複数の位置情報より、時刻の経過に応じた当該車両12の位置情報の変化が導出される。これは、車両12の移動方向が導出されることに相当する。
【0031】
また、検出部68は、本通知装置10が設置された位置に近接した第1交差点200の位置情報を予め記憶する。ここで、第1交差点200の位置情報は、ある程度の広さ有したエリアとして記憶される。なお、エリアの広さは、道路の幅に応じて決定されればよい。例えば、エリアは、道路の幅をxmとする場合、(x+α)mを半径とした円として規定される。円の中心は、第1交差点200の中心とされる。また、αは、xの10%のように調整される。なお、αはマイナスの値であってもよい。
【0032】
検出部68は、車両12の現在の位置情報と移動方向とをもとに、車両12の将来の位置情報を予想する。例えば、現在の位置情報を移動方向へずらすことによって、車両12の将来の位置情報が予想される。ここで、検出部68が周囲の道路の位置情報を記憶している場合、道路に沿うように、車両12の将来の位置情報が予想されてもよい。将来の位置情報がエリアに含まれる場合、検出部68は、車両12が交差点に接近していると決定する。
【0033】
検出部68は、交差点に接近している車両12の存在位置が、信号機16が設置された交差点、つまり第2交差点202よりも第1交差点200側であるか否かを判別する。第2交差点202よりも第1交差点200側に車両12が存在する場合、検出部68は、車両12の接近を通知部70に通知する。一方、第2交差点202よりも第1交差点200側に車両12が存在しない場合、検出部68は、取得部72からの点灯色に関する情報を取得する。点灯色が青色であれば、検出部68は、車両12の接近を通知部70に通知する。点灯色が青色でない場合、つまり赤色あるいは黄色であれば、検出部68は、車両12の接近を通知部70に通知せずに待機する。点灯色が青色である情報を通知部70から受けつけた場合に、検出部68は、車両12の接近を通知部70に通知する。つまり、検出部68は、車両12の接近を検出した場合であっても、取得部72が取得した情報に含まれた点灯色によっては、通知を延期する。
【0034】
通知部70は、検出部68から、車両12の接近に関する情報を受けつけると、その旨を通知する。本通知装置10は、前述のごとく、カーブミラーに接続されており、通知部70は、カーブミラーの鏡面内に設置されたライトとして構成される。また、通知部70は、車両12の接近に関する情報を通知するために、ライトを点灯させる。一方、その他の場合において、通知部70は、ライトを消灯させる。以下では、通知部70におけるライトの構成の具体例を説明する。
【0035】
図4(a)−(e)は、通知部70の構成を示す。図4(a)における通知装置10は、カーブミラーに相当し、第1通知部70aは、ライトに相当する。ライトは、LED(Light Emitting Diode)等により構成されているものとする。ライトは鏡面上の縁付近に配置される。図4(b)は、図4(a)と比較して、ライトの数が増加される。図4(b)では、第1通知部70a、第2通知部70b、第3通知部70c、第4通知部70dが鏡面上の縁付近に配置される。ここでは、4つのライトがふたつずつのグループを形成し、鏡面上の左側と右側とに、各グループが配置される。図4(c)では、第1通知部70a、第2通知部70b、第3通知部70c、第4通知部70d、第5通知部70e、第6通知部70f、第7通知部70g、第8通知部70hが鏡面上の縁に沿って円周状に配置される。つまり、8つのライトがほぼ等間隔に並べられる。図4(d)では、第1通知部70a、第2通知部70bが、鏡面上の下側に配置される。図4(e)では、カーブミラーがハーフミラーによって構成され、ハーフミラーの裏側の中心部分に通知部70が配置される。なお、図4(a)−(d)においても、カーブミラーがハーフミラーによって構成され、ハーフミラーの裏側にライトが設置されるようにしてもよい。
【0036】
図5(a)−(c)は、通知部70の別の構成を示す。ここでは、カーブミラー以外に通知装置10が接続される場合を説明する。図5(a)は、図示しない通知装置10が道路標識80に接続される場合である。道路標識80の一部に通知部70が配置される。なお、道路標識80の表示を妨げないように、通知部70は、道路標識80の端の部分に配置されてもよい。図5(b)は、通知装置10が一灯点滅式信号機82に接続される場合である。図示のごとく、通知装置10には通知部70が備えられている。図5(c)は、交差点を上方から見た図である。交差点の中心に通知装置10が埋め込まれている。また、通知部70も備えられている。図3に戻る。制御部74は、信号機16全体の動作を制御する。
【0037】
以上の構成による通知装置10の動作を説明する。図6は、通知装置10における通知処理の手順を示すフローチャートである。検出部68が車両12の接近を検出すると(S10のY)、検出部68は、通知部70から点灯色に関する情報を取得する(S12)。点灯色が青色であれば(S14のY)、通知部70は、接近を通知する(S16)。点灯色が青色でなければ(S14のN)、通知部70は、所定の期間遅延後、接近を通知する(S18)。検出部68が車両12の接近を検出しなければ(S10のN)、処理は終了される。
【0038】
本発明の実施例によれば、交差点に配置された通知装置が、車両に搭載された無線装置からのパケット信号を受信し、パケット信号をもとに車両の接近を検出するとその旨を通知するので、危険を一斉に通知できる。また、危険を一斉に通知するので、歩行者や、無線装置を搭載していない車両の運転者にも、注意を促すことができる。また、歩行者や、無線装置を搭載していない車両の運転者にも注意が促されるので、無線装置を搭載した車両の運転者にとっても安全性を高くできる。また、通知装置をカーブミラー等に接続するので、通知装置に着目させやすくできる。また、近辺の交差点に設置された信号機の点灯色が青色でない場合、車両が接近していても危険を通知しないので、通知され続ける状況の発生を低減できる。また、通知され続ける状況の発生が低減されるので、危険を効果的に通知できる。また、信号機の点灯色が赤色から青色に変更されると危険を通知するので、信号機の点灯色に応じた制御を実現できる。また、信号機の点灯色に応じた制御が実行されるので、実際の交通状況に応じた制御を実行できる。
【0039】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0040】
本発明の実施例において、通知部70は、車両12が接近してくると、ライトを点灯させることによって、接近を通知する。しかしながらこれに限らず例えば、通知部70は、接近してくる車両12の種類に応じて、異なった態様でライトを点灯させてもよい。その際、無線装置14から報知されるパケット信号には、無線装置14が搭載された車両12の種類に関する情報が含まれている。車両12の種類に関する情報の一例は、普通自動車、大型自動車、大型二輪、中型二輪等である。検出部68は、前述の説明通りに車両12の接近を検出するとともに、車両12の種類も検出する。通知部70は、車両12の種類に応じて通知の態様を変更する。例えば、通知部70は、車両12の種類に応じて、点灯させるランプの数を変更する。本変形例によれば、車両12の接近に加えて、車両12の種類も通知するので、危険をより詳細に通知できる。
【0041】
本発明の実施例において、通知部70は、車両12が接近してくると、ライトを点灯させることによって、接近を通知する。しかしながらこれに限らず例えば、通知部70は、接近してくる車両12の移動速度に応じて、異なった態様でライトを点灯させてもよい。検出部68は、車両12の接近とともに、当該車両12の移動速度も検出する。ここで、検出部68は、移動速度を検出するために、位置情報の時刻による変化を計算する。通知部70は、車両12の移動速度に応じて通知の態様を変更する。例えば、通知部70は、車両12の移動速度が速くなるほど、点灯させるランプの数を増加させる。本変形例によれば、車両12の接近に加えて、車両12の移動速度も通知するので、危険をより詳細に通知できる。
【0042】
本発明の実施例において、通知部70は、車両12が接近してくると、ライトを点灯させることによって、接近を通知する。しかしながらこれに限らず例えば、通知部70は、接近してくる車両12と第1交差点200との距離に応じて、異なった態様でライトを点灯させてもよい。検出部68は、車両12の接近とともに、当該車両12と第1交差点200との間の距離も検出する。通知部は、距離に応じて通知の態様を変更する。例えば、通知部70は、距離が短くなるほど、点灯させるランプの数を増加させる。本変形例によれば、車両12の接近に加えて、距離も通知するので、危険をより詳細に通知できる。
【符号の説明】
【0043】
10 通知装置、 12 車両、 14 無線装置、 16 信号機、 60 アンテナ、 62 無線部、 64 FFT部、 66 復調部、 68 検出部、 70 通知部、 72 取得部、 74 制御部、 100 通信システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交差点を中心としたエリア内に設置された通知装置であって、
車両に搭載された無線装置からの信号を受信する受信部と、
前記受信部において受信した信号をもとに、車両が交差点に接近していることを検出する検出部と、
前記検出部において検出した接近に関する情報を通知する通知部と、
を備えることを特徴とする通知装置。
【請求項2】
本通知装置が設置された交差点とは別のエリアに設置された信号機の点灯色に関する情報を取得する取得部をさらに備え、
前記通知部は、前記検出部が車両の接近を検出した場合であっても、前記取得部が取得した情報に含まれた点灯色によっては、通知を延期することを特徴とする請求項1に記載の通知装置。
【請求項3】
前記受信部において受信した信号には、前記無線装置が搭載された車両の種類に関する情報が含まれており、
前記検出部は、車両の接近とともに、車両の種類も検出し、
前記通知部は、車両の種類に応じて通知の態様を変更することを特徴とする請求項1または2に記載の通知装置。
【請求項4】
前記検出部は、車両の接近とともに、当該車両の移動速度も検出し、
前記通知部は、移動速度に応じて通知の態様を変更することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の通知装置。
【請求項5】
前記検出部は、車両の接近とともに、当該車両と交差点との間の距離も検出し、
前記通知部は、距離に応じて通知の態様を変更することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の通知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−81489(P2011−81489A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−231465(P2009−231465)
【出願日】平成21年10月5日(2009.10.5)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】