説明

通話禁止エリア生成機能を有する無線制御装置

【課題】
ATMを利用した振込め詐欺の犯罪を抑止するためにATMの近傍の一定範囲内の移動電話機による通話を遮断し、当該通話が遮断されたことを移動電話機に対して通知する技術を提供する。
【解決手段】
携帯電話200がATM500の近傍に設置されたフェムトセル100を介して移動通信交換局300に位置登録処理して帰属すると、以降当該携帯電話200宛の着信信号、当該携帯電話200からの発信信号、携帯電話200との音声信号を検知すると当該信号を中継しないことで通話を遮断する。
さらに、携帯電話200が通話中にハンドオーバすると当該通話を利用して遮断されたことを音声アラームで通知または、発信信号を受けると疑似的に呼接続し、当該通話を利用して遮断されたこと音声アラームで通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現金自動預払機(以下、ATMと呼称)等の自動取引装置の近傍において、携帯電話の通信を抑止する無線制御装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話を用いて現金の引き出しや預け入れを行うATM(Automatic Teller Machine)を利用した振込め詐欺が社会問題となっている。振込め詐欺とは、近親者の情愛につけ込み、不正な金銭を振り込ませるきわめて卑劣な犯罪である。特にATMの設置場所において、移動電話機を利用し振込み先を誘導して被害者に不正の振込みをさせる振込詐欺が増加している。
【0003】
このような振込め詐欺を防止するための対策の一つとして、例えば、特許文献1のような技術がある。特許文献1にはATMの設置場所に一定の範囲に妨害電波を発信する通信装置を設置し、ATMの操作をしながら、移動電話機の利用を抑止する技術が展開されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−45839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1の技術では、対象の移動電話機が使用する電波の周波数帯の通信そのものを妨害するので、当該移動電話機を使用している利用者は何故通信が不可能なのかが分からず、その場で何度も発信操作を繰り返す可能性がある。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであって、本発明の目的は、ATMの近傍の一定範囲内の移動電話機による通話を遮断すると共に、当該通話を遮断された移動電話機に対して、通話を遮断した理由等を通知できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は携帯電話網または無線LANに繋がる移動電話機を収容して前記移動電話機の通話を禁止する無線制御装置であって、アクセス回線を介して前記携帯電話網または無線LANの通信エリアに係る交換処理または呼制御処理を実行する呼制御装置と接続する呼制御装置接続手段と、前記移動電話機から位置登録要求コマンドまたは帰属要求コマンドを受信すると当該コマンドに含まれる当該移動電話機に係る識別情報を抽出する識別情報抽出手段と、前記抽出した識別情報を前記呼制御装置に通知して当該移動電話機を自無線制御装置に帰属させる処理を前記呼制御装置に実行させる移動電話機帰属手段と、を有し、前記帰属させた移動電話機と前記移動無線電話網または無線LANとの間で通話に係る信号を中継しないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に拠れば、ATMの近傍に本発明対象のフェムトセルを設置することで、ATMの近傍の一定範囲のみの通話を遮断することができ、通話を遮断した理由等を通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施の形態における全体構成図である。
【図2】携帯電話が通話中にフェムトセルを介して位置登録処理し、当該携帯電話が発信または着信した場合の動作シーケンスである。
【図3】図1のフェムトセルの機能ブロック図である。
【図4】図1のフェムトセルの動作フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照しながら説明する。尚、実質同一部位には、同じ参照番号を振り、説明は繰り返さない。
【0011】
図1は、本発明の一実施の形態における全体構成図である。
【0012】
本発明の全体構成図は、本発明の対象であるフェムトセル100と、携帯電話200、移動通信交換局300、無線基地局400、ATM500、ルータ600とから構成される。
【0013】
フェムトセル100は、ルータ600に接続し、インターネット20および携帯電話網30を介して移動通信交換局300に接続する。
【0014】
フェムトセル100は、ATM500近傍の通信エリア10内に存在する携帯電話200からの位置登録要求を受信すると、移動通信交換局300に当該携帯電話200の位置登録処理を行う。
【0015】
また、ここでフェムトセルとは、インターネット等のIP回線を介して、携帯電話網に接続する携帯電話基地局であり、各電話事業者が提供する従来の携帯電話基地局と比べて通信範囲がきわめて小さな通話エリア(半径数m程度)で利用される小型基地局のことを意味する。また、本実施例で説明するフェムトセル100は、ATM500の近傍に設置され、その通話エリアはATM500の近傍のみ(半径2〜3m以内)を想定している。
【0016】
また、ここで位置登録処理とは、移動電話機が自端末がどの無線基地局(エリア)にいるのかを移動通信交換局にたいして行う処理であり、これにより、移動電話機宛の呼の呼出しが可能となる。
【0017】
フェムトセル100は、移動通信交換局300に登録された携帯電話200からの発信信号または移動通信交換局300から当該携帯電話200宛の着信信号を受付けると、信号の中継を行わない。また、フェムトセル100は、携帯電話200が通話中に位置登録要求を送信してきた場合(ハンドオーバしてきた場合)、位置登録処理にかかる信号の中継は行うが、携帯電話200からの音声信号および携帯電話網30を介して図示しない通信相手からの音声信号の中継を行わない。詳細な動作については図2以降の各図面を用いて説明する。
【0018】
携帯電話200は、無線基地局400またはフェムトセル100を介して移動通信交換局300に位置登録を行う移動型電話機である。また、携帯電話200は一般の移動電話機と同様に位置登録を行う際、フェムトセル100または無線基地局400から定期的に送られてくる位置登録必要なエリア情報を含む報知情報(以下、ビーコンと呼称)の電波強度を監視し、電波強度に応じて位置登録要求を送信する。
【0019】
移動通信交換局300は、HLR(Home Location Register)および加入者交換機、無線ネットワーク制御装置の各機能を具備する交換局であり、携帯電話網30内の移動通信サービスを提供するための呼接続制御全般を行う。
【0020】
無線基地局400は、携帯電話網30を介して移動通信交換局300と接続する無線基地局であり、フェムトセル100の通信エリア10以外のエリアの携帯電話200からの位置登録要求に応じて移動通信交換局300に位置登録処理を行う。また、無線基地局400は、、移動通信交換局300に登録された携帯電話200からの発信信号または移動通信交換局300からの着信信号に応じた呼接続情報を移動通信交換局300に中継する。
【0021】
ATM500は、銀行内に設置されたATMであり、ルータ600を介してインターネット20上の図示しないATM管理システムに接続し、現金の引き出しや預け入れを行う。
【0022】
ルータ600は、ATM500およびフェムトセル100と接続し、インターネット20との通信を制御する。
【0023】
次にフェムトセル100の各機能について機能ブロック図を用いて説明する。
【0024】
図2は、携帯電話200が通話中にフェムトセル100を介して位置登録処理する場合の動作シーケンス、および当該携帯電話200が帰属後に発信または当該携帯電話200宛の着信を検出した場合の動作シーケンスである。
【0025】
携帯電話200は、予め無線基地局400に帰属し、移動通信交換局300を介して図示しない通話相手と通話していたものとする(S201)。
【0026】
ここで帰属とは携帯電話200がフェムトセル100または無線基地局400の介して移動通信交換局300に位置登録処理を行い、携帯電話200がフェムトセル100または無線基地局400を介して発着信および通話の制御が可能な状態のことを意味する。
【0027】
フェムトセル100および無線基地局400は、従来の無線基地局と同様に定期的にビーコンを送信しているものとする(S202)。
【0028】
携帯電話200のユーザがATM500に近付くと、携帯電話200はフェムトセル100および無線基地局400から受信したビーコンの受信電波強度が、フェムトセル100から受信したビーコンの方が大きくなる。すると、携帯電話200はフェムトセル100の通信エリア10に入ったと判定し(S203)、自携帯電話200のID情報を含む位置登録要求をフェムトセル100に送信する(S204)。
【0029】
位置登録要求を受信したフェムトセル100は、受信した位置登録要求から携帯電話200のID情報および自フェムトセルの基地局情報を識別情報としてを移動通信交換局300に送信する(S205)。
【0030】
そして識別情報を受信した移動通信交換局300は、携帯電話200と位置登録処理を行う(S206)。
【0031】
尚、ここで携帯電話200のID情報とは、IMSI(International Mobile Subscriber Identity)、ESN(Electric Serial Number)、MIN(Mobile Identification Number)等の携帯電話200固有のID情報である。
【0032】
位置登録処理が完了すると、移動通信交換局300は携帯電話200に登録完了通知を送信する(S207)。
【0033】
フェムトセル100は、携帯電話200宛の登録完了通知を検知すると(S208)、携帯電話200の端末情報を記憶し、以降携帯電話200から送信された発信信号、音声信号および携帯電話200宛に送られてきた着信信号の中継を停止する(S209)。
【0034】
ここで、通話中の携帯電話200からフェムトセル100に対し音声信号が送出されたとする(S210)。音声信号を受け取ったフェムトセル100は、受け取った音声信号を中継せずに破棄する。
【0035】
また、フェムトセル100は、携帯電話200に対し当該通話を利用して「振込先の通話相手を再度ご確認ください。詐欺の可能性があります」の旨の音声アラームを送出する(S211)。
【0036】
また、フェムトセル100は、携帯電話200の代わりに移動通信交換局300(通話相手)に対して移動通信交換局側切断処理(以下、フェムトセル100が移動通信交換局300(通話相手)に対して行う切断処理を移動通信交換局側切断処理と呼称)を行う(S212)。
【0037】
尚、ここで移動通信交換局側切断処理とは、従来、携帯電話200が動通信交換局300に切断信号を送信して通話を切断する切断処理と同じである。
【0038】
そして、フェムトセル100は、ステップ111で音声アラームを送出すると同様に携帯電話200に対しても切断信号を送信し、携帯電話側切断処理(以下、フェムトセル100が携帯電話200に対して行う切断処理を携帯電話側切断処理と呼称)を行う(S213)。
【0039】
尚、ここで携帯電話側切断処理とは、従来、動通信交換局300が携帯電話に終話信号を送信して通話を終話する終話処理と同じである。
【0040】
次に、フェムトセル100に帰属中の携帯電話200のユーザが所定の通話相手に対する発信操作を行ったとする(S214)。すると、携帯電話200はフェムトセル100に対し発信信号を送信する(S215)。発信信号を受信したフェムトセル100は受け取った発信信号を中継せずに破棄する。
【0041】
また、フェムトセル100は、携帯電話200に対して疑似呼接続処理(以下、フェムトセル100が携帯電話200からの発信信号に対して疑似的に呼接続して通話を確立することを疑似呼接続処理と呼称)を行い、携帯電話200と通話を確立する(S216)。
【0042】
また、フェムトセル100は、携帯電話200に対して当該通話を利用して音声アラームを送出する(S217)。
【0043】
そして、フェムトセル100は、音声アラームを送出すると携帯電話200に対して携帯電話側切断処理を行う(S218)。
【0044】
次に、移動通信交換局300を介して図示しない通話相手からフェムトセル100に帰属中の携帯電話200に着信があったとする(S219)。
【0045】
フェムトセル100は、移動通信交換局300から着信信号を受信すると、移動通信交換局側切断処理を実行する(S220)。
【0046】
図3は、図1のフェムトセル100の機能ブロック図である。
【0047】
フェムトセル100は、ネットワーク通信部101、無線通信部102、無線データ中継部103、位置登録完了検知部104、信号中継停止指示部105、中継制御部106、着信信号検出部108、発信信号/音声信号検出部109、疑似呼接続・切断制御部110、切断制御部111、音声アラーム送出部112、とから構成される。
【0048】
ネットワーク通信部101は、ルータ600に接続するための通信インターフェースであって、インターネット20および携帯電話網30を介して移動通信交換局300と通信するための処理全般を行う。
【0049】
無線通信部102は、携帯電話200と無線接続するための通信インターフェースであって、携帯電話200と接続して無線通信処理全般を行う。
【0050】
無線データ中継部103は、移動通信交換局300にアクセスして無線基地局(フェムトセル)の処理全般を行う。
【0051】
位置登録完了検知部104は、無線データ中継部103の動作を監視し、携帯電話200の位置登録処理の完了を検知すると、検知したことを中継制御部106に通知する。
【0052】
具体的にはデータ中継部103を監視し、携帯電話200の位置登録処理が完了し、移動通信交換局300から登録完了通知を検知すると位置登録要求を送信した携帯電話200のID情報を取得し、取得した携帯電話200のID情報とともに位置登録処理が完了したことを通知する。
【0053】
信号中継停止指示部105は、中継制御部106から携帯電話200のID情報とともに位置登録処理の完了の通知を受けると、無線データ中継部103に対し、当該携帯電話200の信号中継処理の停止を指示する。
【0054】
具体的には、信号中継停止指示部105は無線データ中継部103上を中継する携帯電話200からの発信信号、図示しない通信相手から携帯電話200宛への着信信号、または、携帯電話200が通話中にハンドオーバしてきた場合の音声信号を監視し、当該信号を検出すると無線データ中継部103に強制的に当該信号を破棄させる。
【0055】
中継制御部106は、位置登録完了検知部104から携帯電話200のID情報とともに位置登録処理が完了したことの通知を受けると、信号中継停止指示部105に携帯電話200のID情報とともに信号中継停止の指示を行う。
【0056】
中継制御部106は、位置登録完了検知部104、着信信号検出部108、発信信号/音声信号検出部109から通知されるデータに応じて、疑似呼接続・切断制御部110、切断制御部111、音声アラーム送出部112、信号中継停止指示部105のいずれかの機能ブロックを選択し、選択した機能ブロックと連動して所定の処理を実行する。
【0057】
着信信号検出部108は、ネットワーク通信部101を監視し、位置登録完了検知部104が検知した携帯電話200宛に着信があったかどうかを判定し、携帯電話200宛に着信があった場合に中継制御部106に通知する。
【0058】
発信信号/音声信号検出部109は、無線通信部102を監視し、位置登録完了検知部104が検知した携帯電話200が発信信号または音声信号を送出したか否か(携帯電話200が発信したかまたはハンドオーバしたか)を判定し、携帯電話200から発信信号または音声信号の送出を検出すると中継制御部106に通知する。
【0059】
疑似呼接続・切断制御部110は、中継制御部106からの指示に応じて、自フェムトセル100に帰属した携帯電話200と疑似的に呼接続して通話を確立する。また、疑似呼接続・切断制御部110は、中継制御部106からの指示に応じて、携帯電話200と通話中の呼を携帯電話側切断処理してを通話を終了する。尚、この時、データ中継部103は信号中継停止指示部105の指示によって信号中継を停止されているので、呼制御信号は移動通信交換局300を介して通話相手には送信されない。
【0060】
切断制御部111は、中継制御部106からの指示に応じて、移動通信交換局300を介して図示しない通話相手と移動通信交換局側切断処理を行う。
【0061】
具体的には着信信号検出部108が検知した携帯電話200宛の着信を検知すると、移動通信交換局300に対して切断信号を送信して移動通信交換局側切断処理を行う。
【0062】
また、発信信号/音声信号検出部109がハンドオーバしてきた携帯電話200の音声信号を検出し、音声アラーム送出部112から携帯電話200宛に警告メッセージを送出されると、移動通信交換局300に対して切断信号を送信して移動通信交換局側切断処理を行う。
【0063】
音声アラーム送出部112は、中継制御部106の指示に応じて、通話中の携帯電話200宛に音声アラームを送出する。
【0064】
具体的には、発信信号/音声信号検出部109がハンドオーバしてきた携帯電話200から音声信号を検出すると、詐欺の可能性がある旨の音声アラームを送出する。または、発信信号/音声信号検出部109が携帯電話200から発信信号を検出すると、疑似呼接続・切断制御部110が疑似的に当該携帯電話200と呼接続して通話を確立し、音声アラームを送出する。
【0065】
次にフローチャートを用いて、フェムトセル100の動作について説明する。
【0066】
図4は、フェムトセル100の動作フローである。本フローは携帯電話200が移動通信交換局300と接続し、携帯電話200との通信が可能な状態から開始する。
【0067】
また、本フローでは説明を割愛するが、図2のシーケンスと同様に、フェムトセル100は定期的に自フェムトセルの識別情報を含むビーコンを送出している。
【0068】
本フローを開始するとフェムトセル100は、帰属していない携帯電話200からの位置登録要求を受信(S401)または帰属中の携帯電話200からの音声信号の検出(S404)、帰属中の携帯電話200からの発信信号の検出(S407)、移動通信交換局300(通話相手)から帰属中の携帯電話200宛への着信信号の検出(S411)のいづれかを待つ。
【0069】
帰属していない携帯電話200からの位置登録要求を受信した場合(S401、Yes)、フェムトセル100は、移動通信交換局300と当該携帯電話200との位置登録処理を中継する(S402)。そして、フェムトセル100は、当該携帯電話200からの発信信号および音声信号、当該携帯電話200宛の着信信号の信号中継を停止し(S403)、ステップ404に移行する。
【0070】
帰属中の携帯電話200からの音声信号の検出した場合(S404、Yes)、フェムトセル100は当該携帯電話200に音声アラームを送出して(S405)、移動通信交換局側切断処理を行う(S406)。さらに、音声アラームの送出が完了すると、携帯電話側切断処理を行い(S410)、ステップ411に移行する。
【0071】
帰属中の携帯電話200からの発信信号の検出した場合(S407,Yes)、フェムトセル100は当該発信信号に対して疑似呼接続処理を行い通話を確立する(S408)。そして、フェムトセル100は当該携帯電話200に音声アラームを送出して(S409)音声アラームの送出が完了すると、当該通話の携帯電話側切断処理を行い(S410)、ステップ411に移行する。
【0072】
移動通信交換局300(通話相手)から帰属中の携帯電話200宛への着信信号の検出した場合(S411、Yes)、フェムトセル100は当該着信信号に対するの移動通信交換局側切断処理を行い(S412)、ステップ401に戻る。
【0073】
以上、本発明の実施の形態について説明した。
【0074】
本発明の実施の形態によれば、フェムトセル100は、位置登録完了検知部104が位置登録処理の完了を検知すると、信号中継停止指示部105と連動して以降の携帯電話200から送られる信号の中継を停止する。
【0075】
これにより、携帯電話200はATM500近傍に移動すると通信または通話が遮断され、ATMの近傍の一定範囲の通話のみを遮断することができる。
【0076】
また、本発明の実施の形態によれば、フェムトセル100の切断制御部111は、帰属した携帯電話200宛に着信または当該携帯電話200が通話中に帰属した場合に(ハンドオーバしてきた場合)、移動通信交換局300(通話相手)に対して移動通信交換局側切断処理を実行する。また、疑似呼接続・切断制御部110は、帰属した携帯電話200が通話中であった場合に携帯電話側切断処理を実行する。
【0077】
これにより、移動通信交換局300および携帯電話200は信号中継を停止することによる制御エラーを回避できる。
【0078】
また、本発明の実施の形態によれば、フェムトセル100の音声アラーム送出部112は発信信号/音声信号検知部109が発信信号を検知するまたは疑似呼接続・切断制御部110が携帯電話200と疑似的に呼接続して通話を確立すると音声アラームを送出する。
【0079】
これにより、信号中継を停止された携帯電話200のユーザに対して、なぜ通話ができなくなったのかを知らせることができる。
【0080】
尚、本実施例では音声アラームを携帯電話200に通知する説明をおこなったが、本願はこれに限定しない。音声アラームせずに通話中の呼を保留し、銀行内の所定の行員の内線電話機に転送するようにしてもよい。これにより、転送された行員が直接通話相手が詐欺者でないことを確認することで、詐欺から携帯電話200のユーザを保護する事ができる。
【0081】
尚、本実施例では、ATM500とフェムトセル100は1対1で設置される実施例の展開をしたが本願はこれに限定しない。例えば、通信エリア10が数mのフェムトセルであって、携帯電話200の電波の到来方向を識別し、電波の到来方向毎にATM500を設置する。そして、ATM500からカード挿入の検知すると携帯電話200からの電波の到来方向に応じて通話切断処理を実行するようにしてもよい。これにより1台のフェムトセル100で複数のATM500をカバーすることができる。
【0082】
尚、本実施例では、携帯電話200側のみに音声アラームを通知する説明をおこなったが、本願はこれに限定しない。例えば、通話相手に対して「こちら○○銀行です。現在この通話は通話禁止エリアにいるためおつなぎ出来ません。お時間を空けて改めてお電話ください。」などの通話相手に通話禁止エリアであること旨のアラームを送出するようにしてもよい。これにより、信号中継を停止された通話相手に対しても、なぜ通話ができなくなったのかを知らせることができる。また、「この通話は振込め詐欺の可能性があるためお客様の通話位置を特定・通話内容を録音させて頂きます。予めご了承ください。」など、通話相手を威嚇するアラームを送信するようにしてもよい。これにより、通話相手が犯罪者であった場合に振込め犯罪を抑止する効果がある。
【0083】
尚、本実施例では、音声アラームを送出するために呼接続中の通話音声を利用しているが本願はこれに限定しない。例えば、ダイヤルトーン(DT)や呼出時のリングバックトーン(RBT)、ビジートーン(BT)等の従来からフェムトセルから携帯電話に送出する音信号をつかって音声アラームを送信するようにしてもよい。これにより、疑似呼接続・切断制御部110が不要となり、このブロックによる処理負荷ならびにこのブロックを実現した場合の部品数を減らすことができる。
【0084】
尚、本実施例では、音声アラームを例に示すが本願はこれに限定しない。携帯電話のメール機能を用いてアラームメールを通知するようにしてもよい。さらに、携帯電話自身がフェムトセル100に帰属した事を識別し、帰属した場合にアラームを表示するようにしてもよい。これにより、アラーム送出部112が不要となり、このブロックによる処理負荷ならびにこのブロックを実現した場合の部品数を減らすことができる。
【0085】
尚、本実施例では、着信信号検出部108または発信信号/音声信号検出部109が発信信号・着信信号・音声信号のいずれかを検知した場合に信号中継停止部105は、当該信号の中継を停止する説明をしたが本願はこれに限定しない。音声信号のみを検知し、当該信号のみを停止するようにしてもよい。音声信号検出のブロック以外のブロックが不要となり、このブロックによる処理負荷ならびにこのブロックを実現した場合の部品数を減らすことができる。
【符号の説明】
【0086】
10 通信エリア
20 インターネット
30 携帯電話網
100 フェムトセル
101 ネットワーク通信部
102 無線通信部
103 データ中継部
104 位置登録完了検知部
105 信号中継停止指示部
106 中継制御部
108 着信信号検出部
109 発信信号/音声信号検出部
110 疑似呼接続・切断制御部
111 切断制御部
112 音声アラーム送出部
200 携帯電話
300 移動通信交換局
400 無線基地局
500 ATM
600 ルータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話網または無線LANに繋がる移動電話機を収容して前記移動電話機の通話を禁止する無線制御装置であって、
アクセス回線を介して前記携帯電話網または無線LANの通信エリアに係る交換処理または呼制御処理を実行する呼制御装置と接続する呼制御装置接続手段と、
前記移動電話機から位置登録要求コマンドまたは帰属要求コマンドを受信すると当該コマンドに含まれる当該移動電話機に係る識別情報を抽出する識別情報抽出手段と、
前記抽出した識別情報を前記呼制御装置に通知して当該移動電話機を自無線制御装置に帰属させる処理を前記呼制御装置に実行させる移動電話機帰属手段と、を有し、
前記帰属させた移動電話機と前記移動無線電話網または無線LANとの間で通話に係る信号を中継しないことを特徴とする通話禁止エリア生成機能を有する無線制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の無線制御装置において、
前記帰属させた移動電話機から発信信号を受信すると、受信した発信信号を破棄し、当該移動電話機に対して切断処理を実行する発信切断手段と、
前記呼制御装置から前記帰属させた移動電話機宛の着信信号を受信すると、受信した着信信号を破棄し、当該呼制御装置に対して切断処理する着信切断手段と、
移動電話機が通話相手と通話中に前記移動電話機帰属手段によって自無線制御装置に帰属した場合に、通話中の音声信号を廃棄し、通話中の当該移動電話機および当該呼制御装置に対して切断処理を実行する通話切断手段と、をさらに有することを特徴とする通話禁止エリア生成機能を有する無線制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の無線制御装置において、
予め定められた所定の音声メッセージを記憶する音声メッセージ記憶手段と、
帰属させた移動電話機に対し、前記音声メッセージ記憶手段で記憶した音声メッセージを通知するメッセージ通知手段と、をさらに有し、
前記メッセージ通知手段は、前記帰属させた移動電話機から発信信号を受信または移動電話機が通話相手と通話中に前記移動電話機帰属手段によって自無線制御装置に帰属した場合に、当該移動電話機に対し、前記所定の音声メッセージを通知することを特徴とする通話禁止エリア生成機能を有する無線制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−129755(P2012−129755A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278629(P2010−278629)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000134707)株式会社ナカヨ通信機 (522)
【Fターム(参考)】