説明

通過物品の読み取りシステム

【課題】相互間の距離を短くして配置された複数の入出荷口を通過する物品の読み取り精度を向上できるようにした通過物品の読み取りシステムを提供する。
【解決手段】IDを保持するICタグ3が付された物品2が通過するゲート11〜14は、倉庫10に設けられている。ゲート11には、水平偏波アンテナ20A〜20C、ゲート12には、垂直偏波アンテナ30A〜30C、ゲート13には、水平偏波アンテナ20D〜20F、ゲート14には、垂直偏波アンテナ30D〜30Fが設けられている。ゲート11〜14のアンテナには、ゲート単位にリーダライタ装置が接続され、ICタグ3からIDが読み取られる。ICタグ3が通過する隣のゲートには、異なる偏波のアンテナが設置されているため、隣のゲートからの電波干渉を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通過物品の読み取りシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、倉庫に入出庫する物品の管理は、従来、書類に依存していたが、近年、RFID(Radio Frequency Identification:無線方式認識)タグを用いた物流管理が注目されている。
【0003】
例えば、ゲートに複数のアンテナを設置しておき、このゲートを搬送情報タグ(RFIDタグ)が付されたパレット等に載置されると共に物品情報タグ(RFIDタグ)が付された複数の物品が通過する際、複数のアンテナに接続されたリーダによって物品情報タグ及び搬送情報タグから情報を読み取り、2つの情報が一致するか否かをコンピュータでチェックする物流管理システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2007−31043号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、相互間の距離を短くして配置された複数の入出荷口を通過する物品の読み取り精度を向上できるようにした通過物品の読み取りシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、上記目的を達成するため、以下の通過物品の読み取りシステムを提供する。
【0007】
[1]識別情報を保持するICタグが付された物品が通過する複数の入出荷口と、第1の偏波を有して前記複数の入出荷口に1つおきに配設された第1の偏波のアンテナと、前記第1の偏波とは異なる第2の偏波を有して、前記複数の入出荷口の内、前記第1の偏波のアンテナが設けられていない入出荷口に配設された第2の偏波のアンテナと、前記第1及び第2の偏波のアンテナを介して前記ICタグから前記識別情報を読み取るリーダと、を備えた通過物品の読み取りシステム。
【0008】
[2]前記ICタグは、前記第1の偏波及び前記第2の偏波に対応したアンテナを有していることを特徴とする前記[1]に記載の通過物品の読み取りシステム。
【0009】
[3]前記第1の偏波のアンテナは、水平偏波アンテナであり、前記第2の偏波のアンテナは、垂直偏波アンテナであることを特徴とする前記[1]に記載の通過物品の読み取りシステム。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の通過物品の読み取りシステムによれば、相互間の距離を短くして配置された複数の入出荷口を通過する物品の読み取り精度を向上することができる。
【0011】
請求項2の通過物品の読み取りシステムによれば、隣接する入出荷口からの電波干渉を効果的に抑制することができる。
【0012】
請求項3の通過物品の読み取りシステムによれば、入出荷口間における電波干渉を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係る通過物品の読み取りシステムを示す図である。
【0014】
通過物品の読み取りシステム100は、倉庫10の1つの壁面に所定間隔に設けられた第1,第2,第3,第4のゲート(入出庫口)11,12,13,14と、第1,第3のゲート11,13に設置された第1,第2,第3,第4,第5,第6の水平偏波アンテナ20A,20B,20C,20D,20E,20Fと、第2,第4のゲート12,14に設置された第1,第2,第3,第4,第5,第6の垂直偏波アンテナ30A,30B,30C,30D,30E,30Fと、を備えて構成されている。
【0015】
第1〜第4のゲート11〜14は、複数の物品1を載せたパレット2が通過可能な間口、例えば、5mの間口を有している。
【0016】
物品1は、製品、半製品、加工用材料等であり、物品を識別するための物品ID(物品識別情報)を記憶しているICタグ3が1つ付けられている。
【0017】
第1〜第3の水平偏波アンテナ20A〜20Cは、第1のゲート11の左右の側面及び天井面に設置され、第4〜第6の水平偏波アンテナ20D〜20Fは、第3のゲート13の左側面、天井面及び右側面に設置されている。
【0018】
第1〜第6の水平偏波アンテナ20A〜20Fは、同一仕様であり、水平偏波の電波が放射されるようにアンテナエレメントが構成されている。
【0019】
第1〜第3の垂直偏波アンテナ30A〜30Cは、第2のゲート12の左右の側面及び天井面に設置され、第4〜第6の水平偏波アンテナ30D〜30Fは、第4のゲート14の左右の側面及び天井面に設置されている。
【0020】
第1〜第6の垂直偏波アンテナ30A〜30Fは、同一仕様であり、垂直偏波の電波が放射されるようにアンテナエレメントが構成されている。
【0021】
(ICタグの構成)
図2は、ICタグのアンテナエレメントの構成を示す平面図である。ICタグ3は、例えば、使用周波数帯がUHF(Ultra High Frequency)帯(例えば、860〜960MHz)で、内蔵電池を必要とせずに動作するパッシブ方式であり、角形の絶縁体30と、水平方向アンテナ31と、この水平方向アンテナ31に直交させて設けられた垂直方向アンテナ32と、水平方向アンテナ31及び垂直方向アンテナ32に接続されたICチップ33と、を備えている。なお、水平方向アンテナ31及び垂直方向アンテナ32は、図2に示した形状に限定されるものではなく、使用周波数に同調するものであれば、どのような形状であってもよい。
【0022】
ICチップ33は、ICタグ3の全体を制御する制御部、物品IDを記憶するメモリ、水平偏波アンテナ20A〜20F及び垂直偏波アンテナ30A〜30Fからの電波により直流電源を生成する電源生成部、物品IDを変調して出力する送信部、水平偏波アンテナ20A〜20F及び垂直偏波アンテナ30A〜30Fからの電波を受信して得た受信信号を復調する受信部(いずれも図示せず)等を備えて構成されている。
【0023】
(制御系の構成)
図3は、通過物品の読み取りシステムの制御系を示すブロック図である。
【0024】
第1のゲートに設置された第1〜第3の水平偏波アンテナ20A〜20Cには第1のリーダライタ装置4が接続され、第2のゲートに設置された第1〜第3の垂直偏波アンテナ30A〜30Cには第2のリーダライタ装置5が接続され、第3のゲートに設置された第4〜第6の水平偏波アンテナ20D〜20Fには、第3のリーダライタ装置6が接続され、第4のゲートに設置された第4〜第6の垂直偏波アンテナ30D〜30Fには、第4のリーダライタ装置7が接続されている。
【0025】
第1〜第4のリーダライタ装置4〜7には上位装置8が接続され、上位装置8には記憶装置9が接続されている。
【0026】
第1〜第4のリーダライタ装置4〜7は、上位装置8からの書き込みデータを変調した高周波電力を接続先の水平偏波アンテナ20A〜20F及び垂直偏波アンテナ30A〜30Fへ送出すると共に、水平偏波アンテナ20A〜20F及び垂直偏波アンテナ30A〜30Fからの読み取りデータを復調して上位装置8へ出力することができるように、通信処理部及び制御部を備えている。制御部は、図示しない電波出力制御部、周波数制御部、プロトコル制御部等から構成されている。
【0027】
また、第1〜第4のリーダライタ装置4〜7は、パレット2に積載された複数の物品1の複数のICタグ3をアンチコリジョン方式によりゲート毎に同時に読み取りを行う機能を有している。
【0028】
上位装置8は、例えば、パーソナルコンピュータである。
【0029】
記憶装置9は、例えば、LAN、USB等により上位装置8に接続されたハードディスク装置またはサーバである。
【0030】
(通過物品の読み取りシステムの動作)
次に、通過物品の読み取りシステム100の動作を、ゲート11を対象にして説明する。
【0031】
リーダライタ装置4からの電波がアンテナ20A〜20Cから放射されている第1のゲート11にパレット2が搬入されると、物品1に付けられているICタグ3は、受信電波から直流電源を生成し、これを電源にして動作を開始し、ICタグ3のメモリに予め保持されている物品IDを水平方向アンテナ31及び垂直方向アンテナ32から送信する。
【0032】
ICタグ3から送信された電波は、水平偏波アンテナ20A〜20Cを介してリーダライタ装置4により受信される。ICタグ3は、図2に示した様に、水平方向アンテナ31と垂直方向アンテナ32を有しているため、確実に水平偏波アンテナ20A〜20Cにより受信される。また、隣接するゲート12は、ゲート11とはアンテナの偏波が異なるため、ゲート11とゲート12の間の距離が短くても、垂直偏波アンテナ30A〜30Cからの干渉は低減される。
【0033】
リーダライタ装置4は、受信信号を復調し、復調した信号を物品IDとして上位装置8へ出力する。上位装置8は、物品IDを記憶装置9に格納する。
【0034】
なお、ICタグ3に書き込みを行う必要が生じた場合、書き込みデータが、上位装置8からリーダライタ装置4へ送出される。リーダライタ装置4は、水平偏波アンテナ20A〜20Cを励振し、水平偏波アンテナ20A〜20CからはICタグ3に向けて電波が放射される。ICタグ3は、水平偏波アンテナ20A〜20Cからの電波を受信し、受信内容が自分宛であることを確認すると、ICタグ3に内蔵されたメモリへのデータの書き込みを実行する。
【0035】
以上はゲート11についての説明であるが、ゲート12〜14においても同様にしてリーダライタ装置5〜7によりICタグ3から物品IDを取得して上位装置8により記憶装置9に格納し、また、上位装置8及びリーダライタ装置5〜7によりICタグ3に書き込みを行う処理が実行される。
【0036】
[他の実施の形態]
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、その要旨を変更しない範囲内で種々な変形が可能である。
【0037】
例えば、上記実施の形態において、必要に応じて、リーダライタ装置4〜7が出力する電波強度を時分割に変化させる手段を、リーダライタ装置4〜7に持たせ、電波干渉の更なる低減を図ることができる。
【0038】
また、リーダライタ装置4〜7は、書き込み機能を有しないリーダであってもよい。
【0039】
また、アンテナは、各ゲートに3つを設けるものとしたが、1つ以上であればよい。
【0040】
例えば、上記実施の形態においては、ICタグ3は、パッシブ方式による構成としたが、ICタグ3に電池を内蔵させたアクティブ方式による構成であってもよい。
【0041】
また、ICタグ3及びリーダライタ装置4〜7は、UHF帯を用いるものとしたが、これに限定されるものではなく、他の周波数帯、例えば、13MHz帯、400MHz帯、2GHz帯等にも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る通過物品の読み取りシステムを示す図である。
【図2】図2は、ICタグのアンテナエレメントの構成を示す平面図である。
【図3】図3は、通過物品の読み取りシステムの制御系を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0043】
1 物品
2 パレット
3 ICタグ
4 第1のリーダライタ装置
5 第2のリーダライタ装置
6 第3のリーダライタ装置
7 第4のリーダライタ装置
8 上位装置
9 記憶装置
10 倉庫
11 第1のゲート
12 第2のゲート
13 第3のゲート
14 第4のゲート
20A 第1の水平偏波アンテナ
20B 第2の水平偏波アンテナ
20C 第3の水平偏波アンテナ
20D 第4の水平偏波アンテナ
20E 第5の水平偏波アンテナ
20F 第6の水平偏波アンテナ
30 絶縁体
30A 第1の垂直偏波アンテナ
30B 第2の垂直偏波アンテナ
30C 第3の垂直偏波アンテナ
30D 第4の垂直偏波アンテナ
30E 第5の垂直偏波アンテナ
30F 第6の垂直偏波アンテナ
31 水平方向アンテナ
32 垂直方向アンテナ
33 ICチップ
100 システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
識別情報を保持するICタグが付された物品が通過する複数の入出荷口と、
第1の偏波を有して前記複数の入出荷口に1つおきに配設された第1の偏波のアンテナと、
前記第1の偏波とは異なる第2の偏波を有して、前記複数の入出荷口の内、前記第1の偏波のアンテナが設けられていない入出荷口に配設された第2の偏波のアンテナと、
前記第1及び第2の偏波のアンテナを介して前記ICタグから前記識別情報を読み取るリーダと、
を備えた通過物品の読み取りシステム。
【請求項2】
前記ICタグは、前記第1の偏波及び前記第2の偏波に対応したアンテナを有していることを特徴とする請求項1に記載の通過物品の読み取りシステム。
【請求項3】
前記第1の偏波のアンテナは、水平偏波アンテナであり、
前記第2の偏波のアンテナは、垂直偏波アンテナであることを特徴とする請求項1に記載の通過物品の読み取りシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−57153(P2009−57153A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−225795(P2007−225795)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】