説明

通過車両管理装置、不正通過車両管理システム、並びにそれらによる管理方法

【課題】この発明は、わずかな間隔をあけた密着状態で不正に通過しようとする車両を、確実に検出できる通過車両管理装置を提供することを目的とする。
【解決手段】車両70を通過させるための操作を受付ける自動精算機40と、通過する車両70の台数を検出するレーザセンサ20と、前記自動精算機40から受付けた車両数より多い台数の車両70の通過を検出することによって、当該車両70を密着車両70bとして検知する制御コンピュータ10とを備え、前記レーザセンサ20を、レーザビーム21を照射するレーザ照射部と、該レーザ照射部から照射されたレーザビーム21の反射レーザビーム22を受光するレーザ受光部と、該レーザ受光部が受光した前記反射レーザビーム22から通過する車両を検出する車両検出部とで構成したレーザセンサ20で形成し、該レーザセンサ20を車両70の上方からレーザビーム21を照射可能な固定ポール23に配した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、無人駐車場の出口等に配置され、車両の不正な通過を管理する通過車両管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、無人駐車場の出口やETCゲートにおいて、通過する車両をループ検知器等で検知して、駐車料金や通過料の支払を受付け、車両の出庫や通過を許可する自動精算機等の通過車両管理装置が多く存在している。しかし、上記ループ検知器の車両分解能は低く、十cm程度の間隔しか離れていない密着した状態で前後に連なった車両を1台の車両として検知するため、支払を免れようとする不正な車両が出庫や通過するといった問題が生じていた。ここで、ループ検知器を用いて、密着した状態で前後に連なった車両の不正通過を防止する駐車管理システムが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
この駐車管理システムは、駐車場の入出場路に一般的な車両1台分の長さに合わせた間隔を隔てて2つのゲートを備えている。この駐車管理システムのループ検知器が車両を検知すると、2つのゲートのうち駐車場内側のゲートを開放して2つのゲート間に車両を進入させて、当該ゲートを閉じる。その状態で支払いを受付けることによって、駐車場外側のゲートを開放して車両を出庫させる。
このようにして、この駐車管理システムは、一般的な車長を有する車両が密着した状態では2つのゲート間に収まらず、密着して不正に通過しようとする車両の通過を防止することができる。
【0004】
しかし、この駐車管理システムは、2つのゲートと、当該2つのゲートを一般的な車両1台分の長さに合わせた間隔を隔てて配置するスペースが必要であった。また、例えば、車長が一般的な車両の半分程度の長さの短い車両の場合、密着した状態でも2つのゲートの間に収まるため、このような車両の不正な通過を防止することはできなかった。また、一般的な車両の車長より長い車両は、1台の正当な通過車両であるのにもかかわらず、2つのゲートの間に収まらないため、正当でない車両の通過と判断されるという問題もあり、この駐車管理システムを用いて駐車サービスを提供するサービス提供者の満足を得るものではなかった。
【0005】
【特許文献1】特開2002−24881号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、わずかな間隔をあけた密着状態で不正に通過しようとする車両を、確実に検出できる通過車両管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、車両を通過させるための操作を受付ける操作受付手段と、通過する車両の台数を検出する車両台数検出手段と、前記操作受付手段から受付けた車両数より多い台数の通過車両を前記車両台数検出手段が検出することによって、当該通過車両を通過のための操作を受付けていない未受付車両として検知する未受付車両検知手段とを備えた通過車両管理装置及び車両通過管理方法であることを特徴とする。
【0008】
上記操作受付手段は、駐車場の出口に備えた自動精算装置、或いはETCの料金所に備えたアンテナ等であることを含む。
上記通過する車両の台数を検出する車両台数検出手段は、レーザセンサ等を用いて、数十cm以下の間隔しか離れていない密着した状態で前後に連なって進行する車両を複数台の車両として検出できる検出手段である。
【0009】
未受付車両は、例えば、料金支払等の通過のための操作をせずに通過しようとする車両である。
この発明により、例えば、数十cm以下の間隔しか離れていない密着した状態で前後に連なって進行する車両を、操作受付手段で操作受付されていない未受付車両を検出することができる。
【0010】
この発明の態様として、前記車両台数検出手段を、レーザビームを照射するレーザ照射部と、該レーザ照射部から照射されたレーザビームの反射光を受光するレーザ受光部と、該レーザ受光部が受光した前記反射光から通過する車両を検出する車両検出部とで構成したレーザセンサで形成し、該レーザセンサを、前記通過車両の上方からレーザ光を照射する上方位置に配することができる。
【0011】
これにより、数cmの精度での車両分離を検出することができ、例えば数cm程度の間隔で密着して前後に連なった車両を複数台の車両として確実に検知することができる。
また、レーザビーム照射部から照射され、車両で反射された反射光の受光によって車両検知するため、反射板を必要とせず、車両台数を検出するための設備を簡略化できる。
【0012】
また、レーザセンサを上方位置に配置し、通過車両の上方からレーザ光を照射する構成としたことによって、例えば通過車両の側方からレーザ光を照射する側方位置にレーザセンサを配置した場合と比較して、車両の離間部分を悪意者が手や人体で遮ることでセンサを誤作動させるという側方位置に配置した場合に起こり得る不正を防止することができる。
【0013】
また、この発明の態様として、前記未受付車両に対して警告を出力する警告出力手段を備えることができる。
上記警告出力手段とは、通過のための操作がなされず不正に通過しようとしている旨、そのまま通過することで例えば証拠写真を保存する旨、警察や管理会社に不正通過の証拠とともに通報する旨等の警告表示を、未受付車両を乗車している運転者等や周囲の人に見えるように出力する液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等の出力装置である。
【0014】
これにより、未受付車両の運転者に、当該通過が不正な通過である旨を明確に伝えることができ、未受付車両の不正な通過を抑制することができる。また、例えば、不正通過の証拠写真が保存されていることによって、不正な通過の再発を防止することができる。
【0015】
また、この発明の態様として、前記未受付車両の画像を撮像する撮像手段と、前記未受付車両の不正通過を確認する不正通過確認手段と、前記画像を前記不正通過車両の画像として保存する保存手段とを備えることができる。
【0016】
前記不正通過車両は、例えば、料金支払等の操作をせず通過しようとしていた未受付車両が不正に通過し、その不正通過の事実が確認された車両である。
前記画像を撮像する撮像手段は、AutomaticVehicleIdentification(以下においてAVI)用の動画を撮像するCCDカメラ、通常の監視カメラ、或いは写真を撮影するデジタルカメラ等の静止画用カメラである。
【0017】
これにより、例えば、通過完了前に料金等を支払うことで正当な通過となり得る可能性のある未受付車両の画像を撮像しておき、当該画像のうち不正通過の事実を確認した不正通過車両の画像を保存しておくことができる。したがって、不正通過の事実を画像として保存することができる。
また、当初は未受付車両であったが、通過完了する前に通過のための操作を行って正当な通過車両になった車両の画像は保存されないため、全ての通過車両の画像を保存する場合と比較して保存容量を抑制することができる。
【0018】
また、この発明は、上記通過車両管理装置で確認された不正通過車両に関する情報を管理する総括管理装置と、該総括管理装置に不正通過車両情報を通知する通知手段と、前記不正通過車両情報に基づいて、不正通過車両を特定する不正通過車両特定手段と、前記不正通過車両情報を前記特定された不正通過車両と関連付けて保管する不正通過車両情報保管手段を備えた不正通過車両管理システム、及び不正通過車両管理方法であることを特徴とする。
【0019】
上記通過車両管理装置による不正通過車両に関する情報は、不正通過車両の画像及び通過を確認した時間等の不正通過行為を特定する特定情報であることを含む。
上記総括管理装置はサーバであることを含み、該総括管理装置に不正通過車両情報を通知する通知手段は、インターネット回線、専用回線、或いは電話回線等の有線通信回線、又は無線LANや携帯電話回線等の無線通信回線を利用して上記情報を送信する手段である。
【0020】
これにより、不正通過車両に関する情報を総括管理装置で総括して保管、管理することができる。したがって、例えば、複数の場所に設置した通過車両管理装置で検出した不正通過車両を一元管理することができる。
【0021】
この発明の態様として、前記撮像手段を、通過車両の画像を撮像可能に構成するとともに、該撮像手段による画像から当該車両を特定する車両特定手段と、車両の通過を遮断する遮断手段と、当該通過車両が前記不正通過車両情報保管手段に前記不正通過車両情報が保管された車両であるか否かを判定する判定手段とを備え、通過車両が不正通過車両として情報が保存された車両である場合、前記遮断手段によって通過車両の通過を遮断することができる。
【0022】
上記通過車両は、未受付車両及び不正通過車両だけでなく、正当に通過する車両も含み、すなわち通過する全ての車両である。
上記車両特定手段は、撮像手段が撮像した画像をコンピュータ処理して、車両のナンバープレートを自動認識して車両を特定するAVIシステムである。
【0023】
これにより、正当に通過しようとする通過車両であっても、例えば、前回や今までに所定回数以上の不正通過を行ってきた不正通過車両である場合、この通過車両の通過を遮断することによって、不正通過分の請求する等の処置を行うことができ、この不正通過車両管理システムを用いて駐車サービスを提供するサービス提供者の満足度を向上することができる。
【発明の効果】
【0024】
この発明によれば、わずかな間隔をあけた密着状態で不正に通過しようとする車両を、確実に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
この発明の一実施の形態を以下図面に基づいて詳述する。
不正通過管理システム100のシステム概容図を示す図1、通過管理装置1を設置した駐車場の出口部分の斜視図を示す図2とともに、不正通過管理システム100、通過管理装置1及びレーザセンサ20について説明する。
【0026】
不正通過管理システム100は、通過管理装置1と、通過管理装置1と回線110を介して接続された総括管理サーバ120とで構成されている。なお、図1は1つの通過管理装置1のみを総括管理サーバ120に接続しているが、実際は複数の通過管理装置1が接続されている。また、本実施例において、回線110を有線通信回線である専用回線で構成したが、それに限定されず、インターネット回線や、電話回線等の有線通信回線、又は無線LANや携帯電話回線等の無線通信回線で構成してもよい。
【0027】
前記総括管理サーバ120は、この不正通過管理システム100を管理運営する管理会社に設置されたコンピュータであり、CPUとROMとRAMで構成される制御装置、ハードディスク等の記憶装置、CD−ROMドライブやDVD−RAMドライブ等の記憶媒体を読取る記憶媒体読取装置、または記憶媒体読書き装置、マウスやキーボード等の入力装置、CRTや液晶画面等で構成する表示装置、回線110を介して通信を行うLANボード等の通信装置、並びに後述するブラックリストを格納する管理データベース等を備えている。
【0028】
上記記憶装置には、情報登録プログラム、登録された各種情報を管理する情報管理プログラム、画像処理によって車両を特定するAVIプログラム、ブラックリストから特定車両をフィルタリングするフィルタリングプログラム、通過管理装置1を管理する管理プログラム、その他必要な処理を実行するプログラムを格納する。
【0029】
上記ブラックリストは、不正事件毎にユニークに付される管理番号、不正日時、不正場所、不正車両番号、並びに未納金額等を格納し、不正事件毎に情報管理プログラムによって管理している。
【0030】
通過管理装置1は駐車場の出入り口に設置され、制御コンピュータ10、レーザセンサ20、ゲート30、自動精算機40、警告ディスプレイ50、並びにカメラ60で構成されている。これらレーザセンサ20、ゲート30、自動精算機40、警告ディスプレイ50、並びにカメラ60は制御コンピュータ10に接続され、制御コンピュータ10によって制御されている。なお、制御コンピュータ10はコンピュータであり、前記総括管理サーバ120と同様の各種装置を備えている。
【0031】
上記制御コンピュータ10に備えた各種装置のうちの記憶装置には、制御コンピュータ10に接続された各機器を制御する制御プログラム、各機器から得た情報を登録する情報登録プログラム、当該情報を総括管理サーバ120に送信する送信プログラム、その他必要な処理を実行するプログラムを格納する。
【0032】
レーザセンサ20は、レーザ照射部、レーザ受光部、並びに検出部とで構成し、レーザ照射部から照射したレーザビーム21が車両70で反射し、その反射レーザビーム22をレーザ受光部が受光し、レーザ受光部の受光によって検出部が車両70を検出する。レーザセンサ20は逆L型の固定ポール23の上部に固定されている。なお、固定ポール23は5m程度高さを有している。この5mの高さは所謂一般道路の建築限界を満足する高さである。
【0033】
レーザ照射部は、レーザビーム21を出射するレーザダイオードと、レーザダイオードから出射されたレーザビーム21を集光し平行なビームにする投光レンズと、投光レンズで集光されたレーザビーム21を下方に照射するミラーとで構成している。なお、レーザダイオードは所定の周期でパルス発光している。また、上記構成によって照射するレーザビーム21のスポット形状を、車両70の通過方向(図2矢印A参照)の長さが短い楕円形状に形成している。
【0034】
レーザ受光部は、車両70で反射された反射レーザビーム22を集光して受光する受光レンズと、受光レンズで受光された反射レーザビーム22を電気信号に変換するフォトダイオードとで構成している。
検出部は、前記フォトダイオードで変換された電気信号に基づいて車両70を検出する構成である。
【0035】
ゲート30は、縦長直方体の本体部31と、車両70の運転席が自動精算機40の前となる出庫操作位置B(図2)にある車両70の前方で車両70の進行を遮断するゲートバー32と、ゲートバー32の直下の本体部31に備えたゲートバーセンサ33とで構成している。
【0036】
ゲートバー32は、図示省略するゲートバー制御部と、ゲートバー駆動部によって、本体部31内部の枢動支点を中心に上下方向に枢動し、通常時においては、図2に示すように、車両70の通過を遮断するように、車両70の正面の適宜の高さで略水平方向で停止している。また、車両70が通過する際には、図2の中で点線で示すように、ゲートバー32を上げて車両70の通過を許容する。
【0037】
ゲートバーセンサ33は、ゲートバー32が上がり、車両70が通過する際に、通過する車両70を検出する透過式のセンサであり、ゲートバーセンサ33が車両の通過を検出している間は、ゲートバー32が下がって車両通過を遮断することを禁止している。なお、本実施例において、ゲートバーセンサ33を透過式センサで構成したが、通常の所謂ループ式センサで構成してもよい。
【0038】
なお、ゲートバーセンサ33が車両70を検出しなくなってからゲートバー32が下がり始めるまでの間にタイムラグ(以下において、遅れ時間という)を設けている。これにより、下がるゲートバー32が車両70に接触することを防止している。
【0039】
自動精算機40の車両側面に、図示省略する出庫操作開始ボタン、駐車券投入口、料金表示部、料金投入口、返金口、領収書発行ボタン、領収書発行口、並びに非常時通話装置を備え、内部に、CPUとROMとRAMで構成される制御装置、ハードディスク等の記憶装置、駐車券等の磁気記憶情報を読取る読取装置、投入通貨回収装置、返金装置、制御コンピュータ10と通信するための通信装置等の自動精算機40で必要な処理を行うための装置を備えている。
【0040】
警告ディスプレイ50は、制御コンピュータ10で制御され、制御コンピュータ10から受信した警告情報を出力表示するディスプレイである。なお、警告ディスプレイ50は、警告情報として警告文のみならず、後述するカメラ60で撮影した画像等を出力表示することができる。
【0041】
カメラ60は、AVI用の動画を撮像するCCDカメラであり、図3(a)に示すように車両70を前方から撮像する前方カメラ60aと、図3(b)に示すように車両70を後方から撮像する後方カメラ60bとで構成している。なお、前方カメラ60aは車両70のナンバープレート71と運転者Cとを鮮明に撮影し、後方カメラ60bは車両70の後方のナンバープレート71を鮮明に撮影することができる。なお、カメラ60はAVI用のCCDカメラに限定されず、通常の監視カメラや、静止画を撮影するデジタルカメラやアナログカメラであってもよい。
【0042】
次に、図4に示す出庫処理のメインフローのフロー図と共に該処理について説明する。
駐車場の営業中、通過管理装置1は、上記出庫操作位置B(図2)への車両70の進入を待機し(ステップs1)、車両70が出庫操作位置Bまで進入し、運転者Cによって出庫操作開始ボタンが押下されると、通過管理装置1は車両70の出庫操作位置Bへの進入を検知する(ステップs2)。
【0043】
その後、運転者Cによって自動精算機40の駐車券投入口から駐車券が投入され、投入された駐車券から駐車料金を計算し、駐車料金を料金表示部に表示して、料金投入口から料金を受け取る(ステップs3:Yes)と、通過管理装置1はゲートバー32を上げてゲートを開放する(ステップs4)。このとき、レーザセンサ20とゲートバーセンサ33は通過する車両70を検出している(ステップs5:Yes)。そして、車両70が進行してレーザセンサ20から照射されるレーザビーム21を越えるとレーザセンサ20は車両を検出しなくなる(ステップs6:Yes)。さらに車両70が進行すると、ゲートバーセンサ33が車両70を検出しなくなる(ステップs7:Yes)。これにより、通過管理装置1は車両70が正当に駐車料金を支払い、正当に出庫したと判断する。そして、通過管理装置1はゲートバーセンサ33が車両70を検出しなくなってから所定の遅れ時間経過後にゲートバー32を下げて、ステップs1に戻って次の車両70の検出まで待機する。
【0044】
なお、ステップs5において、レーザセンサ20とゲートバーセンサ33とが通過する車両70を検出しない場合(ステップs5:No)、或いは、一旦レーザセンサ20とゲートバーセンサ33とが通過する車両70を検出したが、レーザセンサ20が車両70を検出し続けた場合(ステップs6:No)、一定期間経過すると(ステップs10:Yes)、レーザセンサ20やゲートバーセンサ33の誤作動として総括管理サーバ120に通知して(ステップs11)、当該処理を終了する。なお、一定時間経過していない場合は(ステップs10:No)、一定時間の経過を待って上記誤作動通知を行う。
【0045】
また、ゲートバーセンサ33が車両70の検出している間に(ステップs7:No)、レーザセンサ20の車両70の検出が再開した場合(ステップs12:Yes)、通過管理装置1は通行する車両70が図1に示すような数cm程度の間隔の密着状態で前後に連なって走行する2台の密着車両(70a,70b)として判定し、密着状態で連なる後方の密着車両70bの画像をカメラ60で撮影する(ステップs13)。このとき、上記密着車両のうち前方の密着車両70aの分の駐車料金は支払われており、密着車両70aの出庫は正当な出庫である。しかし、後方の密着車両70b分の駐車料金は支払われていないものの、まだゲート30を超えて出庫していないため、不正通過が確定しておらず、この状態において後方の密着車両70bは不正通過の可能性の非常に高い状態である。
【0046】
その後、後方の密着車両70bの出庫操作が行われた場合(ステップs14:Yes)、通過管理装置1は、密着車両70a及び密着車両70bの出庫は正当であると判断し、ステップs1に戻って次の車両70の検出まで待機する。
【0047】
逆に、通過管理装置1が出庫操作を受付けなかった場合(ステップs14:No)、密着車両70bは不正通過したとして、ステップs13で撮像した密着車両70bの画像に上書防止措置を施して保存し(ステップs15)、上記ブラックリストに格納する項目の情報とともに、上記画像データを総括管理サーバ120に送信して、ブラックリストに登録する(ステップs16)。そして、通過管理装置1は、ステップs1に戻って次の車両70の検出まで待機する。
【0048】
また、通過管理装置1は車両70の出庫操作位置Bへの進入を検知したが、料金投入口から料金を受け取らず(ステップs3:No)、ゲートバーセンサ33が車両70を検出した場合(ステップs8:Yes)、遮断されたままのゲートバー32を突破した不正通過として、総括管理サーバ120に通知して(ステップs9)、当該処理を終了する。また、ゲートバーセンサ33が車両70を検出せずに(ステップs8:No)、一定期間経過すると(ステップs10:Yes)、自動精算機40の誤作動として総括管理サーバ120に通知して(ステップs11)、当該処理を終了する。なお、一定時間経過していない場合は(ステップs10:No)、一定時間の経過を待って上記誤作動通知を行う。
【0049】
このようにして、通過管理装置1は、車両70の出庫処理を行い、密着車両70bの不正通過を検出して、ブラックリストに登録することができる。次に、上記処理において、以前に不正通過したことのある車両70が出庫する場合の処理について、図5とともに説明する。なお、この処理は、図4で示すステップs2で通過管理装置1が車両70の進入を検知した後に実行される処理である。
【0050】
ステップs2での車両70の進入検知後に、通過管理装置1は車両70の画像をカメラ60で撮像する(ステップt1)。車両70の画像を撮像した通過管理装置1は回線110を介して総括管理サーバ120に撮像データを送信し、撮像データを受信した総括管理サーバ120は上記AVIプログラムによって車両70を特定する(ステップt2)。さらに、上記特定された車両70がブラックリストを格納された不正通過車両でないか上記フィルタリングプログラムによって検索する(ステップt3)。
【0051】
上記特定された車両70がブラックリストを格納された不正通過車両でないと判定された場合(ステップt4:No)、総括管理サーバ120はその旨を通過管理装置1に通知し、当該通知を受信した通過管理装置1は今回の駐車料金を請求し(ステップt5)、駐車料金を支払う等の出庫操作を受付けると(ステップt6:Yes)、ステップs5に戻って、上述したような通常の出庫処理のフローに従って動作する。
【0052】
上記特定された車両70がブラックリストを格納された不正通過車両であると判定されたが(ステップt4:Yes)、不正通過回数が所定回数を超えていない場合(ステップt7:No)、総括管理サーバ120はその旨を通過管理装置1に通知し、当該通知を受信した通過管理装置1は今回の駐車料金に加えてそれまでの未払いである未払い駐車料金を加えて請求し(ステップt8)、駐車料金を支払う等の出庫操作を受付けると(ステップt6:Yes)、ステップs5に戻って、上述したような通常の出庫処理のフローに従って動作する。
【0053】
しかし、不正通過回数が所定回数を超えている場合(ステップt7:Yes)、通過管理装置1が駐車料金を加えて請求したもの(ステップt5,8)、或いは駐車料金を支払う等の出庫操作を受付けなかった場合(ステップt6:No)、通過管理装置1はゲートバー32を上げずに封鎖し、車両70の通過を遮断し(ステップt9)、総括管理サーバ120を介して関係機関に通報して当該処理を終了する。
【0054】
このようにして、上記構成を有する通過管理装置1は、自動精算機40で出庫操作を受付けた車両70以外の密着車両70bの出庫をレーザセンサ20とゲートバーセンサ33のセンシングによって確実に検出することができる。
【0055】
また、レーザビーム21のスポット形状を、車両70の通過方向(図2矢印A参照)の長さが短い楕円形状に形成しているため、スポット形状が車両70の通過方向の長さが長い楕円形状であるレーザビームと比較して、より正確な車両検出能力を発揮することができる。
【0056】
また、レーザセンサ20を上方位置に配置し、車両70の上方からレーザビーム21を照射する構成としたことによって、例えば車両70の側方からレーザビーム21を照射する側方位置にレーザセンサ20を配置した場合と比較して、側方位置に配置した場合の車両の離間部分を悪意者が手や人体で遮ることでセンサを誤作動させる不正を防止することができる。
また、警告ディスプレイ50を備えたことによって、制御コンピュータ10で制御された警告情報を出力表示することができる。
【0057】
また、総括管理サーバ120のブラックリストで過去に不正通過した車両70を管理することができ、さらには、出庫しようとしている車両70が既にブラックリストに登録されている車両70でないか判定し、ブラックリストに登録されているが所定回数未満である場合に未払い分の駐車料金を請求し、所定回数以上の場合当該車両70の出庫を停止することができる。これにより、不正通過管理システム100を管理する管理者の利便性が向上する。
【0058】
なお、車両の進行方向に対して直角方向である幅方向の扇状のレーザビームを下方に向けて照射するポリゴンミラーをレーザ照射部に備え、レーザセンサ20を扇状レーザビームで車両を検出するように構成してもよい。また、1回の扇状レーザビームの照射で車両検出する構成であってもよいが、扇状レーザビームを複数回照射し、その結果に基づいて車両検出する構成であってもよい。さらに、複数回の扇状レーザビームの照射開始位置をそれぞれずらして照射することによって、パルス発光しているレーザビームでの車両検出の精度を向上させてもよい。
【0059】
詳述すると、レーザダイオードから出射され、投光レンズで平行なビームとなったレーザビームは、回転機構によって一定速度且つ一方向に回転するポリゴンミラーで反射し、下方に向かって広がる扇状に照射される。なお、レーザダイオードは所定の周期でパルス発光しているため、一定速度で回転するポリゴンミラーによって反射したレーザビームは幅方向の所定間隔ごとに照射され、扇状に走査する扇状レーザビームを形成している。このとき、ポリゴンミラーの回転位置とレーザダイオードの発光タイミングとを制御することで扇状レーザビームの照射角度、すなわち扇状レーザビームの照射範囲を調整している。
【0060】
このように扇状に照射される扇状レーザビームを複数回照射し、各回の照射開始位置をずらすことによって、レーザビームによる走査間隔を縮めることができ、幅方向の車両検出精度を向上することができる。したがって、例えば、一回の照射では検出できないような車両連結部分等の幅の狭い部分を検出することができるため、連結部分等を有するトレーラ等の車両を密着車両として検出することを防止できる。
【0061】
また、本実施例において、レーザセンサ20とゲートバーセンサ33とを別体で構成したが、レーザセンサとゲートバーセンサとを一体で構成してもよい。この場合、一体形成したレーザセンサとゲートバーセンサを、ゲートバーよりわずかに外側に配置することが望ましく、さらには、ゲートセンサの検出終了からゲートバー枢動までの遅れ時間を0.5ms程度の遅れ時間を設定すればよい。
【0062】
また、本実施例において、不正通過管理システム100及び通過管理装置1を駐車場の出口における出庫処理に利用したが、有料道路のETCゲートに本発明の通過管理装置1や不正通過管理システム100を用いても良い。
【0063】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
未受付車両は、密着車両70bに対応し、
以下同様に、
操作受付手段は、自動精算機40に対応し、
車両台数検出手段は、レーザセンサ20に対応し、
通過車両管理装置は、通過管理装置1に対応し、
反射光は、反射レーザビーム22に対応し、
警告出力手段は、警告ディスプレイ50に対応し、
撮像手段は、カメラ60に対応し、
総括管理装置は、総括管理サーバ120に対応し、
遮断手段は、ゲートバー32に対応し、
通知手段は、送信プログラムに対応し、
不正通過車両特定手段は、AVIシステムに対応し、
不正通過車両情報保管手段は、ブラックリスト及び情報登録プログラムに対応し、
車両特定手段は、AVIシステムに対応し、
未受付車両検知手段は、ステップs12に対応し、
不正通過確認手段は、ステップs14に対応し、
保存手段は、ステップs15に対応し、
判定手段は、ステップt4に対応するも、
この発明は、前述の実施態様の構成のみに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】不正通過管理システムシステム概容図。
【図2】ゲート装置が設置された駐車場の出口部分の斜視図。
【図3】車両が撮像された画像の説明図。
【図4】出庫処理のメインフローのフロー図。
【図5】以前に不正通過した車両が出庫する場合の処理のフロー図。
【符号の説明】
【0065】
1…通過制御装置
10…制御コンピュータ
20…レーザセンサ
21…レーザビーム
22…反射レーザビーム
32…ゲートバー
40…自動精算機
50…警告ディスプレイ
60…カメラ
70…車両
70b…密着車両
100…不正通過管理システム
120…総括管理サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を通過させるための操作を受付ける操作受付手段と、
通過する車両の台数を検出する車両台数検出手段と、
前記操作受付手段から受付けた車両数より多い台数の通過車両を前記車両台数検出手段が検出することによって、当該通過車両を通過のための操作を受付けていない未受付車両として検知する未受付車両検知手段とを備えた
通過車両管理装置。
【請求項2】
前記車両台数検出手段を、
レーザビームを照射するレーザ照射部と、該レーザ照射部から照射されたレーザビームの反射光を受光するレーザ受光部と、該レーザ受光部が受光した前記反射光から通過する車両を検出する車両検出部とで構成したレーザセンサで形成し、
該レーザセンサを、
前記通過車両の上方からレーザ光を照射する上方位置に配した
請求項1に記載の通過車両管理装置。
【請求項3】
前記未受付車両に対して警告を出力する警告出力手段を備えた
請求項1、又は2に記載の通過車両管理装置。
【請求項4】
前記未受付車両の画像を撮像する撮像手段と、
前記未受付車両の不正通過を確認する不正通過確認手段と、
前記画像を前記不正通過車両の画像として保存する保存手段とを備えた
請求項1、2或いは3に記載の通過車両管理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の通過車両管理装置で確認された不正通過車両に関する情報を管理する総括管理装置と、
該総括管理装置に不正通過車両情報を通知する通知手段と、
前記不正通過車両情報に基づいて、不正通過車両を特定する不正通過車両特定手段と、
前記不正通過車両情報を前記特定された不正通過車両と関連付けて保管する不正通過車両情報保管手段を備えた
不正通過車両管理システム。
【請求項6】
前記撮像手段を、通過車両の画像を撮像可能に構成するとともに、
該撮像手段による画像から当該車両を特定する車両特定手段と、
車両の通過を遮断する遮断手段と、
当該通過車両が前記不正通過車両情報保管手段に前記不正通過車両情報が保管された車両であるか否かを判定する判定手段とを備え、
通過車両が不正通過車両として情報が保存された車両である場合、前記遮断手段によって通過車両の通過を遮断する
請求項5に記載の不正通過車両管理システム。
【請求項7】
車両を通過させるための操作を受付ける操作受付ステップと、
通過する車両の台数を検出する車両台数検出ステップと、
前記操作受付手段から受付けた車両数より多い台数の通過車両を前記車両台数検出手段が検出することによって、当該通過車両を未受付車両として検知する未受付車両検知ステップとを備えた
車両通過管理方法。
【請求項8】
請求項7に記載の車両通過管理方法において、検知された未受付車両の画像を撮像する未受付車両撮像ステップと、
前記未受付車両検知ステップで検知された前記未受付車両の不正通過を確認する不正通過確認ステップと、
前記不正通過車両の前記画像を保存する保存ステップと、
前記不正通過車両に関する情報を管理する管理ステップと、
前記不正通過車両情報を通知する通知ステップと、
前記不正通過車両情報に基づいて、不正通過車両を特定する不正通過車両特定ステップと、
前記不正通過車両情報を前記特定された不正通過車両と関連付けて保管する不正通過車両情報保管ステップとを備えた
不正通過車両管理方法。
【請求項9】
通過車両の画像を撮像する通過車両撮像ステップと、
該撮像手段による画像から当該車両を特定する車両特定ステップと、
車両の通過を遮断する遮断ステップと、
当該通過車両が前記不正通過車両情報保管手段に前記不正通過車両情報が保管された車両であるか否かを判定する判定ステップとを備え、
通過車両が不正通過車両として情報が保存された車両である場合、前記遮断手段によって通過車両の通過を遮断することを特徴とした
請求項8に記載の不正通過車両管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−146298(P2008−146298A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−331856(P2006−331856)
【出願日】平成18年12月8日(2006.12.8)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】