説明

造粒用ダイス、造粒装置、および発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法

この造粒用ダイスBは、水流に接触して設けられた樹脂吐出面5aを備え、この樹脂吐出面5aには、押出機のシリンダに連通する複数のノズル8が形成されている。これらノズル8は、樹脂吐出面5aのうち、水流の流入方向及び流出方向にあたる領域P、および水流の流入方向および流出方向と直交する方向にあたる領域Rの、少なくともいずれかの領域には形成されず、それ以外の領域Qにのみ形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、ホットカット法により熱可塑性樹脂の粒子を成形するための造粒用ダイス及び造粒装置に関し、特にノズルの目詰まりを防ぎ、粒径の均一な粒子を効率よく生産できる造粒用ダイス及び造粒装置に関する。本発明はまた、前記ダイスを用いた発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法に関する。
本出願は、日本国特許出願特願2003−67016号を基礎とし、その内容を取り込むものとする。
【背景技術】
熱可塑性樹脂のペレットを成形するための装置(ペレタイザーと称される。)は従来周知であり、一般に押出機と、この押出機の先端に取り付けられているダイスと、カッターとを備えて構成され、押出機により溶融混練された樹脂材料をダイスから押し出し、それをカッターで切断し、所望の大きさのペレットを製造する。ダイスのノズルから押し出される樹脂材料のカット法としては、ホットカット法とコールドカット法とが知られている。コールドカット法は、ダイスのノズルから押し出された樹脂材料を水槽に導いて冷却してストランド状にした後、切断する方法である。一方、ホットカット法は、複数個のノズルが開口しているダイス先端面を循環する水流と接触させ、水流中に押し出された直後の高温の樹脂をカッターで切断する方法である。
ホットカット法による造粒では、樹脂が十分に硬化していない状態で切断されるので、コールドカット法の欠点である樹脂の粉体化が生じない。また、ホットカット法による造粒では、球状の粒子が得られるなどの利点がある。
図4〜図6は従来のホットカット法による造粒において用いられている造粒用ダイスを例示する図であり、図4は図示しない押出機の先端に取り付けられた造粒用ダイスAとチャンバー12(カッター室)部分の断面図、図5は図4中I−I線矢視図、図6は筒状流路の配置を示す筒状流路部展開図である。
この造粒用ダイスAは、押出機の先端に固定されるダイホルダー1と、このダイホルダー1の先端に固定されたダイス本体5とを備えている。筒状をなすダイホルダー1の内部は、押出機先端に連通する溶融樹脂流路2になっている。また符号3はダイホルダー部ヒーター、4はダイス本体5取付用のボルトである。ダイス本体5内には、溶融樹脂流路2に連通するとともに、ダイス本体5の樹脂吐出面5aに開口する複数のノズル8に連通する複数の筒状流路7が、樹脂吐出面5a上に描かれた円周に沿って設けられている。ダイス本体5には、複数の棒状ヒーター6が挿入されている。この造粒用ダイスAは、押出機先端から溶融樹脂流路2および筒状流路7を通って樹脂吐出面5aに設けた複数のノズル8から樹脂を押し出す。この従来の造粒用ダイスAにあっては、図6に示すように、ノズル8と筒状流路7が樹脂吐出面5a上に描かれた円周に沿って等間隔毎に設けられている。
この造粒用ダイスAの樹脂吐出面5aに連設されたチャンバー12には、カッター回転軸9とカッター刃保持具10とカット用刃11とを備えたカッターが収容されるとともに、プロセス水入口13及びプロセス水出口14が設けられている。このチャンバー12は、水流中でカッターを回転駆動させ、樹脂吐出面5aから吐出された樹脂を水中で直ちに切断し、得られた粒子を流水とともにプロセス水出口14から搬出できる。
しかし、ホットカット法ではダイスの樹脂吐出面が水流と接触しているので、ここから熱が水流側に奪われ、ダイスの内部が部分的に樹脂の融点以下の温度に下がることがある。その結果、目詰まりを起こすノズル孔が生じ、生産性が低下する。また、目詰まりは生じなくても、口径が小さくなるノズルが生じ、ペレットの粒径に不揃いが生じ、品質を落とすこともある。さらには、目詰まりが多くなると、押し出しが不可能になるとともに、圧力が異常に高くなり、ダイスの上流側の装置、例えば押出機等に悪影響を与えることもある。
従来、ホットカット法による造粒に用いられる造粒用ダイスにおいて、ノズルの目詰まりを防ぐための技術として、例えば、ダイス内の各流路の中心に棒状ヒーターを設け、これら各流路に対応してそれぞれ複数のノズルを配設し、ノズルを均一加熱できるようにした造粒用ダイスが提案されている(例えば、特開平7−178726号公報参照)。
また、造粒用ダイス内部の温度低下を抑制するために、造粒用ダイスのノズルが開口している近傍を、熱伝導率の小さい多孔質金属材料で覆った造粒用ダイスが提案されている(例えば、特開平11−58374号公報参照)。
しかしながら、造粒用ダイスの目詰まりを防止するために、上述した従来技術を用いたとしても、その目詰まり防止効果は不十分であった。特に、熱可塑性樹脂に発泡剤を加え、発泡成形体の製造に用いられる発泡性樹脂粒子をホットカット法によって製造する場合、通常の非発泡性樹脂粒子を製造する時の水温(通常60〜80℃程度)で押し出すと樹脂が発泡してしまうため、水温を通常よりも低めに設定しなければならず、その結果、ノズルの目詰まりが特に生じ易くなり、生産性が低く、製品の粒径が不安定になる問題があった。
本発明者は、ホットカット法による造粒に用いられる造粒用ダイスにおいて、ノズルの目詰まりを防ぐために鋭意研究を重ねた結果、目詰まりを生じ易いノズルと水流の方向との間に関係があること、またダイス本体に熱媒を流して水との接触によって失われた熱エネルギーを補給することがノズルの目詰まり防止に有効であることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、ホットカット法による造粒用ダイスにおいて、ノズルの目詰まりを防ぎ、均一な粒径の粒子を効率よく生産できる造粒用ダイスの提供を目的とする。
【発明の開示】
本発明の造粒用ダイスは、水流に接触して設けられた樹脂吐出面と、押出機のシリンダに連通して前記樹脂吐出面に開口する複数のノズルとを備え、前記ノズルが、前記樹脂吐出面の前記水流の流入方向及び流出方向にあたる位置および前記水流の流入方向及び流出方向と直交する方向にあたる位置の、少なくともいずれかの位置には設けられていない。
前記造粒用ダイスによれば、目詰まりを生じ易い水流の流入方向及び流出方向にあたる位置、および水流の流入方向および流出方向と直交する方向にあたる位置の、少なくともいずれかの位置の樹脂吐出面にはノズルを設けない構成としたので、ノズルの目詰まりが生じ難くなる。したがって、前記造粒用ダイスによれば、目詰まりによる生産効率の低下を改善し、均一な粒径の高品質な粒子を製造できる。
前記複数のノズルは、前記樹脂吐出面上に描かれた円周に沿って配置されていてもよい。
造粒用ダイスの内部には、前記シリンダおよび前記ノズルに連通する樹脂流路が形成されているとともに、この樹脂流路内の樹脂を加熱する熱媒流路が設けられていてもよい。この場合、ダイス本体の内部に、ノズルに連通する樹脂流路内の樹脂を加熱する熱媒流路を設けたことにより、ノズルの目詰まり防止効果をより高めることができる。したがって、前記造粒用ダイスによれば、特に水温を低く設定する発泡性樹脂粒子の製造においても、ノズルの目詰まりを防いで、均一な粒径の粒子を効率よく生産できる。
前記熱媒流路の入口および出口は、前記樹脂吐出面の前記ノズルが設けられていない位置の近傍に設けられていてもよい。
前記造粒用ダイスは、水流の流入方向及び流出方向にあたる位置、および水流の流入方向および流出方向と直交する方向にあたる位置の両方に、ノズルを設けない構成としてもよい。この場合、水流の流入方向及び流出方向に次いで目詰まりを生じ易い、水流の流入方向及び流出方向と直交する方向にあたる樹脂吐出面にもノズルを設けないため、ノズルの目詰まり防止効果をさらに高めることができる。
本発明の造粒装置は、前記造粒用ダイスと、前記造粒用ダイスを先端に取り付けた押出機と、前記造粒用ダイスのノズルから吐出される樹脂を切断するカッターが収容されるとともに、造粒用ダイスの樹脂吐出面に水流を接触させるチャンバーとを含む。
この造粒装置において、前記造粒用ダイスの内部には、前記シリンダおよび前記ノズルに連通する樹脂流路が形成されているとともに、この樹脂流路内の樹脂を加熱する熱媒流路が設けられていてもよい。
前記造粒装置において、前記熱媒流路の入口と出口とが、前記樹脂吐出面の前記ノズルが設けられていない位置の近傍に設けられていてもよい。
本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法は、前記造粒用ダイスを取り付けた押出機に熱可塑性樹脂を供給し溶融混練させる工程と、前記熱可塑性樹脂を前記造粒用ダイスに向けて移動させながら前記熱可塑性樹脂に発泡剤を注入して発泡剤含有樹脂を形成する工程と、前記造粒用ダイスのノズルから吐出される前記発泡剤含有樹脂をカッターにより水流中で切断する工程とを具備する。
この方法によれば、目詰まりを生じ易い水流の流入方向及び流出方向にあたる位置、および水流の流入方向および流出方向と直交する方向にあたる位置の、少なくともいずれかの位置の樹脂吐出面にノズルが形成されていないため、ノズルの目詰まりが生じ難くなる。したがって、目詰まりによる発泡剤含有樹脂の生産効率の低下を改善し、均一な粒径を有する高品質な発泡剤含有樹脂の粒子を製造できる。
この方法において、前記造粒用ダイスの内部に、前記シリンダおよび前記ノズルに連通する樹脂流路が形成されており、前記熱媒流路に熱媒を流してこの樹脂流路内の樹脂を加熱してもよい。
さらに、前記方法において、前記熱媒流路の入り口と出口とが、前記樹脂吐出面の前記ノズルが設けられていない位置の近傍に設けられていてもよい。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の造粒用ダイスの一実施形態を示す断面図である。
図2は、図1中II−II線矢視図、図3は、同じ造粒用ダイスの筒状流路部の展開図である。
図4は、本発明の造粒用ダイスの一実施形態を示す断面図である。
図5は、図4中I−I線矢視図、図6は、同じ造粒用ダイスの筒状流路部の展開図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、図面を参照して本発明を説明する。
図1〜図3は本発明の造粒用ダイスを例示する図である。本発明の造粒用ダイスBは、押出機で溶融混練した熱可塑性樹脂をノズルから水中に押し出し、同時にカットして粒子(ペレット)を作製するホットカット法による造粒に用いられる。図1は図示しない押出機の先端に取り付けられた造粒用ダイスBとチャンバー12(カッター室)部分の断面図、図2は図1中II−II線矢視図、図3は筒状流路の配置を示す筒状流路部展開図である。
この造粒用ダイスBは、押出機(図示略)の先端に固定されるダイホルダー1と、このダイホルダー1の先端に固定されたダイス本体5とを備えている。筒状をなすダイホルダー1の内部は、押出機先端に連通する溶融樹脂流路2になっている。符号3はダイホルダー部ヒーター、4はダイス本体5取付用のボルトである。ダイス本体5には、複数の棒状ヒーター6が挿入されている。この造粒用ダイスBは、押出機先端から溶融樹脂流路2および筒状流路7を通って樹脂吐出面5aに設けた複数のノズル8から樹脂を押し出す。例示した例では、筒状流路7のそれぞれに単独孔を有するノズル8を示すが、ノズル8の孔形状は例えば蓮根の断面形状のような複数孔であってもよい。
この造粒用ダイスBの樹脂吐出面5aに連設されたチャンバー12には、カッター回転軸9とカッター刃保持具10とカット用刃11とを備えたカッターが収容されるとともに、プロセス水入口13及びプロセス水出口14が設けられている。このチャンバー12は、プロセス水流中でカッターを回転駆動させ、樹脂吐出面5aから吐出された樹脂を水中で直ちに切断し、得られた粒子を流水とともにプロセス水出口14から搬出する。
ダイス本体5内には、溶融樹脂流路2に連通するとともに、ダイス本体5の樹脂吐出面5aに開口する複数のノズル8に連通する複数の筒状流路7を、樹脂吐出面5a上に描かれた円周に沿って設けているが、樹脂吐出面5aの水流の流入方向及び流出方向にあたる位置P、及びそれと直交する位置Rにはノズル8及び筒状流路7を設けていない。それ以外の領域Qにのみノズル8が形成されている。図2に示す例示に従い説明すると、このダイス本体5の樹脂吐出面5aは円環形をなしており、ノズル8は、円環の中心から見て上下左右の各領域P,Rを除く領域Qにのみ、樹脂吐出面5aの外周より小径でかつ樹脂吐出面5aと同心をなす仮想的な円周に沿って設けられている。
樹脂吐出面5aの下方は、プロセス水入口13の方向と一致し、樹脂吐出面5aの上方は、プロセス水出口14の方向と一致し、また樹脂吐出面5aの左右方向は、プロセス水入口13とプロセス水出口14とを結ぶ方向と直交する方向にあたる。
より具体的にいえば、この実施例では、樹脂吐出面5aのうち、プロセス水入口13およびプロセス水出口14のそれぞれに近接する中心角10〜50°の領域P、および、プロセス水入口13とプロセス水出口14とを結ぶ方向と直交する方向にあたる中心角10〜50°の領域Rを除く領域Qにのみ、ノズル8が形成されている。なお、この実施例では、同じ領域Q内のノズル8同士の間には一定の間隔があけられている。
前記中心角が10°未満であると、ノズルの目詰まりが生じやすくなるおそれがあり、中心角が50°を越えるとノズル形成位置が狭くなり、生産性が低下するおそれがある。領域PまたはRの中心角は、より好ましくは10〜30°であり、さらに好ましくは15〜25°である。
樹脂吐出面5aにノズル8を設けない領域のうち、プロセス水入口13及びプロセス水出口14に近接する領域Pでは特にノズルの目詰まりを生じ易く、この両方にノズル8及び筒状流路7を設けない構成とすることによって、ある程度の目詰まり防止効果を得ることができる。
本実施形態では、さらにプロセス水の水流と直交する樹脂吐出面5aの左右方向にあたる領域Rにも、ノズル8及び筒状流路7を設けない構成としている。樹脂吐出面5aの左右方向は、プロセス水入口13及びプロセス水出口14の方向である樹脂吐出面5aの上下方向に次いで、目詰まりを生じ易いことが確認されている。したがって、樹脂吐出面5aの左右の領域Rにもノズル8及び筒状流路7を設けないことによって、さらに良好な目詰まり防止効果が得られる。
また本実施形態では、ダイス本体5の内部に、ノズル8に連通する筒状流路7内の樹脂を加熱する熱媒流路17を設けた構成としている。この熱媒流路17に流す熱媒としては、加熱温度などに応じて適宜選択され、例えば200℃程度の熱媒を流す場合には、合成油などが好適に用いられる。この熱媒の温度は、例えば押出機内の樹脂加熱温度、或いは溶融樹脂流路2の樹脂温度と一致させても良いし、それぞれ別個に温度設定してもよい。また熱媒の流量は、樹脂吐出面5aと水との接触によって失われる熱エネルギーを補給することができる程度でよい。熱媒の温度と流量は、ノズル8の詰まり具合に応じて増減できるように構成することが好ましい。また熱媒は、図示しない熱媒供給手段によって熱媒流路17に循環供給され、熱媒流路17に供給される前に所定温度に加温されることが好ましい。
さらに本実施形態では、樹脂吐出面5aのノズル8を設けない領域Pの近傍に熱媒入口15aと熱媒出口16aを設けている。図2に示す例示では、樹脂吐出面5aの上側と下側の領域Pに、ダイス本体5内に設けられた熱媒流路17に連通する熱媒入口15aを設け、樹脂吐出面5aの右側と左側の領域Rに、熱媒流路17に連通する熱媒出口16aを設けている。このように構成することで、所定温度に加温された熱媒が、プロセス水の流通によって熱損失の大きい樹脂吐出面5aの上部及び下部に向けて供給されるので、樹脂吐出面5aの温度分布の均一性を高めることができる。
この造粒用ダイスBは、図1に示すように、ダイホルダー1を介して押出機の先端に取り付けられる。押出機内で溶融混練された樹脂は、溶融樹脂流路2を通って筒状流路7に流入する。筒状流路7の先端は口径が絞られ、先端は樹脂吐出面5aに開口したノズル8になっている。ダイス本体5内を流れる樹脂は、ダイホルダー部ヒーター3及び棒状ヒーター6によって加熱され、溶融状態を維持している。ノズル8から吐出した樹脂は、チャンバー12内を流れるプロセス水と接触し、水中でカッターのカット用刃11により切断される。切断され球状に固まった粒子は、冷却されながらプロセス水とともにチャンバー12から搬出され、脱水、乾燥されて樹脂粒子となる。分離されたプロセス水は、チャンバー12に循環供給される。
このホットカット法による造粒プロセスにおいて、造粒用ダイスBの樹脂吐出面5aはプロセス水と接触しているために熱損失が生じやすい。特にプロセス水入口13とプロセス水出口14に近い樹脂吐出面5aは局部的な温度低下を起こしやすい。この造粒用ダイスBは、局部的な温度低下を生じ易いプロセス水入口13とプロセス水出口14に近い樹脂吐出面5aにノズル8を設けていないので、それ以外の樹脂吐出面5aに設けたノズル8の目詰まりを防止でき、目詰まりによる生産効率の低下を改善し、均一な粒径の高品質な粒子を製造することができる。
また、この造粒用ダイスBは、プロセス水入口13とプロセス水出口14とに次いで目詰まりを生じ易い、プロセス水入口13とプロセス水出口14とを結ぶ線と直交する方向の樹脂吐出面5aにもノズル8を設けていないので、ノズルの目詰まり防止効果に優れている。
さらに、この造粒ダイスBは、ダイス本体5の内部に、ノズル8に連通する樹脂流路内の樹脂を加熱する熱媒流路17を設けたことによって、ノズル8の目詰まり防止効果をより高めることができる。したがって、特に水温を低く設定する必要がある発泡性樹脂粒子の製造においても、ノズルの目詰まりを防いで、均一な粒径の粒子を効率よく生産できる。
この造粒用ダイスBは、造粒用ダイスを先端に取り付けた押出機と、前記造粒用ダイスのノズルから吐出される樹脂を切断するカッターが収容されるとともに、造粒用ダイスの樹脂吐出面に水流を接触させるチャンバーとを備えて構成される、従来周知の各種の造粒装置に適用することができる。さらに、上述した造粒用ダイスBを備える造粒装置をも提供できる。この造粒装置を構成する押出機は、樹脂成形分野で従来周知の各種押出機の中から造粒する樹脂の種類等に応じて適宜選択して使用でき、例えば単軸押出機、2軸押出機、タンデム型押出機などが好ましい。またカッターを収容したチャンバーも、ホットカット法において用いられている従来周知のものを用いることができる。
本発明において、熱可塑性樹脂の種類は限定されないが、例えばポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ABS樹脂、AS樹脂等を単独もしくは2種類以上混合して使用することができる。さらに樹脂製品として一旦使用されてから回収して得られた熱可塑性樹脂の回収樹脂を使用することもできる。特にポリスチレン(GPPS)、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)などのポリスチレン系樹脂が好適に用いられる。
前記造粒装置を用いて、発泡性熱可塑性樹脂粒子を製造する場合には、造粒用ダイスBを先端に取り付けた押出機に熱可塑性樹脂を供給し、それを溶融して混練する。次に、造粒用ダイスBに向けて熱可塑性樹脂を移動させながら、この熱可塑性樹脂に発泡剤を注入して発泡剤含有樹脂を形成する。さらに、造粒用ダイスBの各ノズル8から発泡剤含有樹脂を吐出しながら、カッターのカット用刃11により水流中で直ちに切断する。造粒用ダイスBの樹脂吐出面5aを包囲するようにチャンバー12が配置され、前記カッターはこのチャンバー12内に配置されている。
この方法においても、造粒用ダイスBの内部に、ノズル8に連通する樹脂流路2が形成され、熱媒流路17に熱媒を流して樹脂流路2内の樹脂を加熱することが好ましい。
さらに、この方法においても、熱媒流路17の入口15aと出口16aとが、樹脂吐出面5aのノズル8が設けられていない領域P,Rの近傍に設けられていることが好ましい。
前記発泡剤は限定されないが、例えばノルマルペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、シクロペンタジエン等を単独もしくは2種類以上混合して使用することができる。また、上記ペンタン類を主成分として、ノルマルブタン、イソブタン、プロパン等を混合して使用することもできる。特にペンタン類が好適に用いられる。
前記発泡性熱可塑性樹脂粒子とは、前記熱可塑性樹脂に前記発泡剤を含有させて粒状、好ましくは小球状に形成された樹脂粒子を言う。この発泡性熱可塑性樹脂粒子は、自由空間内で加熱して予備発泡し、この予備発泡粒子を所望の形状のキャビティを有する成形型のキャビティ内に入れ、蒸気加熱して予備発泡粒子同士を融着させた後、離型して所望形状の発泡樹脂成形品を製造するのに用いることができる。
【産業上の利用可能性】
本発明の造粒用ダイスによれば、目詰まりを生じ易い水流の流入方向及び流出方向にあたる位置、および水流の流入方向および流出方向と直交する方向にあたる位置の、少なくともいずれかの位置の樹脂吐出面にはノズルを設けない構成としたので、ノズルの目詰まりが生じ難くなり、目詰まりによる生産効率の低下を改善し、均一な粒径の高品質な粒子を製造することが可能となる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水流に接触して設けられた樹脂吐出面と、押出機のシリンダに連通して前記樹脂吐出面に開口する複数のノズルとを備えた造粒用ダイスであって、
前記ノズルが、前記樹脂吐出面の前記水流の流入方向及び流出方向にあたる位置および前記水流の流入方向及び流出方向と直交する方向にあたる位置の、少なくともいずれかの位置には設けられていない。
【請求項2】
請求項1に記載の造粒用ダイスであって、
複数の前記ノズルが、前記樹脂吐出面上に描かれた円周に沿って配置されている。
【請求項3】
請求項1または2に記載の造粒用ダイスであって、
その内部に、前記シリンダおよび前記ノズルに連通する樹脂流路が形成されているとともに、この樹脂流路内の樹脂を加熱する熱媒流路が設けられている。
【請求項4】
請求項3に記載の造粒用ダイスであって、
前記熱媒流路の入口と出口とが、前記樹脂吐出面の前記ノズルが設けられていない位置の近傍に設けられている。
【請求項5】
請求項1または2に記載の造粒用ダイスと、
前記造粒用ダイスを先端に取り付けた押出機と、
前記造粒用ダイスのノズルから吐出される樹脂を切断するカッターが収容されるとともに、造粒用ダイスの樹脂吐出面に水流を接触させるチャンバーとを含む造粒装置。
【請求項6】
請求項5に記載の造粒装置であって、
前記造粒用ダイスの内部に、前記シリンダおよび前記ノズルに連通する樹脂流路が形成されているとともに、この樹脂流路内の樹脂を加熱する熱媒流路が設けられている。
【請求項7】
請求項6に記載の造粒装置であって、
前記熱媒流路の入口と出口とが、前記樹脂吐出面の前記ノズルが設けられていない位置の近傍に設けられている。
【請求項8】
請求項1または2に記載の造粒用ダイスを取り付けた押出機に熱可塑性樹脂を供給し溶融混練させる工程と、前記熱可塑性樹脂を前記造粒用ダイスに向けて移動させながら前記熱可塑性樹脂に発泡剤を注入して発泡剤含有樹脂を形成する工程と、前記造粒用ダイスのノズルから吐出される前記発泡剤含有樹脂をカッターにより水流中で切断する工程とを具備する発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の発泡性樹脂粒子の製造方法であって、前記造粒用ダイスの内部に、前記シリンダおよび前記ノズルに連通する樹脂流路が形成されているとともに、前記熱媒流路に熱媒を流してこの樹脂流路内の樹脂を加熱する。
【請求項10】
請求項9に記載の発泡性樹脂粒子の製造方法であって、前記熱媒流路の入り口と出口とが、前記樹脂吐出面の前記ノズルが設けられていない位置の近傍に設けられている。

【国際公開番号】WO2004/080678
【国際公開日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【発行日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−503578(P2005−503578)
【国際出願番号】PCT/JP2004/003205
【国際出願日】平成16年3月11日(2004.3.11)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】