説明

連続混合装置

【課題】作業時間の増加、コストの上昇、中間在庫の発生、保管スペースの増大、管理作業の増加を抑え、かつ補強剤、加硫剤を含む薬品とゴムとをゴム焼けを招くことなく均一に分散させて効率よく混練りさせる。
【解決手段】原料ゴムと第1の薬品とを混練りし一次ゴムG1として塊状で排出する密閉式ゴム混合機2、前記一次ゴムG1を受け取りかつ下流側の薬品供給口16からの第2の薬品とともに混練りして二次ゴムG2として押し出す一軸スクリュー式の第1の連続混合機3と、前記二次ゴムG2を受け取りさらに混練りして三次ゴムG3として吐出する二軸スクリュー式の第2の連続混合機4とを具える。第1の連続混合機3には、該混合機3の重量を計測する重量計21が設けられるとともに、前記第2の連続混合機4は、主流路32に収納される長軸の主スクリュー軸33と、該主流路32に傾いて交わる副流路34に収納される短軸の副スクリュー軸35とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉式ゴム混合機と連続混合機とを組み合わせ、ゴムと薬品とを均一に分散させた混練体を、連続的に効率よく製造しうる連続混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴムを、例えば補強剤(カーボン、シリカ等)、加硫剤(硫黄)、軟化剤(オイル等)などの各種の薬品と混練りして加硫用生ゴムである混練体を形成する混練り工程では、図8に示すように、マスター練り工程a1と、ファイナル練り工程a2との2段階に分けて行われる。
【0003】
具体的には、前記マスター練り工程a1では、従来、バンバリーミキサなどの密閉式ゴム混合機bを用い、補強剤を含みかつ加硫剤を含まない第1の薬品と原料ゴムとを混練する。ここで、補強剤を、加硫剤とは分離し別工程にて先に混練りする理由は、カーボン、シリカ等の補強剤は微粉末状をなし特に分散しにくい性質を有するからであり、そのため、密閉式ゴム混合機bを用い、閉じた系の中で加硫温度を超える高温度下で充分な時間を要して混練する必要があるからである。なお密閉式ゴム混合機bから排出されるゴムg1は、塊状をなすため取扱い性に劣り、従って例えばローラヘッド押出機c等によってシート状に加工(シーティング)された状態で管理される。このとき、シーティングされたゴムg1を高温度のまま保管した場合、ゴムg1が互いに粘着してしまうため、冷却工程dにて冷却しかつ防着剤の塗布が行われる。
【0004】
これに対して、前記ファイナル練り工程a2では、密閉式ゴム混合機bを用い、前記冷却されたシート状のゴムg1を、加硫剤を含みかつ補強剤を含まない第2の薬品とともに加硫温度より低い温度の基で再混練する。なお排出された塊状のゴムg2は、マスタ練り工程a1と同様、シーティングされた後、冷却工程dを経て保管される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の方法では、マスター練りされたゴムg1を、ファイナル練り工程a2に投入する際、シーティング、冷却、防着剤の塗布が必要となるため、作業時間の増加やコストの上昇を招く。またマスター練りされたゴムg1が中間在庫として発生するため、保管スペースの増大を招き、かつ管理作業が増すという問題も生じる。又マスター練りされた高温度のゴムg1を、いったん冷却し、再度ファイナル練り工程a2において加硫温度以下での熱入れが行われるなど、エネルギー効率が悪いという問題がある。
【0006】
そこで本発明は、前述の作業時間の増加、コストの上昇、中間在庫の発生、保管スペースの増大、管理作業の増加を抑えることができ、しかもエネルギー効率を高めるとともに、補強剤、加硫剤を含む薬品とゴムとを、ゴム焼け(スコーチ)を招くことなく均一に分散させて効率よく混練りしうる連続混合装置を提供することを目的としている。
【0007】
【特許文献1】特開2005−53190号公報
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本願請求項1の発明は、撹拌ロータを配した混合室を具え、該混合室内に投入される原料ゴムを素練りする、又は同時に投入される原料ゴムと第1の薬品とを混練りし一次ゴムとして前記混合室に設けた開放可能な排出口から塊状で排出する密閉式ゴム混合機と、
前記排出口から排出される一次ゴムを一次ゴム用ホッパで受け取るとともに、この受け取った一次ゴムを前記一次ゴム用ホッパよりも下流側で開口する薬品供給口から投入される第2の薬品とともに混練りし、二次ゴムとして前端の押出口から連続して押し出す一軸スクリュー式の第1の連続混合機と、
前記押出口から押し出される二次ゴムを二次ゴム用ホッパで受け取るとともに、この受け取った二次ゴムをさらに混練りし、三次ゴムとして前端の吐出口から連続して吐出する二軸スクリュー式の第2の連続混合機とを具え、
しかも前記第1の連続混合機は、前記密閉式ゴム混合機と第2の連続混合機とは非接触で支持され、かつ該第1の連続混合機に、この第1の連続混合機の重量を計測することにより前記密閉式ゴム混合機から受け取る一次ゴムの重量を測定しうる重量計が設けられるとともに、
前記第2の連続混合機は、前記二次ゴム用ホッパから前記吐出口に通じる主流路に収納される長軸の主スクリュー軸と、前記吐出口と隔てた後方で該主流路に傾いて交わる副流路に収納される短軸の副スクリュー軸とを含み、かつ前記主スクリュー軸と副スクリュー軸とは回転方向、及びスクリューの巻回方向が互いに相違することを特徴としている。
【0009】
又請求項2の発明では、前記第1の薬品は、少なくとも補強剤を含みかつ加硫剤を含まないとともに、前記第2の薬品は、少なくとも加硫剤を含みかつ補強剤を含まないことを特徴としている。
【0010】
又請求項3の発明では、前記薬品供給口には、この薬品供給口に前記第2の薬品を投入する薬品供給手段が非接触で配されるとともに、前記薬品供給手段は、前記重量計の測定値に基づいて薬品供給量が設定されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の連続混合装置は、叙上の如く、密閉式ゴム混合機と、一軸スクリュー式の第1の連続混合機と、二軸スクリュー式の第2の連続混合機とを連設している。前記第1の連続混合機は、前記密閉式ゴム混合機から排出される高温度の一次ゴムを塊状で受け取る一次ゴム用ホッパを具える。従って、一次ゴムをシート状で管理する必要がなく、シーティング、冷却、防着剤の塗布が不要となるため、作業時間の増加、コストの上昇、中間在庫の発生、保管スペースの増大、管理作業の増加などを抑えることができる。
【0012】
しかも前記第1の連続混合機は、前記一次ゴム用ホッパよりも下流側に、第2の薬品投入用の薬品供給口を具える。従って、投入された高温度の一次ゴムが前記一次ゴム用ホッパから薬品供給口まで移行する間で、この一次ゴムを冷却させることができる。又第1の連続混合機は、非密閉であり高い圧力が作用しないため温度上昇を抑えることができ、前記冷却と相俟って、加硫温度よりも低温での混練りを可能とし、ゴム焼け(スコーチ)を招くことなく加硫剤を含む第2の薬品の混練り分散を行いうる。
【0013】
しかし一軸スクリュー式の連続混合機は、一本のシリンダ内でスクリュー軸により撹拌しながら連続的に押し出されるものであるため、軸方向と直角な横断面内ではある程度均一に分散されるものの、軸方向に対しては配合割合に粗密が現れるなど分散の均一性に劣る。
【0014】
従って、本発明では前記第1の連続混合機の下流側に、二軸スクリュー式の第2の連続混合機を連設し、均一性の向上を図っている。この第2の連続混合機は、長軸の主スクリュー軸と、短軸の副スクリュー軸とを組み合わせている。そのため、スクリュー軸が並列する領域ではゴムの滞留が起こり、先に投入されるゴムと後から投入されるゴムとの混練りが起こるなど軸方向に対しても薬品の分散性を高めることができる。しかも、主スクリュー軸のみとなる先端側の部分では、ゴムに押出圧力が強く付与されるため、要求に応じた所定の断面形状にて押出し成形することが可能となる。
【0015】
また前記第1の連続混合機は、前記密閉式ゴム混合機及び第2の連続混合機とは非接触とし、かつこの第1の連続混合機の重量を計測する重量計を設けている。従って、密閉式ゴム混合機から受け取る一次ゴムの重量を測定でき、この測定値に基づいて第2の薬品の供給量を正確に設定しうる。又第1の連続混合機において、ゴム押出量(押出速度)は基本的には一定と考えられるが、ゴムの噛み込み具合などのバラツキがあるので厳密には一定とならない。しかし、前記重量計を用いることで、第1の連続混合機の重量の時間的変化、即ちゴム押出量の変化を捉えることが可能となり、その結果、このゴム押出量の変化に基づき、例えば第2の薬品の投入時間間隔や一回の投入量を調整しうるなど、正確な薬品の供給も可能とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の一形態を、図示例とともに説明する。図1は本発明の連続混合装置を概念的に示す略側面図である。
【0017】
図1に示すように、本実施形態の連続混合装置1は、密閉式ゴム混合機2と、一軸スクリュー式の第1の連続混合機3と、二軸スクリュー式の第2の連続混合機4とを具える。
【0018】
前記密閉式ゴム混合機2は、図2に略示するように、本例では例えば混練り容量が300リットル以下の小型のバンバリーミキサーであって、並列する一対の撹拌ロータ5、5を配した混合室6を具え、該混合室6内に投入される原料ゴムを素練りする、又は同時に投入される原料ゴムと第1の薬品とを混練りし、一次ゴムG1として前記混合室6に設けた開放可能な排出口7から塊状で排出する。本例では密閉式ゴム混合機2により、前記原料ゴムと、補強剤を含みかつ加硫剤を含まない第1の薬品とを混練りするマスター練り工程が行われる場合を例示している。前記補強剤としては、前述の如くカーボン(カーボンブラック)、シリカなどが挙げられる。
【0019】
前記撹拌ロータ5は、回転可能に枢支される基軸の周囲に撹拌羽根を例えば螺旋状に設けた周知構成をなし、混合機本体8に設けた混合室6内に配設される。なお各撹拌ロータ5は、前記混合機本体8に取り付くモータを含む駆動手段(図示しない)を介して、互いに同方向或いは逆方向に回転駆動される。前記混合室6は、前記一対の撹拌ロータ5、5と同心な2つの円周面を連ねた断面ひょうたん状をなすともに、そのくびれ部分には、前記原料ゴム及び第1の薬品(総称して原料ゴム等と呼ぶ場合がある)を投入する投入口9に通じる縦孔10の下端が接続される。又縦孔10には、シリンダ等により昇降可能に支持されるフローティングウェイト11が配される。このフローティングウェイト11は、前記混合室6内に投入された原料ゴム等を加圧し撹拌ロータ5による撹拌効率、混練効率を向上させる。なお前記投入口9には、前記原料ゴム等を搬入する搬入コンベヤ12が隣設されている。
【0020】
又前記混合機本体8には、前記混合室6の下部に形成される前記排出口7を開閉するドロップドア13が設けられ、その開放により、混練りされた一次ゴムG1を排出口7から塊状で排出、落下させる。
【0021】
次に、前記第1の連続混合機3は、前記排出口7から排出される一次ゴムG1を一次ゴム用ホッパ15で受け取るとともに、この受け取った一次ゴムG1を、前記一次ゴム用ホッパ15よりも下流側で開口する薬品供給口16から投入される第2の薬品とともに混練りし、二次ゴムG2として前端の押出口17から連続して押し出す。
【0022】
具体的には、前記第1の連続混合機3は、後端側に前記一次ゴム用ホッパ15を有しかつ前端に前記押出口17を開口させたシリンダ18と、このシリンダ18内に回転自在に収納される1本のスクリュー軸19とを具え、前記シリンダ18は、前記ホッパ15と押出口17との間に、第2の薬品投入用の薬品供給口16を設けている。又前記スクリュー軸19には、モータを含む駆動手段が接続され、該スクリュー軸19が回転駆動されることにより、加硫剤を含みかつ補強剤を含まない第2の薬品と、前記投入された一次ゴムG1とを混練しながら押進し、前記押出口17から二次ゴムG2として吐出する。前記加硫剤としては硫黄が挙げられる。
【0023】
このとき、前記第1の連続混合機3は、前記ホッパ15から薬品供給口16までの間においては、投入された高温度の一次ゴムG1を押進する間に加硫温度よりも低い温度まで冷却する冷却領域を構成し、又薬品供給口16から押出口17までの間においては、一次ゴムG1と第2の薬品とを前記加硫温度より低い温度で混練りする混練領域を構成している。そのために、前記シリンダ18には、少なくとも前記冷却領域に、前記一次ゴムG1を冷却する例えば冷却水を用いた冷却手段(図示しない)と、冷却された一次ゴムG1の温度を測定する温度計(図示しない )とが配されている。
【0024】
次に、前記第1の連続混合機3には、この第1の連続混合機3の重量を計測することにより前記密閉式ゴム混合機2から受け取る一次ゴムG1の重量(投入重量Wg1)を測定しうる重量計21が設けられるとともに、前記薬品供給口16には、前記第2の薬品を投入する薬品供給手段22が配される。
【0025】
そして前記薬品供給手段22では、前記重量計21の測定値に基づいて薬品供給量wg2が設定されるとともに、この設定された薬品供給量wg2は、本例では、前記第1の連続混合機3から押し出されるゴム押出速度(単位時間に押し出されるゴム重量)に応じた割合にて複数回に分割して供給される。
【0026】
具体的には、前記重量計21の測定値からは、前記投入重量Wg1以外に、図6に略示するように、第1の連続混合機3の重量の時間的変化、即ち「重量−時間」曲線fを求めることができ、又この「重量−時間」曲線fの傾きから、第1の連続混合機3からの単位時間当たりのゴム押出量、及びゴム押出量の変化を知ることができる。従って、例えば前記「重量−時間」曲線fの傾きから、前記第1の連続混合機3の単位時間Δt当たりのゴム押出量ΔWg1が求まったとき、一括投入された一次ゴムG1は、(Wg1/ΔWg1)×Δtの時間で排出される。従って、前記投入重量Wg1から設定される前記薬品供給量wg2を、単位時間Δt当たり、wg2×ΔWg1/Wg1の割合で供給することにより、一次ゴムG1への均一な供給が可能となる。又ゴム押出量ΔWg1が押出途中で変化する場合にも、この変化に応じて前記単位時間Δt当たりの第2の薬品の供給量、或いは第2の薬品の投入時間間隔を調整することができ、均一な供給をより確実に行うことが可能となる。なお前記重量計21の測定値に基づく薬品供給量wg2の設定、及び前記設定された薬品供給量wg2の前記ゴム押出量ΔWg1に応じた供給(前記投入時間間隔の調整、及び単位時間Δt当たりの供給量の調整を含む)は、前記薬品供給手段22に設けたコンピュータ等の制御手段22Aを用いて行われる。又前記重量計21による測定が正確に行われるように、前記第1の連続混合機3は、前記密閉式ゴム混合機2、第2の連続混合機4、及び前記薬品供給手段22とは、非接触で配設される。
【0027】
本例では、前記薬品供給手段22は、第2の薬品をその種類毎に貯蔵する貯蔵ホッパ23と、図7に示するように、各貯蔵ホッパ23から搬送管24を介して搬送される薬品を受ける例えば計量ホッパ25と、該計量ホッパ25に送られる薬品の重量を測定する測定手段26と、重量測定された薬品を前記薬品供給口16に投入する投入管27とを具える。又前記測定手段26は、重量計であって、前記計量ホッパ25に移送される薬品の重量を測定し、前記制御手段22Aに出力する。そして、制御手段22Aは、薬品重量が、一次ゴムG1の前記投入重量Wg1から設定される第2の薬品の単位時間Δt当たりの供給量、或いは予め定めた一回分の供給量に達するまで、前記搬送管24のフィーダーを作動させる。又前記投入管27には、前記搬送管24と同様、電磁振動式及びスクリュー式等のフィーダーが配設され、計量ホッパ25に搬送された所定の第2の薬品を、制御手段22Aから指示される投入時間間隔にて、薬品供給口16に投入する。
【0028】
次に、前記第2の連続混合機4は、前記押出口17から押し出される二次ゴムG2を二次ゴム用ホッパ30で受け取るとともに、この受け取った二次ゴムG2をさらに混練りし、三次ゴムG3として前端の吐出口31から連続して吐出する。この第2の連続混合機4を設ける理由は、前記一軸スクリュー式の第1の連続混合機3は撹拌効果に劣り、軸方向と直角な横断面内では、一次ゴムG1と第2の薬品とがある程度均一に分散されるものの、軸方向に対しては配合割合に粗密が現れ、密閉式ゴム混合機に比して分散を不均一とするからである。そこで本発明では、第2の連続混合機4を連設し、分散の均一性向上を図っている。
【0029】
前記第2の連続混合機4は、図4に上面視した断面図に示すように、前記二次ゴム用ホッパ30から前記吐出口31に通じる主流路32と、前記吐出口31から後方に隔たる交差位置Qで該主流路32に傾いて交わる副流路34とを設けたハウジング36、前記主流路32に収納される長軸の主スクリュー軸33、及び前記副流路34に収納される短軸の副スクリュー軸35を具える。なお前記二次ゴム用ホッパ30は、前記主流路32と副流路34との双方に跨って大きく開口している。又本例では、前記ハウジング36の前端には、前記三次ゴムG3を所望の断面形状に成形して押し出す押出加工用の口金を有する押出しヘッド37が取り付き、従って、前記吐出口31は、本例では前記口金のノズル口として形成される。又ハウジング36の後端には、前記主スクリュー軸34と副スクリュー軸35とを互いに逆向きに回転させる、モータを含むギヤボックス等の駆動手段39が取り付く。
【0030】
前記主スクリュー軸33は、本例では、その先端部から後方に向かって太さが漸増する所謂テーパスクリュー軸であってスクリュー羽根33Aを含んだ太さ、及びスクリュー羽根33Aを除いた基軸部分33Bの太さの双方がテーパ状に形成されている。本例では、基軸部分33Bからのスクリュー羽根33Aの突出高さは、全長に亘って一定、かつスクリュー羽根33Aの螺旋ピッチは後方に向かって漸増している。
【0031】
又前記副スクリュー軸35も、その先端部から後方に向かって太さが漸増するテーパスクリュー軸であって、前記主スクリュー軸33と同様、基軸部分35Bからのスクリュー羽根35Aの突出高さは、全長に亘って一定、かつスクリュー羽根35Aの螺旋ピッチは、後方に向かって漸増している。又この副スクリュー軸35と前記主スクリュー軸33とが並列する並列領域Yでは、本例では、副スクリュー軸35は前記主スクリュー軸33よりも小径であり、しかも前記スクリュー羽根35Aとスクリュー羽根33Aとは、螺旋(スクリュー)の巻回方向を逆向きかつ螺旋ピッチを同一とし、しかも回転の際に互いに干渉しないよう、前記螺旋ピッチの位相を半ピッチ分だけ長さ方向に位置ずれさせている。
【0032】
又前記主流路32、副流路34は、それぞれ前記主スクリュー軸33、副スクリュー軸35を所定のクリアランスを有して同心に収容するテーパ孔であり、図4のA−A線断面である図5に示すように、前記並列領域Yでは、スクリュー軸33、35間には前記流路32、34を区分する隔壁は存在せず、滑らかな底面Sによって互いに連結されている。又前記交差位置Qにおいては、図4の如く、前記副流路34の先端は、前記主流路32とは本例では平面状の前壁部38を介して段差状に交差している。
【0033】
このような第2の連続混合機4は、投入される二次ゴムG2が、スクリュー軸33、34との間で噛み込まれ撹拌されることで、第2の薬品の分散性が高まる。しかもスクリュー軸33、34によって押進される二次ゴムG2は、ゴム流路の断面積が前記交差位置Qから段差的に減少するため、主流路32内への進入が妨げられ、ゴムの滞留が発生する。特に、前記前壁部38はゴムの滞留に効果が高く、この滞留により先に投入されるゴムと後から投入されるゴムとの混練りの機会が増し、軸方向に対しても第2の薬品の分散性を高めることができる。
【0034】
又第2の連続混合機4は、前記主スクリュー軸33のみとなる交差位置Qよりも先端側の部分では、主スクリュー軸33により二次ゴムG2に押出圧力が強く付与されるため、前記押出しヘッド37を用いた所定の断面形状への押出し成形を行うことが可能となる。
【0035】
このように本発明の連続混合装置1では、密閉式ゴム混合機2を具えるため、特に分散しにくいカーボン、シリカ等の補強剤を、閉じた系の中で、加硫温度を超える高温度下かつ高圧下でしかも充分な時間を要して混練することができ、従来のマスター練りと同様、第1の薬品の分散性を高く確保することができる。なお粉末状をなし分散しにくい薬品であれば、第1の薬品としてこの段階で混練りすることができる。
【0036】
又前記第1の連続混合機3は、前記密閉式ゴム混合機2から排出される高温度の一次ゴムG1を塊状で受け取るため、従来の如く、一次ゴムG1をシート状で管理する必要がなくなる。そのため、シーティング、冷却、防着剤の塗布が不要となり、作業時間の増加、コストの上昇、中間在庫の発生、保管スペースの増大、管理作業の増加を抑えることができる。しかも前記第1の連続混合機3は、前記一次ゴム用ホッパ15よりも下流側に、距離を隔てて薬品供給口16を具える。従って、投入された高温度の一次ゴムG1が一次ゴム用ホッパ15から薬品供給口16まで移動する間で、この一次ゴムG1を冷却させることができる。しかも第1の連続混合機3は、非密閉であり高い圧力が作用しないため温度上昇を抑えることができ、前記冷却と相俟って、加硫温度よりも低温での混練りを可能とし、ゴム焼け(スコーチ)を招くことなく加硫剤を含む第2の薬品の混練り分散を行いうる。
【0037】
又第2の連続混合機4は、長軸の主スクリュー軸33と、短軸の副スクリュー軸35とを組み合わせているため、前記並列領域Yでは二次ゴムG2の滞留が起こり、先に投入されるゴムと後から投入されるゴムとの混練りの機会が増加し、軸方向に対しても第2の薬品の分散性を高めることができる。又この第2の連続混合機4も、非密閉であるため温度上昇(発熱)を抑えることができる。さらにこの第2の連続混合機4は、ゴムに押出圧力を強く付与できるため、押出しヘッドを用いた押出し成形をも可能とする。なお分散性をより高めるため、第2の薬品は、粉末状ではなく、顆粒状、ペレット状にて投入するのが好ましい。
【0038】
また前記第1の連続混合機3は、重量計21を設けている。従って、密閉式ゴム混合機2から受け取る一次ゴムG1の重量を測定でき、かつこの測定値に基づいて第2の薬品の薬品供給量wg2を正確に設定しうるとともに、この薬品供給量wg2を、前記第1の連続混合機3のゴム押出速度に応じた割合にて、精度よく供給することが可能となる。
【0039】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、例えば密閉式ゴム混合機2では、第1の薬品を投入することなく、原料ゴムのみの素練りを行うために用いてもよい等、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の連続混合装置の一実施例を概念的に示す断面図である。。
【図2】密閉式ゴム混合機を拡大して示す断面図である。
【図3】第1、2の連続混合機を略示する断面図である。
【図4】第2の連続混合機を上面視した断面図である。
【図5】図4のA−A線断面である。
【図6】第1の連続混合機の重量の時間的変化を示す「重量−時間」曲線のグラフである。
【図7】薬品供給手段の一例を示す概念図である。
【図8】従来技術を説明する概念図である。
【符号の説明】
【0041】
2 密閉式ゴム混合機
3 一軸スクリュー式の第1の連続混合機
4 二軸スクリュー式の第2の連続混合機
5 撹拌ロータ
6 混合室
7 排出口
15 一次ゴム用ホッパ
16 薬品供給口
17 押出口
21 重量計
22 薬品供給手段
30 二次ゴム用ホッパ
31 吐出口
32 主流路
33 主スクリュー軸
34 副流路
35 副スクリュー軸
G1 一次ゴム
G2 二次ゴム
G3 三次ゴム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撹拌ロータを配した混合室を具え、該混合室内に投入される原料ゴムを素練りする、又は同時に投入される原料ゴムと第1の薬品とを混練りし一次ゴムとして前記混合室に設けた開放可能な排出口から塊状で排出する密閉式ゴム混合機と、
前記排出口から排出される一次ゴムを一次ゴム用ホッパで受け取るとともに、この受け取った一次ゴムを前記一次ゴム用ホッパよりも下流側で開口する薬品供給口から投入される第2の薬品とともに混練りし、二次ゴムとして前端の押出口から連続して押し出す一軸スクリュー式の第1の連続混合機と、
前記押出口から押し出される二次ゴムを二次ゴム用ホッパで受け取るとともに、この受け取った二次ゴムをさらに混練りし、三次ゴムとして前端の吐出口から連続して吐出する二軸スクリュー式の第2の連続混合機とを具え、
しかも前記第1の連続混合機は、前記密閉式ゴム混合機と第2の連続混合機とは非接触で支持され、かつ該第1の連続混合機に、この第1の連続混合機の重量を計測することにより前記密閉式ゴム混合機から受け取る一次ゴムの重量を測定しうる重量計が設けられるとともに、
前記第2の連続混合機は、前記二次ゴム用ホッパから前記吐出口に通じる主流路に収納される長軸の主スクリュー軸と、前記吐出口と隔てた後方で該主流路に傾いて交わる副流路に収納される短軸の副スクリュー軸とを含み、かつ前記主スクリュー軸と副スクリュー軸とは回転方向、及びスクリューの巻回方向が互いに相違することを特徴とする連続混合装置。
【請求項2】
前記第1の薬品は、少なくとも補強剤を含みかつ加硫剤を含まないとともに、前記第2の薬品は、少なくとも加硫剤を含みかつ補強剤を含まないことを特徴とする請求項1記載の連続混合装置。
【請求項3】
前記薬品供給口には、この薬品供給口に前記第2の薬品を投入する薬品供給手段が非接触で配されるとともに、前記薬品供給手段は、前記重量計の測定値に基づいて薬品供給量が設定されることを特徴とする請求項1又は2記載の連続混合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−229893(P2008−229893A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−69032(P2007−69032)
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【Fターム(参考)】