説明

遊技システム

【課題】管理装置と各台装置とがオフラインになった場合であっても、遊技客がかかる有価価値を利用して遊技ができること。
【解決手段】遊技に関わる有価価値情報を管理する管理装置と遊技媒体貸出処理を行う遊技台に設けられる各台装置とを有する遊技システムであって、有価価値情報の書き込みが不能の記録媒体の識別子を各台装置が取得し、取得された記録媒体の識別子へ関連付けて遊技媒体数および/または有価価値を有価価値情報として記憶させるよう各台装置が指示し、各台装置と通信する第一の管理装置は、有価価値情報の記憶指示を受け付けた場合に、有価価値情報を記憶する第一の管理装置へ記憶させ、有価価値情報を同期させるよう第一の管理装置と通信する他の管理装置へ指示し、有価価値情報の同期指示を受け付けた場合に、有価価値情報を他の管理装置が記憶するように遊技システムを構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、遊技に関わる有価価値情報を管理する管理装置と遊技媒体貸出処理を行う遊技台に設けられる各台装置とを有する遊技システムに関し、特に、有価価値を管理する管理装置と各台装置とがオフラインになった場合であっても、遊技客がかかる有価価値を利用して遊技することができる遊技システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、パチンコ店などの遊技店に設置されるパチンコ機やパチスロ機といった遊技台、遊技客の所有する持玉やプリペイド価値を管理する管理装置、遊技店の会員情報を管理する会員管理装置、精算機、景品管理装置等を備える遊技システムが知られている。なお、かかる遊技システムは上記した構成以外でもよく、たとえば、持玉は会員管理装置で管理する場合もあり、上記した各管理装置が一つの管理装置によって管理する場合もある。
【0003】
たとえば、特許文献1には、遊技台で遊技者が獲得した遊技媒体(以下、「持玉」と記載する)を計数し、計数した遊技媒体の数量(以下、「持玉数」と記載する)を記憶する計数機能付き各台装置に適用される遊技システムが開示されている。
【0004】
また、特許文献1の遊技システムおよび各台装置では、たとえば、IC(Integrated Circuit)カード等の情報記憶が可能な記録媒体に対して持玉数を関連付け、カード返却操作を受け付けたならば、持玉数を関連付けたカードを発行/排出する。
【0005】
そして、特許文献1の遊技システムおよび各台装置では、遊技客によってカードが挿入された場合に、カードに関連付けられた持玉数を用いて遊技媒体を払出す。
【0006】
ところで、近年、遊技店では、固有の識別子(以下、「IDm」と記載する)をもつ非接触型ICカード、たとえば、FeliCa(登録商標)と呼ばれる、ICチップを内蔵した携帯電話端末(以下、単に「携帯端末」と記載する)によるサービスも普及している。そして、携帯端末を用いたプリペイド価値や持玉サービスを行いたいというニーズも出てきている。
【0007】
つまり、かかるサービスでは、遊技客は、各台装置に携帯端末をタッチすることによって、携帯端末のIDmに関連付けられる持玉数やプリペイド価値を用いて、遊技することができる。なお、プリペイド価値とは、遊技客によって挿入された貨幣の残額のことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−106652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した従来の遊技システムでは、管理装置と各台装置との通信が断絶状態(以下、「オフライン」と記載する)になった場合に、遊技客は、各台装置において携帯端末を利用した遊技が出来ないという問題があった。
【0010】
具体的には、従来の遊技システムでは、持玉数やプリペイド価値を、携帯端末のIDmに関連付けて管理装置が管理することはできるが、携帯端末に対して持玉数やプリペイド価値を直接記憶させる方式は対応できない。
【0011】
このため、管理装置と各台装置との通信が途絶えると、各台装置側で携帯端末に関連付けられている持玉数およびプリペイド価値を取得することができない。したがって、管理装置と各台装置とがオフラインの際、各台装置で携帯端末を利用することができないと想定できる。
【0012】
ここで、携帯アプリケーションを使用することによって携帯端末へ持玉数やプリペイド価値を記憶させることも考えられる。しかし、この場合、遊技客によって自身の所有する携帯端末へアプリケーションのダウンロードやインストール作業等が発生することとなり、遊技客にとって非常に煩わしい作業となってしまう。
【0013】
これらのことから、管理装置と各台装置とがオフラインになった場合であっても、遊技客の利便性を損ねることなく、携帯端末の識別子に関連付けられた持玉数やプリペイド価値を用いて、遊技媒体を払出すことができる遊技システムをいかにして実現するかが大きな課題となっている。
【0014】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであって、携帯端末の識別子に関連付けて持玉数やプリペイド価値等の有価価値を管理する管理装置と各台装置とがオフラインになった場合であっても、遊技客がかかる有価価値を利用して遊技することができる遊技システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、遊技に関わる有価価値情報を管理する管理装置と遊技媒体貸出処理を行う遊技台に設けられる各台装置とを有する遊技システムであって、前記各台装置は、前記有価価値情報の書き込みが不能の記録媒体の識別子を取得する識別子取得手段と、前記識別子取得手段によって取得された前記記録媒体の識別子へ関連付けて遊技媒体数および/または有価価値を前記有価価値情報として記憶させるよう指示する記憶指示手段とを備え、前記各台装置と通信する第一の管理装置は、前記記憶指示手段によって前記有価価値情報の記憶指示を受け付けた場合に、前記有価価値情報を記憶する主記憶手段へ記憶させ、前記有価価値情報を同期させるよう前記第一の管理装置と通信する他の管理装置へ指示する同期制御手段を備え、前記他の管理装置は、前記同期制御手段によって前記有価価値情報の同期指示を受け付けた場合に、前記有価価値情報を記憶する副記憶手段を備えたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上記の発明において、前記同期制御手段は、前記各台装置と前記第一の管理装置、前記第一の管理装置と前記他の管理装置のいずれもが通信可能である場合に、前記有価価値情報を前記主記憶手段へ記憶させ、前記同期指示を前記他の管理装置へ送信し、前記各台装置と前記第一の管理装置、前記第一の管理装置と前記他の管理装置のいずれかが通信不可である場合に、同期制御を行わないことを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、上記の発明において、前記他の管理装置は、前記各台装置と前記第一の管理装置とが通信不可であり、かつ、前記有価価値情報の書き込みが不能の前記記録媒体の識別子を取得した場合、取得した前記識別子に関連付けられて前記副記憶手段に記憶されている前記有価価値情報の一部または全部を前記有価価値情報の書き込みが可能である記録媒体へ移行する移行手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、上記の発明において、前記各台装置は、前記移行手段によって移行された前記有価価値情報を取得する取得手段と、前記取得手段によって取得された前記有価価値情報に基づいて前記遊技媒体の払出処理を行う払出手段とをさらに備えたことを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、上記の発明において、前記第一の管理装置は、通信不可であった前記各台装置と通信可能となった、および/または、通信不可であった前記他の管理装置と通信可能となったならば、前記副記憶手段に記憶されている前記有価価値情報に基づいて前記主記憶手段に記憶されている前記有価価値情報を更新する更新手段をさらに備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、遊技に関わる有価価値情報を管理する管理装置と遊技媒体貸出処理を行う遊技台に設けられる各台装置とを有する遊技システムであって、有価価値情報の書き込みが不能の記録媒体の識別子を各台装置が取得し、取得された記録媒体の識別子へ関連付けて遊技媒体数および/または有価価値を有価価値情報として記憶させるよう各台装置が指示し、各台装置と通信する第一の管理装置は、有価価値情報の記憶指示を受け付けた場合に、有価価値情報を記憶する第一の管理装置へ記憶させ、有価価値情報を同期させるよう第一の管理装置と通信する他の管理装置へ指示し、他の管理装置は、有価価値情報の同期指示を受け付けた場合に、有価価値情報を記憶することとしたので、携帯端末の識別子に関連付けて持玉数やプリペイド価値等の有価価値を管理する管理装置と各台装置とがオフラインになった場合であっても、他の管理装置から有価価値情報を取得することができるという効果を奏する。
【0021】
また、本発明によれば、各台装置と第一の管理装置、第一の管理装置と他の管理装置のいずれもが通信可能である場合に、有価価値情報を記憶させ、同期指示を他の管理装置へ送信し、各台装置と第一の管理装置、第一の管理装置と他の管理装置のいずれかが通信不可である場合に、同期制御を行わないこととしたので、常に管理装置の残額情報と他の管理装置の残額情報との同期が取れていることが担保されるという効果を奏する。
【0022】
また、本発明によれば、各台装置と第一の管理装置とが通信不可であり、かつ、有価価値情報の書き込みが不能の記録媒体の識別子を取得した場合、取得した識別子に関連付けられて記憶されている有価価値情報の一部または全部を有価価値情報の書き込みが可能である記録媒体へ他の管理装置が移行することとしたので、携帯端末の識別子に関連付けて持玉数やプリペイド価値等の有価価値を管理する装置と各台装置とがオフラインになった場合であっても、遊技客がかかる有価価値を利用して遊技することができるとともに携帯端末の利用を促進することができるという効果を奏する。
【0023】
また、本発明によれば、移行された有価価値情報を各台装置が取得し、取得された有価価値情報に基づいて各台装置が遊技媒体の払出処理を行うこととしたので、携帯端末の識別子に関連付けて持玉数やプリペイド価値等の有価価値を管理する装置と各台装置とがオフラインになった場合であっても、遊技客がかかる有価価値を利用して遊技することができるとともに携帯端末の利用を促進することができるという効果を奏する。
【0024】
また、本発明によれば、通信不可であった各台装置と通信可能となった、および/または、通信不可であった他の管理装置と通信可能となったならば、他の管理装置に記憶されている有価価値情報に基づいて第一の管理装置に記憶されている有価価値情報を第一の管理装置が更新することとしたので、オフラインから復旧した際に、カード等へ移行された有価価値情報と他の有価価値情報との同期を取ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本発明に係る遊技システムの概要を示す図である。
【図2】図2は、本実施例に係る遊技システムの構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、各台装置の外観図である。
【図4】図4は、本実施例に係る遊技システムが適用される遊技店内の構成図である。
【図5】図5は、残額情報および処理履歴情報の一例その1を示す図である。
【図6】図6は、各台装置、管理装置および精算機が実行する残額更新処理手順概要を示すシーケンス図である。
【図7】図7は、残額情報および処理履歴情報の一例その2を示す図である。
【図8】図8は、各台装置、管理装置および精算機が実行するオフライン時の玉貸処理手順概要を示すシーケンス図である。
【図9】図9は、精算機が実行する移行処理手順概要を示すフローチャートである。
【図10】図10は、残額情報の一例その3を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0026】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る遊技システムの好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下では、本発明に係る遊技システムの概要について図1を用いて説明した後に、本発明に係る遊技システムについての実施例を図2〜図10を用いて説明することとする。
【0027】
まず、本発明に係る遊技システムの概要について図1を用いて説明する。図1は、本発明に係る遊技システムの概要を示す図である。
【0028】
本発明に係る遊技システムでは、遊技客がパチンコ機ごとに設けられる各台装置へ携帯端末をタッチすることで、残額や持玉数等の有価価値を携帯端末へ関連付ける(以下、「チャージ」すると記載する)ことができる。ここで、残額とは、遊技客によって挿入された各種貨幣の残額のことであり、持玉数は各台計数機能付きの各台装置で計数されたパチンコ玉の計数値のことである。
【0029】
従来、携帯端末へ有価価値等の情報を書き込むことは行われていないため、管理装置では、携帯端末の識別子(以下、「IDm」と記載する)に関連付けて有価価値、ここでは残額を残額情報へ記憶する。
【0030】
しかし、各台装置と管理装置との通信がオフラインになった場合(図1の(1)参照)、各台装置は、玉貸要求を受け付けても残額情報から引落すことが不可となる(図1の(2)参照)。このため、遊技客は、携帯端末によってチャージされた残額によって遊技をすることができない。
【0031】
そこで、本発明に係る遊技システムでは、管理装置の残額情報を、他の装置(図1では精算機)へも記憶させ、双方の残額情報の同期を取ることとした。そして、かかる精算機で、残額分のカードを発行することで、遊技客は、発行されたカードを利用して遊技することができるようにした。
【0032】
具体的には、図1の(0)に示すように、管理装置の残額情報および精算機の残額情報は同期が取られており、遊技客の所有する携帯端末(IDm:ABC)によってチャージされた残額(2000円)がそれぞれ記憶される。
【0033】
また、各台装置では、遊技客によって携帯端末がタッチされてパチンコ玉の玉貸要求を受け付けたならば、残額情報に記憶される残額や持玉数から所定の玉数を引落とし、引落した玉数のパチンコ玉を払出す指示を行う。
【0034】
そして、図1の(3)に示したように、精算機は、携帯端末がタッチされて移行指示を受け付けたならば、かかる携帯端末のIDm(ABC)に関連付けて残額情報に記憶される残額をカードへ移行する(図1の(4)参照)。
【0035】
すなわち、精算機は、移行した残額(2000円)をカードへ書き込み、カードを発行する。その後、各台装置では、遊技客によって挿入されたカードに書き込まれた残額によって、パチンコ玉の玉貸が可能となる(図1の(5)参照)。
【0036】
このようにすることで、本発明に係る遊技システムでは、IDmに関連付けて残額を管理する管理装置と各台装置とがオフラインになった場合であっても、遊技客が残額を利用して遊技することができる。
【0037】
なお、本実施例では、携帯端末によってチャージされた残額を移行する場合について説明するが、遊技店の会員が獲得したパチンコ玉を遊技店に遊技媒体価値として預け入れた玉数(以下、「貯玉数」と記載する)や持玉数について適用することができる。
【0038】
以下では、図1を用いて説明した本発明に係る遊技システムについての実施例を詳細に説明する。まず、本実施例に係る遊技システムの構成について図2を用いて説明する。
【0039】
図2は、本実施例に係る遊技システムの構成を示すブロック図である。同図に示すように、遊技システムは、各台装置10と、管理装置20と、精算機30とを含んでいる。なお、図2では、各台装置10、管理装置20および精算機30の特徴点を説明するために必要な構成要素のみを抜粋して示している。
【0040】
図2に示すように、各台装置10は、通信I/F(インターフェース)11と、携帯読取部12と、表示操作部13と、カードR/W部14と、制御部15とを備えている。また、制御部15は、携帯識別子取得部15aと、更新指示部15bと、払出処理部15cとをさらに備えている。
【0041】
通信I/F11は、管理装置20やパチンコ機40との間で通信データの送受信を行う通信デバイスで構成されている。たとえば、通信I/F11は、携帯読取部12で読み取ったIDmとともに残額情報22aの更新指示を管理装置20へ送信する。
【0042】
携帯読取部12は、遊技客の所有する携帯端末がタッチされた場合に、携帯端末の識別子であるIDmを読み取り、読み取ったIDmを携帯識別子取得部15aへ渡す。
【0043】
なお、本実施例では、携帯端末の識別子であるIDmを用いる場合について示すが、携帯端末を一意に識別することができる情報、たとえば、電話番号やメールアドレスを用いることとしてもよい。
【0044】
表示操作部13は、持玉数、残額および各種操作指示を表示する表示部と、チャージ要求操作、カード返却操作、パチンコ玉の払出指示操作といった各種操作を受け付ける操作部とを備えている。たとえば、表示操作部13の表示部には、持玉数や残額を携帯端末へチャージする際、携帯端末をタッチするよう促す表示を行うディスプレイを備えている。
【0045】
また、表示操作部13の操作部には、チャージ要求操作を受け付けるチャージボタンおよび持玉数によってパチンコ玉の払出指示を行う持玉払出ボタン等を備えている。さらに、表示操作部13では、パチンコ玉の払出指示操作を受け付けるとともに、払出が行われたパチンコ玉の数が減算された持玉数の残数等を表示する。
【0046】
カードR/W部14は、持玉数や残額が書き込まれたカードを受け付け、持玉数や残額を読み取る。これにより、払出処理部15cでは、カードから読み取った持玉数や残額を用いてパチンコ玉を払出すことができる。
【0047】
また、カードR/W部14は、持玉数や残額が関連付けられたカード(会員カードまたは一般カード)の返却を行ったり、一般カードへ持玉数や残額を関連付けて発行する。なお、カードR/W部14の内部には、数枚の一般カードが収納されているものとする。
【0048】
ここで、各台装置10の概要構成を説明するために、図3を用いて各台装置10の外観について説明しておく。図3は、各台装置10の外観図である。なお、同図には、各台装置10が併設されたパチンコ機40を破線で示している。
【0049】
図3に示すように、各台装置10は、各台装置10の装置状態を所定色のランプの点灯あるいは点滅で表示する状態表示部41と、パチンコ玉の払出のための各種紙幣を受け付ける紙幣挿入部42とを備えている。
【0050】
また、各台装置10は、チャージ要求操作や持玉払出操作を受け付けたり、遊技客が所有する持玉数や残額を表示したりする表示操作部13を備えている。チャージ要求操作は、携帯端末へ持玉数や残額を関連付ける処理を管理装置20へ指示を行う操作であり、遊技客が台を移動する際等にかかる操作が行われる。
【0051】
なお、表示操作部13での表示や操作を行う構成部品を限定する必要はない。したがって、指やポインティングデバイスなどの押圧感知により入力を受け付け、かつ表示出力も兼ねるタッチパネル式の液晶ディスプレイなどを用いることとしてもよいし、簡素な表示出力を行う7セグメントLEDなどを表示部品として用いることとしてもよい。
【0052】
また、各台装置10は、パチンコ玉を払い出すノズルを備えた持玉払出部43と、持玉数や貯玉数が関連付けられたカード(会員カードまたは一般カード)の受け付け、会員カードの返却、一般カードの発行を行うカードR/W部14とを備えている。
【0053】
さらに、各台装置10は、携帯端末の識別子であるIDmを読み取る携帯読取部12を備えている。ここで、携帯読取部12と携帯端末との通信手段は特に限定する必要はなく、たとえば非接触ICチップを用いることとしてもよいし、赤外線通信を用いることとしてもよい。
【0054】
また、各台装置10は、獲得玉を計数する玉計数部44と、獲得玉を貯留する玉貯留部45とを備えており、同図に示すパチンコ機40の下皿46から獲得玉を玉貯留部45へ誘導し、玉計数部44で獲得玉の数量を計数する各台計数機能を有する。なお、遊技客の携帯端末のIDmに関連付けられた持玉数がある場合には、玉計数部44で計数された計数値をかかる持玉数へ加算する。
【0055】
そして、各台装置10は、表示操作部13に設けられる図示しない持玉払出ボタンが押下された場合には、遊技客の携帯端末のIDmに関連付けられた持玉数から払出数を減算して、パチンコ機40からパチンコ玉を投出する。なお、持玉払出部43はなくてもよく、その場合は、貯玉と同様にパチンコ機40から持玉を投出するようにしてもよい。また、各台装置10の玉貯留部45付近に図示しない専用の払出し貯留部を設け、かかる専用の払出し貯留部に備える払出し機構によって払出すようにしてもよい。その場合は、パチンコ機40から払出すことのできない払出数分だけを払出すようにしてもよい。
【0056】
ここで、貯玉とは、遊技店の会員は、会員が獲得したパチンコ玉を遊技店に遊技媒体価値として預け入れることができるサービスのことである。そして、会員は、預け入れた当日や翌日以降も、貯玉によってパチンコ玉を払出すことができる。この場合、表示操作部13に設けられる図示しない貯玉払出ボタンが押下され、会員の所有する貯玉から払出数を減算して、パチンコ機40からパチンコ玉が投出される。
【0057】
また、パチンコ機40の上皿47には、各台装置10の制御部15と電気的に接続されている玉貸ボタンが設けられており、この玉貸ボタンが押下された場合は、紙幣挿入部42へ挿入された各種紙幣の残額あるいはカードR/W部14に挿入されたカードまたは携帯端末へ関連付けられた残額から所定額を減算し、所定額に応じた数のパチンコ玉をパチンコ機40から投出する。
【0058】
なお、本実施例では、各台計数機能と玉貸機能とを兼ね備えた1台の各台装置10に対して本発明を適用した場合について説明したが、各台計数機能を有する第1の各台装置(計数サンド)と、玉貸機能を有する第2の各台装置(CRユニット)とを併設するシステム(ダブルサンド方式)に対して本発明を適用することとしてもよい。
【0059】
また、本実施例では、各台装置10によって遊技客が獲得したパチンコ玉を計数する各台計数機能付きの各台装置について説明するが、各台計数機能のない各台装置10であってもよい。この場合、島端計数機60で計数された計数値を携帯端末へチャージした遊技客は、各台計数機能のない各台装置10において計数値を使用してパチンコ玉の払出しをすることができる。
【0060】
図2の説明に戻り、各台装置10についての説明をつづける。制御部15は、各台装置10の全体制御を行う制御部である。携帯識別子取得部15aは、携帯読取部12で読み取られたIDmを取得し、更新指示部15bまたは払出処理部15cへ渡す処理を行う処理部である。
【0061】
更新指示部15bは、携帯読取部12へ携帯端末がタッチされ、表示操作部13からチャージボタン押下によるチャージ要求操作を受け付けると、携帯端末へのチャージ処理を行う処理部である。
【0062】
具体的には、更新指示部15bは、携帯読取部12から受け付けたIDmへ持玉数や残額を関連付けるよう更新指示を各台装置10の識別子である台番号とともに管理装置20へ送信する。そして、更新指示部15bは、正常にチャージされたか否かの処理結果を表示操作部13へ表示する。
【0063】
払出処理部15cは、携帯読取部12へ携帯端末がタッチされ、表示操作部13から持玉払出ボタンが押下による払出指示を受け付けると、パチンコ玉の払出処理を行う処理部である。
【0064】
具体的には、払出処理部15cは、携帯読取部12から受け付けたIDmに関連付けられた持玉数から払出数を減算するよう管理装置20へ更新指示を送信する。そして、払出処理部15cは、払出数のパチンコ玉を投出し、減算された持玉数を表示操作部13へ表示する。
【0065】
つぎに、管理装置20の構成について説明する。管理装置20は、通信I/F21と、記憶部22と、制御部23とを備えている。また、制御部23は、残額更新部23aと、疎通確認部23bとをさらに備えており、記憶部22は、残額情報22aと、処理履歴情報22bとを記憶する。
【0066】
通信I/F21は、LANカード等の通信デバイスで構成されており、LAN(Local Area Network)等のネットワーク経由で、各台装置10や遊技店内に設置された各種機器、ここでは精算機30との間のデータ送受信を行う。
【0067】
記憶部22は、不揮発性メモリやハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成される記憶部である。この記憶部22は、IDmやカードIDに関連付けて残額を残額情報22aとして記憶する。
【0068】
また、記憶部22は、台番号およびIDmやカードIDに関連付けて各台装置10およびパチンコ機40で行われた処理の履歴を処理履歴情報22bとして記憶する。なお、残額情報22aおよび処理履歴情報22bの詳細については後述することとする。
【0069】
制御部23は、管理装置20の全体制御を行う制御部である。残額更新部23aは、更新指示部15bからIDm、台番号および更新指示を受信したならば、精算機30と同期を取るとともに残額情報22aの更新処理を行う処理部である。
【0070】
具体的には、まず、残額更新部23aは、管理装置20と精算機30との通信が可能か否かの疎通確認指示を疎通確認部23bへ渡す。
【0071】
そして、残額更新部23aは、疎通確認部23bから疎通確認指示に対する正常応答通知を受信したならば、処理履歴情報22bに基づいて残額を算出し、算出された残額をIDmに関連付けて残額情報22aへ更新する。また、残額更新部23aは、残額情報22aを更新した旨を処理履歴情報22bへ登録する。
【0072】
その後、残額更新部23aは、IDm、台番号および残額を精算機30の残額情報34aへ更新する更新指示を精算機30の残額更新部35aへ送信する。そして、完了通知部35bから完了通知を受信したならば、正常に同期が取れた状態で残額更新が完了した通知を各台装置10へ送信する。
【0073】
疎通確認部23bは、残額更新部23aから疎通確認指示を受け付けたならば、管理装置20と精算機30との通信が可能か否かの疎通確認を行い、確認結果を残額更新部23aへ渡す処理を行う処理部である。
【0074】
つづいて、精算機30の構成について説明する。精算機30は、通信I/F31と、携帯読取部32と、カードR/W部33と、記憶部34と、制御部35とを備えている。また、制御部35は、残額更新部35aと、完了通知部35bと、携帯識別子取得部35cと、移行処理部35dとをさらに備えており、記憶部34は、残額情報34aを記憶する。
【0075】
通信I/F31は、LANカード等の通信デバイスで構成されており、LAN(Local Area Network)等のネットワーク経由で、管理装置20や遊技店内に設置された各種機器との間のデータ送受信を行う。
【0076】
携帯読取部32は、遊技客の所有する携帯端末がタッチされた場合に、携帯端末の識別子であるIDmを読み取り、読み取ったIDmを携帯識別子取得部35cへ渡す。
【0077】
カードR/W部33は、残額情報34aに記憶され、携帯読取部32で読み取ったIDmに関連付けられた残額をカードへ移行する指示を移行処理部35dから受け付けたならば、かかる残額をカードへ書き込んで発行する。
【0078】
記憶部34は、RAM(Random Access Memory)や不揮発性メモリといった記憶デバイスで構成される記憶部である。この記憶部34は、IDmやカードIDに関連付けて残額を残額情報34aとして記憶する。なお、残額情報34aの詳細については後述することとする。
【0079】
制御部35は、精算機30の全体制御を行う制御部である。残額更新部35aは、管理装置20の残額更新部23aからIDm、台番号、残額および更新指示を受信したならば、残額情報34aの更新処理を行う処理部である。また、残額更新部35aは、残額情報34aの更新が完了した通知を完了通知部35bへ通知する処理を併せて行う。
【0080】
一方、完了通知部35bは、残額更新部35aから更新完了の通知を受け付けたならば、完了通知を管理装置20の残額更新部23aへ送信する処理を行う処理部である。
【0081】
携帯識別子取得部35cは、携帯読取部32で読み取られたIDmを取得し、移行処理部35dへ渡す処理を行う処理部である。
【0082】
移行処理部35dは、移行指示とともに携帯識別子取得部35cからIDmを受け付けたならば、残額情報34aに記憶されるIDmに関連付けられた残額をカードへ移行するよう、カードR/W部33へ指示する処理を行う処理部である。
【0083】
つぎに、本実施例に係る遊技システムが適用される遊技店内の構成について図4を用いて説明する。図4は、本実施例に係る遊技システムが適用される遊技店内の構成図である。
【0084】
図4に示すように、遊技店に設置された管理装置20には、LAN(Local Area Network)等のネットワーク経由で、島コントローラ50と、島端計数機60と、精算機30と、景品管理装置70と、携帯端末処理機80とが接続されている。
【0085】
また、島コントローラ50の配下には、複数組の各台装置10およびパチンコ機40が接続されている。なお、同図には、2台の島コントローラ50のみを示しているが、管理装置20には所定数の島コントローラ50が接続されるものとする。また、各台装置10は、島コントローラ50と各パチンコ機40との間に介在し、一つの島コントローラ50に対して、所定数の各台装置10が接続されるものとする。
【0086】
管理装置20は、残額情報22aおよび処理履歴情報22bを記憶部22に記憶しており、各台装置10およびパチンコ機40で行われた処理履歴に関する情報、IDmまたはカードへ関連付けられた残額に関する情報等を管理している。
【0087】
島コントローラ50は、遊技島に設けられた一群のパチンコ機40および各台装置10を束ねる中継装置である。パチンコ機40は、パチンコ玉を遊技領域に打ち込んで遊技客がパチンコ遊技を行う装置である。
【0088】
島端計数機60は、遊技島端等に設けられ、遊技客が獲得したパチンコ玉を計数し、計数値を携帯端末またはカードへ関連付ける、若しくは、レシートへ計数値を印字し、発行する。
【0089】
精算機30は、残額情報34aを記憶部34に記憶しており、管理装置20の残額情報22aと同期が取られている。精算機30では、携帯端末のタッチを受け付けると、残額情報34aの残額をカードへ移行する。
【0090】
また、精算機30は、各台装置10へ挿入された各種貨幣の残額が会員カードまたは一般カードへ関連付けられている場合に、残額が関連付けられているカードが挿入されると、残額に相当する現金の払出を行う。さらに、精算機30は、各台装置10へ挿入された各種貨幣の残額が携帯端末へ関連付けられている場合に、携帯端末のタッチを受け付けると、残額に相当する現金の払出を行う。
【0091】
景品管理装置70は、遊技店内の景品交換カウンタに併設された景品交換用の端末装置であり、図示しない交換玉数管理情報を用いて獲得玉と景品との交換を管理する。なお、交換玉数管理情報は、景品毎にその景品との交換に要する交換玉数を対応付けた情報である。
【0092】
ここで、遊技客は、景品交換カウンタへ携帯端末を持参し、景品管理装置70または景品管理装置70に併設された携帯端末処理機80に携帯端末をタッチすることで、IDmに関連付けられた持玉数や計数値に応じた景品を受け取ることができる。
【0093】
その際、景品交換カウンタ内の従業員が、遊技客により指定された景品に対応する交換ボタンを押下する。交換ボタンの押下を受け付けた景品管理装置70は、指定された景品に相当する交換玉数を計数値から減算する交換制御を実行する。その後、従業員が手作業によって遊技客に指定された景品を渡すこととなる。
【0094】
なお、本実施例では、オフライン時に精算機30の記憶部34に管理装置20の残額情報22aと同期が取られた残額情報34aを記憶し、精算機30で残額を移行して、カードを発行することとした。
【0095】
しかし、管理装置20と接続されており、カードへ残額を書き込んで発行することができる他の装置に残額情報34aを記憶させることとしてもよい。たとえば、景品管理装置70や各台装置10に残額情報34aを記憶させてもよい。
【0096】
また、本実施例では、1台の精算機30に管理装置20の残額情報22aと同期が取られた残額情報34aを記憶させることとしたが、管理装置20は、複数の装置で同期を取り、残額情報34aを記憶させることとしてもよい。たとえば、複数台の精算機30で残額情報34aを記憶させてもよいし、所定台数の各台装置10、景品管理装置70および精算機30で、それぞれ残額情報34aを記憶させてもよい。
【0097】
つぎに、残額情報34aおよび処理履歴情報22bの詳細について図5を用いて説明する。図5は、残額情報34aおよび処理履歴情報22bの一例その1を示す図である。
【0098】
図5の(A)に示すように、管理装置20の処理履歴情報22bは、「台番号」項目と、「識別子」項目と、「媒体区分」項目と、「処理金額」項目と、「処理」項目とを含んでいる。
【0099】
「台番号」項目は、遊技店内に設置されるパチンコ機40を識別することができる識別子である。「識別子」項目は、会員カードや一般カード等のカード、または、携帯端末の識別子であり、「媒体区分」項目は、「識別子」がいずれの媒体であるかの区分である。また、「処理金額」項目は、各台装置10およびパチンコ機40で行われた処理に対する処理金額であり、「処理」項目は、かかる「処理金額」に対する処理内容である。
【0100】
また、図5の(B)に示すように、精算機30の残額情報34aは、「台番号」項目と、「識別子」項目と、「媒体区分」項目と、「残額」項目と、「処理」項目とを含んでいる。なお、管理装置20の残額情報22aも残額情報34aと同様であるので、説明を省略する。
【0101】
また、残額情報34aの「台番号」項目、「識別子」項目、「媒体区分」項目および「処理」項目については、処理履歴情報22bと同様であり、「残額」項目は、「識別子」の携帯端末またはカードへ関連付けられる残額である。
【0102】
管理装置20では、台番号、IDmやカードIDに関連付けて各台装置10およびパチンコ機40で行われた処理の履歴を処理履歴情報22bとして記憶する。ここでは、台番号が1であるパチンコ機40で遊技が行われた場合について説明する。
【0103】
各台装置10の紙幣挿入部42へ10000円の紙幣が挿入された場合、管理装置20は、カードR/W部14の内部に予め収納されている一般カードの識別子へ挿入金額を関連付けて処理を「入金」として記憶する(図5の(A)1行目参照)。
【0104】
そして、管理装置20は、玉貸ボタンが押下されることによって、500円分のパチンコ玉が貸し出された場合、処理金額「500円」、処理を「玉貸」として記憶する(図5の(A)2行目参照)。
【0105】
その後、遊技客が遊技を終了する際に、遊技客は携帯端末へ残額をチャージすることとなる。そこで、管理装置20は、IDmが「ABC」である携帯端末が携帯読取部12へタッチされ、表示操作部13からチャージボタン押下によるチャージ要求操作を受け付けると、チャージ金額を算出する。具体的には、処理が「入金」である処理金額から、その後の処理が「玉貸」である処理金額をすべて減算する。
【0106】
ここでは、1行目の金額10000円から2行目の金額500円を減算してチャージ金額は9500円と算出される。しかし、「玉貸」が所定回数行われた場合には、所定回数分の金額を減算して、チャージ金額を算出する。
【0107】
そして、管理装置20は、残額である9500円を携帯端末へチャージする、すなわち、識別子「ABC」の携帯端末へ、処理金額「9500円」を、処理は「移動」した旨を記憶する(図5の(A)3行目参照)。
【0108】
また、図5の(B)に示したように、管理装置20の残額情報22aおよび精算機30の残額情報34aに、残額情報として、台番号「1」、識別子「ABC」、媒体区分「携帯」、残額「9500円」、処理「移動」を記憶する。このように、管理装置20と精算機30とが通信可能な状態である場合は、管理装置20の残額情報22aと精算機30の残額情報34aとの同期が取られているものとする。
【0109】
なお、管理装置20に、残額情報22aと処理履歴情報22bとを備える構成としたが、管理装置20の残額情報22aは、処理履歴情報22bに基づいて算出されるので、管理装置20には、処理履歴情報22bのみを備える構成としてもよい。
【0110】
つぎに、本実施例に係る遊技システムが実行する残額更新処理について図6を用いて説明する。図6は、各台装置10、管理装置20および精算機30が実行する残額更新処理手順概要を示すシーケンス図である。
【0111】
図6に示すように、各台装置10では、遊技客が遊技終了時に携帯端末へ残額をチャージする際、チャージボタン押下によるチャージ要求操作とともに遊技客の所有する携帯端末が携帯読取部12へタッチされる(ステップS101)。
【0112】
携帯端末がタッチされたならば、携帯読取部12は、IDmを読み取り(ステップS102)、更新指示部15bは、読み取ったIDmおよびパチンコ機40の台番号とともに残額情報22a、34aの更新指示を管理装置20へ送信する(ステップS103)。
【0113】
なお、台番号は、各台装置10またはパチンコ機40でそれぞれ保持し、管理装置20へ送信することとした。しかし、管理装置20や島コントローラ50で台番号を管理することとしてもよい。
【0114】
つづいて、管理装置20の疎通確認部23bは、精算機30へ疎通確認を送信し(ステップS104)、精算機30は、管理装置20からの疎通確認に対し応答通知を管理装置20へ送信する(ステップS105)。
【0115】
精算機30からの応答通知を受信した管理装置20は、残額情報22aおよび処理履歴情報22bを更新して(ステップS106)、IDm、台番号および残額とともに残額情報34aの更新指示を精算機30の残額更新部35aへ送信する。
【0116】
一方、管理装置20から更新指示を受信した精算機30の残額更新部35aは、残額情報34aを更新して(ステップS107)、完了通知部35bは、管理装置20へ完了通知を送信する。
【0117】
また、精算機30から完了通知を受信した管理装置20の残額更新部23aは、正常に同期を取り残額情報22a、34a共に更新完了した通知を、各台装置10の更新指示部15bへ送信する(ステップS108)。
【0118】
そして、管理装置20から完了通知を受信した各台装置10の更新指示部15bは、チャージが正常に完了した旨を表示操作部13へ表示して(ステップS109)、各台装置10、管理装置20および精算機30が実行する一連の残額更新処理を終了する。
【0119】
つぎに、遊技客が携帯端末にチャージをした後、他のパチンコ機40へ移動して携帯端末によって再プレイする場合に、本実施例に係る遊技システムが実行する玉貸処理について図7を用いて説明する。
【0120】
図7は、残額情報34aおよび処理履歴情報22bの一例その2を示す図である。図7の(A)は、管理装置20の処理履歴情報22bであり、図7の(B)は、精算機30の残額情報34aである。遊技客の携帯端末(IDm:ABC)に、9500円の残額がチャージされており、1回の玉貸処理で500円分のパチンコ玉が払出される場合について説明する。
【0121】
遊技客によって携帯端末がタッチされて、台番号が「2」のパチンコ機40に設けられる玉貸ボタンが押下された場合は、管理装置20は、処理履歴情報22bとして図7の(A)1行目に示したように更新する。
【0122】
そして、精算機30は、携帯端末へ関連付けられた残額から玉貸分を減算(9000円=9500円−500円)し、残額情報34aを図7の(B)1行目に示したように、更新する。なお、管理装置20の残額情報22aも同様に更新されるものとする。そして、各台装置10は、玉貸分が減算された残額を表示操作部13へ表示し、玉貸分に応じた数のパチンコ玉をパチンコ機40から投出する。
【0123】
ここで、残額情報22a、34aおよび処理履歴情報22bを更新する際に、図6を用いて説明した残額更新処理手順と同様に、疎通確認を行う。具体的には、管理装置20は、精算機30へ疎通確認を送信し、精算機30からの応答を受け付けて、残額情報22aおよび処理履歴情報22bの更新を行う。
【0124】
また、精算機30は、管理装置20からの更新完了通知を受け付けて、残額情報34aの更新を行い、管理装置20へ完了通知を送信する。その後、各台装置10は、管理装置20からの完了通知を受け付けて、パチンコ玉を払出すこととなる。
【0125】
つぎに、本実施例に係る遊技システムが実行するオフライン時の玉貸処理について図8を用いて説明する。図8は、各台装置10、管理装置20および精算機30が実行するオフライン時の玉貸処理手順概要を示すシーケンス図である。ここで、前提条件として、管理装置20と精算機30との通信がオフラインの場合について説明する。
【0126】
図8に示すように、各台装置10では、遊技客が携帯端末へチャージされた残額を使用して玉貸する際、玉貸ボタン押下による玉貸操作とともに遊技客の所有する携帯端末が携帯読取部12へタッチされる(ステップS201)。
【0127】
携帯端末がタッチされたならば、携帯読取部12は、IDmを読み取り(ステップS202)、各台装置10は、読み取ったIDmおよびパチンコ機40の台番号とともに玉貸要求を管理装置20の疎通確認部23bへ送信する(ステップS203)。
【0128】
つづいて、管理装置20の疎通確認部23bは、精算機30へ疎通確認を送信する際(ステップS204)、管理装置20と精算機30との通信がオフラインであることを検出する。
【0129】
そこで、疎通確認部23bは、玉貸要求による残額更新処理が不可である旨の通知を各台装置10へ送信し(ステップS205)、各台装置10では、玉貸不可の旨を表示操作部13へ表示して(ステップS206)、各台装置10および管理装置20が実行する一連のオフライン時の玉貸処理を終了する。
【0130】
このように、オフライン時には、各台装置10で再プレイすることができないため、遊技客は精算機30へ携帯端末を持っていき、残額情報34aの残額をカードへ移行することとなる。
【0131】
なお、管理装置20と精算機30とがオフラインになった際に、各台装置10での玉貸不可とした説明をしたが、管理装置20と各台装置10とがオフラインになった際にも、各台装置10での玉貸を不可とする。
【0132】
また、管理装置20と精算機30とがオフラインになった場合に、携帯端末に関連付けられている残額による玉貸を不可とする例について説明した。しかし、複数の精算機30や他の装置によって残額情報34aが記憶されているような構成とした場合には、管理装置20とオフラインになった精算機30のみをシャットダウンさせることとしてもよい。
【0133】
これによって、残額情報34aが記憶されている他の装置の残額情報34aと管理装置20の残額情報22aとは同期が取れているので、各台装置10では、携帯端末にチャージされた残額から引落すことによってパチンコ玉の玉貸をすることができる。
【0134】
つぎに、オフライン時に各台装置10で玉貸処理が不可であった場合に、精算機30が実行する移行処理について図9を用いて説明する。図9は、精算機30が実行する移行処理手順概要を示すフローチャートである。
【0135】
図9に示すように、精算機30では、遊技客が携帯端末に関連付けられた残額をカードへ移行する際、遊技客の所有する携帯端末が携帯読取部32へタッチされたならば、IDmを読み取る(ステップS301)。
【0136】
そして、読み取ったIDmは携帯識別子取得部35c経由で、移行処理部35dへ渡され、移行処理部35dでは、IDmに関連付けられた残額情報34aの残額を図示しない表示操作部へ表示する(ステップS302)。
【0137】
その後、移行処理部35dは、遊技客によるカードへの移行指示操作を受け付けたか否かを判定し(ステップS303)、移行指示操作を受け付けた場合は(ステップS303,Yes)、残額情報34aの残額をカードへと移行する(ステップS304)。残額情報34aの移行の詳細については、後述することとする。
【0138】
そして、移行処理部35dは、移行した残額と同じ額をカードへ書き込み(ステップS305)、カードを発行して(ステップS306)、精算機30が実行する一連の移行処理を終了する。
【0139】
一方、移行処理部35dは、キャンセルボタン押下等によって遊技客によるカードへの移行指示操作を受け付けないと判定した場合は(ステップS303,No)、精算機30が実行する一連の移行処理を終了する。
【0140】
オフライン時には、上述したように精算機30によって発行されたカードをもって、遊技客は、各台装置10へカードを挿入することによって、パチンコ玉の玉貸をすることが可能となる。なお、精算機30では、上述した移行処理は、オフライン時のみに処理を可能とするよう制限を設けてもよい。また、精算機30は、移行処理が選択されなければ、残っているプリペイド価値を精算するようにしてもよいし、別途、精算処理を選択させるようにしてもよい。
【0141】
ここで、精算機30の残額情報34aの残額をカードへ移行した場合と、オフラインであった管理装置20と精算機30との通信が復旧した場合の管理装置20の残額情報22aについて図10を用いて説明する。
【0142】
図10は、残額情報22a、34aの一例その3を示す図である。図10の(A)は、精算機30で残額をカードへ移行した際の残額情報34aであり、図10の(B)は、通信が復旧した際の、残額情報22aの復旧処理を説明する図である。
【0143】
まず、図10の(A)1行目に示したように、IDmがABCである携帯端末に関連付けられた残額9000円を、精算機30によってカードへ移行した場合、IDm:ABCの残額は0円となる。また、図10の(A)2行目には、精算機30に収納されていた識別子が5678であるカードへ残額9000円が移行され、発行されたことを示す。
【0144】
つづいて、オフラインであった管理装置20と精算機30との通信が復旧した場合に、管理装置20では、残額情報22aと移行処理が行われた残額情報34aとの整合性を取る必要がある。
【0145】
したがって、図10の(B)に示したように、管理装置20は、IDmがABCである携帯端末に関連付けられていた残額を、0円と更新して、残額情報22aと残額情報34aとの整合性を取ることとする。
【0146】
このように、本実施例に係る遊技システムでは、チャージボタン押下および携帯端末をタッチされたことによる残額更新指示を受け付けた場合、管理装置20の残額情報22aと精算機30の残額情報34aとに残額の更新処理を行い、双方の同期を取る。そして、管理装置20と精算機30との通信、または、管理装置20と各台装置10との通信がオフラインとなった場合に、各台装置10では、携帯端末に関連付けられた残額を使用しての玉貸を不可とした。一方、精算機30によって、携帯端末に関連付けられた残額をカードへ移行して発行することとした。
【0147】
これにより、本実施例に係る遊技システムによれば、携帯端末の識別子に関連付けて持玉数やプリペイド価値等の有価価値を管理する装置と各台装置とがオフラインになった場合であっても、遊技客がかかる有価価値を利用して遊技することができる。
【0148】
なお、上述した実施例では、携帯端末へ関連付けられた残額について残額情報として記憶し、残額情報の残額をカードへ移行することとした。しかし、携帯端末へ関連付けられた持玉や貯玉についても適用することができる。さらに、携帯端末へ関連付けられた持玉や貯玉の貸出レートとは異なる遊技台へ移動して、携帯端末を使用して再プレイする場合についても、適用することができる。その場合は貸出レートも管理データとして管理しておくこととする。
【0149】
また、上述した実施例では、オフライン時のカードの発行は精算機で行うよう説明したが、以下に記載する他の端末であってもよい。たとえば、各台装置によってプリペイド価値および持玉数をリアルタイムで記憶しておけば、オフラインになった場合、わざわざ精算機まで行かなくても、その場でカード発行を行うことができる。さらに、プレイ中であれば処理は必要なく、台移動する時にカードを発行させればよい。また、カードは各台装置に内蔵されている新規のカードを発行すればよい。各台装置に液晶モニタが付いていれば、ガイダンス等を液晶モニタへ表示させることによって遊技客は操作することができる。また、景品管理装置によってバックアップを管理している場合であれば、遊技客は景品管理装置へ出向き、携帯端末を所定の読取装置にタッチすることによって、移行カードを発行できるようにすればよい。ここで、移行カードは自動で排出するようにしてもよく、また、従業員が保持しているカードを用いることとしてもよい。また、プリペイドカードの発券を行っているカード発行機によってオフライン時のカード発行を行うようにしてもよい。その場合は、精算処理の有無以外については精算機と同様のしくみとなる。
【0150】
また、上述した実施例では、パチンコ遊技に適用する例を説明したが、パチスロ遊技を対象としてさらに含めた場合、または、パチスロ遊技のみを対象とした場合にも同様に適用することができる。なお、ここでは、パチンコ店に本発明を適用する例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ゲームセンタ等の遊技施設にも同様に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0151】
以上のように、本発明に係る遊技システムは、携帯端末の識別子に関連付けて持玉数やプリペイド価値等の有価価値を管理する装置と各台装置とがオフラインになった場合に有用であり、特に、遊技客がかかる有価価値を利用して遊技するサービスを提供する場合に適している。
【符号の説明】
【0152】
10 各台装置
11 通信I/F
12 携帯読取部
13 表示操作部
14 カードR/W部
15 制御部
15a 携帯識別子取得部
15b 更新指示部
15c 払出処理部
20 管理装置
21 通信I/F
22 記憶部
22a 残額情報
22b 処理履歴情報
23 制御部
23a 残額更新部
23b 疎通確認部
30 精算機
31 通信I/F
32 携帯読取部
33 カードR/W部
34 記憶部
34a 残額情報
35 制御部
35a 残額更新部
35b 完了通知部
35c 携帯識別子取得部
35d 移行処理部
40 パチンコ機
41 状態表示部
42 紙幣挿入部
43 持玉払出部
44 玉計数部
45 玉貯留部
46 下皿
47 上皿
50 島コントローラ
60 島端計数機
70 景品管理装置
80 携帯端末処理機


【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技に関わる有価価値情報を管理する管理装置と遊技媒体貸出処理を行う遊技台に設けられる各台装置とを有する遊技システムであって、
前記各台装置は、
前記有価価値情報の書き込みが不能の記録媒体の識別子を取得する識別子取得手段と、
前記識別子取得手段によって取得された前記記録媒体の識別子へ関連付けて遊技媒体数および/または有価価値を前記有価価値情報として記憶させるよう指示する記憶指示手段と
を備え、
前記各台装置と通信する第一の管理装置は、
前記記憶指示手段によって前記有価価値情報の記憶指示を受け付けた場合に、前記有価価値情報を記憶する主記憶手段へ記憶させ、前記有価価値情報を同期させるよう前記第一の管理装置と通信する他の管理装置へ指示する同期制御手段
を備え、
前記他の管理装置は、
前記同期制御手段によって前記有価価値情報の同期指示を受け付けた場合に、前記有価価値情報を記憶する副記憶手段
を備えたことを特徴とする遊技システム。
【請求項2】
前記同期制御手段は、
前記各台装置と前記第一の管理装置、前記第一の管理装置と前記他の管理装置のいずれもが通信可能である場合に、前記有価価値情報を前記主記憶手段へ記憶させ、前記同期指示を前記他の管理装置へ送信し、前記各台装置と前記第一の管理装置、前記第一の管理装置と前記他の管理装置のいずれかが通信不可である場合に、同期制御を行わないことを特徴とする請求項1に記載の遊技システム。
【請求項3】
前記他の管理装置は、
前記各台装置と前記第一の管理装置とが通信不可であり、かつ、前記有価価値情報の書き込みが不能の前記記録媒体の識別子を取得した場合、取得した前記識別子に関連付けられて前記副記憶手段に記憶されている前記有価価値情報の一部または全部を前記有価価値情報の書き込みが可能である記録媒体へ移行する移行手段
をさらに備えたことを特徴とする請求項2に記載の遊技システム。
【請求項4】
前記各台装置は、
前記移行手段によって移行された前記有価価値情報を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された前記有価価値情報に基づいて前記遊技媒体の払出処理を行う払出手段と
をさらに備えたことを特徴とする請求項3に記載の遊技システム。
【請求項5】
前記第一の管理装置は、
通信不可であった前記各台装置と通信可能となった、および/または、通信不可であった前記他の管理装置と通信可能となったならば、前記副記憶手段に記憶されている前記有価価値情報に基づいて前記主記憶手段に記憶されている前記有価価値情報を更新する更新手段
をさらに備えたことを特徴とする請求項3または4に記載の遊技システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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