説明

遊技媒体貸出システム

【課題】 高額紙幣を受け付けて釣銭の支払いにも対応することのできるセキュリティの高い遊技媒体貸出システムを提供する。
【解決手段】 メダルサンド2,会員登録機5,精算機6にはそれぞれ指紋読取手段25,52,64が備わり、メダルサンド2と精算機6にはキー入力手段24,63も備わっている。高額紙幣を使用する場合に、会員は会員登録機5において指紋情報とともに会員登録をし、メダルサンド2では、会員カードの挿入と指紋情報の入力ののちに紙幣を投入する。一方、ビジターについては、キー入力手段24での暗証番号の入力と指紋情報の入力ののちに紙幣を投入する。以降、メダルの貸し増しや会員カードの返却などの時点ごとに、再三の指紋情報の入力が求められる。そして、精算機6における残額の精算の際にも、会員カードの挿入または暗証番号の入力と指紋情報の入力とが必要とされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技店に設置される遊技媒体貸出システムに関するもので、特に、高額紙幣を受け付け、かつ高いセキュリティを有した遊技媒体貸出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
生体情報を利用して個人認証を図るという技術は、生体情報が識別媒体としての信頼性が非常に高いことから、最近さまざまな方面で利用され始めている。遊技機の分野においても、特に金銭に絡む不正の防止を図るために、生体情報を利用した管理手法がいくつも提案されている。たとえば特許文献1の「遊技媒体貸出システム」には、個人を識別するための識別媒体の一実施例として、指紋認証による手法が開示されている。この特許文献1によれば、メダル貸出機は、第1識別情報処理部として指紋を読み取るための指紋情報読取手段を有しており、遊技客は、指紋情報読取手段により指紋情報の登録をおこなう。次いで、メダル貸出機では、登録された指紋情報に関連付けて遊技にともなって減算した残金データを島コントローラに送信し、島コントローラでは、受信した指紋情報に対応付けて残金データの記憶をおこなう。ここで、残金データは、残金情報管理テーブルに格納されるものとなる。
【0003】
また、遊技機の移動時には、移動したメダル貸出機の指紋情報読取手段を使用して、遊技客の指紋情報を読み取り、この指紋情報を識別IDとして島コントローラへの問い合わせをおこない、指紋情報と対応した残金データを抽出し、その残金データに基づいて遊技を継続する。釣り銭などの現金を使用することなく他の遊技機における遊技の継続を可能とすることを提供する。
【0004】
精算機は、第2識別情報処理部として指紋を読み取るとともに、照合をおこなう指紋情報照合手段を有しており、精算をおこなう際には、精算機に設けられている指紋情報照合手段により再度、指紋情報の読み取りをおこない、その指紋情報を識別IDとして島コントローラに問い合わせるとともに、この指紋情報に対応した残金データを抽出し、この取得した残額データに基づいて、精算金の払い出しをおこなう。ここで、登録時に指紋情報読取手段により読み取った指紋情報と精算機の指紋情報照合手段により読み取った指紋情報とが一致しない場合には精算処理はおこなわない。
【0005】
特許文献1には、指紋認証に係る技術について、以上のように紹介されているが、指紋をはじめとする生体情報を利用した認証は、登録されるデータ数が多くなればなるほど、照合作業に時間をとられるという問題がある。上記引例においても、この点を問題点として把握しており、その解決のために、遊技機島ごとに島コントローラを配置して、島単位で識別IDを管理することでもってレスポンスに優れたシステムとしたという説明が添えられている。
【0006】
【特許文献1】 特開2004−81461号公報(段落番号0110〜0115および0038参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のように識別IDを島単位で管理するという仕組みは、別の遊技機島まで席移動をしてゲームを続行しようとする場合には好適しない。また、島単位での管理には、遊技機島の数と同数の島コントローラの設置が必要であり、さらにその上位に、これらの島コントローラを集中管理するための島管理コントローラが必要となる。このような従来技術に対して、本発明が目的とするところの一つは、一台の店内管理サーバでもって店内全体の遊技媒体の貸し出しや、金銭授受の状態を一括管理できるようにしたうえに、なおかつ、入力される生体情報と登録されている生体情報との照合スピードを損なうことのない遊技媒体貸出システムを提供することである。さらに、このようなシステムを構築するなかで、不正に対するセキュリティを従来以上に重んじたシステムとして提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以上のような課題に鑑みなされたもので、請求項1に記載の遊技媒体貸出システムは、投入された紙幣の金額に応じて遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸出機と、釣銭としての残額の支払いを行う精算機と、顧客情報の登録と引き換えに識別情報記憶媒体を発行する会員登録機と、前記各種装置を管理する店内管理サーバとによって構成される遊技媒体貸出システムであって、前記遊技媒体貸出機、前記精算機、前記会員登録機には、それぞれについて生体情報読取手段が装着され、さらに前記遊技媒体貸出機および前記精算機には、それぞれについて識別情報記憶媒体読取手段とキー入力手段とが装着され、前記会員登録機において生体情報の入力とともに予め登録手続きを済ませた会員が、前記遊技媒体貸出機において高額紙幣を使用するときには、該遊技媒体貸出機に装着された識別情報記憶媒体読取手段への識別情報記憶媒体の投入と生体情報読取手段への生体情報の入力とが必要とされ、これによって得られる識別情報と生体情報とを前記店内管理サーバに保存されている識別情報および生体情報と照合した結果に基づいて、所定金額相当分の遊技媒体が払い出される一方、一時の遊技客が前記遊技媒体貸出機において高額紙幣を使用するときには、該遊技媒体貸出機に装着されたビジターボタンを押下したのちにキー入力手段への暗証番号の入力と生体情報読取手段への生体情報の入力とを必要とし、これらの入力に伴って所定金額相当分の遊技媒体が払い出されるとともに、前記暗証番号と関連付けて前記生体情報が前記店内管理サーバによって保存されることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の遊技媒体貸出システムは、前記遊技媒体貸出機に高額紙幣が投入され、遊技媒体の貸し出しが行われたあとに残額が残っている場合に、引き続いて遊技媒体の貸し出しを受けようとするときは、該遊技媒体貸出機において、改めて生体情報の入力が必要とされ、これによって得られる生体情報を前記店内管理サーバに保存されている生体情報と照合した結果に基づいて、所定金額相当分の遊技媒体の貸し出しが行われるように構成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の遊技媒体貸出システムは、前記遊技媒体貸出機に投入した識別情報記憶媒体の返却を受けるためには、該遊技媒体貸出機に備わる精算ボタンを押下したのちに生体情報の入力が必要とされ、これによって得られる識別情報と生体情報とを前記店内管理サーバに保存されている識別情報および生体情報と照合した結果に基づいて、前記識別情報記憶媒体の返却が行われるように構成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の遊技媒体貸出システムは、前記精算機において、会員が釣銭としての残額を受け取るためには、該精算機に装着された識別情報記憶媒体読取手段への識別情報記憶媒体の投入と生体情報読取手段への生体情報の入力とが必要とされ、これによって得られる識別情報と生体情報とを前記店内管理サーバに保存されている識別情報および生体情報と照合した結果に基づいて、残額の支払いが行われることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の遊技媒体貸出システムは、前記精算機において、一時の遊技客が釣銭としての残額を受け取るためには、該精算機に装着されたビジターボタンを押下したのちにキー入力手段への暗証番号の入力と生体情報読取手段への生体情報の入力とを必要とし、これによって得られる暗証番号と生体情報とを前記店内管理サーバに保存されている暗証番号および生体情報と照合した結果に基づいて、残額の支払いが行われることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の遊技媒体貸出システムは、前記識別情報記憶媒体には識別IDのみが記録され、その他の顧客情報は、該識別IDに関連させて前記店内管理サーバに保存されることを特徴とする。
【0014】
上記のように構成することによって、所定の金種の紙幣(通常は千円札)が使用された場合には、その他の手順を踏むことなしに直ちに遊技媒体が貸し出される。その一方で、千円を超える金種の紙幣、すなわち高額紙幣の使用に対しては、遊技客が初回の遊技媒体を借り受けたり、初回以降に引き続き遊技媒体の借り増しを受けたり、識別情報記憶媒体の返却を求めたりするなどの各過程において、その度に生体情報の入力が必要となるように構成したものである。ゲーム終了時に残額が生じた場合についても、精算機において生体認証の手続きを経たうえでなければ釣銭が支払われないように形成されている。
【0015】
すべての生体情報が、店内管理サーバにおいて、識別情報と関連させて集中的に管理される。さらに、生体情報と識別情報の関連のもとに、投入金額や残額が管理される。識別情報の入力には、2通りの方法が用意されている。まず、前もって生体情報の入力とともに会員登録を済ませた会員が、登録手続きと引き換えに入手した識別情報記憶媒体を使用するものである。また、会員登録をしない一時の遊技客については、当人が任意に決めた暗証番号を用いるというものである。このような識別情報の役割は、識別情報に関連付けて記憶されている生体情報に直線的に辿りつくようにして、照合を素早く行うためのものである。したがって、識別情報記憶媒体に記録される中身は、最小限、識別IDのみで足りる。また、暗証番号の場合に、同一の番号がいくつか重複したとしても、全体の中から生体情報を照合する作業に比べれば、極めて狭い範囲に照合の対象範囲が限定されることになる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、識別情報と生体情報との併用によって構成された本発明の遊技媒体貸出システムによれば、照合すべき生体情報の対象が、識別情報によって択一的あるいは極めて狭い範囲内に限定されることになるから、生体情報の認証作業が速やかに行えるようになる。そして、このようなシステムがもつ特長は、管理すべき生体情報の数が多くなればなるほど顕著となって現われる。また、このようなシステムは、店内管理サーバ一台でもって対応しても、照合スピードを損なうことがないので、管理サーバに費やす設備費を安く抑えることができる。さらに、一時の遊技客に対しては、識別情報記憶媒体を介さずともカード会員と同様に対応することができるシステムとしているので、その分、ランニングコストが低減できる。
【0017】
このシステムには、遊技媒体の貸し出しのたびに生体情報の入力が求められること、また識別情報記憶媒体の返却の際にも生体認証を経ることによって本来の所有者に必ず戻るようになっていること、さらに暗証番号が覗き見されたり盗まれたりしても最終的に生体認証がなされなければ釣銭の精算が得られないこと、などといった仕組みによって、盗難や不正、あるいはカードの紛失に対して、極めて高いセキュリティ対策が講じられたものとなっている。このようなシステムは、遊技客がゲーム中に一時的に席を離れたときも、指紋情報が受け付けられないために、その席が他の者に取って代わられることがない。したがって、他の者による不正操作の介入も予防できる。遊技客が店内の他の遊技機に席を移動してゲームを継続するときにも、識別情報と生体情報の入力が必要とされるので、安心して席を移動することができる。生体情報が店内管理サーバに記憶されるということから、結果的に偽造紙幣の使用に対する抑止効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明の一実施例について、図を参照しながら説明する。なお、図1は、本発明の遊技媒体貸出システムの全体構成を示す図、図2は、遊技機および遊技媒体貸出機の正面図、図3は、会員登録機における登録の過程を示すフローチャート、図4は、遊技媒体貸出機における処理概要を示すフローチャート、図5は精算機における精算時の過程を示すフローチャートである。
【0019】
まず、図1において、遊技機の一つとして例示したスロットマシン1と、これに付随する遊技媒体貸出機の一例としてのメダルサンド2とが交互に横並びに配列されて、一つの遊技機島を形成している。そして、メダルサンド2には、それぞれに通信ケーブル3が接続されている。このようなスロット島のほか、パチンコ島はパチンコ機と玉貸出機とによって形成されたものであり、遊技店によっては、スロット島とパチンコ機とを混在させてレイアウトすることもある。いずれの遊技機島についても、それぞれに通信ケーブル3が配線されており、通信ケーブル3の反対端は、店内管理サーバ4に集結している。店内管理サーバ4はまた、会員登録機5、精算機6およびメダル計数機7とも接続して、遊技媒体貸出システムの全体を構成している。なお、パチンコ島が存在する場合には、本図の中に玉計数機が追加されることになる。
【0020】
図2に示すように、メダルサンド2の前面には、表示灯21,画像表示部22,カード挿入口23,キー入力手段24,指紋読取手段25,ビジターボタン26,精算/カード返却ボタン27,紙幣挿入口28,ノズルシュート29などが配設されている。このうち表示灯21は、たとえば演出効果を高めるための7色のランプにより形成されるもので、その点灯や点滅の形態によって、メダルサンド2の作動の過程や、異常の発生などを遊技客や店員に適宜報知するためのものである。また、画像表示部22は、たとえばフルカラー液晶によって形成されるもので、ゲーム開始までの操作手順や異常内容などについての説明を画面に表示することのほか、メダルの貸出枚数、売上情報などを表示するデータ表示機能と、遊技客が投入した金額の残額を表示してゲームの継続が可能な状態にあるか否かを報知するための残額表示機能とを有している。
【0021】
この実施例において、識別情報記憶媒体として磁気カードを採用することとする。もちろんICチップなどを利用することもできる。そして、登録を済ませた会員カードの投入口が、カード挿入口23である。また、キー入力手段24は、一時の遊技客(以下、ビジターと称する)のためにテンキーなどでもって形成されるもので、ビジターボタン26とともに、詳細については後述する。
【0022】
指紋読取手段25は、生体情報読取手段の一例としてここに採用したものであって、認証技術として現在最も普及しているといわれている指紋認証に代表させたものである。個人認証のための生体情報としては、このほかに、網膜,虹彩,顔貌,耳,掌紋,掌形,指形,手の甲の血管模様,声紋などが挙げられる。精算/カード返却ボタン27は、遊技客がゲームを終了したとき、さらには残額がある場合にそれを釣銭として受け取ろうとするときに押下されるボタンである。
【0023】
紙幣の投入は紙幣挿入口28より行われ、その奥に装備された紙幣識別装置によって、投入された紙幣の真贋と金種が判別される。そして、真券と判別された紙幣のみが、内部へと取り込まれる。内部に取り込まれた紙幣は、通常は、紙幣識別装置内に設けられた紙幣収納部に収納されるか、あるいは、メダルサンド2の背後に連通させた紙幣搬送装置に送り出されて遊技機島端に設置された金庫まで搬送されて収納される。ノズルシュート29は、メダルサンド2からスロットマシン1の受皿11に向けられており、貸し出し用のメダルが流下するための通路となっている。そして、受皿11に貸し出されたメダルをメダル投入口12に投入することによって、ゲームが開始できる状態となる。
【0024】
図1に示すように、会員登録機5は、会員登録や指紋認証を実行するための制御部となるパソコン51と、これと接続させた指紋読取手段52、カードリーダライタ53およびプリンタ54によって構成されるものである。また、精算機6は、画像表示部61、カード挿入口62、キー入力手段63、指紋読取手段64、ビジターボタン65および釣銭払出口66によって構成されている。店内管理サーバ4は、業務用パソコン41、指紋認証サーバ42、売上管理サーバ43、プリンタ44等によって構成されている。
【0025】
さらに、メダル計数機7にも、カード挿入口71および指紋読取手段72が備わっている。これは、一つには、遊技店側の計数不正を防止するために使用されるもので、店員が指紋情報を入力しない限り、メダルの計数が受け入れられないようにしたものである。一方、会員については、会員カードの挿入と指紋情報の入力を行うことによって、計数した数量を貯メダルとして店内管理サーバ4に記憶され、一旦留保することができる。後日、メダルサンド2に対して会員カードの挿入と指紋情報の入力を行うことによって、再プレイに使用することができる。
【0026】
次に、本発明のシステム構成について、フローチャート図を参照しながら説明する。まず、高額紙幣を使用しようとする者は、事前に会員登録機5において登録を済ませておくか、ビジターとして対応しなければならない。会員登録には、指紋情報の入力と氏名・電話番号などといった個人情報の登録が必要であり、これらの登録手続きと引き換えに遊技店から会員カードが渡される。会員カードには少なくとも識別IDが書き込まれていなければならないが、その他の個人情報についての取り扱いについては、識別IDに関連させて店内管理サーバ4にのみ記憶される場合と、会員カードおよび店内管理サーバ4の両方に個人情報が記録される場合とがある。
【0027】
会員登録の手続きは、図3のフローチャートに示すように、会員登録機5のパソコン51の画面に表示される作業手順に従って行われる。まずは氏名や電話番号といった個人情報をキーボードから入力することから始められる(ステップS501)。続いて、指紋読取手段52の指紋検出面に指を載置して指紋情報を読み取らせる(ステップS502)。正常に読み取られた指紋情報は、通信ケーブル3を通じ店内管理サーバ4に送信される。そして、業務用パソコン41に接続された指紋認証サーバ42内に作成されているデータテーブル上に、識別IDと関連させてデータ保存される。会員カードは、カードリーダライタ53に挿入させた磁気カードに必要事項が書き込まれたあと、遊技客に発行される(ステップS503)。なお、本発明において会員カードに書き込まれるデータは、最小限識別IDのみであっても構わない。
【0028】
メダルサンド2におけるメダルの貸し出しは、図4に示すフローチャートに沿って実行される。開始前の状態において、メダルサンド2の画像表示部22には、一般的にメダルを貸し出すための所定の金額とされる千円札については、会員であってもビジターであっても、千円札を投入するだけでそのまま使用が可能である旨が表示されている。また五千円札や一万円札といった千円を超える高額紙幣を使用しようとするときには、ビジターに対してはビジターボタン26の押下を促すコメント、会員に対しては会員カードの挿入を促すコメントが同じ画面に表示されている。なお、会員カードの受け入れ時や後述する指紋の読み取り時などの各時点に連動させて、その受け入れが可能な態勢にあることを、異なる点灯・点滅パターンによって表示灯21に適宜表示させることも、操作性や演出効果を向上させる。
【0029】
紙幣の投入がメダルサンド2の紙幣挿入口28にあったことが、その口元に取り付けられた検知センサによって検知されると(ステップS201)、メダルサンド2の内部に装備された紙幣識別装置によって、その金種と真贋とが識別される(ステップS202)。そして、真券であることが認識できなかった紙幣については、直ちに返却されることは勿論であるが、投入された紙幣が真券である千円札であった場合には、価値相当分のメダルがゲーム用として即座に払い出される(ステップS203)。一方、画像表示部22に表示された上記コメントに従わずに投入された紙幣が、千円を超える高額紙幣であった場合は、それが真券であっても、紙幣挿入口28より戻される(ステップS204)。
【0030】
紙幣の投入もビジターボタン26の押下もないままに、カード挿入口23に会員カードが挿入された場合には(ステップS206)、会員カードに記録されている識別IDが読み取られて店内管理サーバ4に送信され、その遊技客が会員であることが認識される。そして、画像表示部22には、指紋読取手段25への指紋情報の入力を促すコメントが表示される。指紋情報の入力が正常に行われると(ステップS208)、店内管理サーバ4でもって、入力された指紋情報と登録されている指紋情報との照合が行われる。照合結果が一致すれば、画像表示部22には、高額紙幣の投入を促すコメントが表示される。
【0031】
一方、ステップS205においてビジターボタン26が押下された場合には、その遊技客がビジターであることが認識され、画像表示部22には暗証番号の入力を促すコメントが表示される。暗証番号は、たとえば4桁の数字の組み合わせによって形成され、その入力は、遊技客が任意に決めた数字をキー入力手段24より自らの手によって行われる(ステップS207)。続いて、画像表示部22に示される表示内容にしたがって、指紋読取手段25にて指紋情報の入力を行う(ステップS208)。入力された暗証番号と指紋情報とは、店内管理サーバ4に送信されて記憶される。このとき、暗証番号が複数の遊技客の間で重複したとしても、一向に構わない。なぜならば、本システムにおける個人の特定は、あくまでも指紋認証によって行うのであって、会員カードや暗証番号は、指紋情報に素早く辿りつくための番地として位置づけているからである。また、一つの暗証番号だけに偏って使用されるということは、現実的に考えにくい。
【0032】
指紋情報の入力のあとに、紙幣挿入口23より高額紙幣が投入されると(ステップS209)、改めてその紙幣の真贋と金種とが識別され、それが真券であれば、千円の価値相当分のメダルがゲーム用として即座に払い出される(ステップS210)。このとき、投入される紙幣が千円札であったとしても、同様に実行される。そして、画像表示部22には、投入金額から千円を減算した残額が表示されるとともに(ステップS211)、店内管理サーバ4のデータテーブルには、残額情報も付記される。残額が存在して(ステップS212)、遊技客がゲームの継続を望む場合には、改めて指紋情報を入力することにより(ステップS213)、ステップS210に戻って千円の価値相当分のメダルの貸し増しを受けることができる。この貸し増しのサイクルは、残額が存在する間は何度でも繰り返すことができる。
【0033】
さて、ステップS212において残額が存在しない場合には、挿入されたままにされている会員カードの存在の有無について確認がなされる(ステップS214)。すなわち、ビジターについては、もともとカードを所有していないので、残額がなければそのまま終了となる。会員の場合には、残額がなくとも会員カードの返却を受ける必要がある。このカード返却の手続きにおいても、確実に所有者の手元に戻るようにするために、精算/カード返却ボタン27の押下(ステップS215)に続いて、指紋読取手段25に指紋情報を入力することが求められる(ステップS218)。店内管理サーバ4によって、記憶されている指紋情報と入力された指紋情報との照合がとられたうえで、会員カードは返却される(ステップS219)。
【0034】
ステップS212において残額が存在しており、ゲームをそこで終了して残額を釣銭として受け取ろうとする場合には、画像表示部22に表示されるコメントに従って、精算/カード返却ボタン27の押下が求められる(ステップS216)。精算/カード返却ボタン27が押下されると、次に、挿入されたままにされている会員カードの存在について確認がなされる(ステップS214)。会員カードの有無によって、会員とビジターとに分けられる。
【0035】
すなわち、会員カードがない場合にはビジターとして扱われ、キー入力手段24への暗証番号の入力(ステップS220)に続いて、指紋読取手段25に指紋情報を入力することが求められる(ステップS221)。この手続きを怠ると、精算機6による釣銭の精算が受けられないことになる。一方、会員カードの存在によって会員と認識された者については、会員カードの返却を受なければ精算することができないようになっている。そのためには、指紋情報を入力することが必要とされ(ステップS218)、指紋情報の照合結果に基づいて、会員カードが返却されるようになっている(ステップS219)。店内管理サーバ4には、識別IDまたは暗証番号と、指紋情報とに関連付けて、残金情報が書き込まれる。
【0036】
釣銭の精算は、図5に示す精算機6のフローチャートに沿って行われる。このとき、精算機6に備わる画像表示部61には、メダルサンド2と同様に、操作手順や残金額などが適宜表示されるようになっている。そして、ビジターに対しては、精算機6のビジターボタン65の押下が求められ(ステップS601)、続いて、メダルサンド2に使用した暗証番号をキー入力手段63より入力することが求められる(ステップS603)。一方、会員については、カード挿入口62に会員カードを挿入するだけでよい(ステップS602)。その後、会員もビジターも、指紋読取手段64に指紋情報を入力することによって(ステップS604)、店内管理サーバ4に記憶されている指紋情報と照合され、その結果に基づいて残金情報が精算機6に返信され、釣銭払出口66を通じて釣銭が払い出される(ステップS605)。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】 本発明の遊技媒体貸出システムの全体構成を示す図である。
【図2】 遊技機および遊技媒体貸出機の正面図である。
【図3】 会員登録機における登録の過程を示すフローチャートである。
【図4】 遊技媒体貸出機における処理概要を示すフローチャートである。
【図5】 精算機における精算時の過程を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0038】
1 スロットマシン(遊技機)
2 メダルサンド(遊技媒体貸出機)
4 店内管理サーバ
5 会員登録機
6 精算機
7 メダル計数機
22,61 画像表示部
23,62,71 カード挿入口
24,63 キー入力手段
25,52,64,72 指紋読取手段(生体情報読取手段)
26,65 ビジターボタン
27 精算/カード返却ボタン
28 紙幣挿入口
66 釣銭払出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入された紙幣の金額に応じて遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸出機と、釣銭としての残額の支払いを行う精算機と、顧客情報の登録と引き換えに識別情報記憶媒体を発行する会員登録機と、前記各種装置を管理する店内管理サーバとによって構成される遊技媒体貸出システムであって、
前記遊技媒体貸出機、前記精算機、前記会員登録機には、それぞれについて生体情報読取手段が装着され、さらに前記遊技媒体貸出機および前記精算機には、それぞれについて識別情報記憶媒体読取手段とキー入力手段とが装着され、
前記会員登録機において生体情報の入力とともに予め登録手続きを済ませた会員が、前記遊技媒体貸出機において高額紙幣を使用するときには、該遊技媒体貸出機に装着された識別情報記憶媒体読取手段への識別情報記憶媒体の投入と生体情報読取手段への生体情報の入力とが必要とされ、これによって得られる識別情報と生体情報とを前記店内管理サーバに保存されている識別情報および生体情報と照合した結果に基づいて、所定金額相当分の遊技媒体が払い出される一方、
一時の遊技客が前記遊技媒体貸出機において高額紙幣を使用するときには、該遊技媒体貸出機に装着されたビジターボタンを押下したのちにキー入力手段への暗証番号の入力と生体情報読取手段への生体情報の入力とを必要とし、これらの入力に伴って所定金額相当分の遊技媒体が払い出されるとともに、前記暗証番号と関連付けて前記生体情報が前記店内管理サーバによって保存されることを特徴とする遊技媒体貸出システム。
【請求項2】
前記遊技媒体貸出機に高額紙幣が投入され、遊技媒体の貸し出しが行われたあとに残額が残っている場合に、引き続いて遊技媒体の貸し出しを受けようとするときは、該遊技媒体貸出機において、改めて生体情報の入力が必要とされ、これによって得られる生体情報を前記店内管理サーバに保存されている生体情報と照合した結果に基づいて、所定金額相当分の遊技媒体の貸し出しが行われるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の遊技媒体貸出システム。
【請求項3】
前記遊技媒体貸出機に投入した識別情報記憶媒体の返却を受けるためには、該遊技媒体貸出機に備わる精算ボタンを押下したのちに生体情報の入力が必要とされ、これによって得られる識別情報と生体情報とを前記店内管理サーバに保存されている識別情報および生体情報と照合した結果に基づいて、前記識別情報記憶媒体の返却が行われるように構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遊技媒体貸出システム。
【請求項4】
前記精算機において、会員が釣銭としての残額を受け取るためには、該精算機に装着された識別情報記憶媒体読取手段への識別情報記憶媒体の投入と生体情報読取手段への生体情報の入力とが必要とされ、これによって得られる識別情報と生体情報とを前記店内管理サーバに保存されている識別情報および生体情報と照合した結果に基づいて、残額の支払いが行われることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の遊技媒体貸出システム。
【請求項5】
前記精算機において、一時の遊技客が釣銭としての残額を受け取るためには、該精算機に装着されたビジターボタンを押下したのちにキー入力手段への暗証番号の入力と生体情報読取手段への生体情報の入力とを必要とし、これによって得られる暗証番号と生体情報とを前記店内管理サーバに保存されている暗証番号および生体情報と照合した結果に基づいて、残額の支払いが行われることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遊技媒体貸出システム。
【請求項6】
前記識別情報記憶媒体には識別IDのみが記録され、その他の顧客情報は、該識別IDに関連させて前記店内管理サーバに保存されることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の遊技媒体貸出システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−44469(P2007−44469A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−257030(P2005−257030)
【出願日】平成17年8月9日(2005.8.9)
【出願人】(000128485)株式会社オーイズミ (191)
【Fターム(参考)】